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「セイヨウトチノキ」の版間の差分

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かつて、トチの実は[[フランス]]や[[スイス]]で[[アサ|麻]]や[[アマ (植物)|亜麻]]、[[絹]]、[[ウール|羊毛]]等の脱色に用いられていた。[[石鹸]]分を含むため、6リットルの水当たり20個の実の皮をむいてやすりをかけるか乾燥させ、石臼で挽いて[[リンネル]]や毛織物等の洗濯に利用されていた。
かつて、トチの実は[[フランス]]や[[スイス]]で[[アサ|麻]]や[[アマ (植物)|亜麻]]、[[絹]]、[[ウール|羊毛]]等の脱色に用いられていた。[[石鹸]]分を含むため、6リットルの水当たり20個の実の皮をむいてやすりをかけるか乾燥させ、石臼で挽いて[[リンネル]]や毛織物等の洗濯に利用されていた。


セイヨウトチノキは[[ギリシア]]の山地に自生していたものの、[[ヨーロッパ]]の他地方では知られていなかった。[[オーストリア]]大使として[[オスマン帝国]]に駐在していた[[オージェ・ギスラン・ド・ブスベック|ブスベック]]はヨーロッパに[[チューリップ]]を伝えたことで知られているが、[[1557年]]、そのブスベックが[[コンスタンティノープル]](現在の[[イスタンブル]])でセイヨウトチノキについた書いた文章が最古の文献となる。[[1576年]]に[[ウィーン]]で植樹されたのち、次々とヨーロッパの並木として、また[[公園]]樹木として利用されるという流行を見た。現在も[[街路樹|並木]]として、また公園や[[レストラン]]の中庭などで夏の木陰を提供していて、例えば[[フランス]]・[[パリ]]の[[シャンゼリゼ通り]]の並木がよく知られている。
セイヨウトチノキは[[ギリシア]]の山地に自生していたものの、[[ヨーロッパ]]の他地方では知られていなかった。[[オーストリア]]大使として[[オスマン帝国]]に駐在していた[[オージェ・ギスラン・ド・ブスベック|ブスベック]]はヨーロッパに[[チューリップ]]を伝えたことで知られているが、[[1557年]]、そのブスベックが[[コンスタンティノープル]](現在の[[イスタンブル]])でセイヨウトチノキについた書いた文章が最古の文献となる。[[1576年]]に[[ウィーン]]で植樹されたのち、次々とヨーロッパの並木として、また[[公園]]樹木として利用されるという流行を見た。現在も[[街路樹|並木]]として、また公園や[[レストラン]]の中庭などで夏の木陰を提供していて、例えば[[フランス]]・[[パリ]]の[[シャンゼリゼ通り]]の並木がよく知られている。


セイヨウトチノキはバッチフラワーにも用いられている。つぼみが用いられると"Chestnut Bud"、花が用いられると"White Chestnut"と呼ばれる。
セイヨウトチノキはバッチフラワーにも用いられている。つぼみが用いられると"Chestnut Bud"、花が用いられると"White Chestnut"と呼ばれる。

2016年10月18日 (火) 12:31時点における版

セイヨウトチノキ
セイヨウトチノキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: トチノキ科 Hippocastanaceae
: トチノキ属 Aesculus
: セイヨウトチノキ A. hippocastanum
学名
Aesculus hippocastanum
L.
和名
セイヨウトチノキ(西洋栃の木)

セイヨウトチノキ(Horse-chestnut, Conker tree)は、大型の落葉樹である。マロニエ(仏、marronnier)とも言う。

分布

セイヨウトチノキはギリシアアルバニアマケドニア共和国セルビアブルガリア等、バルカン半島の山地の狭い地域に自生する[1]。また温帯地域では、世界中で広く栽培されている。

生育

セイヨウトチノキの花

成長すると36mの高さになり、ドーム状の樹冠が形成される。葉は、各々13cmから30cmの小葉が5から7枚向かい合って付き、7cmから20cmの葉柄を持つ60cm程度の手のひら型となる。葉が落ちた後に枝に残る葉痕は、7つの「爪」を備えた特徴的な馬蹄形になる。花は通常白色で赤い斑点があり、春に咲く。20個から50個の小花からなる円錐花序で、高さは10cmから30cmになる。それぞれの円錐花序からは、通常1個から5個の果実だけができる。果実は緑色で柔らかいとげのあるカプセル状で、1つの(稀に2つか3つの)トチの実と呼ばれるナッツのような種子を持つ。トチの実は直径2cmから4cm、光沢のある茶色であり、底に白色の跡がある[2]

語源

英名をhorse-chestnutというのは、この木はクリの仲間であるという誤解と、の胸部疾患の治療に用いられたことに由来する[3]

利用

セイヨウトチノキの葉と幹

春に咲く美しい花のための栽培は、夏が暑すぎない気候の領域で成功している。その北限は、カナダエドモントンアルバータ[4]ノルウェーフェロー諸島[5]ハーシュタ等である。南方では、冷涼な山地が生育に適している。

イギリスアイルランドでは、種子が子供の遊びに使われている。2つの大戦の間、トチの実はデンプンの原料として使われ、このデンプンはハイム・ヴァイツマンの考案したClostridium acetobutylicum発酵法を用いてアセトンの合成に用いられた。アセトンはバリスタイトからのコルダイトの成形の溶剤として用いられた。

若くて新鮮な実はアルカロイドサポニングルコシダーゼを含み、弱毒である。触れるだけでは危険ではないが、食べると病気になる恐れがある。シカ等のある種の哺乳類は、毒を分解し、安全に食べることができる。馬にとっては健康に良いと言われるが、証明はされておらず、馬に与えることは賢明ではない。しかしサポニンアエスシンは、静脈瘤浮腫捻挫等に対して健康目的で用いられ、食品添加物としても入手できる[6]

セイヨウトチノキの種子

かつて、トチの実はフランススイス亜麻羊毛等の脱色に用いられていた。石鹸分を含むため、6リットルの水当たり20個の実の皮をむいてやすりをかけるか乾燥させ、石臼で挽いてリンネルや毛織物等の洗濯に利用されていた。

セイヨウトチノキはギリシアの山地に自生していたものの、ヨーロッパの他地方では知られていなかった。オーストリア大使としてオスマン帝国に駐在していたブスベックはヨーロッパにチューリップを伝えたことで知られているが、1557年、そのブスベックがコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)でセイヨウトチノキについた書いた文章が最古の文献となる。1576年ウィーンで植樹されたのち、次々とヨーロッパの並木として、また公園樹木として利用されるという流行を見た。現在も並木として、また公園やレストランの中庭などで夏の木陰を提供していて、例えばフランスパリシャンゼリゼ通りの並木がよく知られている。

セイヨウトチノキはバッチフラワーにも用いられている。つぼみが用いられると"Chestnut Bud"、花が用いられると"White Chestnut"と呼ばれる。

セイヨウトチノキの花は、ウクライナの首都キエフのシンボルである[7]

芝生の上での発芽

アムステルダムの中央にあるセイヨウトチノキは『アンネの日記』で言及されており、「アンネ・フランクの木」として有名である[8][9]

トチの実は、客間に飾るとクモを避けるという迷信がある[10]

出典

  1. ^ Euro+Med Plantbase Project: Aesculus hippocastanum
  2. ^ Rushforth, K. (1999). Trees of Britain and Europe. Collins ISBN 0-00-220013-9.
  3. ^ Lack, H. Walter. “The Discovery and Rediscovery of the Horse Chestnut”. Arnoldia 61 (4). http://arnoldia.arboretum.harvard.edu/pdf/articles/628.pdf. 
  4. ^ Edmonton
  5. ^ Højgaard, A., Jóhansen, J., & Ødum, S. (1989). A century of tree planting on the Faroe Islands. Ann. Soc. Sci. Faeroensis Supplementum 14.
  6. ^ Aesculin”. Plant Poisons. 2010年11月30日閲覧。
  7. ^ Kiev
  8. ^ Sterling, Toby (24 August 2010). “Anne Frank's 'beautiful' tree felled by Amsterdam storm”. The Scotsman. http://news.scotsman.com/news/Anne-Frank39s-39beautiful39-tree-felled.6490345.jp 24 August 2010閲覧。 
  9. ^ Gray-Block, Aaron (23 August 2010). “Anne Frank tree falls over in heavy wind, rain”. Reuters. http://www.reuters.com/article/idUSLDE67M1DH 24 August 2010閲覧。 
  10. ^ Royal Society of Chemistry (5 October 2009). “Are spiders scared of conker chemicals?”. Press Release. 2009年10月11日閲覧。

関連項目

外部リンク