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「Parallel Thread Execution」の版間の差分

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== レジスタ ==
== レジスタ ==
PTXは、任意の大きさの[[レジスタ (コンピュータ)#レジスタセット|レジスタセット]]を使用する。コンパイラからの出力は、ほぼ純粋な単一代入形式である。通常、連続したレジスタを参照する連続した命令列を伴っている。プログラムは以下の形式の宣言で始まる。
PTXは、任意の大きさの[[レジスタ (コンピュータ)#レジスタセット|レジスタセット]]を使用する。コンパイラからの出力は、ほぼ純粋な単一代入形式である。通常、連続したレジスタを参照する連続した命令列を伴っている。プログラムは以下の形式の宣言で始まる。
<source lang="asm">
<syntaxhighlight lang="asm">
.reg .u32 %r<335>; // 符号なし32bit整数型の335個のレジスタを宣言する。
.reg .u32 %r<335>; // 符号なし32bit整数型の335個のレジスタを宣言する。
</syntaxhighlight>
</source>


PTXは、最大で3つの引数を持つアセンブリ言語である。そして、ほとんど全ての命令は、命令が操作するデータのデータ型を(符号とデータ幅によって)明示するために命令の右にデータ型を並べて書く。レジスタ名は、先頭に%文字を付ける。そして、定数はそのまま書く。以下に例を示す。
PTXは、最大で3つの引数を持つアセンブリ言語である。そして、ほとんど全ての命令は、命令が操作するデータのデータ型を(符号とデータ幅によって)明示するために命令の右にデータ型を並べて書く。レジスタ名は、先頭に%文字を付ける。そして、定数はそのまま書く。以下に例を示す。
<source lang="asm">
<syntaxhighlight lang="asm">
shr.u64 %rd14, %rd12, 32; // %rd12の符号なし64bit整数を32bit右シフトする。結果は%rd14に入る。
shr.u64 %rd14, %rd12, 32; // %rd12の符号なし64bit整数を32bit右シフトする。結果は%rd14に入る。
cvt.u64.u32 %rd142, %r112; // 符号なし32bit整数を64bitへ変換する。
cvt.u64.u32 %rd142, %r112; // 符号なし32bit整数を64bitへ変換する。
</syntaxhighlight>
</source>


プレディケートレジスタもある(命令を実行するかどうかを決める条件を格納するレジスタ)。しかし、{{要出典範囲|date=2019-06|シェーダーモデル1.0でコンパイルされたコードは、分岐命令のときだけプレディケートレジスタを使用する}}。条件分岐は以下のようになる。
プレディケートレジスタもある(命令を実行するかどうかを決める条件を格納するレジスタ)。しかし、{{要出典範囲|date=2019-06|シェーダーモデル1.0でコンパイルされたコードは、分岐命令のときだけプレディケートレジスタを使用する}}。条件分岐は以下のようになる。
<source lang="asm">
<syntaxhighlight lang="asm">
@%p14 bra $label; // $labelへ分岐
@%p14 bra $label; // $labelへ分岐
</syntaxhighlight>
</source>


<code>setp.cc.type</code>命令は、適切な型の2つのレジスタを比較した結果をプレディケートレジスタに格納する。<code>set</code>命令も存在する。<source lang="asm" inline>set.le.u32.u64 %r101, %rd12, %rd28</source>というコードは、もしも64bitレジスタ <code>%rd12</code> が64bitレジスタ <code>%rd28</code> よりも小さい、あるいは等しいならば、32bitレジスタ <code>%r101</code> へ <code>0xffffffff</code> を格納する。さもなければ、<code>%r101</code>は、<code>0x00000000</code> を格納される。
<code>setp.cc.type</code>命令は、適切な型の2つのレジスタを比較した結果をプレディケートレジスタに格納する。<code>set</code>命令も存在する。<syntaxhighlight lang="asm" inline>set.le.u32.u64 %r101, %rd12, %rd28</syntaxhighlight>というコードは、もしも64bitレジスタ <code>%rd12</code> が64bitレジスタ <code>%rd28</code> よりも小さい、あるいは等しいならば、32bitレジスタ <code>%r101</code> へ <code>0xffffffff</code> を格納する。さもなければ、<code>%r101</code>は、<code>0x00000000</code> を格納される。


疑似レジスタを意味する少数の定義済み識別子がある。他にも <code>%tid, %ntid, %ctaid</code> そして <code>%nctaid</code> は、それぞれスレッドのインデックス、ブロックの次元、ブロックのインデックス、そして、グリッドの次元を格納している<ref name="ptx-isa">{{cite web2|url=http://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/3_1/toolkit/docs/ptx_isa_2.3.pdf|title=PTX ISA Version 2.3|publisher=}}</ref>。
疑似レジスタを意味する少数の定義済み識別子がある。他にも <code>%tid, %ntid, %ctaid</code> そして <code>%nctaid</code> は、それぞれスレッドのインデックス、ブロックの次元、ブロックのインデックス、そして、グリッドの次元を格納している<ref name="ptx-isa">{{cite web2|url=http://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/3_1/toolkit/docs/ptx_isa_2.3.pdf|title=PTX ISA Version 2.3|publisher=}}</ref>。
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共有メモリは下記のようにしてPTXファイルの中で宣言される。
共有メモリは下記のようにしてPTXファイルの中で宣言される。
<source lang="nasm">
<syntaxhighlight lang="nasm">
.shared .align 8 .b8 pbatch_cache[15744]; // 8バイト境界にアラインされた 15,744 bytes を定義する。
.shared .align 8 .b8 pbatch_cache[15744]; // 8バイト境界にアラインされた 15,744 bytes を定義する。
</syntaxhighlight>
</source>
<!-- mov.u64 %rd9, pbatch_cache;
<!-- mov.u64 %rd9, pbatch_cache;
Shared memory is generally addressed via a kernel-global pointer set up at the start of the kernel by
Shared memory is generally addressed via a kernel-global pointer set up at the start of the kernel by

2020年7月5日 (日) 23:11時点における版

Parallel Thread Execution (PTX あるいは NVPTX[1]) は、NVIDIACUDAプログラミング環境で使用されるGPU用の疑似アセンブリ言語である。nvccコンパイラは、C言語/C++の独自拡張であるCUDA C/C++で書かれたコードのうち、GPU上で実行されるデバイスコードをPTXに翻訳する。そしてグラフィックスドライバは、PTXをGPUのプロセッシングコア上で実行されるバイナリコードに翻訳するコンパイラを搭載している。中間表現であるPTXを利用することで、演算能力や機能 (compute capability: CC) および設計思想の異なるハードウェア上で共通して動作するCUDAプログラムを記述したり[2]、ドライバが生成するバイナリコードを実行環境に応じて最適化したりすることが容易になる。

レジスタ

PTXは、任意の大きさのレジスタセットを使用する。コンパイラからの出力は、ほぼ純粋な単一代入形式である。通常、連続したレジスタを参照する連続した命令列を伴っている。プログラムは以下の形式の宣言で始まる。

.reg .u32 %r<335>;            // 符号なし32bit整数型の335個のレジスタを宣言する。

PTXは、最大で3つの引数を持つアセンブリ言語である。そして、ほとんど全ての命令は、命令が操作するデータのデータ型を(符号とデータ幅によって)明示するために命令の右にデータ型を並べて書く。レジスタ名は、先頭に%文字を付ける。そして、定数はそのまま書く。以下に例を示す。

shr.u64 %rd14, %rd12, 32;     // %rd12の符号なし64bit整数を32bit右シフトする。結果は%rd14に入る。
cvt.u64.u32 %rd142, %r112;    // 符号なし32bit整数を64bitへ変換する。

プレディケートレジスタもある(命令を実行するかどうかを決める条件を格納するレジスタ)。しかし、シェーダーモデル1.0でコンパイルされたコードは、分岐命令のときだけプレディケートレジスタを使用する[要出典]。条件分岐は以下のようになる。

@%p14 bra $label;             // $labelへ分岐

setp.cc.type命令は、適切な型の2つのレジスタを比較した結果をプレディケートレジスタに格納する。set命令も存在する。set.le.u32.u64 %r101, %rd12, %rd28というコードは、もしも64bitレジスタ %rd12 が64bitレジスタ %rd28 よりも小さい、あるいは等しいならば、32bitレジスタ %r1010xffffffff を格納する。さもなければ、%r101は、0x00000000 を格納される。

疑似レジスタを意味する少数の定義済み識別子がある。他にも %tid, %ntid, %ctaid そして %nctaid は、それぞれスレッドのインデックス、ブロックの次元、ブロックのインデックス、そして、グリッドの次元を格納している[3]

状態空間

ロード (ld) とストア (st) 命令は、複数の明確な状態空間(メモリバンク)の一つを参照する。 例えば、ld.paramの場合、状態空間.paramを参照している。

8つの状態空間が存在する[3]

  • .reg : レジスタ
  • .sreg : 特別な読み取り専用のプラットフォーム固有のレジスタ
  • .const : 共有された読み取り専用のメモリ
  • .global : 全てのスレッドから共有されるグローバルメモリ
  • .local : それぞれのスレッドだけに属するローカルメモリ
  • .param : カーネル[4]に渡すパラメーター
  • .shared : 1つのブロックの中の複数のスレッドの間で共有されるメモリ
  • .tex : グローバルテクスチャメモリ(廃止予定)

共有メモリは下記のようにしてPTXファイルの中で宣言される。

.shared .align 8 .b8 pbatch_cache[15744]; // 8バイト境界にアラインされた 15,744 bytes を定義する。

PTXでカーネル関数を書くことは、CUDA Driver APIを経由してPTXモジュールを明示的に登録することを要求する。このことは、CUDA Runtime APIとNVIDIAのCUDAコンパイラであるnvccを使うよりもやっかいなことになることが多い。GPU Ocelot プロジェクトは、CUDA Runtime APIのカーネル呼び出し機能と一緒にPTXモジュールを登録するAPIを提供したが、GPU Ocelot は、もはや積極的にメンテナンスされていない[5]

関連項目

出典

  1. ^ "User Guide for NVPTX Back-end — LLVM 7 documentation". llvm.org. {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明)
  2. ^ コンピュータアーキテクチャの話(350) NVIDIAの世代別GPUに見るハードウェアの違い | マイナビニュース
  3. ^ a b "PTX ISA Version 2.3" (PDF). {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明)
  4. ^ GPU内に存在する複数のCUDAコア上で並列実行される処理を記述した関数をカーネル (kernel) と呼ぶ。ストリーム・プロセッシングで用いられる用語であり、OpenCLなどでも使われている。
  5. ^ "Google Code Archive - Long-term storage for Google Code Project Hosting". code.google.com. {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明)

外部リンク