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|caption=MS-DOSのコマンドラインの一例。画像ではCドライブのルートディレクトリを指定している。 |
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|prog_language=[[C言語]]、[[Pascal]]、[[QBasic]]、[[バッチファイル]]など |
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{{Wikibooks|MS-DOS/PC DOS入門}} |
{{Wikibooks|MS-DOS/PC DOS入門}} |
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'''MS-DOS'''(エムエス-ディーオーエス、エムエスドス<ref>日本国商標登録番号第2016333号</ref>)は、[[マイクロソフト]]が開発・販売していた[[パーソナルコンピュータ]]向けの16ビットの[[オペレーティングシステム]](OS)である。[[IBM]]への[[OEM]]供給品であった '''[[IBM PC DOS|PC DOS]]''' (IBM DOS)を自社製品として供給・販売したもので、バージョン6以降はPC DOSから完全に独立して開発された。 |
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==概要== |
==概要== |
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MS-DOS(および[[IBM PC DOS|PC DOS]]等)は、[[Intel 8086|8086]]系の[[マイクロプロセッサ]]を[[CPU]]とする[[パーソナルコンピュータ]]向けのシングルタスクの[[オペレーティングシステム]]で、[[DOS (OS)|DOS]](ディスクオペレーティングシステム)の名の通り、[[磁気ディスク|ディスク]]の管理が主機能である(DOSという名前だからといって必ずしもそうとは限らないが、少なくともMS-DOSのプロセス管理機能は、シングルタスクに代表されるように、低機能・低性能である)。 |
MS-DOS(および[[IBM PC DOS|PC DOS]]等)は、[[Intel 8086|8086]]系の[[マイクロプロセッサ]]を[[CPU]]とする[[パーソナルコンピュータ]]向けのシングルタスクの[[オペレーティングシステム]]で、[[DOS (OS)|DOS]](ディスクオペレーティングシステム)の名の通り、[[磁気ディスク|ディスク]]の管理が主機能である(DOSという名前だからといって必ずしもそうとは限らないが、少なくともMS-DOSのプロセス管理機能は、シングルタスクに代表されるように、低機能・低性能である)。 |
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基本的なユーザーインターフェースは[[キャラクタユーザインタフェース]](CUI)で、[[コマンドラインインタプリタ]] <code>COMMAND.COM</code> の表示する[[コマンドプロンプト]]にコマンドを与えて操作を行う。一部のメーカーが独自に追加したり、後のバージョンで搭載されたグラフィカルなツールもある。 |
基本的なユーザーインターフェースは[[キャラクタユーザインタフェース]](CUI)で、[[コマンドラインインタプリタ]] <code>COMMAND.COM</code> の表示する[[コマンドプロンプト]]にコマンドを与えて操作を行う。一部のメーカーが独自に追加したり、後のバージョンで搭載されたグラフィカルなツールもある。[[UNIX]]を参考にした階層型の[[ファイルシステム]]を持つが、ファイル名の制約などが厳しく機能は低い。 |
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歴史的には[[1981年]]にIBMが初代[[IBM PC]]用に発売したDOSが「 |
歴史的には[[1981年]]にIBMが初代[[IBM PC]]用に発売したDOSが「PC DOS」で、[[1982年]]よりマイクロソフトがIBM以外のメーカーにOEM提供を開始したものが「MS-DOS」であったが、マイクロソフトは後に1981年から「MS-DOS」と呼んでいる。 |
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両社はバージョン5まではOS共同開発契約(OSクロスライセンス契約)を結んでおり互換性が保たれた。当時は[[8ビット]]市場では[[CP/M]]が[[デファクトスタンダード|事実上の標準]]であったが、[[16ビット]]市場では |
両社はバージョン5まではOS共同開発契約(OSクロスライセンス契約)を結んでおり互換性が保たれた。当時は[[8ビット]]市場では[[CP/M]]が[[デファクトスタンダード|事実上の標準]]であったが、[[16ビット]]市場ではPC DOSならびにMS-DOSが主流となった。 |
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特に |
特にMS-DOSは[[インテル]]の[[x86]]系[[マイクロプロセッサ]]を搭載した各社・各機種のパーソナルコンピュータに移植され、世界的には[[PC/AT互換機]]、日本では[[日本電気]](NEC)の[[PC-9800シリーズ]]、[[富士通]]の[[FMRシリーズ]]、[[東芝]]の[[ダイナブック (東芝)|ダイナブック]]など各社独自仕様のアーキテクチャに移植された。後には[[AX]]のベース、更には[[組み込み]]機器などに、広く普及し主流となった。 |
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しかし |
しかしMS-DOS(PC DOS)を搭載しているPCであっても、[[コンピュータ・アーキテクチャ|アーキテクチャ]]が異なる機種間では[[アプリケーションソフトウェア]]の互換性はほとんど無かった。MS-DOSは画面描画に関わる[[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]を持たないため、グラフィックメモリを操作して画面描画を行うアプリケーションは[[ハードウェア]]を直接操作せざるを得ず機種依存となったためである<ref>{{Cite journal|author=Steve Rosenthal|year=1983|title=MS-DOS Boards The S-100 Bus|url=https://books.google.co.jp/books?id=q8fwTt09_MEC&pg=PA625|journal=PC Mag|volume=2|issue=6|pages=625-628|publisher=Ziff Davis, Inc.|accessdate=2016-10-31}}</ref>。 |
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日本ではソフトウェアのみで日本語表示を可能とした |
日本ではソフトウェアのみで日本語表示を可能とした[[DOS/V]]が発売され、漢字V-RAM機能を持たないPC/AT互換機が普及した。 |
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バージョン6からはIBMとマイクロソフトのOS共同開発契約が終了し、後に |
バージョン6からはIBMとマイクロソフトのOS共同開発契約が終了し、後にMS-DOSとPC DOSの単体販売やサポートも終了したため、2016年現在は[[オープンソース]]を含めた互換DOSの他、[[Microsoft Windows]]のコマンドプロンプト環境などのDOS互換環境が存在する。 |
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MS-DOSは1995年時点で全世界で1億本を出荷した<ref>『[[日経産業新聞]]』1995年6月22日付</ref>。 |
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==歴史== |
==歴史== |
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===開発の経緯=== |
===開発の経緯=== |
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{{main|シアトル・コンピュータ・プロダクツ|QDOS}} |
{{main|シアトル・コンピュータ・プロダクツ|QDOS}} |
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[[1980年]]7月頃、IBMは後にIBM PCとなるパーソナルコンピュータの開発に着手した。しかし、IBMの主力商品である[[メインフレーム|汎用コンピュータ]]に比べるとごく少数のスタッフとわずかな予算しか与えられなかった。プロジェクトリーダーの |
[[1980年]]7月頃、IBMは後にIBM PCとなるパーソナルコンピュータの開発に着手した<ref name="elder198907">{{cite news|author=Elder, Tait|date=July 1989|work=Harvard Business Review|title=New Ventures: Lessons from Xerox and IBM|url=https://hbr.org/1989/07/new-ventures-lessons-from-xerox-and-ibm|accessdate=20 January 2015}}</ref>。しかし、IBMの主力商品である[[メインフレーム|汎用コンピュータ]]に比べるとごく少数のスタッフとわずかな予算しか与えられなかった。プロジェクトリーダーの{{仮リンク|フィリップ・ドン・エストリッジ|en|Philip Don Estridge}}は、可及的速やかに商品化にこぎ着けるためにソフトウェアは自社開発せず、すべて外部から調達する方針を立てた<ref name=":6">{{Cite book|和書|author=相田洋、大墻敦|title=新・電子立国 第1巻 ソフトウェア帝国の誕生|year=1996|publisher=[[NHK]]出版|ISBN=4140802715|pages=238-303|chapter=第5章 IBMパソコンの誕生とMS-DOSの開発}}</ref>。 |
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当時のマイクロソフトは |
当時のマイクロソフトは[[BASIC]][[インタプリタ]]や[[アセンブリ言語|アセンブラ]]ならびに各種言語の[[コンパイラ]]等を開発しており、それらの製品のほとんどが当時のパーソナルコンピュータ市場における[[デファクトスタンダード]]OSである[[デジタルリサーチ]]のCP/M上で動作するものであった。 |
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IBMはマイクロソフトに対し当初は |
IBMはマイクロソフトに対し当初はBASICなどの言語製品の開発を依頼していた<ref name="Manes">Manes & Andrews (1993). ''Gates'', Doubleday, ISBN 0-385-42075-7.</ref>。OSについても8086対応版のCP/Mをマイクロソフトに開発してもらおうとした<ref name="Isaacson_2014">{{cite book|last=Isaacson|first=Walter|title=The Innovators: How a Group of Inventors, Hackers, Geniuses, and Geeks Created the Digital Revolution|date=2014|publisher=[[Simon & Schuster]]|page=358|author-link=Walter Isaacson|title-link=The Innovators: How a Group of Inventors, Hackers, Geniuses, and Geeks Created the Digital Revolution|isbn=978-1476708690}}</ref>。しかし彼らはCP/Mのソースの権利を持っていなかった為、[[ビル・ゲイツ]]のアドバイスに従ってデジタルリサーチと交渉することにした<ref>{{cite news|last=Maiello|first=John Steele Gordon Michael|date=December 23, 2002|work=Forbes|title=Pioneers Die Broke|archiveurl=http://www.forbes.com/forbes/2002/1223/258_print.html|url=http://www.forbes.com/forbes/2002/1223/258_print.html|accessdate=March 31, 2008|archivedate=September 16, 2012}}</ref>。ところがデジタルリサーチとの交渉はうまくいかず、再びマイクロソフトに開発の依頼を持ち込んだ。<ref name="Evans">Evans, Harold (2004). ''They Made America'', Little, Brown and Company. ISBN 0-316-27766-5 ISBN 0-316-01385-4.</ref><ref>[https://books.google.com/books?id=w_OhaFDePS4C&pg=PA50 Operational Choice], ''PC Magazine'' Charter Issue, February–March 1982</ref><ref>Hamm, Steve; Jay Greene (October 25, 2004). [http://www.businessweek.com/magazine/content/04_43/b3905109_mz063.htm "The Man Who Could Have Been Bill Gates"]. BusinessWeek.</ref><ref>{{cite web|url=http://thestarman.pcministry.com/DOS/ibm100/|title=IBM Personal Computer DOS Version 1.00|accessdate=2016-10-30|publisher=|last=Sedory|first=Daniel B.}}</ref> |
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マイクロソフトは「M-DOS」というOSを開発した経験はあるが、販売したことはなかった<ref name=":6" />。IBMから要求された期日は1年以内という厳しいもので、言語製品の開発に加えてOSにまで手を回す余裕はなかった<ref>{{Cite journal|author=John Markoff, Paus frelberger|year=1983|title=In Focus|url=https://books.google.co.jp/books?id=ty8EAAAAMBAJ&hl=ja&pg=PA32|journal=InfoWorld|volume=5|issue=35|page=32|publisher=InfoWorld Media Group, Inc..|accessdate=2016-11-01}}</ref>。同じ頃、[[シアトル・コンピュータ・プロダクツ]]はCP/Mが8086に移植されない事に業を煮やして独自に移植作業を行い、[[QDOS]]として売り出した。マイクロソフトはこれを開発者込みで買収しIBM PC用に改修した<ref group="注">このやり方を進言したのは当時同社役員でもあった[[西和彦]]と言われている{{要出典|date=2016年10月}}</ref><ref name="Paterson_1983_Byte_Short_History2">{{cite journal|last=Paterson|first=Tim|date=June 1983|title=A Short History of MS-DOS|url=//archive.org/stream/byte-magazine-1983-06/1983_06_BYTE_08-06_16-Bit_Designs#page/n245/mode/2up|journal=[[Byte (magazine)|Byte]]|page=246|accessdate=18 August 2013|issn=0360-5280}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=関口和一|title=パソコン革命の旗手たち|year=2000|publisher=日本経済新聞社|ISBN=4-532-16331-5|pages=75-79|chapter=3. 国産機の開発 : 動き始めた巨象}}</ref>。 |
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===各メーカーへのOEM供給=== |
===各メーカーへのOEM供給=== |
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IBMは当初 |
IBMは当初「PC DOS」名称でIBMのみへの供給を主張し、マイクロソフトはIBM以外のメーカーへのOEM供給を主張した結果、「IBM用はPC DOS名称。マイクロソフトによる各メーカーへのOEM供給も認めて普及を図る」という役割分担となったと言われる{{要出典|date=2016年10月}}。この役割分担は後の[[OS/2]] Ver. 1.Xでも同様となる。 |
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リスクを軽減化するために買い取りを避けIBM PCの出荷台数に対して使用料を支払うという[[ライセンス]]契約をしたこと、そしてマイクロソフトから各メーカーへの自由なOEM供給を認めた事が後のマイクロソフトの躍進の原動力と言え、また見方を変えれば、最終的に「軒先を貸して母屋を取られた」IBMの大失策であるとも言えるが、 |
リスクを軽減化するために買い取りを避けIBM PCの出荷台数に対して使用料を支払うという[[ライセンス]]契約をしたこと、そしてマイクロソフトから各メーカーへの自由なOEM供給を認めた事が後のマイクロソフトの躍進の原動力と言え、また見方を変えれば、最終的に「軒先を貸して母屋を取られた」IBMの大失策であるとも言えるが、MS-DOS(およびPC DOS)の普及(デファクトスタンダード化)を決定づけたとも言える。{{要出典|date=2016年10月}} |
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マイクロソフト |
1982年、マイクロソフトはバージョン1.25からIBM以外のメーカーにMS-DOSのOEM供給を開始した。{{仮リンク|ライフボート・アソシエイツ|en|Lifeboat Associates}}のSB-DOS<ref name="roy">{{cite book|last=Allan|first=Roy A.|title=A history of the personal computer: the people and the technology|url=http://www.retrocomputing.net/info/allan/|year=2001|publisher=Allan Pub.|page=[http://www.retrocomputing.net/info/allan/eBook12.pdf 14]|chapter=Microsoft in the 1980s, part III 1980s — The IBM/Macintosh era|location=[[London, Ontario]]|accessdate=December 5, 2009|isbn=0-9689108-0-7}}</ref>、[[コンパック]]のCompaq-DOS<ref name="Ref-12">Duncan, Ray (1988). ''The MS-DOS Encyclopedia'', Microsoft Press. ISBN 1-55615-049-0.</ref>、{{仮リンク|ゼニス・データ・システムズ|en|Zenith Data Systems}}のZ-DOS<ref>[https://books.google.com/books?id=KTAEAAAAMBAJ&pg=PA10 Zenith's new Z100 has something for everybody], ''InfoWorld'', July 12, 1982</ref><ref>[https://books.google.com/books?id=EDAEAAAAMBAJ&pg=PA35 Zenith challenges IBM's share of micro market], ''InfoWorld'', September 13, 1982</ref><ref>[https://books.google.com/books?id=0C8EAAAAMBAJ&pg=PA91 Review: Zenith Z-100], ''InfoWorld'', November 7, 1983</ref>など、供給先メーカも名称も複数あった。1983年のバージョン2.0より「MS-DOS」名称に一本化された。IBM以外の各メーカーへのOEM供給品に自社の商標(MS)をつけ「MS-DOS」名称としたのは、OEM先メーカーが独自の名前をつけて混乱することを避けるために整理する意味があった{{要出典|date=2016年10月}}。ただし、その後も富士通[[FM TOWNS]]の[[FM TOWNS#TownsOS|TownsOS]]や各種制御機器など、内部的にMS-DOSがOEM提供されている場合には「MS-DOS」の名称はユーザーに見えない場合があった。 |
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===DOSの限界と開発の終焉=== |
===DOSの限界と開発の終焉=== |
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DOSは標準で[[グラフィカルユーザインターフェース]]や[[マルチタスク]]機能や[[仮想記憶]]を持たず、[[Intel 80386|80386]]などの[[32ビット]]環境でも「高速な[[Intel 8086|8086]]」としか使用できなかったため、DOSの拡張や次世代OSが待望された。 |
DOSは標準で[[グラフィカルユーザインターフェース]]や[[マルチタスク]]機能や[[仮想記憶]]を持たず、[[Intel 80386|80386]]などの[[32ビット]]環境でも「高速な[[Intel 8086|8086]]」としか使用できなかったため、DOSの拡張や次世代OSが待望された。 |
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1985年には[[DOS |
1985年には[[DOSエクステンダー]]である[[DESQview]]<ref name="ASTDesqview">[https://books.google.com/books?id=a8FBzsfoBZEC&pg=PA22 AST memory board to come with Quarterdeck Desqview], ''Computerworld'', November 4, 1985</ref>、同年にDOS上で稼働する「オペレーティング環境」としてMicrosoft Windowsが登場した<ref>[https://books.google.com/books?id=OC8EAAAAMBAJ&pg=PA8 Microsoft Focuses Efforts On Direct Corporate Sales], ''InfoWorld'', November 18, 1985</ref>。更に1987年には本格的なDOSの後継OSとしてIBMとマイクロソフトから OS/2 Ver. 1.0 が登場した<ref>[https://books.google.com/books?id=Az8EAAAAMBAJ&pg=PA1 IBM Ships OS/2 Four Months Early], ''InfoWorld'', December 7, 1987</ref><ref>[https://books.google.com/books?id=AT8EAAAAMBAJ&pg=PA1 Zenith First to Ship Microsoft OS/2], ''InfoWorld'', December 21, 1987</ref>。OS/2はDOSと同様に、IBMおよびマイクロソフトの両者から供給されたが、性能やDOS互換環境の問題もあり広く普及しなかったためDOSは継続して使われた<ref>[https://books.google.com/books?id=BD8EAAAAMBAJ&pg=PA5 Vendors Decide Against Bundling OS/2 With PCs], ''InfoWorld'', November 30, 1987</ref>。 |
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1990年に日本では |
1990年に日本ではIBM DOSのバージョン4からDOS/Vが生まれ、マイクロソフトもバージョン5からDOS/VのOEM供給を開始したため<ref>『日経バイト』 1991年12月号、p.160.。</ref>、日本でもPC/AT互換機の市場が立ち上がり始めた<ref name=":5">{{Cite journal|和書|author=塩田紳二|year=1998|title=国産銘機列伝 : History 「そして、世界標準がやって来た」|journal=ASCII|volume=22|issue=8|pages=378-379|publisher=アスキー|ISSN=03865428}}</ref>。 |
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1993年のバージョン6からは、IBMとマイクロソフトのOS共同開発契約(OSクロスライセンス契約)が終了したため以後はIBMまたはマイクロソフトの単独開発となった。両者は基本部分の互換性は保たれているが、付属ユーティリティの相違などが広がった。マイクロソフトはこの |
1993年のバージョン6からは、IBMとマイクロソフトのOS共同開発契約(OSクロスライセンス契約)が終了したため以後はIBMまたはマイクロソフトの単独開発となった<ref name=":4">{{Cite journal|author=John M. Goodman|year=|date=1994-01-24|title=Reviews: DOS vs. DOS: Two variations on the theme|url=https://books.google.co.jp/books?id=_DoEAAAAMBAJ&lpg=PA59&hl=ja&pg=PA59|journal=InfoWorld|volume=|page=59|publisher=InfoWorld Media Group, Inc..|accessdate=2016-10-30}}</ref>。両者は基本部分の互換性は保たれているが、付属ユーティリティの相違などが広がった。マイクロソフトはこのMS-DOS 6を単体販売の最終バージョンとし、1995年の[[Microsoft Windows 95]]以降は単体のDOSも不要となった<ref group="注">Windows 95以降ではDOSは技術的には内部に存在しているが、製品としてバンドルされている。</ref>。IBMはDOSの改良を続けたが、1998年のPC DOS 2000が最終バージョンとなり、2001年にはサポートも終了した<ref name=":2">{{Cite web|url=http://www-01.ibm.com/common/ssi/printableversion.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/9/897/ENUS298-169/index.html|title=IBM PC DOS 2000 CAN EASE YOUR TRANSITION TO THE YEAR 2000|accessdate=2016-10-30|date=1998-05-26|publisher=IBM Corporation}}</ref>。 |
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==機能== |
==機能== |
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MS-DOSと名付けられているように、マイクロソフトのパーソナルコンピュータ向けのDOS(ディスク・オペレーティング・システム)であり、主にディスクの管理を行うシングルタスクOSであった。マルチタスク機能・メモリ保護機能などはOS内部には持っていなかった。またグラフィック画面やサウンドの操作・ネットワーク機能などは、Microsoft Windowsや[[LAN Manager]]のほかアプリケーションが直接I/Oを操作するか[[デバイスドライバ]]などで提供されていた。 |
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===ファイル管理=== |
===ファイル管理=== |
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ファイルの管理は、 |
ファイルの管理は、[[File Allocation Table|FAT]]と[[クラスタ (記憶媒体)|クラスタ]]により構成される。 |
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ファイル名は[[8.3形式]]、つまり、8バイトまでのベース名と3バイトまでの[[拡張子]]の合計最大11バイト(拡張子の前の「[[終止符|.]]」を数えれば12バイト)で表す。アルファベットの[[大文字]]と[[小文字]]は区別しない(全て大文字と見なされる)。 |
ファイル名は[[8.3形式]]、つまり、8バイトまでのベース名と3バイトまでの[[拡張子]]の合計最大11バイト(拡張子の前の「[[終止符|.]]」を数えれば12バイト)で表す。アルファベットの[[大文字]]と[[小文字]]は区別しない(全て大文字と見なされる)。 |
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起動順序はバージョンによって若干違うが、概ね以下の通りである。 |
起動順序はバージョンによって若干違うが、概ね以下の通りである。 |
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#コンピュータの |
#コンピュータのROM [[Basic Input/Output System|BIOS]]やディスクの[[マスターブートレコード]]からディスクのセクタ0にある[[ブートセクタ]]を読み込んで実行。 |
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#ディスクから<code>[[IO.SYS]]</code>と<code>[[MSDOS.SYS]]</code>がメモリ中にロードされる。 |
#ディスクから<code>[[IO.SYS]]</code>と<code>[[MSDOS.SYS]]</code>がメモリ中にロードされる。 |
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#<code>IO.SYS</code>を起動し、その後<code>MSDOS.SYS</code>に制御を移行する。 |
#<code>IO.SYS</code>を起動し、その後<code>MSDOS.SYS</code>に制御を移行する。 |
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#<code>[[AUTOEXEC.BAT]]</code>が起動ドライブのルートディレクトリにあれば、その内容を実行し、[[環境変数]]の設定や起動時に実行すべきコマンド等の呼び出し、場合によっては[[アプリケーションソフトウェア|アプリケーション]]の起動なども行う。 |
#<code>[[AUTOEXEC.BAT]]</code>が起動ドライブのルートディレクトリにあれば、その内容を実行し、[[環境変数]]の設定や起動時に実行すべきコマンド等の呼び出し、場合によっては[[アプリケーションソフトウェア|アプリケーション]]の起動なども行う。 |
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<code>COMMAND.COM</code>では、各ドライブを<code>A:</code>から最大<code>Z:</code>まで<ref group="注"><span data-ve-clipboard-key="0.5142649835640344-16">ドライブレターの数</span>は環境変数<code>LASTDRIVE</code>で変更可。</ref>の[[ドライブレター]]で管理し、内部コマンドではファイル・ディレクトリ一覧の参照、ファイルとディレクトリの作成・コピー・名前変更、コンピュータの時刻や環境変数および[[パス]]の設定参照などができるほか、外部コマンドやアプリケーションなどの[[実行ファイル|実行形式のファイル]]の起動が行えた。また |
<code>COMMAND.COM</code>では、各ドライブを<code>A:</code>から最大<code>Z:</code>まで<ref group="注"><span data-ve-clipboard-key="0.5142649835640344-16">ドライブレターの数</span>は環境変数<code>LASTDRIVE</code>で変更可。</ref>の[[ドライブレター]]で管理し、内部コマンドではファイル・ディレクトリ一覧の参照、ファイルとディレクトリの作成・コピー・名前変更、コンピュータの時刻や環境変数および[[パス]]の設定参照などができるほか、外部コマンドやアプリケーションなどの[[実行ファイル|実行形式のファイル]]の起動が行えた。またVer.2以降ではUNIXを意識した入出力の[[リダイレクト (CLI)|リダイレクト]]機能や[[パイプ (コンピュータ)|パイプ]]機能なども利用できたが、MS-DOS上のパイプやリダイレクトはいずれもテンポラリファイルを介した擬似的な実装に留まっていた。 |
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===実行ファイル=== |
===実行ファイル=== |
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MS-DOSにおける[[実行ファイル]]の形式は、現在のUNIX系環境で言う[[シェル#シェルスクリプト|シェルスクリプト]]に類似したコマンドのバッチ処理を記述する[[バッチファイル]](拡張子は<code>BAT</code>)と、[[CPU]]が直接実行するバイナリファイルに大別することができる。 |
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このうちバイナリファイルには、単一の[[セグメント方式|セグメント]]を使う<code>[[COMファイル|COM]]</code>形式、複数のセグメントが使用される場合の<code>[[EXEフォーマット|EXE]]</code>形式、さらにデバイスドライバとして<code>SYS</code>形式が存在し、それぞれ同名の拡張子を持つ。 |
このうちバイナリファイルには、単一の[[セグメント方式|セグメント]]を使う<code>[[COMファイル|COM]]</code>形式、複数のセグメントが使用される場合の<code>[[EXEフォーマット|EXE]]</code>形式、さらにデバイスドライバとして<code>SYS</code>形式が存在し、それぞれ同名の拡張子を持つ。 |
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<code>COM</code>形式の実行ファイルは、バイナリ読み込み時に設定されるコード・データ・エクストラ・スタックの各セグメントレジスタの値が同一アドレスに設定され、プログラム内部でセグメントレジスタを操作しない場合は単一セグメント、最大64KBのメモリ空間を操作する。CP/M 80用に書かれた[[Intel 8080|8080]]用のアセンブリ言語のソースコードを8086へコンバートした場合を想定したメモリモデルであるが、<code>COM</code>形式のバイナリであってもプログラム側で適切にセグメントレジスタを操作することで64KB以上の空間へのアクセスが可能である。 |
<code>COM</code>形式の実行ファイルは、バイナリ読み込み時に設定されるコード・データ・エクストラ・スタックの各セグメントレジスタの値が同一アドレスに設定され、プログラム内部でセグメントレジスタを操作しない場合は単一セグメント、最大64KBのメモリ空間を操作する。CP/M 80用に書かれた[[Intel 8080|8080]]用のアセンブリ言語のソースコードを8086へコンバートした場合を想定したメモリモデルであるが、<code>COM</code>形式のバイナリであってもプログラム側で適切にセグメントレジスタを操作することで64KB以上の空間へのアクセスが可能である。 |
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このうち.<code>SYS</code>形式のバイナリは、原則的に起動時に一度だけ実行される<code>CONFIG.SYS</code>に記述する以外の方法では直接読み込むことができない<ref group="注"><span data-ve-clipboard-key="0.1444910571201179-4"> |
このうち.<code>SYS</code>形式のバイナリは、原則的に起動時に一度だけ実行される<code>CONFIG.SYS</code>に記述する以外の方法では直接読み込むことができない<ref group="注"><span data-ve-clipboard-key="0.1444910571201179-4"> ただし、</span>PC-98版のMS-DOS 3.1以降では<code>ADDDRV.EXE</code>と登録を記述したファイルの組み合わせにより登録し、<code>DELDRV.EXE</code>で外せる。この方法を使用できるのは[[キャラクタデバイス]]のみであり、<code>CONFIG.SYS</code>で一度登録したデバイスドライバは外せない。IBM PC用では何種類かサードパーティで同様のプログラムが作成されている。</ref>。 |
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===システムコール=== |
===システムコール=== |
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[[システムコール]]<!-- BIOS ≠ system call -->は、[[割り込み (コンピュータ)#ソフトウェア割り込み|ソフトウェア割り込み]]により呼び出されるが、8080や[[Z80]]などの8ビットのコンピュータではメジャーな存在だったCP/Mとの互換性、特に8080用にアセンブリ言語で書かれたソースコードを8086にコンバートして用いる場合を想定し、 |
[[システムコール]]<!-- BIOS ≠ system call -->は、[[割り込み (コンピュータ)#ソフトウェア割り込み|ソフトウェア割り込み]]により呼び出されるが、{{要出典|範囲=8080や[[Z80]]などの8ビットのコンピュータではメジャーな存在だったCP/Mとの互換性、特に8080用にアセンブリ言語で書かれたソースコードを8086にコンバートして用いる場合を想定し、call 5でも利用可能としてCP/M 80からの移行を促した。|date=2016年10月}} |
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===メモリ管理=== |
===メモリ管理=== |
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MS-DOSにおいて、DOS自身のカーネルを含むプログラムの実行に確保できるメモリ空間(ユーザーメモリ、コンベンショナル・メモリ)は、8086のアドレス空間の最大1MBである。ほとんどのコンピュータでは、この空間にBIOS ROMや[[メモリマップドI/O]]、[[VRAM]]などの空間も存在するため、バンク切替えや様々なメモリ拡張手段などを用いずに一時にアクセス可能なメモリ空間は最大でも640KBから768KB程度<ref group="注">ユーザーメモリは、IBM PC互換機およびPC-9800シリーズ等では640KB、[[PC-H98シリーズ]]やFMRシリーズ・FM TOWNS等は768KB。</ref>であった。 |
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ただし、 |
ただし、RAMディスクドライブやディスクキャッシュなどは[[バンク切り換え|バンクメモリ]]や[[Expanded Memory Specification|EMS]]、[[プロテクトモード|プロテクトメモリ]]([[Intel 80286|80286]]/[[Intel 80386|386]]以降)等のコンベンショナルメモリ以外の領域・手段の利用が一般化していたため、「貴重な」コンベンショナルメモリがこれらの領域によって圧迫されることはなかった。 |
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[[日本語入力システム|日本語入力]]用の[[FEP]]などの常駐型のデバイスドライバを使用すると一度に使用できるユーザーメモリはさらに減少するため、ユーザーはEMSや[[XMS]]、[[XMS#HMA|HMA]]や[[XMS#UMB|UMB]]などの拡張メモリの管理機能を利用して、[[辞典|辞書]]や常駐部や |
[[日本語入力システム|日本語入力]]用の[[FEP]]などの常駐型のデバイスドライバを使用すると一度に使用できるユーザーメモリはさらに減少するため、ユーザーはEMSや[[XMS]]、[[XMS#HMA|HMA]]や[[XMS#UMB|UMB]]などの拡張メモリの管理機能を利用して、[[辞典|辞書]]や常駐部やMS-DOSシステムの一部をそれらへ配置し、コンベンショナルメモリの圧迫を少しでも避けることが重視されるようになった。 |
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これらのメモリへの配分設定は<code>CONFIG.SYS</code>や<code>AUTOEXEC.BAT</code>を記述することで行い、事実上ユーザーに一任されていた。 |
これらのメモリへの配分設定は<code>CONFIG.SYS</code>や<code>AUTOEXEC.BAT</code>を記述することで行い、事実上ユーザーに一任されていた。 |
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バージョン3まではこれらの設定を行うためには[[サードパーティー]]製のメモリドライバ等を使用する必要があったが、バージョン5では標準機能としてOSに組み込みメモリドライバやデバイスドライバも付属するようになった。また、これらの環境設定を半自動的に行う設定アプリケーションも添付された。 |
バージョン3まではこれらの設定を行うためには[[サードパーティー]]製のメモリドライバ等を使用する必要があったが、バージョン5では標準機能としてOSに組み込みメモリドライバやデバイスドライバも付属するようになった。また、これらの環境設定を半自動的に行う設定アプリケーションも添付された。 |
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各種デバイスドライバには自動でインストールを行うスクリプトやプログラムが整備され、単に動く状態を作るだけであればエンドユーザーがこれらを直接操作する必要はほぼ無かった。しかし千差万別な環境の全てに対応するのは難しく、ひとたび問題が発生した場合には初心者にとっては事態収拾のハードルが高かった。また、無駄を省き最適な設定をするとなると、知見と試行錯誤が要求される職人的な資質が要求されたため、これらの事情が「 |
各種デバイスドライバには自動でインストールを行うスクリプトやプログラムが整備され、単に動く状態を作るだけであればエンドユーザーがこれらを直接操作する必要はほぼ無かった。しかし千差万別な環境の全てに対応するのは難しく、ひとたび問題が発生した場合には初心者にとっては事態収拾のハードルが高かった。また、無駄を省き最適な設定をするとなると、知見と試行錯誤が要求される職人的な資質が要求されたため、これらの事情が「MS-DOSの環境設定は非人間的で困難なものであった」とする後世の評価を招く一因となった。{{要出典|date=2016年10月}} |
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===Windows 9x=== |
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[[Windows |
[[Windows 9x系]]のOSは製品としては「DOSを必要としない、Windowsという単体のOS」と称しているが、内部的には一種の[[DOSエクステンダ]]が組み込まれていて、従来の[[Microsoft Windows 3.x|Windows 3.x]]と同様MS-DOSモジュールから起動して[[プロテクトモード]]で稼働し[[グラフィカルユーザインタフェース|GUI]]や擬似マルチタスクを提供する構造をしていた{{要出典|date=2016年10月}}。ただし、Windowsが使用するMS-DOSシステムコールはごく一部に限られ、[[File Allocation Table#VFAT|VFAT]]などによりファイル管理方法が拡張されている。なお、Windows 95・98などのWindows本体を起動していないMS-DOSモードの場合はVFAT上の[[ロングファイルネーム]]でも8文字+拡張子3文字のショートファイルネーム形式のファイル名で表示された。 |
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==バージョン== |
==バージョン== |
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===バージョン一覧=== |
===バージョン一覧=== |
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{{See also|IBM PC DOS}} |
{{See also|IBM PC DOS}} |
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MS-DOSとPC DOSの主要なバージョンの一覧は以下の通り。 |
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{| class="wikitable" |
{| class="wikitable" |
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!バージョン|| nowrap="" |出荷開始||[[IBM]]||[[マイクロソフト]]||備考 |
!バージョン|| nowrap="" |出荷開始||[[IBM]]||[[マイクロソフト]]||備考 |
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|1|| nowrap="" |[[1981年]]|| nowrap="" |
|1|| nowrap="" |[[1981年]]|| nowrap="" |PC DOS 1.0|| nowrap="" |(MS-DOS) 1.25||1981年 [[IBM PC]]用にPC DOSが登場。1982年 マイクロソフトがIBM以外に1.25以降の[[OEM]]供給を開始(名称は供給先により異なる)。 |
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|2|| nowrap="" |[[1983年]]|| nowrap="" |
|2|| nowrap="" |[[1983年]]|| nowrap="" |PC DOS 2.0|| nowrap="" |MS-DOS 2.0||[[PC/XT]]用に登場、階層ディレクトリなど。マイクロソフト版の名称が「MS-DOS」に一本化された。日本では[[PC-9800シリーズ|PC-9801]]などに日本語MS-DOSのOEM供給を開始。 |
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|3|| nowrap="" |[[1984年]]|| nowrap="" |
|3|| nowrap="" |[[1984年]]|| nowrap="" |PC DOS 3.0|| nowrap="" |MS-DOS 3.0||[[PC/AT]]用に登場、FAT16など。広く普及し事実上の標準に。同時期に[[DR DOS]] 4も出荷。 |
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|4|| nowrap="" |[[1988年]]|| nowrap="" |
|4|| nowrap="" |[[1988年]]|| nowrap="" |IBM DOS 4.0|| nowrap="" |MS-DOS 4.0||IBM版が名称変更。[[DOSシェル]]など。IBM版4.05より日本で[[DOS/V]](IBM DOS J4.05/V)も登場。 |
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|5|| nowrap="" |[[1991年]]|| nowrap="" |
|5|| nowrap="" |[[1991年]]|| nowrap="" |IBM DOS 5.0|| nowrap="" |MS-DOS 5.0||メモリ管理機能強化。IBMとマイクロソフトのOS共同開発の最終版。マイクロソフト版は初めて単体の直接販売が開始される。日本ではマイクロソフト版DOS/V(MS-DOS 5.0/V)も登場し、各社[[PC/AT互換機]]に広く採用される。同時期にDR DOS 6.0 出荷。 |
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|6|| nowrap="" |[[1993年]]|| nowrap="" |
|6|| nowrap="" |[[1993年]]|| nowrap="" |PC DOS 6.1<br>PC DOS 6.3|| nowrap="" |MS-DOS 6.0<br>MS-DOS 6.2||IBM版が名称再変更。PC DOSとMS-DOSは付属ユーティリティの違いが拡大。MS-DOSは単体販売の最終版。同時期に[[ノベル (企業)|Novell]] DOS(DR DOS) 7出荷。 |
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| rowspan="2" |7|| nowrap="" |[[1995年]]|| nowrap="" |(なし)|| nowrap="" |MS-DOS 7.0<br>MS-DOS 7.1||Windows 95/98/98SEの内部バージョン。PC DOS 7 とは全く別物。7.1はWindows 95 OSR2 以降で、[[File Allocation Table#FAT32|FAT32]]に対応した。 |
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| nowrap="" |1995年|| nowrap="" |PC DOS 7<br>PC DOS 2000|| nowrap="" |(なし)||IBM版のみ。スクリプト言語の[[REXX]]をサポート。MS-DOS 7 とは全く別物。 |
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|8|| nowrap="" |[[2000年]]|| nowrap="" |(なし)|| nowrap="" |
|8|| nowrap="" |[[2000年]]|| nowrap="" |(なし)|| nowrap="" |MS-DOS 8||Windows Meの内部バージョン。MS-DOSの最終版。 |
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===バージョン1=== |
===バージョン1=== |
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CP/M程度の機能しか持たない、基本的なディスクオペレーティングシステム。ファイルシステムは後のバージョンで実装された階層構造を持っておらず、ディレクトリが利用できない。CP/Mとの大きな違いは、汎用化の為に[[入出力]]デバイスの機種依存が無くなっている点であった。その為、ハードウェアに |
CP/M程度の機能しか持たない、基本的なディスクオペレーティングシステム。ファイルシステムは後のバージョンで実装された階層構造を持っておらず、ディレクトリが利用できない。CP/Mとの大きな違いは、汎用化の為に[[入出力]]デバイスの機種依存が無くなっている点であった。その為、ハードウェアにROMとして内蔵されたBIOSを通して入出力を行うようになっていた。なお、この仕組みは互換BIOSを利用したPC互換機を生み出す要因ともなった{{要出典|date=2016年10月}}。 |
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このバージョンが使われていた頃は、8086またはその互換プロセッサ(8088等)を利用したパーソナルコンピュータ市場もそれほど大きくなかった為、出荷本数の大半はIBM PCにバンドルされた分だった。 |
このバージョンが使われていた頃は、8086またはその互換プロセッサ(8088等)を利用したパーソナルコンピュータ市場もそれほど大きくなかった為、出荷本数の大半はIBM PCにバンドルされた分だった<ref>{{Cite book|和書|author=菅木真治|title=MS-DOS読本|date=1983-11-15|publisher=アスキー|ISBN=4871487210|pages=54-76|chapter=2. Dear, MS-DOS}}</ref>。 |
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*バージョン1.0(1981年8月)- IBM PC(初代)出荷と同時にリリース。64KBのメモリ空間のうち約12KB(そのうちシェルが5KB)を占有した。また、160KBの[[フロッピーディスク|5.25インチフロッピーディスク]] (1D) をサポートしていた。 |
*バージョン1.0(1981年8月)<ref name="PCannounce">[http://www-03.ibm.com/ibm/history/documents/pdf/pcpress.pdf IBM Press Release announcing the PC] August 12, 1981</ref>- IBM PC(初代)出荷と同時にリリース。64KBのメモリ空間のうち約12KB(そのうちシェルが5KB)を占有した。また、160KBの[[フロッピーディスク|5.25インチフロッピーディスク]] (1D) をサポートしていた。PC DOSのみ。 |
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*バージョン1.1(1982年5月)- 360KB 5.25インチフロッピーディスク (2D) サポートの他、一部のバグフィクス。 |
*バージョン1.1(1982年5月)<ref>[https://books.google.com/books?id=XDAEAAAAMBAJ&pg=PA3 IBM enhances Personal Computer with 2-sided drives], ''InfoWorld'', June 7, 1982</ref>- 360KB 5.25インチフロッピーディスク (2D) サポートの他、一部のバグフィクス。PC DOSのみ。 |
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*バージョン1.25(1982年5月)- マイクロソフトが、8086プロセッサを利用したパーソナルコンピュータ、更には[[PC/AT互換機|IBM PC互換機]]向けに、IBM以外のメーカーへのOEM提供を開始。日本では当時マイクロソフトの代理店であった[[アスキー (企業)|アスキー]]が日本語版 |
*バージョン1.25(1982年5月)<ref name="AdvancedDOS">Duncan, Ray (1988). ''Advanced MS-DOS Programming'', Microsoft Press. ISBN 1-55615-157-8.</ref>- マイクロソフトが、8086プロセッサを利用したパーソナルコンピュータ、更には[[PC/AT互換機|IBM PC互換機]]向けに、IBM以外のメーカーへのOEM提供を開始。日本では当時マイクロソフトの代理店であった[[アスキー (企業)|アスキー]]が日本語版MS-DOSを開発している最中で、複数のメーカーが各自で日本語処理機能を付けて販売していた<ref name=":0">「Unix風の機能を持ち込んだ日本語MS-DOS2.0の機能と内部構造」『日経エレクトロニクス』 1983年12月19日号、pp.165-190。</ref>。 |
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===バージョン2=== |
===バージョン2=== |
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IBM [[PC/AT#PC XT|PC/XT]]の仕様に合わせ、[[ハードディスクドライブ|HDD]]や360KB 5.25インチフロッピーディスク (2D) をサポートしている。階層構造ディレクトリ、<code>CONFIG.SYS</code>によるデバイスドライバの追加機能、 |
IBM [[PC/AT#PC XT|PC/XT]]の仕様に合わせ、[[ハードディスクドライブ|HDD]]や360KB 5.25インチフロッピーディスク (2D) をサポートしている。階層構造ディレクトリ、<code>CONFIG.SYS</code>によるデバイスドライバの追加機能、UNIXライクなパイプ等の機能が追加された。アセンブラの[[Microsoft Macro Assembler|MASM]]が付属していた。 |
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マイクロソフト版はこのバージョンより名称が「 |
マイクロソフト版はこのバージョンより名称が「MS-DOS」に一本化された。 |
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*バージョン2.0(1983年3月)- PC/XT 出荷と同時にリリースされた。 |
*バージョン2.0(1983年3月)<ref name="Allen">Allen, Paul (2011). ''Idea Man'', Penguin, ISBN 978-1-59184-382-5.</ref> - PC/XT 出荷と同時にリリースされた。 |
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*バージョン2.01(1983年3月) - 日本では「日本語 |
*バージョン2.01(1983年3月) <ref name=":0" /> - 日本では「日本語MS-DOS 2.0」としてリリースされ、[[パソピア|パソピア16]]などに採用された<ref name=":0" /><ref>{{Cite book|和書|author=菅木真治|title=MS-DOS読本|date=1983-11-15|year=|publisher=アスキー|ISBN=4871487210|pages=204-205|chapter=MS-DOS MACHINE}}</ref>。 |
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*バージョン2.1(1983年10月)- IBM [[PC/AT#PCjr|PCjr]] 向け。 |
*バージョン2.1(1983年10月)<ref>IBM. ''PC DOS 2.1 Announcement Letter''. 1983-11-01 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/9/897/ENUS283-389/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[3]</nowiki>]).</ref> - IBM [[PC/AT#PCjr|PCjr]] 向け。 |
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*バージョン2.11(1984年3月)- 多言語市場を意識し、文字セットや日付表示のローカライズをサポート。各社独自に拡張され、x86プロセッサを搭載したパーソナルコンピュータ向けに広く利用された他、日本ではアスキーの市場戦略の関係で、市販ソフトウェアに[[サブセット]]版の[[バンドル]]が許されていた<ref>「トピック・レポート:機能不足が表面化、老兵「MS-DOS2.11」」『日経パソコン』 1991年1月21日号、pp.178-182。</ref>。 |
*バージョン2.11(1984年3月)<ref name="Ref-12" /> - 多言語市場を意識し、文字セットや日付表示のローカライズをサポート。各社独自に拡張され、x86プロセッサを搭載したパーソナルコンピュータ向けに広く利用された他<ref>Allan, Roy A. (2001). ''A History of the Personal Computer'', Allan Publishing, ISBN 0-9689108-0-7. [[iarchive:A_History_of_the_Personal_Computer|eBook on archive.org.]] [https://archive.org/download/A_History_of_the_Personal_Computer/eBookAB.pdf Appendix B: Versions of DOS]</ref>、日本ではアスキーの市場戦略の関係で、市販ソフトウェアに[[サブセット]]版の[[バンドル]]が許されていた<ref>「トピック・レポート:機能不足が表面化、老兵「MS-DOS2.11」」『日経パソコン』 1991年1月21日号、pp.178-182。</ref>。 |
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*バージョン2.25(1985年10月)- 東アジア市場向けに2バイト言語に対応を図った「アジアバージョン」。理由不明だが、日本市場においてはバージョン2.11の名称で流通した(<code>MSDOS.SYS</code>内部に2.25の表記あり)。 |
*バージョン2.25(1985年10月)<ref name="AdvancedDOS" /> - 東アジア市場向けに2バイト言語に対応を図った「アジアバージョン」。{{要出典|範囲=理由不明だが、日本市場においてはバージョン2.11の名称で流通した(<code>MSDOS.SYS</code>内部に2.25の表記あり)。|date=2016年10月}} |
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===バージョン3=== |
===バージョン3=== |
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当初 IBM [[PC/AT]] 用に発売。主として[[コンピュータネットワーク|ネットワーク]]対応と大容量HD対応の為の16ビット |
当初 IBM [[PC/AT]] 用に発売。主として[[コンピュータネットワーク|ネットワーク]]対応と大容量HD対応の為の16ビットFATが追加された<ref group="注">もっとも、管理できるセクタ数は65535個であったため、32MB以上のパーティションを切ることは出来なかった。</ref>。本来80286プロセッサを搭載した[[PC/AT]]向けだったが、互換性確保目的で80286のプロテクトモードを利用した新機軸は敢えて盛り込まれなかったためサードパーティー製の各種ユーティリティによって機能拡張するユーザが多かった。 |
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ベンダーによる独自拡張などで方言が多くバージョン番号の体系も大きく乱れている<ref group="注"> |
ベンダーによる独自拡張などで方言が多くバージョン番号の体系も大きく乱れている<ref group="注">富士通 FMRシリーズ及びFM TOWNS用MS-DOS 3.1の後期バージョンでは米国版の3.2/3.3の機能の一部が取り入れられていた。PC-98版MS-DOS 3.1は同一のバージョン番号で複数の版が存在し、互換性の問題が生じたことでユーザーやソフトハウスを混乱させた。</ref><ref name=":1" />。必要十分なスペックと安定性が評価され、またバージョン4以降の仕様変更の影響を避けるために一部ではかなりの長期間にわたって愛用されていた。 |
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*バージョン3.0(1984年8月)- PC/ATの発売と同時にリリースされた。1.2MB 5.25インチフロッピーディスク (2HD) 及び32MBまでのHDをサポート。HDの論理ボリュームはひとつのみ。 |
*バージョン3.0(1984年8月)<ref>{{Cite journal|author=Somerson, Paul|date=1984-11-13|title=AT the Party|url=https://books.google.com/books?id=-Ukz6hjZEA4C&pg=PA117#v=onepage&q&f=false|journal=PC Magazine|page=123|accessdate=2016-10-30}}</ref> - PC/ATの発売と同時にリリースされた。1.2MB 5.25インチフロッピーディスク (2HD) 及び32MBまでのHDをサポート。HDの論理ボリュームはひとつのみ。 |
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*バージョン3.1(1984年11月)- 3.0のバグフィックス版。 |
*バージョン3.1(1984年11月)<ref>[https://books.google.com/books?id=Hy8EAAAAMBAJ&pg=PA11 IBM Rolls out New PC: Networking products, windowing software also announced], ''InfoWorld'', Sep 10, 1984</ref> - 3.0のバグフィックス版。別売の{{仮リンク|PC Network|en|IBM PC Network}}または{{仮リンク|MS-Net|en|MS-Net}}で[[トークンリング]]に対応したネットワーク機能が供給された。但し、性能が低く専ら[[ノベル (企業)|ノベル]]の[[NetWare]]などの[[ネットワークオペレーティングシステム|NOS]]が一般的に用いられた<ref>{{Cite journal|author=|year=1987|title=IBM PC and PC-Compatible NOSs Compared|url=https://books.google.ca/books?id=im4qAAAAMAAJ&pg=PA5|journal=U-M Computing News|volume=2|issue=2|page=|pages=4-11|publisher=UM Libraries.|accessdate=2016-10-30}}</ref>。日本ではマイクロソフトから日本語版が供給され、日本国内メーカーの多くのパソコンに採用された<ref name=":1" />。また、NECのPC-98LT、Handy98、富士通のFM TOWNSにはROMで内蔵された。 |
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*バージョン3.20(1986年1月)- 720KB 3.5インチフロッピーディスク (2DD) をサポート。フォーマットプログラムの機種依存ルーチンを<code>IO.SYS</code>に移したことで移植性を高めている。 |
*バージョン3.20(1986年1月)<ref name="DOS3.2">[https://books.google.com/books?id=MskyBf-SNfUC&pg=PA2 PC-DOS upgrade supports 3{{1/2}}-in. floppy disk drives], ''Computerworld'', March 24, 1986</ref> - 720KB 3.5インチフロッピーディスク (2DD) をサポート。フォーマットプログラムの機種依存ルーチンを<code>IO.SYS</code>に移したことで移植性を高めている。 |
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*バージョン3.21 - 3.20のアジアバージョン。2バイトコードに対応し、日本ではAXなどに採用された。 |
*バージョン3.21 - 3.20のアジアバージョン。2バイトコードに対応し、日本ではAXなどに採用された<ref name=":1" />。 |
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**MS-DOS 3.3(PC-98版)- バージョン3.21を独自拡張<ref group="注">NECがマイクロソフトから日本語版MS-DOS 3.21の供給を受けてMS-DOS 3.3として販売していた。</ref><ref>「トピック・レポート:混乱するMS-DOS―こんなにあるバージョン」『日経パソコン』 1988年12月5日号、pp.183-188。</ref>。マイナーバージョンに3.3A~3.3D<ref group="注">PC-98版のバージョン3.3Dはバージョン5.0と同時発売。見かけ上のセクタサイズを1KB若しくは2KBとすることで最大128Mのパーティションを管理することが出来た。</ref>が存在。 |
**MS-DOS 3.3(PC-98版) - バージョン3.21を独自拡張<ref group="注">NECがマイクロソフトから日本語版MS-DOS 3.21の供給を受けてMS-DOS 3.3として販売していた。</ref><ref name=":1">「トピック・レポート:混乱するMS-DOS―こんなにあるバージョン」『日経パソコン』 1988年12月5日号、pp.183-188。</ref>。マイナーバージョンに3.3A~3.3D<ref group="注">PC-98版のバージョン3.3Dはバージョン5.0と同時発売。見かけ上のセクタサイズを1KB若しくは2KBとすることで最大128Mのパーティションを管理することが出来た。</ref>が存在。 |
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*バージョン3.22(1989年10月) |
*バージョン3.22(1989年10月)<ref>「米マイクロソフト、ROM化可能なOS―省電力・小型機向け発売。」『日経産業新聞』1989年10月5日、7面。</ref> - ROM化に対応。同年8月にデジタルリサーチがROM化可能なDR DOSを開発している<ref>「デジタル・リサーチ、ROM化可能なOS発売―「MS-DOS」とも互換性」『日経産業新聞』1989年8月29日、9面。</ref>。 |
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*バージョン3.3( |
*バージョン3.3([[IBM PS/2]]版)(1987年4月)<ref>IBM. ''Operating System/2 Standard Edition Announcement Letter''. 1987-04-02 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/9/897/ENUS287-099/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[19]</nowiki>]).</ref> - IBM主導で開発された。1.44MB 3.5インチディスク (2HD) をサポート。多言語対応の為、コードページが採用された。HDにおいて複数の論理ドライブを扱えるようになった。 |
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*バージョン3.3(OEM版)(1987年8月)- |
*バージョン3.3(OEM版)(1987年8月)<ref>[https://books.google.com/books?id=1zsEAAAAMBAJ&pg=PA3 Microsoft to Release Own DOS 3.3], ''InfoWorld'', August 3, 1987</ref> - IBM版の同バージョンと同等。 |
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===バージョン4(1986年)=== |
===バージョン4(1986年)=== |
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バージョン3.20から派生し、8086上で限定的な[[マルチタスク#ノンプリエンプティブ・マルチタスク|擬似マルチタスク]]環境を実現したもの。マイクロソフトが開発したが不十分であるとしてIBMには採用されず、{{仮リンク|アプリコットコンピューターズ|en|Apricot Computers}}にネットワークOSとしてOEMされた他、僅かの用途に留まり絶滅亜種になってしまった。非同期I/O対応やバックグラウンドタスク規約など資産の一部は [[Microsoft Windows 2.0 |
バージョン3.20から派生し、8086上で限定的な[[マルチタスク#ノンプリエンプティブ・マルチタスク|擬似マルチタスク]]環境を実現したもの<ref>{{cite web|url=https://sites.google.com/site/pcdosretro/multitaskingdos4|title=Information about the little known multitasking MS-DOS 4.0|accessdate=2014-02-13|author=Vernon Brooks|work=PC DOS Retro}}</ref>。マイクロソフトが開発したが不十分であるとしてIBMには採用されず、{{仮リンク|アプリコットコンピューターズ|en|Apricot Computers}}にネットワークOSとしてOEMされた他、僅かの用途に留まり絶滅亜種になってしまった<ref>[https://books.google.com/books?id=lS8EAAAAMBAJ&pg=PA1 MS-DOS 4.0 in U.K.; U.S. Waiting for 5.0], ''InfoWorld'', March 24, 1986</ref><ref>Larry Osterman. [http://blogs.msdn.com/b/larryosterman/archive/2004/03/22/94209.aspx Did you know that OS/2 wasn't Microsoft's first non Unix multitasking operating system?] MSDN Blogs</ref>。非同期I/O対応やバックグラウンドタスク規約など資産の一部は [[Microsoft Windows 2.0|Windows 2.x]] に流用され、また80286プロテクトモードを前提に並行開発されていたもの(当初バージョン5と呼ばれていた)はIBM主導で大幅に改訂され、世に出た時にはOS/2バージョン1.0になっていた{{要出典|date=2016年10月}}。 |
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===バージョン4=== |
===バージョン4=== |
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IBM主導で開発されたバージョン |
IBM主導で開発されたバージョン<ref name=":3">{{Cite journal|author=|year=1988|title=Industry News|url=https://books.google.co.jp/books?id=WSBVAAAAMAAJ&lpg=RA2-PA48&pg=RA2-PA48|journal=U-M Computing News|volume=3|issue=4|page=48|publisher=UM Libraries.|accessdate=2016-10-30}}</ref>。OS/2色が濃くなり、[[IFS]]やラージバッファ等の追加のみならず管理セクタ数が増やされた事に伴いHDは理論上最大2GBの領域を扱うことができるようになった(実際にはBIOSの制限があった)他、添付ユーティリティを利用すると最大512MBのパーティションまで作成可能になったが<ref>[https://books.google.com/books?id=ZzoEAAAAMBAJ&pg=PA1 Incompatibilities Hinder Useful DOS 4.0 Features], ''InfoWorld'', August 15, 1988</ref>、その反面余りに多くの変更がファイルシステムに加えられたため非互換性の問題も生じてしまった。 |
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情報が全部公開されていなかったものの、2バイトコードによるユニバーサルランゲージ対応が内部的に完了したのも本バージョンからである<ref group="注">それまでの日本語版DOSはマイクロソフトが日本市場向けに改変したもので、世界共通の仕様ではなかった。また、バージョン3までの英語版DOSをDOS/V化するとファイル名の扱いなどで不具合が生じる場合がある</ref>。従来のバンクメモリに代るEMSの標準サポートによって扱えるメモリ領域が1MB以上に拡張された。 |
情報が全部公開されていなかったものの、2バイトコードによるユニバーサルランゲージ対応が内部的に完了したのも本バージョンからである<ref group="注">それまでの日本語版DOSはマイクロソフトが日本市場向けに改変したもので、世界共通の仕様ではなかった。また、バージョン3までの英語版DOSをDOS/V化するとファイル名の扱いなどで不具合が生じる場合がある</ref>{{要出典|date=2016年10月}}。従来のバンクメモリに代るEMSの標準サポートによって扱えるメモリ領域が1MB以上に拡張された<ref name="AdvancedDOS" />。 |
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互換OSの |
互換OSの[[DR DOS]]で好評を博していた「[[Graphical Environment Manager|GEM]]」に類似のグラフィカルユーザインタフェース環境、「[[MS-DOS Shell|DOSシェル]]」が添付された<ref name="AdvancedDOS" />。これはマウスオペレーションやグラフィカルなメニューによる直感的な操作が行えるもので、依然シングルタスクながらも複数のアプリケーションを重複起動して切替動作させることができ(いわゆるタスクスイッチャ)、GUIもキャラクタベースによる簡易なものとグラフィック画面とテキスト画面を組み合わせたもの(表示が美しく、ポインタの動作もスムーズになる)とを選択できた。DOSシェルのデザインはIBM [[Systems Application Architecture]] [[Common User Access]]に準拠していた<ref>{{Cite journal|author=Paul Somerson|year=|date=1988-09-27|title=First Looks : OS Who? IBM DOS 4.0 Brags New Look, Long-Awaited Features|url=https://books.google.co.jp/books?id=UenCawr7OowC&lpg=PA33&hl=ja&pg=PA33|journal=PC Mag|volume=|page=33|accessdate=2016-10-30}}</ref>。 |
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本バージョンには性急な複雑化に伴う非常に多くのバグが存在し、またOS自体が消費するメモリが過大だったため、メーカーによって |
本バージョンには性急な複雑化に伴う非常に多くのバグが存在し、またOS自体が消費するメモリが過大だったため、メーカーによってDOS 3.30 を拡張した DOS 3.31 を採用するなどして4.0を採用しないところが有った<ref>[https://books.google.com/books?id=tjAEAAAAMBAJ&pg=PT14 Users Still Slow to Accept DOS 4.0], ''InfoWorld'', July 31, 1989</ref>。特に日本ではコンベンショナルメモリの空き容量が日本語処理アプリケーションの稼動に大きく影響を与えるため、大手メーカーであるNEC、富士通などが3.21系の拡張版のみを販売し続けたことで、4.0のユーザー数はそれほど多くなかった{{要出典|date=2016年10月}}。 |
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*MS-DOS 4.0(マイクロソフト版)(1988年7月)<ref name=":3" /> |
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*IBM DOS 4.0(IBM版、PC DOSより改称)(1988年7月)<ref>IBM. ''PC DOS 4.0 Announcement Letter''. 1988-07-19 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/0/897/ENUS288-380/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[22]</nowiki>]).</ref> |
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**IBM DOS J4.05/V(1990年11月)(日本のみ)<ref>「MIXハイライト:PC AT互換パソコンでDOS/Vが動いた」『日経バイト』 1991年1月号、pp.326-328。</ref> - いわゆる「DOS/V」の最初のバージョン。末尾の「V」は[[Video Graphics Array|VGA]]を意味し、漢字ROMがなくても日本語表示が出来るように拡張されたもので、専用ハードウェアを付加することなく日本語対応が可能になったため日本国内外のPC/AT互換機メーカーが日本市場に参入する契機になった<ref name=":5" />。 |
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*MS-DOS 4.01(マイクロソフト版)(1988年12月)<ref>[https://books.google.com/books?id=ADoEAAAAMBAJ&pg=PT16 Microsoft Releases Updated DOS 4; Some OEMs Ship Versions This Month], ''InfoWorld'', November 28, 1988</ref> - バグフィクス。 |
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===バージョン5=== |
===バージョン5=== |
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再びマイクロソフト主導で開発された。バージョン4で付加された中途半端なユーティリティの多くが削除された一方、80386、[[Intel 486|80486]]等に備わる[[仮想86モード]]の活用と [[Microsoft Windows 3.x |
再びマイクロソフト主導で開発された<ref>{{Cite journal|author=|year=1991|title=MS-DOS 5.0: The Old Standard Improved|url=https://books.google.co.jp/books?id=SyJVAAAAMAAJ&lpg=PA329&hl=ja&pg=PA329|journal=U-M Computing News|volume=6|issue=2|page=329|publisher=UM Libraries.|accessdate=2016-10-30}}</ref>。バージョン4で付加された中途半端なユーティリティの多くが削除された一方、80386、[[Intel 486|80486]]等に備わる[[仮想86モード]]の活用と [[Microsoft Windows 3.x|Windows 3.0]] との親和性を主眼にほぼ全面的に再コードされたため、[[パソコン通信]]等を介した約1年にわたる大規模なベータテストを経て市販開始された。IBMの製品へのバンドルに限定せず、巷に溢れるPC/AT互換機へのフル対応を初めからうたいインストーラ込みで発売された最初のMS-DOS(PC DOS)でもある。{{要出典|date=2016年10月}} |
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メモリ消費は少ないものの大容量ドライブが扱えないバージョン3、その逆で大容量ドライブが使えるがメモリ消費が大きいバージョン4というジレンマを抱えていたが、限りあるメモリ領域の消費を抑える機能を追加することでそれまでの問題を払拭するに至った。このバージョンによりDOSはほぼ完成を見たが8086~80286とその互換CPU上の動作には制約が強まり、結局のところ巧妙なアップグレード戦略の下でハードウエアの買い替え需要が喚起された。 |
メモリ消費は少ないものの大容量ドライブが扱えないバージョン3、その逆で大容量ドライブが使えるがメモリ消費が大きいバージョン4というジレンマを抱えていたが、限りあるメモリ領域の消費を抑える機能を追加することでそれまでの問題を払拭するに至った。このバージョンによりDOSはほぼ完成を見たが8086~80286とその互換CPU上の動作には制約が強まり、結局のところ巧妙なアップグレード戦略の下でハードウエアの買い替え需要が喚起された。{{要出典|date=2016年10月}} |
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XMSによってDOS本体の一部をHMAに、デバイスドライバやアプリケーションの一部をUMBに待避させることが可能で、コンベンショナルメモリが大きく取れるようになった。またタスクスイッチ規約が明確に定義され、DOSシェルの機能拡張 |
XMSによってDOS本体の一部をHMAに、デバイスドライバやアプリケーションの一部をUMBに待避させることが可能で、コンベンショナルメモリが大きく取れるようになった。またタスクスイッチ規約が明確に定義され、DOSシェルの機能拡張(Windows 3.0 のサブセット化)が図られた。各種LAN対応も進められ、コマンドにヘルプが付されるなど利便性も向上した。 |
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[[テキストエディタ]]は、過去のバージョンに標準添付されていた[[ラインエディタ]]「<code>[[EDLIN]]</code>」に加えスクリーンエディタ「{{仮リンク|EDIT|en| |
[[テキストエディタ]]は、過去のバージョンに標準添付されていた[[ラインエディタ]]「<code>[[EDLIN]]</code>」に加えスクリーンエディタ「{{仮リンク|EDIT|en| MS-DOS Editor}}」が添付された<ref group="注">PC/AT互換機用の英語版のみ。PC-98版は<code>SEDIT</code>(バージョン3.3Dにも付属)、EPSON PC版は<code>MEDIT</code>、富士通版(FMRシリーズ、FM TOWNS用)は<code>EDIAS</code>と各社ばらばらのコマンド名・機能のエディタが添付された。</ref>。開発環境として、コマンドラインエディタに加え独自に拡張された構造化BASICコンパイラ[[QuickBASIC]]が標準添付されていた。 |
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それまで未公開だったファンクションの多くがユーザに解放されたためカスタマイズやデバイスドライバ開発が更に容易になった。日本ではマイクロソフトが |
それまで未公開だったファンクションの多くがユーザに解放されたためカスタマイズやデバイスドライバ開発が更に容易になった{{要出典|date=2016年10月}}。日本ではマイクロソフトがDOS/VのOEM供給を開始し、PC/AT互換機をベースに独自の拡張を行っていたAX陣営や東芝 ([[ダイナブック_(東芝)|J-3100]])もこの頃よりDOS/Vへのシフトを進めるようになった<ref>「問:東芝のパソコンはDOS/Vパソコンなの?」『日経パソコン』 1994年1月31日号、pp.202-203。</ref>。また、世界のデファクトスタンダードであるPC/AT互換機のハードウェアでそのまま日本語版OSを使えるようになった為に日本国外のメーカーが積極的に日本市場へ参入し始め、NECの独擅場であった日本市場は大きく変貌することとなった<ref name=":5" />。 |
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*MS-DOS 5.0(1991年6月)<ref name="Manes" /> |
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*IBM DOS 5.0(1991年6月)<ref>IBM. ''IBM DOS Version 5.00 and Upgrade''. 1991-06-11 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/2/877/ENUSZP91-0432/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[25]</nowiki>]).</ref> - 他マイナーバージョンアップやローカライズ版多数 |
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===バージョン6=== |
===バージョン6=== |
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[[デフラグメンテーション|ディスク最適化]]や[[ディスク圧縮]]機能(後述)、[[コンピュータウイルス]]検出・除去など、 |
[[デフラグメンテーション|ディスク最適化]]や[[ディスク圧縮]]機能(後述)、[[コンピュータウイルス]]検出・除去など、CD-ROMアクセスに必要なMSCDEXの付属等付加機能の充実が主。MS-DOS単体としての最終版。 |
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デジタルリサーチから |
デジタルリサーチからMS-DOS互換の DR-DOS 6.0 が発売された<ref name="Caldera_1996_Suit">''Software Developer Caldera sues Microsoft for Antitrust practices alleges monopolistic acts shut its DR DOS operating system out of market'' Caldera News, 1996-07-24 ([http://www.maxframe.com/DR/Info/fullstory/ca_sues_ms.html <nowiki>[3]</nowiki>]).</ref>。大きな特徴は補助ユーティリティの大幅な増強である。その為、IBMおよびマイクロソフトでも基本仕様はほとんど変えずに補助ユーティリティを追加する事でバージョン6を発売することになった。IBMは6.1、それに続くマイクロソフトは6.2と、先に出た競合相手よりバージョン番号はそれぞれ0.1だけ大きい。 |
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起動時に特定のキーを押すと<code>CONFIG.SYS</code>・<code>AUTOEXEC.BAT</code>の一部の行を実行したり、全てバイパスする機能があった。 |
起動時に特定のキーを押すと<code>CONFIG.SYS</code>・<code>AUTOEXEC.BAT</code>の一部の行を実行したり、全てバイパスする機能があった。 |
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マイクロソフト版は同時期に発売された [[Microsoft Windows 3.x |
マイクロソフト版は同時期に発売された [[Microsoft Windows 3.x|Windows 3.1]] の普及を促すという販売戦略からDOSシェルを廃止したと見られた<ref group="注">別売のサプリメンタルディスクで配布された。PC-98版には従来どおり付属。</ref><ref name=":4" />。テキストエディタは日本語に対応して共通の<code>EDIT</code>となった(PC-98版は<code>SEDIT</code>が付属<ref group="注">[[メガソフト]]社の[[Mifes|MIFES]]のサブセット版</ref><ref name="yomigaeru2">藤山哲人「PC-9801開発現場の8つの秘密」、『月刊アスキー別冊 蘇るPC-9801伝説 永久保存版 第2弾』、アスキー、2007年4月9日初版、138ページ</ref>)。 |
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*MS-DOS 6.0(1993年3月)<ref>[https://books.google.com/books?id=PTwEAAAAMBAJ&pg=PA8 MS-DOS 6 hype doesn't match analyst forecasts], ''InfoWorld'', March 29, 1993</ref> |
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*{{lang|en|MS-DOS}} 6.0(1993年3月) |
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*PC DOS 6.1(IBM DOSより改称)(1993年6月)<ref>IBM. ''IBM PC DOS Version 6.1''. 1993-06-29 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/7/897/ENUS293-347/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[27]</nowiki>]).</ref> - IBMの独自ビルド。初期のバージョンにはディスク圧縮ユーティリティは添付されておらず、後のPC DOS 6.1 with Compressionでアドスター社の「SuperStor/DS」が添付された(日本語版PC DOS J6.1/V は最初から圧縮ユーティリティ添付)。 |
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*MS-DOS 6.2(1993年11月)<ref>[https://books.google.com/books?id=8ToEAAAAMBAJ&pg=PT122 Notes From the Field], Robert X. Cringely, ''InfoWorld'', Nov 8, 1993, p. 122</ref> - ディスク圧縮ユーティリティ「DoubleSpace」のバグフィクス等<ref>[https://books.google.com/books?id=6joEAAAAMBAJ&pg=PA3 MS-DOS 6.2 lets users uncompress DoubleSpace volumes;protects data], ''InfoWorld'', November 1, 1993</ref><ref>[https://books.google.com/books?id=E9TvMcu1mIwC&pg=PA37 MS-DOS 6.2 Addresses DoubleSpace Concerns, Adds Features], ''PC Magazine'', January 11, 1994</ref>。「DoubleSpace」は、ディスク容量を圧縮し、圧縮されたまま読み書きを可能にするもの。このユーティリティに用いられている技術の一部がスタック・エレクトロニクス社の特許を侵害しているものとして、訴訟を起こされた。 MS-DOS 6.0 のユーザはオンラインの無償アップデートパッケージを入手することで MS-DOS 6.2 にアップグレードできた。 |
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**MS-DOS 6.2/V(1993年12月) - 日本ではマイクロソフトが自社ブランドで発売した唯一の日本語版MS-DOS単体パッケージ<ref>「マイクロソフト、MS-DOS最新版、自社ブランドで発売。」『日経産業新聞』 1993年12月7日、6面。</ref>。IBM DOS J5.0/VまたはMS-DOS 5.0/Vからのアップグレードのみ。5.0/Vと同様にOEMでも供給。 |
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*MS-DOS 6.21(1994年2月)- マイクロソフトによるスタック・エレクトロニクス社の特許侵害が一部認められた為、「DoubleSpace」を除去したもの。<ref name="Stac2">[https://books.google.com/books?id=x_1p1FQCWXkC&pg=PA30 Microsoft settles for piece of the Stac], ''Computerworld'', June 27, 1994</ref><ref name="heavyweights">[https://books.google.com/books?id=jjgEAAAAMBAJ&pg=PA87 The DOS heavyweights go another round], ''InfoWorld'', August 29, 1994</ref> |
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*PC DOS 6.3(1994年4月)<ref>IBM. ''IBM PC DOS Version 6.3''. 1994-04-27 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/3/897/ENUS294-263/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[28]</nowiki>]).</ref> - IBMの独自ビルド。MS-DOS 6.2 同様、オンラインの無償アップデートパッケージを入手してPC DOS 6.1 から 6.3 にアップグレードできた。 |
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*MS-DOS 6.22(1994年6月) - スタック・エレクトロニクス社の特許を侵害しない形で作成されたものが「DriveSpace」として改めて搭載された(但し、日本語版には関係ない)。なお、DoubleSpaceとDriveSpaceの圧縮機能には互換性がなく、そのままでは互いに圧縮されたパーティションにアクセスすることができない。<ref>[https://books.google.com/books?id=QZtKFFB8weQC&pg=PA10#v=onepage&q&f=false Judge rules against Microsoft], ''Computerworld'', June 13, 1994</ref><ref>[https://books.google.com/books?id=fzgEAAAAMBAJ&pg=PA5 MS-DOS recall order may disrupt supply line of PCs], ''InfoWorld'', June 20, 1994</ref> |
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===バージョン7(マイクロソフト版)=== |
===バージョン7(マイクロソフト版)=== |
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Windows 95/98/98SE に搭載されているバージョン。ファイルシステムでは長いファイル名がサポートされたのが最大の特徴。従来の<code>MSDOS.SYS</code>は<code>IO.SYS</code>にその機能を統合されて設定ファイルとなり、<code>IO.SYS</code>が起動する標準シェルが<code>COMMAND.COM</code>ではなく<code>WIN.COM</code>であるなどMS-DOSを極力見せない工夫がされていた。しかし、Windows起動中にテキストモードのカーソルが見える。Windows 95のOSR2以降では[[File Allocation Table#FAT32|FAT32]]にも対応しているバージョン7.1である<ref>{{Cite journal|author=|year=|date=1997-10-07|title=PCTech User-to-User|url=https://books.google.co.jp/books?id=oOfsp5YznnkC&lpg=PA319&ots=s5QKRN1hO7&hl=ja&pg=PA319|journal=PC Mag|volume=16|issue=17|page=319|publisher=Ziff Davis, Inc.|accessdate=2016-10-31}}</ref>。また、Windows 95/98はWindowsを起動せずにMS-DOSモードで再起動することができた。 |
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===バージョン7(IBM版)=== |
===バージョン7(IBM版)=== |
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1995年リリース。IBM版のみ。開発環境として「 |
1995年リリース。IBM版のみ。開発環境として「[[REXX]]」を標準添付。ディスク圧縮ユーティリティは「SuperStor/DS」から「Stacker4.0」に変更された<ref name="disappearing">[https://books.google.com/books?id=oToEAAAAMBAJ&pg=PA68 PC DOS 7 beats its disappearing competitors], ''InfoWorld'', April 10, 1995</ref>。MS-DOS 7(マイクロソフト版)とは異なりGUIとの融合はされなかったが、当時[[インターネット]]の普及が進んでいた中で[[Palm Top PC 110]]の人気を受けてPC DOS用[[ウェブブラウザ]]「[[WebBoy]]」が開発された<ref name="pcwatch19970317">{{Cite web|url=http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970317/webboy.htm|title=日本IBM、旧型機をよみがえらせるDOS用のWebブラウザ「WebBoy」を発表|accessdate=2012-08-23|date=1997-03-17|publisher=PC Watch}}</ref>。 |
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* PC DOS 7(1995年4月)<ref>IBM. ''IBM PC DOS Version 7''. 1995-02-28 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/4/897/ENUS295-074/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[29]</nowiki>]).</ref> |
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* {{lang|en|PC DOS}} 7(1995年4月) |
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* PC DOS 2000(1998年5月)<ref>IBM. ''IBM PC DOS 2000 Can Ease Your Transition to the Year 2000''. 1998-05-26 ([http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/9/897/ENUS298-169/index.html&lang=en&request_locale=en <nowiki>[31]</nowiki>]).</ref> - PC DOS 7 をベースに、[[ユーロ記号]]の表示や西暦[[2000年問題]]に対応したもの。VERコマンドではPC DOS Version 7.0 Revision 1と表示される。日本語版は製品名から「/V」が外れたが、「DOS/V」部分を含んでいる。これがPC DOS(IBM DOS)およびMS-DOS全体の事実上の最終バージョンとなる(互換OSは除く)。2001年にはサポートが終了した<ref name=":2" />。 |
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=== バージョン8(マイクロソフト版) === |
=== バージョン8(マイクロソフト版) === |
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[[Microsoft Windows Millennium Edition|Windows Me]]に搭載されているバージョン。<code>IO.SYS</code>に<code>HIMEM.SYS</code>および<code>SMARTDRV</code>(ディスクキャッシュ)の機能を統合した最終版であり、もはやWindowsの[[ブートローダ]]でしかなくMS-DOSモードでの起動も廃止された<ref>{{Cite web|url=http://www.microsoft.com/whdc/archive/fast-boot.mspx|title=Improving "Cold Boot" Time for System Manufacturers|accessdate=2016-10-30|date=2001-12-04|publisher=Microsoft|archiveurl=http://web.archive.org/web/20090125012228/http://www.microsoft.com/whdc/archive/fast-boot.mspx|archivedate=2009-01-25|deadlinkdate=2016-10-30}}</ref>。Windows Meや[[Microsoft Windows XP|Windows XP]]以降で起動ディスクを作成するとこのMS-DOSが書き込まれる。 |
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==MS-DOSとの互換性を持つオペレーティングシステム== |
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{{出典の明記|date=2016年10月|section=1}} |
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===MS-DOSとバイナリ互換性を持つオペレーティングシステム=== |
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*[[DR-DOS]] |
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*[[PC-Engine (オペレーティングシステム)|PC-Engine]]([[PC-8800シリーズ|PC-88VA]]) |
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*[[FM TOWNS#TownsOS|TownsOS]](FM TOWNS) |
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*[[FreeDOS]] |
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*[[PTS-DOS |
*[[PTS-DOS|PTS-DOS(試用版)]] |
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*[[RxDOS]] |
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またPC-9800シリーズ全盛期には、ゲームソフトの組み込み用として下位互換 |
またPC-9800シリーズ全盛期には、ゲームソフトの組み込み用として下位互換(INT21系のサブセットのみ互換)の「MEG-DOS」などがあった。[[アリスソフト]]の「ALICE-DOS」は、もともとゲームソフト本体はMS-DOSをインストールした[[ハードディスクドライブ]]上で動かすことを前提としあくまでもフロッピー単体でも起動するようサポート用に作られたものであったため、バッチファイルを動かす機能も有していた。 |
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===MS-DOSの影響を受けつつもバイナリ互換性の無いオペレーティングシステム=== |
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*[[Human68k]]([[ハドソン]]、[[シャープ]]) - [[X68000]]、ファイルシステムにFAT12/16のサブセットを採用、<code>COMMAND.COM</code>に酷似したコマンドインタプリタを搭載。システムコールのファンクションにもINT21Hを真似た設計が見られる等、影響を(主に開発工期の短縮などの側面から)強く受け模倣していることは明らかではあるが、その他は全く別個の実装であり、CPU自体にも互換性は無い。 |
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*[[Carry日本語DOS |
*[[Carry日本語DOS]]([[キャリーラボ]]) - [[PC-8800シリーズ]]/[[X1シリーズ|X1]]。通称CDOS-II。ファイルシステムのみFAT12に対応したOSで、CP/Mエミュレータが存在した。Z80を前提としたCP/Mのバリアント(変種)であり、MS-DOSの移植ではない。当然MS-DOS用のバイナリも動作しない。パソコン通信ソフトの一部としても使用され、PC-8800シリーズ版はJET-TERMに、X1シリーズ版はJETターボターミナル([[エス・ピー・エス|SPS]]発売)に付属する。PC-8800シリーズ版はOSのみのフリー版がある。前身であるCarryDOS(CDOS)とはファイルシステム、システムコールともに互換性はない。 |
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* |
*[[MSX-DOS]] (マイクロソフト、アスキー)<ref>{{Cite journal|和書|year=1988|title=テクニカルレポート 日本語MSX-DOS2大研究|journal=ASCII|volume=12|issue=10|pages=305-308|publisher=アスキー|ISSN=03865428}}</ref> - [[MSX]]、FAT12のサブセットに対応し、MS-DOSの<code>COMMAND.COM</code>に酷似したコマンドインタプリタを搭載した、CP/M互換OS。CDOS-IIと同様にCP/Mのバリアントであり、MS-DOS用のバイナリは動作しない。表計算アプリケーション[[Multiplan]]の一部として、PC-8800シリーズ、X1シリーズ、[[MZ-2500]]にもサブセット版がある。 |
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*[[IDOS]]([[ソフトバンク]]) - PC-8800シリーズ、[[PC-8000シリーズ]]、ファイルシステムのみFAT12に対応した、CP/M互換OS。 |
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==脚注== |
==脚注== |
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=== 出典 === |
=== 出典 === |
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<references /> |
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==関連項目== |
==関連項目== |
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*[[マイクロソフトの歴史]] |
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*{{lang|en|[[QDOS]]}} |
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*[[Expanded Memory Specification]] |
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*[[VCPI]] |
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*[[DPMI]] |
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*[[2000年問題]] |
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*[[LAN Manager]] |
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*[[Windows 9x系]] |
*[[Windows 9x系]] |
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*[[仮想DOSマシン]] |
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*[[DOSエクステンダ|{{lang|en|DOS}}エクステンダ]] |
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*[[Win32コンソール]] |
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==外部リンク== |
==外部リンク== |
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*[http://hp.vector.co.jp/authors/VA000199/history.html |
*[http://hp.vector.co.jp/authors/VA000199/history.html DOSの歴史セミナ(Altair☆)] |
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*[http://www.sanosemi.com/history_of_PC_refURL.htm パソコン産業およびパソコン技術の歴史関連URL] |
*[http://www.sanosemi.com/history_of_PC_refURL.htm パソコン産業およびパソコン技術の歴史関連URL] |
||
*[http://www.os.rim.or.jp/~ppp/msdos/SD/ |
*[http://www.os.rim.or.jp/~ppp/msdos/SD/ DOSの系譜を辿る](「Software Design」1998年6月号に掲載されたものを、編集部の許可のもと転載) |
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*[ftp://ftp.boulder.ibm.com/ps/products/dos/fixes/dos7.0/ |
*[ftp://ftp.boulder.ibm.com/ps/products/dos/fixes/dos7.0/ PC DOS 7 の修正入手先] |
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*[http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/3/760/PSP98003/index.html&lang=ja&request_locale=ja 日本IBM・ |
*[http://www-01.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/3/760/PSP98003/index.html&lang=ja&request_locale=ja 日本IBM・PC DOS 2000] |
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*[http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/2994/virtualpc/pcdos2kj/pcdos2kj.html |
*[http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/2994/virtualpc/pcdos2kj/pcdos2kj.html PC DOS 2000 のインストール画面] |
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{{Wikibooks|MS-DOS/PC DOS入門|MS-DOS/PC DOSの操作方法}} |
{{Wikibooks|MS-DOS/PC DOS入門|MS-DOS/PC DOSの操作方法}} |
2016年11月18日 (金) 08:05時点における版
MS-DOSのコマンドラインの一例。画像ではCドライブのルートディレクトリを指定している。 | |
開発者 | マイクロソフト |
---|---|
プログラミング言語 | アセンブリ言語 |
開発状況 | 終了 |
ソースモデル | クローズドソース |
最新安定版 | 8.0 / 2000年9月14日 |
リポジトリ | |
使用できる言語 | 多言語 |
プラットフォーム | x86 |
カーネル種別 | モノリシックカーネル |
既定のUI | キャラクタユーザインターフェース (CUI), テキストユーザインタフェース (TUI) |
ライセンス | プロプライエタリ |
ウェブサイト |
www |
MS-DOS(エムエス-ディーオーエス、エムエスドス[1])は、マイクロソフトが開発・販売していたパーソナルコンピュータ向けの16ビットのオペレーティングシステム(OS)である。IBMへのOEM供給品であった PC DOS (IBM DOS)を自社製品として供給・販売したもので、バージョン6以降はPC DOSから完全に独立して開発された。
概要
MS-DOS(およびPC DOS等)は、8086系のマイクロプロセッサをCPUとするパーソナルコンピュータ向けのシングルタスクのオペレーティングシステムで、DOS(ディスクオペレーティングシステム)の名の通り、ディスクの管理が主機能である(DOSという名前だからといって必ずしもそうとは限らないが、少なくともMS-DOSのプロセス管理機能は、シングルタスクに代表されるように、低機能・低性能である)。
基本的なユーザーインターフェースはキャラクタユーザインタフェース(CUI)で、コマンドラインインタプリタ COMMAND.COM
の表示するコマンドプロンプトにコマンドを与えて操作を行う。一部のメーカーが独自に追加したり、後のバージョンで搭載されたグラフィカルなツールもある。UNIXを参考にした階層型のファイルシステムを持つが、ファイル名の制約などが厳しく機能は低い。
歴史的には1981年にIBMが初代IBM PC用に発売したDOSが「PC DOS」で、1982年よりマイクロソフトがIBM以外のメーカーにOEM提供を開始したものが「MS-DOS」であったが、マイクロソフトは後に1981年から「MS-DOS」と呼んでいる。
両社はバージョン5まではOS共同開発契約(OSクロスライセンス契約)を結んでおり互換性が保たれた。当時は8ビット市場ではCP/Mが事実上の標準であったが、16ビット市場ではPC DOSならびにMS-DOSが主流となった。
特にMS-DOSはインテルのx86系マイクロプロセッサを搭載した各社・各機種のパーソナルコンピュータに移植され、世界的にはPC/AT互換機、日本では日本電気(NEC)のPC-9800シリーズ、富士通のFMRシリーズ、東芝のダイナブックなど各社独自仕様のアーキテクチャに移植された。後にはAXのベース、更には組み込み機器などに、広く普及し主流となった。
しかしMS-DOS(PC DOS)を搭載しているPCであっても、アーキテクチャが異なる機種間ではアプリケーションソフトウェアの互換性はほとんど無かった。MS-DOSは画面描画に関わるAPIを持たないため、グラフィックメモリを操作して画面描画を行うアプリケーションはハードウェアを直接操作せざるを得ず機種依存となったためである[2]。
日本ではソフトウェアのみで日本語表示を可能としたDOS/Vが発売され、漢字V-RAM機能を持たないPC/AT互換機が普及した。
バージョン6からはIBMとマイクロソフトのOS共同開発契約が終了し、後にMS-DOSとPC DOSの単体販売やサポートも終了したため、2016年現在はオープンソースを含めた互換DOSの他、Microsoft Windowsのコマンドプロンプト環境などのDOS互換環境が存在する。
MS-DOSは1995年時点で全世界で1億本を出荷した[3]。
歴史
開発の経緯
1980年7月頃、IBMは後にIBM PCとなるパーソナルコンピュータの開発に着手した[4]。しかし、IBMの主力商品である汎用コンピュータに比べるとごく少数のスタッフとわずかな予算しか与えられなかった。プロジェクトリーダーのフィリップ・ドン・エストリッジは、可及的速やかに商品化にこぎ着けるためにソフトウェアは自社開発せず、すべて外部から調達する方針を立てた[5]。
当時のマイクロソフトはBASICインタプリタやアセンブラならびに各種言語のコンパイラ等を開発しており、それらの製品のほとんどが当時のパーソナルコンピュータ市場におけるデファクトスタンダードOSであるデジタルリサーチのCP/M上で動作するものであった。
IBMはマイクロソフトに対し当初はBASICなどの言語製品の開発を依頼していた[6]。OSについても8086対応版のCP/Mをマイクロソフトに開発してもらおうとした[7]。しかし彼らはCP/Mのソースの権利を持っていなかった為、ビル・ゲイツのアドバイスに従ってデジタルリサーチと交渉することにした[8]。ところがデジタルリサーチとの交渉はうまくいかず、再びマイクロソフトに開発の依頼を持ち込んだ。[9][10][11][12]
マイクロソフトは「M-DOS」というOSを開発した経験はあるが、販売したことはなかった[5]。IBMから要求された期日は1年以内という厳しいもので、言語製品の開発に加えてOSにまで手を回す余裕はなかった[13]。同じ頃、シアトル・コンピュータ・プロダクツはCP/Mが8086に移植されない事に業を煮やして独自に移植作業を行い、QDOSとして売り出した。マイクロソフトはこれを開発者込みで買収しIBM PC用に改修した[注 1][14][15]。
各メーカーへのOEM供給
IBMは当初「PC DOS」名称でIBMのみへの供給を主張し、マイクロソフトはIBM以外のメーカーへのOEM供給を主張した結果、「IBM用はPC DOS名称。マイクロソフトによる各メーカーへのOEM供給も認めて普及を図る」という役割分担となったと言われる[要出典]。この役割分担は後のOS/2 Ver. 1.Xでも同様となる。
リスクを軽減化するために買い取りを避けIBM PCの出荷台数に対して使用料を支払うというライセンス契約をしたこと、そしてマイクロソフトから各メーカーへの自由なOEM供給を認めた事が後のマイクロソフトの躍進の原動力と言え、また見方を変えれば、最終的に「軒先を貸して母屋を取られた」IBMの大失策であるとも言えるが、MS-DOS(およびPC DOS)の普及(デファクトスタンダード化)を決定づけたとも言える。[要出典]
1982年、マイクロソフトはバージョン1.25からIBM以外のメーカーにMS-DOSのOEM供給を開始した。ライフボート・アソシエイツのSB-DOS[16]、コンパックのCompaq-DOS[17]、ゼニス・データ・システムズのZ-DOS[18][19][20]など、供給先メーカも名称も複数あった。1983年のバージョン2.0より「MS-DOS」名称に一本化された。IBM以外の各メーカーへのOEM供給品に自社の商標(MS)をつけ「MS-DOS」名称としたのは、OEM先メーカーが独自の名前をつけて混乱することを避けるために整理する意味があった[要出典]。ただし、その後も富士通FM TOWNSのTownsOSや各種制御機器など、内部的にMS-DOSがOEM提供されている場合には「MS-DOS」の名称はユーザーに見えない場合があった。
DOSの限界と開発の終焉
DOSは標準でグラフィカルユーザインターフェースやマルチタスク機能や仮想記憶を持たず、80386などの32ビット環境でも「高速な8086」としか使用できなかったため、DOSの拡張や次世代OSが待望された。
1985年にはDOSエクステンダーであるDESQview[21]、同年にDOS上で稼働する「オペレーティング環境」としてMicrosoft Windowsが登場した[22]。更に1987年には本格的なDOSの後継OSとしてIBMとマイクロソフトから OS/2 Ver. 1.0 が登場した[23][24]。OS/2はDOSと同様に、IBMおよびマイクロソフトの両者から供給されたが、性能やDOS互換環境の問題もあり広く普及しなかったためDOSは継続して使われた[25]。
1990年に日本ではIBM DOSのバージョン4からDOS/Vが生まれ、マイクロソフトもバージョン5からDOS/VのOEM供給を開始したため[26]、日本でもPC/AT互換機の市場が立ち上がり始めた[27]。
1993年のバージョン6からは、IBMとマイクロソフトのOS共同開発契約(OSクロスライセンス契約)が終了したため以後はIBMまたはマイクロソフトの単独開発となった[28]。両者は基本部分の互換性は保たれているが、付属ユーティリティの相違などが広がった。マイクロソフトはこのMS-DOS 6を単体販売の最終バージョンとし、1995年のMicrosoft Windows 95以降は単体のDOSも不要となった[注 2]。IBMはDOSの改良を続けたが、1998年のPC DOS 2000が最終バージョンとなり、2001年にはサポートも終了した[29]。
機能
MS-DOSと名付けられているように、マイクロソフトのパーソナルコンピュータ向けのDOS(ディスク・オペレーティング・システム)であり、主にディスクの管理を行うシングルタスクOSであった。マルチタスク機能・メモリ保護機能などはOS内部には持っていなかった。またグラフィック画面やサウンドの操作・ネットワーク機能などは、Microsoft WindowsやLAN Managerのほかアプリケーションが直接I/Oを操作するかデバイスドライバなどで提供されていた。
ファイル管理
ファイル名は8.3形式、つまり、8バイトまでのベース名と3バイトまでの拡張子の合計最大11バイト(拡張子の前の「.」を数えれば12バイト)で表す。アルファベットの大文字と小文字は区別しない(全て大文字と見なされる)。
さらにバージョン2以降では、ディレクトリやファイル属性の与奪が使用できた。
起動順序
起動順序はバージョンによって若干違うが、概ね以下の通りである。
- コンピュータのROM BIOSやディスクのマスターブートレコードからディスクのセクタ0にあるブートセクタを読み込んで実行。
- ディスクから
IO.SYS
とMSDOS.SYS
がメモリ中にロードされる。 IO.SYS
を起動し、その後MSDOS.SYS
に制御を移行する。CONFIG.SYS
が起動ドライブのルートディレクトリにあれば、そこに記述されたデバイスドライバを読み込む。- バッチ処理のためのコマンドインタプリタでもある標準シェルの
COMMAND.COM
を起動する。 AUTOEXEC.BAT
が起動ドライブのルートディレクトリにあれば、その内容を実行し、環境変数の設定や起動時に実行すべきコマンド等の呼び出し、場合によってはアプリケーションの起動なども行う。
COMMAND.COM
では、各ドライブをA:
から最大Z:
まで[注 3]のドライブレターで管理し、内部コマンドではファイル・ディレクトリ一覧の参照、ファイルとディレクトリの作成・コピー・名前変更、コンピュータの時刻や環境変数およびパスの設定参照などができるほか、外部コマンドやアプリケーションなどの実行形式のファイルの起動が行えた。またVer.2以降ではUNIXを意識した入出力のリダイレクト機能やパイプ機能なども利用できたが、MS-DOS上のパイプやリダイレクトはいずれもテンポラリファイルを介した擬似的な実装に留まっていた。
実行ファイル
MS-DOSにおける実行ファイルの形式は、現在のUNIX系環境で言うシェルスクリプトに類似したコマンドのバッチ処理を記述するバッチファイル(拡張子はBAT
)と、CPUが直接実行するバイナリファイルに大別することができる。
このうちバイナリファイルには、単一のセグメントを使うCOM
形式、複数のセグメントが使用される場合のEXE
形式、さらにデバイスドライバとしてSYS
形式が存在し、それぞれ同名の拡張子を持つ。
COM
形式の実行ファイルは、バイナリ読み込み時に設定されるコード・データ・エクストラ・スタックの各セグメントレジスタの値が同一アドレスに設定され、プログラム内部でセグメントレジスタを操作しない場合は単一セグメント、最大64KBのメモリ空間を操作する。CP/M 80用に書かれた8080用のアセンブリ言語のソースコードを8086へコンバートした場合を想定したメモリモデルであるが、COM
形式のバイナリであってもプログラム側で適切にセグメントレジスタを操作することで64KB以上の空間へのアクセスが可能である。
このうち.SYS
形式のバイナリは、原則的に起動時に一度だけ実行されるCONFIG.SYS
に記述する以外の方法では直接読み込むことができない[注 4]。
システムコール
システムコールは、ソフトウェア割り込みにより呼び出されるが、8080やZ80などの8ビットのコンピュータではメジャーな存在だったCP/Mとの互換性、特に8080用にアセンブリ言語で書かれたソースコードを8086にコンバートして用いる場合を想定し、call 5でも利用可能としてCP/M 80からの移行を促した。[要出典]
メモリ管理
MS-DOSにおいて、DOS自身のカーネルを含むプログラムの実行に確保できるメモリ空間(ユーザーメモリ、コンベンショナル・メモリ)は、8086のアドレス空間の最大1MBである。ほとんどのコンピュータでは、この空間にBIOS ROMやメモリマップドI/O、VRAMなどの空間も存在するため、バンク切替えや様々なメモリ拡張手段などを用いずに一時にアクセス可能なメモリ空間は最大でも640KBから768KB程度[注 5]であった。
ただし、RAMディスクドライブやディスクキャッシュなどはバンクメモリやEMS、プロテクトメモリ(80286/386以降)等のコンベンショナルメモリ以外の領域・手段の利用が一般化していたため、「貴重な」コンベンショナルメモリがこれらの領域によって圧迫されることはなかった。
日本語入力用のFEPなどの常駐型のデバイスドライバを使用すると一度に使用できるユーザーメモリはさらに減少するため、ユーザーはEMSやXMS、HMAやUMBなどの拡張メモリの管理機能を利用して、辞書や常駐部やMS-DOSシステムの一部をそれらへ配置し、コンベンショナルメモリの圧迫を少しでも避けることが重視されるようになった。
これらのメモリへの配分設定はCONFIG.SYS
やAUTOEXEC.BAT
を記述することで行い、事実上ユーザーに一任されていた。
バージョン3まではこれらの設定を行うためにはサードパーティー製のメモリドライバ等を使用する必要があったが、バージョン5では標準機能としてOSに組み込みメモリドライバやデバイスドライバも付属するようになった。また、これらの環境設定を半自動的に行う設定アプリケーションも添付された。
各種デバイスドライバには自動でインストールを行うスクリプトやプログラムが整備され、単に動く状態を作るだけであればエンドユーザーがこれらを直接操作する必要はほぼ無かった。しかし千差万別な環境の全てに対応するのは難しく、ひとたび問題が発生した場合には初心者にとっては事態収拾のハードルが高かった。また、無駄を省き最適な設定をするとなると、知見と試行錯誤が要求される職人的な資質が要求されたため、これらの事情が「MS-DOSの環境設定は非人間的で困難なものであった」とする後世の評価を招く一因となった。[要出典]
Windows 9x
Windows 9x系のOSは製品としては「DOSを必要としない、Windowsという単体のOS」と称しているが、内部的には一種のDOSエクステンダが組み込まれていて、従来のWindows 3.xと同様MS-DOSモジュールから起動してプロテクトモードで稼働しGUIや擬似マルチタスクを提供する構造をしていた[要出典]。ただし、Windowsが使用するMS-DOSシステムコールはごく一部に限られ、VFATなどによりファイル管理方法が拡張されている。なお、Windows 95・98などのWindows本体を起動していないMS-DOSモードの場合はVFAT上のロングファイルネームでも8文字+拡張子3文字のショートファイルネーム形式のファイル名で表示された。
バージョン
バージョン一覧
MS-DOSとPC DOSの主要なバージョンの一覧は以下の通り。
バージョン | 出荷開始 | IBM | マイクロソフト | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 1981年 | PC DOS 1.0 | (MS-DOS) 1.25 | 1981年 IBM PC用にPC DOSが登場。1982年 マイクロソフトがIBM以外に1.25以降のOEM供給を開始(名称は供給先により異なる)。 |
2 | 1983年 | PC DOS 2.0 | MS-DOS 2.0 | PC/XT用に登場、階層ディレクトリなど。マイクロソフト版の名称が「MS-DOS」に一本化された。日本ではPC-9801などに日本語MS-DOSのOEM供給を開始。 |
3 | 1984年 | PC DOS 3.0 | MS-DOS 3.0 | PC/AT用に登場、FAT16など。広く普及し事実上の標準に。同時期にDR DOS 4も出荷。 |
4 | 1988年 | IBM DOS 4.0 | MS-DOS 4.0 | IBM版が名称変更。DOSシェルなど。IBM版4.05より日本でDOS/V(IBM DOS J4.05/V)も登場。 |
5 | 1991年 | IBM DOS 5.0 | MS-DOS 5.0 | メモリ管理機能強化。IBMとマイクロソフトのOS共同開発の最終版。マイクロソフト版は初めて単体の直接販売が開始される。日本ではマイクロソフト版DOS/V(MS-DOS 5.0/V)も登場し、各社PC/AT互換機に広く採用される。同時期にDR DOS 6.0 出荷。 |
6 | 1993年 | PC DOS 6.1 PC DOS 6.3 |
MS-DOS 6.0 MS-DOS 6.2 |
IBM版が名称再変更。PC DOSとMS-DOSは付属ユーティリティの違いが拡大。MS-DOSは単体販売の最終版。同時期にNovell DOS(DR DOS) 7出荷。 |
7 | 1995年 | (なし) | MS-DOS 7.0 MS-DOS 7.1 |
Windows 95/98/98SEの内部バージョン。PC DOS 7 とは全く別物。7.1はWindows 95 OSR2 以降で、FAT32に対応した。 |
1995年 | PC DOS 7 PC DOS 2000 |
(なし) | IBM版のみ。スクリプト言語のREXXをサポート。MS-DOS 7 とは全く別物。 | |
8 | 2000年 | (なし) | MS-DOS 8 | Windows Meの内部バージョン。MS-DOSの最終版。 |
バージョン1
CP/M程度の機能しか持たない、基本的なディスクオペレーティングシステム。ファイルシステムは後のバージョンで実装された階層構造を持っておらず、ディレクトリが利用できない。CP/Mとの大きな違いは、汎用化の為に入出力デバイスの機種依存が無くなっている点であった。その為、ハードウェアにROMとして内蔵されたBIOSを通して入出力を行うようになっていた。なお、この仕組みは互換BIOSを利用したPC互換機を生み出す要因ともなった[要出典]。
このバージョンが使われていた頃は、8086またはその互換プロセッサ(8088等)を利用したパーソナルコンピュータ市場もそれほど大きくなかった為、出荷本数の大半はIBM PCにバンドルされた分だった[30]。
- バージョン1.0(1981年8月)[31]- IBM PC(初代)出荷と同時にリリース。64KBのメモリ空間のうち約12KB(そのうちシェルが5KB)を占有した。また、160KBの5.25インチフロッピーディスク (1D) をサポートしていた。PC DOSのみ。
- バージョン1.1(1982年5月)[32]- 360KB 5.25インチフロッピーディスク (2D) サポートの他、一部のバグフィクス。PC DOSのみ。
- バージョン1.25(1982年5月)[33]- マイクロソフトが、8086プロセッサを利用したパーソナルコンピュータ、更にはIBM PC互換機向けに、IBM以外のメーカーへのOEM提供を開始。日本では当時マイクロソフトの代理店であったアスキーが日本語版MS-DOSを開発している最中で、複数のメーカーが各自で日本語処理機能を付けて販売していた[34]。
バージョン2
IBM PC/XTの仕様に合わせ、HDDや360KB 5.25インチフロッピーディスク (2D) をサポートしている。階層構造ディレクトリ、CONFIG.SYS
によるデバイスドライバの追加機能、UNIXライクなパイプ等の機能が追加された。アセンブラのMASMが付属していた。
マイクロソフト版はこのバージョンより名称が「MS-DOS」に一本化された。
- バージョン2.0(1983年3月)[35] - PC/XT 出荷と同時にリリースされた。
- バージョン2.01(1983年3月) [34] - 日本では「日本語MS-DOS 2.0」としてリリースされ、パソピア16などに採用された[34][36]。
- バージョン2.1(1983年10月)[37] - IBM PCjr 向け。
- バージョン2.11(1984年3月)[17] - 多言語市場を意識し、文字セットや日付表示のローカライズをサポート。各社独自に拡張され、x86プロセッサを搭載したパーソナルコンピュータ向けに広く利用された他[38]、日本ではアスキーの市場戦略の関係で、市販ソフトウェアにサブセット版のバンドルが許されていた[39]。
- バージョン2.25(1985年10月)[33] - 東アジア市場向けに2バイト言語に対応を図った「アジアバージョン」。理由不明だが、日本市場においてはバージョン2.11の名称で流通した(
MSDOS.SYS
内部に2.25の表記あり)。[要出典]
バージョン3
当初 IBM PC/AT 用に発売。主としてネットワーク対応と大容量HD対応の為の16ビットFATが追加された[注 6]。本来80286プロセッサを搭載したPC/AT向けだったが、互換性確保目的で80286のプロテクトモードを利用した新機軸は敢えて盛り込まれなかったためサードパーティー製の各種ユーティリティによって機能拡張するユーザが多かった。
ベンダーによる独自拡張などで方言が多くバージョン番号の体系も大きく乱れている[注 7][40]。必要十分なスペックと安定性が評価され、またバージョン4以降の仕様変更の影響を避けるために一部ではかなりの長期間にわたって愛用されていた。
- バージョン3.0(1984年8月)[41] - PC/ATの発売と同時にリリースされた。1.2MB 5.25インチフロッピーディスク (2HD) 及び32MBまでのHDをサポート。HDの論理ボリュームはひとつのみ。
- バージョン3.1(1984年11月)[42] - 3.0のバグフィックス版。別売のPC NetworkまたはMS-Netでトークンリングに対応したネットワーク機能が供給された。但し、性能が低く専らノベルのNetWareなどのNOSが一般的に用いられた[43]。日本ではマイクロソフトから日本語版が供給され、日本国内メーカーの多くのパソコンに採用された[40]。また、NECのPC-98LT、Handy98、富士通のFM TOWNSにはROMで内蔵された。
- バージョン3.20(1986年1月)[44] - 720KB 3.5インチフロッピーディスク (2DD) をサポート。フォーマットプログラムの機種依存ルーチンを
IO.SYS
に移したことで移植性を高めている。 - バージョン3.21 - 3.20のアジアバージョン。2バイトコードに対応し、日本ではAXなどに採用された[40]。
- バージョン3.22(1989年10月)[45] - ROM化に対応。同年8月にデジタルリサーチがROM化可能なDR DOSを開発している[46]。
- バージョン3.3(IBM PS/2版)(1987年4月)[47] - IBM主導で開発された。1.44MB 3.5インチディスク (2HD) をサポート。多言語対応の為、コードページが採用された。HDにおいて複数の論理ドライブを扱えるようになった。
- バージョン3.3(OEM版)(1987年8月)[48] - IBM版の同バージョンと同等。
バージョン4(1986年)
バージョン3.20から派生し、8086上で限定的な擬似マルチタスク環境を実現したもの[49]。マイクロソフトが開発したが不十分であるとしてIBMには採用されず、アプリコットコンピューターズにネットワークOSとしてOEMされた他、僅かの用途に留まり絶滅亜種になってしまった[50][51]。非同期I/O対応やバックグラウンドタスク規約など資産の一部は Windows 2.x に流用され、また80286プロテクトモードを前提に並行開発されていたもの(当初バージョン5と呼ばれていた)はIBM主導で大幅に改訂され、世に出た時にはOS/2バージョン1.0になっていた[要出典]。
バージョン4
IBM主導で開発されたバージョン[52]。OS/2色が濃くなり、IFSやラージバッファ等の追加のみならず管理セクタ数が増やされた事に伴いHDは理論上最大2GBの領域を扱うことができるようになった(実際にはBIOSの制限があった)他、添付ユーティリティを利用すると最大512MBのパーティションまで作成可能になったが[53]、その反面余りに多くの変更がファイルシステムに加えられたため非互換性の問題も生じてしまった。
情報が全部公開されていなかったものの、2バイトコードによるユニバーサルランゲージ対応が内部的に完了したのも本バージョンからである[注 10][要出典]。従来のバンクメモリに代るEMSの標準サポートによって扱えるメモリ領域が1MB以上に拡張された[33]。
互換OSのDR DOSで好評を博していた「GEM」に類似のグラフィカルユーザインタフェース環境、「DOSシェル」が添付された[33]。これはマウスオペレーションやグラフィカルなメニューによる直感的な操作が行えるもので、依然シングルタスクながらも複数のアプリケーションを重複起動して切替動作させることができ(いわゆるタスクスイッチャ)、GUIもキャラクタベースによる簡易なものとグラフィック画面とテキスト画面を組み合わせたもの(表示が美しく、ポインタの動作もスムーズになる)とを選択できた。DOSシェルのデザインはIBM Systems Application Architecture Common User Accessに準拠していた[54]。
本バージョンには性急な複雑化に伴う非常に多くのバグが存在し、またOS自体が消費するメモリが過大だったため、メーカーによってDOS 3.30 を拡張した DOS 3.31 を採用するなどして4.0を採用しないところが有った[55]。特に日本ではコンベンショナルメモリの空き容量が日本語処理アプリケーションの稼動に大きく影響を与えるため、大手メーカーであるNEC、富士通などが3.21系の拡張版のみを販売し続けたことで、4.0のユーザー数はそれほど多くなかった[要出典]。
- MS-DOS 4.0(マイクロソフト版)(1988年7月)[52]
- IBM DOS 4.0(IBM版、PC DOSより改称)(1988年7月)[56]
- MS-DOS 4.01(マイクロソフト版)(1988年12月)[58] - バグフィクス。
バージョン5
再びマイクロソフト主導で開発された[59]。バージョン4で付加された中途半端なユーティリティの多くが削除された一方、80386、80486等に備わる仮想86モードの活用と Windows 3.0 との親和性を主眼にほぼ全面的に再コードされたため、パソコン通信等を介した約1年にわたる大規模なベータテストを経て市販開始された。IBMの製品へのバンドルに限定せず、巷に溢れるPC/AT互換機へのフル対応を初めからうたいインストーラ込みで発売された最初のMS-DOS(PC DOS)でもある。[要出典]
メモリ消費は少ないものの大容量ドライブが扱えないバージョン3、その逆で大容量ドライブが使えるがメモリ消費が大きいバージョン4というジレンマを抱えていたが、限りあるメモリ領域の消費を抑える機能を追加することでそれまでの問題を払拭するに至った。このバージョンによりDOSはほぼ完成を見たが8086~80286とその互換CPU上の動作には制約が強まり、結局のところ巧妙なアップグレード戦略の下でハードウエアの買い替え需要が喚起された。[要出典]
XMSによってDOS本体の一部をHMAに、デバイスドライバやアプリケーションの一部をUMBに待避させることが可能で、コンベンショナルメモリが大きく取れるようになった。またタスクスイッチ規約が明確に定義され、DOSシェルの機能拡張(Windows 3.0 のサブセット化)が図られた。各種LAN対応も進められ、コマンドにヘルプが付されるなど利便性も向上した。
テキストエディタは、過去のバージョンに標準添付されていたラインエディタ「EDLIN
」に加えスクリーンエディタ「EDIT」が添付された[注 11]。開発環境として、コマンドラインエディタに加え独自に拡張された構造化BASICコンパイラQuickBASICが標準添付されていた。
それまで未公開だったファンクションの多くがユーザに解放されたためカスタマイズやデバイスドライバ開発が更に容易になった[要出典]。日本ではマイクロソフトがDOS/VのOEM供給を開始し、PC/AT互換機をベースに独自の拡張を行っていたAX陣営や東芝 (J-3100)もこの頃よりDOS/Vへのシフトを進めるようになった[60]。また、世界のデファクトスタンダードであるPC/AT互換機のハードウェアでそのまま日本語版OSを使えるようになった為に日本国外のメーカーが積極的に日本市場へ参入し始め、NECの独擅場であった日本市場は大きく変貌することとなった[27]。
バージョン6
ディスク最適化やディスク圧縮機能(後述)、コンピュータウイルス検出・除去など、CD-ROMアクセスに必要なMSCDEXの付属等付加機能の充実が主。MS-DOS単体としての最終版。
デジタルリサーチからMS-DOS互換の DR-DOS 6.0 が発売された[62]。大きな特徴は補助ユーティリティの大幅な増強である。その為、IBMおよびマイクロソフトでも基本仕様はほとんど変えずに補助ユーティリティを追加する事でバージョン6を発売することになった。IBMは6.1、それに続くマイクロソフトは6.2と、先に出た競合相手よりバージョン番号はそれぞれ0.1だけ大きい。
起動時に特定のキーを押すとCONFIG.SYS
・AUTOEXEC.BAT
の一部の行を実行したり、全てバイパスする機能があった。
マイクロソフト版は同時期に発売された Windows 3.1 の普及を促すという販売戦略からDOSシェルを廃止したと見られた[注 12][28]。テキストエディタは日本語に対応して共通のEDIT
となった(PC-98版はSEDIT
が付属[注 13][63])。
- MS-DOS 6.0(1993年3月)[64]
- PC DOS 6.1(IBM DOSより改称)(1993年6月)[65] - IBMの独自ビルド。初期のバージョンにはディスク圧縮ユーティリティは添付されておらず、後のPC DOS 6.1 with Compressionでアドスター社の「SuperStor/DS」が添付された(日本語版PC DOS J6.1/V は最初から圧縮ユーティリティ添付)。
- MS-DOS 6.2(1993年11月)[66] - ディスク圧縮ユーティリティ「DoubleSpace」のバグフィクス等[67][68]。「DoubleSpace」は、ディスク容量を圧縮し、圧縮されたまま読み書きを可能にするもの。このユーティリティに用いられている技術の一部がスタック・エレクトロニクス社の特許を侵害しているものとして、訴訟を起こされた。 MS-DOS 6.0 のユーザはオンラインの無償アップデートパッケージを入手することで MS-DOS 6.2 にアップグレードできた。
- MS-DOS 6.2/V(1993年12月) - 日本ではマイクロソフトが自社ブランドで発売した唯一の日本語版MS-DOS単体パッケージ[69]。IBM DOS J5.0/VまたはMS-DOS 5.0/Vからのアップグレードのみ。5.0/Vと同様にOEMでも供給。
- MS-DOS 6.21(1994年2月)- マイクロソフトによるスタック・エレクトロニクス社の特許侵害が一部認められた為、「DoubleSpace」を除去したもの。[70][71]
- PC DOS 6.3(1994年4月)[72] - IBMの独自ビルド。MS-DOS 6.2 同様、オンラインの無償アップデートパッケージを入手してPC DOS 6.1 から 6.3 にアップグレードできた。
- MS-DOS 6.22(1994年6月) - スタック・エレクトロニクス社の特許を侵害しない形で作成されたものが「DriveSpace」として改めて搭載された(但し、日本語版には関係ない)。なお、DoubleSpaceとDriveSpaceの圧縮機能には互換性がなく、そのままでは互いに圧縮されたパーティションにアクセスすることができない。[73][74]
バージョン7(マイクロソフト版)
Windows 95/98/98SE に搭載されているバージョン。ファイルシステムでは長いファイル名がサポートされたのが最大の特徴。従来のMSDOS.SYS
はIO.SYS
にその機能を統合されて設定ファイルとなり、IO.SYS
が起動する標準シェルがCOMMAND.COM
ではなくWIN.COM
であるなどMS-DOSを極力見せない工夫がされていた。しかし、Windows起動中にテキストモードのカーソルが見える。Windows 95のOSR2以降ではFAT32にも対応しているバージョン7.1である[75]。また、Windows 95/98はWindowsを起動せずにMS-DOSモードで再起動することができた。
バージョン7(IBM版)
1995年リリース。IBM版のみ。開発環境として「REXX」を標準添付。ディスク圧縮ユーティリティは「SuperStor/DS」から「Stacker4.0」に変更された[76]。MS-DOS 7(マイクロソフト版)とは異なりGUIとの融合はされなかったが、当時インターネットの普及が進んでいた中でPalm Top PC 110の人気を受けてPC DOS用ウェブブラウザ「WebBoy」が開発された[77]。
- PC DOS 7(1995年4月)[78]
- PC DOS 2000(1998年5月)[79] - PC DOS 7 をベースに、ユーロ記号の表示や西暦2000年問題に対応したもの。VERコマンドではPC DOS Version 7.0 Revision 1と表示される。日本語版は製品名から「/V」が外れたが、「DOS/V」部分を含んでいる。これがPC DOS(IBM DOS)およびMS-DOS全体の事実上の最終バージョンとなる(互換OSは除く)。2001年にはサポートが終了した[29]。
バージョン8(マイクロソフト版)
Windows Meに搭載されているバージョン。IO.SYS
にHIMEM.SYS
およびSMARTDRV
(ディスクキャッシュ)の機能を統合した最終版であり、もはやWindowsのブートローダでしかなくMS-DOSモードでの起動も廃止された[80]。Windows MeやWindows XP以降で起動ディスクを作成するとこのMS-DOSが書き込まれる。
MS-DOSとの互換性を持つオペレーティングシステム
MS-DOSとバイナリ互換性を持つオペレーティングシステム
またPC-9800シリーズ全盛期には、ゲームソフトの組み込み用として下位互換(INT21系のサブセットのみ互換)の「MEG-DOS」などがあった。アリスソフトの「ALICE-DOS」は、もともとゲームソフト本体はMS-DOSをインストールしたハードディスクドライブ上で動かすことを前提としあくまでもフロッピー単体でも起動するようサポート用に作られたものであったため、バッチファイルを動かす機能も有していた。
MS-DOSの影響を受けつつもバイナリ互換性の無いオペレーティングシステム
- Human68k(ハドソン、シャープ) - X68000、ファイルシステムにFAT12/16のサブセットを採用、
COMMAND.COM
に酷似したコマンドインタプリタを搭載。システムコールのファンクションにもINT21Hを真似た設計が見られる等、影響を(主に開発工期の短縮などの側面から)強く受け模倣していることは明らかではあるが、その他は全く別個の実装であり、CPU自体にも互換性は無い。 - Carry日本語DOS(キャリーラボ) - PC-8800シリーズ/X1。通称CDOS-II。ファイルシステムのみFAT12に対応したOSで、CP/Mエミュレータが存在した。Z80を前提としたCP/Mのバリアント(変種)であり、MS-DOSの移植ではない。当然MS-DOS用のバイナリも動作しない。パソコン通信ソフトの一部としても使用され、PC-8800シリーズ版はJET-TERMに、X1シリーズ版はJETターボターミナル(SPS発売)に付属する。PC-8800シリーズ版はOSのみのフリー版がある。前身であるCarryDOS(CDOS)とはファイルシステム、システムコールともに互換性はない。
- MSX-DOS (マイクロソフト、アスキー)[81] - MSX、FAT12のサブセットに対応し、MS-DOSの
COMMAND.COM
に酷似したコマンドインタプリタを搭載した、CP/M互換OS。CDOS-IIと同様にCP/Mのバリアントであり、MS-DOS用のバイナリは動作しない。表計算アプリケーションMultiplanの一部として、PC-8800シリーズ、X1シリーズ、MZ-2500にもサブセット版がある。 - IDOS(ソフトバンク) - PC-8800シリーズ、PC-8000シリーズ、ファイルシステムのみFAT12に対応した、CP/M互換OS。
脚注
注釈
- ^ このやり方を進言したのは当時同社役員でもあった西和彦と言われている[要出典]
- ^ Windows 95以降ではDOSは技術的には内部に存在しているが、製品としてバンドルされている。
- ^ ドライブレターの数は環境変数
LASTDRIVE
で変更可。 - ^ ただし、PC-98版のMS-DOS 3.1以降では
ADDDRV.EXE
と登録を記述したファイルの組み合わせにより登録し、DELDRV.EXE
で外せる。この方法を使用できるのはキャラクタデバイスのみであり、CONFIG.SYS
で一度登録したデバイスドライバは外せない。IBM PC用では何種類かサードパーティで同様のプログラムが作成されている。 - ^ ユーザーメモリは、IBM PC互換機およびPC-9800シリーズ等では640KB、PC-H98シリーズやFMRシリーズ・FM TOWNS等は768KB。
- ^ もっとも、管理できるセクタ数は65535個であったため、32MB以上のパーティションを切ることは出来なかった。
- ^ 富士通 FMRシリーズ及びFM TOWNS用MS-DOS 3.1の後期バージョンでは米国版の3.2/3.3の機能の一部が取り入れられていた。PC-98版MS-DOS 3.1は同一のバージョン番号で複数の版が存在し、互換性の問題が生じたことでユーザーやソフトハウスを混乱させた。
- ^ NECがマイクロソフトから日本語版MS-DOS 3.21の供給を受けてMS-DOS 3.3として販売していた。
- ^ PC-98版のバージョン3.3Dはバージョン5.0と同時発売。見かけ上のセクタサイズを1KB若しくは2KBとすることで最大128Mのパーティションを管理することが出来た。
- ^ それまでの日本語版DOSはマイクロソフトが日本市場向けに改変したもので、世界共通の仕様ではなかった。また、バージョン3までの英語版DOSをDOS/V化するとファイル名の扱いなどで不具合が生じる場合がある
- ^ PC/AT互換機用の英語版のみ。PC-98版は
SEDIT
(バージョン3.3Dにも付属)、EPSON PC版はMEDIT
、富士通版(FMRシリーズ、FM TOWNS用)はEDIAS
と各社ばらばらのコマンド名・機能のエディタが添付された。 - ^ 別売のサプリメンタルディスクで配布された。PC-98版には従来どおり付属。
- ^ メガソフト社のMIFESのサブセット版
出典
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関連項目
外部リンク
- DOSの歴史セミナ(Altair☆)
- パソコン産業およびパソコン技術の歴史関連URL
- DOSの系譜を辿る(「Software Design」1998年6月号に掲載されたものを、編集部の許可のもと転載)
- PC DOS 7 の修正入手先
- 日本IBM・PC DOS 2000
- PC DOS 2000 のインストール画面