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2016年6月8日 (水) 02:40時点における版
だざい ひさお 太宰 久雄 | |
---|---|
本名 | 太宰 久雄 |
別名義 | タコ社長 |
生年月日 | 1923年12月26日 |
没年月日 | 1998年11月20日(74歳没) |
出生地 | 日本東京都台東区 |
ジャンル | 俳優 |
活動期間 | 1946年 - 1995年 |
主な作品 | |
男はつらいよシリーズ |
太宰 久雄(だざい ひさお、1923年12月26日 - 1998年11月20日)は、日本の俳優。東京市浅草区(現・東京都台東区浅草)出身。映画『男はつらいよ』シリーズのタコ社長(桂梅太郎)役で有名な俳優である。同映画において渥美清演じる車寅次郎との掛け合いは、映画の見所のひとつであった。
来歴・人物
浅草の海苔問屋の息子として生まれる。タコ社長役で見られた髪型は、父・久吉をモデルにしたもので、当時の浅草の海苔問屋の商人たちの間で流行っていた髪形であるといわれている(あのように、独特のウェーブは魚の鯔の背中の姿を模しているから、イナセと呼ばれる江戸時代に流行ったスタイルでもあった)。
中学時代、軍事教練で、間近で機関銃を撃たれ耳が少々悪くなる。それ以来声が他人より一オクターブ高くなってしまった。それはコンプレックスでもあったが、後に俳優として活きることにもなる。
元々俳優志望ではなく、昭和第一商業学校(現・昭和第一高等学校)を経て日本大学商学部を中退後、実家の海苔問屋を手伝った時期もあり、いずれは家業を継ぐつもりであったが、東京大空襲で店が全焼。戦後の1946年、生活の道を求めてNHK東京放送劇団に入団。独特の高い声を活かしラジオの声優として活躍。この頃に三崎千恵子など、後の「男はつらいよ」シリーズで共演する人たちと知り合う。
役者としてステップアップするために、1955年フリーに。その後、黎明期であったテレビで活躍する一方、映画にも進出。1965年、フランク・シナトラ監督主演の日米合作映画「勇者のみ」での演技が高く評価される。1966年には渥美清演じるドラマ「泣いてたまるか」に出演し、掛けあいの面白さが注目される。
後に、渥美の代表作「男はつらいよ」シリーズで「とらや」の裏で印刷工場を営む、気は短く一言多いがどこか憎めないタコ社長の役で全48作全てに出演し、渥美演じる寅次郎との掛けあいのシーンは、映画館やお茶の間を爆笑の渦に巻き込んだ。また、山田洋次作品常連として、「男はつらいよ」以外の数々の作品にも出演している。
プライベートでは1970年に前夫人の女優:小野舜子を癌で亡くし、三崎千恵子の紹介で知り合った雅子夫人と1977年に再婚。
1987年頃からは仕事上のストレスによる飲みすぎから糖尿病との闘病が続き、「男はつらいよ」も含め、メディアの露出も控え気味だった。1996年7月、糖尿病による視力障害の検査で病院に訪れた際に癌が見つかり告知された。入院中だった同年8月、渥美清が死去。同年の8月13日に開かれた「寅さんとのお別れの会」に出席した後は見舞いも断っていたという(このような経緯もあり同年公開の虹をつかむ男に出演オファーはあったが断念している。)。
1998年11月20日、胃癌により東京大学医学部附属病院分院にて死去。74歳没。
『葬式無用。弔問供物辞すること。生者は死者のため煩わさるべからず。平成9年2月26日 太宰久雄』という夫人宛の遺言と共に、その死が公表されたのは10日後。三崎千恵子に「このまま伏せておくのはどうかしら」と言われた雅子夫人が松竹に相談してのことだった(ちなみにこの遺言は、公表翌日の朝日新聞「天声人語」などで取り上げられ、死のあり方について一石を投じた)。
エピソード
- 映画「男はつらいよ」で共演した俳優の前田吟によれば、大変シャイな性格で、人前で話したり演技するのは実は苦手だった。そして、大変な苦労人であり、努力家であった。
- フリーになってから数年は試行錯誤の時代だったらしく、一時は肩書きを「コメディアン」としていた。
- 独特の髪型は自分でバリカンで刈っていた。ちなみにタコ社長以前は本人曰く「流れるような長髪」だった。
- 本物の社長のように分厚い財布を所持していたが、中身は全て千円札。これは買い物の際、一万円札だとお店の人がお釣りに困るからという心遣いからだった。
- 再婚までの間は息子達のため家事一切を受け持っていた。その事については「いや~お恥ずかしい」と照れながら語っていた。
- 糖尿病により痩せてきた頃、「これじゃあイカ社長だよ」と自ら冗談にして共演者に話していたという。
- タコ社長と寅さんが取っ組み合いの喧嘩をするシーンについて、「渥美清が相手だと全然痛くなかった。立ち回りの手加減の仕方が絶妙でしたね」と語っていた。一方、太宰は乱闘シーンが下手で、前田吟が後年語るには「社長には本当に殴られたこともあった(笑)」とのこと。
- 長年映画で共演してきた渥美清が死去したという知らせを太宰は入院先の病院で知った。死去の報を聞いた太宰は、病室のベッドの上で唇を噛みしめて押し黙っていたという。
- 山田洋次のコメントによると、「つらい。役者を辞めたい」と何度も相談を受けその度に引き止めていたとのこと。
- タコ社長として1978年にはニッポン放送で「タコ社長のマンモス歌謡ワイド」という番組を受け持っていた。
- 「タコ」のあだ名は、撮影中の渥美清から発せられたアドリブである。
出演作品
テレビドラマ
- 新婚日記(1954年、NHK) ※テレビ試験放送
- れれかんちゅん物語(1956年、日本テレビ)
- 喜劇(コメディ)日本意外史(1956年、日本テレビ)
- 花咲ける武士道(1957年、日本テレビ)
- 火星を買った男(1957年、日本テレビ)
- おいらの町(1957年、NHK)
- 月影剣法(1958年、日本テレビ)
- 勝海舟(1958年、日本テレビ)
- あんみつ姫(1958年、KR)
- あんみつ姫の乳兄妹(1959年、KR)
- ボッコちゃんと彼(1960年、KR)
- 雑草の歌 第119回「社会復帰学校」、第140回「小島のバク」(1960年、KR)
- 笑えば天国(1961年、フジテレビ)
- ある殺人 前編・後編(1961年、フジテレビ)
- スタイロールの犯罪(1961年、TBS)
- 能面の家(1962年、NET)
- お気に召すまま 第5回「幽霊会社」(1962年、NET)
- コメディ フランキーズ 第21回・第22回「新選組粗末記 前後編」(1963年、TBS)
- 東京の昼と夜(1963年、NHK)
- 孤独の賭け(1963年、NET)
- いつか青空(1964年、TBS)
- ちゃっきり金太(1964年、日本テレビ)
- 特別機動捜査隊 第150回「脅迫」(1964年、NET)
- 悪魔のようなすてきな奴(1964年、NET)
- 太閤記(1965年、NHK大河ドラマ)
- アッちゃんシリーズ(日本テレビ)
- アッちゃん(1965年)
- 続アッちゃん(1965年)
- 新アッちゃん(1966年)
- マダムと駅長(1965年、日本テレビ)
- アスファルトジャングル(1965年、NET)
- 悪の紋章(1965年、NET)
- 特別機動捜査隊 第220回「丙午」(1966年、NET)
- 愛妻くん 第8回「妻よ太陽のごとく」(1966年、TBS)
- 泣いてたまるか 第44回「先生しごかれる」第53回「東京流れ者」(1966年 - 1968年、TBS)
- 快獣ブースカ 第24話「ぼくは一等賞」、第44話「チビッコ台風」(1966年、日本テレビ)
- コメットさん(1967年、TBS)
- 日高川 第6回(1967年、TBS)
- でっかい青春 第38話「青春のキャンパス」(1967年 - 1968年、日本テレビ)
- 日本剣客伝 第3話「上泉伊勢守」(1968年、NET)
- どじょっこさん 第8話(1968年、ABC)
- 河童の三平 妖怪大作戦 第4話(1968年 - 1969年、NET)
- キイハンター 第213話「ずっこけスパイハレンチ大学」(1968年 - 1973年、日本テレビ)
- 炎の青春 第2話、第10話(1969年、日本テレビ)
- 女殺し屋 花笠お竜 第6話「殺人街道に花が舞う」(1969年、東京12チャンネル)
- 湖畔の妖女(1969年、NET)
- 日本任侠伝 第3話「清水の小政」(1969年、NET)
- 恐怖シリーズ 怪人二十面相 夜光人間(1970年、東京12チャンネル)
- 特別機動捜査隊(1971年、NET) 第505回「あるアイディア」
- おれは男だ!(1971年、日本テレビ) 第36話「星の国から来たあいつ!」
- 時間ですよ(1971年、TBS)第61回
- 好き! すき!! 魔女先生 第7話、第9話、第15話、第16話(1971年 - 1972年、ABC)
- すし屋のケンちゃん(1971年、TBS)
- 人造人間キカイダー 第16話「女ベニクラゲが三途の川へ招く」(1972年、NET)
- 夫婦日記 春の子守歌(1973年、日本テレビ)
- それぞれの秋 第2話(1973年、TBS)
- 顔で笑って 第3話(1973年、TBS)
- 東芝日曜劇場(HBC)
- 九〇〇回記念 ふるさとシリーズ 幼なじみ(1974年、HBC)
- 乙姫先生(1976年)
- 北へ翔ぶ日(1979年、HBC)
- 伜(1979年、TBS)
- 高校教師 第23話(1974年、東京12チャンネル)
- ふたりは夫婦 第1回「食客いそうろう」(1974年、フジテレビ)
- 明日また(1975年、TBS)
- たんぽぽシリーズ(日本テレビ)
- たんぽぽ2(1975年)
- たんぽぽ3(1976年)
- たんぽぽ4(1977年)
- たんぽぽ5(1978年)
- わが美わしの友(1975年、NHK)
- Gメン'75(1975年 - 1982年、TBS)第344話「真夜中の眼」
- あかんたれ 第191話(1976年、東海テレビ・CX系) - 警察署長
- パパは独身(1976年、TBS)
- 銭形平次 第554話「銭埋む!百三十五両」(1976年、CX)
- 明日の刑事 第48話「子殺しの子守唄」(1978年、TBS)
- おはなちゃん繁昌記(1978年、テレビ朝日)
- 俺はあばれはっちゃく 第14話「泳げ鯉のぼり○ヒ作戦」(1979年、テレビ朝日) - 大熊先生
- 銀河テレビ小説 愛さずにはいられない(1980年、NHK)
- 花嫁の父(1981年、YTV)
- あこがれベビー(1981年、日本テレビ)
- 続・思えば遠くへ来たもんだ(1981年、TBS)
- 火曜サスペンス劇場 思い出さないで!!(1981、日本テレビ)
- 源さん(1983年、日本テレビ)
- 泉ピン子の がんばれ!ジャガーズ(1983年、フジテレビ)
- 月曜ドラマランド(フジテレビ)
- ぐうたらママ1(1983年)
- ぐうたらママ2 またまた吹き荒れるドジ旋風 犬を飼ってはいけないと熊は言った?!(1983年)
- ぐうたらママ3 ぐうたらママ怒る(1984年)
- さよなら!ぐうたらママ(1984年)
- 結婚ゲーム1(1985年、フジテレビ)
- 花王名人劇場 春風亭柳昇の与太郎戦記 ああ出征の巻(1983年、KTV)
- 土曜ワイド劇場 大豪邸に残された嫁姑 銀座うしの時参り殺人 屋根の上を走るネグリジェ女(1984年、ABC)
- 昭和史ドラマシリーズ 円谷幸吉に勝った男(1984年、TBS)
- 輝きたいの(1984年、TBS)
- 青い瞳の聖ライフ(1984年 - 1985年、フジテレビ)
- 月曜ワイド劇場 母になれない女・前夫、夫、情夫、3人の男に愛された女がなぜ赤ん坊を川に投げ捨てたか?(1985年、テレビ朝日)
- 高円寺純情商店街(1990年、テレビ朝日)
- ドラマチック22 女房を上司に持つ夫(1991年、TBS)
映画
- 人生劇場 青春篇(1958年)
- 消えた私立探偵(1958年)
- 黒い花びら(1960年)
- 勇者のみ(1965年)
- 大工太平記(1965年)
- 花のお江戸の法界坊(1965年)
- あんま太平記(1965年)
- 愛の讃歌(1967年)
- みな殺しの霊歌(1968年)
- 「男はつらいよ」シリーズ(全48作、1969年 - 1995年)
- 喜劇 男は愛敬(1970年)
- 家族(1970年)
- 経験(1970年)
- 誰かさんと誰かさんが全員集合!!(1970年)
- 喜劇 命のお値段(1971年)
- 喜劇 頑張らなくっちゃ!(1971年)
- セックス喜劇 鼻血ブー(1971年)
- 喜劇 大泥棒(1971年)
- 女子学園 おとなの遊び(1971年)
- 喜劇 泥棒大家族 天下を取る(1972年)
- 喜劇 日本列島震度0(1973年)
- 温泉おさな芸者(1973年)
- 愛ってなんだろ(1973年)
- 喜劇 だましの仁義(1974年)
- 東京ド真ン中(1974年)
- ムツゴロウの結婚記(1974年)
- 晩歌(1976年)
- 若い人(1977年)
- 幸福の黄色いハンカチ(1977年)
- 春男の翔んだ空(1977年)
- イーハトーブの赤い屋根(1978年)
- 俺たちの交響楽(1979年)
- 青葉学園物語(1981年)
- 愛情物語(1984年)
劇場アニメ
- アラビアンナイト シンドバッドの冒険(1962年) - アブダラ
- くるみ割り人形(1979年) - 従隊長
- シュンマオ物語タオタオ(1981年) - 園長
人形劇
- TV連続マリオネット テレビ天助(1955年 - 1956年、NHK)
- チロリン村とくるみの木(1956年、NHK) - ナンナンカボチャ
ラジオ
CM
- 久光製薬「サロンパス」(1981年)
- ヤクルト本社「ミルミル」
- 日本IBM「AS/400」
- アマノ「タイムレコーダー」
- 中小企業庁(1982年)
- KSD(中小企業経営者福祉事業団)
- 国鉄「ポートピア’81」
- カイゲン「改源」
その他
- ビデオ「ケンコウ宣言」(1988年、労働基準調査会)