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'''浮沈子'''(ふちんし)(英語:'''Cartesian diver'''あるいは'''Cartesian devil''')は、古典的な科学実験である。その英語名'''Cartesian diver'''あるいは'''Cartesian devil'''は、デカルトにちなんで命名されている。実験は浮力の原理(アルキメデスの原理)と[[理想気体の状態方程式]]を実演する。 |
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デカルトがこの玩具を発明したと言われている。英語版で{{Citation needed|date=May 2013}} |
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==実験の解説== |
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浮沈子の実験は、「潜り手」("diver")を - ピペットに酷似する、一端が開いている、小さな、堅い管を - 或る柔軟な部品の付いた大きな容器、たとえば2リットル入りのソフト・ドリンクのびん、のなかに置くことでなされる。 |
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大きな容器は、実演で見ることができるようにかんぜんに水で満たされ、閉じられるときに気密にしなければならない。 |
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「潜り手」("diver")は、少量の水で部分的に満たされていて、その量は、ほぼ中立な浮力を有するのにじゅうぶんな量の空気をふくませ、しかし、それでもやはり、ほぼ完全に水没させられているあいだは上端に浮かんでいるだけの浮力を有する。 |
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「潜り」("diving")が起こるときは、大きな容器の柔軟な部位が内側に圧せられ、大きな容器の内圧をたかめ、「潜り手」("diver")を底に沈めさせ、圧力が解放されるときそれはもとのように表面に浮上する。 |
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浮沈子のなかにはそれに浮力を与えるだけの空気がある。 |
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したがって、浮沈子は水面に浮かぶ。 |
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パスカルの原理の結果として、気密の容器をぎゅっと圧することは空気圧をたかめ、その圧力のいちぶは、気密の容器のひとつの「壁」("wall")を成す水にたいして加えられる。 |
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こんどはこの水が、浮沈子のなかの気泡にさらなる圧力をくわえる。 |
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その理由は、浮沈子内の空気は圧縮可能であるがしかし水は圧縮不可能な液体であり、空気の量は減少させられるがしかし水の量は膨張せず、浮沈子への外部の圧力は ''a'') 浮沈子内にすでにある水をさらに内部に押し入れ、そして ''b'') 浮沈子の外にある水を浮沈子内に押し入れる。 |
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いったん気泡がより小さくなり、水がさらに浮沈子のなかにはいると、浮沈子はそれじしんの重さよりも軽い重さの水を押しのけ、そのためにそれは浮力を減じ、そしてアルキメデスの原理にしたがって沈む。 |
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容器にたいする圧力が解放されると、空気はもとのように膨張し、押しのけられた水の重さをふやし、そして浮沈子はもとのように浮力を増し、そして浮かぶ。 |
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[[Image:Cartesian devil hg.jpg|thumb|left|手吹きガラス製の玩具 浮沈子 ドイツ [[チューリンゲンの森]] ラウシャ(Lauscha)]] |
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もし押しのけられた水の重さが浮沈子の重さとちょうど等しいならば、それは容器の中央で上昇も下降もしないであろうと考えられるかもしれないが、しかしながら、実際にはこういうことは起こらない。 |
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そういう状態が或る点にまんいち存在すると仮定すれば、浮沈子の現在の深さからの逸脱は、どれほど小さくても、 |
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容器内のそれの上方の水の重さにおける変化による、浮沈子内の気泡に加えられる圧力を変化させるであろう。 |
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これは、不安定な、力学的平衡である。 |
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ぎゃくに、もし浮沈子の下降が、いかに小さくても、圧力は強まり、気泡は収縮し、さらに水がはいりこみ、浮沈子は浮力を減じ、そして下降率は、水からの圧力がたかまるにつれて、加速する。 |
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この増大は、系におけるランダムな熱的変動によるものであってさえ、平衡からのどれほどの逸脱であってもそれを増幅するであろう。 |
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浮沈子を表面に浮かべるか、または底面に沈めさせる、一定の応用される諸圧力の範囲は存在するが、しかし、それを長期間にわたって液体内に浮かせておくならば、応用される圧力の連続的操作を必要とするであろう。 |
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さらに、この原理は、しばしば「"water dancers"」あるいは「"water devils"」と称される小型玩具に利用されている |
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原理は同じであるが、しかしピペットは、同じ特性をそなえた装飾物に取って代わられる: |
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ほぼ中立な浮力のある管。 |
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このような玩具の一例が、ここに示される赤い「悪魔」("devil")である。 |
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プラスチック製の浮沈子は、英国において1950年代、箱入りのシリアル食品におまけとして付けられていた。 |
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2013年8月29日 (木) 05:48時点における版
浮沈子(ふちんし)とは、パスカルの原理を利用した玩具[1]。容器を押したり離したりすることで、中にあるものが浮いたり沈んだりする。しょうゆ入れ(タレビン)とナット・ペットボトルの浮沈子[2][3]が理科実験としてよく利用されるが、いろいろな材料を使った浮沈子[4]が考えられている。
浮沈子(ふちんし)(英語:Cartesian diverあるいはCartesian devil)は、古典的な科学実験である。その英語名Cartesian diverあるいはCartesian devilは、デカルトにちなんで命名されている。実験は浮力の原理(アルキメデスの原理)と理想気体の状態方程式を実演する。 デカルトがこの玩具を発明したと言われている。英語版で[要出典]
実験の解説
浮沈子の実験は、「潜り手」("diver")を - ピペットに酷似する、一端が開いている、小さな、堅い管を - 或る柔軟な部品の付いた大きな容器、たとえば2リットル入りのソフト・ドリンクのびん、のなかに置くことでなされる。 大きな容器は、実演で見ることができるようにかんぜんに水で満たされ、閉じられるときに気密にしなければならない。 「潜り手」("diver")は、少量の水で部分的に満たされていて、その量は、ほぼ中立な浮力を有するのにじゅうぶんな量の空気をふくませ、しかし、それでもやはり、ほぼ完全に水没させられているあいだは上端に浮かんでいるだけの浮力を有する。
「潜り」("diving")が起こるときは、大きな容器の柔軟な部位が内側に圧せられ、大きな容器の内圧をたかめ、「潜り手」("diver")を底に沈めさせ、圧力が解放されるときそれはもとのように表面に浮上する。
浮沈子のなかにはそれに浮力を与えるだけの空気がある。 したがって、浮沈子は水面に浮かぶ。 パスカルの原理の結果として、気密の容器をぎゅっと圧することは空気圧をたかめ、その圧力のいちぶは、気密の容器のひとつの「壁」("wall")を成す水にたいして加えられる。 こんどはこの水が、浮沈子のなかの気泡にさらなる圧力をくわえる。 その理由は、浮沈子内の空気は圧縮可能であるがしかし水は圧縮不可能な液体であり、空気の量は減少させられるがしかし水の量は膨張せず、浮沈子への外部の圧力は a) 浮沈子内にすでにある水をさらに内部に押し入れ、そして b) 浮沈子の外にある水を浮沈子内に押し入れる。 いったん気泡がより小さくなり、水がさらに浮沈子のなかにはいると、浮沈子はそれじしんの重さよりも軽い重さの水を押しのけ、そのためにそれは浮力を減じ、そしてアルキメデスの原理にしたがって沈む。 容器にたいする圧力が解放されると、空気はもとのように膨張し、押しのけられた水の重さをふやし、そして浮沈子はもとのように浮力を増し、そして浮かぶ。
もし押しのけられた水の重さが浮沈子の重さとちょうど等しいならば、それは容器の中央で上昇も下降もしないであろうと考えられるかもしれないが、しかしながら、実際にはこういうことは起こらない。 そういう状態が或る点にまんいち存在すると仮定すれば、浮沈子の現在の深さからの逸脱は、どれほど小さくても、 容器内のそれの上方の水の重さにおける変化による、浮沈子内の気泡に加えられる圧力を変化させるであろう。 これは、不安定な、力学的平衡である。 もし浮沈子の上昇が、どれほど非常に小さくても、 気泡にたいする圧力は弱まり、それは膨張し、それはさらに多くの水を押しのけ、そして浮沈子は、さらに速く上昇しながら、浮力をますであろう。 ぎゃくに、もし浮沈子の下降が、いかに小さくても、圧力は強まり、気泡は収縮し、さらに水がはいりこみ、浮沈子は浮力を減じ、そして下降率は、水からの圧力がたかまるにつれて、加速する。 この増大は、系におけるランダムな熱的変動によるものであってさえ、平衡からのどれほどの逸脱であってもそれを増幅するであろう。
浮沈子を表面に浮かべるか、または底面に沈めさせる、一定の応用される諸圧力の範囲は存在するが、しかし、それを長期間にわたって液体内に浮かせておくならば、応用される圧力の連続的操作を必要とするであろう。
他の用途
さらに、この原理は、しばしば「"water dancers"」あるいは「"water devils"」と称される小型玩具に利用されている 原理は同じであるが、しかしピペットは、同じ特性をそなえた装飾物に取って代わられる: ほぼ中立な浮力のある管。 たとえば、吹きガラス製の泡。 もしガラス製の泡の尾にひねりが与えられれば、ガラス泡のなかへの、そしてなかからの水の流れは回転をつくる。 このために玩具は上昇し、下降するときにいきおいよく回転する。 このような玩具の一例が、ここに示される赤い「悪魔」("devil")である。 この装置もまた、液体の圧力を測定するという実際的な用途がある。
プラスチック製の浮沈子は、英国において1950年代、箱入りのシリアル食品におまけとして付けられていた。
脚注
- ^ 「浮沈子」『マイペディア』平凡社、1994年。ISBN 4-582-00504-7。
- ^ 森井清博 著「浮沈子で浮力を体験しよう!」、左巻健男・滝川洋二編著 編『たのしくわかる物理実験事典』東京書籍、1998年、126-127頁。ISBN 4-487-73138-0。
- ^ 森井清博「浮力の授業の効果的な展開について」『物理教育』第48巻第2号、日本物理教育学会、2000年、145-146頁、ISSN 0385-6992、NAID 110007490860。
- ^ 當銀美奈子 著「もっと楽しく遊ぶアイディア浮沈子―「逆! 押すと浮く浮沈子」など」、左巻健男・内村浩編著 編『おもしろ実験・ものづくり事典』東京書籍、2002年、90-95頁。ISBN 4-487-79701-2。
参考文献
- 長野勝 著「力の原理で遊ぶ―浮沈子をつくろう」、愛知物理サークル・岐阜物理サークル編著 編『いきいき物理わくわく実験』新生出版、1988年、102頁。ISBN 4-88011-045-0。
- 海老崎功 著「あわで船をしずめる!?」、滝川洋二・吉村利明編著 編『ガリレオ工房の身近な道具で大実験 第2集』大月書店、1999年、86-89頁。ISBN 4-272-61077-5。
関連項目
外部リンク
- “浮沈子の歴史”. I.T.C. ONSENキッズ (2002年7月9日). 2013年5月22日閲覧。