「別件逮捕」の版間の差分
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* 福岡高判[[1986年|昭和61年]][[4月28日]]([[高隈事件]]) |
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* 大阪高裁判決[[2009年|平成21年]][[3月3日]] |
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: 求人情報誌を持っていたのに「職業に就く意思がないままうろついた」として[[軽犯罪法]]違反容疑で[[奈良県警察|奈良県警]]に[[現行犯逮捕]]され、その2分後、[[覚醒剤]]使用で別件の[[覚 |
: 求人情報誌を持っていたのに「職業に就く意思がないままうろついた」として[[軽犯罪法]]違反容疑で[[奈良県警察|奈良県警]]に[[現行犯逮捕]]され、その2分後、[[覚醒剤]]使用で別件の[[覚醒剤取締法]]違反容疑で逮捕・[[起訴]]された男性の控訴審で、[[大阪高等裁判所]]は2009年[[3月3日]]、懲役3年の[[奈良地方裁判所]]の一審判決を破棄して[[無罪]]を言い渡した。[[大阪高等裁判所]]の古川博裁判長は、浮浪(軽犯罪法違反)容疑での逮捕は「働く能力がありながら職業に就く意思がない」とする軽犯罪法の要件を満たさず違法と認定し、覚醒剤使用については「'''違法な別件逮捕中に収集された証拠で無効'''」と判断した<ref>[http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009030301000794.html 就活中なのに浮浪犯?「覚せい剤」の男性に無罪(山陽新聞、2009年3月3日)]</ref>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2020年4月22日 (水) 07:44時点における版
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
別件逮捕(べっけんたいほ)とは、本件取調べ目的で、逮捕の要件を満たす他の事件(別件、通常は本件より軽微な事件)について被疑者を逮捕すること。またはそのための手法のこと。同様の目的・手法で勾留する場合は別件勾留と呼ぶ。また、捜索・差押えがなされる場合は別件捜索(別件差押え)と呼ばれる。
解説
刑事事件において被疑者の身柄を長期間確保し捜査や取調べを進めるにあたり刑事訴訟法の定める被疑者の勾留期限を延長させるために、または被疑者の口封じを狙っている人物の存在が明らかな場合や被疑者が自殺などを図りかねない状況の際に被疑者の安全を確保するために、本件と関係性の薄い微罪事件を立件して逮捕することが行われることがある(#事例)。こうした手法には、見込み捜査や冤罪が発生しやすいやり方として非難する意見もある。
理論的問題
別件による逮捕・勾留そのものの可否(「本件基準説」対「別件基準説」)、および余罪取調べの限界(限定説 対 非限定説)の2つの論点に関し、逮捕前置主義・事件単位の原則の理解や、取調べや勾留質問の法的性質にもからんで、さまざまな見解が対立しており一致を見ない。以下では簡略化したものを述べる。
- 本件基準説
- 本件についての逮捕・勾留の可否を問題にし、逮捕勾留を要件を欠いた違法なものとし、それを利用した取調べによって得られた証拠は違法と評価する見解。ただし逮捕・勾留の法上の目的には取調べは含まれないと解されるため、違法と評価するためにはそれなりの理論構成が必要である。
- 別件基準説
- あくまで別件についての逮捕・勾留の可否を問題にする見解。別件については逮捕・勾留の要件は具備しているため、逮捕・勾留は適法なものとなる。ただし、法定の逮捕期間を潜脱して本件を取り調べる目的が捜査機関にあったなどの理由で、取調べ自体が違法と評価されれば、その取調べによって得られた証拠はやはり違法と評価される(違法収集証拠排除法則)。ただし、本件基準説においても、逮捕・勾留の裁判そのものを取り消すことまでは主張しない。
事例
以下の判例がある。
- 求人情報誌を持っていたのに「職業に就く意思がないままうろついた」として軽犯罪法違反容疑で奈良県警に現行犯逮捕され、その2分後、覚醒剤使用で別件の覚醒剤取締法違反容疑で逮捕・起訴された男性の控訴審で、大阪高等裁判所は2009年3月3日、懲役3年の奈良地方裁判所の一審判決を破棄して無罪を言い渡した。大阪高等裁判所の古川博裁判長は、浮浪(軽犯罪法違反)容疑での逮捕は「働く能力がありながら職業に就く意思がない」とする軽犯罪法の要件を満たさず違法と認定し、覚醒剤使用については「違法な別件逮捕中に収集された証拠で無効」と判断した[1]。