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|属=ウスカワマイマイ属 ''Acusta''
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|種=オキナワウスカワマイマイ<br/>''A. despecta''
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|亜種='''ウスカワマイマイ''' ''A. d. sieboldiana''
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|学名=''Acusta despecta sieboldiana''<br/>([[ルートヴィヒ・カール・ゲオルク・プファイファー|Pfeiffer]],[[1850年|1850]])<ref name="東">東正雄『原色日本陸産貝類図鑑』1995年 保育社 ISBN 9784586300617</ref><ref name="行田">行田義三『貝の図鑑 採集と標本の作り方』南方新社 2003年 ISBN 4931376967</ref>
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|英名=Siebold's globular snail<ref name="波部">波部忠重・小菅貞男『エコロン自然シリーズ 貝』1978年刊・1996年改訂版 ISBN 9784586321063</ref>}}
|英名=Siebold's globular snail<ref name="波部">波部忠重・小菅貞男『エコロン自然シリーズ 貝』1978年刊・1996年改訂版 ISBN 9784586321063</ref>}}
'''ウスカワマイマイ'''(薄皮蝸牛)、学名 ''Acusta despecta sieboldiana'' は、有肺目オナジマイマイ科に分類される[[カタツムリ]]の一種。和名通り薄い半透明の殻をもつカタツムリで、日本の[[北海道]]南部から[[九州]]まで分布する。カタツムリとしては人家近くの明るい環境を好む種類で、農作物を食い荒らす[[害虫|害貝]]となり易い。
'''ウスカワマイマイ'''(薄皮蝸牛)、学名 ''Acusta despecta sieboldtiana'' は、有肺目オナジマイマイ科に分類される[[カタツムリ]]の一種。和名通り薄い半透明の殻をもつカタツムリで、日本の[[北海道]]南部から[[九州]]まで分布する。カタツムリとしては人家近くの明るい環境を好む種類で、農作物を食い荒らす[[害虫|害貝]]となり易い。
==形態==
==形態==
成貝は殻高20mm・殻径25mmほど。殻は半透明の褐色で和名通り薄い。螺層は小さいが体層が大きく発達し膨らむ。殻口は大きく開き、その縁は薄い。一般にカタツムリは成貝になると殻の縁が肥厚し、外側に反り返って独特の形となるが、このカタツムリではそれが起こらず、老成しても薄いままである。臍孔は小さく目立たない<ref name="東" /><ref name="内田">内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 1948年初版・2000年重版 ISBN 4832600427</ref>。これらはウスカワマイマイ属 ''Acusta'' に共通する特徴で、オナジマイマイ科他種との区別は比較的容易である。
成貝は殻高20mm・殻径25mmほど。殻は半透明の褐色で和名通り薄い。螺層は小さいが体層が大きく発達し膨らむ。殻口は大きく開き、その縁は薄い。一般にカタツムリは成貝になると殻の縁が肥厚し、外側に反り返って独特の形となるが、このカタツムリではそれが起こらず、老成しても薄いままである。臍孔は小さく目立たない<ref name="東" /><ref name="内田">内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 1948年初版・2000年重版 ISBN 4832600427</ref>。これらはウスカワマイマイ属 ''Acusta'' に共通する特徴で、オナジマイマイ科他種との区別は比較的容易である。
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軟体はほぼ一様なクリーム色だが、外套膜(殻の内側)に不規則な黒斑が現れる場合があり、殻を透かしてこれらの黒斑が見える。触角と眼は灰色をしている。
軟体はほぼ一様なクリーム色だが、外套膜(殻の内側)に不規則な黒斑が現れる場合があり、殻を透かしてこれらの黒斑が見える。触角と眼は灰色をしている。
==生態==
==生態==
日本の北海道南部から九州まで分布し、日本産カタツムリでは[[オナジマイマイ]]に匹敵する広い分布域をもつ。日本国内で「カタツムリ」といえば、本種かオナジマイマイが最も目に触れ易いという地域が多い。学名の亜種名"''sieboldiana''"は江戸後期に長崎に赴任し生物等の研究を行ったドイツ人医師[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]に対する[[献名]]である。
日本の北海道南部から九州まで分布し、日本産カタツムリでは[[オナジマイマイ]]に匹敵する広い分布域をもつ。日本国内で「カタツムリ」といえば、本種かオナジマイマイが最も目に触れ易いという地域が多い。学名の亜種名"''sieboldtiana''"は江戸後期に長崎に赴任し生物等の研究を行ったドイツ人医師[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]に対する[[献名]]である。


人家近くの庭園や農耕地に多く見られるが、南日本では[[海岸]]の[[ハマユウ]]の根元に群れていることもある<ref name="波部" />。カタツムリとしては明るく開けた環境を好む種類で、逆に山林では見つからない。昼間は作物の根元や[[石垣]]の隙間など物陰に潜んでいるが、夜に這い出して活動する。おもに植物を摂食し、畑の農作物や花卉などに被害を与える<ref name="行田" /><ref name="内田" />。また作物の苗や球根などに付着して流通経路に乗り、他地域に分布を広げることもある。春と秋に繁殖する<ref name="内田" />。
人家近くの庭園や農耕地に多く見られるが、南日本では[[海岸]]の[[ハマユウ]]の根元に群れていることもある<ref name="波部" />。カタツムリとしては明るく開けた環境を好む種類で、逆に山林では見つからない。昼間は作物の根元や[[石垣]]の隙間など物陰に潜んでいるが、夜に這い出して活動する。おもに植物を摂食し、畑の農作物や花卉などに被害を与える<ref name="行田" /><ref name="内田" />。また作物の苗や球根などに付着して流通経路に乗り、他地域に分布を広げることもある。春と秋に繁殖する<ref name="内田" />。
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**オオスミウスカワマイマイ ''A. d. praetenuis'' (Pilsbry et [[平瀬與一郎|Hirase]],1904) - [[佐多岬]]・[[甑島列島]]・[[大隅諸島]]・[[トカラ列島]]
**オオスミウスカワマイマイ ''A. d. praetenuis'' (Pilsbry et [[平瀬與一郎|Hirase]],1904) - [[佐多岬]]・[[甑島列島]]・[[大隅諸島]]・[[トカラ列島]]
**イキウスカワマイマイ ''A. d. ikiensis'' (Pilsbry et Hirase,1904) - [[壱岐島]]
**イキウスカワマイマイ ''A. d. ikiensis'' (Pilsbry et Hirase,1904) - [[壱岐島]]
**'''ウスカワマイマイ''' ''A. d. sieboldiana'' (Pfeiffer,1850) - 九州から北海道南部まで
**'''ウスカワマイマイ''' ''A. d. sieboldtiana'' (Pfeiffer,1850) - 九州から北海道南部まで
==参考文献==
==参考文献==
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2018年2月7日 (水) 09:03時点における版

ウスカワマイマイ
壁面に貼りついて休止している個体
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
: 有肺目 Pulmonata
亜目 : 真有肺亜目 Eupulmonata
下目 : 柄眼下目 Stylommatophora
上科 : マイマイ上科 Helicoidea
: オナジマイマイ科 Bradybaenidae
: ウスカワマイマイ属 Acusta
: オキナワウスカワマイマイ
A. despecta
亜種 : ウスカワマイマイ A. d. sieboldtiana
学名
Acusta despecta sieboldtiana
(Pfeiffer,1850)[1][2][3]
英名
Siebold's globular snail[4]

ウスカワマイマイ(薄皮蝸牛)、学名 Acusta despecta sieboldtiana は、有肺目オナジマイマイ科に分類されるカタツムリの一種。和名通り薄い半透明の殻をもつカタツムリで、日本の北海道南部から九州まで分布する。カタツムリとしては人家近くの明るい環境を好む種類で、農作物を食い荒らす害貝となり易い。

形態

成貝は殻高20mm・殻径25mmほど。殻は半透明の褐色で和名通り薄い。螺層は小さいが体層が大きく発達し膨らむ。殻口は大きく開き、その縁は薄い。一般にカタツムリは成貝になると殻の縁が肥厚し、外側に反り返って独特の形となるが、このカタツムリではそれが起こらず、老成しても薄いままである。臍孔は小さく目立たない[1][5]。これらはウスカワマイマイ属 Acusta に共通する特徴で、オナジマイマイ科他種との区別は比較的容易である。

軟体はほぼ一様なクリーム色だが、外套膜(殻の内側)に不規則な黒斑が現れる場合があり、殻を透かしてこれらの黒斑が見える。触角と眼は灰色をしている。

生態

日本の北海道南部から九州まで分布し、日本産カタツムリではオナジマイマイに匹敵する広い分布域をもつ。日本国内で「カタツムリ」といえば、本種かオナジマイマイが最も目に触れ易いという地域が多い。学名の亜種名"sieboldtiana"は江戸後期に長崎に赴任し生物等の研究を行ったドイツ人医師シーボルトに対する献名である。

人家近くの庭園や農耕地に多く見られるが、南日本では海岸ハマユウの根元に群れていることもある[4]。カタツムリとしては明るく開けた環境を好む種類で、逆に山林では見つからない。昼間は作物の根元や石垣の隙間など物陰に潜んでいるが、夜に這い出して活動する。おもに植物を摂食し、畑の農作物や花卉などに被害を与える[2][5]。また作物の苗や球根などに付着して流通経路に乗り、他地域に分布を広げることもある。春と秋に繁殖する[5]

天敵

クロバエ科コクロバエ属のイトウコクロバエ Melinda itoi Kano とイオコクロバエ M. io (Kurahashi) の2種のハエが、ウスカワマイマイを宿主として捕食寄生を営むことが知られる[6]

亜種

ウスカワマイマイ属 Acusta東洋に広く分布する。日本産はオキナワウスカワマイマイを基亜種として以下のような亜種がいる[1][2]

参考文献

  1. ^ a b c 東正雄『原色日本陸産貝類図鑑』1995年 保育社 ISBN 9784586300617
  2. ^ a b c 行田義三『貝の図鑑 採集と標本の作り方』南方新社 2003年 ISBN 4931376967
  3. ^ 湊 宏・福田 宏「飯田市美術博物館自然資料目録 第2集,長野県産陸生・淡水生貝類 飯島國昭コレクション」『ちりぼたん』45巻3号、2015年、183-186頁。
  4. ^ a b 波部忠重・小菅貞男『エコロン自然シリーズ 貝』1978年刊・1996年改訂版 ISBN 9784586321063
  5. ^ a b c 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 1948年初版・2000年重版 ISBN 4832600427
  6. ^ 倉橋弘・長谷川勉 (1999), “ウスカワマイマイに寄生していたコクロバエ2種”, はなあぶ 8: 5-6 .