コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「上流階級」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m -{{sakujo}}
編集の要約なし
タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集
18行目: 18行目:


=== 上級国民 ===
=== 上級国民 ===
「一般の国民」の対義語として「上級国民」という語も存在し、これは一般人の理解を超えた言動をする[[政治家]]・[[専門家]]・[[官僚]]等を指す{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。「上級国民」という語は一般的には普及しないながらも、[[大正時代]]から複数名により造語として使われていたが{{Sfn|今井|1978|pp=181-182}}<ref>『職業指導』8巻2号</ref>、[[2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム]]([[ロゴ]])が[[著作権]]を侵害しているという疑惑以降、急速に広まった{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。[[2015年]]9月1日にオリンピック大会組織委員は、エンブレムの白紙撤回を表明した上で、著作権侵害ではないが一般の国民から理解を得られないと述べた{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。この発言を受け、報道やインターネット上の言論等では「一般の人の感覚や理解を超えたもの」として反発が広まった{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。『大正思想集』1巻(1978年)には、「限られた範囲の国民」について「上級国民と云うて置かう」とあり、「[[君主]]の任命に係る者」と同列に「上級国民の指定に係る者」が並べられている{{Sfn|今井|1978|pp=181-182}}。
「一般の国民」の対義語として「上級国民」という語も存在し、これは一般人の理解を超えた言動をする[[政治家]]・[[専門家]]・[[官僚]]等を指す{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。「上級国民」という語は一般的には普及しないながらも、[[大正時代]]から複数名により造語として使われていたが{{Sfn|今井|1978|pp=181-182}}<ref>『職業指導』8巻2号</ref>、[[2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム]]([[ロゴ]])が[[著作権]]を侵害しているという疑惑や、2019年4月19日元官僚である飯塚幸三が引き起こした池袋暴走事故以降、急速に広まった{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。[[2015年]]9月1日にオリンピック大会組織委員は、エンブレムの白紙撤回を表明した上で、著作権侵害ではないが一般の国民から理解を得られないと述べた{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。この発言を受け、報道やインターネット上の言論等では「一般の人の感覚や理解を超えたもの」として反発が広まった{{Sfn|朝日新聞出版|2015}}。『大正思想集』1巻(1978年)には、「限られた範囲の国民」について「上級国民と云うて置かう」とあり、「[[君主]]の任命に係る者」と同列に「上級国民の指定に係る者」が並べられている{{Sfn|今井|1978|pp=181-182}}。


清多英羽によれば、[[教育学]]で「上級国民」の語が使われている{{sfn|清多|2018|p=33}}。「[[貧民]]と上級国民」という対立構図において、[[ペスタロッチ]]は貧民教育を重視した{{sfn|清多|2018|p=33}}。一方で[[フィヒテ]]は、国民全体への教育を提案し{{sfn|清多|2018|p=33}}、「われわれに重圧を加えているすべての災禍からわれわれを救うことができるのは教育のみである」等と論究した{{sfn|清多|2018|p=37}}。
清多英羽によれば、[[教育学]]で「上級国民」の語が使われている{{sfn|清多|2018|p=33}}。「[[貧民]]と上級国民」という対立構図において、[[ペスタロッチ]]は貧民教育を重視した{{sfn|清多|2018|p=33}}。一方で[[フィヒテ]]は、国民全体への教育を提案し{{sfn|清多|2018|p=33}}、「われわれに重圧を加えているすべての災禍からわれわれを救うことができるのは教育のみである」等と論究した{{sfn|清多|2018|p=37}}。

2019年12月17日 (火) 06:09時点における版

上流階級(じょうりゅうかいきゅう、Upper class)は、社会的に上層に位置する階層から成る階級

概要

近代以前は貴族を中心とした土地農業利害が主体であったが、近代以降は、次第に金融利害へと重心を移していった。中流階級労働者階級と違いその構成は血縁・姻戚関係による高い同質性を持つことが多く、子孫に特権的な地位を継承することが可能である。

殆どの先進国では共和制であることから法的な身分としての上流階級は解体されたが、イギリス王制であることから、依然として上流階級としての爵位を持つ貴族・ジェントルマン階級は健在である。なお、同じイギリス領でもカナダオーストラリアニュージーランドには貴族がいない。

またアメリカの様な貴族制度の存在しない国でも、富豪であり政治家を多数輩出した、ロックフェラー家ブッシュ家ケネディ家などに代表されるように、別の意味での上流階級の存在が顕著な場合もある。

日本

旧華族・旧宮家

日本の場合、日本国憲法施行により華族士族制度、王公族制度が廃止され(貴族制度を認めない日本国憲法第14条)、法的に裏打ちされた貴族制度は消滅した。皇籍を離脱した旧宮家関係者からなる菊栄親睦会や、旧華族関係者からなる霞会といった団体が存在し、旧華族・旧宮家の系統が現在でも大きな富や社会的威信を隠然と持っている。特に男性皇族の「お妃選び」では、旧華族令嬢が候補に挙がることが多い。

皇室は、絶大な社会的権威を維持しているが、敗戦後のGHQによる皇室財産接収や日本国憲法第8条及び第88条による財産権の制限を受けている[要出典]

上級国民

「一般の国民」の対義語として「上級国民」という語も存在し、これは一般人の理解を超えた言動をする政治家専門家官僚等を指す[1]。「上級国民」という語は一般的には普及しないながらも、大正時代から複数名により造語として使われていたが[2][3]2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムロゴ)が著作権を侵害しているという疑惑や、2019年4月19日元官僚である飯塚幸三が引き起こした池袋暴走事故以降、急速に広まった[1]2015年9月1日にオリンピック大会組織委員は、エンブレムの白紙撤回を表明した上で、著作権侵害ではないが一般の国民から理解を得られないと述べた[1]。この発言を受け、報道やインターネット上の言論等では「一般の人の感覚や理解を超えたもの」として反発が広まった[1]。『大正思想集』1巻(1978年)には、「限られた範囲の国民」について「上級国民と云うて置かう」とあり、「君主の任命に係る者」と同列に「上級国民の指定に係る者」が並べられている[2]

清多英羽によれば、教育学で「上級国民」の語が使われている[4]。「貧民と上級国民」という対立構図において、ペスタロッチは貧民教育を重視した[4]。一方でフィヒテは、国民全体への教育を提案し[4]、「われわれに重圧を加えているすべての災禍からわれわれを救うことができるのは教育のみである」等と論究した[5]

イギリス

歴史的にイギリスの上流階級は貴族と身分的にはジェントリ(平民地主)によって構成されてきたため、地主貴族(landed aristocracy)あるいはジェントルマン階級とも呼ばれる。イギリスは二院制の国だが、貴族の代表からなる貴族院と平民地主の代表である庶民院というのがその始まりである。19世紀に選挙法改正が進んだが地主優位は変わらず、結局、ジェントルマンたちは16世紀ごろから20世紀初頭まで事実上の支配階級としてイギリス社会に影響を及ぼし、スクワイアラーキー(地主支配体制)と呼ばれる体制を築いていた。地代・株式などの不労所得を重視したため、製造過程と関連の深い産業資本家を排斥したものの、地主だけでなく大貿易商や国教会高位聖職者、内科医、高級軍人、銀行家などを時代とともに体制に取り込んできたことと、支配階級としての正当性を示すために積極的に責務を務め、犠牲を払うという建前を維持できたことが体制維持に寄与したと言われる。積極的に従軍したことが裏目に出て、第一次世界大戦を境に衰退。ただし支配階級ではないものの、現在でも伝統の担い手としての上流階級は健在である。

ドイツ

長年、東部ドイツではユンカーと呼ばれる地主貴族が治めてきた。エルベ川以東に領地を持つ中世騎士たちが直接に農地経営に乗り出すようになったことに始まる。彼らは領地内に直営農地「騎士領ドイツ語版」を所有して自身もそこで暮らすというグーツヘルシャフト(Gutsherrschaft)と呼ばれる領地経営を行うようになった。また農民に賦役を課し、さらに領主裁判権警察権を行使することで農民を強力に支配した。領主が地代取得者にすぎず、直接に農地経営しないグルントヘルシャフトと呼ばれる領地経営を行い、領主裁判権も持たない西部ドイツの貴族とは対照的な存在であり、農地が豊かな東部ドイツ特有の貴族であった[6]

ユンカーは、18世紀以降にはプロイセン王国の貴族階級の中心になり、プロイセンの将校官僚を独占するようになった[7]

第二次世界大戦後、東部ドイツを占領したソ連赤軍が徹底的な農地改革を行った結果、ユンカーも完全に解体された[8]

脚注

  1. ^ a b c d 朝日新聞出版 2015.
  2. ^ a b 今井 1978, pp. 181–182.
  3. ^ 『職業指導』8巻2号
  4. ^ a b c 清多 2018, p. 33.
  5. ^ 清多 2018, p. 37.
  6. ^ 林(1993) p.74-75
  7. ^ 望田(1979) p.20
  8. ^ 世界大百科事典(1988年版)「ユンカー」の項目

参考文献

  • アンソニー・ギデンズ『社会学 第四版』松尾精文他訳、而立書房、2006年
  • 清多, 英羽「フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』の国民教育論の展開:ペスタロッチ受容の内実」『青森中央短期大学研究紀要 = The journal of Aomori ChŨo Junior College』第31巻、青森中央短期大学 幼児保育学科、2018年3月、23-38頁。 
  • Scott,John. Marshall,Gordon.ed. Dictionary of Sociology(Third Edition). Oxford UP:Oxford. 2005

関連項目