「シノノメサカタザメ」の版間の差分
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|名称 = シノノメサカタザメ |
|名称 = シノノメサカタザメ |
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|色 = 動物界 |
|色 = 動物界 |
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|画像 = [[ファイル:Rhina ancylostoma-2.jpg|250px]] |
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|画像キャプション = '''シノノメサカタザメ'''<br />'' |
|画像キャプション = '''シノノメサカタザメ'''<br />''Rhina ancylostoma'' |
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| status_system = IUCN3.1 |
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|門 = [[脊索動物門]] [[:w:Chordata|Chordata]] |
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| status_ref =<ref name="iucn">{{IUCN2 |assessors=McAuley, R. and L.J.V. Compagno |year=2003 |id=41848 |title=''Rhina ancylostoma'' |version=2012.2}}</ref> |
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|目 = [[ガンギエイ目]] {{Sname||Rajiformes}} |
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|科 = '''シノノメサカタザメ科''' [[:w:Rhinidae|Rhinidae]] |
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|科 = '''シノノメサカタザメ科''' {{Sname||Rhinidae}}<br>[[ヨハネス・ペーター・ミュラー|J. P. Müller]] & [[ヤーコブ・ヘンレ|Henle]], 1841 |
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|属 = '''シノノメサカタザメ属''' {{Snamei||Rhina}}<br>Bloch & Schneider, 1801 |
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|種 = '''シノノメサカタザメ'''<br />{{Snamei|R. ancylostoma}} |
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|学名 = ''Rhina ancylostoma''<br />{{Taxonomist|Bloch}} & {{Taxonomist|Schneider}}, [[1801年|1801]] |
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|学名 = {{Snamei|Rhina ancylostoma}}<br />{{AUY|{{Taxonomist|Bloch}} & {{Taxonomist|Schneider}}|1801}} |
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|生息図 = [[ファイル:Rhina ancylostoma rangemap.png|250px]] |
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|生息図キャプション = 分布<ref name="last and stevens"/> |
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|シノニム = {{Snamei|Rhina cyclostomus}} <small>Swainson, 1839</small> |
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|英名 = [[:w:Bowmouth guitarfish|Bowmouth guitarfish]]<br />Shark ray<br />Mud skate |
|英名 = [[:w:Bowmouth guitarfish|Bowmouth guitarfish]]<br />Shark ray<br />Mud skate |
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|status = {{VU|IUCN=3.1}} |
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|status_ref= <ref name=iucn>McAuley, R. & Compagno, L.J.V. 2003. [http://www.iucnredlist.org/apps/redlist/details/41848/0 ''Rhina ancylostoma'']. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 27 December 2010.</ref> |
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'''シノノメサカタザメ''' (東雲坂田鮫、{{Snamei|Rhina ancylostoma}}) は'''シノノメサカタザメ科'''に属する[[エイ]]の一種。1科1属1種。外見や泳ぎ方は[[サメ]]のようであり、[[和名]]も「-ザメ」とつくことから、サメの[[仲間]]と間違われやすい。[[英語|英名]]では、Bowmouth guitarfish("Bowmouth"=弓状の[[吻]]、"Guitarfish"=サカタザメの仲間)やShark ray(サメのようなエイといった意)、Mud skate([[泥]]質の[[海底]]を好むことから。"Skate"=[[ガンギエイ]]型のエイ)といった呼び名がある。 |
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[[インド太平洋]]の[[熱帯域]]に分布し、90m以浅の沿岸域に生息する。丸い頭部、分厚い体、サメに似た大きな[[背鰭]]・[[尾鰭]]など特徴的な形態を持つ。頭部には棘の列がある。体は灰色で、白い斑点がある。歯はW字型に波打って並ぶ。 2.7m、135kgに達する。 |
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'''シノノメサカタザメ''' (東雲坂田鮫、''Rhina ancylostoma'') は、[[ガンギエイ目]]'''シノノメサカタザメ科'''に属する[[エイ]]。1科1属1種。暖かい[[海]]の[[海岸|沿岸]]に生息する大型のエイで、[[体長|全長]]3[[メートル|m]]になる。 |
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海底近くを泳ぎ回り、魚や[[甲殻類]]・[[貝類]]を捕食する。[[胎生]]である。漁や自然破壊の影響を受けており、[[IUCN]]は[[危急種]]と評価している。[[水族館]]でよく飼育される。 |
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外見や泳ぎ方は[[サメ]]のようであり、[[和名]]も「-ザメ」とつくことから、サメの[[仲間]]と間違われやすい。[[英語|英名]]では、Bowmouth guitarfish("Bowmouth"=弓状の[[吻]]、"Guitarfish"=サカタザメの仲間)やShark ray(サメのようなエイといった意)、Mud skate([[泥]]質の[[海底]]を好むことから。"Skate"=[[ガンギエイ]]型のエイ)といった呼び名がある。 |
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==分 |
== 分類 == |
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1801年、''Systema Ichthyologiae'' において、ドイツの[[博物学者]][[マルクス・エリエゼル・ブロッホ]]と[[ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー]]により[[記載]]された。[[ホロタイプ]]はインドの[[コロマンデル海岸]]で採集された51cmの個体であったが、現在は失われている。属名 {{Snamei|Rhina}} は[[ギリシャ語]]の ''rhinos'' ("snout")、[[種小名]] {{Snamei|ancylostoma}} は ''ankylos'' (曲がった) 、''stoma'' (口) に由来する<ref name="bloch and schneider"/><ref name="paepke"/>。記載に用いられた種小名は {{Snamei|ancylostomus}} であったが、命名規約に従い {{Snamei|ancylostoma}} に訂正されている<ref name="cas"/>。英名には shark ray・mud skate・shortnose mud skate・bow-mouthed angel fish・bow-mouthed angel sharkなどがある<ref name="fishbase"/>。 |
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[[インド洋]]・西[[太平洋]]の[[熱帯]]から[[温帯]][[海域]]に広く[[分布 (生物)|分布]]する。生息[[水深]]帯は3-90m<ref name=fishbase/>。沿岸性で、[[サンゴ礁]]や[[砕屑物|砂泥質]]の海底付近を好む。 |
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形態的には[[トンガリサカタザメ科]]や[[ガンギエイ科]]と類似点が多い<ref name="nishida"/><ref name="mceachran and aschliman"/><ref name="aschliman et al"/>。[[mtDNA]]を用いた分子系統解析では、トンガリサカタザメ科の[[姉妹群]]であるという結果が得られている<ref name="naylor et al"/>。現在は[[ガンギエイ目]]とすることが多いが、分子系統からは[[ノコギリザメ]]やサカタザメとともに新目{{Sname|Rhinopristiformes}}に含めることが提唱されている<ref name="mceachran and aschliman"/><ref name="naylor et al"/>。 |
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==形態== |
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最大で全長300[[センチメートル|cm]]、[[体重]]135.0[[キログラム|kg]]に達する<ref name=fishbase>[http://www.fishbase.org/Summary/SpeciesSummary.php?id=8729 ''Rhina ancylostoma''] Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2010.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version (09/2010).</ref>。エイとサメの[[中間]]のような体型だが、[[えら#魚類|鰓]]裂が[[腹]]面にあることからエイの仲間であることが分かる。[[背中|背]]側の体色は[[青]]みがかった[[灰色]]か[[茶色|褐色]]で、[[白]]色の斑[[模様]]がある。腹側は白色。[[未成魚|幼魚]]では斑模様がより顕著で、両[[目]]の間に暗色帯が複数本ある。吻は扁平で丸い。両目の上と、目の後ろから背中にかけて[[鋸]]状の隆起がある。2基の背[[鰭]]はいずれも背が高く、後縁は湾入している。尾鰭は[[鎌]]状で、上葉・下葉がはっきりしている。 |
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記載当初は、[[腹鰭]]が[[胸鰭]]の直後に位置することに基づきAbdominales目とされた。現在ではこの目は廃止されている<ref name="bloch and schneider"/>。本種をシノノメサカタザメ科に含める分類は、1841年の ''Systematische Beschreibung der Plagiostomen'' で提唱された。当時は"Rhinae"という名で、本種と[[トンガリサカタザメ属]]が含められていた<ref name="muller and henle"/>。サカタザメ科、トンガリサカタザメ科に含められたこともある<ref name="mceachran and aschliman"/><ref name="compagno and last"/>。2006年の ''Fishes of the World'' では、シノノメサカタザメ科には本種のみが含められている<ref name="aschliman et al"/><ref name="nelson"/>。 |
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==生態== |
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沿岸に生息するエイの一種だが、[[砂]]に潜ったり海底で休んだりする姿はほとんど見られず、常に海底付近を活発に遊泳する。他の多くのエイ類とは異なり、発達した尾鰭を左右に振って推進力を得る。 |
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== 形態 == |
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[[底生生物|底生]]性の[[甲殻類]]や[[貝類]]、[[硬骨魚類]]を[[捕食]]する。 |
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[[ファイル:Rhina ancylostoma georgia.jpg|thumb|upright=1.2|left|丸い頭部、盛り上がった背中、大きな鰭から容易に他種と区別できる。]] |
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2.7m、135kgに達する<ref name="last and stevens"/><ref name="fishbase"/>。頭部は短くて幅広く、上下に扁平である。吻は半円形である。including the medium-sized eyes and 大きな[[噴水孔]], 頭部は体と明瞭に区別できる。鼻孔は長く、横向きに位置し、後縁にはよく発達した鼻褶がある。下顎は3箇所が波打って突出し、上顎はそれに噛み合うように凹む<ref name="last and stevens"/><ref name="randall and hoover"/>。上顎の歯列は47、下顎は50で帯状に並ぶ。歯は短くて鈍く、歯冠は隆起する。[[鰓裂]]は5対で、頭部の縁近くの腹面に並ぶ<ref name="last and stevens"/><ref name="smith et al"/>。 |
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背鰭の前方で最も体高が高くなる。[[背鰭]]は鎌型で、第一背鰭は[[腹鰭]]の直上に位置し、第二背鰭の4/3程度の大きさである。第二背鰭は[[尾鰭]]と第一背鰭の中間に位置する。[[胸鰭]]は幅広く三角形で、頭部との境界は明瞭である。腹鰭は胸鰭よりはるかに小さく、[[臀鰭]]はない。尾は体より長く、尾鰭は三日月形である。尾鰭は上葉の方が長いが、下葉の2倍の長さには達しない<ref name="last and stevens"/><ref name="compagno and last"/><ref name="randall and hoover"/>。 |
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[[胎生]]。[[オス|雄]]は150-175cmで[[成熟]]する<ref name=australia>Last, P.R. and J.D. Stevens (2009). ''Sharks and Rays of Australia'' (second ed.). Harvard University Press.</ref>。 |
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背面は全体的に、細かい[[皮歯]]に密に覆われる。背の正中線には厚い隆起線があり、鋭く頑丈な棘の列がある。さらに、眼の前方、眼の上から噴水孔の後ろ、"肩"の部分、の3箇所にも棘の列がある。背面は青や茶色がかった灰色で、頭部の縁や胸鰭は淡くなる。鰭や体には白い斑点が散らばり、胸鰭には白で縁取られた黒い模様がある。眼の間には2本の黒い帯がある。腹面は灰色から白。幼魚では斑模様がより顕著である<ref name="last and stevens"/>。 |
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==人との関わり== |
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[[東南アジア]]などでは[[漁業]]の[[対象]]になる。さまざまな[[漁網]]で[[混獲]]される。[[肉]]は食用になり、大型[[個体]]の鰭は高値で[[取引]]される。[[ダイナマイト漁|ダイナマイトを用いた漁]]、[[サンゴ#白化現象|サンゴの白化]]、[[森林]][[伐採]]により引き起こされる[[堆積|シルテーション]]などで[[自然破壊|生息環境が破壊され]]、数は減少している<ref name=iucn/>。 |
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== 分布 == |
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[[日本]]では数は少なく、漁業の対象にはならない。まれに[[網]]にかかったものを[[水族館]]が引き取る場合がある。[[飼育]][[環境]]下でも長期間[[生存]]し、大型[[水槽]]を備えた各地の水族館で[[生体展示|展示]]している。 |
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稀種ではあるが、[[インド太平洋]]西部の熱帯域沿岸に広く分布する。インド洋では[[クワズール・ナタール州]]から[[紅海]]、[[セイシェル]]、[[モルディブ]]、[[インド]]から[[東南アジア]]・オーストラリアの[[シャーク湾]]まで。太平洋では、北は朝鮮半島・南日本、東はニューギニア、南は[[ニューサウスウェールズ]]まで<ref name="last and stevens"/><ref name="randall and hoover"/>。生息[[水深]]帯は3-90m。主に海底付近を遊泳するが、海底から離れることもある。[[砂泥底]]を好み、岩礁や[[サンゴ礁]]、[[沈没船]]などの周辺にも見られる<ref name="last and stevens"/><ref name="michael"/>。 |
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== 生態 == |
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[[砂]]に潜ったり海底で休んだりする姿はほとんど見られず、常に海底付近を活発に遊泳する。サメのように、発達した尾鰭を左右に振って推進力を得る。[[夜行性]]で、縄張りは持たない<ref name="ferrari and ferrari"/>。主に[[ニベ科]]などの[[底生魚]]、エビ・カニなどの[[甲殻類]]を食べる。[[二枚貝]]や[[頭足類]]を食べることもある。平たい歯によって、硬い殻を持つ餌を砕くことができる<ref name="compagno and last"/><ref name="raje"/>。2011年の[[安定同位体]]を用いた2個体の調査では、これまでの知見とは異なり、底生生物より外洋性生物をよく捕食している、という結論が得られた<ref name="borrell et al"/>。 |
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{{reflist}} |
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[[イタチザメ]]は本種を捕食することが知られている<ref name="simpfendorfer et al"/>。頭部の棘は、脅威に対処する際の武器として用いられるかもしれない<ref name="fishbase"/>。[[寄生虫]]として、[[条虫]]の {{Snamei||Carpobothrium rhinei}}<ref name="sarada et al"/>・ {{Snamei||Dollfusiella michiae}}<ref name="campbell and beveridge"/>・ {{Snamei||Nybelinia southwelli}}<ref name="palm and walter"/>・ {{Snamei||Stoibocephalum arafurense}}<ref name="cielocha and jensen"/>・ {{Snamei||Tylocephalum carnpanulatum}}<ref name="butler"/>、[[ウオビル科]]の[[アカメウミビル]]<ref name="de silva"/>、[[吸虫]]の {{Snamei||Melogonimus rhodanometra}}<ref name="bray et al"/>、[[単生類]]の {{Snamei||Branchotenthes robinoverstreeti}}<ref name="bullard and dippenaar"/>・ {{Snamei||Monocotyle ancylostomae}}<ref name="zhang et al"/>、[[カイアシ類]]の{{Snamei||Nesippus vespa}}<ref name="dippenaar et al"/>・ {{Snamei||Pandarus cranchii}} ・{{Snamei||Pandarus smithii}}<ref name="izawa"/>などが知られている。[[ホンソメワケベラ]]の掃除行動の対象となる<ref name="michael"/>。 |
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{{CommonsCat|Rhina ancylostoma}} |
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{{DEFAULTSORT:しののめさかたさめ}} |
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[[胎生]]で、胚は[[卵黄]]により成長する。雌は[[卵巣]]・[[子宮]]各1つずつが機能する。産仔数は2-11で、出生時は45-51 cm<ref name="michael"/><ref name="devadoss and matcha"/><ref name="last et al"/>。雄は1.5-1.8m、雌は1.8m以上で[[性成熟]]する。雌は雄より大きくなる<ref name="last and stevens"/><ref name="raje"/>。 |
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== 人との関わり == |
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[[File:shark ray newport.jpg|thumb|ニューポート水族館の飼育個体]] |
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[[底引き網]]、[[刺し網]]、釣りによって漁獲される<ref name="iucn"/>。[[ふかひれ]]は高値で取引されるが、肉も乾燥・塩蔵などの形で利用される。特に、インドでは本種の肉が珍重される<ref name="fishbase"/><ref name="raje"/>。網での捕獲時は、大型で皮膚が粗いため扱いづらいこと、網の中で暴れて他魚を傷つけることから嫌われている<ref name="last and stevens"/>。タイでは、背部の棘がブレスレットの作成に用いられる<ref name="fowler et al"/>。 |
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[[ダイナマイト漁]]、[[サンゴ#白化現象|サンゴの白化]]、[[森林伐採]]により引き起こされる[[堆積|シルテーション]]などによる[[自然破壊]]の影響を受けており、[[IUCN]]は[[危急種]]と評価している。インドネシアでは大型エイを対象とした刺し網漁が行われ、生息数が減少している。オーストラリアでは本種を対象とした漁は行われないため、[[準絶滅危惧]]と評価されている。{{仮リンク|ウミガメ排除装置|en|turtle excluder device}}の利用は本種にも有効である<ref name="iucn"/>。[[水族館]]ではよく飼育され、飼育下で7年生きた記録がある<ref name="last and stevens"/><ref name="michael"/>。2007年、[[ニューポート水族館]]は本種の[[飼育下繁殖]]プログラムを開始した<ref name="underwatertimes"/>。 |
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[[日本]]では数は少なく、漁業の対象にはならない。まれに[[網]]にかかったものを[[水族館]]が引き取る場合がある。 |
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== 脚注 == |
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{{reflist|colwidth=30em|refs= |
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<ref name="aschliman et al">{{cite book |author=Aschliman, N.C.; Claeson, K.M.; McEachran, J.D. |year=2012 |chapter=Phylogeny of Batoidea |editor=Carrier, J.C.; Musick, J.A.; Heithaus, M.R., eds |title=Biology of Sharks and Their Relatives |edition=second |pages=57–98 |publisher=CRC Press |isbn=1439839247}}</ref> |
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<ref name="bloch and schneider">{{cite book |author=Bloch, M.E.; Schneider, J.G. |year=1801 |title=Systema Ichthyologiae Iconibus CX Ilustratum |publisher=Berolini |page=352}}</ref> |
|||
<ref name="borrell et al">{{cite journal |title=Trophic ecology of elasmobranchs caught off Gujarat, India, as inferred from stable isotopes |author=Borrell, A.; Cardona, L.; Kumarran, R.P.; Aguilar, A. |journal=ICES Journal of Marine Science |volume=68 |issue=3 |pages=547–554 |doi=10.1093/icesjms/fsq170 |year=2011}}</ref> |
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<ref name="bray et al">{{cite journal |doi=10.1007/BF00009239 |author=Bray, R.A.; Brockerhoff, A.; Cribb, T.H. |title=''Melogonimus rhodanometra '' n. g., n. sp. (Digenea: Ptychogonimidae) from the elasmobranch ''Rhina ancylostoma'' Bloch & Schneider (Rhinobatidae) from the southeastern coastal waters of Queensland, Australia |journal=Systematic Parasitology |volume=30 |issue=1 |date=January 1995 |pages=11–18}}</ref> |
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<ref name="bullard and dippenaar">{{cite journal |title=''Branchotenthes robinoverstreeti'' n. gen. and n. sp. (Monogenea: Hexabothriidae) from Gill Filaments of the Bowmouth Guitarfish, ''Rhina ancylostoma'' (Rhynchobatidae), in the Indian Ocean |author=Bullard, S.A.; Dippenaar, S.M. |journal=The Journal of Parasitology |volume=89 |issue=3 |date=June 2003 |pages=595–601 |pmid=12880262 |doi=10.1645/0022-3395(2003)089[0595:BRNGAN]2.0.CO;2 |year=2003}}</ref> |
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<ref name="butler">{{cite journal |doi=10.1071/ZO9870343 |title=Taxonomy of Some Tetraphyllidean Cestodes From Elasmobranch Fishes |author=Butler, S.A. |journal=Australian Journal of Zoology |volume=35 |issue=4 |pages=343–371 |year=1987}}</ref> |
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<ref name="campbell and beveridge">{{cite journal |title=''Oncomegas aetobatidis'' sp nov (Cestoda: Trypanorhyncha), a re-description of ''O. australiensis'' Toth, Campbell & Schmidt, 1992 and new records of trypanorhynch cestodes from Australian elasmobranch fishes |author=Campbell, R.A.; Beveridge, I. |journal=Transactions of the Royal Society of South Australia |volume=133 |pages=18–29 |year=2009}}</ref> |
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<ref name="cas">{{cite web |editor=Eschmeyer, W.N. |title=''ancylostomus, Rhina'' |publisher=Catalog of Fishes |url=http://research.calacademy.org/research/ichthyology/catalog/fishcatget.asp?tbl=species&spid=7020 |accessdate=May 14, 2013}}</ref> |
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<ref name="cielocha and jensen">{{cite journal |title=''Stoibocephalum'' n. gen. (Cestoda: Lecanicephalidea) from the sharkray, ''Rhina ancylostoma'' Bloch & Schneider (Elasmobranchii: Rhinopristiformes), from northern Australia |author=Cielocha, J.J.; Jensen, K. |journal=Zootaxa |volume=3626 |issue=4 |pages=558–568 |year=2013 |doi=10.11646/zootaxa.3626.4.9}}</ref> |
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<ref name="compagno and last">{{cite book |chapter=Rhinidae |author=Compagno, L.J.V.; Last, P.R. |pages=1418–1422 |editor=Carpenter, K.E.; Niem, V.H., eds |title=FAO Identification Guide for Fishery Purposes: The Living Marine Resources of the Western Central Pacific |publisher=Food and Agricultural Organization of the United Nations |year=1999 |isbn=92-5-104302-7}}</ref> |
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<ref name="de silva">{{cite journal |title=The occurrence of ''Pontobdella (Pontobdellina) macrothela'' Schmarda and ''Pontobdella aculeata'' Harding in the Wadge Bank |author=de Silva, P.H.D.H. |journal=Spolia Zeylanica |volume=30 |issue=1 |pages=35–39 |year=1963}}</ref> |
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<ref name="devadoss and matcha">{{cite journal |title=Some observations on the rare bow-mouth guitar fish ''Rhina ancylostoma'' |author=Devadoss, P.; Batcha, H. |journal=Indian Council of Agricultural Research Marine Fisheries Information Service Technical and Extension Series |volume=138 |pages=10–11 |year=1995}}</ref> |
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<ref name="dippenaar et al">{{cite journal |title=Cytochrome oxidase I sequences reveal possible cryptic diversity in the cosmopolitan symbiotic copepod ''Nesippus orientalis'' Heller, 1868 (Pandaridae: Siphonostomatoida) on elasmobranch hosts from the KwaZulu-Natal coast of South Africa |author=Dippenaar, S.M.; Mathibela, R.B.; Bloomer, P. |journal=Experimental Parasitology |volume=125 |issue=1 |pages=42–50 |year=2010 |doi=10.1016/j.exppara.2009.08.017 |pmid=19723521}}</ref> |
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<ref name="ferrari and ferrari">{{cite book |title=Sharks |author=Ferrari, A.; Ferrari, A. |publisher=Firefly Books |year=2002 |isbn=1-55209-629-7 |page=203}}</ref> |
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<ref name="fishbase">{{cite web |editor=Froese, R.; Pauly, D. |year=2011 |url=http://www.fishbase.org/summary/Rhina-ancylostoma.html |title=''Rhina ancylostoma'', Bowmouth guitarfish |publisher=FishBase |accessdate=May 14, 2013}}</ref> |
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<ref name="fowler et al">{{cite book |editors=Fowler, S.L.; Reed, T.M.; Dipper, F.A. |year=2002 |title=Elasmobranch Biodiversity, Conservation and Management: Proceedings of the International Seminar and Workshop, Sabah, Malaysia, July 1997 |publisher=IUCN SSC Shark Specialist Group |isbn=2-8317-0650-5 |page=112}}</ref> |
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<ref name="izawa">{{cite journal |title=Redescription of eight species of parasitic copepods (Siphonostomatoida, Pandaridae) infecting Japanese elasmobranchs |author=Izawa, K. |journal=Crustaceana |volume=83 |issue=3 |pages=313–341 |doi=10.1163/001121609X12591347509329 |year=2010}}</ref> |
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<ref name="last and stevens">{{cite book |title=Sharks and Rays of Australia |author=Last, P.R.; Stevens, J.D. |edition=second |publisher=Harvard University Press |year=2009 |isbn=0-674-03411-2 |pages=299–300}}</ref> |
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<ref name="last et al">{{cite book |title=Sharks and Rays of Borneo |publisher=CSIRO Publishing |year=2010 |isbn=978-1-921605-59-8 |pages=146–147 |author=Last, P.R.; White, W.T.; Caire, J.N.; Dharmadi; Fahmi; Jensen, K.; Lim, A.P.F.; Manjaji-Matsumoto, B.M.; Naylor, G.J.P.; Pogonoski, J.J.; Stevens, J.D.; Yearsley, G.K.}}</ref> |
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<ref name="mceachran and aschliman">{{cite book |chapter=Phylogeny of Batoidea |author=McEachran, J.D. and N. Aschliman |pages=79–113 |title=Biology of Sharks and Their Relatives |editor=Carrier, L.C., J.A. Musick, and M.R. Heithaus |publisher=CRC Press |year=2004 |isbn=0-8493-1514-X}}</ref> |
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<ref name="michael">{{cite book |author=Michael, S.W. |title=Reef Sharks & Rays of the World |publisher=Sea Challengers |year=1993 |isbn=0-930118-18-9 |page=71}}</ref> |
|||
<ref name="muller and henle">{{cite book |author=Müller, J.; Henle, F.G.J. |year=1841 |title=Systematische Beschreibung der Plagiostomen (volume 2) |publisher=Veit und Comp. |page=110}}</ref> |
|||
<ref name="naylor et al">{{cite journal |author=Naylor, G.J.; Caira, J.N.; Jensen, K.; Rosana, K.A.; Straube, N.; Lakner, C. |year=2012 |chapter=Elasmobranch phylogeny: A mitochondrial estimate based on 595 species |title=The Biology of Sharks and Their Relatives |pages=31–57 |edition=second |editor=Carrier, J.C.; Musick, J.A.; Heithaus, M.R., eds |publisher=CRC Press |isbn=1-4398-3924-7}}</ref> |
|||
<ref name="nelson">{{cite book |title=Fishes of the World |author=Nelson, J.S. |edition=fourth |publisher=John Wiley |year=2006 |isbn=0-471-25031-7 |pages=71–74}}</ref> |
|||
<ref name="nishida">{{cite journal |author=Nishida, K. |year=1990 |title=Phylogeny of the suborder Myliobatoidei |journal=Memoirs of the Faculty of Fisheries, Hokkaido University |volume=37 |pages=1–108}}</ref> |
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2014年7月26日 (土) 00:38時点における版
シノノメサカタザメ | |||||||||||||||||||||
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シノノメサカタザメ
Rhina ancylostoma | |||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Rhina ancylostoma Bloch & Schneider, 1801 | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
Rhina cyclostomus Swainson, 1839 | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Bowmouth guitarfish Shark ray Mud skate | |||||||||||||||||||||
分布[2]
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シノノメサカタザメ (東雲坂田鮫、Rhina ancylostoma) はシノノメサカタザメ科に属するエイの一種。1科1属1種。外見や泳ぎ方はサメのようであり、和名も「-ザメ」とつくことから、サメの仲間と間違われやすい。英名では、Bowmouth guitarfish("Bowmouth"=弓状の吻、"Guitarfish"=サカタザメの仲間)やShark ray(サメのようなエイといった意)、Mud skate(泥質の海底を好むことから。"Skate"=ガンギエイ型のエイ)といった呼び名がある。
インド太平洋の熱帯域に分布し、90m以浅の沿岸域に生息する。丸い頭部、分厚い体、サメに似た大きな背鰭・尾鰭など特徴的な形態を持つ。頭部には棘の列がある。体は灰色で、白い斑点がある。歯はW字型に波打って並ぶ。 2.7m、135kgに達する。
海底近くを泳ぎ回り、魚や甲殻類・貝類を捕食する。胎生である。漁や自然破壊の影響を受けており、IUCNは危急種と評価している。水族館でよく飼育される。
分類
1801年、Systema Ichthyologiae において、ドイツの博物学者マルクス・エリエゼル・ブロッホとヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダーにより記載された。ホロタイプはインドのコロマンデル海岸で採集された51cmの個体であったが、現在は失われている。属名 Rhina はギリシャ語の rhinos ("snout")、種小名 ancylostoma は ankylos (曲がった) 、stoma (口) に由来する[3][4]。記載に用いられた種小名は ancylostomus であったが、命名規約に従い ancylostoma に訂正されている[5]。英名には shark ray・mud skate・shortnose mud skate・bow-mouthed angel fish・bow-mouthed angel sharkなどがある[6]。
形態的にはトンガリサカタザメ科やガンギエイ科と類似点が多い[7][8][9]。mtDNAを用いた分子系統解析では、トンガリサカタザメ科の姉妹群であるという結果が得られている[10]。現在はガンギエイ目とすることが多いが、分子系統からはノコギリザメやサカタザメとともに新目Rhinopristiformesに含めることが提唱されている[8][10]。
記載当初は、腹鰭が胸鰭の直後に位置することに基づきAbdominales目とされた。現在ではこの目は廃止されている[3]。本種をシノノメサカタザメ科に含める分類は、1841年の Systematische Beschreibung der Plagiostomen で提唱された。当時は"Rhinae"という名で、本種とトンガリサカタザメ属が含められていた[11]。サカタザメ科、トンガリサカタザメ科に含められたこともある[8][12]。2006年の Fishes of the World では、シノノメサカタザメ科には本種のみが含められている[9][13]。
形態
2.7m、135kgに達する[2][6]。頭部は短くて幅広く、上下に扁平である。吻は半円形である。including the medium-sized eyes and 大きな噴水孔, 頭部は体と明瞭に区別できる。鼻孔は長く、横向きに位置し、後縁にはよく発達した鼻褶がある。下顎は3箇所が波打って突出し、上顎はそれに噛み合うように凹む[2][14]。上顎の歯列は47、下顎は50で帯状に並ぶ。歯は短くて鈍く、歯冠は隆起する。鰓裂は5対で、頭部の縁近くの腹面に並ぶ[2][15]。
背鰭の前方で最も体高が高くなる。背鰭は鎌型で、第一背鰭は腹鰭の直上に位置し、第二背鰭の4/3程度の大きさである。第二背鰭は尾鰭と第一背鰭の中間に位置する。胸鰭は幅広く三角形で、頭部との境界は明瞭である。腹鰭は胸鰭よりはるかに小さく、臀鰭はない。尾は体より長く、尾鰭は三日月形である。尾鰭は上葉の方が長いが、下葉の2倍の長さには達しない[2][12][14]。
背面は全体的に、細かい皮歯に密に覆われる。背の正中線には厚い隆起線があり、鋭く頑丈な棘の列がある。さらに、眼の前方、眼の上から噴水孔の後ろ、"肩"の部分、の3箇所にも棘の列がある。背面は青や茶色がかった灰色で、頭部の縁や胸鰭は淡くなる。鰭や体には白い斑点が散らばり、胸鰭には白で縁取られた黒い模様がある。眼の間には2本の黒い帯がある。腹面は灰色から白。幼魚では斑模様がより顕著である[2]。
分布
稀種ではあるが、インド太平洋西部の熱帯域沿岸に広く分布する。インド洋ではクワズール・ナタール州から紅海、セイシェル、モルディブ、インドから東南アジア・オーストラリアのシャーク湾まで。太平洋では、北は朝鮮半島・南日本、東はニューギニア、南はニューサウスウェールズまで[2][14]。生息水深帯は3-90m。主に海底付近を遊泳するが、海底から離れることもある。砂泥底を好み、岩礁やサンゴ礁、沈没船などの周辺にも見られる[2][16]。
生態
砂に潜ったり海底で休んだりする姿はほとんど見られず、常に海底付近を活発に遊泳する。サメのように、発達した尾鰭を左右に振って推進力を得る。夜行性で、縄張りは持たない[17]。主にニベ科などの底生魚、エビ・カニなどの甲殻類を食べる。二枚貝や頭足類を食べることもある。平たい歯によって、硬い殻を持つ餌を砕くことができる[12][18]。2011年の安定同位体を用いた2個体の調査では、これまでの知見とは異なり、底生生物より外洋性生物をよく捕食している、という結論が得られた[19]。
イタチザメは本種を捕食することが知られている[20]。頭部の棘は、脅威に対処する際の武器として用いられるかもしれない[6]。寄生虫として、条虫の Carpobothrium rhinei[21]・ Dollfusiella michiae[22]・ Nybelinia southwelli[23]・ Stoibocephalum arafurense[24]・ Tylocephalum carnpanulatum[25]、ウオビル科のアカメウミビル[26]、吸虫の Melogonimus rhodanometra[27]、単生類の Branchotenthes robinoverstreeti[28]・ Monocotyle ancylostomae[29]、カイアシ類のNesippus vespa[30]・ Pandarus cranchii ・Pandarus smithii[31]などが知られている。ホンソメワケベラの掃除行動の対象となる[16]。
胎生で、胚は卵黄により成長する。雌は卵巣・子宮各1つずつが機能する。産仔数は2-11で、出生時は45-51 cm[16][32][33]。雄は1.5-1.8m、雌は1.8m以上で性成熟する。雌は雄より大きくなる[2][18]。
人との関わり
底引き網、刺し網、釣りによって漁獲される[1]。ふかひれは高値で取引されるが、肉も乾燥・塩蔵などの形で利用される。特に、インドでは本種の肉が珍重される[6][18]。網での捕獲時は、大型で皮膚が粗いため扱いづらいこと、網の中で暴れて他魚を傷つけることから嫌われている[2]。タイでは、背部の棘がブレスレットの作成に用いられる[34]。
ダイナマイト漁、サンゴの白化、森林伐採により引き起こされるシルテーションなどによる自然破壊の影響を受けており、IUCNは危急種と評価している。インドネシアでは大型エイを対象とした刺し網漁が行われ、生息数が減少している。オーストラリアでは本種を対象とした漁は行われないため、準絶滅危惧と評価されている。ウミガメ排除装置の利用は本種にも有効である[1]。水族館ではよく飼育され、飼育下で7年生きた記録がある[2][16]。2007年、ニューポート水族館は本種の飼育下繁殖プログラムを開始した[35]。
日本では数は少なく、漁業の対象にはならない。まれに網にかかったものを水族館が引き取る場合がある。
脚注
- ^ a b c McAuley, R. and L.J.V. Compagno (2003). "Rhina ancylostoma". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2012.2. International Union for Conservation of Nature.
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- ^ a b Bloch, M.E.; Schneider, J.G. (1801). Systema Ichthyologiae Iconibus CX Ilustratum. Berolini. p. 352
- ^ Paepke, H.J. (2000). Bloch's Fish Collection in the Museum für Naturkunde der Humboldt-Universität zu Berlin: An Illustrated Catalog and Historical Account. Koeltz Scientific Books. pp. 122–123. ISBN 3-904144-16-2
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