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[[精神科医]]の[[ハンフリー・オズモンド]]が「[[心理学|''psycology'']]」+「''delicious''」(別説では[[ギリシャ]]語の[[プシューケー|''psyche''/精神]]+''delos''/出現)を組み合わせた造語に由来する<ref>[[レスター・グリンスプーン]]、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。28頁。ISBN 978-4875023210。(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)
[[精神科医]]の[[ハンフリー・オズモンド]]が「[[心理学|''psycology'']]」+「''delicious''」(別説では[[ギリシャ]]語の[[プシューケー|''psyche''/精神]]+''delos''/出現)を組み合わせた造語に由来する<ref>[[レスター・グリンスプーン]]、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。28頁。ISBN 978-4875023210。(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)
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</ref>。その翌年1957年に、精神分析学会で言葉を紹介した<ref>ロバート・アントン・ウィルソン『コスミック・トリガー-イリュミナティ最後の秘密』 武邑光裕訳、八幡書店、1994年。42頁。ISBN 978-4893503176。(原著 ''cosmic trigger'', 1977)</ref>。LSDは[[半合成]]の幻覚剤だが、その成分は古代から[[宗教]]的な儀礼や[[興奮剤]]に用いられていた


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[[1966年]]ごろにヒッピーを中心として[[アメリカ西海岸]]に始まり、[[1967年]]にムーブメントのピークを迎えた(「[[サマー・オブ・ラブ]]」)。そのスタイルはアメリカ全土、[[イギリス]]やそのほかの先進国を中心として、世界の多くの国を席巻したが徐々に縮小し、1970年代半ばに衰退期に入った。しかしドラッグ・カルチャーとも連動している部分があり、その後もネオ・サイケなど新しい動きとして復活している。


[[ヒンドゥー]]や[[インディアン]]、様々な[[アジア]]のモチーフにも影響も受けている。
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海外では[[ピーター・マックス]]、日本人アーティストとしては[[横尾忠則]]が代表的である。


音楽ジャンルにおいては、独特の浮遊感と[[シュールレアリスム|超現実]]的な音作りを基調とした[[サイケデリック・ロック]]がある。中期の[[ビートルズ]]も『[[リボルバー (アルバム)|リボルバー]]』、『[[イエロー・サブマリン]]』、『[[サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (アルバム)|サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド]]』にその影響が色濃く反映している。ほかにもフランク・ザッパやグレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレインなど、数多くのミュージシャンがサイケの影響を受けたロック・アルバムを制作してきた。また初期のピンク・フロイドなども、サイケに分類されている。
音楽ジャンルにおいては、独特の浮遊感と[[シュールレアリスム|超現実]]的な音作りを基調とした[[サイケデリック・ロック]]がある。中期の[[ビートルズ]]も『[[リボルバー (アルバム)|リボルバー]]』、『[[イエロー・サブマリン]]』、『[[サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (アルバム)|サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド]]』にその影響が色濃く反映している。ほかにもフランク・ザッパやグレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレインなど、数多くのミュージシャンがサイケの影響を受けたロック・アルバムを制作してきた。また初期のピンク・フロイドなども、サイケに分類されている。


近年、[[1960年代]]、[[1970年代]][[リバイバル]]により再評価され、映画『[[オースティン・パワーズ]]』などでは大々的にフィーチャーされている。
音楽以外のジャンルでは[[ピーター・マックス]]、日本人アーティストとして[[横尾忠則]]が代表的である。近年、[[1960年代]]、[[1970年代]][[リバイバル]]により再評価され、映画『[[オースティン・パワーズ]]』などでは大々的にフィーチャーされている。


==脚注==
==脚注==

2014年3月22日 (土) 05:58時点における版

サイケデリック (サイケ形容詞 psychedelic / 名詞 psychedelia) は、LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のぐるぐる渦巻くイメージ(またはペイズリー模様)によって特徴づけられる視覚・聴覚の感覚の形容表現である。

精神科医ハンフリー・オズモンドが「psycology」+「delicious」(別説ではギリシャ語のpsyche/精神delos/出現)を組み合わせた造語に由来する[1]。その翌年1957年に、精神分析学会で言葉を紹介した[2]。LSDは半合成の幻覚剤だが、その成分は古代から宗教的な儀礼や興奮剤に用いられていた。

幻覚剤の影響下にあるときに出現する幾何学的な視覚パターンは、フラクタルとしてコンピュータで再現でき、ジャック・コーヘンとバード・アーメントロウトが、サイケデリックな幻覚の数学に基づく幾何学的形態に関する理論を提唱している[3]

解説

1966年ごろにヒッピーを中心としてアメリカ西海岸に始まり、1967年にムーブメントのピークを迎えた(「サマー・オブ・ラブ」)。そのスタイルはアメリカ全土、イギリスやそのほかの先進国を中心として、世界の多くの国を席巻したが徐々に縮小し、1970年代半ばに衰退期に入った。しかしドラッグ・カルチャーとも連動している部分があり、その後もネオ・サイケなど新しい動きとして復活している。

LSDが禁止薬物となったあとは、もっぱらエンカウンターなどの過激な心理療法を応用したアプローチでサイケデリックな体験を再現しようとする動きが活発化したが、社会的な批判も手伝って下火になっていった。それらの動きはヒンドゥーインディアン座禅を含む様々なアジアのモチーフにも影響も受けている。

音楽ジャンルにおいては、独特の浮遊感と超現実的な音作りを基調としたサイケデリック・ロックがある。中期のビートルズも『リボルバー』、『イエロー・サブマリン』、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』にその影響が色濃く反映している。ほかにもフランク・ザッパやグレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレインなど、数多くのミュージシャンがサイケの影響を受けたロック・アルバムを制作してきた。また初期のピンク・フロイドなども、サイケに分類されている。

音楽以外のジャンルではピーター・マックス、日本人アーティストとして横尾忠則が代表的である。近年、1960年代1970年代リバイバルにより再評価され、映画『オースティン・パワーズ』などでは大々的にフィーチャーされている。

脚注

  1. ^ レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。28頁。ISBN 978-4875023210。(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)
  2. ^ ロバート・アントン・ウィルソン『コスミック・トリガー-イリュミナティ最後の秘密』 武邑光裕訳、八幡書店、1994年。42頁。ISBN 978-4893503176。(原著 cosmic trigger, 1977)
  3. ^ デビッド・ジェイ・ブラウン、レベッカ・マクレン・ノビック『内的宇宙の冒険者たち-意識進化の現在形』菅靖彦訳、八幡書店 1995年。135頁。ISBN 978-4893503206

関連項目