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「パンチカード」の版間の差分

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[[Image:Lochkarte Tanzorgel.jpg|200px|right|thumb|[[オルガン]]用のパンチカード]]
{{出典の明記|date=2011年7月}}
[[ファイル:Blue-punch-card-front-horiz.png|right|thumb|300px|20世紀に最も広く使われた80欄のパンチカード。寸法は 187.325 mm × 82.55 mm。この例は1964年の[[EBCDIC]]文字セットにそれ以前につかわれていた特殊記号を加えて示したものである。]]
[[Image:Lochkarte Tanzorgel.jpg|200px|right|thumb|オルガン用のパンチカード]]
'''パンチカード'''は、厚手の[[紙]]に穴を開けることで、その位置や有無から情報を記録する[[メディア (媒体)|メディア]]。またアナログの情報管理のカードシステム」で使用される、多角検索のたどもパンチカードの呼ばれる。
'''パンチカード'''([[英語]]:Punched card)、'''穿孔カード'''などともいう、厚手の[[紙]]に穴を開け、その位置や有無から情報を記録する[[電子媒体|記録媒体]]以前には鑽孔[[紙テープ]]とともに多用され。電子式[[コンピュータ]]以前[[パンチカードシステム]]の時代から多用されたものであ近年は[[コンピュータ]]用主力メディアとしては過去のものとなっている。画像などといっ大容量タを負担く扱えるようになる以前には、四角い窓を作ってそこに[[写真フィルム]]を張る、といった使い方や、端に切れ込みを入れて串を使った手作業で分類できる edge-notched card([[#ハンドソートパンチカード]]節を参照)など、紙テープとは違ったカードならはの使い方もある。


現在の使われ方としては、国や地方によっては[[選挙]]の投票用であるとか、穴を開けるのではないものの、[[マークシート]]用で同一の大きさ・形状・材質のカードが使われていることがある。
[[コンピュータ]]や、自動織機などで多く利用されたが、記録メディアとしての役割は、現在ではより便利な代替品が出ていることから、ほとんどなくなっている。

だがパンチカードそのものは駆逐され消えつつあるものではなく、現代でも現役のツールである。使用例の1つは[[選挙]]の投票用紙であり、あるいはより身近な、趣味的なところでは[[オルガニート]]で触れることができる。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
[[ファイル:Jacquard.loom.cards.jpg|right|thumb|[[ジャカード織機]]用のパンチカード]]
穴の開いたロール紙をはじめて[[織機]]に使用したのは[[1725年]]ごろの Basile Bouchon と Jean-Baptiste Falcon で、[[1745年]]に[[ジャック・ド・ヴォーカンソン]]がこれを完全自動織機にし、[[1801年]]にフランスの[[ジョゼフ・マリー・ジャカール]]が大きく改良しパンチカードにし、自動織機を制御して複雑な模様の布を織るために使用され、世紀を超えて使用され続けた。<!--これは、自動オルガンを発想のベースにしている?(FeZn)-->[[織機]]などで多く利用されたのは、コンピュータをそれに応用しようという考えからではなく、むしろこちらのほうが元祖であったゆえである。
パンチカードの先祖は[[織機]]に由来する。<!--穴の開いたロール紙をはじめて[[織機]]に使用したのは[[1725年]]頃である。バジル・ブション(Basile Bouchon)とジャン=バティスト・ファルコン(Jean-Baptiste Falcon)の2人であり、[[1745年]]に[[ジャック・ド・ヴォーカンソン]]がこれを完全自動織機にした。[[1801年]]に-->いくつかの先行例はあるが、広く知られている、「厚紙でできた」「定形のカードに」「穴を開けた」ものを利用して、模様を自動的に織り込むようなカラクリが組込まれた完成度の高い自動織機は、19世紀初頭、フランスの[[ジョゼフ・マリー・ジャカール]]により作られ、その名が付けられた[[ジャカード織機]]は、その末裔が今日でも使われている。


機械の制御ではなく、情報の格納手段としてパンチカード状のものを最初に使ったのは{{仮リンク|セミヨン・コルサコフ|en|Semen Korsakov}}とされている。コルサコフは彼の考案した技法と機械を1832年9月に発表し、特許を取得せずに機械を公的な用途に供した<ref>[http://homeoscope.ru/eng/index.html Korsakov's "Intellectual machines"]</ref>。
[[チャールズ・バベッジ]]はこのジャカールの機械([[ジャカード織機]])をヒントにして、パンチカードを[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]]に使う計算機([[解析機関]])を構想した。だが彼が構想した計算機は、その存命中には実現しなかった。
[[ファイル:Korsakov punch card.png|right|thumb|セミヨン・コルサコフのパンチカード]]


19世紀に「[[数値計算|(数値を)計算]]する機械」の制御にパンチカード状のものを使うことが構想されたものとして、[[チャールズ・バベッジ]]の「[[解析機関]]」がある<ref>「[[階差機関]]」ではない</ref>。バベッジはジャカード織機をヒントにしたとされている。なお、解析機関は完成しなかった。<!--バベッジはこれを "Number Cards" と呼び、歯車機構に連動している一連のレバーに押し付け、穴の空いていない部分のレバーが押されることで歯車機構が動き、数値を伝えるとした<ref>{{Cite book|last=Babbage |first=Charles |title= On the Mathematical Powers of the Calculating Engine |publisher= |date = 26 Dec. 1837}}</ref>。--><!--出典が付いてるからコメントとして残しますが、解析機関においてパンチカードは数値よりも、現代のコンピュータのプロセッサでいう「命令」(インストラクション)を表現するものとしてのほうが重要だったはずなんですが????-->
ジャカールの自動織機に触発されたのはバベッジだけではなかった。パンチカードを使って「革命」を起こした人物が[[アメリカ合衆国|アメリカ]]にいた。当時、大規模な[[移民]]の受け入れにより急激に人口が膨張しつつあったアメリカでは、[[1880年]]の[[国勢調査]]が[[1889年]]になっても集計が完了しないという問題を抱えていた(これには、単純な人口の増加だけではなく、集計する項目が増えたために当初の手作業システムが破綻したのだと言われる)。計算している間に人口が大きく変動してしまうこの状況を解決したのが[[ハーマン・ホレリス]]が発明したパンチカードによる集計機[[タビュレーティングマシン]]で、これによって集計のスピードは10倍になったという。ホレリスはまた[[文字コード]]も考案し、これはホレリスコードと呼ばれている。


20世紀にコンピュータ用として多用されたパンチカードそのものの直接の祖先は、19世紀末の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で、[[ハーマン・ホレリス]]によるものである。大規模な[[移民]]の受け入れにより急激に人口が膨張しつつあったアメリカでは、1880年の[[国勢調査]]が1889年になっても集計が完了しないという事態が発生していた(これには、単純な人口の増加だけではなく、集計する項目を増やしたことによる必要な作業量の増大にもよると言われる)。次回の調査を実施する時期に至ってもまだ前回の調査の集計が終わらないというこの困難を、ホレリスは機械の導入により解決することを考察した。当初は[[紙テープ|鑽孔テープ]]などを試したが、最終的にパンチカードという形態にたどり着いた<ref>[http://www.columbia.edu/cu/computinghistory/hollerith.html Columbia University Computing History – Herman Hollerith]</ref>。ホレリスが考案した、パンチカードを利用する[[データ処理]]機械である[[タビュレーティングマシン]]は、国勢調査の手作業による集計に比して10倍のスピードを実現したとされる。同時に、1〜9および0の、十進ヒトケタの整数値とアルファベットをパンチカードの穴でエンコードする一種の[[文字コード]](現代の文字コードとは異なり、紙製のカードで利用する前提で設計されている(例えば、全部の桁に穴を開けたりはしない))「ホレリスコード」も考案した。<ref>直接の関係は無いが、古いFORTRANのソースコード中では、現代のプログラミング言語では <code>"ABC"</code> と書くような文字列を <code>3HABC</code> のように「(文字数)H……」のように書いたのだが、この H はホレリスにちなんだものだとされており、Hollerith string literal という通称がある。</ref>
当時は手書きで記録を取り、それを事務所に持ち帰ってパンチカードに転記するという手間を踏んでおり、かつホレリスの集計機自体も1回1回人間が処理の仕方を設定する必要があるなどの欠点があったが、その圧倒的な処理能力は「驚異のテクノロジー」と賞賛され、政府機関だけではなく様々な分野で使用されていくことになる。多数の顧客情報を処理しなければならない[[保険会社]]などでも使われた。後に電気式[[歯車式計算機|加算機]]の計算機構を組み込んでかなりの計算ができる機械が登場し、[[会計]]処理だけでなく科学技術計算にも使われるようになった。このようなプログラム内蔵式でないコンピュータともいうべき機器は電子式コンピュータが登場した後もしばらく使われ続けた。


当時は手書きで記録を取り、それを事務所に持ち帰ってパンチカードに転記するという手間を踏んでおり、かつホレリスの集計機自体も1回1回人間が処理の仕方を設定する必要があるなどの欠点があったが、その圧倒的な処理能力は「驚異のテクノロジー」と賞賛され、政府機関だけではなく様々な分野で使用されていくことになる。多数の顧客情報を処理しなければならない[[保険会社]]などでも使われた。後に電気式[[歯車式計算機|加算機]]の計算機構を組み込んでかなりの計算ができる機械が登場し、[[会計]]処理だけでなく科学技術計算にも使われるようになった。
ホレリスは1枚のカードに80項目、1項目につき12種類の選択肢の情報が記録できるような仕様を策定した。このカードはサイズを身近な1ドル紙幣と同一にし、普及のために低額で販売したため、事実上の標準となった。特に「1行 80項目(桁)」は、[[FORTRAN]]を筆頭としてその後長く受け継がれていくことになる(後述)。そして[[1896年]]、この事業のためにホレリスが興した「タビュレーティング・マシーンズ社」は、幾度かの統合を経て巨大企業[[IBM]]の母体となっていく。

ホレリスは1枚のカードに45項目、1項目につき12種類の選択肢の情報が記録できるような仕様を策定した。このカードはサイズを身近な1ドル紙幣と同一にし、普及のために低額で販売したため、事実上の標準となった。そして1896年にこの事業のためにホレリスが興した「タビュレーティング・マシーンズ社」は、幾度かの統合を経て巨大企業[[IBM]]の母体となっていく<ref>[http://whatis.techtarget.com/tutorial/history-of-the-punch-card.html History of the punch card]</ref>。ホレリスの仕様は、後にIBMによってカードのサイズは同じままでカードの穴を円形から長方形にすることで80項目に拡張された。この仕様、特に「1行 80項目(桁)」は、[[FORTRAN]]を筆頭としてその後長く受け継がれていくことになる(後述)。

1950年代まで、パンチカードはデータ入力やデータ保管、データ処理の主な手段として使われた(ただし、もっぱら鑽孔紙テープを利用したコンピュータ、あるいはテープを好んだ文化のメーカーもある)。IBMの記録によれば、IBMは1937年にはニューヨーク州エンディコットに32のパンチカード工場を持ち、毎日500万枚から1000万枚のパンチカードを生産していた<ref name="Endicott">[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/vintage/vintage_4506VV2159.html IBM Archive: Endicott card manufacturing]</ref>。パンチカードは[[アメリカ合衆国連邦政府]]の小切手<ref>{{Cite book|last = Lubar |first = Steven |title = InfoCulture: The Smithsonian Book of Information Age Inventions |publisher = Houghton Mifflin | year = 1993 |isbn = 0-395-57042-5 | page = 302}}</ref>や貯蓄債券など法的書類にも使われていた。

以上で述べたような[[データ処理]]機械の歴史に続いて、[[Harvard Mark I]] (1940年代) のような[[数値計算]]機械もあらわれ、第二次世界大戦の終わった後、急速に(電子式)コンピュータの発展が進み、数値計算とデータ処理の統合といえる、[[情報処理]](information processing)や[[コンピューティング]]と言われるようになった(チューリングやノイマンやシャノンらによる数理的な理論の確立、という背景もある)。

1950年代、[[UNIVAC I]] の入出力装置[[:en:UNITYPER|UNITYPER]]が新たなデータ入力手段として[[磁気テープ]]を導入した。1960年代には磁気テープを採用するコンピュータが増えていき、パンチカードから高速で書き換えの利く磁気テープへの移行が徐々に進行した。IBMはすぐにUNIVACを追撃し、1960年代には世界一のコンピュータ企業となった。

1965年、Mohawk Data Sciences は[[キーパンチ]]の代替として直接磁気テープにタイピング内容を記録する磁気テープエンコーダという機器を発売し、ある程度の成功を収めた。それでもパンチカードはデータおよびプログラム入力手段として1980年代中ごろまで使われ続けた。1952年発売の[[IBM]]初の商用コンピュータ[[IBM 701]]や、大ヒットとなった[[System/360]]のデータ入力の基本は80[[桁]][[長方形]]の穴のパンチカードである。また[[UNIVAC]]などのコンピュータでは丸穴の90桁のカードが使われた。

元々機械的な装置だった時代にアウトラインが決まったものであるため比較的大きく、トランジスタ化などコンピュータの進歩に合わせ小型化したものも試作されたりしているが、既にデファクトスタンダードとして普及してしまったものを置き換えるには至らなかった。

またプログラミングなどの際には、穿孔してしまうので現代のテキストエディタのような文字単位の編集は後から一切できないという欠点から、一般に[[鉛筆]]などを用いて別の紙<ref>いわゆる「コーディング用紙」は、元々はプログラミング言語以前の時代に発生したものだが、この時代にこの目的などで多用されたものであった。</ref>、あるいはカードの上辺の間隔が空く位置に書き込んでおき、あとでまとめてパンチしていた(なお、コンピュータ時代のパンチ機械には、穿孔と同時に印字されるといったものも多い)。大規模な組織などでは、プログラマとは別に[[キーパンチャー]](単にパンチャーとも)という専門職によってプログラム用のカードもパンチされるなど分業されていることもあった。

パンチカードの利点は、行単位の編集が容易であるということがある。プログラムの1行がパンチカードの1枚になるため、内容を修正したい場合は、修正行に相当するカードを差し替えるだけでよい。また、ブロック単位に移動する場合もカードを入れ替えるだけで済む。これは[[紙テープ]]では物理的な切り貼りを行う必要があることを考えると、非常に効率的と言える。一方で行単位ではない編集は極端に苦手であり、むしろ紙テープの物理的な切り貼りのほうが有利と言える。プログラマによっては、全く同じ内容になるような行が現れるように工夫し、「ソースコードの再利用」を実際のパンチカードの再利用として行っていた者もいた。

また、当時ありがちだった事象として、パンチカードの束(デック)を、落とすなどしたはずみでバラバラに散らしてしまい、順序がわからなくなってしまうと並べ直すのが大変、というものがあった。通し番号が打たれているなどすればなんとかなるが、さもなくば入力し直した方が早いなどとも言われた。当時の写真などで、カードデック上部に斜線を引いたりしたものがあるのは、並べ直しを簡単にするための工夫である。

1970年代から1980年代にかけて、[[磁気ディスク]]や[[端末]]が低価格化し、安価な[[ミニコンピュータ]]が普及したため、パンチカードはコンピュータへのデータ入力手段としての役目をほぼ終えた<ref>{{Cite book| last = Aspray (ed.) |first = W. | title = Computing before Computers |publisher = Iowa State University Press | year = 1990 | isbn = 0-8138-0047-1| page = 151 }}</ref>。また、そもそもミニコンピュータはメインフレームとは違う文化圏を形成し、その文化圏では紙テープのほうが好まれた、といった側面もある。それでも、多くの業界標準規格やファイルフォーマットにパンチカードの影響が残っている。パンチカードの代替となった [[IBM 3270]] などの端末は、既存のソフトウェアとの互換性を考慮して一行の表示文字数をパンチカードと同じ80文字とした。[[グラフィカルユーザインタフェース]]は可変幅のフォントも表示可能だが、1行80文字を前提としたプログラムは今もある。

ごく簡単な読取機が作れる紙テープとは違い、比較するとかなり大袈裟な機構が必要なパンチカードは、1970年代の「マイコン革命」([[:en:Microcomputer revolution]])においては完全に「旧勢力の遺跡」であり、その後の[[パーソナルコンピュータ]]の誕生と普及によって、絶対数としては大きく減ったわけではないのだが相対的には圧倒的少数となった[[メインフレーム]]と共に、少数派の存在となった。

2000年代頃より宿泊施設のカード型キーとして使われている所もある。穴を穿った厚めの紙をスリットに挿れ、その穴のパターンを読み取りロックを操作する。チェックアウトの際にそのパターンは無効となり、次のチェックインに新しいパターンが充てられる。

=== 影響 ===
ホレリス(IBM)の80欄パンチカードが、コンピュータに与えた影響には以下がある。
*[[メインフレーム]]などの大半の設定ファイルや[[JCL]]などは、今(2014年)も1行80桁が基本である
*[[FORTRAN]]などの言語は、今(2014年)も1行80桁が基本である
** 桁数に制限のない言語でも[[プログラミング作法]]として、1行を80桁とする流儀は今(2014年)でも根強い
*[[IBM 3270|3270]]や[[IBM 5250|5250]]などメインフレーム用の表示装置やエミュレータは、今も1行80桁が基本である
*[[IBM PC]]以後の[[パーソナルコンピュータ]]の表示解像度(ピクセル)も、1行80桁が基本である
**[[Monochrome Display Adapter|MDA]]はキャラクタ表示で1行80桁
**グラフィックモードでも、[[Color Graphics Adapter|CGA]]、[[Multicolor Graphics Adapter|MCGA]]、[[Enhanced Graphics Adapter|EGA]]、[[Video Graphics Array|VGA]]など(更には[[PC-9801]]や[[FM-R]]など、同時代の[[MS-DOS]]搭載PCの大半)は、全て1行のビット(ピクセル)数が80の倍数である(XGAは1024x768だが、元となった[[8514/A]]は正確には1040x768で、やはり80の倍数であった)
**ただし、パーソナルコンピュータの表示については、モニターに家庭用テレビを流用する設計としていた機種における、家庭用テレビの性能にもとづく仕様(40文字のものがあった)に由来する部分もあるので、パンチカードの80桁からの由来が全てではない
*CMD.EXEや[[xterm]]など[[端末エミュレータ]]の起動時のデフォルトのウィンドウサイズは80桁に合わせたサイズである
*また、モニターディスプレイのデフォルトの状態のコンソール(で表示される[[ブルースクリーン]]などの画面)なども、1行80桁が基本である(ことが多い)


== 投開票への使用 ==
== 投開票への使用 ==
世界的に、大規模な[[選挙]]においては[[記号式投票]]が一般的であるため、その一手段としてパンチカードが投開票に使用されることもある。[[アメリカ合衆国]]の[[アメリカ合衆国大統領選挙|大統領選挙]]では[[1964年]]から採用する州や郡がある。1996年の時点では、登録有権者数において37.3%の地区でパンチカード式投票を採用していた<ref>[http://www.fec.gov/pages/punchrd.htm Punchcards] アメリカ合衆国[[連邦選挙委員会]] 2011年10月6日閲覧</ref>。これは有権者がパンチカードに孔を穿つ方式だが、穿孔装置を押す力が弱い場合などに「穿孔くず」が残るなどして、誤った読み取りや、それに基づく問題を生んだ。[[2000年アメリカ合衆国大統領選挙|2000年のアメリカ大統領選挙]]では再集計の度に集計結果が異なり、以前からあったこのシステムへの疑義が改めて提示されることとなった。
世界的に、大規模な[[選挙]]においては[[記号式投票]]が一般的であるため、その一手段としてパンチカードが投開票に使用されることもある。[[アメリカ合衆国]]の[[アメリカ合衆国大統領選挙|大統領選挙]]では1964年から採用する州や郡がある。1996年の時点では、登録有権者数において37.3%の地区でパンチカード式投票を採用していた<ref>[http://www.fec.gov/pages/punchrd.htm Punchcards] アメリカ合衆国[[連邦選挙委員会]] 2011年10月6日閲覧</ref>。これは有権者がパンチカードに孔を穿つ方式だが、穿孔装置を押す力が弱い場合などに「穿孔くず」が残るなどして、誤った読み取りや、それに基づく問題を生んだ。[[2000年アメリカ合衆国大統領選挙|2000年のアメリカ大統領選挙]]では再集計の度に集計結果が異なり、以前からあったこのシステムへの疑義が改めて提示されることとなった。


(この場合の)パンチカードは不完全なデジタル情報を記録するものであり、「孔が空いている」「空いていない」を人間が判断する必要が生じたことなどが、その原因の一つとして挙げられている。また、穿孔くずによって機械が止まり、それによって無効票が多数出るなどの問題も発生した。
(この場合の)パンチカードは不完全なデジタル情報を記録するものであり、「孔が空いている」「空いていない」を人間が判断する必要が生じたことなどが、その原因の一つとして挙げられている。また、穿孔くずによって機械が止まり、それによって無効票が多数出るなどの問題も発生した。


== ハンドソートパンチカード・システム ==
== ハンドソートパンチカード ==
特殊な機械を必要としない手操作で用い(ハンドソート)パンチカード事務用調査用に盛んに用いられた。これは周囲に多数の孔を開けたカードで、特定の孔の部分を[[乗車券|切符]]のように切り取ることで情報を記録し、孔に棒を通とそこが切られたカードだけが振り落とされ、これを繰り返すでソートする[[基数ソート]]いうあった
これは、手操作により簡単に扱えるカードとして、事務用調査データの処理用に以前は盛んに用いられたものである英語で edge-notched card([[:en:Edge-notched card]])という(日本では、日本パンチカード工業(株)が、『ハンドソートパンチカード』という名前で製造販売していた<ref>http://www.npc-web.co.jp/ にある「当サイトからのごあいさつ」を参照。現在製造終了。</ref>)。カードの周囲に多数の孔を開けたもので、特定の孔の部分を[[乗車券|切符]]の改札のように切り取ることで情報を記録し、孔に棒を通して引き上げるそこが切られたカードだけが振り落とされというものである(ここで使われている「ソート」の語は広義の用法で、数値的に昇順or降順に並べるという意味より広く、分類する、といったような意味である)。自然数の値を二進法で表現し、[[基数ソート]]によって数値的にソートすることもできる


== 呼称 ==
== コンピュータ用パンチカードの様式 ==
パンチカードは、'''IBMカード'''や'''ホレリスカード'''とも呼ばれた。IBM自身は、文書で言及する際は最初に「IBMカード」<ref>"An important function in IBM Accounting is the automatic preparation of IBM cards." IBM 519 Principles of Operation, Form 22-3292-5, 1946</ref>あるいは「パンチカード」と呼び、その後は単に「カード」と呼んでいた<ref>"The IBM 1402 Card Read-Punch provides the system with simultaneous punched-card input and output. This unit has two card feeds." Reference Manual 1401 Data Processing System, Form A24-1403-4, 1961</ref>。穴を開ける前のカードを "punched card" と呼ぶのは矛盾しているため、「タビュレーティングカード」あるいは「タブカード」という呼称も用いられていた<ref name=carroll2/>。
[[1960年代]]に[[コンピューターシステム]]が普及するまでは、[[パンチカードシステム]](Punch card systemまたは略称:PCSは和製英語で、英語:[[:en:Unit record equipment|Unit record equipment]])が広く使われた。これは
*カード穿孔機(カードパンチ)
*カード分類機(カードソーター)
*カード照合機(カードコレーター)
*作表機(タビュレーター)
などを用いて[[データ処理]]し、データの保存も多くはパンチカードを用いた。


== フォーマット ==
{{See also|パンチカードシステム}}
当初、用途ごとにデザインされたカードレイアウトが使われていた。パンチカードとそれを扱う機械が標準化されるのは1928年ごろのことである。長方形、円形、楕円形などの穿孔くずはチャド (chad) またはチップ(chip、IBMの用語)と呼ばれる。複数文字からなるデータや大きな数はカード内の連続する欄をフィールドとして格納される。一連のカードの集まりをデックまたはデッキ (deck) と呼ぶ。カードの上辺の左右どちらかの端を斜めに切るのが一般的で、それによってデック内のカード順序の間違いや反対側の端が切られた別のデックのカードが混じっている場合などを容易に検出できるようにしていた。カードには穴の位置が判別できるような印刷がされているのが一般的である。特定用途用に縦の線を印刷することでフィールドを区切ったり、フィールド名を印刷したカードも存在した<ref name=IBMDesign>{{Cite book |last = IBM |title = The Design of IBM Cards |year = 1956 |id = 22-5526-4 |url = http://www.bitsavers.org/pdf/ibm/cardProc/22-5526-4_The_Design_of_IBM_Cards_Mar56.pdf |archiveurl = https://web.archive.org/web/20100809095427/http://www.bitsavers.org/pdf/ibm/cardProc/22-5526-4_The_Design_of_IBM_Cards_Mar56.pdf |archivedate = 2010年8月9日 |deadurldate = 2017年9月 }}</ref>。


=== ホレリスによるもの ===
1960年代以降にコンピューターシステムが普及しても、1970年代に以降[[表示装置]]やパソコンが普及してこれらで代替されるまでは、コンピューターへのデータ入力は
[[ファイル:Hollerith punched card.jpg|thumb|ホレリスカード(出典: Railroad Gazette,1895)<ref>[http://memory.loc.gov/cgi-bin/ampage?collId=mcc&fileName=023/page.db&recNum=0&itemLink=r?ammem/mcc:@field(DOCID+@lit(mcc/023)) Railroad Gazette, April 19, 1895]</ref>]]
*カード穿孔機
[[ハーマン・ホレリス]]は、機械式[[タビュレーティングマシン]]の一連の特許<ref>{{US patent|src=uspto|395781}}, {{US patent|src=uspto|395782}}, {{US patent|src=uspto|395783}}</ref>を1889年に取得した。それらの特許では、記録媒体として[[紙テープ]]と長方形のカードの両方を記述している。{{US patent|src=uspto|395781}} で示しているカードはテンプレートが予め印刷されていて、穴は辺に沿って開けることになっており、[[車掌]]が使っていた[[改札]]鋏を穿孔に使うことを想定していた。カードの中央部分は文字などの書き込み用とされていた。そもそもホレリスは、車掌が切符の端に鋏を入れる位置で乗客を大まかに分類していたことから、この方式を思いついた。
*カード読取機(カードリーダー)

を用いて行った。
<blockquote>
私は西部に旅したとき、たしか punch photograph と呼ばれる切符を持っていた。車掌は乗客の明るい頭髪、黒い瞳、大きな鼻といった特徴に応じて切符の所定の位置に入鋏していた。見ての通り、私がやったのは punch photograph を全員ぶん作っただけのことだ
<ref>[http://www.history.rochester.edu/steam/hollerith/cards.htm History.rochester.edu] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20100614015829/http://www.history.rochester.edu/steam/hollerith/cards.htm |date=2010年6月14日 }}</ref>。
</blockquote>

改札鋏を使う方法は単調で間違いやすかったので、ホレリスはカード全体を穿孔領域とし、パンタグラフ型のキーパンチ(穿孔器具)を発明した。また同時にカードにテンプレートを印刷するのをやめ、パンチ機側にマスターテンプレートを装備し、人間がそれを見てパンチ位置を決定できるようにした。ホレリスはいくつかのカードサイズを検討した。1890年の国勢調査の集計に対してホレリスが提案したシステムでは、「一般的なあらゆる用途に対応できる」ものとして3インチ×5.5インチの[[マニラアサ]]の繊維で作った紙を示唆している<ref name=minesquarterly>[http://www.columbia.edu/cu/computinghistory/hh/index.html#[-245-&#93; An Electric Tabulating System, ''The Quarterly,'' Columbia University School of Mines, Vol.X No.16 (April 1889)]</ref>。

1890年の国勢調査で使われたカードは丸い穴を開けるもので、24欄12行の構成だった。このカードを使用する装置などの情報は、コロンビア大学のコンピュータ史についてのサイトにある<ref>[http://www.columbia.edu/cu/computinghistory/census-tabulator.html Columbia University Computing History: Hollerith 1890 Census Tabulator]</ref>。ある時点から3.25×7.375インチ (82.550×187.325mm) が標準カードサイズとなった。これは当時の1ドル紙幣より若干大きく(1ドル紙幣が2014年現在の大きさになったのは1929年から)、コロンビア大学のサイトによれば、紙幣運搬用の箱にぴったり収まるようにこの大きさにしたのだという。

ホレリスの当初のシステムでは、用途によって場当たり的な符号化システムを採用していた。つまり、いくつかの穴が特定の意味、例えば性別や既婚か未婚かなどを表すようにしていた。当時のタビュレーティングマシンには最大40個のカウンタがあり、それぞれに1周で100までを表せるダイヤルが対応していて、2つ1組で、一方のダイヤルがカウントアップして一周したらもう一方のダイヤルが1目盛りだけカウントアップするようになっていた。それによって10,000までのカウントが可能である。集計作業に際しては、個々のカウンタが特定の穴の位置に対応付けられている。ホレリスはまた、[[継電器|リレー]]回路を使った穴の組合せのカウントも可能にしており、例えば既婚の女性のみをカウントするといったことが可能だった<ref name=minesquarterly/>。


その後符号化が標準化され、12行のうち下の10行を数字の0から9に対応させた。これにより連続する複数欄を使って大きな数値を表現できるようになり、単なるカウント以上のことが可能となった。Comrieの ''The application of the Hollerith Tabulating Machine to Brown's Tables of the Moon'' にはホレリスの45欄カードのイラストがある<ref>Plates from: {{Cite journal| last = Comrie | first = L.J. | title = The application of the Hollerith Tabulating Machine to Brown's Tables of the Moon | journal = Monthly Notices of the Royal Astronomical Society |volume = 92 |issue = 7 | pages =694–707 | year =1932 | url= http://www.columbia.edu/cu/computinghistory/mnras.html|bibcode = 1932MNRAS..92..694C }}</ref><ref>{{Cite journal|last= Comrie |first=L.J. |authorlink= |year= 1932 |title= The application of the Hollerith tabulating machine to Brown's tables of the moon |journal= Monthly Notices of the Royal Astronomical Society|volume= 92|issue = 7 |pages= 694–707 |accessdate=2009-04-17 |url = https://articles.adsabs.harvard.edu/full/seri/MNRAS/0092//0000694.000.html |bibcode = 1932MNRAS..92..694C }}</ref>。
{{See also|コンピューターシステム}}


=== IBMの80欄カードと文字コード ===
これらの時代に、日本も含めた世界で使われたパンチカード様式は主に3つあった。
[[ファイル:FortranCardPROJ039.agr.jpg|thumb|260px|IBMの80欄カード。[[FORTRAN]]プログラムの1行 "Z(1) = Y + W(1)" がパンチされている。]]
=== IBMの80欄カード ===
1928年、[[IBM]]は縦長の長方形の穴を採用し、80欄で各欄に12のパンチ位置があり、1欄(コラム)で1文字を表す形式のカードを設計した<ref>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/history/year_1928.html IBM Archive: 1928].</ref>。寸法は 187.325&nbsp;mm ×&nbsp;82.55&nbsp;mm({{分数|7|3|8}}×{{分数|3|1|4}}インチ)である。材質は厚さ178μm(0.007インチ)の滑らかな紙である。重ねると、143枚で1インチの厚さ(約56枚で1cm)となる。1964年、IBMは四隅を丸めた形に変更した<ref>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/supplies/supplies_5404PH13.html IBM Archive: Old/New-Cards].</ref>。通常、2000枚が箱に収められた形か<ref>p. 405, "How Computational Chemistry Became Important in the Pharmaceutical Industry", Donald B. Boyd, chapter 7 in ''Reviews in Computational Chemistry, Volume 23'', edited by Kenny B. Lipkowitz, Thomas R. Cundari and Donald B. Boyd, Wiley, 2007, ISBN 978-0-470-08201-0.</ref>、[[連続帳票]]形式で販売された。連続帳票型のカードは、事前に番号とそれに対応する穴を開けた状態で販売されており、例えば小切手など厳密な文書管理が必要な用途に使われた<ref name=IBMAcc>{{Cite book|author= IBM |title = Principles of IBM Accounting |year= 1953 |id= 224-5527-2}}</ref>。
[[File:FortranCardPROJ039.agr.jpg|thumb|right|200px|IBMの80欄カード。縦長の長方形のパンチがされた。]]
IBM 80欄カード(英文:IBM 80-column card、縦長の長方形の穴)は、1枚のカードに80英数字・特殊文字がパンチでき、1欄(コラム)は数字0~9、またはカード上方のY-X-0ゾーン(12-11-0ゾーンとも呼ばれた)も使って英字を表現し、簡単な特殊文字は3つの穴を穿孔して表すようになっていた。各欄の最上位置に文字も印刷できた<ref>[http://www.cs.uiowa.edu/~jones/cards/codes.html Punched Card Codes]</ref>。また、81番目の爛もあり、これはプログラムなどの複雑なカードをカード穿孔機・カード読取機が処理する場合に、穿孔・読取誤り防止用の[[チェックディジット]]として使われた。


1つの欄には数字の0から9に対応する部分と、カード上方のY-X-0ゾーン(12-11-0ゾーンとも呼ばれた)がある。数値のみを格納するだけなら各欄に1つだけ穴を開ければよい。数値の正負の符号は、最下位桁のY-Xゾーンで表し、正ならY、負ならXをパンチする。Y-Xゾーンは他にもマスターレコードであることを示すなど、様々な意味で使われた<ref name="uiowa" />。カードの最上端にパンチ内容に対応した文字も印刷できる。また、81番目の爛もあり、これはプログラムなどの複雑なカードをカード穿孔機・カード読取機が処理する場合に、穿孔・読取誤り防止用の[[チェックディジット]]として使われた。
<br clear=right>


<pre style="width:33em !important;">
<pre>
______________________________________________
______________________________________________
/&-0123456789ABCDEFGHIJKLMNOPQR/STUVWXYZ
/&-0123456789ABCDEFGHIJKLMNOPQR/STUVWXYZ
Y / x xxxxxxxxx
Y / x xxxxxxxxx
X| x xxxxxxxxx
X| x xxxxxxxxx
0| x xxxxxxxxx
0| x xxxxxxxxx
1| x x x x
1| x x x x
2| x x x x
2| x x x x
3| x x x x
3| x x x x
4| x x x x
4| x x x x
5| x x x x
5| x x x x
6| x x x x
6| x x x x
7| x x x x
7| x x x x
8| x x x x
8| x x x x
9| x x x x
9| x x x x
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注:その他の各特殊符号は3つのパンチ(穴)を開ける。
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[[ファイル:Punch-card-5081.jpg|right|thumb|IBM以外の業者が製造した5081型のカード。四隅が磨り減っている。]]
カードの大きさは 7-3/8 インチ x 3-1/4 インチ(187.325 x 82.55 mm)で、厚みは 0.007 インチ(0.178 mm)で、1964年にカードの隅が丸くなり、この80欄カードが最も広く使われた。
その後、1欄に複数の穴を開けることで英大文字と特殊記号を表現するようになった<ref>特殊記号は英数字以外の文字で、例えば "&#,$.-/@%*?" など</ref>。英字は2カ所に穴を開け(Y-X-0ゾーンと数字1-9)、特殊記号は3カ所に穴を開ける(Y-X-0ゾーンと数字2-7と数字8)。一部の特殊記号は1穴または2穴で表される([[EBCDIC]]の "&" は12(Y)のみ、"-" は11(X)のみ、"/" は 0 + 1)。これにより、ゾーン [12, 11] と数字 [1-9] の組合せが何を表しているかはその欄の使いかたに依存するようになった。例えば、"12-1" という組合せは英字があるはずの欄では "A" を表し、符号付き数値があるはずの欄では正の符号つきの数字 "1" を表し、符号がないはずの位置の数字 "1" なら "12" は別の何らかの意味を持つ。[[EBCDIC]]は1964年に導入され、最大6箇所に穴を開けるようになった(ゾーン [12,11,0,8,9] + 数字 [1-7])。IBMや他の製造業者は80欄カードに様々な[[文字コード]]を採用した<ref>{{Cite web | last = Winter | first = Dik T. | title = 80-column Punched Card Codes | archiveurl = https://web.archive.org/web/20070408010814/http://homepages.cwi.nl/~dik/english/codes/80col.html | archivedate = 2007-04-08 | url = http://homepages.cwi.nl/~dik/english/codes/80col.html | accessdate = 2012-11-06 | url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref><ref name="uiowa">{{Cite web| last = Jones | first = Douglas W. | title = Punched Card Codes | url = http://www.cs.uiowa.edu/~jones/cards/codes.html | accessdate = 2007-02-20}}</ref>。1969年の[[米国国家規格協会|ANSI]]規格では128種類の文字のパンチカード上のコードを定義しており、'''ホレリスコード'''(''Hollerith Punched Card Code'' または ''Hollerith Card Code'')と呼ばれる<ref>Mackenzie, C.E. (1980). ''Coded Character Sets, History and Development'', Addison-Wesley, page 7</ref>。

[[ファイル:IBM1130CopyCard.agr.jpg|thumb|250px|バイナリコードのパンチカード]]
用途によっては[[二進法|バイナリ]]形式が使われ、それぞれの穴が1つのバイナリディジット([[ビット]])を表し、各欄(列)が単なるビットフィールドとして扱われ、任意の組合せで穴を開けられる。例えば[[IBM 700/7000 series|704/709/7090/7094シリーズ]]科学技術コンピュータで使われた IBM 711 カード読取装置は欄(列)ではなく1行を36ビットワードを2つ格納したものと解釈した(72欄を使用し、8欄は無視する。無視する8欄をどこにするかは読取装置の[[プラグボード]]で変更可能だが、通常右端の8欄を無視する)。この無視される8欄(通常、73-80)をシーケンス番号を入れるのに使うことがあり、カードデックを落としたときなどにソートするのに使った。[[IBM 1130]]や[[System/360]]といったコンピュータでは全ての欄を使った。[[IBM 1400|IBM 1402]] カード読取/穿孔装置では、縦の1欄に2文字を格納するコラムバイナリというモードを使い、3欄(3行)で36ビットワードを表した。しかし、多くの古い穿孔装置は1欄に3穴までしか穿孔できず、バイナリカードを作ることはできなかった。

[[ファイル:IBM lace card.jpg|right|thumb|1970年代に作られた lace card]]
バイナリモードの冗談として、全部の位置に穴を開けたカードを作ることもでき、それを "[[:en:lace card|lace card]]" と呼んだ。そのようなカードはカードとしての強度が足りず、機械の中で曲がったり詰まったりする。

80欄のカード形式は市場をほぼ独占し、他の業者も生産していたが'''IBMカード'''と呼ばれていた。

最もよく使われたのは IBM 5081 というフィールド分割されていない汎用のパンチカードである。その品番と形式は US Government Standard Form 5081 として採用され、他社もその番号を品名に採用していた。そのためユーザーにもその品番が知られていた。

=== マークセンスカード ===
IBMの{{仮リンク|レナルド・B・ジョンソン|en|Reynold B. Johnson}}が開発したマークセンスカードは、[[マークシート]]の楕円形のマークが印刷されたパンチカードで、[[導電性]]の特殊な鉛筆でマークを記入できるようになっていた(当時は[[光学式マーク認識]]ではなく、マーク部分に導電性があるかどうかで判別していた)。一般に何らかの初期情報がパンチされた状態でマークを記入する。例えば品名や品番をパンチしておき、棚卸し作業で在庫数をマークする。マークの読み取りも可能なカード穿孔装置に読み込ませると、マークした情報がその上にパンチされる。

=== アパチュアカード ===
[[ファイル:Aperture card.JPG|right|thumb|アパチュアカード]]
[[アパーチャー|アパチュア]]カードは、カードの右側に四角い大きめの穴が空いているパンチカードである。その穴に35mmの[[マイクロフィルム]]をはめ込む。例えば各種[[設計図]]の保管に使用された。パンチカード部分には図面の番号などをパンチしておく。完全なデジタル形式で保管するより便利な面もある<ref>{{Cite journal | first = Ed | last = LoTurco | title = The Engineering Aperture Card: Still Active, Still Vital | publisher = EDM Consultants | date = January 2004 | url = http://www.aiimne.org/library/LoTurcoWhitePaper1.pdf | format = PDF | accessdate = 2007-10-10 | archiveurl = https://web.archive.org/web/20071128162738/http://www.aiimne.org/library/LoTurcoWhitePaper1.pdf | archivedate = 2007年11月28日 | deadurldate = 2017年9月 }}</ref>。
{{-}}

=== IBM ポータパンチ ===
[[ファイル:IBM Port-A-Punch.jpg|thumb|IBMポータパンチ]]
1958年、IBMのサプライ品部門が発売したポータパンチ (Port-A-Punch) は、専用の印刷がされたIBM製パンチカードに人手で正確にパンチできる器具である。ポケットに入る大きさであり、どこでもパンチカードを作ることができる。棚卸し、伝票作成、統計調査などの現場で直接パンチカードに記録することを意図したもので、文書を作って別途キーパンチで入力するという手間を省くものである<ref>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/specialprod2/specialprod2_5.html IBM Archive: Port-A-Punch]</ref>。しかし、きちんと貫通しないことがあり、読み取り時に問題を発生することがあった。
{{-}}


=== IBMの96欄カード ===
=== IBMの96欄カード ===
[[File:System 3 punch card.jpg|thumb|right|150px|IBMのSystem/3用96欄カード]]
[[File:System 3 punch card.jpg|thumb|right|150px|IBMのSystem/3用96欄カード]]
[[1970年代]]に、IBMの中小型コンピューターシリーズの[[System/3]]用に新しく96欄カード(丸穴)を発表した。[[BCD]]文字(6ビット)と[[EBCDIC]]文字(8ビット)のビット構成をそのままカードにしたようなカード様式で(8ビット用には上中下段用に、それぞれ上の2行を使う)、32欄が上下3段に配置されていた<ref>[http://www.quadibloc.com/comp/cardint.htm The Punched card]</ref>。
IBMは[[1970年代]]に、中小型コンピューターシリーズの[[System/3]]用に新しく96欄カード(丸穴)を発表した<ref>[http://ed-thelen.org/comp-hist/IBM-ProdAnn/syst3.pdf IBM Field Engineering Announcement: IBM System/3]</ref>。IBM 5496 Data Recorder で穿孔と印字と確認ができ、IBM 5486 Card Sorter でソートできる

カードに開ける丸穴は直径1mmと[[紙テープ]]の穴より小さい。[[BCD]]文字(6ビット)と[[EBCDIC]]文字(8ビット)のビット構成をそのままパンチする(バイナリ方式)。BCDの場合は1段32欄で3段という形で使用し、1欄で1文字を表す。EBCDICの場合はBCDでの3段目のうち2行を1段目の6穴に加えて8ビットを表し、別の2行を2段目に加えて8ビットとしている。つまり、EBCDICでは64文字までしか表せない<ref>{{Cite web | last = Winter | first = Dik T | title = 96-column Punched Card Code | archiveurl = https://web.archive.org/web/20070415041458/http://homepages.cwi.nl/~dik/english/codes/96col.html#start | archivedate = 2007-04-15 | url = http://homepages.cwi.nl/~dik/english/codes/96col.html#start | accessdate = 2012-11-06 | url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref><ref name="quadibloc">[http://www.quadibloc.com/comp/cardint.htm The Punched card]</ref>。
{{-}}
{{-}}


IBM96欄カードが広まるのに連れて、[[System/370]]系のコンピューターでもIBM 5425多機能カード装置(読取り・穿孔・印字・コレート)などによっても処理できるようになった<ref>[http://bitsavers.informatik.uni-stuttgart.de/pdf/ibm/370/systemSummary/GA22-7001-4_370_System_Summary_Dec75.pdf IBM System/370 System Summary: GA22-7001-4 (p. 7-51, Dec. 1975)]</ref>。
=== Univacの90欄カード ===
[[File:RemingtonRandCard.agr.jpg|thumb|right|200px|Univacの90欄カード([[MIT]]博物館)。丸穴のパンチがされた。]]
[[レミントンランド]]社の[[UNIVAC|Univac]]部門は自社の90欄カード(丸穴)を製造・販売して、これも日本を含めて世界的に使われた。以前の1欄に12の穴の場所があった45欄カードを、各欄を6つの穴で済むように工夫して、45欄を上下2段に配置したカード様式であった<ref>[http://www.quadibloc.com/comp/cardint.htm The Punched card]</ref>。


=== UNIVACの90欄カード ===
例えば、[[アメリカ合衆国]]では[[ニュージャージー・ターンパイク]]で、日本では[[名神高速道路]]では、Univacの90欄カードが料金支払い用に各ドライバーに渡されていた時期があった。
[[File:RemingtonRandCard.agr.jpg|thumb|right|200px|UNIVACの90欄カード([[MIT]]博物館)。丸穴のパンチがされた。]]
[[レミントンランド]]は当初、ホレリスと同じ45欄の丸穴のパンチカードを採用していた。1928年にIBMが80欄カードを導入したことを受け、レミントンランドは1930年に45欄を上下2段に分けてそれぞれ1文字を表せるようにした<ref name="quadibloc" />。これを一般に90欄カードと呼ぶ<ref>{{Cite book| last = Aspray (ed.) |first = W. | title = Computing before Computers |publisher = Iowa State University Press | year = 1990 | isbn = 0-8138-0047-1| page = 142}}</ref>。使用している文字コードは6ビットのバイナリコードである<ref>{{Cite web | last = Winter | first = Dik T. | title = 90-column Punched Card Code | archiveurl = https://web.archive.org/web/20050228223439/http://homepages.cwi.nl/~dik/english/codes/90col.html#start | archivedate = 2005-02-28 | url = http://homepages.cwi.nl/~dik/english/codes/90col.html#start | accessdate = 2012-11-06 | url-status=dead|url-status-date=2017-09 }}</ref>。

これも日本を含めて世界的に使われた。例えば、[[アメリカ合衆国]]では[[ニュージャージー・ターンパイク]]で<ref>[http://www.fourmilab.ch/documents/univac/cards.html Punch Card Gallery]</ref>、日本では[[名神高速道路]]で、UNIVACの90欄カードが料金支払い用に各ドライバーに渡されていた時期があった。
{{-}}
{{-}}


== コンピュータ ==
== IBMによる生産 ==
[[ファイル:PunchedCardPrintingPlate.agr.jpg|thumb|right|パンチカードの印刷版]]
初期の[[コンピュータ]]は、パンチカードをそのメディアとして使用した。
IBMのフレッド・M・キャロル<ref>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/builders/builders_carroll.html IBM Archives/Business Machines: Fred M. Carroll]</ref>は、標準的なパンチカードを製造する一連の[[輪転印刷機]]を開発した。1921年の機種は毎分400枚のカードを生産できた。1936年には全く新たな方式で毎分800枚を生産できる機種を開発した<ref name="Endicott"/><ref name=carroll2>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/markI/2413FC01.html IBM Archives: Fred M. Carroll]</ref>。キャロルのカード用輪転印刷機は、パンチカード製造に革命を起こした<ref>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/attic3/attic3_038.html IBM Archives: (IBM) Carroll Press]</ref>。1930年から1950年まで、キャロルの印刷機はIBM全体の利益の25%を生み出していた<ref name="Belden">{{Cite book|first = Thomas | last = Belden|coauthors = Belden, Marva | title = The Lengthening Shadow: The Life of Thomas J. Watson |year = 1962 |publisher = Little, Brown & Company}}</ref>。


カード印刷機で使われていた印刷版はIBMのカードを丸めて円筒形にしたのと同じ大きさで、廃棄されたものはペン立てに使われたりしていた。様々なレイアウトの版があるので<ref>[http://www-03.ibm.com/ibm/history/exhibits/waywewore/waywewore_12.html IBM Archives:1939 Layout department]</ref>、コレクションの対象にもなっている。
二次記憶としては比較的初期から、高速で書き換えの効く[[磁気テープ]]が使われるようになっていったが、扱いの簡便さなどから、入出力特にコンピュータへの入力用などに、パンチカードは長く使われた。[[1952年]]発売の[[IBM]]初の商用コンピュータ[[IBM 701]]や、大ヒットとなった[[System/360]]のデータ入力の基本は80[[桁]][[長方形]]の穴の「ホレリス[[文字コード|コード]]」のパンチカードである。また[[UNIVAC]]などのコンピュータでは丸穴の90桁のカードが使われた。


IBMのマシンは顧客が買い取るのではなくリースするのが一般的だったため、IBMは当初純正カードのみを使うよう顧客に要求していた。IBMは事業をサービス業と認識しており、カードもマシンの一部だった。この件で1932年、アメリカ連邦政府がIBMを法的に訴えた。最高裁まで争ったが、IBMは敗訴。判決により、IBMはカードの仕様を指定することしかできないとされた。1955年にも同様の裁判があり、1962年までにIBMのパンチカード生産量をアメリカ全体の半分以下にするという和解がなされた。[[トーマス・J・ワトソン]]はパンチカード供給がIBMの最重要事業だと考えていたが、この和解に[[トーマス・J・ワトソン・ジュニア]]がサインすることで、IBMが新たな時代に入ったといえる<ref name="Belden"/>。
元々機械的な装置だった時代にアウトラインが決まったものであるため比較的大きく、トランジスタ化などコンピュータの進歩に合わせ小型化したものも試作されたりしているが、既にデファクトスタンダードとして普及してしまったものを置き換えるには至らなかった。


== 文化的影響 ==
またパンチカードにプログラムを記述するに際は、一つ一つ順々に穿孔していくのではなく、効率化の為に[[鉛筆]]などを用いて書き込んでおき、あとでまとめて孔を穿っていた。大規模開発の場合はプログラマがプログラムシート(紙)に[[鉛筆]]などで記入後、[[キーパンチャー]]と呼ばれる人間に渡し、[[キーパンチ|カード穿孔機]]で一括処理してもらうなど分業化も進んでいた。
[[ファイル:IBM card storage.NARA.jpg|thumb|1959年のアメリカ連邦政府の記録保管所の様子。それぞれの箱に2000枚のパンチカードが入っている。]]
パンチカードが広く使われた期間は[[ヒト]]の一世代にも満たないが、その影響は大きく、ポップカルチャーでもしばしば言及されている。次のような例がある。
* 芸術家で建築家の[[マヤ・リン]]は2004年、[[オハイオ大学]]に "Input" と名付けた[[パブリックアート]]をデザインした。これは上空から見るとパンチカードのように見える<ref>[http://www.mayalin.com Mayalin.com]</ref>。
* [[ウィスコンシン大学マディソン校]]の [http://www.fpm.wisc.edu/smomap/building.aspx?building=0762&wing= Engineering Research Building] は1966年に建設された建物で、窓の配置がパンチカードのように見えるようデザインされている。
* [[ザ・シンプソンズ]]の ''[[:en:Much Apu About Nothing|Much Apu About Nothing]]'' というエピソードで、アプーがバートに博士論文を見せるのだが、それは世界初のコンピュータ上の[[三目並べ]]であり、箱いっぱいのパンチカードだった。
* [[フューチュラマ (アニメ)|フューチュラマ]]の ''[[:en:Mother's Day (Futurama episode)|Mother's Day]]'' というエピソードで、ロボット達が 'Hey hey! Hey ho! 100110!' と抗議の声を上げ、徴兵カードを燃やすようにパンチカードを燃やすシーンがある。''[[:en:Put Your Head on My Shoulders|Put Your Head on My Shoulders]]'' というエピソードではベンダー(ロボット)が恋人紹介サービスを始め、登場人物達にパンチカードを渡して希望を記入させ、それを自分の胸に放り込んで「計算」するというシーンがあるが、計算と称してパンチカードを折りたたみ (fold)、曲げ (bend)、切断 (mutilate) する。
* 1964年から1965年にかけて発生した [[:en:Free Speech Movement|Free Speech Movement]] において、パンチカードはシステム(登録システムや官僚システム)の象徴、疎外の象徴、情報機械の象徴とされ、攻撃の象徴的対象とされた<ref>{{Cite journal|author= Lubar, Steven |year= |title=Do Not Fold, Spindle Or Mutilate: A Cultural History Of The Punch Card |journal=Journal of American Culture |volume=1992 |issue= Winter |url= http://design.osu.edu/carlson/history/PDFs/lubar-hollerith.pdf |accessdate=2011-06-12 }}</ref>。
* [[筒井康隆]]の『[[脱走と追跡のサンバ]]』には、人間がコンピュータの中に、「カードになって、ここに記憶されている」といった表現が出てくる<ref>角川文庫昭和49年版 p. 99</ref>。


== 規格 ==
パンチカードの利点は、行単位の編集が容易であるということがある。プログラムの1行がパンチカードの1枚になるため、内容を修正したい場合は、修正行に相当するカードを差し替えるだけでよい。また、ブロック単位に移動する場合もカードを入れ替えるだけで済む。[[紙テープ]]の場合には編集の際に、物理的な切り貼りを行なう必要があることを考えると非常に効率的である。


* ANSI INCITS 21-1967 (R2002), ''Rectangular Holes in Twelve-Row Punched Cards'' (formerly ANSI X3.21-1967 (R1997)) 1欄に12カ所の穴を開ける位置のあるパンチカードについて、穴を開ける位置と穴の寸法を指定している。
難点としては、パンチカードの束(ガードデック)を落としてしまうと並べ直すのが大変で、打ち直した方が速いとか、並べ直し易いように事前にカードデック上部に斜線を引く、などの工夫もされた。
* ANSI X3.11 – 1990 ''American National Standard Specifications for General Purpose Paper Cards for Information Processing''
* ANSI X3.26 – 1980/R1991) ''Hollerith Punched Card Code''
* ISO 1681:1973 ''Information processing – Unpunched paper cards – Specification''
* ISO 6586:1980 ''Data processing – Implementation of the ISO 7- bit and 8- bit coded character sets on punched cards''. ISOの7ビットおよび8ビットの文字セットをパンチカード上でどう表すかを定義している。ホレリスコードからの派生であり、互換性がある。


== 扱う機器 ==
その後、前述したように他の[[記憶装置]]の普及によって次第に使用局面は減少し、現在はコンピュータ関連にはほとんど使用されていない。
[[1960年代]]に[[コンピューターシステム]]が普及するまでは、「パンチカードシステム」(PCS、Punch card system: 和製英語だという主張もあるようだが、英語圏での使用例もある<ref>https://patents.google.com/patent/US3045905</ref>)が広く使われた。これは
=== 影響 ===
*カード穿孔機(カードパンチ、[[キーパンチ]])
ホレリス(IBM)の「1行 80桁」パンチカードが、コンピュータに与えた影響には以下がある。
*カード分類機(カードソーター)
*[[メインフレーム]]などの大半の設定ファイルや[[JCL]]などは、今も1行80桁が基本である
*カード照合機(カードコレーター)
*[[FORTRAN]]などの言語は、今も1行80桁が基本である
*作表機(タビュレーター)
** 桁数に制限のない言語でも[[プログラミング作法]]として、1行を80桁とする流儀は今でも根強い
などを用いて[[データ処理]]し、データの保存も多くはパンチカードを用いた。
*[[3270]]や[[5250]]などメインフレーム用の表示装置やエミュレータは、今も1行80桁が基本である

*[[IBM PC]]以後の[[パーソナルコンピュータ]]の表示解像度(ピクセル)も、1行80桁が基本である
1960年代以降に[[コンピューターシステム]]が普及し、1970年代以降に[[表示装置]]やパソコンが普及してそれらで代替されるまでは、コンピューターへのデータ入力は
**[[MDA]]はキャラクタ表示で1行80桁
*カード穿孔機
**グラフィックモードでも、[[CGA]]、[[MCGA]]、[[EGA]]、[[VGA]]など(更には[[PC-9801]]や[[FM-R]]など、同時代の[[MS-DOS]]搭載PCの大半)は、全て1行のビット(ピクセル)数が80の倍数である(XGAは1024x768だが、元となった[[8514/A]]は正確には1040x768で、やはり80の倍数であった)
*カード読取機(カードリーダー)
*CMD.EXEや[[xterm]]など[[端末エミュレータ]]の起動時のデフォルトのウィンドウサイズは80桁に合わせたサイズである
を用いて行った。カードリーダーの読取速度は、初期のコンピュータに備え付けられたもので1分間に最大100枚、従来型の「高速」なもので1分間に約1,000枚であった<ref name="sys-prog-1972">{{cite book
*以上の影響でWindowsなどOSの導入画面、[[ブルースクリーン]]などは、1行80桁が基本である
|title=systems programming
|last1=J.DONOVAN
|first1=JOHN
|isbn=0-07-085175-1
|year=1972
|page=351
|date=
|publisher=}}</ref>。


== 脚注 ==
<!--光学的読み取りの話とか、孔1つの間違いで起きた事故とか、いろいろあるようですがその辺りは詳しい方にお願いしたいと思います。(FeZn)-->
{{Reflist|30em}}


== 参考 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite book| last = Fierheller | first = George A. | title = Do not fold, spindle or mutilate: the "hole" story of punched cards | url = http://gfierheller.ca/books/pdf/do_not_fold.pdf | accessdate = 2011-03-30 | publisher = Stewart Pub. | year = 2006 | isbn = 1-894183-86-X}} - 回顧録(一部に誤りがある)。各種ユニットレコード装置の写真や説明がある。
{{Reflist}}
* {{Cite book| last = Murray | first = Francis J. | title = Mathematical Machines Volume 1: Digital Computers | publisher = Columbia University Press | year = 1961}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[計算機の歴史]]
*[[コンピュータ]]
*[[コンピュータ]]
*[[IBM]]
*[[IBM]]
124行目: 217行目:
*[[キーパンチ]]
*[[キーパンチ]]
*[[パンチカードシステム]]
*[[パンチカードシステム]]
*[[ビットバケツ]]
*[[:en:Kimball tag]]
*[[自動改札機]] - 実用化のごく初期に、パンチカードの原理を用いた機種が開発され、[[近畿日本鉄道]]での試行ののち[[阪急電鉄]]で運用されていた。
*[[通行券]] - 初期の[[名神高速道路]]の通行券はパンチカードであり、後に磁気式の通行券が導入されると、[[本線料金所]]で[[検札]]を兼ねて相互に交換していた。


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commons|Category:Punch card}}
{{Commonscat|Punch cards}}
*[http://museum.ipsj.or.jp/computer/device/paper/list.html コンピュータ博物館 - 紙テープ・カード入出力装置](国産メーカー)
*[http://museum.ipsj.or.jp/computer/device/paper/index.html コンピュータ博物館 - 紙テープ・カード入出力装置](日本のメーカー)
*[http://www.fourmilab.ch/documents/univac/cards.html パンチカードギャラリー]IBM 80桁および[[UNIVAC]]90桁カード(英文)
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*[http://www.pattonhq.com/ibm.html IBM Punch Card Systems in the U.S. Army]
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* {{Cite web|url=http://ccat.sas.upenn.edu/slubar/fsm.html|title="Do not fold, spindle or mutilate": A cultural history of the punch card|first=Steve|last=Lubar|date=May 1991|archiveurl=https://web.archive.org/web/20060830162506/http://ccat.sas.upenn.edu/slubar/fsm.html|archivedate=2006-08-30|accessdate=2012-11-15|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}
* {{Cite web| last = Jones | first = Douglas W. | title = Punched Cards | url = https://homepage.divms.uiowa.edu/~jones/cards/ | accessdate = 2006-10-20}} - 様々な印字および角の形状のパンチカードの画像がある。
* {{Cite journal| last = Dyson | first = George | title = The Undead | journal = Wired magazine | volume = 7 | issue = 3 | month = March | year = 1999 | url = https://www.wired.com/wired/archive/7.03/punchcards_pr.html | accessdate = October 2006 }} - 現役でパンチカードを使っている例
* [http://www.kloth.net/services/cardpunch.php パンチカード・エミュレータ]
* {{Cite video| people = [[ブライアン・デ・パルマ|Brian De Palma]] (Director) |date = 1961 | title = 660124: The Story of an IBM Card | url = https://www.imdb.com/title/tt0256580/ | medium = Film}}
*[http://core.kyoto3.jp/hollerith.html ホレリスのパンチカード穿孔機]
*[https://www.youtube.com/watch?v=YXE6HjN8heg Computer Punch Cards - Historical Overview - (Computer History Archives Project)]


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2024年12月22日 (日) 17:44時点における最新版

オルガン用のパンチカード
20世紀に最も広く使われた80欄のパンチカード。寸法は 187.325 mm × 82.55 mm。この例は1964年のEBCDIC文字セットにそれ以前につかわれていた特殊記号を加えて示したものである。

パンチカード英語:Punched card)は、穿孔カードなどともいう、厚手のに穴を開けて、その位置や有無から情報を記録する記録媒体で、以前には鑽孔紙テープとともに多用された。電子式コンピュータ以前のパンチカードシステムの時代から多用されたものであるが、近年はコンピュータ用の主力メディアとしては過去のものとなっている。画像などといった大容量のデータを負担なく扱えるようになる以前には、四角い窓を作ってそこに写真フィルムを張る、といった使い方や、端に切れ込みを入れて串を使った手作業で分類できる edge-notched card(#ハンドソートパンチカードの節を参照)など、紙テープとは違ったカードならではの使い方もある。

現在の使われ方としては、国や地方によっては選挙の投票用であるとか、穴を開けるのではないものの、マークシート用で同一の大きさ・形状・材質のカードが使われていることがある。

歴史

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ジャカード織機用のパンチカード

パンチカードの先祖は織機に由来する。いくつかの先行例はあるが、広く知られている、「厚紙でできた」「定形のカードに」「穴を開けた」ものを利用して、模様を自動的に織り込むようなカラクリが組込まれた完成度の高い自動織機は、19世紀初頭、フランスのジョゼフ・マリー・ジャカールにより作られ、その名が付けられたジャカード織機は、その末裔が今日でも使われている。

機械の制御ではなく、情報の格納手段としてパンチカード状のものを最初に使ったのはセミヨン・コルサコフ英語版とされている。コルサコフは彼の考案した技法と機械を1832年9月に発表し、特許を取得せずに機械を公的な用途に供した[1]

セミヨン・コルサコフのパンチカード

19世紀に「(数値を)計算する機械」の制御にパンチカード状のものを使うことが構想されたものとして、チャールズ・バベッジの「解析機関」がある[2]。バベッジはジャカード織機をヒントにしたとされている。なお、解析機関は完成しなかった。

20世紀にコンピュータ用として多用されたパンチカードそのものの直接の祖先は、19世紀末のアメリカで、ハーマン・ホレリスによるものである。大規模な移民の受け入れにより急激に人口が膨張しつつあったアメリカでは、1880年の国勢調査が1889年になっても集計が完了しないという事態が発生していた(これには、単純な人口の増加だけではなく、集計する項目を増やしたことによる必要な作業量の増大にもよると言われる)。次回の調査を実施する時期に至ってもまだ前回の調査の集計が終わらないというこの困難を、ホレリスは機械の導入により解決することを考察した。当初は鑽孔テープなどを試したが、最終的にパンチカードという形態にたどり着いた[3]。ホレリスが考案した、パンチカードを利用するデータ処理機械であるタビュレーティングマシンは、国勢調査の手作業による集計に比して10倍のスピードを実現したとされる。同時に、1〜9および0の、十進ヒトケタの整数値とアルファベットをパンチカードの穴でエンコードする一種の文字コード(現代の文字コードとは異なり、紙製のカードで利用する前提で設計されている(例えば、全部の桁に穴を開けたりはしない))「ホレリスコード」も考案した。[4]

当時は手書きで記録を取り、それを事務所に持ち帰ってパンチカードに転記するという手間を踏んでおり、かつホレリスの集計機自体も1回1回人間が処理の仕方を設定する必要があるなどの欠点があったが、その圧倒的な処理能力は「驚異のテクノロジー」と賞賛され、政府機関だけではなく様々な分野で使用されていくことになる。多数の顧客情報を処理しなければならない保険会社などでも使われた。後に電気式加算機の計算機構を組み込んでかなりの計算ができる機械が登場し、会計処理だけでなく科学技術計算にも使われるようになった。

ホレリスは1枚のカードに45項目、1項目につき12種類の選択肢の情報が記録できるような仕様を策定した。このカードはサイズを身近な1ドル紙幣と同一にし、普及のために低額で販売したため、事実上の標準となった。そして1896年にこの事業のためにホレリスが興した「タビュレーティング・マシーンズ社」は、幾度かの統合を経て巨大企業IBMの母体となっていく[5]。ホレリスの仕様は、後にIBMによってカードのサイズは同じままでカードの穴を円形から長方形にすることで80項目に拡張された。この仕様、特に「1行 80項目(桁)」は、FORTRANを筆頭としてその後長く受け継がれていくことになる(後述)。

1950年代まで、パンチカードはデータ入力やデータ保管、データ処理の主な手段として使われた(ただし、もっぱら鑽孔紙テープを利用したコンピュータ、あるいはテープを好んだ文化のメーカーもある)。IBMの記録によれば、IBMは1937年にはニューヨーク州エンディコットに32のパンチカード工場を持ち、毎日500万枚から1000万枚のパンチカードを生産していた[6]。パンチカードはアメリカ合衆国連邦政府の小切手[7]や貯蓄債券など法的書類にも使われていた。

以上で述べたようなデータ処理機械の歴史に続いて、Harvard Mark I (1940年代) のような数値計算機械もあらわれ、第二次世界大戦の終わった後、急速に(電子式)コンピュータの発展が進み、数値計算とデータ処理の統合といえる、情報処理(information processing)やコンピューティングと言われるようになった(チューリングやノイマンやシャノンらによる数理的な理論の確立、という背景もある)。

1950年代、UNIVAC I の入出力装置UNITYPERが新たなデータ入力手段として磁気テープを導入した。1960年代には磁気テープを採用するコンピュータが増えていき、パンチカードから高速で書き換えの利く磁気テープへの移行が徐々に進行した。IBMはすぐにUNIVACを追撃し、1960年代には世界一のコンピュータ企業となった。

1965年、Mohawk Data Sciences はキーパンチの代替として直接磁気テープにタイピング内容を記録する磁気テープエンコーダという機器を発売し、ある程度の成功を収めた。それでもパンチカードはデータおよびプログラム入力手段として1980年代中ごろまで使われ続けた。1952年発売のIBM初の商用コンピュータIBM 701や、大ヒットとなったSystem/360のデータ入力の基本は80長方形の穴のパンチカードである。またUNIVACなどのコンピュータでは丸穴の90桁のカードが使われた。

元々機械的な装置だった時代にアウトラインが決まったものであるため比較的大きく、トランジスタ化などコンピュータの進歩に合わせ小型化したものも試作されたりしているが、既にデファクトスタンダードとして普及してしまったものを置き換えるには至らなかった。

またプログラミングなどの際には、穿孔してしまうので現代のテキストエディタのような文字単位の編集は後から一切できないという欠点から、一般に鉛筆などを用いて別の紙[8]、あるいはカードの上辺の間隔が空く位置に書き込んでおき、あとでまとめてパンチしていた(なお、コンピュータ時代のパンチ機械には、穿孔と同時に印字されるといったものも多い)。大規模な組織などでは、プログラマとは別にキーパンチャー(単にパンチャーとも)という専門職によってプログラム用のカードもパンチされるなど分業されていることもあった。

パンチカードの利点は、行単位の編集が容易であるということがある。プログラムの1行がパンチカードの1枚になるため、内容を修正したい場合は、修正行に相当するカードを差し替えるだけでよい。また、ブロック単位に移動する場合もカードを入れ替えるだけで済む。これは紙テープでは物理的な切り貼りを行う必要があることを考えると、非常に効率的と言える。一方で行単位ではない編集は極端に苦手であり、むしろ紙テープの物理的な切り貼りのほうが有利と言える。プログラマによっては、全く同じ内容になるような行が現れるように工夫し、「ソースコードの再利用」を実際のパンチカードの再利用として行っていた者もいた。

また、当時ありがちだった事象として、パンチカードの束(デック)を、落とすなどしたはずみでバラバラに散らしてしまい、順序がわからなくなってしまうと並べ直すのが大変、というものがあった。通し番号が打たれているなどすればなんとかなるが、さもなくば入力し直した方が早いなどとも言われた。当時の写真などで、カードデック上部に斜線を引いたりしたものがあるのは、並べ直しを簡単にするための工夫である。

1970年代から1980年代にかけて、磁気ディスク端末が低価格化し、安価なミニコンピュータが普及したため、パンチカードはコンピュータへのデータ入力手段としての役目をほぼ終えた[9]。また、そもそもミニコンピュータはメインフレームとは違う文化圏を形成し、その文化圏では紙テープのほうが好まれた、といった側面もある。それでも、多くの業界標準規格やファイルフォーマットにパンチカードの影響が残っている。パンチカードの代替となった IBM 3270 などの端末は、既存のソフトウェアとの互換性を考慮して一行の表示文字数をパンチカードと同じ80文字とした。グラフィカルユーザインタフェースは可変幅のフォントも表示可能だが、1行80文字を前提としたプログラムは今もある。

ごく簡単な読取機が作れる紙テープとは違い、比較するとかなり大袈裟な機構が必要なパンチカードは、1970年代の「マイコン革命」(en:Microcomputer revolution)においては完全に「旧勢力の遺跡」であり、その後のパーソナルコンピュータの誕生と普及によって、絶対数としては大きく減ったわけではないのだが相対的には圧倒的少数となったメインフレームと共に、少数派の存在となった。

2000年代頃より宿泊施設のカード型キーとして使われている所もある。穴を穿った厚めの紙をスリットに挿れ、その穴のパターンを読み取りロックを操作する。チェックアウトの際にそのパターンは無効となり、次のチェックインに新しいパターンが充てられる。

影響

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ホレリス(IBM)の80欄パンチカードが、コンピュータに与えた影響には以下がある。

  • メインフレームなどの大半の設定ファイルやJCLなどは、今(2014年)も1行80桁が基本である
  • FORTRANなどの言語は、今(2014年)も1行80桁が基本である
    • 桁数に制限のない言語でもプログラミング作法として、1行を80桁とする流儀は今(2014年)でも根強い
  • 32705250などメインフレーム用の表示装置やエミュレータは、今も1行80桁が基本である
  • IBM PC以後のパーソナルコンピュータの表示解像度(ピクセル)も、1行80桁が基本である
    • MDAはキャラクタ表示で1行80桁
    • グラフィックモードでも、CGAMCGAEGAVGAなど(更にはPC-9801FM-Rなど、同時代のMS-DOS搭載PCの大半)は、全て1行のビット(ピクセル)数が80の倍数である(XGAは1024x768だが、元となった8514/Aは正確には1040x768で、やはり80の倍数であった)
    • ただし、パーソナルコンピュータの表示については、モニターに家庭用テレビを流用する設計としていた機種における、家庭用テレビの性能にもとづく仕様(40文字のものがあった)に由来する部分もあるので、パンチカードの80桁からの由来が全てではない
  • CMD.EXEやxtermなど端末エミュレータの起動時のデフォルトのウィンドウサイズは80桁に合わせたサイズである
  • また、モニターディスプレイのデフォルトの状態のコンソール(で表示されるブルースクリーンなどの画面)なども、1行80桁が基本である(ことが多い)

投開票への使用

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世界的に、大規模な選挙においては記号式投票が一般的であるため、その一手段としてパンチカードが投開票に使用されることもある。アメリカ合衆国大統領選挙では1964年から採用する州や郡がある。1996年の時点では、登録有権者数において37.3%の地区でパンチカード式投票を採用していた[10]。これは有権者がパンチカードに孔を穿つ方式だが、穿孔装置を押す力が弱い場合などに「穿孔くず」が残るなどして、誤った読み取りや、それに基づく問題を生んだ。2000年のアメリカ大統領選挙では再集計の度に集計結果が異なり、以前からあったこのシステムへの疑義が改めて提示されることとなった。

(この場合の)パンチカードは不完全なデジタル情報を記録するものであり、「孔が空いている」「空いていない」を人間が判断する必要が生じたことなどが、その原因の一つとして挙げられている。また、穿孔くずによって機械が止まり、それによって無効票が多数出るなどの問題も発生した。

ハンドソートパンチカード

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これは、手操作により簡単に扱えるカードとして、事務用や調査データの処理用に以前は盛んに用いられたものである。英語では edge-notched card(en:Edge-notched card)という(日本では、日本パンチカード工業(株)が、『ハンドソートパンチカード』という名前で製造販売していた[11])。カードの周囲に多数の孔を開けたもので、特定の孔の部分を切符の改札のように切り取ることで情報を記録し、孔に棒を通して引き上げると、そこが切られたカードだけが振り落とされる、というものである(ここで使われている「ソート」の語は広義の用法で、数値的に昇順or降順に並べるという意味より広く、分類する、といったような意味である)。自然数の値を二進法で表現し、基数ソートによって数値的にソートすることもできる。

呼称

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パンチカードは、IBMカードホレリスカードとも呼ばれた。IBM自身は、文書で言及する際は最初に「IBMカード」[12]あるいは「パンチカード」と呼び、その後は単に「カード」と呼んでいた[13]。穴を開ける前のカードを "punched card" と呼ぶのは矛盾しているため、「タビュレーティングカード」あるいは「タブカード」という呼称も用いられていた[14]

フォーマット

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当初、用途ごとにデザインされたカードレイアウトが使われていた。パンチカードとそれを扱う機械が標準化されるのは1928年ごろのことである。長方形、円形、楕円形などの穿孔くずはチャド (chad) またはチップ(chip、IBMの用語)と呼ばれる。複数文字からなるデータや大きな数はカード内の連続する欄をフィールドとして格納される。一連のカードの集まりをデックまたはデッキ (deck) と呼ぶ。カードの上辺の左右どちらかの端を斜めに切るのが一般的で、それによってデック内のカード順序の間違いや反対側の端が切られた別のデックのカードが混じっている場合などを容易に検出できるようにしていた。カードには穴の位置が判別できるような印刷がされているのが一般的である。特定用途用に縦の線を印刷することでフィールドを区切ったり、フィールド名を印刷したカードも存在した[15]

ホレリスによるもの

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ホレリスカード(出典: Railroad Gazette,1895)[16]

ハーマン・ホレリスは、機械式タビュレーティングマシンの一連の特許[17]を1889年に取得した。それらの特許では、記録媒体として紙テープと長方形のカードの両方を記述している。アメリカ合衆国特許第 395,781号 で示しているカードはテンプレートが予め印刷されていて、穴は辺に沿って開けることになっており、車掌が使っていた改札鋏を穿孔に使うことを想定していた。カードの中央部分は文字などの書き込み用とされていた。そもそもホレリスは、車掌が切符の端に鋏を入れる位置で乗客を大まかに分類していたことから、この方式を思いついた。

私は西部に旅したとき、たしか punch photograph と呼ばれる切符を持っていた。車掌は乗客の明るい頭髪、黒い瞳、大きな鼻といった特徴に応じて切符の所定の位置に入鋏していた。見ての通り、私がやったのは punch photograph を全員ぶん作っただけのことだ [18]

改札鋏を使う方法は単調で間違いやすかったので、ホレリスはカード全体を穿孔領域とし、パンタグラフ型のキーパンチ(穿孔器具)を発明した。また同時にカードにテンプレートを印刷するのをやめ、パンチ機側にマスターテンプレートを装備し、人間がそれを見てパンチ位置を決定できるようにした。ホレリスはいくつかのカードサイズを検討した。1890年の国勢調査の集計に対してホレリスが提案したシステムでは、「一般的なあらゆる用途に対応できる」ものとして3インチ×5.5インチのマニラアサの繊維で作った紙を示唆している[19]

1890年の国勢調査で使われたカードは丸い穴を開けるもので、24欄12行の構成だった。このカードを使用する装置などの情報は、コロンビア大学のコンピュータ史についてのサイトにある[20]。ある時点から3.25×7.375インチ (82.550×187.325mm) が標準カードサイズとなった。これは当時の1ドル紙幣より若干大きく(1ドル紙幣が2014年現在の大きさになったのは1929年から)、コロンビア大学のサイトによれば、紙幣運搬用の箱にぴったり収まるようにこの大きさにしたのだという。

ホレリスの当初のシステムでは、用途によって場当たり的な符号化システムを採用していた。つまり、いくつかの穴が特定の意味、例えば性別や既婚か未婚かなどを表すようにしていた。当時のタビュレーティングマシンには最大40個のカウンタがあり、それぞれに1周で100までを表せるダイヤルが対応していて、2つ1組で、一方のダイヤルがカウントアップして一周したらもう一方のダイヤルが1目盛りだけカウントアップするようになっていた。それによって10,000までのカウントが可能である。集計作業に際しては、個々のカウンタが特定の穴の位置に対応付けられている。ホレリスはまた、リレー回路を使った穴の組合せのカウントも可能にしており、例えば既婚の女性のみをカウントするといったことが可能だった[19]

その後符号化が標準化され、12行のうち下の10行を数字の0から9に対応させた。これにより連続する複数欄を使って大きな数値を表現できるようになり、単なるカウント以上のことが可能となった。Comrieの The application of the Hollerith Tabulating Machine to Brown's Tables of the Moon にはホレリスの45欄カードのイラストがある[21][22]

IBMの80欄カードと文字コード

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IBMの80欄カード。FORTRANプログラムの1行 "Z(1) = Y + W(1)" がパンチされている。

1928年、IBMは縦長の長方形の穴を採用し、80欄で各欄に12のパンチ位置があり、1欄(コラム)で1文字を表す形式のカードを設計した[23]。寸法は 187.325 mm × 82.55 mm(7+38×3+14インチ)である。材質は厚さ178μm(0.007インチ)の滑らかな紙である。重ねると、143枚で1インチの厚さ(約56枚で1cm)となる。1964年、IBMは四隅を丸めた形に変更した[24]。通常、2000枚が箱に収められた形か[25]連続帳票形式で販売された。連続帳票型のカードは、事前に番号とそれに対応する穴を開けた状態で販売されており、例えば小切手など厳密な文書管理が必要な用途に使われた[26]

1つの欄には数字の0から9に対応する部分と、カード上方のY-X-0ゾーン(12-11-0ゾーンとも呼ばれた)がある。数値のみを格納するだけなら各欄に1つだけ穴を開ければよい。数値の正負の符号は、最下位桁のY-Xゾーンで表し、正ならY、負ならXをパンチする。Y-Xゾーンは他にもマスターレコードであることを示すなど、様々な意味で使われた[27]。カードの最上端にパンチ内容に対応した文字も印刷できる。また、81番目の爛もあり、これはプログラムなどの複雑なカードをカード穿孔機・カード読取機が処理する場合に、穿孔・読取誤り防止用のチェックディジットとして使われた。

     ______________________________________________
    /&-0123456789ABCDEFGHIJKLMNOPQR/STUVWXYZ
 Y / x           xxxxxxxxx
 X|   x                   xxxxxxxxx
 0|    x                           xxxxxxxxx
 1|     x        x        x        x
 2|      x        x        x        x
 3|       x        x        x        x
 4|        x        x        x        x
 5|         x        x        x        x
 6|          x        x        x        x
 7|           x        x        x        x
 8|            x        x        x        x
 9|             x        x        x        x
  |________________________________________________

IBM以外の業者が製造した5081型のカード。四隅が磨り減っている。

その後、1欄に複数の穴を開けることで英大文字と特殊記号を表現するようになった[28]。英字は2カ所に穴を開け(Y-X-0ゾーンと数字1-9)、特殊記号は3カ所に穴を開ける(Y-X-0ゾーンと数字2-7と数字8)。一部の特殊記号は1穴または2穴で表される(EBCDICの "&" は12(Y)のみ、"-" は11(X)のみ、"/" は 0 + 1)。これにより、ゾーン [12, 11] と数字 [1-9] の組合せが何を表しているかはその欄の使いかたに依存するようになった。例えば、"12-1" という組合せは英字があるはずの欄では "A" を表し、符号付き数値があるはずの欄では正の符号つきの数字 "1" を表し、符号がないはずの位置の数字 "1" なら "12" は別の何らかの意味を持つ。EBCDICは1964年に導入され、最大6箇所に穴を開けるようになった(ゾーン [12,11,0,8,9] + 数字 [1-7])。IBMや他の製造業者は80欄カードに様々な文字コードを採用した[29][27]。1969年のANSI規格では128種類の文字のパンチカード上のコードを定義しており、ホレリスコードHollerith Punched Card Code または Hollerith Card Code)と呼ばれる[30]

バイナリコードのパンチカード

用途によってはバイナリ形式が使われ、それぞれの穴が1つのバイナリディジット(ビット)を表し、各欄(列)が単なるビットフィールドとして扱われ、任意の組合せで穴を開けられる。例えば704/709/7090/7094シリーズ科学技術コンピュータで使われた IBM 711 カード読取装置は欄(列)ではなく1行を36ビットワードを2つ格納したものと解釈した(72欄を使用し、8欄は無視する。無視する8欄をどこにするかは読取装置のプラグボードで変更可能だが、通常右端の8欄を無視する)。この無視される8欄(通常、73-80)をシーケンス番号を入れるのに使うことがあり、カードデックを落としたときなどにソートするのに使った。IBM 1130System/360といったコンピュータでは全ての欄を使った。IBM 1402 カード読取/穿孔装置では、縦の1欄に2文字を格納するコラムバイナリというモードを使い、3欄(3行)で36ビットワードを表した。しかし、多くの古い穿孔装置は1欄に3穴までしか穿孔できず、バイナリカードを作ることはできなかった。

1970年代に作られた lace card

バイナリモードの冗談として、全部の位置に穴を開けたカードを作ることもでき、それを "lace card" と呼んだ。そのようなカードはカードとしての強度が足りず、機械の中で曲がったり詰まったりする。

80欄のカード形式は市場をほぼ独占し、他の業者も生産していたがIBMカードと呼ばれていた。

最もよく使われたのは IBM 5081 というフィールド分割されていない汎用のパンチカードである。その品番と形式は US Government Standard Form 5081 として採用され、他社もその番号を品名に採用していた。そのためユーザーにもその品番が知られていた。

マークセンスカード

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IBMのレナルド・B・ジョンソン英語版が開発したマークセンスカードは、マークシートの楕円形のマークが印刷されたパンチカードで、導電性の特殊な鉛筆でマークを記入できるようになっていた(当時は光学式マーク認識ではなく、マーク部分に導電性があるかどうかで判別していた)。一般に何らかの初期情報がパンチされた状態でマークを記入する。例えば品名や品番をパンチしておき、棚卸し作業で在庫数をマークする。マークの読み取りも可能なカード穿孔装置に読み込ませると、マークした情報がその上にパンチされる。

アパチュアカード

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アパチュアカード

アパチュアカードは、カードの右側に四角い大きめの穴が空いているパンチカードである。その穴に35mmのマイクロフィルムをはめ込む。例えば各種設計図の保管に使用された。パンチカード部分には図面の番号などをパンチしておく。完全なデジタル形式で保管するより便利な面もある[31]

IBM ポータパンチ

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IBMポータパンチ

1958年、IBMのサプライ品部門が発売したポータパンチ (Port-A-Punch) は、専用の印刷がされたIBM製パンチカードに人手で正確にパンチできる器具である。ポケットに入る大きさであり、どこでもパンチカードを作ることができる。棚卸し、伝票作成、統計調査などの現場で直接パンチカードに記録することを意図したもので、文書を作って別途キーパンチで入力するという手間を省くものである[32]。しかし、きちんと貫通しないことがあり、読み取り時に問題を発生することがあった。

IBMの96欄カード

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IBMのSystem/3用96欄カード

IBMは1970年代に、中小型コンピューターシリーズのSystem/3用に新しく96欄カード(丸穴)を発表した[33]。IBM 5496 Data Recorder で穿孔と印字と確認ができ、IBM 5486 Card Sorter でソートできる。

カードに開ける丸穴は直径1mmと紙テープの穴より小さい。BCD文字(6ビット)とEBCDIC文字(8ビット)のビット構成をそのままパンチする(バイナリ方式)。BCDの場合は1段32欄で3段という形で使用し、1欄で1文字を表す。EBCDICの場合はBCDでの3段目のうち2行を1段目の6穴に加えて8ビットを表し、別の2行を2段目に加えて8ビットとしている。つまり、EBCDICでは64文字までしか表せない[34][35]

IBM96欄カードが広まるのに連れて、System/370系のコンピューターでもIBM 5425多機能カード装置(読取り・穿孔・印字・コレート)などによっても処理できるようになった[36]

UNIVACの90欄カード

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UNIVACの90欄カード(MIT博物館)。丸穴のパンチがされた。

レミントンランドは当初、ホレリスと同じ45欄の丸穴のパンチカードを採用していた。1928年にIBMが80欄カードを導入したことを受け、レミントンランドは1930年に45欄を上下2段に分けてそれぞれ1文字を表せるようにした[35]。これを一般に90欄カードと呼ぶ[37]。使用している文字コードは6ビットのバイナリコードである[38]

これも日本を含めて世界的に使われた。例えば、アメリカ合衆国ではニュージャージー・ターンパイク[39]、日本では名神高速道路で、UNIVACの90欄カードが料金支払い用に各ドライバーに渡されていた時期があった。

IBMによる生産

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パンチカードの印刷版

IBMのフレッド・M・キャロル[40]は、標準的なパンチカードを製造する一連の輪転印刷機を開発した。1921年の機種は毎分400枚のカードを生産できた。1936年には全く新たな方式で毎分800枚を生産できる機種を開発した[6][14]。キャロルのカード用輪転印刷機は、パンチカード製造に革命を起こした[41]。1930年から1950年まで、キャロルの印刷機はIBM全体の利益の25%を生み出していた[42]

カード印刷機で使われていた印刷版はIBMのカードを丸めて円筒形にしたのと同じ大きさで、廃棄されたものはペン立てに使われたりしていた。様々なレイアウトの版があるので[43]、コレクションの対象にもなっている。

IBMのマシンは顧客が買い取るのではなくリースするのが一般的だったため、IBMは当初純正カードのみを使うよう顧客に要求していた。IBMは事業をサービス業と認識しており、カードもマシンの一部だった。この件で1932年、アメリカ連邦政府がIBMを法的に訴えた。最高裁まで争ったが、IBMは敗訴。判決により、IBMはカードの仕様を指定することしかできないとされた。1955年にも同様の裁判があり、1962年までにIBMのパンチカード生産量をアメリカ全体の半分以下にするという和解がなされた。トーマス・J・ワトソンはパンチカード供給がIBMの最重要事業だと考えていたが、この和解にトーマス・J・ワトソン・ジュニアがサインすることで、IBMが新たな時代に入ったといえる[42]

文化的影響

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1959年のアメリカ連邦政府の記録保管所の様子。それぞれの箱に2000枚のパンチカードが入っている。

パンチカードが広く使われた期間はヒトの一世代にも満たないが、その影響は大きく、ポップカルチャーでもしばしば言及されている。次のような例がある。

  • 芸術家で建築家のマヤ・リンは2004年、オハイオ大学に "Input" と名付けたパブリックアートをデザインした。これは上空から見るとパンチカードのように見える[44]
  • ウィスコンシン大学マディソン校Engineering Research Building は1966年に建設された建物で、窓の配置がパンチカードのように見えるようデザインされている。
  • ザ・シンプソンズMuch Apu About Nothing というエピソードで、アプーがバートに博士論文を見せるのだが、それは世界初のコンピュータ上の三目並べであり、箱いっぱいのパンチカードだった。
  • フューチュラマMother's Day というエピソードで、ロボット達が 'Hey hey! Hey ho! 100110!' と抗議の声を上げ、徴兵カードを燃やすようにパンチカードを燃やすシーンがある。Put Your Head on My Shoulders というエピソードではベンダー(ロボット)が恋人紹介サービスを始め、登場人物達にパンチカードを渡して希望を記入させ、それを自分の胸に放り込んで「計算」するというシーンがあるが、計算と称してパンチカードを折りたたみ (fold)、曲げ (bend)、切断 (mutilate) する。
  • 1964年から1965年にかけて発生した Free Speech Movement において、パンチカードはシステム(登録システムや官僚システム)の象徴、疎外の象徴、情報機械の象徴とされ、攻撃の象徴的対象とされた[45]
  • 筒井康隆の『脱走と追跡のサンバ』には、人間がコンピュータの中に、「カードになって、ここに記憶されている」といった表現が出てくる[46]

規格

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  • ANSI INCITS 21-1967 (R2002), Rectangular Holes in Twelve-Row Punched Cards (formerly ANSI X3.21-1967 (R1997)) 1欄に12カ所の穴を開ける位置のあるパンチカードについて、穴を開ける位置と穴の寸法を指定している。
  • ANSI X3.11 – 1990 American National Standard Specifications for General Purpose Paper Cards for Information Processing
  • ANSI X3.26 – 1980/R1991) Hollerith Punched Card Code
  • ISO 1681:1973 Information processing – Unpunched paper cards – Specification
  • ISO 6586:1980 Data processing – Implementation of the ISO 7- bit and 8- bit coded character sets on punched cards. ISOの7ビットおよび8ビットの文字セットをパンチカード上でどう表すかを定義している。ホレリスコードからの派生であり、互換性がある。

扱う機器

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1960年代コンピューターシステムが普及するまでは、「パンチカードシステム」(PCS、Punch card system: 和製英語だという主張もあるようだが、英語圏での使用例もある[47])が広く使われた。これは

  • カード穿孔機(カードパンチ、キーパンチ
  • カード分類機(カードソーター)
  • カード照合機(カードコレーター)
  • 作表機(タビュレーター)

などを用いてデータ処理し、データの保存も多くはパンチカードを用いた。

1960年代以降にコンピューターシステムが普及し、1970年代以降に表示装置やパソコンが普及してそれらで代替されるまでは、コンピューターへのデータ入力は

  • カード穿孔機
  • カード読取機(カードリーダー)

を用いて行った。カードリーダーの読取速度は、初期のコンピュータに備え付けられたもので1分間に最大100枚、従来型の「高速」なもので1分間に約1,000枚であった[48]

脚注

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  1. ^ Korsakov's "Intellectual machines"
  2. ^ 階差機関」ではない
  3. ^ Columbia University Computing History – Herman Hollerith
  4. ^ 直接の関係は無いが、古いFORTRANのソースコード中では、現代のプログラミング言語では "ABC" と書くような文字列を 3HABC のように「(文字数)H……」のように書いたのだが、この H はホレリスにちなんだものだとされており、Hollerith string literal という通称がある。
  5. ^ History of the punch card
  6. ^ a b IBM Archive: Endicott card manufacturing
  7. ^ Lubar, Steven (1993). InfoCulture: The Smithsonian Book of Information Age Inventions. Houghton Mifflin. p. 302. ISBN 0-395-57042-5 
  8. ^ いわゆる「コーディング用紙」は、元々はプログラミング言語以前の時代に発生したものだが、この時代にこの目的などで多用されたものであった。
  9. ^ Aspray (ed.), W. (1990). Computing before Computers. Iowa State University Press. p. 151. ISBN 0-8138-0047-1 
  10. ^ Punchcards アメリカ合衆国連邦選挙委員会 2011年10月6日閲覧
  11. ^ http://www.npc-web.co.jp/ にある「当サイトからのごあいさつ」を参照。現在製造終了。
  12. ^ "An important function in IBM Accounting is the automatic preparation of IBM cards." IBM 519 Principles of Operation, Form 22-3292-5, 1946
  13. ^ "The IBM 1402 Card Read-Punch provides the system with simultaneous punched-card input and output. This unit has two card feeds." Reference Manual 1401 Data Processing System, Form A24-1403-4, 1961
  14. ^ a b IBM Archives: Fred M. Carroll
  15. ^ IBM (1956). The Design of IBM Cards. 22-5526-4. オリジナルの2010年8月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100809095427/http://www.bitsavers.org/pdf/ibm/cardProc/22-5526-4_The_Design_of_IBM_Cards_Mar56.pdf 
  16. ^ Railroad Gazette, April 19, 1895
  17. ^ アメリカ合衆国特許第 395,781号, アメリカ合衆国特許第 395,782号, アメリカ合衆国特許第 395,783号
  18. ^ History.rochester.edu Archived 2010年6月14日, at the Wayback Machine.
  19. ^ a b [-245-] An Electric Tabulating System, The Quarterly, Columbia University School of Mines, Vol.X No.16 (April 1889)
  20. ^ Columbia University Computing History: Hollerith 1890 Census Tabulator
  21. ^ Plates from: Comrie, L.J. (1932). “The application of the Hollerith Tabulating Machine to Brown's Tables of the Moon”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 92 (7): 694–707. Bibcode1932MNRAS..92..694C. http://www.columbia.edu/cu/computinghistory/mnras.html. 
  22. ^ Comrie, L.J. (1932). “The application of the Hollerith tabulating machine to Brown's tables of the moon”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 92 (7): 694–707. Bibcode1932MNRAS..92..694C. https://articles.adsabs.harvard.edu/full/seri/MNRAS/0092//0000694.000.html 2009年4月17日閲覧。. 
  23. ^ IBM Archive: 1928.
  24. ^ IBM Archive: Old/New-Cards.
  25. ^ p. 405, "How Computational Chemistry Became Important in the Pharmaceutical Industry", Donald B. Boyd, chapter 7 in Reviews in Computational Chemistry, Volume 23, edited by Kenny B. Lipkowitz, Thomas R. Cundari and Donald B. Boyd, Wiley, 2007, ISBN 978-0-470-08201-0.
  26. ^ IBM (1953). Principles of IBM Accounting. 224-5527-2 
  27. ^ a b Jones, Douglas W.. “Punched Card Codes”. 2007年2月20日閲覧。
  28. ^ 特殊記号は英数字以外の文字で、例えば "&#,$.-/@%*?" など
  29. ^ Winter, Dik T.. “80-column Punched Card Codes”. 2007年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。
  30. ^ Mackenzie, C.E. (1980). Coded Character Sets, History and Development, Addison-Wesley, page 7
  31. ^ LoTurco, Ed (January 2004) (PDF). The Engineering Aperture Card: Still Active, Still Vital. EDM Consultants. オリジナルの2007年11月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071128162738/http://www.aiimne.org/library/LoTurcoWhitePaper1.pdf 2007年10月10日閲覧。. 
  32. ^ IBM Archive: Port-A-Punch
  33. ^ IBM Field Engineering Announcement: IBM System/3
  34. ^ Winter, Dik T. “96-column Punched Card Code”. 2007年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。
  35. ^ a b The Punched card
  36. ^ IBM System/370 System Summary: GA22-7001-4 (p. 7-51, Dec. 1975)
  37. ^ Aspray (ed.), W. (1990). Computing before Computers. Iowa State University Press. p. 142. ISBN 0-8138-0047-1 
  38. ^ Winter, Dik T.. “90-column Punched Card Code”. 2005年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月6日閲覧。
  39. ^ Punch Card Gallery
  40. ^ IBM Archives/Business Machines: Fred M. Carroll
  41. ^ IBM Archives: (IBM) Carroll Press
  42. ^ a b Belden, Thomas; Belden, Marva (1962). The Lengthening Shadow: The Life of Thomas J. Watson. Little, Brown & Company 
  43. ^ IBM Archives:1939 Layout department
  44. ^ Mayalin.com
  45. ^ Lubar, Steven. “Do Not Fold, Spindle Or Mutilate: A Cultural History Of The Punch Card”. Journal of American Culture 1992 (Winter). http://design.osu.edu/carlson/history/PDFs/lubar-hollerith.pdf 2011年6月12日閲覧。. 
  46. ^ 角川文庫昭和49年版 p. 99
  47. ^ https://patents.google.com/patent/US3045905
  48. ^ J.DONOVAN, JOHN (1972). systems programming. p. 351. ISBN 0-07-085175-1 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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この記事は2008年11月1日以前にFree On-line Dictionary of Computingから取得した項目の資料を元に、GFDL バージョン1.3以降の「RELICENSING」(再ライセンス) 条件に基づいて組み込まれている。