「領土問題」の版間の差分
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**[[イギリス]]が属領(海外領土)として実効支配。[[アメリカ海軍|米国の軍事拠点]]の置かれていることで知られる<ref>詳細は[[イギリス領インド洋地域]]を参照。</ref>。かつて同じ植民地として統治されていた[[モーリシャス]]が諸島全域の領有権を主張。国際司法裁は2019年2月、モーリシャスの独立後もイギリスが分離統治し続けているのは違法であるとの判断を下した<ref>[https://this.kiji.is/472922728332182625 チャゴス諸島の英領編入は違法 「統治終結を」と国際司法裁判所] 共同通信、2019年2月26日配信。</ref>。 |
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**ロシア人が多く居住する地域であったが、[[ソビエト連邦|ソ連]]時代に[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]]に移管された。移管当時はソ連国内での管轄の変更に過ぎなかったため大きな問題にはならなかったが、ソ連解体後もウクライナの支配が続いたためロシアとの領土問題になった。 |
**ロシア人が多く居住する地域であったが、[[ソビエト連邦|ソ連]]時代に[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]]に移管された。移管当時はソ連国内での管轄の変更に過ぎなかったため大きな問題にはならなかったが、ソ連解体後もウクライナの支配が続いたためロシアとの領土問題になった。 |
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**その後もしばらくウクライナの実効支配が続いたが、[[2014年ウクライナ騒乱]]の際に[[ロシアのクリミア侵攻|ロシア軍がクリミアに展開]]しロシアの支援のもと一旦[[クリミア独立宣言|独立を宣言]]。ロシア編入を問う[[住民投票|2014年クリミア住民投票]]行われ、結果編入賛成票が多数を占めたことからロシアが併合し、ロシア側に実効支配が移った。しかし、住民投票を含めウクライナはこれを認めていない。 |
**その後もしばらくウクライナの実効支配が続いたが、[[2014年ウクライナ騒乱]]の際に[[ロシアのクリミア侵攻|ロシア軍がクリミアに展開]]しロシアの支援のもと一旦[[クリミア独立宣言|独立を宣言]]。ロシア編入を問う[[住民投票|2014年クリミア住民投票]]が行われ、結果編入賛成票が多数を占めたことからロシアが併合し、ロシア側に実効支配が移った。しかし、住民投票を含めウクライナはこれを認めていない。 |
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* シャレングラード島、ヴコヴァル島(セルビア・クロアチア) |
* シャレングラード島、ヴコヴァル島(セルビア・クロアチア) |
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**セルビアが実効支配しているが、クロアチアも領有を主張。 |
**セルビアが実効支配しているが、クロアチアも領有を主張。 |
2019年8月16日 (金) 07:07時点における版
領土問題(りょうど もんだい)とは、ある地域が、特に陸地である領土が、どの国家の領域に属するかをめぐって、国家間での争いが起きることである。
概説
国境の線引きに関するわずかな見解の相違や小さな無人島の帰属といったレベルから、主権国家を自称している地域全体を別の国家が自国領土と主張する場合(台湾問題など)まである。後者の場合は国家の承認問題にも発展する。
領土問題を抱える国家同士の関係も様々である。係争地域の実効支配をめぐる深刻な対立・衝突がなく、友好的に外交や貿易、国民の往来が続く場合もあれば(カナダとデンマーク領グリーンランドの間にあるハンス島など)、植民地独立運動を含めて戦争やテロのきっかけになることも多い(ノモンハン事件、印パ戦争など)。これら領土問題を戦争に発展させないために、国連は加盟国に対し国際連合憲章に基づき平和的かつ国際正義に則って解決することを加盟国に求めており、同第2条により、一国が他国の領土を武力によって占有することを禁じている。しかしながら現代においてもなお、ある係争国によって無人の係争地を占拠したり、係争地にいる他国の軍隊・警備隊や住民の抵抗を実力で排除して軍事占領したりする例はなお多くある。
よく領土問題の原因になるのが、その土地にある石油などの天然資源や農地、重要建造物、国境付近にある川とその流路変更である。また離島はそれ自体に経済的価値がほとんどなくても、本土から離れた軍事拠点として有用だったり、周囲に広大な領海や排他的経済水域(EEZ)、大陸棚が付属する可能性が高かったりするため、係争対象になりやすい。各国・民族のナショナリズムが高まった近現代では、人が住むには厳しい絶海の孤島や砂漠や高山であっても領土問題の対象となる(南沙諸島など)。
また、その土地を最初に占有した国家が領有を明確にしていなかったり、付近に他の国家がありながらもその国家の了解を得ていなかったり、居住民族が移動を繰り返して複数の民族が混住していたりするといった歴史的経緯も、領土問題の原因になりやすい。
各国政府は、係争地の実効支配を確実にしたり、その領有や返還を実現したりするため、国内外世論への訴えかけ、法的な理論武装、外交交渉や国際司法裁判所への付託、戦争など様々な手段をとる。領土問題について、個人が自国政府と異なる見解を示した場合、世論の批判を受けるだけでなくロシア連邦のように法的な罪に問われる国もある(2014年3月の刑法改正による)[1]。
領土の権原
領土権を主張する根拠(権原)として、歴史的には以下のようなものがある
- 譲渡
- 征服(国連憲章下で現在認められない)
- 先占(無主地を国家が領有意思を持ち実効的に占有すると当該土地がその国の領土になる)
- 添付(自然現象や埋め立て等で土地が拡張する場合)
- 時効(土地を領有の意思を持って相当期間平穏公然に統治することで領有権を取得する場合)
がある[2]。
国際領土紛争では、「国家権能の平穏かつ継続した表示[3]」という権原を基準に判定される場合が多い。
消極的領土問題
領土問題、領土紛争となるには2つ以上の国家間で領域に対する領土権の主張(要求)が必要であるが、一方で国際関係上、当該領域に対する領土権は主張しないが、国家承認の文脈において「その領域の領有は認めない」とする立場を表明する事がある。
国際司法裁判所への付託
領土問題は当事国同士での外交で解決されるのが望ましいが、当事国間で解決することが困難な場合には、国際司法裁判所 (ICJ) への付託ができる。もっとも国際司法裁判所への付託は、紛争当事国の一方が拒否すれば審判を行うことができず、つまり強制管轄権はない[4]。ただし、双方の当事国が義務的管轄権受託宣言を事前に行っている場合には例外的に付託される[5]。
しかしながら、当事国間で解決することが困難な場合には、ICJは客観的に判定することを推奨している。
例えば、
- ICJ
- 常設国際司法裁判所判決
などの判決が客観的判定の推奨を確認されている[6]。
国際判例による規則
塚本孝によれば、これまでのICJ国際判例から次の様な規則が得られる[7]。
- 中世の事件に依拠した間接的な推定でなく、対象となる土地に直接関係のある証拠が優位。中世の権原は現代的な他の権原に置き換えられるべき。
- 徴税・課税、法令の適用、刑事裁判、登記、税関設置、人口調査、亀・亀卵採捕の規制、鳥の保護区設定、入域管理、難破事件の捜査などが、国家権能の表示・実効的占有の証拠となる。
- 紛争が発生した後の行為は実効的占有の証拠とならない。
- 住民による行為は国家の主権者としての行為ではない。
- 条約上の根拠がある場合にはそれが実効的占有に基づく主張に優越する。
- 国は、相手国に向かって行った発言と異なる主張はできない。
- 相手国の領有宣言行為に適時に抗議しないと領有権を認めたことになる。
- 歴史的、原初的権原があっても相手国が行政権行使を重ね、相手国の主権者としての行動に適時に抗議しなければ主権が移ることがある。
- 発見は未完の権原である(実効的占有が行われなければ領有権の根拠にならない)。
- 地理的近接性は領有根拠にならない。領海内の無人島が付属とされることはある。
- 地図は国際法上独自の法的効力を与えられることはない。公文書付属地図が法的効力を持つ場合や信頼に足る他の証拠が不足するときに一定の証拠価値を持つ場合はある。
世界各地の領土問題
東アジア
この節はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。 (2019年2月) |
- 国後島・択捉島・色丹島・歯舞群島(ロシア・日本)
- かつて大日本帝国領だったが、第二次世界大戦末期にソ連が占領した。その後、1992年ソ連崩壊により同地域はロシア連邦に引き継がれたが、現在に至るまで同地域の実効支配は続いている。日本側は千島列島を1951年に締結したサンフランシスコ平和条約で放棄したが、上記の4島は「放棄した地域」に含まれないとしてロシア側の不法占拠を主張している[8]。一方でロシア側は「南クリル(北方四島)は第二次世界大戦の結果ソビエト連邦が獲得した正当な領土で、ロシア連邦サハリン州の不可分の領土」と主張している[9]。なお、色丹島と歯舞群島については日ソ共同宣言で日露間の平和条約締結後に日本に引き渡すことが宣言されているが、未実現。→詳細は「北方領土問題」を参照
- かつて大日本帝国領だったが、第二次世界大戦末期にソ連が占領した。その後、1992年ソ連崩壊により同地域はロシア連邦に引き継がれたが、現在に至るまで同地域の実効支配は続いている。日本側は千島列島を1951年に締結したサンフランシスコ平和条約で放棄したが、上記の4島は「放棄した地域」に含まれないとしてロシア側の不法占拠を主張している[8]。一方でロシア側は「南クリル(北方四島)は第二次世界大戦の結果ソビエト連邦が獲得した正当な領土で、ロシア連邦サハリン州の不可分の領土」と主張している[9]。なお、色丹島と歯舞群島については日ソ共同宣言で日露間の平和条約締結後に日本に引き渡すことが宣言されているが、未実現。
- 北千島・南樺太(ロシア)
- 北千島・南樺太ともに大日本帝国に属したが、サンフランシスコ平和条約(第2条C項)により、日本は千島列島[10]南樺太及びこれに近接する諸島の権利・権原及び請求権を放棄する事を認めた。前項で述べた通りソ連側は第二次世界大戦の結果獲得した領土のひとつと主張するも、アメリカなどはソ連が同平和条約に調印しなかったためソ連による両地域の領有は認めていない立場[11]である。日本政府も「ロシアが実効支配し、他に北千島や南樺太に対する領土権の主張をする国家は存在せず、帰属問題(承認問題)だけが未解決という状態が継続している」[12]という立場をとっている。[疑問点 ]
- 竹島(韓国・日本・北朝鮮)
- 1905年に日本が編入したが、第二次世界大戦後の日本の主権回復直前に韓国が占領。現在も「軍国主義時代の日本が強制的に編入した島」であったとの主張の下で領有権を主張し実効支配している。また、朝鮮半島で韓国と対立するする北朝鮮も「民族固有の領土」として竹島の領有を主張している。
- 日本側は韓国に対して3回にわたり国際司法裁判所 (ICJ) への付託を提案しているが、韓国側は「独島に領土問題は存在しない」との見解により、その都度これを拒否している。なお、韓国が日本の保護国となる以前の1889年発行の大韓帝国の教科書には「竹島(独島)は韓国領でない」記述が記され、韓国・北朝鮮側の主張には根拠が薄いことが指摘されている[13]。こちらも参照
- 尖閣諸島(日本・中国・台湾)
- 朝鮮半島(韓国・北朝鮮)
- 日本が第二次世界大戦に敗れ朝鮮半島を放棄した後、朝鮮半島はアメリカとソ連の分割統治がなされたが、冷戦の激化で北朝鮮と韓国が分離独立。しかしながら、両国とも朝鮮半島全体およびその周辺島嶼の領有を主張している。特に、朝鮮半島西側に設定された北方限界線は北朝鮮側が頑なに認めず砲撃事件などを起こし死傷者も出している。
- 中国大陸(中国・台湾ほか)
- 白頭山(北朝鮮・中国・韓国)
- 現在、北朝鮮と中華人民共和国によって分割されているが韓国が白頭山全体の領有権を主張している(前述の通り大韓民国は朝鮮半島全土の領有を主張しているため、同国の主張では飛び地とはならない)。
- 台湾(台湾・中国)
- 第二次世界大戦の日本の敗戦以降中華民国政府が一貫して実効支配しているが、中華人民共和国側も領有権を主張している。
- 鹿屯島(ロシア・韓国)
- ソ連と北朝鮮の間で確定された国境線ではソ連側に属したが、朝鮮半島の領有を主張する韓国はこれを不当としている。
東南アジア
- 南沙諸島(中国ほか6か国)
- 西沙諸島(中国・ベトナム・台湾)
- 日本の敗戦後に中国とベトナムが占領したが、のちに中国が全域を支配。台湾、ベトナムが領有を主張。
- 中沙諸島(中国・台湾・フィリピン)
- 中国が実効支配しているが、台湾・フィリピンも領有を主張。
- 東沙諸島(台湾・中国)
- 台湾が実効支配しているが、中国も領有を主張。
南アジア
- ブータン・中国間の国境線
- アルナーチャル・プラデーシュ州(インド・中国)
- カシミール(インド・パキスタン・中国)
中央・西アジア
ヨーロッパ
- クリミア半島(ロシア・ウクライナ)
- ロシア人が多く居住する地域であったが、ソ連時代にウクライナ・ソビエト社会主義共和国に移管された。移管当時はソ連国内での管轄の変更に過ぎなかったため大きな問題にはならなかったが、ソ連解体後もウクライナの支配が続いたためロシアとの領土問題になった。
- その後もしばらくウクライナの実効支配が続いたが、2014年ウクライナ騒乱の際にロシア軍がクリミアに展開しロシアの支援のもと一旦独立を宣言。ロシア編入を問う2014年クリミア住民投票が行われ、結果編入賛成票が多数を占めたことからロシアが併合し、ロシア側に実効支配が移った。しかし、住民投票を含めウクライナはこれを認めていない。
- シャレングラード島、ヴコヴァル島(セルビア・クロアチア)
- セルビアが実効支配しているが、クロアチアも領有を主張。
- トルコ・アルメニア間の国境線
- ナゴルノ・カラバフ(アゼルバイジャン・アルメニア)
- 南ベッサラビア・北ブコビナ(ウクライナ・ルーマニア・モルドバ)
南アメリカ
- フォークランド諸島(マルビナス諸島):現在イギリスが領有。アルゼンチンが返還要求している(フォークランド戦争を参照のこと)。
- ガイアナ西部にあるエセキボ地域:ガイアナとベネズエラ
- ガイアナとスリナムとの国境
- スリナムと仏領ギアナとの国境
- アマゾナス:エクアドルとペルー
- ナヴァッサ島:アメリカ合衆国の領土の島だがハイチが領有を主張。
- アベス島:カリブ海に浮かぶ、ベネズエラの管理下にある孤島、ドミニカ国が領有を主張。
- セラナ・バンク、セラニャ・バンク、バホヌエボ、ロンカドル・バンク、キトスエニョ:いずれの島々は1980年代初期にアメリカの占領下からコロンビアに返還し、現在コロンビアの管理下にあるカリブ海の島々だが、ホンジュラス、ニカラグア、ジャマイカからアメリカも一部の島々の領有を主張している。
アフリカ
- セウタ、メリリャ:アフリカ北西端にあるスペイン領。モロッコが領有権を主張し、返還を要求している。
- バドメ (Badme):エリトリアが1993年にエチオピアから分離独立した際、境界を不明確にしたためエリトリアが領有権を主張。1998年にエチオピア・エリトリア戦争が勃発。いまだに解決を見ない。
- ハライブ・トライアングルおよびビル・タウィール(エジプト・スーダン国境):ハライブ・トライアングルは、エジプトとスーダンの間の紅海に面した地域。エジプトとスーダンが領有を主張。ビル・タウィールはハライブ・トライアングルの真西にある一帯だが、ここの領有権を主張するとハライブ・トライアングルの領土問題で不利になることから、エジプト・スーダンのいずれも領有権を主張していない、世界的にも珍しい無主地である。
- アビエイ (スーダン・南スーダン国境):スーダンと南スーダンの国境付近にある油田地帯。
- イレミ・トライアングル(三角地帯):南スーダン南東部、エチオピアとケニアにまたがる地域。過去、スーダン政府の弾圧から逃れて来たキリスト教徒の難民が住むこの土地は現在ケニアが管理しているが南スーダンとエチオピアも領有権を主張している。
- パセリ島 (Isla Perejil):スペインとモロッコが領有を主張。
- マヨット島:フランスとコモロが領有を主張。コモロ諸島全域がフランスから独立した際、住民投票でフランス残留派の多かったとされるマヨット島だけが、フランスの施政下に残った。
- 西サハラ(リオ・デ・オロ):モロッコとサハラ・アラブ民主共和国亡命政府(ポリサリオ戦線)が領有権を主張。(西サハラ問題)
- サナーグ、スール:ソマリアの自治国プントランドが実効支配しているが、かつての英領ソマリランドの領土内で分離独立活動を続けるソマリランド陣営も領有を主張している。但し、国際法上の領土問題ではない。
- ミギンゴ (Migingo Island):ヴィクトリア湖にある島。ケニアとウガンダが領有を主張。
北アメリカ
オセアニア
- ウェーク島:現在アメリカ合衆国が軍事拠点として領有。マーシャル諸島共和国が領有を主張している。
- スウェインズ島(オロセンガ島):アメリカ領サモアに属する島だが、地理的にも、ニュージーランド領トケラウ諸島にあり、トケラウの自治政府が同島の返還を主張している。
既に解決された領土問題
ヨーロッパ
- オーデル・ナイセ線(ドイツ・ポーランド):1950年のズゴジェレツ条約により暫定的に承認。1990年に国境線に関する最終確認条約により解決。
- ドイツ:1989年のベルリンの壁崩壊により後日、東ドイツが西ドイツに吸収される形で東西統一。
- ロッコール島:イギリス領であり、アイルランドやアイスランドが領有権を主張していたがイギリスが島としての主張を取り下げ、岩であると認めることによって紛争を解決。
- オーランド諸島:元はスウェーデン領であったが、紆余曲折を経て1922年にフィンランドへの帰属が確定。島民らはスウェーデン帰属を強く訴えていたが、大幅な自治権が認められたため現状維持の意見が多数となる。スウェーデンへの復帰も認められている。
南アメリカ
- コーン諸島:カリブ海にあるニカラグアの島だが、1914年のブライアン・チャモロ条約により、アメリカが99年間の租借権を獲得した。しかし、何時しかアメリカは島を放置し、1971年にブライアン・チャモロ条約を破棄し、ニカラグアに返還した。
- スワン諸島:1856年にグアノ島法により、アメリカが領有した。1920年にホンジュラスが領有を主張し、1971年にアメリカはホンジュラスにこの島を譲渡した。
- サンアンドレス島とプロビデンシア島:コロンビアに属する島だがニカラグアが領有を主張していた。1991年にコロンビアの憲法改正により、ニカラグアは両島のコロンビアの統治権を認めた。
アジア
- 北海道(日本・ソ連)[要出典] :1798年から1807年にかけて江戸幕府が天領蝦夷地とし併合(併合範囲には樺太、千島列島をも含む)。1869年には明治政府が北海道として編入した。第二次世界大戦末期、ヤルタ会談での極東密約(ヤルタ協定)により、ルーズベルトはスターリンに千島列島と樺太の領有を認める見返りにソ連の参戦を促す。広島、長崎への原爆の投下成功を背景として、ポツダム宣言受諾の際に後任のトルーマンは翻言して千島列島のソ連による領有を認めない事とし、それに対抗してスターリンは千島列島と北海道の北半分の割譲を要求し南樺太と千島列島から侵攻を開始。停戦は兵力不足と、スタフカからの指令による。背景には、ソ連自身が(日ソ中立条約を一方的に破棄し)ポツダム宣言へ参加し攻撃を開始した事があり、侵攻は日本の降伏文書調印まで継続された。なお、日ソ共同宣言により表面上は戦争状態の終結が謳われた一方で南樺太や北方領土含む千島列島の領有を既成事実化する動きは、ソ連解体後のロシア連邦に至るまで一貫して見られている。
- ペドラ・ブランカ島(マレーシア名、バトゥ・プティ島)(Pedra Branca):シンガポールとマレーシアが領有を主張していたが、2008年、国際司法裁判所がシンガポールに帰属すると判断した。
- 休戦オマーン土侯国(イギリス保護国)とマスカット・オマーンの境界線問題:休戦オマーン側がアラブ首長国連邦 (UAE) として独立することとなり、一応は決着をみた。但し、互いが内地で隣り合うサウジとの境界線は依然として未確定の状況。
- イエメン:冷戦崩壊の影響を受け、南北イエメンが統一。
- ラフハジュイマ:イラクとサウジアラビアとの間にかつてあった中立地帯。
- アウジャ:イスラエルとエジプトとの間にかつてあった中立地帯。
- ベトナム:1975年、北ベトナムに支援された南ベトナム解放民族戦線が南ベトナムを武力制圧し、翌年南が北に吸収される形で南北統一。
- カッチ大湿地:インド、グジャラート地方の湿地。かつて、インドとパキスタンがそれぞれ領有を主張していたが、第二次印パ戦争後の1968年にインドが90%、パキスタンが10%を領有することで解決[19]。
- 中ソ国境紛争:中華人民共和国とソビエト連邦の間を流れるウスリー川の中州である珍宝島(ロシア名は「ダマンスキー島」)及び黒瞎子島(ロシア名は「大ウスリー島」)などの領有をめぐる紛争。2008年に最終解決した。
アフリカ
国際司法により解決した領土紛争
特設仲裁裁判所
- 「クリッパートン島事件」(フランス対メキシコ1931年判決)
常設仲裁裁判所
- 「パルマス島事件」(アメリカ対オランダ1928年判決)
常設国際司法裁判所
- 「東部グリーンランド事件」(デンマーク対ノルウェー1933年)
国際司法裁判所
- 「マンキエ・エクレオ諸島事件」(イギリス対フランス、判決1953年)
- 「国境地区の主権に関する事件」(ベルギー対オランダ1959年)
- 「プレア・ビヘア寺院事件」(カンボジア対タイ1962年)
- 「国境紛争事件」(ブルキナファソ対マリ1986年)
- 「陸地、島および海の境界紛争に関する事件」(エルサルバドル対ホンジュラス1992年)
- 「領土紛争事件」(リビア対チャド1994年)
- 「カシキリ/セドゥドゥ島事件」(ボツワナ対ナミビア1999年)
- 「カタールとバーレーンとの間の海洋境界画定及び領土問題に関する事件」(2001年)
- 「カメルーン・ナイジェリア間の領土・海洋境界画定事件」(2002年)
- 「リギタン島およびシパダン島の主権に関する事件」(インドネシア対マレーシア2002年)
- 「国境紛争事件」(ベニン対ニジェール2005年)
- 「ニカラグアとホンジュラスの間のカリブ海における領土及び海洋紛争」(2007年)
- 「ペドラブランカ/プラウバトゥプテ、中央岩及び南暗礁に対する主権」(マレーシア対シンガポール2008年)
- 「黒海海洋境界画定事件」(ルーマニア対ウクライナ2009年)
凍結している領土問題
- 南極大陸:南極における領有権主張の一覧を参照。 フランス、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、イギリス、ノルウェー、ニュージーランド、ブラジル、ドイツ等が南極大陸における領有権主張(特に英仏爾3国は海外領土の属領として領有主張)を行っていたが、南極条約によって領有権は凍結された。ただし領有権自体を否定したわけではないので、将来的に領土問題が再燃する可能性はある。また、オーストラリアやアルゼンチンのように今も南極における領土主張に意欲を見せている国もある。
「県境」の領土問題
日本国内において、県境が定まらずもめることも、「領土問題」ということがある。蔵王連峰(蔵王県境裁判)や中海など[20]。
富士山の山頂は静岡県と山梨県が所有を争った末、「県境を定めない」と、敢えて未確定としている[21][22]。
脚注
- ^ 【プーチン支配】「露のクリミア」誇示/一体化へ陸空路を整備「領土」否定発言で服役『読売新聞』朝刊2018年2月25日(国際面)。
- ^ 塚本 孝『国際法から見た竹島問題』(PDF)2008年10月26日、pp. 3-9.頁 。2008年11月9日閲覧。
- ^ title of peaceful and continuous display of State authority
- ^ 塚本 孝『国際法から見た竹島問題』(PDF)2008年10月26日、pp. 3-9.頁 。2008年11月9日閲覧。
- ^ 日本に対しオーストラリアが提訴した南極海捕鯨事件など
- ^ 高野雄一編『判例研究 国際司法裁判所』東京大学出版会 1965、横田喜三郎『国際判例研究 第一』有斐閣 1933
- ^ 塚本 孝『国際法から見た竹島問題』(PDF)2008年10月26日、pp. 3-9.頁 。2008年11月9日閲覧。
- ^ 外務省:パンフレット「われらの北方領土2012年版」
- ^ ロシア側の主張:日本語パンフレット「クリル列島(千島列島)はロシアの領土である」 国後島ユジノクリリスク郷土博物館発行。
- ^ 日本の立場は、放棄対象は「得撫島以北の北千島」に限るとしている。
- ^ 1952年(昭和27年)3月20日、アメリカ合衆国上院
- ^ 外務省:「北方領土に関するQ&A(関連質問)」
- ^ 『週刊ポスト』2012年10月26日号
- ^ Ugyen Penjore (14 January 2010). “Joint field survey next on agenda” (英語). Kuensel Newspaper. 2011年11月21日閲覧。
- ^ http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bhutan/kankei.html 最近のブータン情勢と日本・ブータン関係 日本外務省
- ^ 河添恵子「中国に侵蝕されるブータン王国」『月刊WiLL』、ワック・マガジンズ、2010年11月。 [要ページ番号]
- ^ 詳細はイギリス領インド洋地域を参照。
- ^ チャゴス諸島の英領編入は違法 「統治終結を」と国際司法裁判所 共同通信、2019年2月26日配信。
- ^ Indo-Pakistan international border₋[1]
- ^ 「日本全国『県境』の謎」ISBN 978-4-408-10712-7
- ^ なぜ富士山頂に境界がないのか? - 富士山NET(山梨日日新聞社)
- ^ 富士山頂の住所は静岡県? 山梨県知事が国土地理院に「誤解与える」と是正求める - J-CASTニュース(2014/6/4)
文献情報
- 「国際法から見た竹島問題」塚本孝(国立国会図書館参事、平成20年度「竹島問題を学ぶ」講座第5回講義録2008.10.26) (PDF)