「ベンダーロックイン」の版間の差分

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*[[NVIDIA]]社の[[CUDA]]や[[PhysX]]、それらを利用した[[TensorFlow]]などの[[ライブラリ]]。原則として同社の[[Graphics Processing Unit|GPU]]でしか利用できない。
*[[NVIDIA]]社の[[CUDA]]や[[PhysX]]、それらを利用した[[TensorFlow]]などの[[ライブラリ]]。原則として同社の[[Graphics Processing Unit|GPU]]でしか利用できない。
*[[Apple]]社の[[Lightning]]ケーブルやコネクタ類。似たような規格のUSB-typeCとは互換性がなく、同社が販売や認定(Made for iPhone や Made for iPadなど)するLightning規格の製品を使わないといけない。ケーブルやコネクタ内部に暗号化されたチップが組み込まれており、不正なチップでは充電やデータ通信をできなくするなど積極的に非認定品を排除する仕組みがある。
*[[Apple]]社の[[Lightning]]ケーブルやコネクタ類。似たような規格のUSB-typeCとは互換性がなく、同社が販売や認定(Made for iPhone や Made for iPadなど)するLightning規格の製品を使わないといけない。ケーブルやコネクタ内部に暗号化されたチップが組み込まれており、不正なチップでは充電やデータ通信をできなくするなど積極的に非認定品を排除する仕組みがある。
*[[Apple]]社の[[Metal (API)|Metal]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]。従来から使われてきた[[クロスプラットフォーム]]なグラフィックス/コンピュートAPIの[[OpenGL]]/[[OpenGL ES]]/[[OpenCL]]は[[macOS Mojave]]および[[IOS (Apple)|iOS]] 12で非推奨となり、アプリケーション開発者はMetalへ移行することが求められているが、必要となる変更は些細なものではなく<ref>{{cite news|url=https://support.foundry.com/hc/ja/articles/360000024240-Q100421 |title=Q100421:AppleがMac OS 10.14でOpenGLとOpenCLを非推奨にしました(Mojave)|publisher=Foundry|language=|date=2020-01-24}}</ref>、また既存の[[デバイスドライバー]]の新規格対応や機能追加、不具合修正が見込めないことなどから、アップルプラットフォームのサポート継続を断念したり<ref>{{cite news|url=https://knowledge.autodesk.com/ja/support/alias-products/troubleshooting/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/Discontinuation-of-Mac-Support-for-Autodesk-Alias-and-VRED.html |title=Mac 版の Autodesk Alias および VRED の提供終了|publisher=Autodesk Knowledge Network|language=|date=2019-11-15}}</ref>、[[ハードウェアアクセラレーション]]機能を無効化したりするケースも出ている<ref>{{cite news|url=https://lists.blender.org/pipermail/bf-committers/2018-December/049695.html |title=&#x5b;Bf-committers&#x5d; Cycles: OpenCL on macOS has been disabled|language=en|publisher=|date=2018-12-07}}</ref>。
*[[Apple]]社の[[Metal (API)|Metal]] [[アプリケーションプログラミングインタフェース|API]]。従来から使われてきた[[クロスプラットフォーム]]なグラフィックス/コンピュートAPIの[[OpenGL]]/[[OpenGL ES]]/[[OpenCL]]は[[macOS Mojave]]および[[iOS (Apple)|iOS]] 12で非推奨となり、アプリケーション開発者はMetalへ移行することが求められているが、必要となる変更は些細なものではなく<ref>{{cite news|url=https://support.foundry.com/hc/ja/articles/360000024240-Q100421 |title=Q100421:AppleがMac OS 10.14でOpenGLとOpenCLを非推奨にしました(Mojave)|publisher=Foundry|language=|date=2020-01-24}}</ref>、また既存の[[デバイスドライバー]]の新規格対応や機能追加、不具合修正が見込めないことなどから、アップルプラットフォームのサポート継続を断念したり<ref>{{cite news|url=https://knowledge.autodesk.com/ja/support/alias-products/troubleshooting/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/Discontinuation-of-Mac-Support-for-Autodesk-Alias-and-VRED.html |title=Mac 版の Autodesk Alias および VRED の提供終了|publisher=Autodesk Knowledge Network|language=|date=2019-11-15}}</ref>、[[ハードウェアアクセラレーション]]機能を無効化したりするケースも出ている<ref>{{cite news|url=https://lists.blender.org/pipermail/bf-committers/2018-December/049695.html |title=&#x5b;Bf-committers&#x5d; Cycles: OpenCL on macOS has been disabled|language=en|publisher=|date=2018-12-07}}</ref>。
*[[Amazon Web Services]]や[[Google Cloud Platform]]などのOSが公開されていないクラウドプラットフォームのAPIを利用してシステム構築を行うと、他のクラウドプラットフォームやオンプレミス運用に切り替えるにはシステムの大規模改修が必要となるため、プラットフォーム事業者を乗り換えることが困難になる。この状態もまたベンダーロックインの一種であり、クラウドロックインと呼ばれる。
*[[Amazon Web Services]]や[[Google Cloud Platform]]などのOSが公開されていないクラウドプラットフォームのAPIを利用してシステム構築を行うと、他のクラウドプラットフォームやオンプレミス運用に切り替えるにはシステムの大規模改修が必要となるため、プラットフォーム事業者を乗り換えることが困難になる。この状態もまたベンダーロックインの一種であり、クラウドロックインと呼ばれる。
*[[Microsoft Azure]]は『Microsoft Azure Stack』を使えばオンプレミス運用が可能であり、クラウドロックインはされないが、マイクロソフト社のサービスや製品にはロックインされている。
*[[Microsoft Azure]]は『Microsoft Azure Stack』を使えばオンプレミス運用が可能であり、クラウドロックインはされないが、マイクロソフト社のサービスや製品にはロックインされている。

2021年5月23日 (日) 03:32時点における版

ベンダーロックイン: vendor lock-in)とは、特定ベンダー(メーカー)の独自技術に大きく依存した製品、サービス、システム等を採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品、サービス、システム等への乗り換えが困難になる現象のこと。

ベンダーロックインに陥った場合、製品、サービス、システム等を調達する際の選択肢が狭められる。価格が高騰してもユーザーはそれを買わざるを得ないため、コストが増大するケースが多い。また、市場の競争による恩恵を十分に受けられない可能性もある。

ベンダーロックインの例

  • 情報システムの開発・構築を曖昧な仕様でベンダーに発注した場合、出来上がった情報システムの正確な仕様が、システムを開発・構築したベンダーにしか解らなくなる場合がある。結果、システムの保守・拡張・改修等の際、現存システムを開発・構築したベンダーに引き続き発注せざるを得なくなる。
  • Microsoft WindowsiOSなどのオペレーティングシステム上(OS)で稼働するアプリケーションは開発したOS上でしか動作しない。異なったOSへの作り替えは可能であるが、低レベルなOSの機能を呼びだす設計であるほど困難になる。
  • ソフトウェアによるベンダーロックインの身近な例としては、オペレーティングシステム並びにオフィススイート市場で圧倒的なシェアを持つマイクロソフト社のMicrosoft WindowsMicrosoft Officeが挙げられる。豊富に流通しているアプリケーションソフトウェアの多くがWindows向けソフトウェアであり、Office製品で作成された文書やスプレッドシートを他者から受け取った際には、自らも同じソフトウェアを所持していなければファイルを開くことができないことからロックインの状態にあった。かつてはLotus 1-2-3や、日本国内においては一太郎がその地位にあった。2000年代に入ると特定のソフトウェアに依存しないオープンフォーマットが提唱されるようになったが、2020年現在においてもこれらオープンフォーマットが幅広く利用されるには至っておらず、ロックインの状態が続いている。かつてはウェブブラウザInternet Explorerもベンダーロックインだった。
  • カクテルのバカルディに使われるホワイトラムはバカルディ社が製造する物のみしか使ってはならないと判決が出ている。
  • リヒャルト・ワーグナーは楽譜でシンバルはジルジャン社の物を使用する事を指示している[1]
  • NVIDIA社のCUDAPhysX、それらを利用したTensorFlowなどのライブラリ。原則として同社のGPUでしか利用できない。
  • Apple社のLightningケーブルやコネクタ類。似たような規格のUSB-typeCとは互換性がなく、同社が販売や認定(Made for iPhone や Made for iPadなど)するLightning規格の製品を使わないといけない。ケーブルやコネクタ内部に暗号化されたチップが組み込まれており、不正なチップでは充電やデータ通信をできなくするなど積極的に非認定品を排除する仕組みがある。
  • Apple社のMetal API。従来から使われてきたクロスプラットフォームなグラフィックス/コンピュートAPIのOpenGL/OpenGL ES/OpenCLmacOS MojaveおよびiOS 12で非推奨となり、アプリケーション開発者はMetalへ移行することが求められているが、必要となる変更は些細なものではなく[2]、また既存のデバイスドライバーの新規格対応や機能追加、不具合修正が見込めないことなどから、アップルプラットフォームのサポート継続を断念したり[3]ハードウェアアクセラレーション機能を無効化したりするケースも出ている[4]
  • Amazon Web ServicesGoogle Cloud PlatformなどのOSが公開されていないクラウドプラットフォームのAPIを利用してシステム構築を行うと、他のクラウドプラットフォームやオンプレミス運用に切り替えるにはシステムの大規模改修が必要となるため、プラットフォーム事業者を乗り換えることが困難になる。この状態もまたベンダーロックインの一種であり、クラウドロックインと呼ばれる。
  • Microsoft Azureは『Microsoft Azure Stack』を使えばオンプレミス運用が可能であり、クラウドロックインはされないが、マイクロソフト社のサービスや製品にはロックインされている。

脚注

関連項目