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「MPC (パーソナルコンピュータ)」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
[[アーキテクチャ]]を[[アップル (企業)|アップル]]の[[Macintosh]]シリーズと共用する、所謂[[Macintosh互換機]]である。[[オペレーティングシステム|OS]]も[[Mac OS]]が実装された状態で出荷されていた。[[日本]]国内のメーカが製造したMac互換機としては、アキアMicroBook Powerシリーズとともに販売されていた。
[[アーキテクチャ]]を[[Apple]]の[[Macintosh]]シリーズと共用する、所謂[[Macintosh互換機]]である。[[オペレーティングシステム|OS]]も[[Mac OS]]が実装された状態で出荷されていた。[[日本]]国内のメーカが製造したMac互換機としては、アキアMicroBook Powerシリーズとともに販売されていた。


MPCシリーズは実際に搭載されるロジックボード([[マザーボード]])もApple製で、アップルが当時販売していたMacintoshの製品と同じ物が使用されている。
MPCシリーズは実際に搭載されるロジックボード([[マザーボード]])もApple製で、アップルが当時販売していたMacintoshの製品と同じ物が使用されている。

2021年5月20日 (木) 12:02時点における版

PIONEER MPCシリーズ(えむぴーしー~)とは、かつてパイオニア株式会社が製造・販売していたパーソナルコンピュータの製品群である。

概要

アーキテクチャAppleMacintoshシリーズと共用する、所謂Macintosh互換機である。OSMac OSが実装された状態で出荷されていた。日本国内のメーカが製造したMac互換機としては、アキアMicroBook Powerシリーズとともに販売されていた。

MPCシリーズは実際に搭載されるロジックボード(マザーボード)もApple製で、アップルが当時販売していたMacintoshの製品と同じ物が使用されている。 キーボードは単体販売も行われた、パイオニアオリジナルのメカニカルスイッチを利用したUS配列のものを添付していた。

セールスポイントはオーディオ機器メーカであるパイオニアらしい、ダイナミックスピーカとアンプを本体に内蔵した点である。音源本体はアップル製Macとまったく同じだが、はるかに高品位なオーディオ再生が可能で、Quick TimeなどMacが当時既に持っていた音楽・映像再生能力を特に強化した形になる。当時パソコンの音響出力は、MIDIシーケンサのヘビーユーザーを除けば、簡易的な内蔵スピーカーか、ヘッドホンステレオ用と同等のアンプ内蔵型スピーカーがほとんどであった。

MPCとはMultimedia Personal Computerの略である。初代に当たるMPC-LX100とMPC-GX1は、1995年7月に発表された。

このうちMPC-LX100とLX200は、廉価ラインのMacのロジックボードを流用したことから、ハードディスクCD-ROMIDEの物を採用しており、図らずもPower Macintosh G3(Gossamer)以降の設計理念を先取りした形になっている。

なおMPCシリーズに印字されるパイオニアの社標はすべて旧ロゴ(1998年まで使用されていたもの)である。

MPC-LX100

MPCシリーズの普及機として位置づけられたモデルである。

Performa588のロジックボードを流用しているが、CPUはMotorola 68040 33MHzを搭載しており(Performa588のCPUはFPU省略版の68LC040)、Motorola 68000系CPU搭載のMacとしてはQuadra800などの上位機種と同等に位置する。なお、このロジックボードは後に68k Macの最後を飾るLC630にも搭載されており、文献によって本機をLC630ベースとするものがあるのはこの為である。

ディスプレイ一体型Performaのロジックボードを搭載しているため、拡張性は高くないが、Quadra / Centris600系で採用されたPDSブリッジボードによるNuBusスロット1基が使用可能になっている(これは下記のGX1とそのオリジナルであるPower Macintosh6100の設計を持ち越したものである)。その他に、Macintosh CSスロット、PDSスロット各1が開けられている。

本機は、発売されたMac互換機としては最初で最後の68000系CPU搭載機となった。

MPC-GX1

MPCシリーズの、初期の上位機として発売されたモデルである。

Power Macintosh6100シリーズのロジックボードを流用している。この為、きょう体デザインはLX100と共通だが、本体内及び背面のレイアウトは大きく異なる。CPUも6100と同じPowerPC601 66MHzを搭載。Macとしての性能はPower Macintosh 6100/66AVに相当する。反面、AVカード標準搭載の状態であるため、NuBusスロットは設けられていない。

起動音は、Power Macintosh 8100/7100/6100シリーズ同様のギターによる「パーン」というものであった。

後にPowerPC601 80MHzに強化したMPC-GX1LIMITEDが発売されている。この80MHzのロジックボードは6100をベースとしつつもMPC専用に製造されたもので、同じCPUを搭載するPower Macintosh 7100/80や同8100/80よりも僅かに高速であった。

MPC-LX200

第2世代のMPCとして、1996年7月に発売されたモデルである。外観の意匠はLX100とほぼ同等だが、エントリーとハイエンドの差別化をやめ、低廉かつ高性能というきわめて日本的な構成に移行した。

Performa6200系のロジックボードを元に、ベースクロックを30MHzから40MHzに高速化した上で、CPUにPowerPC603e 100MHzを搭載。拡張性は、PDSスロットが空きである分、GX1よりは自在度が上がっている。またAV機能はS映像端子のみだったGX1に対してコンポジットビデオ出力端子、オーディオ入力端子付となった。

基本モデル、TVチューナー内蔵モデルに加え、640MB MOドライブを搭載したモデルの3タイプがラインアップされていた。

シリーズの終焉

幻の機体・MPC-GX2

本家Appleのロジックボード流用ではなく、CHRP準拠とした専用設計の機体に、240MHz以上のPower PC 604eを搭載したハイエンドマシンの開発に乗り出した。この機体はそれまでのMPCシリーズのコンセプトとはまったく異なり、デザインイメージは踏襲しつつもスピーカーは外付けとしたミニタワー機となった。

開発中の1997年5月ビジネスシヨウ'97 TOKYOにてMPC-GX2の形式名とともに発表された。

しかし、同年7月にアップルの暫定CEOに就任したスティーブ・ジョブズが、Mac互換機路線を失敗とし、新たに互換機用Mac OSのライセンスを発行しないことを発表した。ほぼ時を同じくして、Windows NT 5.0(後のWindows 2000)がインテルx86ベース以外のアーキテクチャをサポートしないことが明らかとなっていたため、他社のCHRP準拠Mac互換機同様、日の目を見ることなく開発中止となった。

その後

アップルによるライセンス発行停止の後、パイオニアはパソコン製造からは撤退した。

2020年現在もデバイスドライバやアップデートファイルのダウンロードが可能である。

外部リンク