コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「履物」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
ZairanTD (会話 | 投稿記録)
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
リンクの結合
タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集
 
(11人の利用者による、間の16版が非表示)
1行目: 1行目:
'''履物'''(はきもの)は、[[足]]に着用されるものの総称。[[靴]]、[[ブーツ]]、[[下駄]]などを含む。

== 使用目的 ==
[[File:US Navy 100121-D-1852B-642 Children use plastic bags from humanitarian meals as boots at an earthquake survivor camp in Port-au-Prince, Haiti.jpg|thumb|[[ハイチ]]の[[ポルトープランス]]にて、[[非常食|人道支援食]]の空袋を履物代わりにする[[ハイチ地震 (2010年)|ハイチ地震]]の被災者]]
[[File:US Navy 100121-D-1852B-642 Children use plastic bags from humanitarian meals as boots at an earthquake survivor camp in Port-au-Prince, Haiti.jpg|thumb|[[ハイチ]]の[[ポルトープランス]]にて、[[非常食|人道支援食]]の空袋を履物代わりにする[[ハイチ地震 (2010年)|ハイチ地震]]の被災者]]
履物は、足の保護衛生や[[ファション]]のために着用される。
'''履物'''(はきもの)は、[[]]に着用されるものの総称。[[靴]]、[[ブーツ]]、[[下駄]]など。履物の下[[靴下]]や[[スト]]着用することもある。


== 歴史 ==
もっとも基本的な目的は、足裏の保護であると思われる。足裏は人間の歩行時に地面に接触し、そこに全体重がかかる部分である。使用すれば[[角質化]]し、非常に丈夫になるものではあるが、とげやとがった石の角等に対しては充分に対応できない場合も多い。これに対して、足裏を保護するために、その下面を覆うような板や布等を用意し、これを足に固定するようになったのが履物の一つの形である。紐で固定するようになったものが[[草履]]や[[サンダル]]、足先端上面を覆うようにして、引っ掛けられるようにしたものが[[スリッパ]]、足の甲やかかとまでも覆うようにしたものが[[靴]]と呼ばれる。
服飾の歴史は[[旧石器時代]]には始まるが、履物の歴史はさらに遅く[[古代エジプト]]の[[エジプト古王国|古王国]]にみられる[[パピルス]]製の[[サンダル]]が最古のものとされる<ref name="kondo" />。ただし、古代には履物は王侯貴族や僧侶、戦士などにしか着用が許されておらず、さらに多くの場合には儀式用で威儀を示す目的で履かれたにすぎない<ref name="kondo">{{Cite journal|和書 |author=近藤四郎 |year=1995 |title=4.足と靴の科学 |url=https://doi.org/10.11419/senshoshi1960.36.616 |journal=繊維製品消費科学会誌 |volume=36 |issue=10 |pages=616-622 |doi=10.11419/senshoshi1960.36.616 |publisher=日本繊維製品消費科学会}}</ref>。


一方で下駄は[[田下駄]]を起源とするともいわれているほか、雪中歩行のための[[かんじき]]、[[海苔]]の採集や[[ナシ|梨]]の収穫に用いる丈のある海苔下駄や梨下駄のように道具に由来する履物もある<ref name="kondo" />。
履物の下に、[[靴下]]や[[ストッキング]]を着用することが多い。履物には様々な趣向があり、特にブーツや靴を審美の対象とするものが多い。


当初、履物には身近な素材が使用され、狩猟が日常的に行われていたヨーロッパでは動物の皮を利用した<ref name="tanaka" />。アイヌ文化では[[サケ|鮭]]の皮から履物が製作された<ref name="tanaka" />。
[[欧米]]では屋内でも履物を履いたままでいることが多いのに対し、[[日本]]・[[大韓民国|韓国]]では脱ぐことが通常である。履物を脱がない文化においては、[[椅子]]なども発達した


履物には足の保護や足の機能の補助の目的がある<ref name="tanaka">{{Cite web|author=田中 尚喜|url= https://www.hikaku.metro.tokyo.lg.jp/Portals/0/images/shisho/shien/public_2/136_2.pdf |format=PDF |title=足と靴の適合性について-障害予防・治療の立場から-|work=|publisher=東京都皮革技術センター|date=|accessdate=2023-10-16}}</ref>。現代では履物は服飾の一環にもなっているが、被服は比較的多様なデザインが可能なのに対し、履物は体重を載せて歩けるものでなければならず、足と適合している必要がある<ref name="kondo" />。歴史上では歩く目的から逸脱した履物が出現したこともあり、[[ルネサンス|ルネッサンス時代]]の[[ヨーロッパ]]では爪先が30cmも出ている靴が流行したこともあったが姿を消した<ref name="kondo" />。
== 構造 ==
大きく分けて、足の2本の[[指]]で鼻緒を挟むものと、足を包むものに分かれる。


大量生産の履物が出回るようになるまで、靴の製作には足を採寸して作成した木型が用いられたが、現代では高級靴以外では木型の作成は稀になった<ref name="tanaka" />。
鼻緒付の履物は足指に力が入る、足のバランスによい、足を締め付けないなどの効果があるが、慣れないと足の指の間の鼻緒が痛いという問題がある。また、ある種の障害者は足に力を入れることができないため靴でないと歩けない。


== 構造と分類 ==
しかし、最近は鼻緒が健康によいと言われ始めた。足の指に力が入ること、足が締め付けられないことなどで、子供に普段履かせる学校や親が増えている。
=== 開放性履物と閉塞性履物 ===
履物は[[サンダル]]や下駄などのように足の甲を開放している'''開放性履物'''と、靴のように足の甲を開放しない'''閉塞性履物'''に大別される<ref name="kondo" />。


=== 民俗学上の分類 ===
さらに、日本は高温多湿であるため、靴で[[夏]]を過ごすと暑いこと、[[浴衣]]の再普及により[[下駄]]や[[草履]]も見直され、普段履きに活用されるようになった。
民俗学上の履物の分類にはいくつか見解がある<ref name="gotou" />。
{| class="wikitable"
|+ 後藤重巳による分類<ref name="gotou">{{Cite journal|和書|author=後藤重巳 |date=1982-02 |title=民俗資料の製作実習をめぐって |url=http://repo.beppu-u.ac.jp/modules/xoonips/detail.php?id=hk00601 |journal=博物館研究報告 |publisher=別府大学博物館学講座 |volume=6 |pages=1-4 |naid=120002147825 |CRID=1050282812821544576 |ref=harv}}</ref>
! !! 細分類
|-
! 鼻緒履物類
| 下駄類、草履類、草鞋類
|-
! 被甲履物類
| 藁沓類、皮沓類、足袋類
|-
! 補助履物類
| 爪掛類、踵当類、打掛類、甲掛類、草鞋掛類
|-
! 特殊履物類
| 足桶類、海苔下駄類、田下駄類、かんじき類、輪かんじき類、踏俵類、いたぞり類
|}


== 素材 ==
=== 靴の分類 ===
{{See|靴}}
* [[皮革|革]]
* [[合成繊維]]
* [[ゴム]]
* [[天然繊維]]
* [[木材]]


== 部品 ==
== 文化 ==
{{出典の明記|date=2023年10月|section=1}}
=== 洋式のもの ===
[[アメリカ合衆国]]では屋内でも履物を履いたままでいることが多いのに対し、[[日本]]・[[大韓民国|韓国]]では脱ぐことが通常である。
* [[かかと]]
* [[靴底]]
* [[靴紐]]


=== 和式のもの ===
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
* [[台]]
* [[鼻緒]]


== 種類 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注"}}
* [[靴]]

** [[スニーカー]]
=== 出典 ===
** [[登山靴]]
{{Reflist}}
* [[ハイヒール]](7cm以上の踵の高さの靴)
** [[ミディアムヒール]] (ハイヒールとローヒールの中間の高さの踵)
** [[ローヒール]](3cm前後の踵の高さの靴)
** [[カッターシューズ]] (1~2cm前後の踵の高さの靴)
** [[ピンヒール]] ([[ピン]]のように細い踵。別名はスティレットヒール)
** [[スパイクヒール]] (底の面積が非常に小さい靴)
* [[キトンヒール]]
* [[センシブル・シューズ]]
* [[パンプス]]
* [[ミュール]]
* [[モカシン]]
* [[ローファーズ]]
* [[ブーツ]]
** [[カウボーイブーツ]]
** [[スキーブーツ]]
** [[スケート靴|スケートブーツ]]
* [[サンダル]]
** [[ビーチサンダル]]
* [[バブーシュ]]
* [[スリッパ]]
* [[スリッポン]]
* [[前ゴムシューズ]]
* [[上履き]]
* [[バレーシューズ]]
* [[体育館履き]]
* [[下駄]]
* [[田下駄]]
* [[ぽっくり下駄]]
* [[草履]]
* [[雪駄]]
* [[草鞋]]
* [[足袋]]


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
78行目: 56行目:


{{被服}}
{{被服}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:はきもの}}
[[Category:履物|*]]
[[Category:履物|*]]

[[fr:Soulier]]

2024年10月19日 (土) 16:42時点における最新版

ハイチポルトープランスにて、人道支援食の空袋を履物代わりにするハイチ地震の被災者

履物(はきもの)は、に着用されるものの総称。ブーツ下駄など。履物の下に靴下ストッキングを着用することもある。

歴史

[編集]

服飾の歴史は旧石器時代には始まるが、履物の歴史はさらに遅く古代エジプト古王国にみられるパピルス製のサンダルが最古のものとされる[1]。ただし、古代には履物は王侯貴族や僧侶、戦士などにしか着用が許されておらず、さらに多くの場合には儀式用で威儀を示す目的で履かれたにすぎない[1]

一方で下駄は田下駄を起源とするともいわれているほか、雪中歩行のためのかんじき海苔の採集やの収穫に用いる丈のある海苔下駄や梨下駄のように道具に由来する履物もある[1]

当初、履物には身近な素材が使用され、狩猟が日常的に行われていたヨーロッパでは動物の皮を利用した[2]。アイヌ文化ではの皮から履物が製作された[2]

履物には足の保護や足の機能の補助の目的がある[2]。現代では履物は服飾の一環にもなっているが、被服は比較的多様なデザインが可能なのに対し、履物は体重を載せて歩けるものでなければならず、足と適合している必要がある[1]。歴史上では歩く目的から逸脱した履物が出現したこともあり、ルネッサンス時代ヨーロッパでは爪先が30cmも出ている靴が流行したこともあったが姿を消した[1]

大量生産の履物が出回るようになるまで、靴の製作には足を採寸して作成した木型が用いられたが、現代では高級靴以外では木型の作成は稀になった[2]

構造と分類

[編集]

開放性履物と閉塞性履物

[編集]

履物はサンダルや下駄などのように足の甲を開放している開放性履物と、靴のように足の甲を開放しない閉塞性履物に大別される[1]

民俗学上の分類

[編集]

民俗学上の履物の分類にはいくつか見解がある[3]

後藤重巳による分類[3]
細分類
鼻緒履物類 下駄類、草履類、草鞋類
被甲履物類 藁沓類、皮沓類、足袋類
補助履物類 爪掛類、踵当類、打掛類、甲掛類、草鞋掛類
特殊履物類 足桶類、海苔下駄類、田下駄類、かんじき類、輪かんじき類、踏俵類、いたぞり類

靴の分類

[編集]

文化

[編集]

アメリカ合衆国では屋内でも履物を履いたままでいることが多いのに対し、日本韓国では脱ぐことが通常である。

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f 近藤四郎「4.足と靴の科学」『繊維製品消費科学会誌』第36巻第10号、日本繊維製品消費科学会、1995年、616-622頁、doi:10.11419/senshoshi1960.36.616 
  2. ^ a b c d 田中 尚喜. “足と靴の適合性について-障害予防・治療の立場から-” (PDF). 東京都皮革技術センター. 2023年10月16日閲覧。
  3. ^ a b 後藤重巳「民俗資料の製作実習をめぐって」『博物館研究報告』第6巻、別府大学博物館学講座、1982年2月、1-4頁、CRID 1050282812821544576NAID 120002147825 

関連項目

[編集]