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「ITビジョン」の版間の差分

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アナログテレビを対象としたデータ多重放送としては日本国内で最初にサービスを開始し、番組連動データ放送のほか、テレビ番組とは連動しない独立データ放送や、放送波を用いずに電話回線のみで情報を送受信するオンラインサービスも実施した。この他[[文字多重放送|テレビジョン文字多重放送]]、[[ファクシミリ]]、[[携帯電話]]と連動したサービスの提供や、受信機を地方自治体の情報端末として利用する実験も行われた<ref>{{Cite web |url=http://www.toshiba.co.jp/about/press/1998_07/pr_j1601.htm |title=ITビジョンを用いた地域情報化支援システム用の端末機の開発について |publisher= 東芝 |date=1998-07-16 |accessdate=2014-03-10}}</ref>。
アナログテレビを対象としたデータ多重放送としては日本国内で最初にサービスを開始し、番組連動データ放送のほか、テレビ番組とは連動しない独立データ放送や、放送波を用いずに電話回線のみで情報を送受信するオンラインサービスも実施した。この他[[文字多重放送|テレビジョン文字多重放送]]、[[ファクシミリ]]、[[携帯電話]]と連動したサービスの提供や、受信機を地方自治体の情報端末として利用する実験も行われた<ref>{{Cite web |url=http://www.toshiba.co.jp/about/press/1998_07/pr_j1601.htm |title=ITビジョンを用いた地域情報化支援システム用の端末機の開発について |publisher= 東芝 |date=1998-07-16 |accessdate=2014-03-10}}</ref>。


しかし受信機や放送局が限られたため普及はせず、[[ISDB]]方式による[[デジタルテレビ放送]]の開始により同等のサービスが提供されたこと、さらに[[インターネット]]の普及に伴い役割を終え、WOWOWでは[[日本における衛星放送#BSデジタル|BSデジタル放送]]開始の[[2000年]]に放送を終了した。テレビ東京でも[[日本の地上デジタルテレビ放送|地上デジタルテレビ放送]]の開始に合わせ独立データ放送を[[2003年]]10月に、連動データ放送も2003年12月に終了した。
しかし受信機や放送局が限られたため普及はせず、[[ISDB]]方式による[[デジタルテレビ放送]]の開始により同等のサービスが提供されたこと、さらに[[インターネット]]の普及に伴い役割を終え、WOWOWでは[[日本における衛星放送#BSデジタル放送|BSデジタル放送]]開始の[[2000年]]に放送を終了した。テレビ東京でも[[日本の地上デジタルテレビ放送|地上デジタルテレビ放送]]の開始に合わせ独立データ放送を[[2003年]]10月に、連動データ放送も2003年12月に終了した。


== 受信方法とチューナー ==
== 受信方法とチューナー ==

2021年4月13日 (火) 10:10時点における版

ITビジョン(アイティービジョン, IT Vision)は、1996年から2003年[1]にかけて日本国内で実施されたアナログテレビ向けデータ放送の規格および愛称である。この名はInter Text(インターテキスト)の頭文字から取られた。東芝を中心とした団体により規格化され、テレビ東京系列の一部とWOWOWで放送が行われた。

解説

テレビ東京では1996年10月から放送を開始し、系列局のテレビ大阪では1997年6月から、テレビ愛知では1997年12月から、TVQ九州放送では1999年4月から順次放送を開始した。ただしテレビ北海道テレビせとうちでは実施されなかった。このほかWOWOWでも1998年4月から放送が開始された。

ITビジョンは既存のテレビ放送と通信網の利用、リモコンによる容易な操作を両立させた双方向テレビの実現を目的に開発された。アメリカ合衆国のウィンク・コミュニケーションズ社による開発技術の流用、表示対象機器は一般のテレビ受像機とすること、テレビ番組との連動・補完を主目的としたデータ番組の送信および電話回線を用いた双方向通信への対応を特徴とした[2]。ITビジョン向けデータ放送は垂直帰線区間の10番目から13番目 (10H-13H) へ重畳され、テレビ放送とともに送信された。データ番組制作や受信データの運営管理には東芝の関連会社メディアサーブが関わった。

東芝は単体のITビジョンチューナーを発売するとともに、ほぼ全ての多機能型ワイドテレビ、ハイビジョンテレビへITビジョンチューナーを組み込み、2000年まで新モデルの開発・販売を継続した。東芝以外には松下電器産業ソニー日本ビクターも対応受信機を発売した。この中には東芝のOEM供給品も含まれた。

アナログテレビを対象としたデータ多重放送としては日本国内で最初にサービスを開始し、番組連動データ放送のほか、テレビ番組とは連動しない独立データ放送や、放送波を用いずに電話回線のみで情報を送受信するオンラインサービスも実施した。この他テレビジョン文字多重放送ファクシミリ携帯電話と連動したサービスの提供や、受信機を地方自治体の情報端末として利用する実験も行われた[3]

しかし受信機や放送局が限られたため普及はせず、ISDB方式によるデジタルテレビ放送の開始により同等のサービスが提供されたこと、さらにインターネットの普及に伴い役割を終え、WOWOWではBSデジタル放送開始の2000年に放送を終了した。テレビ東京でも地上デジタルテレビ放送の開始に合わせ独立データ放送を2003年10月に、連動データ放送も2003年12月に終了した。

受信方法とチューナー

ITビジョンチューナーのリモコン。

ITビジョンを視聴するには手持ちのテレビにITビジョンチューナーを接続するか、ITビジョンチューナーを内蔵したテレビを用意する必要があった。受信機にはテレビ放送を受信するためのアンテナ、さらに双方向サービスを利用するために電話回線を接続した。

受信機は地上テレビ放送を受信するためのVHF/UHFテレビチューナー、双方向機能に対応するためのモデム、受信したデータを蓄積するためのメモリを内蔵し、アンテナ入力端子、さらに単体チューナーではテレビ受像機への映像音声出力端子、外部チューナーやビデオデッキなどからの映像音声入力端子を備える。すべての受信機には固有のIDナンバーが振られており、双方向サービスを利用する際にはIDナンバーとともに住所、氏名などの個人情報をハガキやオンライン経由によりメディアサーブへ登録する必要があった。

受信機のリモコンにはITビジョンの受信・視聴を開始するためのITメニューボタンとiボタン、項目を選択・決定するためのカーソルボタン・決定ボタン・Aボタン・Bボタン、ITビジョンからテレビ放送へ戻るための終了ボタン、データ番組内や機器設定で数値を入力するための数字ボタンが用意された。

ITビジョンの規格はテレビジョン文字多重放送を応用、拡張したもの[4]で、ITビジョン受信機はテレビジョン文字多重放送の受信機能も備えた。東芝はITビジョンサービス終了にあわせITビジョン機能を省いた文字放送チューナーを新発売した[5]

初期モデルの受信機では搭載メモリが最低限のため、新たな情報を閲覧するたびに読み込みおよび待ち時間が発生する欠点があった。この問題はメモリを増量した新型受信機の開発・販売により解決が図られた[6][7]

サービスの内容

テレビ電波または電話回線を通じて受信したデータはITビジョンチューナーにより処理・蓄積され、文字や単純な画像としてテレビ画面に表示される。視聴者はリモコンのITメニューボタンを押し、希望のサービスや情報をカーソルボタンで選択し、決定ボタンを押すことにより情報を閲覧できた。アンケートの回答など視聴者側からのデータは電話回線を通じてメディアサーブへ送信された。この形式は後に開始されたデジタルテレビにおけるデータ放送と類似する。

ITビジョンではテレビ番組との連動の有無、データの受信方法によりサービスは3種に分けられた。サービス実施期間中に名称が変更されたため、それぞれ2つの名称を持つ。WOWOWでは連動ITサービスによる番組連動・補完情報のみ提供され、独立ITサービスは実施されなかった。

連動ITサービス・番組ITサービス
放送中のテレビ番組と連動したデータを放送波に乗せて提供するサービス。映画・ドラマの内容解説や旅番組で登場した場所の詳細な問合せ先など、テレビ番組を補完する情報を提供した。番組によっては電話回線による双方向機能を活用し、クイズなどのゲーム、投票やプレゼントの応募受付も実施された。
連動番組をITビジョン受信機で視聴した場合には画面隅へ「i」マークが表示され、リモコンのiボタンを押すことによりすぐに連動ITサービスを受信・視聴することができた。
独立ITサービス・情報ITサービス
テレビ番組とは独立した各種の情報を放送波に乗せて提供するサービス。情報は放送局ごとに異なり、天気予報株価占い、番組情報の他、じゃんけんやクイズ、迷路などのごく単純なゲームが提供された。
オンラインITサービス・ネットITサービス
電話回線を経由して接続したサーバからデータを引き出す形式の通信サービス。メディアサーブが運営し、ITビジョンの放送地域外からも利用可能であった。キャプテンシステムに類似するが費用は通話料のみで、情報料はかからない。このサービスでは独立ITサービスと同内容のゲームや、日本全国を対象とした通信販売などのサービスが提供された。

連動番組の例

脚注

参考文献

関連項目