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「一般カッツ・ムーディ代数」の版間の差分

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*{{cite book |title=Infinite dimensional Lie algebras |last=Wakimoto |first=Minoru |authorlink= |coauthors= |year=2001 |publisher=American Mathematical Society |location=Providence, Rhode Island |isbn=0-8218-2654-9 |pages= |url= }}
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*脇本 実, 無限次元リー環, 岩波書店 (1999). ISBN4-00-010657-0 C3341
*脇本 実, 無限次元リー環, 岩波書店 (1999). ISBN 4-00-010657-0 C3341





2016年11月15日 (火) 18:02時点における版

一般カッツ・ムーディー代数(generalized Kac–Moody algebra)は、虚数の単純ルート英語版(simple root)を持つこと以外には、カッツ・ムーディー代数と同じである。一般カッツ・ムーディー代数は、ときにGKM代数(GKM algebras)とか、ボーチャーズ・カッツ・ムーディー代数(Borcherds–Kac–Moody algebras)とか、BKM代数(BKM algebras)とか、ボーチャーズ代数(Borcherds algebras)とかと呼ばれることがある。最もよく知られている例は、モンスターリー代数英語版(monster Lie algebra)である。

動機

有限次元半単純リー代数は次の性質を持つ。

  • 非退化な不変対称双線型形式 (,) を持つ。
  • 次数 0 の部分(カルタン部分代数(Cartan subalgebra))が可換であるような次数付きである。
  • (カルタンの)対合 w を持っている。.
  • a が 0 でなければ、(a, w(a)) は正である。

たとえば、トレースが 0 の n × n 行列の代数に対し、双線型形式は、(a, b) = Trace(ab) であり、カルタンの対合はマイナスの変換で与えられ、次数は対角行列からに差異により与えられ、カルタン部分代数は対角要素である。

逆に、すべてのリー代数をこれらの性質(と、いくつかの技術的条件を満たすこと)から見つけることができる。答えは、有限次元リー代数とアフィンリー代数の和である。

モンスターリー代数英語版(monster Lie algebra)は、上記の条件よりも少し弱い条件を満たす。a が 0 でないとき、(a, w(a)) が正であり、a が次数 0 のときには負となることがあるという条件である。これらの弱い条件を満たすリー代数は、多かれ少なかれ一般カッツ・ムーディ代数である。それらは、本質的には(以下に述べる)生成子と関係式を与えられた代数と同じである。

非公式には、一般カッツ・ムーディ代数は有限次元の半単純リー代数のような振る舞いをするリー代数である。特に、ワイル群(Weyl group)やワイル指標公式英語版(Weyl character formula)や、カルタン部分代数(Cartan subalgebra)、ルート、ウェイト、などを持っている。

定義

無限大の大きさの行列でもよいが、要素は次の条件を満たす正方行列を、対称カルタン行列という。

  • であれば、
  • であれば、 は整数

与えられた対称カルタン行列をもつ普遍的な一般カッツ・ムーディ代数は、生成子 であり、下記の関係式を持つ。

  • であれば、 であり、それ以外であれば 0 である。
  • ,
  • のとき、 への適用に対し、 である。
  • if

これらは、(対称)カッツ・ムーディ代数の関係式は、主要にはカルタン行列の対角成分が非負であるという点で異なっている言い換えると、カッツ・ムーディ代数のルートは常に実数であったことに対し、単純ルートを虚数としてもよいとも言える。

一般カッツムーディ代数は、カルタン行列を普遍的にし、中心化するような何らかの作用素により中心拡大することにより得られる。

カルタン行列の対称性を条件から除外してより一般的な定義をする人もいる。これらの非対称な一般カッツ・ムーディ代数についてはあまり知られておらず、興味深い例がないのかも知れない。

また、超代数へ定義を拡張することも可能である。

構造

一般カッツ・ムーディ代数は、次数 1 の ei、次数 -1 の fi と次数 0 の hi を与えることにより定義される。

次数 0 の一は、可換な部分代数で、点 hi により張られ、カルタン部分代数(Cartan subalgebra)と呼ばれる。

性質

一般カッツ・ムーディ代数のほとんどの性質は、(対称化される)カッツ・ムーディ代数の普通の性質を直接拡張したものである。

  • 一般カッツ・ムーディ代数は、 となるような不変対称双線型形式である。

最も一般的なカッツ・ムーディ代数は、様々な形をとることはないと考えられている。興味をもたれているタイプは次の 3つである。

3つ目のタイプの例は有限個しか現れてこない。2つの例はモンスターリー代数英語版(monster Lie algebra)とフェイクモンスターリー代数英語版(fake monster Lie algebra)であり、モンスターリー代数はモンスター群が作用しモンストラス・ムーンシャイン予想に使われた。類似する例が他の散在単純群英語版(sporadic simple group)のいくつかに対して知られている。

次の原理を使い、一般カッツ・ムーディ代数の例を多数見つけることができる。カッツ・ムーディ代数を形成しそうに見えるものは、一般カッツ・ムーディ代数である。さらに詳しくは、リー代数がローレンツ格子により次数付きであり、不変双線形形式を持ち、いくつかの他の簡単な技術的な条件を満たせば、一般カッツ・ムーディ代数である。特に、頂点代数を使い任意の偶格子英語版(even lattice)よりリー代数を構成することができる。格子が正定値であれば、有限次元の半単純リー代数となり、格子が正の半定値であれば、アフィンリー代数となり、格子がローレンツ的であれば上の条件を満たし、その結果、一般カッツ・ムーディ代数となる。格子が 26次元のユニモジュラーローレンツ格子のときには、この構成はフェイクモンスターリー代数となり、他のすべてのローレンツ格子が興味を失ってしまうように思われる。

参考文献

  • Kac, Victor G. (1994). Infinite dimensional Lie algebras (3rd edition ed.). New York: Cambridge University Press. ISBN 0-521-46693-8 
  • Wakimoto, Minoru (2001). Infinite dimensional Lie algebras. Providence, Rhode Island: American Mathematical Society. ISBN 0-8218-2654-9 
  • Ray, Urmie (2006). Automorphic Forms and Lie Superalgebras. Dordrecht: Springer. ISBN 1-4020-5009-7 
  • 脇本 実, 無限次元リー環, 岩波書店 (1999). ISBN 4-00-010657-0 C3341