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「噴火」の版間の差分

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火山2006年1月28日 (土) 17:35の版より「噴火の形」を分割、「噴火の場所」を転記(authors:Miya.m,Los688他)
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==噴火の形==
[[Image:MountRedoubtEruption.jpg|thumb|right|アラスカの火山爆発]]

=== 噴出物の成分による影響 ===
火山の噴火の形は、噴出するマグマの流動性や揮発物成分の量によって大きく変わる。揮発成分の量はマグマの噴出力を左右し、揮発分が多いほど火山灰や溶岩を高く吹き上げる大きな爆発となる。
#流動性が高く揮発物成分が少ない場合:ハワイ火山の噴火のように静かに溶岩流が流れつづける。
#流動性が高く揮発物成分が多い場合:前回の[[三原山]]([[伊豆大島]])噴火の初期のように、溶岩がカーテンのように高く幅広く噴出する。
#流動性が低く揮発物成分が少ない場合:昭和新山の噴火のように、大きな爆発や溶岩流出は無く溶岩円頂丘が形成される。
#流動性が低く揮発物成分が多い場合:浅間山や桜島のような爆発的な噴火になる。
なお1回の噴火は、短時間で終わる場合もあれば数ヶ月以上続く場合もある。長期間の噴火では、時間の経過と共に噴火の様式が変わることがある。始めのうちは揮発成分が多く溶岩や火山灰を高く吹き上げていても、途中から揮発成分が減り[[火山灰]]を吹き上げることができなくなり、ガスと溶岩の破片の混合物が火口から斜面を流れ下る([[火砕流]])。噴火の後半には揮発成分が抜けてしまい溶岩を流出させて終わる。浅間山の天明の大噴火の例を示す。
*大量の火山灰を空高く噴出→揮発成分が減り地上を火砕流が襲う(鎌原火砕流)→溶岩を流出(鬼押し出し)

=== 噴出物の量による影響 ===
成分の影響以外に噴出物の量や噴出速度によって、噴火の形体や被害の大きさが激しく異なる。極端な例を2例挙げる。

*'''ラカギガル割れ目噴火''':2の条件で1回の噴出量が桁違いに大きい場合、噴出されたガスが地球を覆い異常気象による不作などを引き起こす。1783年アイスランドのラキ火山の噴火(ラカギガル割れ目噴火)の場合、噴火した火口列は25kmの長さに及び大量の溶岩を噴出したが人里から離れていたので溶岩による被害は軽微。しかしおびただしい量の有毒な火山ガスが放出されアイスランドの家畜の50%、人口の20%が失われた。また成層圏まで上昇した霧は地球の北半分を覆い、地上に達する日射量を減少させ低温化を生起した。日本では東北地方で膨大な数の餓死者を出した[[天明の大飢饉]]を引き起こした。
*'''阿蘇カルデラや姶良カルデラの噴火''':4の条件で1回の噴出量が桁違いに大きい場合、阿蘇カルデラや姶良カルデラ(桜島北側の錦江湾全体)の噴火のように、1回の噴火で数mから100m以上の厚さの火山灰が九州の半分以上を覆い、巨大な[[カルデラ]]が形成される。この状況を現在にシミュレーションしたのがベストセラー『死都日本』(関連図書参照)。

=== 火山噴火のタイプ ===
[[Image:Volcano q.jpg|thumb|200px|right|火山噴火]]
上記のように噴火は様々な条件下で種々の形をとる。火山学者はこれを代表的なタイプに分類し、命名している。
;'''[[洪水玄武岩]]'''
:数千万年に1回程度発生する。地表が大規模に割れ大量の溶岩が短期間に地表に供給される。例えば[[インド]]の[[デカン高原]]の玄武岩面積は日本全土の約1.5倍に相当する。発生原因について、最近[[プルームテクトニクス]]で議論されている。

;'''ハワイ式噴火'''
:流動性が高く揮発性が少ない噴火に相当。爆発は起こらず、液体状の溶岩を大量に高速で流出する。ハワイの火山の噴火形式。

;'''ストロンボリ式噴火'''
:[[イタリア]]の[[ストロンボリ島]]ストロンボリ火山の噴火形式。ハワイ式より少し流動性の低いマグマが間歇的に小爆発を繰り返し、[[火山弾]]を放出する。液体状の溶岩流が見られる。
[[Image:Stromboli Eruption.jpg|thumb|200px|right|ストロンボリ火山 (イタリア)]]

;'''ブルカノ式噴火'''
:ストロンボリに近いブルカノ火山の噴火形式。流動性が低く揮発成分が多い場合に相当。桜島や浅間山の通常の噴火に相当。爆発に伴って火山灰、火山礫、火山岩塊を大量に噴出する。溶岩流は、半ば固化した塊状溶岩(ブロックラバー)となって速度は遅い。

;'''プリニー式噴火'''
:[[ローマ時代]]の[[ポンペイ]]を埋めた[[79年|西暦79年]]の[[ヴェスヴィオ火山]]の噴火の形式。この噴火を詳細に観察し後世に記録を残した[[プリニウス]]にちなんでプリニー式と命名された。基本的にはブルカノ式の大規模なもので、火山灰は成層圏に達し、しばしば大規模な[[火砕流]]を生起し広範囲に被害を及ぼす。

;'''ウルトラブルカノ式噴火'''
:高温マグマが直接関与しない大規模な[[水蒸気爆発]]。

==噴火の場所==
火山は噴出する場所、特に水の存在によって噴火の形が大きく変わる。
#海底深くで火山が噴火した場合、高い水圧で爆発は起こらず、水で急冷された溶岩は特徴的な枕状溶岩となる。
#水面近くの噴火や、マグマが地下の浅い所で地下水と出あった時は、水が瞬時に沸騰し爆発的な[[マグマ水蒸気爆発]]を起こす。
#巨大な氷河の下で火山が噴火した場合 1 と同様な形態となるが、噴火の規模が大きく氷床を解かしてしまった場合、大規模な洪水を伴う場合がある。([[アイスランド]]の火山)

2006年1月28日 (土) 23:53時点における版

ストロンボリ式噴火

噴火(ふんか)とは、火山からマグマなどが噴き出すこと。火山活動の一つでマグマの性質によって規模や形態にさまざまなものがある。気象庁では、火口から固形物が水平あるいは垂直距離でおよそ100~300mの範囲を越したものを「噴火」として記録することになっている。

種類

噴火はマグマの粘度などによって噴火のしかたが違う。

  • ハワイ式噴火
  • アイスランド式噴火
  • ブルカノ式噴火
  • ストロンボリ式噴火
  • プリニー式噴火

記録に残る噴火

日本


噴火の形

アラスカの火山爆発

噴出物の成分による影響

火山の噴火の形は、噴出するマグマの流動性や揮発物成分の量によって大きく変わる。揮発成分の量はマグマの噴出力を左右し、揮発分が多いほど火山灰や溶岩を高く吹き上げる大きな爆発となる。

  1. 流動性が高く揮発物成分が少ない場合:ハワイ火山の噴火のように静かに溶岩流が流れつづける。
  2. 流動性が高く揮発物成分が多い場合:前回の三原山伊豆大島)噴火の初期のように、溶岩がカーテンのように高く幅広く噴出する。
  3. 流動性が低く揮発物成分が少ない場合:昭和新山の噴火のように、大きな爆発や溶岩流出は無く溶岩円頂丘が形成される。
  4. 流動性が低く揮発物成分が多い場合:浅間山や桜島のような爆発的な噴火になる。

なお1回の噴火は、短時間で終わる場合もあれば数ヶ月以上続く場合もある。長期間の噴火では、時間の経過と共に噴火の様式が変わることがある。始めのうちは揮発成分が多く溶岩や火山灰を高く吹き上げていても、途中から揮発成分が減り火山灰を吹き上げることができなくなり、ガスと溶岩の破片の混合物が火口から斜面を流れ下る(火砕流)。噴火の後半には揮発成分が抜けてしまい溶岩を流出させて終わる。浅間山の天明の大噴火の例を示す。

  • 大量の火山灰を空高く噴出→揮発成分が減り地上を火砕流が襲う(鎌原火砕流)→溶岩を流出(鬼押し出し)

噴出物の量による影響

成分の影響以外に噴出物の量や噴出速度によって、噴火の形体や被害の大きさが激しく異なる。極端な例を2例挙げる。

  • ラカギガル割れ目噴火:2の条件で1回の噴出量が桁違いに大きい場合、噴出されたガスが地球を覆い異常気象による不作などを引き起こす。1783年アイスランドのラキ火山の噴火(ラカギガル割れ目噴火)の場合、噴火した火口列は25kmの長さに及び大量の溶岩を噴出したが人里から離れていたので溶岩による被害は軽微。しかしおびただしい量の有毒な火山ガスが放出されアイスランドの家畜の50%、人口の20%が失われた。また成層圏まで上昇した霧は地球の北半分を覆い、地上に達する日射量を減少させ低温化を生起した。日本では東北地方で膨大な数の餓死者を出した天明の大飢饉を引き起こした。
  • 阿蘇カルデラや姶良カルデラの噴火:4の条件で1回の噴出量が桁違いに大きい場合、阿蘇カルデラや姶良カルデラ(桜島北側の錦江湾全体)の噴火のように、1回の噴火で数mから100m以上の厚さの火山灰が九州の半分以上を覆い、巨大なカルデラが形成される。この状況を現在にシミュレーションしたのがベストセラー『死都日本』(関連図書参照)。

火山噴火のタイプ

火山噴火

上記のように噴火は様々な条件下で種々の形をとる。火山学者はこれを代表的なタイプに分類し、命名している。

洪水玄武岩
数千万年に1回程度発生する。地表が大規模に割れ大量の溶岩が短期間に地表に供給される。例えばインドデカン高原の玄武岩面積は日本全土の約1.5倍に相当する。発生原因について、最近プルームテクトニクスで議論されている。
ハワイ式噴火
流動性が高く揮発性が少ない噴火に相当。爆発は起こらず、液体状の溶岩を大量に高速で流出する。ハワイの火山の噴火形式。
ストロンボリ式噴火
イタリアストロンボリ島ストロンボリ火山の噴火形式。ハワイ式より少し流動性の低いマグマが間歇的に小爆発を繰り返し、火山弾を放出する。液体状の溶岩流が見られる。
ストロンボリ火山 (イタリア)
ブルカノ式噴火
ストロンボリに近いブルカノ火山の噴火形式。流動性が低く揮発成分が多い場合に相当。桜島や浅間山の通常の噴火に相当。爆発に伴って火山灰、火山礫、火山岩塊を大量に噴出する。溶岩流は、半ば固化した塊状溶岩(ブロックラバー)となって速度は遅い。
プリニー式噴火
ローマ時代ポンペイを埋めた西暦79年ヴェスヴィオ火山の噴火の形式。この噴火を詳細に観察し後世に記録を残したプリニウスにちなんでプリニー式と命名された。基本的にはブルカノ式の大規模なもので、火山灰は成層圏に達し、しばしば大規模な火砕流を生起し広範囲に被害を及ぼす。
ウルトラブルカノ式噴火
高温マグマが直接関与しない大規模な水蒸気爆発

噴火の場所

火山は噴出する場所、特に水の存在によって噴火の形が大きく変わる。

  1. 海底深くで火山が噴火した場合、高い水圧で爆発は起こらず、水で急冷された溶岩は特徴的な枕状溶岩となる。
  2. 水面近くの噴火や、マグマが地下の浅い所で地下水と出あった時は、水が瞬時に沸騰し爆発的なマグマ水蒸気爆発を起こす。
  3. 巨大な氷河の下で火山が噴火した場合 1 と同様な形態となるが、噴火の規模が大きく氷床を解かしてしまった場合、大規模な洪水を伴う場合がある。(アイスランドの火山)