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「鬼谷子」の版間の差分

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鬼谷は[[淮陽区|陳]]([[楚 (春秋)|楚]]の地)の人であるが、[[田斉|斉]]の[[稷下の学士]]であったかどうかは不明であり、専門といえば、国際外交のような謀略である。学問というよりは、術のようなものに属していた。
鬼谷は[[淮陽区|陳]]([[楚 (春秋)|楚]]の地)の人であるが、[[田斉|斉]]の[[稷下の学士]]であったかどうかは不明であり、専門といえば、国際外交のような謀略である。学問というよりは、術のようなものに属していた。


『[[史記]]』によると、鬼谷は[[縦横家]]の[[蘇秦]]と[[張儀]]の師とされる。『孫龐演義』という[[大衆小説|通俗小説]]では、[[孫ピン|孫臏]]と[[龐涓]]の師としている。しかし、鬼谷個人の伝はなく、その存在が疑われている。また、『鬼谷子』の名は『[[隋書]]』「[[経籍志]]」に初めて見え、『[[漢書]]』「[[芸文志]]」には見えないため、後人の仮託とする者もある。だが、『漢書』「芸文志」に『蘇子』の名があるが、『隋書』「経籍志」にその名が見えないことから、[[欧陽脩]]のように、『鬼谷子』を蘇秦の作と考える者もいる。それに、鬼谷子には物語のような話が多いことから、近代の擬古派史家の中には、前記のような鬼谷子を蘇秦の作とすることから発展し、鬼谷も蘇秦も存在しなかった、という説がある。おそらく鬼谷子の物語のような要素は、後の時代の人が創り出したとも考えられる。
『[[史記]]』によると、鬼谷は[[縦横家]]の[[蘇秦]]と[[張儀]]の師とされる。『孫龐演義』という[[大衆小説|通俗小説]]では、[[孫臏]]と[[龐涓]]の師としている。しかし、鬼谷個人の伝はなく、その存在が疑われている。また、『鬼谷子』の名は『[[隋書]]』「[[経籍志]]」に初めて見え、『[[漢書]]』「[[芸文志]]」には見えないため、後人の仮託とする者もある。だが、『漢書』「芸文志」に『蘇子』の名があるが、『隋書』「経籍志」にその名が見えないことから、[[欧陽脩]]のように、『鬼谷子』を蘇秦の作と考える者もいる。それに、鬼谷子には物語のような話が多いことから、近代の擬古派史家の中には、前記のような鬼谷子を蘇秦の作とすることから発展し、鬼谷も蘇秦も存在しなかった、という説がある。おそらく鬼谷子の物語のような要素は、後の時代の人が創り出したとも考えられる。


[[道教]]では鬼谷子を「古の真仙」とみなし、人間界で100歳あまり生き、その後は分からないとしている。本の『鬼谷子』は道教の経典『[[道蔵]]』に保存されている。民間の伝説では鬼谷子は[[占い]]師の開祖であり、道教では鬼谷子を玄都仙長と尊称する。
[[道教]]では鬼谷子を「古の真仙」とみなし、人間界で100歳あまり生き、その後は分からないとしている。本の『鬼谷子』は道教の経典『[[道蔵]]』に保存されている。民間の伝説では鬼谷子は[[占い]]師の開祖であり、道教では鬼谷子を玄都仙長と尊称する。

2020年8月26日 (水) 08:47時点における版

『鬼谷子』(きこくし)は、中国戦国時代に鬼谷(鬼谷子)によって書かれたとされる書。遊説の方法について書かれている。

概要

鬼谷はの地)の人であるが、稷下の学士であったかどうかは不明であり、専門といえば、国際外交のような謀略である。学問というよりは、術のようなものに属していた。

史記』によると、鬼谷は縦横家蘇秦張儀の師とされる。『孫龐演義』という通俗小説では、孫臏龐涓の師としている。しかし、鬼谷個人の伝はなく、その存在が疑われている。また、『鬼谷子』の名は『隋書』「経籍志」に初めて見え、『漢書』「芸文志」には見えないため、後人の仮託とする者もある。だが、『漢書』「芸文志」に『蘇子』の名があるが、『隋書』「経籍志」にその名が見えないことから、欧陽脩のように、『鬼谷子』を蘇秦の作と考える者もいる。それに、鬼谷子には物語のような話が多いことから、近代の擬古派史家の中には、前記のような鬼谷子を蘇秦の作とすることから発展し、鬼谷も蘇秦も存在しなかった、という説がある。おそらく鬼谷子の物語のような要素は、後の時代の人が創り出したとも考えられる。

道教では鬼谷子を「古の真仙」とみなし、人間界で100歳あまり生き、その後は分からないとしている。本の『鬼谷子』は道教の経典『道蔵』に保存されている。民間の伝説では鬼谷子は占い師の開祖であり、道教では鬼谷子を玄都仙長と尊称する。

構成

全23篇。

  1. 捭闔
  2. 反応
  3. 内揵
  4. 抵巇
  5. 飛箝
  6. 忤合
  7. 符言
  8. 転丸(失われた)
  9. 胠乱(失われた)
  10. 盛神法五龍
  11. 養志法霊亀
  12. 実意法螣蛇
  13. 分威法伏熊
  14. 散勢法鷙鳥
  15. 転圓法猛獣
  16. 損兌法霊蓍
  17. 持枢
  18. 中経

翻訳

  • Hui Wu, Guiguzi, China's First Treatise on Rhetoric: A Critical Translation and Commentary, Southern Illinois Univ Press, 2016.

参考文献

  • 大橋武夫著『鬼谷子:国際謀略の原典を読む』(徳間書店、1982年) ISBN 4192425963
  • 酒井洋著『鬼谷子の人間学:孫子が超えられなかった男:より巧みに生きる縦横学的発想のすすめ』(太陽企画出版、1993年) ISBN 488466213X
  • 佐藤仁「鬼谷子について」(『九州大学大学院人文科学研究院哲学年報』18、1955年)
  • 緒方優子「「鬼谷子」考:史書の記録と伝説」(『筑紫語文』13、2004年)
  • 陳舜臣『中国の歴史2⃣ 大統一時代 漢王朝の光と影』(東洋印刷/凸版印刷/大口製本印刷、1986年)124ページ