コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「角椀漱」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
Cewbot (会話 | 投稿記録)
9行目: 9行目:
気味悪く思った長者は、次に武士が椀を借りに来た時に一計を案じ、膳に縫い針を刺して貸し出した。するとそれきり、武士が現れることはなかった。主人はまた人を雇ってあの池を見に行かせたところ、水中には顔が椀の化け物がいたということだった。それ以来、長者たちは決してその池に近づかないようにしたという。
気味悪く思った長者は、次に武士が椀を借りに来た時に一計を案じ、膳に縫い針を刺して貸し出した。するとそれきり、武士が現れることはなかった。主人はまた人を雇ってあの池を見に行かせたところ、水中には顔が椀の化け物がいたということだった。それ以来、長者たちは決してその池に近づかないようにしたという。


この妖怪譚は妖怪漫画家・[[水木しげる]]の著書『水木しげるの憑物百怪』にあるものだが<ref>{{Cite book|和書|author=[[水木しげる]]|title=水木しげるの憑物百怪|year=1995|publisher=[[学研ホールディングス|学習研究社]]|isbn=978-4-05-400514-3|pages=104-105頁}}</ref>、一次出典となる古典などの名称は挙げられていない。美濃にはこの妖怪譚と酷似した「椀借り武士」という伝説があり、あらすじはほとんど同一だが、池に椀の化け物がいたとの記述はない<ref>{{Cite book|和書|author=[[谷小波]]編纂|title=大語園|year=1978|publisher=名著普及会|series=|volume=第9巻|pages=771頁}}</ref>。
この妖怪譚は妖怪漫画家・[[水木しげる]]の著書『水木しげるの憑物百怪』にあるものだが<ref>{{Cite book|和書|author=[[水木しげる]]|title=水木しげるの憑物百怪|year=1995|publisher=[[学研ホールディングス|学習研究社]]|isbn=978-4-05-400514-3|pages=104-105頁}}</ref>、一次出典となる古典などの名称は挙げられていない。美濃にはこの妖怪譚と酷似した「椀借り武士」という伝説があり、あらすじはほとんど同一だが、池に椀の化け物がいたとの記述はない<ref>{{Cite book|和書|author=[[谷小波]]編纂|title=大語園|year=1978|publisher=名著普及会|series=|volume=第9巻|pages=771頁}}</ref>。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2020年7月3日 (金) 06:16時点における版

参考 : 鳥山石燕百器徒然袋』にある妖怪「角盥漱」。水木しげるの著書では角椀漱の解説の挿絵としてこの画が用いられている。

角椀漱(つのわんすき)は、美濃国岐阜県)の妖怪譚。

あらすじ

その昔、ある年の盆のこと。ある長者のもとを、山奥に住むという武士が訪ね、客を招待するといって20人前の膳椀の借用を申し入れた。長者は相手が武士なので断ったときのことを恐れ、椀を貸した。しかし椀が返却されることはなく、それどころか毎年お盆のたびに武士は椀を借りに来た。

不思議に思った長者は、人を雇って武士の後を追わせた。武士は山奥の池にやって来て、椀を抱えて水の中へと姿を消した。武士を追っていた者は驚きながら長者の元に帰り、事の次第を伝えた。

気味悪く思った長者は、次に武士が椀を借りに来た時に一計を案じ、膳に縫い針を刺して貸し出した。するとそれきり、武士が現れることはなかった。主人はまた人を雇ってあの池を見に行かせたところ、水中には顔が椀の化け物がいたということだった。それ以来、長者たちは決してその池に近づかないようにしたという。

この妖怪譚は妖怪漫画家・水木しげるの著書『水木しげるの憑物百怪』にあるものだが[1]、一次出典となる古典などの名称は挙げられていない。美濃にはこの妖怪譚と酷似した「椀借り武士」という伝説があり、あらすじはほとんど同一だが、池に椀の化け物がいたとの記述はない[2]

関連項目

  • 椀貸伝説」-日本各地に伝わる伝承。宴会など大量の膳や椀が必要な際、特定のや岩穴、古墳に願えば、何者かが願いどおりに人数分の膳や椀を貸してくれた。だが不心得者が椀を返さなかったので、それ以降は貸してくれなくなった、という話。

脚注

  1. ^ 水木しげる『水木しげるの憑物百怪』学習研究社、1995年、104-105頁頁。ISBN 978-4-05-400514-3 
  2. ^ 巖谷小波編纂『大語園』 第9巻、名著普及会、1978年、771頁頁。