「OpenCV」の版間の差分

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== 概要 ==
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[[画像処理]]・画像解析および[[機械学習]]等の機能を持つ[[C言語|C]]/[[C++]]、[[Java]]、[[Python]]、[[MATLAB]]用ライブラリ<ref>[https://opencv.org/about/ About | opencv.org]</ref>。[[プラットフォーム (コンピューティング)|プラットフォーム]]として[[macOS]]や[[FreeBSD]]等全ての[[POSIX]]に準拠した[[Unix系]][[オペレーティングシステム|OS]]、[[Linux]]、[[Microsoft Windows|Windows]]、[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]、[[IOS (Apple)|iOS]]等をサポートしている。
[[画像処理]]・画像解析および[[機械学習]]等の機能を持つ[[C言語|C]]/[[C++]]、[[Java]]、[[Python]]、[[MATLAB]]用ライブラリ<ref>[https://opencv.org/about/ About | opencv.org]</ref>。[[プラットフォーム (コンピューティング)|プラットフォーム]]として[[macOS]]や[[FreeBSD]]等全ての[[POSIX]]に準拠した[[Unix系]][[オペレーティングシステム|OS]]、[[Linux]]、[[Microsoft Windows|Windows]]、[[Android (オペレーティングシステム)|Android]]、[[iOS (Apple)|iOS]]等をサポートしている。


== 歴史 ==
== 歴史 ==

2021年5月23日 (日) 03:47時点における版

OpenCV
開発元 インテルWillow GarageItseez
最新版
4.5.2 / 2021年4月2日 (3年前) (2021-04-02)[1]
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
C++
対応OS Windows, Linux, FreeBSD, macOS, Android, iOS
プラットフォーム クロスプラットフォーム
対応言語 C/C++JavaPython
種別 ライブラリ
ライセンス OpenCV 4.4以前: 三条項BSDライセンス / OpenCV 4.5以降: Apache v2[2]
公式サイト opencv.org
テンプレートを表示

OpenCV(オープンシーヴィ、: Open Source Computer Vision Library)とはインテルが開発・公開したオープンソースコンピュータビジョン向けライブラリ[3]。2009年にWillow Garage(ウィロー・ガレージ)に開発が移管され、さらにその後Itseezにメンテナンスが移管されたが、2016年5月にインテルがItseezを買収することが発表された[4][5]

概要

画像処理・画像解析および機械学習等の機能を持つC/C++JavaPythonMATLAB用ライブラリ[6]プラットフォームとしてmacOSFreeBSD等全てのPOSIXに準拠したUnix系OSLinuxWindowsAndroidiOS等をサポートしている。

歴史

1999年にプロジェクト開始。最初のアルファ版が公開されたのは、国際会議CVPR 2000 (IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition 2000) である。2001年から2005年の間に5つのベータ版がリリースされた。1.0版がリリースされたのは2006年。

2008年にWillow Garageによるサポートを受け、開発状況が再び活発になった。2009年10月に2回目のメジャーバージョンアップが実施され、2.0版がリリースされた。OpenCV 2.4.4以降ではJavaが公式にサポートされている[7]。OpenCV 2.x系列は2018年2月に2.4.13.6がリリースされた後、メンテナンスされていない[1][8][9][10]

2015年6月に3回目のメジャーバージョンアップとしてOpenCV 3.0が正式リリースされた。OpenCV 3.0では従来のC言語関数形式のインターフェイスはレガシーAPI扱いとなりメンテナンスが終了しているため、代わりにC++ APIを使うことが推奨されている[11]。2015年12月にリリースされたOpenCV 3.1では、Google Summer of Code 2015の成果物の取り込みなど、多数の機能が追加されている[12]

2018年11月にOpenCV 4.0がリリースされた[13]C++11規格準拠コンパイラが必須となり、またC言語APIは廃止された。

2021年現在、OpenCV 3.x系列のメンテナンスと4.x系列の開発が続けられている。

機能

実装分野は次の通り。

OpenCVの機能はいくつかのライブラリモジュールに分割して実装されている。モノリシックな1ファイル(worldモジュール)にビルドすることも可能であるが[14]、通常は必要なものだけ個別のモジュールとしてビルドする。

ビデオ入出力モジュールではWebカメラに代表されるUVCデバイスを扱うことができる。モジュールをビルドする際に、サポートするバックエンドとしてFFmpegVideo4Linux英語版Video for WindowsDirectShowMedia FoundationOpenNI英語版などを選択することができる[15][16]

OpenCV 2.1[17]SSE拡張命令を使用した最適化コードが実装されている。OpenCV 3.0でIntel IPPのサブセットがIPPCVとして寄贈され、デフォルトで使用されるようになった[18]。そのほか、Intel TBBOpenMPを利用した並列化も実装されている。OpenCV 3.1ではクロスプラットフォームなSIMDアクセラレーションのためのUniversal Intrinsicsが導入され[19]、従来からのSSE (x86) 命令のサポートに加え、AVX (x86) 命令やNEON (ARM) 命令のサポートも加わっている。

OpenCV 2.2[20]CUDAを使ったアクセラレータであるgpuモジュール、OpenCV 2.4.3[21]OpenCLを使ったアクセラレータであるoclモジュールが追加された。gpuモジュールを有効にするためには、OpenCVをWITH_CUDA=ON構成でビルドする必要がある[22]。また、oclモジュールを有効にするためには、OpenCVをWITH_OPENCL=ON構成でビルドする必要がある[23]。なおOpenCV 2.4.11時点で、公式のWindows用ビルド済みバイナリではCUDAは有効にされていないが、OpenCLは有効にされている。またgpuモジュールおよびoclモジュールはともに、従来のCPUベースのOpenCV機能と比べて、対応するチャンネルフォーマットに関して制約がある。そのほか、gpuモジュールを使用するためには、CUDAに対応したNVIDIAGPUを、そしてoclモジュールを使用するためには、OpenCL 1.1に対応したハードウェアを用意する必要がある。

なお、OpenCV 3.0ではgpuモジュールはcudaモジュールに改称され、また独立したoclモジュールは廃止されてOpenCVの各モジュールに透過API (Transparent API, T-API) として分散・融合されている[24]。OpenCV 3.0にはOpenCLの相互運用を可能とするラッパーAPIも用意されており、OpenCL-C言語でカスタムカーネルを記述できるほか、OpenCL 1.2サポートを有効にしてOpenCVをビルドすることで、OpenCL 1.2対応のプラットフォームおよびデバイス上でOpenCL 1.2の機能(カーネルの分割コンパイル&リンクなど)を使えるようになる[25]。また、オプションとしてOpenCL 2.0もしくはAMD (HSA) 拡張のShared Virtual Memoryもサポートしている[26]

各種言語バインディング(ラッパー)

公式に提供されているOpenCV APIとして、C/C++用インターフェイスのほか、Java、Python、MATLABバインディングが存在するが、そのほかにも非公式の各種言語向けのラッパーが存在する。

  • Java用ラッパー
    • JavaCV - OpenCV, FFmpeg, libdc1394, PGR FlyCapture, OpenKinect, videoInput, ARToolKitPlus のラッパー。バージョン1.0でOpenCV 3.0に対応。GPL v2ライセンスとApacheライセンスに対応。

関連項目

参照

  1. ^ a b Releases | opencv.org
  2. ^ License - OpenCV
  3. ^ 橋本直「特集 拡張現実感 (AR) 基礎3: 開発用ツール」『情報処理』第51巻第4号、情報処理学会、2010年4月、382ページ。 
  4. ^ Intel Acquires Computer Vision for IOT, Automotive | Intel Newsroom
  5. ^ Intel acquires Itseez | opencv.org
  6. ^ About | opencv.org
  7. ^ Introduction to Java Development — OpenCV 2.4.13.0 documentation
  8. ^ OpenCV - Browse /opencv-win at SourceForge.net
  9. ^ Tags · opencv/opencv | GitHub
  10. ^ Releases · opencv/opencv | GitHub
  11. ^ OpenCV 3.0 Latest news and the Roadmap, Kirill Kornyakov, Itseez, ICVS 2013
  12. ^ OpenCV 3.1 | OpenCV
  13. ^ OpenCV 4.0 - OpenCV library
  14. ^ 第4回 初めてのOpenCV開発 ― Visual Studio/CMake/NuGetでプロジェクト作成【OpenCV 3.0/3.1】:OpenCV入門【3.0対応】(1/3 ページ) - @IT
  15. ^ OpenCV: Video I/O with OpenCV Overview”. docs.opencv.org. 2021年1月7日閲覧。
  16. ^ 第8回 初めてのOpenCV開発 ― CMakeを使ったOpenCVのカスタマイズ【OpenCV 3.1.0】:OpenCV入門【3.0対応】 - @IT
  17. ^ OpenCV2.0 から OpenCV2.1 の変更点(ChangeLog) | OpenCV.jp
  18. ^ OpenCV 3.0 | OpenCV
  19. ^ OpenCV: Universal intrinsics
  20. ^ OpenCV 2.2 Released - ROS robotics news
  21. ^ OpenCV 2.4.3 released | OpenCV
  22. ^ GPU Module Introduction — OpenCV 2.4.11.0 documentation
  23. ^ OpenCL Module Introduction — OpenCV 2.4.11.0 documentation
  24. ^ OpenCV: OpenCV modules
  25. ^ opencv/opencl_core.hpp at 3.0.0 · Itseez/opencv - GitHub
  26. ^ opencv/ocl.cpp at 3.0.0 · Itseez/opencv - GitHub

外部リンク