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「サファイア」の版間の差分

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'''サファイア'''(sapphire)または'''蒼玉'''、'''青玉'''(せいぎょく)は、[[コランダム]](Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>、[[酸化アミニウム]])の変種で、[[ダイヤモンド]]に次ぐ硬度の赤色以外の色の[[宝石]]。[[9月]]の[[誕生石]]
'''サファイア'''({{lang-en-short|sapphire}})は、呈色[[コランダム]](Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>)のうち赤色([[ルビー]])以外の[[鉱物]]の総称である


語源は「[[青]]色」を意味する[[ラテン語]]の「sapphirus」、[[ギリシャ語]]の「sappheiros」に由来する。
歴史的経緯から、「[[青]]色」を意味する[[ラテン語]]の「sapphirus(サッピルス)」、[[ギリシャ語]]の「sappheiros(サピロス)」に由来する名で呼ばれ、'''蒼玉'''、'''青玉'''(せいぎょく)とも呼ばれる。
[[酸化アルミニウム]]の結晶で、[[モース硬度]]は[[ダイヤモンド]]に次ぐ9。[[宝石]]として用いられる。


== 概要 ==
== 概要 ==
{{Main2|鉱物学的性質|コランダム}}
{{For2|鉱物学的性質|コランダム}}


サファイアはコランダムのうち宝石としての価値があり、かつ色が赤でないものをいう。不純物の違いで色を呈するものは[[]](不純物:[[ロム]])る。
コランダムのうち宝石としての価値があり、かつ色が赤([[ルビー]]:不純物の[[クロム]]で濃赤色を呈す)でないものをいう。一般に(不純物の[[鉄]]、[[チタン]]による)、紺あるいは青紫を呈する'''青玉'''(蒼玉)を指すと思われているが、黄色や茶色、薄紅色などを呈するものも含む。青味が特に濃いものは、ミッドナイトブルーサファイア、インブルーサファイア等呼ばれ宝石として珍重される。


工業的に生成される'''単結晶コランダム'''は人工サファイアと呼ばれる。サファイアガラスとも呼ばれるが、結晶質のサファイアは非晶質の[[ガラス]]とは異なる。
「'''青玉'''(蒼玉)」という和名があるように、一般に濃紺あるいは青紫色をしたもの(不純物:[[鉄]]、[[チタン]])と考えられているが、濃赤色以外のあらゆる色、例えば黄色や茶色、薄紅色などのものもサファイアである。

また、かつて青色のサファイアは、油絵に使われる青の顔料だった。

工業的に生産される単結晶コランダムもサファイアと呼ばれる(この場合、サファイアガラスなどと呼ばれる事があるが、サファイアは結晶質であるため、本来の意味の[[ガラス]]ではない)。

ミッドナイトブルーサファイアと称されて流通しているサファイアがあるが、これは、インクブルーサファイアの色合いを呼び変えたものである。


== 色・特殊効果など ==
== 色・特殊効果など ==
ルビーの濃赤色や、サファイアのメインカラーであ濃[[紺]]~[[紫]]色以外のものは、'''ファンシーカラーサファイア'''と呼ばれる
メインカラーとされる青色系統以外のものを「'''ファンシーカラーサファイア'''と呼び、[[ピンク]]がかった[[オレンジ色]]をしたものを特に「[[パパラチアサファイア|パパラチア]](Padparadscha。蓮の花のつぼみの色の意)」と呼ぶ


外光を照射すると、六条の光条を呈する([[スター効果]])ものは、'''スターサファイア'''と呼ばれ、珍重される。針状の内包物([[インクルージョン (鉱物)|インクルージョン]]、多くは[[酸化チタン(IV)|二酸化チタン]]鉱物の[[金紅石|ルチル]])を持ち、星型の輝きを生じる。大きさ(カラット)以外に地色の美しさや星型の輝きの強さなどで評価されている。
[[ファンシー]]カラーサファイアのなかでも、[[ピンク]]がかった[[オレンジ色]]をしたものを特に「[[パパラチアサファイア|パパラチア]](Padparadscha。蓮の花のつぼみの色の意)」と呼ぶ。


光源の種類(自然光と人工光)によって色が変わる([[アレキサンドライト]]に似る)ものは、カラーチェンジサファイアと呼ばれ、こちらも希少価値がある。
なかには、光を当てて眺めたときに六条の光を生ずるものがある。これは'''スターサファイア'''と呼ばれ、珍重される([[スター効果]])。これはサファイアの中に針状のインクルージョン(多くの場合は[[酸化チタン(IV)|二酸化チタン]]である[[金紅石|ルチル]])が含まれ、単一光源の下で6放射の星型の輝きを生じるためである。スターサファイアの価値はカラットだけでなく、地色の美しさや星型の輝きの強さなどにも依る。


加熱処理により色調を変える技術が古来よりあり、色や透明度の低いものは、ルビーとして流通されている。
また、[[アレキサンドライト]]のように光源によって色が変わるものもあり、カラーチェンジサファイア(但し、[[アレキサンドライト]]ほどのカラーチェンジはない)と呼ばれ、こちらも希少価値がある。


== 歴史・文化 ==
近年では、スリランカ産のギウダと呼ばれる色や透明度の低いサファイアが加熱処理され、色鮮やかなサファイヤとして販売もされている(加熱処理自体は昔からある処理なので問題はない)。
ヨーロッパで知られるようになったのは[[トラヤヌス|トラヤヌス帝]][[ローマ]]以降で、当時盛んだった[[インド]]との交易でもたらされたとされる。インドでは、[[ヒンズー教徒]]には不幸をもたらす不吉な石とされていたが、[[インドの仏教|インドの仏教徒]]には逆に尊重され、その風習がヨーロッパに広まった。


キリスト教文化では[[司教]][[叙任]]にサファイアの指輪を人差指にはめる習わしがあったとされる。
== 歴史 ==
サファイアは東洋から古代のヨーロッパに伝わった。[[トラヤヌス|トラヤヌス帝]](ローマ)の時代以降にはインドとの交易が盛んになり、サファイアについての信仰も中世にかけて広まった。インドでは元々、[[ヒンズー教徒]]の間でサファイアは不幸をもたらす不吉な石とされていた。しかし[[インドの仏教|インドの仏教徒]]の間では異なり、宝石の中でも特に尊重された。


キリスト教では、中世から[[司教]]の[[叙任]]のしるしとしてサファイアなどを付けた指輪が与えられ、人差指にはめるならわしがあった。マルボドゥスの「宝石誌」では、サファイアが指輪の宝石にふさわしいとされているのも、この反映だと見られる。
[[マルボドゥス]]の「宝石誌」、サファイアが指輪の宝石にふさわしいとされているのも、この反映だと見られる。

サファイアの石言葉を「誠実」「慈愛」「徳望」とする文献がある。<ref>{{Cite web |url=https://www.kyocera-jewelry.com/story/sapphire/616.html |title=サファイアに込められた意味とは |access-date=2023-10-07 |publisher=京セラ オードリー odolly}}</ref>。


== 産地 ==
== 産地 ==
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カシミール産のブルーサファイアは[[コーンフラワーブルー]]と呼ばれる。またミャンマー産の深い青色のサファイアは[[ロイヤル]]ブルーと呼ばれ、どちらの産地も市場での評価が高い。
カシミール産のブルーサファイアは[[コーンフラワーブルー]]と呼ばれる。またミャンマー産の深い青色のサファイアは[[ロイヤル]]ブルーと呼ばれ、どちらの産地も市場での評価が高い。


== 日本と海外の鑑別におけるロイヤルブルーカラー記載の扱い ==
== 日本と海外の鑑別におけるロイヤルブルーカラー記載の扱い ==
現在日本の鑑別書では、ミャンマー産と確定した上で一定の色でなければサファイアのカラーにロイヤルブルーと記載することが出来ないが、海外での鑑別書では産地を不問とされ、一定以上の深い青であればロイヤルブルーと記載されるもともとロイヤルブルーカラー自体イギリスの王室がミャンマー産サファイアに与えた色の為、日本の鑑別業界はそれを守っている)。そのため海外の鑑別書でロイヤルブルーカラーと記載された場合でも、産地はミャンマー産以外のサファイアであることが多々ある。
現在日本の鑑別書では、ミャンマー産と確定した上で一定の色でなければサファイアのカラーにロイヤルブルーと記載することが出来ないが、海外での鑑別書では産地を不問とされ、一定以上の深い青であればロイヤルブルーと記載される
もともとロイヤルブルーカラー自体イギリスの王室がミャンマー産サファイアに与えた色の為、日本の鑑別業界はそれを守っているためである。海外の鑑別書でロイヤルブルーカラーと記載された場合でも、産地はミャンマー産以外のサファイアであることが多々ある。


== 人造法 ==
== 人造法 ==
{{See also|コランダム#単結晶の人造法}}
{{See also|コランダム#単結晶の人造法}}
宝飾品として市場に供給されている[[ルビー]]・サファイア等の[[コランダム]]は、そのどが人為的な加熱処理(約500℃ - 1,600℃)によって鮮やかな色彩や内部的に汚れの少ない状態に変化させられたものである。
宝飾品として市場に供給されている[[ルビー]]・サファイア等の[[コランダム]]は、そのほとんどが人為的な加熱処理(約500℃ - 1,600℃)によって鮮やかな色彩や内部的に汚れの少ない状態に変化させられたものである。

非加熱なのか加熱処理されているかの判定方法としては、一般的な拡大検査による内部特徴の観察の他にも、下記のように様々な方法がある。
* 宝石鉱物表面の粒子を高周波プラズマでイオン化し、質量を分析することによって生成環境を知る方法。
* 細く絞ったレーザー光線を走査し、宝石鉱物内部の構造や欠陥を画像としてとらえる方法。
* 宝石鉱物表面に赤外レーザーを照射した後の蒸発した気体粒子の電気的変化に伴って放出される放射光線の波長を調べ、元素分析を行う方法。
* [[ラマン効果]](物質に単色光を照射した時、その散乱光の内に物質ごとの特有な波長の光が含まれる現象)を利用して物質の同定や分子構造を解析する方法。

== 産業・科学での用途 ==
人工サファイアとして、ほぼ無色透明なものがサファイアクリスタルやサファイアガラスとして供給されている。

硬度の高さから[[腕時計]]の[[風防]]や軸受け、レコード針、[[iPhone]]のカメラレンズの保護や[[iPhone 5s]]以降の[[Touch ID]]保護にも使われている<ref>[https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/keyword/635645.html 第650回:サファイアガラス とは] - ケータイ Watch</ref><ref>[https://www.apple.com/jp/newsroom/2013/09/10Apple-Announces-iPhone-5s-The-Most-Forward-Thinking-Smartphone-in-the-World/ Apple、iPhone 5sを発表―世界で最も先進的なスマートフォン]</ref>。


また、[[絶縁性]]と[[熱伝導率]]の高さから[[半導体]]基板(シリコン オン サファイア:silicon on sapphire:SOS)に利用される。
非加熱なのか加熱処理されているかの判定方法としては、一般的な拡大検査による内部特徴の観察の他、宝石鉱物表面の粒子を高周波プラズマでイオン化し、質量を分析することによって生成環境を知る方法・細く絞ったレーザー光線を走査し、宝石鉱物内部の構造や欠陥を画像としてとらえる方法、宝石鉱物表面に赤外レーザーを照射した後の蒸発した気体粒子の電気的変化に伴って放出される放射光線の波長を調べ、元素分析を行う方法、[[ラマン効果]](物質に単色光を照射した時、その散乱光の内に物質ごとの特有な波長の光が含まれる現象)を利用して物質の同定や分子構造を解析する方法等々がある。


極低温まで冷やすと振動が少なくなる性質を利用して、人工サファイア鏡は[[重力波望遠鏡]]「[[KAGRA]](かぐら)」にも使われる<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27869330Y8A300C1CR8000/ 「かぐら」にサファイア鏡搬入]『[[日経産業新聞]]』2018年3月13日(先端技術面)</ref>。
== 産業での用途 ==
人造の単結晶のコランダムは、高い硬度から[[腕時計]]の風防や軸受け、レコード針などに用いられる。また、絶縁性がよく、[[熱伝導率]]もよいため、[[半導体]]の基板(シリコン オン サファイア:silicon on sapphire:SOS)として利用されることもある。


== 石言葉 ==
== 脚注 ==
{{Reflist}}
* 慈愛
* 誠実
* 貞操
* 高潔
* 徳望
* 心の成長


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2017年9月|section=1}}
* 春山行夫『春山行夫の博物誌Ⅳ 宝石1』平凡社
* 春山行夫『春山行夫の博物誌Ⅳ 宝石1』平凡社


74行目: 140行目:
* [[宝石の一覧]]
* [[宝石の一覧]]
* [[ルビー]]
* [[ルビー]]
* [[誕生石]] - 全国宝石卸商協同組合などは、サファイアを9月の誕生石としている。
* [[誕生石]]
* [[ギウダ]]
<!-- == 参考文献 == -->
* {{仮リンク|サフィリン|en|Sapphirine}} - サファイアと共生する[[イノケイ酸塩鉱物]]。サファイアに似た色合いを持つが、硬度は7.5と低い
* {{ill2|サフィリナ|en|Sapphirina}} - 別名:シーサファイア、玉水とも呼ばれる日の光を受けて構造色を出すプランクトン


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.mindat.org/min-3529.html Sapphire] (mindat.org) {{En icon}}
* [https://www.mindat.org/min-3529.html Sapphire] (mindat.org){{En icon}}


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{{DEFAULTSORT:さふあいあ}}
[[Category:宝石]]
[[Category:宝石]]
[[Category:アルミニウムの化合物]]
[[Category:アルミニウム物]]
[[Category:酸化鉱物]]
[[Category:光学材料]]
[[Category:光学材料]]

2024年11月13日 (水) 03:32時点における最新版

サファイア
サファイア
分類 酸化鉱物
化学式 Al2O3
結晶系 三方晶系
モース硬度 9.0
比重 3.98 - 4.06
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
テンプレートを表示
マダガスカル産のコランダム(サファイア)原石
様々な色のサファイア。透明なものはカラーレス・サファイアまたはホワイト・サファイア、黄色のものはイエロー・サファイアとよばれる
スターサファイア
宝石としてカットされたサファイア
人工サファイアの原石

サファイア: sapphire)は、呈色コランダム(Al2O3)のうち、赤色(ルビー)以外の鉱物の総称である。

歴史的経緯から、「色」を意味するラテン語の「sapphirus(サッピルス)」、ギリシャ語の「sappheiros(サピロス)」に由来する名で呼ばれ、蒼玉青玉(せいぎょく)とも呼ばれる。 酸化アルミニウムの結晶で、モース硬度ダイヤモンドに次ぐ9。宝石として用いられる。

概要

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コランダムのうち、宝石としての価値があり、かつ色が赤(ルビー:不純物のクロムで濃赤色を呈す)でないものをいう。一般に(不純物のチタンによる)、濃紺あるいは青紫色を呈する青玉(蒼玉)を指すと思われているが、黄色や茶色、薄紅色などを呈するものも含む。青味が特に濃いものは、ミッドナイトブルーサファイア、インクブルーサファイア等と呼ばれ宝石として珍重される。

工業的に生成される単結晶コランダムは人工サファイアと呼ばれる。サファイアガラスとも呼ばれるが、結晶質のサファイアは非晶質のガラスとは異なる。

色・特殊効果など

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メインカラーとされる青色系統以外のものを「ファンシーカラーサファイア」と呼び、ピンクがかったオレンジ色をしたものを特に「パパラチア(Padparadscha。蓮の花のつぼみの色の意)」と呼ぶ。

外光を照射すると、六条の光条を呈する(スター効果)ものは、スターサファイアと呼ばれ、珍重される。針状の内包物(インクルージョン、多くは二酸化チタン鉱物のルチル)を持ち、星型の輝きを生じる。大きさ(カラット)以外に地色の美しさや星型の輝きの強さなどで評価されている。

光源の種類(自然光と人工光)によって色が変わる(アレキサンドライトに似る)ものは、カラーチェンジサファイアと呼ばれ、こちらも希少価値がある。

加熱処理により色調を変える技術が古来よりあり、色や透明度の低いものは、ルビーとして流通されている。

歴史・文化

[編集]

ヨーロッパで知られるようになったのはトラヤヌス帝ローマ以降で、当時盛んだったインドとの交易でもたらされたとされる。インドでは、ヒンズー教徒には不幸をもたらす不吉な石とされていたが、インドの仏教徒には逆に尊重され、その風習がヨーロッパに広まった。

キリスト教文化では司教叙任にサファイアの指輪を人差指にはめる習わしがあったとされる。

マルボドゥスの「宝石誌」に、サファイアが指輪の宝石にふさわしいとされているのも、この反映だと見られる。

サファイアの石言葉を「誠実」「慈愛」「徳望」とする文献がある。[1]

産地

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主にタイ王国ミャンマーカシミール地方、スリランカマダガスカルオーストラリア中国カンボジアなどで採掘される。産地により色の濃淡が異なり、色の良し悪しにより価値が上下する。

カシミール産のブルーサファイアはコーンフラワーブルーと呼ばれる。またミャンマー産の深い青色のサファイアはロイヤルブルーと呼ばれ、どちらの産地も市場での評価が高い。

日本と海外の鑑別書におけるロイヤルブルーカラー記載の扱い

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現在、日本の鑑別書では、ミャンマー産と確定した上で一定の色でなければ、サファイアのカラーに「ロイヤルブルー」と記載することが出来ないが、海外での鑑別書では産地を不問とされ、一定以上の深い青であれば「ロイヤルブルー」と記載される。

もともとロイヤルブルーカラー自体、イギリスの王室がミャンマー産サファイアに与えた色の為、日本の鑑別業界はそれを守っているためである。海外の鑑別書で「ロイヤルブルーカラー」と記載された場合でも、産地はミャンマー産以外のサファイアであることが多々ある。

人造法

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宝飾品として市場に供給されているルビー・サファイア等のコランダムは、そのほとんどが人為的な加熱処理(約500℃ - 1,600℃)によって鮮やかな色彩や内部的に汚れの少ない状態に変化させられたものである。

非加熱なのか加熱処理されているかの判定方法としては、一般的な拡大検査による内部特徴の観察の他にも、下記のように様々な方法がある。

  • 宝石鉱物表面の粒子を高周波プラズマでイオン化し、質量を分析することによって生成環境を知る方法。
  • 細く絞ったレーザー光線を走査し、宝石鉱物内部の構造や欠陥を画像としてとらえる方法。
  • 宝石鉱物表面に赤外レーザーを照射した後の蒸発した気体粒子の電気的変化に伴って放出される放射光線の波長を調べ、元素分析を行う方法。
  • ラマン効果(物質に単色光を照射した時、その散乱光の内に物質ごとの特有な波長の光が含まれる現象)を利用して物質の同定や分子構造を解析する方法。

産業・科学での用途

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人工サファイアとして、ほぼ無色透明なものがサファイアクリスタルやサファイアガラスとして供給されている。

硬度の高さから腕時計風防や軸受け、レコード針、iPhoneのカメラレンズの保護やiPhone 5s以降のTouch ID保護にも使われている[2][3]

また、絶縁性熱伝導率の高さから半導体基板(シリコン オン サファイア:silicon on sapphire:SOS)に利用される。

極低温まで冷やすと振動が少なくなる性質を利用して、人工サファイア鏡は重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)」にも使われる[4]

脚注

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参考文献

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  • 春山行夫『春山行夫の博物誌Ⅳ 宝石1』平凡社

関連項目

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外部リンク

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