「サロメ (戯曲)」の版間の差分
m Category:芸術におけるセクシャリティを除去; Category:芸術におけるセクシュアリティを追加 (HotCat使用) |
m Bot作業依頼: 森鷗外への記事名変更に伴う変更 - log |
||
15行目: | 15行目: | ||
|初演 = リューニュ・ ポエ一座公演<br />[[1896年]] ルーブル座 |
|初演 = リューニュ・ ポエ一座公演<br />[[1896年]] ルーブル座 |
||
|受賞 = |
|受賞 = |
||
|訳者 = [[森 |
|訳者 = [[森鷗外]]、[[日夏耿之介]] |
||
|portal1 = 文学 |
|portal1 = 文学 |
||
|portal2 = 舞台芸術 |
|portal2 = 舞台芸術 |
||
32行目: | 32行目: | ||
== 日本語訳 == |
== 日本語訳 == |
||
『サロメ』を初めて日本語に翻訳したのは[[森 |
『サロメ』を初めて日本語に翻訳したのは[[森鷗外]]で、以後21世紀に至るまで[[日夏耿之介]]や[[佐々木直次郎]]、[[楠山正雄]]や[[若月紫蘭]]、そして[[内藤濯]]ら多くの翻訳者により日本語訳が出版された。 |
||
:[[福田恆存|福田恒存]]訳([[岩波文庫]])、[[西村孝次]]訳([[新潮文庫]])が著名。新訳版は[[平野啓一郎]]訳([[光文社古典新訳文庫]])。日夏耿之介訳は「院曲サロメ」で新版刊行。 |
:[[福田恆存|福田恒存]]訳([[岩波文庫]])、[[西村孝次]]訳([[新潮文庫]])が著名。新訳版は[[平野啓一郎]]訳([[光文社古典新訳文庫]])。日夏耿之介訳は「院曲サロメ」で新版刊行。 |
||
2020年6月18日 (木) 10:59時点における版
サロメ Salomé | |
---|---|
オーブリー・ビアズリーによるイラストレーション(1894) | |
作者 | オスカー・ワイルド |
国 | フランス |
言語 | フランス語 |
ジャンル | 戯曲 |
幕数 | 1幕 |
初出情報 | |
初出 | 1891年 |
刊本情報 | |
刊行 | 1893年 |
初演情報 | |
公演名 |
リューニュ・ ポエ一座公演 1896年 ルーブル座 |
日本語訳 | |
訳者 | 森鷗外、日夏耿之介 |
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術 |
『サロメ』(Salomé)は、オスカー・ワイルドの戯曲。新約聖書を元にした内容。1891年にフランス語で書かれ、1893年にパリで出版された。1894年に出版された英訳版ではオーブリー・ビアズリーの挿画が使用されている[1]。英訳したのはワイルドの同性の恋人だったアルフレッド・ダグラスであるが、出来が悪く、ワイルド本人が翻訳を修正している[1]。内容の背徳性から禁止令が出て、イギリスでは1931年まで上演できなかった[2]。
女優サラ・ベルナールのために書かれたと噂されるが、ワイルド自身はこれを否定している[2]。
日本で最初にこの戯曲でサロメ役を演じたのは松井須磨子である。1913年(大正2年)12月、島村抱月の芸術座による帝国劇場での上演だった。1960年(昭和35年)4月と、1971年(昭和46年)2月には、三島由紀夫の演出(1971年 は三島の死により和久田誠男の演出補)で上演されている[3]。
あらすじ
ユダヤの王エロドは、自分の兄である前王を殺し妃を奪い今の座に就いた。妃の娘である王女サロメに魅せられて、いやらしい目を彼女に向ける。その視線に堪えられなくなったサロメは、宴の席をはずれて、預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)が閉じ込められている井戸に向かう。預言者は不吉な言葉を喚き散らして、妃から嫌がられている。預言者との接触は王により禁じられているのだが、サロメは色仕掛けで見張り番であるシリアの青年に禁を破らせて、預言者を見てしまう。そして彼に恋をするのだが、預言者のほうは彼女の忌まわしい生い立ちをなじるばかりである。愛を拒まれたサロメはヨカナーンに口づけすると誓う。
エロドはサロメにしつこくダンスをしろと要求し、何でも好きなものをほうびにとらせると約束する。サロメはこれに応じて7つのヴェールの踊りを踊り、返礼としてエロドにヨカナーンの首を所望する。預言者の力を恐れて断るエロドだが、サロメは聞き入れない。あきらめたエロドはヨカナーンの首をサロメにとらせる。銀の皿にのって運ばれてきたヨカナーンの唇にサロメが口づけし、恋を語る。これを見たエロドはサロメを殺させる。
日本語訳
『サロメ』を初めて日本語に翻訳したのは森鷗外で、以後21世紀に至るまで日夏耿之介や佐々木直次郎、楠山正雄や若月紫蘭、そして内藤濯ら多くの翻訳者により日本語訳が出版された。
- 福田恒存 訳『サロメ』岩波書店〈岩波文庫〉、改版2000年。
- 西村孝次 訳『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇』新潮社〈新潮文庫〉、改版2005年。
- 平野啓一郎 訳『サロメ』光文社〈光文社古典新訳文庫〉、2012年。
- 日夏耿之介 訳『院曲 サロメ』沖積舎、2004年。
- 旧訳版の題名は『院曲撒羅米』(蘭台山房、1938年/東出版、1977年)
参考書籍
- 井村君江『「サロメ」の変容』(新書館、1990年)…『サロメ』がどのように受容されてきたかを分析した。三島由紀夫が岸田今日子を主演に演出したときのことが、書かれている。当時の関係者(三島、岸田を含む)の座談会付き。芥川龍之介の未発表原稿に『サロメ』をアレンジした作品があった事も記す。
- 井村君江『サロメ図像学』(あんず堂、2003年)… 続編でモローやクリムト他250点余の図像を読み解いた。
- 工藤庸子『サロメ誕生 フローベール/ワイルド』(新書館、2001年)…オリエンタリズムの見地からの作品論と、併せてフローベール『ヘロディア』、『サロメ』の新訳を収録。
日本での上演
映画
- ケン・ラッセルのサロメ 1987年
- 監督:ケン・ラッセル
- 出演:グレンダ・ジャクソン
- ※『サロメ』は劇中劇となっていて、外枠として戯曲の作者オスカー・ワイルドのエピソードが語られる。
脚注
参考文献
- オスカー・ワイルド 著、福田恆存 訳『サロメ』(改)岩波文庫、2000年5月。ISBN 978-4003224526。 初版は1959年1月
- 佐藤秀明; 井上隆史; 山中剛史 編『決定版 三島由紀夫全集42巻 年譜・書誌』新潮社、2005年8月。ISBN 978-4106425820。
関連項目
- サロメ (オペラ)……リヒャルト・シュトラウス作曲。福田恆存による岩波文庫の解説によると、ドイツ語訳をもとにしたこちらのほうが大きな成功をおさめ、オリジナルの上演のほうは芳しくない、とのこと。データ的な比較は難しいが、オペラ版は今日も毎年各地の歌劇場で上演され、各時代にLP、CD、LD、DVDとそれぞれ何種類も発売されている。
- ユダヤ属州