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{{Otheruses|アオイ科の植物ハマボウ|[[クマツヅラ科]]の植物ハマボウ|ハマゴウ}} |
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|属=[[フヨウ属]] ''Hibiscus'' |
|属=[[フヨウ属]] ''Hibiscus'' |
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|種='''ハマボウ''' ''H. hamabo'' |
|種='''ハマボウ''' ''H. hamabo'' |
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|学名=''Hibiscus hamabo'' [[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|Sieb.]] et [[ヨーゼフ・ゲアハルト・ツッカリーニ|Zucc.]] |
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|学名=''Hibiscus hamabo'' |
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|和名=ハマボウ(浜朴) |
|和名=ハマボウ(浜朴、黄槿)}} |
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{{Commonscat|Talipariti hamabo}} |
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'''ハマボウ'''('''浜朴'''あるいは'''黄槿''')、学名 ''Hibiscus hamabo'' は、[[アオイ科]]の落葉低木である。[[西日本]]の[[河口]]域や内湾[[海岸]]に自生する[[塩生植物]]で、夏に黄色の花を咲かせる。和名の浜朴は「浜辺に生える[[ホオノキ]]」、黄槿は「黄色い[[ムクゲ]]」を意味する。方言呼称にはヒシテバナ([[鹿児島市]][[喜入町|喜入]])等がある<ref name="中西1985">[[中西弘樹]], 1985. [http://ci.nii.ac.jp/naid/110001881757/ GEOBOTANICAL AND ECOLOGICAL STUDIES ON THREE SEMI-MANGROVE PLANTS IN JAPAN(半マングローブ植物3種の分布と生態)]. [[日本生態学会]]誌 35(1), 85-92, 1985-03-30. 2014.1.8閲覧</ref><ref name="鹿児島2002">鹿児島の自然を記録する会, 2002. ハマボウ, 「川の生きもの図鑑」66p, 南方新社 ISBN 493137669X</ref>。 |
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'''ハマボウ'''('''浜朴'''あるいは'''黄槿'''、''Hibiscus hamabo'')は[[アオイ科]]の落葉低木である。 |
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==形態と生育環境== |
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樹高は1-5mほどの低木だが、枝はよく分かれ、株の内側はうっそうと茂る。周囲に障害がない所ではしばしば横に広がり、直径5mほどになる。葉や細い枝は細かい毛が密生する。葉はやや厚く、直径3-8cmほどの楕円形で先端が尖り、互生する。幹は灰色で多数の皮目がある。根は深くないが、倒れてもすぐ発根する<ref name="中西1985" /><ref name="鹿児島2002" />。 |
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分布域は、太平洋側では[[千葉県]]以西、日本海側では韓国[[済州島]]-[[長崎県]][[対馬]]-[[島根県]][[隠岐諸島]]以南、南限は[[奄美大島]]である。日本海側の北限は嘗て長崎県対馬市佐護、次いで[[山口県]][[萩市]]笠山とされてきたが、隠岐諸島の生息地発見で大きく更新された。群落が多いのは[[九州]]西部(長崎県-[[熊本県]])および[[紀伊半島]]([[和歌山県]]-[[三重県]])の[[リアス式海岸]]の入り江だが、他にも大群落が見られる河口や入り江は多い<ref name="中西1985" /><ref name="鹿児島2002" /><ref name="島根県2013">島根県環境生活部自然環境課, 2013. 改訂しまねレッドデータブック2013 植物編 -島根県の絶滅のおそれのある野生植物-, [http://www.pref.shimane.lg.jp/environment/nature/shizen/yasei/red-data/kaiteishimaneRDB2013plant.data/14ikansoku1rui.pdf 維管束植物 絶滅危惧I類], 56p.2014.1.8閲覧</ref>。 |
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== 概要 == |
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[[千葉県]]以西から[[奄美大島]]、[[朝鮮半島]]の海岸沿いや河口付近の[[干潟]]の陸側や湿地帯に生育する。樹高は3mほどになり、全体に細かい毛に覆われている。葉は先端が尖った楕円形で互生する。 |
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伊豆の[[メヒルギ]]群生地にも混生しており、潮間帯での植生が[[マングローブ]]に類似することから、[[ハマジンチョウ]]、[[ハマナツメ]]などと並び[[マングローブ#半マングローブ|半マングローブ]]植物と呼ばれることもある。<ref>http://ci.nii.ac.jp/naid/110001881757/</ref> |
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河口や内湾など、[[汽水域]]の潮間帯上部-潮上帯に根を下ろす。塩分に強く、満潮時には根元が海水に浸る位置に生えるが、海水が届かない位置にも生える。[[ヨシ]]、[[シオクグ]]、[[ハマサジ]]、[[メヒルギ]]等、他の塩生植物とも混生する。人為的なものを除けば海岸から離れて生えることはほぼない。また荒波が打ち寄せる海岸にも見られない。[[マングローブ]]が発達しない九州以北では[[ハマジンチョウ]]、[[ハマナツメ]]などと並び特徴的な生態を示す木であり、「半マングローブ植物」とも呼ばれる。 |
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花期は7月から8月で、5cm程度の、中心が赤褐色の黄色い花を咲かせる。花弁は付け根から回旋して伸び、中心の赤褐色部は船のスクリューのように見える。花の形態は同属の[[ハイビスカス]]や[[ムクゲ]]や[[フヨウ]]に似る。現存する個体数は多く、栽培も広く行われているが、干潟の減少や海浜部の造成のため天然状態での生息地が年々狭まっている。[[大阪府]]では[[絶滅]]種とされており、他の多くの府県で[[レッドリスト]]の絶滅危惧種とされている。<ref>http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=06030832876</ref> |
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花期は7-8月で、直径7cm程度の、中心が赤褐色の黄色い花を咲かせる。花の形態は同属の[[ハイビスカス]]、[[ムクゲ]]、[[フヨウ]]等に似る。花弁は付け根から回旋して伸び、中心の赤褐色部は船のスクリューのように見える。秋には先端が尖った鶏卵形の実をつけ、中には長さ4-5mmの豆のような黒褐色の種子が十数個ほどできる。種子は海水に浸っても死なずに浮遊し、海を通して分布を広げることができる<ref name="中西1985" /><ref name="鹿児島2002" />。秋-初冬には[[紅葉]]し、葉が赤や黄色に変色して落ちるが、実は翌春まで残ることも多い。 |
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和名の浜朴は「浜辺に生える[[ホオノキ]]」、黄槿は「黄色い[[ムクゲ]]」のことである。 |
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==人間との関係== |
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木材は[[キクラゲ]][[原木栽培]]のホダ木に使われる。嘗ては木材を[[水中メガネ]]の枠に、皮の繊維を[[ロープ]]に利用した<ref name="鹿児島2002" />。[[園芸]]用に栽培されることもある。 |
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===減少と保全=== |
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現存する個体数は多く、栽培も行われているが、河川改修や海浜部造成のため、良好な群落は減少している。日本の[[環境省]]が作成した[[維管束植物レッドリスト (環境省)|維管束植物レッドリスト]]では2012年版に至るまで掲載されていないが、絶滅種、または絶滅危惧種に指定している府県は2014年現在で1府19県に達し、本種の動向が注目されている。このうち[[大阪府]]では[[絶滅]]したとされている他、嘗て日本海側の北限とされていた長崎県[[対馬市]]佐護の群落も河川改修で消滅した<ref name="中西2010">中西弘樹, 2010. [http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10069/23337/1/JJCE15_153.pdf ハマボウの保全の歴史と現状]. 保全生態学研究, 15(1), pp.153-158 - 長崎大学学術研究成果リポジトリ. 2014.1.8閲覧</ref><ref name="中西2012">中西弘樹, 2012. [http://www.ows-npo.org/member/backno/tokushu45forWeb.pdf <特集>海岸植物の保全 ハマユウとハマボウを例にして], NPO法人OWS 会報「季刊エブオブ」No.45. 2014.1.8閲覧</ref><ref name="jpnrdb2012">[http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=06030832835 日本のレッドデータ検索システム]. 2014.1.8閲覧</ref>。 |
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*絶滅(EX) - [[大阪府]]<ref name="大阪府">大阪府 環境農林水産部 みどり・都市環境室みどり推進課 自然環境グループ. [http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/217/00020568/sizen%5B1%5D-104.pdf 大阪府レッドリスト(3)]107p. 2014.1.8閲覧</ref> |
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*絶滅危惧I類(CR+EN) - [[千葉県]]<ref name="千葉">千葉県環境生活部自然保護課, 2009. 千葉県レッドデータブック [http://www.bdcchiba.jp/endangered/rdb-a/rdb-p/rdb-2009p-3.pdf -植物・菌類編(2009年改訂版)-]115p.2014.1.8閲覧</ref>、[[神奈川県]]<ref name="神奈川">神奈川県自然環境保全センター/[[神奈川県立生命の星・地球博物館]] [http://www.e-tanzawa.jp/rdb06/2_detail.asp?spc=1273 ハマボウ] 神奈川県レッドデータブック2006 WEB版. 2014.1.8閲覧</ref>、[[兵庫県]]<ref name="兵庫">兵庫県農政環境部環境創造局自然環境課, 2010 |
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. [http://www.pref.hyogo.jp/JPN/apr/hyogoshizen/reddata2010/rdb2010/data/ribenka/a/266_hamabou.pdf ハマボウ], 兵庫県版レッドデータブック2010(植物・植物群落). 2014.1.8閲覧</ref>、[[岡山県]]<ref name="岡山">岡山県環境文化部 自然環境課, 2009. 岡山県版レッドデータブック2009, [http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/sizen/reddatabook/pdf/p140.pdf ラセンソウ、ハマボウ]. 2014.1.8閲覧</ref>、[[島根県]]<ref name="島根県2013" />、[[香川県]]<ref name="香川">香川県環境森林部 みどり保全課, 2004. [http://www.pref.kagawa.lg.jp/kankyo/shizen/rdb/data/rdb1085.htm ハマボウ], 香川県レッドデータブック. 2014.1.8閲覧</ref>、[[徳島県]]<ref name="徳島">徳島県県民環境部環境総局環境首都課, 2001. [http://www.pref.tokushima.jp/_files/00176712/tayousei-08a.pdf 維管束植物]285p. 徳島県版レッドデータブック(レッドリスト). 2014.1.8閲覧</ref>、[[高知県]]<ref name="高知">高知県林業振興・環境部環境共生課 [http://www.pref.kochi.lg.jp/uploaded/attachment/67507.pdf 高知県レッドリスト(植物編)2010年改訂版<カテゴリー別>]23p. 2014.1.8閲覧</ref> |
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*絶滅危惧II類(VU) - [[愛知県]]<ref name="愛知">愛知県環境部自然環境課, 2009. [http://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/yasei/rdb/ikansoku/plants_388.pdf ハマボウ], 「レッドデータブックあいち2009」388p. 2014.1.8閲覧</ref>、[[三重県]]<ref name="三重">三重県環境森林部自然環境室 [http://www.eco.pref.mie.lg.jp/rdb/pages/asp/detail.asp?detailid=52 ハマボウ], 三重県レッドデータブック2005. 2014.1.8閲覧</ref>、[[山口県]]<ref name="山口">山口県野生生物保全対策検討委員会, 2002.[http://eco.pref.yamaguchi.jp/rdb/html/10/100382.html ハマボウ], レッドデータブックやまぐち. 2014.1.8閲覧</ref>、[[愛媛県]]<ref name="愛媛">愛媛県自然保護課生物多様性係, 2003.[http://www.pref.ehime.jp/030kenminkankyou/080shizenhogo/00004541040311/detail/09_06_008100_5.html ハマボウ], 愛媛県レッドデータブック. 2014.1.8閲覧</ref>、[[福岡県]]<ref name="福岡">福岡県自然環境課, 2011. [http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/kankyo/rdb/rdbs/detail/201100569 ハマボウ], 福岡県レッドデータブック2011. 2014.1.8閲覧</ref> |
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*準絶滅危惧(NT) - [[和歌山県]]<ref name="和歌山">和歌山県環境生活部環境政策局環境生活総務課, 2012. [http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/032000/032500/reddate2012/documents/shokubutu.pdf 保全上重要なわかやまの自然-和歌山県レッドデータブック2012改訂版]320p. 20141.8閲覧</ref>、[[佐賀県]]<ref name="佐賀">佐賀県くらし環境本部有明海再生・自然環境課, 2010. [http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1262/_33058/_18433/rdb.html レッドデータブックさが2010]. 20141.8閲覧</ref>、[[長崎県]]<ref name="長崎">長崎県環境部自然環境課, 2011. 長崎県レッドリスト(2011), [https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/07/1373430037.pdf 維管束植物(23.6.30修正版)]19p. 20141.8閲覧</ref>、[[大分県]]<ref name="大分">大分県生活環境部生活環境企画課, 2011. [http://www.pref.oita.jp/10550/reddata2011/02/ss434.html ハマボウ], レッドデータブックおおいた2011. 2014.1.8閲覧</ref>、[[宮崎県]]<ref name="宮崎">宮崎県環境森林部自然環境課, 2007. [http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/kankyo/shizen/reddatabook/2007kaitei.html 宮崎県版レッドリスト(2007年改訂版)]. 2014.1.8閲覧</ref>、[[鹿児島県]]<ref name="jpnrdb2012" /> |
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各自治体の条例により、[[天然記念物]]、または許可なき採集等を禁じた「希少野生動植物種」として指定される例もある<ref name="中西2010" />。 |
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*神奈川県[[横須賀市]][[天神島]](県指定・1953年) |
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*[[静岡県]][[下田市]][[大賀茂川]]河口(市指定・1969年) |
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*愛知県[[田原市]]堀切(県指定・1955年) |
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*和歌山県[[御坊市]]塩屋(市指定・1980年) |
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*山口県[[萩市]]笠山(市指定・1997年) |
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*香川県[[土庄町]]小部(町指定・1968年) |
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*徳島県[[美波町]][[田井川 (田井ノ浜)|田井川]]河口(旧由岐町指定・1989年) |
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*「[[希少野生動植物保護条例|長崎県未来につながる環境を守り育てる条例]]」が指定する「希少野生動植物種」(2009年)<ref name="長崎2013">長崎県環境部自然保護課, 2013. [http://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/07/1374554135.pdf 希少野生動植物種保存地地域の指定状況]. 2014.1.8閲覧</ref> |
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*鹿児島県[[薩摩川内市]][[川内川]]河口(旧川内市指定・2000年)<ref name="鹿児島2002" /> |
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*鹿児島県[[南さつま市]][[万之瀬川]]河口(国指定・2008年) |
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===市町村のシンボル指定=== |
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シンボルとして指定する市町村もある<ref name="中西2010" />。 |
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*徳島県[[鳴門市]]の花(1983年) |
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*和歌山県御坊市の花木(1994年) |
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*長崎県[[西海市]]の花木(2009年) |
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*熊本県[[天草市]]の花(2009年) |
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==類似種== |
==類似種== |
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[[屋久島]]以南には近縁の[[オオハマボウ]] |
[[屋久島]]以南には近縁の[[オオハマボウ]] ''H. tiliaceus'' があり、やはり海岸沿いに出現する。また、別属であるが[[サキシマハマボウ]] ''Thespesia populnea'' も海岸性で、[[琉球諸島]]から熱帯アジア一帯に分布する。いずれも黄色の大輪の花をつける。 |
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==参考文献== |
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[[Category:アオイ科]] |
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[[Category:海浜植物]] |
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[[vi:Hibiscus hamabo]] |
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2014年1月8日 (水) 11:08時点における版
ハマボウ | ||||||||||||||||||||||||
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ハマボウの花(静岡県南伊豆町・2007年7月)
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Hibiscus hamabo Sieb. et Zucc. | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハマボウ(浜朴、黄槿) |
ハマボウ(浜朴あるいは黄槿)、学名 Hibiscus hamabo は、アオイ科の落葉低木である。西日本の河口域や内湾海岸に自生する塩生植物で、夏に黄色の花を咲かせる。和名の浜朴は「浜辺に生えるホオノキ」、黄槿は「黄色いムクゲ」を意味する。方言呼称にはヒシテバナ(鹿児島市喜入)等がある[1][2]。
形態と生育環境
樹高は1-5mほどの低木だが、枝はよく分かれ、株の内側はうっそうと茂る。周囲に障害がない所ではしばしば横に広がり、直径5mほどになる。葉や細い枝は細かい毛が密生する。葉はやや厚く、直径3-8cmほどの楕円形で先端が尖り、互生する。幹は灰色で多数の皮目がある。根は深くないが、倒れてもすぐ発根する[1][2]。
分布域は、太平洋側では千葉県以西、日本海側では韓国済州島-長崎県対馬-島根県隠岐諸島以南、南限は奄美大島である。日本海側の北限は嘗て長崎県対馬市佐護、次いで山口県萩市笠山とされてきたが、隠岐諸島の生息地発見で大きく更新された。群落が多いのは九州西部(長崎県-熊本県)および紀伊半島(和歌山県-三重県)のリアス式海岸の入り江だが、他にも大群落が見られる河口や入り江は多い[1][2][3]。
河口や内湾など、汽水域の潮間帯上部-潮上帯に根を下ろす。塩分に強く、満潮時には根元が海水に浸る位置に生えるが、海水が届かない位置にも生える。ヨシ、シオクグ、ハマサジ、メヒルギ等、他の塩生植物とも混生する。人為的なものを除けば海岸から離れて生えることはほぼない。また荒波が打ち寄せる海岸にも見られない。マングローブが発達しない九州以北ではハマジンチョウ、ハマナツメなどと並び特徴的な生態を示す木であり、「半マングローブ植物」とも呼ばれる。
花期は7-8月で、直径7cm程度の、中心が赤褐色の黄色い花を咲かせる。花の形態は同属のハイビスカス、ムクゲ、フヨウ等に似る。花弁は付け根から回旋して伸び、中心の赤褐色部は船のスクリューのように見える。秋には先端が尖った鶏卵形の実をつけ、中には長さ4-5mmの豆のような黒褐色の種子が十数個ほどできる。種子は海水に浸っても死なずに浮遊し、海を通して分布を広げることができる[1][2]。秋-初冬には紅葉し、葉が赤や黄色に変色して落ちるが、実は翌春まで残ることも多い。
人間との関係
木材はキクラゲ原木栽培のホダ木に使われる。嘗ては木材を水中メガネの枠に、皮の繊維をロープに利用した[2]。園芸用に栽培されることもある。
減少と保全
現存する個体数は多く、栽培も行われているが、河川改修や海浜部造成のため、良好な群落は減少している。日本の環境省が作成した維管束植物レッドリストでは2012年版に至るまで掲載されていないが、絶滅種、または絶滅危惧種に指定している府県は2014年現在で1府19県に達し、本種の動向が注目されている。このうち大阪府では絶滅したとされている他、嘗て日本海側の北限とされていた長崎県対馬市佐護の群落も河川改修で消滅した[4][5][6]。
- 絶滅(EX) - 大阪府[7]
- 絶滅危惧I類(CR+EN) - 千葉県[8]、神奈川県[9]、兵庫県[10]、岡山県[11]、島根県[3]、香川県[12]、徳島県[13]、高知県[14]
- 絶滅危惧II類(VU) - 愛知県[15]、三重県[16]、山口県[17]、愛媛県[18]、福岡県[19]
- 準絶滅危惧(NT) - 和歌山県[20]、佐賀県[21]、長崎県[22]、大分県[23]、宮崎県[24]、鹿児島県[6]
各自治体の条例により、天然記念物、または許可なき採集等を禁じた「希少野生動植物種」として指定される例もある[4]。
市町村のシンボル指定
シンボルとして指定する市町村もある[4]。
類似種
屋久島以南には近縁のオオハマボウ H. tiliaceus があり、やはり海岸沿いに出現する。また、別属であるがサキシマハマボウ Thespesia populnea も海岸性で、琉球諸島から熱帯アジア一帯に分布する。いずれも黄色の大輪の花をつける。
参考文献
- ^ a b c d 中西弘樹, 1985. GEOBOTANICAL AND ECOLOGICAL STUDIES ON THREE SEMI-MANGROVE PLANTS IN JAPAN(半マングローブ植物3種の分布と生態). 日本生態学会誌 35(1), 85-92, 1985-03-30. 2014.1.8閲覧
- ^ a b c d e f 鹿児島の自然を記録する会, 2002. ハマボウ, 「川の生きもの図鑑」66p, 南方新社 ISBN 493137669X
- ^ a b 島根県環境生活部自然環境課, 2013. 改訂しまねレッドデータブック2013 植物編 -島根県の絶滅のおそれのある野生植物-, 維管束植物 絶滅危惧I類, 56p.2014.1.8閲覧
- ^ a b c 中西弘樹, 2010. ハマボウの保全の歴史と現状. 保全生態学研究, 15(1), pp.153-158 - 長崎大学学術研究成果リポジトリ. 2014.1.8閲覧
- ^ 中西弘樹, 2012. <特集>海岸植物の保全 ハマユウとハマボウを例にして, NPO法人OWS 会報「季刊エブオブ」No.45. 2014.1.8閲覧
- ^ a b 日本のレッドデータ検索システム. 2014.1.8閲覧
- ^ 大阪府 環境農林水産部 みどり・都市環境室みどり推進課 自然環境グループ. 大阪府レッドリスト(3)107p. 2014.1.8閲覧
- ^ 千葉県環境生活部自然保護課, 2009. 千葉県レッドデータブック -植物・菌類編(2009年改訂版)-115p.2014.1.8閲覧
- ^ 神奈川県自然環境保全センター/神奈川県立生命の星・地球博物館 ハマボウ 神奈川県レッドデータブック2006 WEB版. 2014.1.8閲覧
- ^ 兵庫県農政環境部環境創造局自然環境課, 2010 . ハマボウ, 兵庫県版レッドデータブック2010(植物・植物群落). 2014.1.8閲覧
- ^ 岡山県環境文化部 自然環境課, 2009. 岡山県版レッドデータブック2009, ラセンソウ、ハマボウ. 2014.1.8閲覧
- ^ 香川県環境森林部 みどり保全課, 2004. ハマボウ, 香川県レッドデータブック. 2014.1.8閲覧
- ^ 徳島県県民環境部環境総局環境首都課, 2001. 維管束植物285p. 徳島県版レッドデータブック(レッドリスト). 2014.1.8閲覧
- ^ 高知県林業振興・環境部環境共生課 高知県レッドリスト(植物編)2010年改訂版<カテゴリー別>23p. 2014.1.8閲覧
- ^ 愛知県環境部自然環境課, 2009. ハマボウ, 「レッドデータブックあいち2009」388p. 2014.1.8閲覧
- ^ 三重県環境森林部自然環境室 ハマボウ, 三重県レッドデータブック2005. 2014.1.8閲覧
- ^ 山口県野生生物保全対策検討委員会, 2002.ハマボウ, レッドデータブックやまぐち. 2014.1.8閲覧
- ^ 愛媛県自然保護課生物多様性係, 2003.ハマボウ, 愛媛県レッドデータブック. 2014.1.8閲覧
- ^ 福岡県自然環境課, 2011. ハマボウ, 福岡県レッドデータブック2011. 2014.1.8閲覧
- ^ 和歌山県環境生活部環境政策局環境生活総務課, 2012. 保全上重要なわかやまの自然-和歌山県レッドデータブック2012改訂版320p. 20141.8閲覧
- ^ 佐賀県くらし環境本部有明海再生・自然環境課, 2010. レッドデータブックさが2010. 20141.8閲覧
- ^ 長崎県環境部自然環境課, 2011. 長崎県レッドリスト(2011), 維管束植物(23.6.30修正版)19p. 20141.8閲覧
- ^ 大分県生活環境部生活環境企画課, 2011. ハマボウ, レッドデータブックおおいた2011. 2014.1.8閲覧
- ^ 宮崎県環境森林部自然環境課, 2007. 宮崎県版レッドリスト(2007年改訂版). 2014.1.8閲覧
- ^ 長崎県環境部自然保護課, 2013. 希少野生動植物種保存地地域の指定状況. 2014.1.8閲覧