コンテンツにスキップ

「ゴブリンスレイヤー」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m cewbot: ウィキ文法修正 26: HTMLの<b>タグの使用
206行目: 206行目:
; 魔法・奇跡
; 魔法・奇跡
: この世界の魔法は、呪文で世界の法則を改変したり、精霊に呼びかけて超常現象を引き起こしたり、神々や祖先に嘆願して奇跡を起こしてもらうなど様々な形式が存在する。
: この世界の魔法は、呪文で世界の法則を改変したり、精霊に呼びかけて超常現象を引き起こしたり、神々や祖先に嘆願して奇跡を起こしてもらうなど様々な形式が存在する。
: 共通して精神力や体力、触媒などを消耗するため、多くても<b>一日に数回しか行使できない</b>貴重なものという描写がされている。
: 共通して精神力や体力、触媒などを消耗するため、多くても'''一日に数回しか行使できない'''貴重なものという描写がされている。
: これは本作が近年の[[コンピュータRPG]]に類似する大量の[[マジックポイント]]を活用する作品ではなく、『ソーサリー』『D&D』『[[ウィザードリィ]]』のような呪文回数がシビアな作品をオマージュしているため。
: これは本作が近年の[[コンピュータRPG]]に類似する大量の[[マジックポイント]]を活用する作品ではなく、『ソーサリー』『D&D』『[[ウィザードリィ]]』のような呪文回数がシビアな作品をオマージュしているため。



2017年1月11日 (水) 01:12時点における版

ゴブリンスレイヤー
ジャンル ハイ・ファンタジー
小説
著者 蝸牛くも
イラスト 神奈月昇
出版社 SBクリエイティブ
レーベル GA文庫
刊行期間 2016年2月 -
巻数 既刊3巻(2016年12月現在)
漫画
原作・原案など 蝸牛くも
作画 黒瀬浩介
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 月刊ビッグガンガン
レーベル ビッグガンガンコミックス
発表号 2016年Vol.06 -
発表期間 2016年5月 -
巻数 既刊1巻(2016年9月13日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画
ポータル 文学漫画

ゴブリンスレイヤー』は蝸牛くもによる日本オンライン小説およびライトノベル。文庫版はGA文庫SBクリエイティブ)より2016年2月から刊行され、イラストは神奈月昇

元はWEB作品であるが、一般的なオンライン小説ではなく、いわゆる「やる夫スレ」(やる夫#やる夫スレ参照)でAA(アスキーアート)と組み合せて公開されていた作品であり[1]、これを一般小説化した作品である。「このライトノベルがすごい!2017」の新作部門で1位[2]

特に断りがない限り、文庫版の内容を基に解説する。

概要

一般に最下級モンスターと知られるゴブリンのみを狩る青年を主人公とした作品である。

元は2014年からいわゆる「やる夫スレ」で公開されていたAA作品だったが、2016年にGA文庫より一般書籍として刊行された。初刊の刊行前にコミカライズが決まっており、黒瀬浩介によって『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)にて、2016年6月号から連載中。また、同じWEB発の『まおゆう魔王勇者』に見られるように、登場人物には固有名が登場せず、すべて肩書で描写される。ただし受付嬢などが役職で呼ばれる時を除き、登場人物の名前として扱われることはない。これは作中の登場人物はTRPGのキャラクターであるから、読者が好きに名前を考えてくれれば良いという考えに基づく[1]

初刊は発売数日で重版が決まるほどの人気を博し、『このライトノベルがすごい! 2017』の2016年度集計では、新作部門で1位(全体では5位)を獲得した。

内容

最下級モンスターであるゴブリンのみを狩る冒険者・ゴブリンスレイヤーの活躍を描く作品である。この作品に登場するゴブリンは一般的なファンタジー世界を舞台とする小説やゲームに登場するものとほぼ同じであるが、世界観に立脚してリアルに描かれる。1匹なら力自慢の村人でも倒せるほど弱い存在でありながら、群れをなし、残忍狡猾なやり口で冒険者達を陥れる存在であり、油断すれば村を滅ぼすことすらある脅威として描かれる。特に群れの数が多いために冒険者ギルドへの依頼が多いのに比して、依頼者が貧しい村のために報酬は少なく、一般に弱いと認識されるゴブリンを倒しても名声も得られず、そのため、熟練の冒険者は依頼を受けず、しかし、新米冒険者は舐めてかかるが故にゴブリン達の餌食となってしまう。そのような社会において、決して油断せず、ただ淡々とゴブリンのみを狩る存在としてゴブリンスレイヤーが描かれる。

着想から文庫版刊行までの制作背景

作品のアイディアは、ネット上の雑談において対ゴブリン剣術があるならゴブリンだけを退治する冒険者がいるのでは?という疑問から生まれたという[3][1]。ただ、骨子としてはアメリカンコミックの『バットマン』や『グリーンアロー』のような地元で延々と犯罪者を退治している常人のヒーローとしており、それを典型的なファンタジー世界へ展開したものである[1]。また、その世界観などには『ソーサリー』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』『異界戦記カオスフレア』といったゲームの影響も受けているといい、それら含めてテーブルトークRPG(TRPG)の要素も大きい[3][1]

2012年10月から「やる夫スレ」にてAA(アスキーアート)との組み合わせで本作の公開を始めたが、友人の勧めを受けて公開中に小説版を執筆することを決めて作業に入り、最終的には小説版の方が先に完成していた[1]。AA版の方は読者の反応をダイレクトに受けて即興で話を作る面もあるため、出来上がっていた小説版をAA版の展開に合わせて改訂したという[1]。この時の小説版は第27回富士見ファンタジア大賞に投稿したが三次選考で落選[4]。その後、今川氏真を主人公とした小説『天下一蹴 氏真無用剣』を第7回GA文庫大賞(後期)に応募したところ最終選考で落選[5]、その際に過去作である本作がGA文庫編集者の目に止まり、2016年2月の刊行が決まった。さらに出版前にコミカライズ版も決定という異例のこととなり、5月25日発売の『月刊ビッグガンガンVol.06』から掲載が開始されている[3][6]

初刊の刊行は2月13日だったが、2月19日には重版が決定し、2巻の刊行も決まった[6]。GA文庫の編集部からも「GA文庫新作として異例のヒット」と紹介された[6]

登場人物

声優はドラマCD版。

ゴブリンスレイヤー
声 - 梅原裕一郎
主人公。その名の通り、小鬼(ゴブリン)を殺す者。銀等級。
常に薄汚れた鉄兜と革鎧、鎖帷子を纏った寡黙な青年。純粋な戦闘能力は低いが、最弱級モンスターとされるゴブリンのみを専門に狩り続け、銀等級となった戦士。中途半端な長さの剣、小振りな円盾を装備している他、投擲攻撃を多用し、戦闘では武器を使い捨てては倒したゴブリンから奪ったものと交換する。
その独特の佇まいとゴブリン退治のみで銀等級になった点から、有名人であるものの他の冒険者達からよく思われていない面がある。街にいる時はおろか食事中も鉄兜を外さないため素顔はあまり知られていないが、その容貌は意外と悪くないと評された[7]。また、他者との交流に疎く、女神官から危惧され、牛飼娘や受付嬢からは明確な好意を向けられているが、どう対応するべきか苦慮している描写が見受けられる。
その過去について詳細は不明だが、両親を亡くして姉に育てられるも、10年前に故郷の村を滅ぼされ、その後5年間「先生」によって鍛えられた事が語られている。辺境の街に現れたのは5年前だという。
その行動原理・思想信条はすべてゴブリンを殺すことだけに向けられており、一見して他の事柄は一切気にしないように思われるが、前述の通り彼なりに他者を気遣う描写が見受けられる。そのため決して名声や冒険の楽しみのためではなく義務的に狩りを続ける姿を、女神官や仲間達から心配されることが多い。
他の登場人物と同じく「ゴブリンスレイヤー」は肩書、異名であって本名ではないが、ほぼ全ての登場人物からゴブリンスレイヤーと呼ばれている。ただし牛飼娘からは「君」「彼」と呼ばれる。
女神官
声 - 小倉唯
ゴブリンスレイヤーと行動を共にする少女。15歳。当初は白磁等級だったが、冒険の中で黒曜等級に昇格した。
神殿で育った孤児で、独立するにあたって冒険者となる事を選んだ新人冒険者。最初の冒険で彼女を残してパーティーが全滅したところをゴブリンスレイヤーに救われた。神々に祈ることで奇跡を起こすことができる。
ゴブリンスレイヤーに助けられてからは彼のゴブリン退治に付き添うようになり、徐々に彼のことを知っていく。華奢な身体に神官衣を纏っており、後にゴブリンスレイヤーのアドバイスに従い、その下に鎖帷子を身に着けるようになった。
牛飼娘
声 - 井口裕香
牧場主の娘で、ゴブリンスレイヤーの幼馴染の女性。ゴブリンスレイヤーより2歳年下。
胸が大きいことが特徴の明るい女性。物語開始時点からのゴブリンスレイヤーの数少ない理解者であり、彼に好意を抱いている。かつてゴブリンスレイヤーの故郷が襲われた時は、叔父の牧場を訪れていたため難を逃れ、今はその牧場で働いている。
受付嬢
声 - 内田真礼
冒険者ギルドの窓口担当の女性。
いつも笑顔で優しい女性。物語開始時点からのゴブリンスレイヤーの数少ない理解者であり、彼に好意を抱いている。数は多いが、熟練者は参加せず、新人では失敗することも多いゴブリン退治を率先してくれるゴブリンスレイヤーに深く感謝している。
妖精弓手
声 - 東山奈央
森人(エルフ)の野伏(レンジャー)。銀等級。鉱人道士や蜥蜴僧侶と行動を共にする。
エルフらしく、すらりと背が高く細身の麗人。ただし胸は小さく、鉱人道士には容赦なく金床扱いされることもあって、大いにコンプレックスとなっている。見た目は17、18歳だが、エルフゆえの長命で実際は2000歳ほど。鉱人道士とは種族的に仲が悪いとされ、口喧嘩をよくする他、年齢に対して驚くほど子供っぽいふるまいが目立つが、等級相応に卓越した弓の腕前を持つ。
ゴブリンスレイヤーを「オルクボルグ」と呼ぶ。当初は多くの冒険者と同様にゴブリンスレイヤーを軽んじていたが、共に行ったゴブリン退治で彼を気にかけるようになる。
鉱人道士
声 - 中村悠一
鉱人(ドワーフ)の精霊使い(シャーマン)。銀等級。妖精弓手や蜥蜴僧侶と行動を共にする。
禿頭に長い白ひげ、ずんぐりむっくりした体型の老人。ゴブリンスレイヤーを「かみきり丸」と呼ぶ。様々な触媒を使って、石礫を放つ呪文以外にも補助的な呪文を多く会得しており、また種族の肉体を活かして手斧で近接戦闘も行う。ゴブリンスレイヤーの無骨な態度を気に入っており、初対面から彼を評価した珍しい人物。
蜥蜴僧侶
声 - 杉田智和
蜥蜴人(リザードマン)の神官。銀等級。妖精弓手や鉱人道士と行動を共にする。
見上げるような体躯に全身を覆う鱗が特徴の男性。見た目に反してとても常識人で丁寧な振る舞いであり、パーティのまとめ役。ゴブリンスレイヤーを「小鬼殺し殿」と呼ぶ。身体的特徴を使った近接戦闘の他、先祖である恐るべき竜の力を使って武器などを生み出し戦う。ゴブリンスレイヤーから(彼が居候する牧場で作られた)チーズを貰って、大いに気に入る。

ギルドの面々

槍使い
声 - 松岡禎丞
鍛え抜いた肉体が強さを表すような青年。銀等級。魔女と行動を共にする。
軟派な部分があるが「辺境最強」の異名をとる冒険者。受付嬢に恋慕しており、自分の功績を誇ったり、声を掛けたりしているが毎回かわされてしまう。
魔女
声 - 日笠陽子
肉感的な妖艶な美女。銀等級。槍使いと行動を共にする。
スクロールの書き換えなど、当初からゴブリンスレイヤーに協力している人物で、周りの状況をよく観察している。
重戦士
見掛け倒しにも見える重装備でも平然と振る舞う厳つい顔立ちの男性。銀等級。女騎士と行動を共にする。
故郷をゴブリンスレイヤーに救って貰ったことがあり、そんなに悪感情を抱いていない。次世代育成として、少年斥候達を鍛えている。
女騎士
白銀の騎士甲冑に身を包む見目麗しい女性。銀等級。重戦士と行動を共にする。
ゴブリンスレイヤーを同じ銀等級の冒険者と見られることを良く思っていなかったが、後に態度を改める。重戦士のことが好きで、十分な美人だが、女冒険者特有の引け目がある。
少年斥候・少女魔術師
重戦士達と行動を共にする若年の冒険者。彼らの元で鍛えられている。

その他

勇者
各巻の幕間などに登場する。女性。魔王を倒した功績によって白金等級。15歳。一人称がボク
孤児院を出て冒険者となるも、当初から呪文を連射できるなど規格外の能力を持っていた。そして遭遇した魔王の幹部をゴブリンの親玉程度の存在だと思い、実際あっさり勝ってしまう。その冒険で聖剣を手に入れたことで「勇者」となった。
ゴブリンスレイヤーがあまり世間に知られず奮闘している裏で、世界を股にかける大活躍をしている。ゴブリンスレイヤーに対するスーパーマン的存在[1]
牧場主 / 叔父
街の郊外で牧場を経営している。牛飼娘の叔父。
牛飼娘を引き取り、ゴブリンスレイヤーに住居を提供している。常識人で、タガが外れているゴブリンスレイヤーのことを良く思っていないが、事情を知っているため複雑な心境を抱いている。
剣の乙女
10年前に魔王を倒した冒険者の一人。金等級。
至高神の大司教で、西方辺境一帯の法を負って立つ人物。盲目の美女。
先生
圃人(レーア)の老爺。男。忍びの者
ゴブリンスレイヤーを拾い、5年間彼を指導した人物。極めて口が悪く、乱暴で、その教育方針は虐待に近い。姿隠しの術を得意とする。
作者のコメントによれば特訓などではなく、実際は口プロレス好きで和マンチキンな先輩プレイヤーに振り回されただけだという。
圃人斥候
圃人の冒険者で斥候役。男。鋼鉄等級。
斥候としてパーティに先駆けてダンジョンに入るため、目ぼしいお宝を見つけるとくすねていた。しかし、ギルドにはバレており、等級昇格試験で糾弾され追放処分を受ける(第2巻)。そのため、昇格試験に参加していたゴブリンスレイヤーと受付嬢を逆恨みし、収穫祭で襲いかかるが返り討ちにされる(第3巻)。

《幻想》と《真実》
物語世界をコントロールしている存在。舞台(盤)を構築し、駒を用意し、サイコロを振って、世界の支配をかけて「勝負」している。
TRPGにおけるゲームマスター(GM)とプレーヤーを模した存在。この二柱以外にも多くの神々がいることが示唆されている。
サイコロ(宿命、偶然)を排して確実にゴブリンを殺すゴブリンスレイヤーには手をこまねきつつも、その結果に一喜一憂する。

祈らぬ者

祈らぬ者(ノンプレイヤーキャラクター)と呼ばれる存在。

ゴブリン
本作に登場する怪物のうち、最下級とされる小鬼(ゴブリン)。子供程度の知能、身体能力しかなく、個々ではあまり強くないが、巣穴の中では群れで襲いかかるため、対象にとっては大いに脅威となる。またそういった性質から、村を襲ってきたゴブリンを追い払った若者が、ゴブリンの脅威を認識しないまま冒険者となるケースが多い。
極めて残酷かつ身勝手な性格で、自分たちの楽しみのため標的となった人物を拷問したり食料としたりする他、女性の場合は強姦(場合によってはその後に殺害)するなどの行為を好む。一方で仲間意識や連帯感は薄く、自分たちの群れが攻撃されたことには怒りを抱いても、仲間が殺されたことについては仲間の死を嘲っている。そして攻撃してきた冒険者や村人には、鬱憤を晴らすために苛烈な報復が行われる。
また「略奪する」という発想しかないため自分たちで何かを作り出すことはないが、学習能力はあるため、作中でも自分たちで毒を作ったり、遺跡の罠を活用したり、船を用いて水路を移動したりしている。後述のゴブリンロードや大型個体のホブゴブリン、オーガ、闇人などの別種族に率いられて組織化した場合、巣の外でも脅威的な存在となる。
只人の王国においては辺境の開拓村がゴブリンに襲われても(村人たちが冒険者を雇うことで)自力で退治・解決できるため、特に対策は取られていない。これは国がゴブリンの脅威を認識していないのではなく、ゴブリン以上に脅威となる怪物や勢力が数多いためである。また冒険者ギルドは国営の機関であるので、冒険者への依頼仲介、冒険者の派遣という形で対処自体は為されている。
エルフ語では「オルク」と呼ばれていることから、オークの要素も兼ねていると思われる。
ゴブリンロード
ゴブリンのうち、上位へ進化した個体。
かつて冒険者に見逃されたゴブリンが成長したもので、ゴブリンとしては異常な知性と統率力で大規模な群れを作り、辺境の街を襲おうとする。事態に気づいたゴブリンスレイヤーの呼びかけを受けた冒険者たちに迎撃され、再起を謀って逃走したところをゴブリンスレイヤーに待ち伏せされた(第1巻)。
オーガ
人喰鬼(オーガ)。魔王の部下。男。銀等級冒険者一党でも苦戦を強いられる強力な怪物。
古代遺跡を根城にゴブリン軍を編成し、背後から秩序の軍勢を襲おうとしていたが、ゴブリンスレイヤーらによって計画を妨害される。最後はゴブリンスレイヤーの奇策によって敗れる(第1巻)。
闇人
闇人(ダークエルフ)の邪教徒。男。
邪悪な神々より託宣(ハンドアウト)を授かり、魔王を復活させるために呪物を用いて暗躍を繰り返す。最終的にゴブリンの軍勢を率い、神話の時代の巨人を召喚して収穫祭を襲撃しようとするが、巨人は勇者に、ゴブリンの軍勢はゴブリンスレイヤーに撃退される(第3巻)。
魔王
魔神王とも呼ばれる。第1巻までの期間中に存在している悪魔たちの親玉。世界の存亡に関わる存在は定期的に出現するらしく、一般に最上位の白金等級冒険者とは、魔王とその軍勢を倒すことを期待されている存在である。第1巻の幕間において勇者に配下の魔神将を滅ぼされた後、特に描写されることなく討ち倒された。10年前にも剣の乙女が倒した1体がいる。

主な用語

地理・国家・組織

四方世界
《秩序》と《混沌》に属する神々が、世界の支配を巡って勝負をするために創り上げた「盤」。そこに生きる冒険者や怪物といった存在は「駒」であり、《宿命》と《偶然》のサイコロによって全ては左右される。ただし、神々の遊び道具ということではなく、さまざまな冒険や物語を引き起こす「駒」たちの存在を神々は心から愛しており、サイコロの結果に一喜一憂している。
辺境の街
ゴブリンスレイヤーが拠点としている都市。
地母神の神殿、冒険者ギルド支部、牧場などがあり、それなりに栄えている。秋には収穫祭が行われ、この時は見物客などで賑わう。地母神神殿の神官による奉納演舞、天灯が名物。
水の街
剣の乙女が暮らしている都市。
西方の辺境では最大の都市であるらしく、辺境の街よりも大規模な街であることが描写されている。裁判所を兼ねた至高神の神殿があるほか、街中と地下には水路が張り巡らされている。
冒険者ギルド
冒険者たちを管理する組織。史実のギルドと異なり職業組合・互助会ではなく、事実上の無頼漢である冒険者たちを管理統制するために設置された、国営組織である。
ギルドの業務は冒険者たちの身元保証と査定、依頼の仲介と斡旋に留まり、それ以上の強制力はない。冒険者たちの間に自己責任の風潮が高いこともあり、ギルドは冒険者を保護・教育する組織ではないことが、たびたび描写されている。一方、引退した冒険者の職場も兼ねた訓練所の設置が計画されている。
冒険者ギルドの等級[8]
ギルドの等級評価は、上から順に白金・金・銀・銅・紅玉(こうぎょく)・翠玉(すいぎょく)・青玉(せいぎょく)・鋼鉄・黒曜(こくよう)・白磁(はくじ)の十段階評価となっている。このうち、白金等級はいわゆる「伝説の勇者」というべきレベルであり、歴史上に何人程度しか存在しない。また、金等級も国家レベルの難事に関わる存在であるため、在野での最高位は銀等級となる。
冒険者はギルドに登録した段階では最低等級(第10位)である白磁等級として扱われ、冒険を重ねて「社会への貢献」「獲得した報酬総額」「面談による人格査定」などを評価され(これらを全部まとめて「経験点」と呼ぶ者もいる)、等級を上げていく。すなわち等級は、その冒険者の力量を判断する基準であるとともに社会的信用度の目安でもある。第2巻の圃人斥候のように、実力があっても人格が伴わなければ低い等級から昇進が望めない場合もありうる。

種族

只人(ヒューム)
鉱人(ドワーフ)
森人(エルフ)
圃人(レーア)
蜥蜴人(リザードマン)
獣人(パッドフット)
闇人(ダークエルフ)

魔法

魔法・奇跡
この世界の魔法は、呪文で世界の法則を改変したり、精霊に呼びかけて超常現象を引き起こしたり、神々や祖先に嘆願して奇跡を起こしてもらうなど様々な形式が存在する。
共通して精神力や体力、触媒などを消耗するため、多くても一日に数回しか行使できない貴重なものという描写がされている。
これは本作が近年のコンピュータRPGに類似する大量のマジックポイントを活用する作品ではなく、『ソーサリー』『D&D』『ウィザードリィ』のような呪文回数がシビアな作品をオマージュしているため。

受賞歴・評価

  • このライトノベルがすごい! 2017
    • 文庫部門:第5位(新作部門:第1位)
    • キャラクター男性部門:第13位(ゴブリンスレイヤー)

書誌情報

  1. 2016年02月13日 ISBN 978-4-7973-8615-8
  2. 2016年05月13日 ISBN 978-4-7973-8752-0
  3. 2016年09月14日 ISBN 978-4-7973-8834-3

漫画版

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e f g h 『このライトノベルがすごい!2017』蝸牛くも インタビュー p.98-101
  2. ^ 『このライトノベルがすごい!2017』宝島社 2016年11月24日発行 ISBN 978-4800263452
  3. ^ a b c 第1巻あとがき
  4. ^ 第27回富士見ファンタジア対象結果発表]
  5. ^ 第7回GA文庫大賞(後期)結果発表
  6. ^ a b c GA文庫ブログ「これからはじめる「ゴブリンスレイヤー」。大重版決定! そして2巻も発売決定!」 2016年2月19日 2016年12月11日閲覧
  7. ^ 第1巻13章 p.340
  8. ^ 第1巻間章「受付嬢」 p.125

外部リンク