「サービス残業」の版間の差分
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「教育、学習支援業」の場合、教職員の長時間労働が背景にあり、持ち帰り残業も多いことも指摘されている<ref name="働きすぎ">{{Cite journal|author=高見 具広|title=第17回北東アジア労働フォーラム報告書 現代日本における「働きすぎ」の所在―健康と家庭生活の観点から― 労働時間とワーク・ライフ・バランス|journal=海外労働情|volume=20|issue=3|pages=19-44|publisher=[[独立行政法人]][[労働政策研究・研修機構]] |date=2020-03-31|language=日本語|url=https://www.jil.go.jp/foreign/report/2020/pdf/20-03_f02.pdf|accessdate=2020-04-29}}</ref>。更には、公立学校の場合、[[公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法|給特法]]により基本給の4%に当たる教職調整額を賃金として支払えば、何時間でも残業が可能である為、長時間労働やサービス残業が発生しやすいことも指摘されている<ref>{{Cite journal|author=萬井隆令|authorlink=萬井隆令|title=なぜ公立学校教員に残業手当がつかないのか (特集 その裏にある歴史)|journal=日本労働研究雑誌|volume=51|issue=4|pages=50-53|publisher=[[労働政策研究・研修機構]]|date=2009-04|language=日本語|url=https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/04/pdf/050-053.pdf|naid=40016583131|accessdate=2020-04-29}}</ref><ref name="働き方改革下のサービス残業">{{Cite report|author=星野 卓也|date=2018-02-23|title=働き方改革下のサービス残業時間|url=http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2017/hoshi180223.pdf|publisher=[[第一生命]]経済研究所|format=PDF|accessdate=2020-04-29}}</ref>。「飲食サービス業等」及び「生活関連サービス等」の場合は、人手不足だけでなく、[[非正規雇用|非正規社員]]の比率が高まりったことによる[[正社員]]の業務負担のしわ寄せや[[休日]]の取りずらさが背景にある<ref name="働きすぎ" /><ref name="働き方改革下のサービス残業" />。 |
「教育、学習支援業」の場合、教職員の長時間労働が背景にあり、持ち帰り残業も多いことも指摘されている<ref name="働きすぎ">{{Cite journal|author=高見 具広|title=第17回北東アジア労働フォーラム報告書 現代日本における「働きすぎ」の所在―健康と家庭生活の観点から― 労働時間とワーク・ライフ・バランス|journal=海外労働情|volume=20|issue=3|pages=19-44|publisher=[[独立行政法人]][[労働政策研究・研修機構]] |date=2020-03-31|language=日本語|url=https://www.jil.go.jp/foreign/report/2020/pdf/20-03_f02.pdf|accessdate=2020-04-29}}</ref>。更には、公立学校の場合、[[公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法|給特法]]により基本給の4%に当たる教職調整額を賃金として支払えば、何時間でも残業が可能である為、長時間労働やサービス残業が発生しやすいことも指摘されている<ref>{{Cite journal|author=萬井隆令|authorlink=萬井隆令|title=なぜ公立学校教員に残業手当がつかないのか (特集 その裏にある歴史)|journal=日本労働研究雑誌|volume=51|issue=4|pages=50-53|publisher=[[労働政策研究・研修機構]]|date=2009-04|language=日本語|url=https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/04/pdf/050-053.pdf|naid=40016583131|accessdate=2020-04-29}}</ref><ref name="働き方改革下のサービス残業">{{Cite report|author=星野 卓也|date=2018-02-23|title=働き方改革下のサービス残業時間|url=http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2017/hoshi180223.pdf|publisher=[[第一生命]]経済研究所|format=PDF|accessdate=2020-04-29}}</ref>。「飲食サービス業等」及び「生活関連サービス等」の場合は、人手不足だけでなく、[[非正規雇用|非正規社員]]の比率が高まりったことによる[[正社員]]の業務負担のしわ寄せや[[休日]]の取りずらさが背景にある<ref name="働きすぎ" /><ref name="働き方改革下のサービス残業" />。 |
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|+労働力調査(非農林業雇用者)と毎月勤労統計調査の労働時間<br />とその差(労働者1人当たり年間賃金不払い労働時間)及び比率(2000年以降) |
|+労働力調査(非農林業雇用者)と毎月勤労統計調査の労働時間<br />とその差(労働者1人当たり年間賃金不払い労働時間)及び比率(2000年以降) |
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! 年 !! 労働力調査<br />による<br />年間労働時間 !! 毎月勤労統計調査<br />による<br />総実労働時間 !! 賃金不払い<br />労働時間<br />(労調-勤調) !! 賃金不払い<br />労働時間<br />が占める割合 |
! 年 !! 労働力調査<br />による<br />年間労働時間 !! 毎月勤労統計調査<br />による<br />総実労働時間 !! 賃金不払い<br />労働時間<br />(労調-勤調) !! 賃金不払い<br />労働時間<br />が占める割合 |
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|+産業別労働者1人当たりの年間賃金不払い労働時間の推移(2007年以降) |
|+産業別労働者1人当たりの年間賃金不払い労働時間の推移(2007年以降) |
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! 年 !! 調 査 産 業 計 !! 鉱業、採石業等 !! 建設業 !! 製造業 !! 電気・ガス業 !!情報通信業!! 運輸業、郵便業 !! 卸売業、小売業 !! 金融業、保険業 !! 不動産・物品賃貸業 !! 学術研究等 !! 飲食サービス業等 !! 生活関連サービス等 !! 教育、学習支援業 !! 医療、福祉 !! 複合サービス事業 !! その他のサービス業 |
! 年 !! 調 査 産 業 計 !! 鉱業、採石業等 !! 建設業 !! 製造業 !! 電気・ガス業 !!情報通信業!! 運輸業、郵便業 !! 卸売業、小売業 !! 金融業、保険業 !! 不動産・物品賃貸業 !! 学術研究等 !! 飲食サービス業等 !! 生活関連サービス等 !! 教育、学習支援業 !! 医療、福祉 !! 複合サービス事業 !! その他のサービス業 |
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| 2020 || 302.9 || 189.3 || 210.4 || 226.5 || 193.2 || 220.5 || 257.2 || 249.4 || 293.6 || 112.6 || 213.5 || 414.8 || 366.3 || 420.8 || 255.0 || 218.2 || 181.3 |
| 2020 || 302.9 || 189.3 || 210.4 || 226.5 || 193.2 || 220.5 || 257.2 || 249.4 || 293.6 || 112.6 || 213.5 || 414.8 || 366.3 || 420.8 || 255.0 || 218.2 || 181.3 |
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|+産業別労働者1人当たりの年間総労働時間に占める年間賃金不払い労働時間の割合推移(2007年以降) |
|+産業別労働者1人当たりの年間総労働時間に占める年間賃金不払い労働時間の割合推移(2007年以降) |
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! 年 !! 調査産業 計 !! 鉱業、採石業等 !! 建設業 !! 製造 業 !! 電気・ ガス業 !! 情報通信業 !! 運輸業、郵便業 !! 卸売業、小売業 !! 金融業、保険業 !! 不動産・物品賃貸業 !! 学術研究 等 !! 飲食サービス業等 !! 生活関連サービス等 !! 教育、学習支援業 !! 医療、福 祉 !! 複合サービス事業 !! その他のサービス業 |
! 年 !! 調査産業 計 !! 鉱業、採石業等 !! 建設業 !! 製造 業 !! 電気・ ガス業 !! 情報通信業 !! 運輸業、郵便業 !! 卸売業、小売業 !! 金融業、保険業 !! 不動産・物品賃貸業 !! 学術研究 等 !! 飲食サービス業等 !! 生活関連サービス等 !! 教育、学習支援業 !! 医療、福 祉 !! 複合サービス事業 !! その他のサービス業 |
2021年8月8日 (日) 12:02時点における版
![]() | この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
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使用者(雇用主)が労働者が行う時間外労働に対し本来支払うべき賃金(日本の場合、労働基準法[一次資料 1]または就業規則(※労働基準法上、同法の規定基準未満としても無効))が支払われない時間外労働の俗称であり、 (サビざん)、 (ちんぎんふばらいざんぎょう)ともいう。また英語では給料窃盗を意味する言葉[1]が使われる。雇用主(※会社や役員、管理監督者を含む)がその立場を悪用する、例えば労働者に対して、正規の労働時間を申告しないよう強制させるような例が報告されている。また、始業前に出勤させて始業開始まで時間外労働をさせる「サービス早出」というものもある。
(サービスざんぎょう)とは、下で述べる通り、日本の労働基準法における刑事罰則規定は故意犯のみを対象としており、使用者に故意のある違法行為がある場合にのみ懲役刑、罰金刑を課すことができるが、過失犯の場合は懲役刑、罰金刑を課すことができない(※ここでの故意や過失の意味範囲は刑法学上のものであり、一般的な意味範囲とは一部異なることに注意されたい。)。
概説
サービス残業は使用者の故意がある場合労働基準法違反である[一次資料 2]。サービス残業は長時間労働を招き、また長時間労働が割増賃金の支払いを免れる温床にもなる。そのため、過労死や過労自殺、その前段階でうつ病などの精神疾患を発生させる原因となることもあり、サービス残業の存在を知りつつ放置する行為は刑事罰にあたる違法行為となっている。
なお、「サービス残業」と「長時間労働」は必ずしも同一とは限らず、1日の労働時間が12時間以上になるか、1週間以上連続で勤務するような激務であったり、または深夜勤務・休日出勤が恒常化していても、必要な手当や割増賃金を不足せず、全額を支払えばサービス残業とはみなされないため、基本給を低く抑えたうえで求人時には残業手当など諸手当込みの報酬を提示するなど、長時間労働を前提とした給与体系を組む企業もある。
サービス残業は、労働基準法第37条第1項で定められている時間外労働分の割増賃金を支払うという要件が欠けているので違法である[一次資料 2][2]。事業の種別や規模、業績などは関係ないが、職務内容や立場によっては労働時間の規制が適用されない場合がある。
- 残業の法的性質については、時間外労働を参照。
労働基準法第32条、第37条には、違反した場合の罰則が労働基準法第119条によって規定されている。これに違反した使用者は、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金に処すると定められている。
サービス残業の実態
![]() | この節はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。(2021年3月) |
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統計による実態
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/96/%E8%B3%83%E9%87%91%E4%B8%8D%E6%89%95%E3%81%84%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%E3%81%AE%E6%8E%A8%E7%A7%BB.png/460px-%E8%B3%83%E9%87%91%E4%B8%8D%E6%89%95%E3%81%84%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%E3%81%AE%E6%8E%A8%E7%A7%BB.png)
賃金不払い労働時間は減少傾向にあるが、割合がそれ程変わっていないことも示している[3][4][5]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/34/%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%88%A5%E6%99%82%E9%96%93.png/460px-%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%88%A5%E6%99%82%E9%96%93.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/97/%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%88%A5%E5%89%B2%E5%90%88.png/460px-%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%88%A5%E5%89%B2%E5%90%88.png)
労働力調査は、労働者自身による申告を基に集計しているのに対して、毎月勤労統計調査は企業に対して企業に勤めている労働者の労働時間を申告した時間(つまり、労働者に賃金を支払った労働時間)を基に集計しているため、その差を「サービス残業時間(賃金不払い労働時間)」とみなすことが出来る。また、その差の中に残業手当のつかない管理職や裁量労働制の労働者が働いた労働時間も含まれると指摘されているが、その割合は、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎より、サービス残業時間(賃金不払い労働時間)の約4割と推定されているが、残りの約6割がそれらに当たらないサービス残業であることに変わりはない[6][7]。
賃金不払い労働時間は、以下の表のように推移している。2020年時点でのサービス残業時間(賃金不払い労働時間)は、労働者1人当たり年間302.9時間である。また、これらの表より、時間自体は減少傾向にあるが、労働時間に占める割合は、2000年代は17%前後、2010年代は15%前後と微減しているものの、それ程変わっていない。更には2019年4月に働き方改革が開始されたが、業務効率化が不十分な状態で開始されたため、2019年の労働者1人当たりのサービス残業時間は、「鉱業、採石業等」「運輸業、郵便業」以外は、前年の2018年よりサービス残業を増加させる結果となっている。そのことを指摘するだけでなく、2020年4月から中小企業にも残業規制が開始された為、サービス残業時間が増加する恐れがあることも指摘されている[8][6]。実際には、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による経済的な影響により時間外労働が前年より減少した一方で、経済的に直接影響を受けた「飲食サービス業等」と「生活関連サービス等」に限ると、時間外労働は前年より増加している。
また、どの業種にもサービス残業(賃金不払い労働時間)が生じているが、特に「教育、学習支援業」と「飲食サービス業等」及び「生活関連サービス等」が多く、年間の時間が350時間を超えており、総労働時間に占める割合も20%以上と高い。
「教育、学習支援業」の場合、教職員の長時間労働が背景にあり、持ち帰り残業も多いことも指摘されている[9]。更には、公立学校の場合、給特法により基本給の4%に当たる教職調整額を賃金として支払えば、何時間でも残業が可能である為、長時間労働やサービス残業が発生しやすいことも指摘されている[10][11]。「飲食サービス業等」及び「生活関連サービス等」の場合は、人手不足だけでなく、非正規社員の比率が高まりったことによる正社員の業務負担のしわ寄せや休日の取りずらさが背景にある[9][11]。
年 | 労働力調査 による 年間労働時間 |
毎月勤労統計調査 による 総実労働時間 |
賃金不払い 労働時間 (労調-勤調) |
賃金不払い 労働時間 が占める割合 |
---|---|---|---|---|
2000 | 2,247.4 | 1,852.8 | 394.6 | 17.6 |
2001 | 2,210.9 | 1,836.0 | 374.9 | 17.0 |
2002 | 2,205.6 | 1,825.2 | 380.4 | 17.2 |
2003 | 2,200.4 | 1,827.6 | 372.8 | 16.9 |
2004 | 2,205.6 | 1,815.6 | 390.0 | 17.7 |
2005 | 2,190.0 | 1,802.4 | 387.6 | 17.7 |
2006 | 2,184.8 | 1,810.8 | 374.0 | 17.1 |
2007 | 2,153.5 | 1,808.4 | 345.1 | 16.0 |
2008 | 2,132.6 | 1,791.6 | 341.0 | 16.0 |
2009 | 2,106.6 | 1,732.8 | 373.8 | 17.7 |
2010 | 2,111.8 | 1,754.4 | 357.4 | 16.9 |
2011 | --- | 1,747.2 | --- | --- |
2012 | 2,101.4 | 1,765.2 | 336.2 | 16.0 |
2013 | 2,070.1 | 1,746.0 | 324.1 | 15.7 |
2014 | 2,049.2 | 1,741.2 | 308.0 | 15.0 |
2015 | 2,049.2 | 1,734.0 | 315.2 | 15.4 |
2016 | 2,033.6 | 1,724.4 | 309.2 | 15.2 |
2017 | 2,044.0 | 1,720.8 | 323.2 | 15.8 |
2018 | 1,997.1 | 1,706.4 | 290.7 | 14.6 |
2019 | 1,981.4 | 1,669.2 | 312.2 | 15.8 |
2020 | 1,924.1 | 1,621.2 | 302.9 | 15.7 |
年 | 調 査 産 業 計 | 鉱業、採石業等 | 建設業 | 製造業 | 電気・ガス業 | 情報通信業 | 運輸業、郵便業 | 卸売業、小売業 | 金融業、保険業 | 不動産・物品賃貸業 | 学術研究等 | 飲食サービス業等 | 生活関連サービス等 | 教育、学習支援業 | 医療、福祉 | 複合サービス事業 | その他のサービス業 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2007 | 345.1 | 239.9 | 296.9 | 263.4 | 248.7 | 383.2 | 297.1 | 399.7 | 346.0 | 213.4 | --- | 497.9 | --- | 461.7 | 273.7 | 294.2 | 192.3 |
2008 | 341.0 | 181.0 | 297.7 | 268.5 | 255.1 | 347.1 | 284.2 | 391.7 | 345.1 | 170.1 | --- | 491.8 | --- | 482.1 | 280.5 | 343.4 | 173.0 |
2009 | 373.8 | 436.2 | 302.8 | 304.3 | 249.1 | 391.5 | 298.9 | 403.2 | 361.2 | 230.9 | --- | 542.2 | --- | 549.7 | 292.5 | 323.8 | 211.8 |
2010 | 357.4 | 391.3 | 298.0 | 272.9 | 251.1 | 387.6 | 283.7 | 390.0 | 348.7 | 189.6 | 336.5 | 506.9 | 352.3 | 534.9 | 293.3 | 281.4 | 194.6 |
2011 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- |
2012 | 336.2 | 247.9 | 302.9 | 254.1 | 265.9 | 358.4 | 292.5 | 351.1 | 352.0 | 213.6 | 282.5 | 470.8 | 300.7 | 482.0 | 275.7 | 304.2 | 217.0 |
2013 | 324.1 | 328.4 | 264.4 | 246.4 | 245.0 | 307.0 | 285.3 | 331.1 | 339.8 | 189.1 | 262.0 | 442.6 | 274.9 | 480.7 | 266.8 | 304.1 | 213.7 |
2014 | 308.0 | 244.6 | 242.0 | 221.2 | 217.3 | 273.7 | 280.1 | 309.8 | 316.9 | 124.2 | 254.7 | 450.6 | 281.3 | 472.7 | 250.7 | 271.2 | 208.9 |
2015 | 315.2 | 123.5 | 251.9 | 231.6 | 220.1 | 282.1 | 294.1 | 320.2 | 323.7 | 147.0 | 293.5 | 441.8 | 278.5 | 472.2 | 252.3 | 268.1 | 183.7 |
2016 | 309.2 | 216.4 | 228.3 | 231.2 | 222.6 | 288.1 | 281.6 | 298.9 | 325.4 | 126.6 | 291.5 | 424.9 | 308.4 | 494.7 | 244.3 | 260.5 | 160.4 |
2017 | 323.2 | 243.2 | 236.7 | 247.7 | 250.2 | 319.7 | 262.8 | 316.1 | 368.3 | 137.0 | 287.5 | 450.9 | 297.2 | 499.6 | 247.1 | 286.2 | 188.0 |
2018 | 290.7 | 281.7 | 227.0 | 208.3 | 183.6 | 290.7 | 291.9 | 286.4 | 306.9 | 120.8 | 211.3 | 387.9 | 287.0 | 449.8 | 221.8 | 224.8 | 172.4 |
2019 | 312.2 | 167.2 | 229.0 | 231.9 | 213.2 | 303.1 | 267.8 | 295.5 | 332.5 | 118.7 | 227.7 | 403.1 | 309.8 | 469.7 | 264.3 | 262.4 | 191.1 |
2020 | 302.9 | 189.3 | 210.4 | 226.5 | 193.2 | 220.5 | 257.2 | 249.4 | 293.6 | 112.6 | 213.5 | 414.8 | 366.3 | 420.8 | 255.0 | 218.2 | 181.3 |
年 | 調査産業 計 | 鉱業、採石業等 | 建設業 | 製造 業 | 電気・ ガス業 | 情報通信業 | 運輸業、郵便業 | 卸売業、小売業 | 金融業、保険業 | 不動産・物品賃貸業 | 学術研究 等 | 飲食サービス業等 | 生活関連サービス等 | 教育、学習支援業 | 医療、福 祉 | 複合サービス事業 | その他のサービス業 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2007 | 16.0 | 10.4 | 12.6 | 11.7 | 11.6 | 16.4 | 12.2 | 19.2 | 15.9 | 10.0 | --- | 26.8 | --- | 22.4 | 14.0 | 14.0 | 9.6 |
2008 | 16.0 | 7.9 | 12.6 | 12.0 | 11.9 | 15.1 | 11.8 | 18.9 | 15.9 | 8.1 | --- | 26.9 | --- | 23.3 | 14.4 | 16.1 | 8.7 |
2009 | 17.7 | 18.2 | 13.0 | 14.1 | 11.7 | 17.0 | 12.6 | 19.6 | 16.6 | 11.1 | --- | 30.0 | --- | 26.6 | 15.0 | 15.2 | 10.7 |
2010 | 16.9 | 16.6 | 12.7 | 12.3 | 11.7 | 16.7 | 11.9 | 19.0 | 16.1 | 9.3 | 15.1 | 28.3 | 17.5 | 25.9 | 15.1 | 13.4 | 9.9 |
2011 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- |
2012 | 16.0 | 10.8 | 12.8 | 11.5 | 12.3 | 15.3 | 12.3 | 17.4 | 16.1 | 10.5 | 12.7 | 27.0 | 15.0 | 23.5 | 14.3 | 14.4 | 11.1 |
2013 | 15.7 | 14.1 | 11.3 | 11.2 | 11.7 | 13.6 | 12.1 | 16.6 | 15.9 | 9.4 | 12.0 | 26.2 | 14.1 | 24.0 | 14.1 | 14.7 | 11.0 |
2014 | 15.0 | 10.7 | 10.4 | 10.1 | 10.5 | 12.2 | 11.9 | 15.8 | 15.2 | 6.3 | 11.9 | 26.8 | 14.5 | 23.7 | 13.4 | 13.2 | 10.8 |
2015 | 15.4 | 5.8 | 10.9 | 10.6 | 10.5 | 12.6 | 12.5 | 16.3 | 15.4 | 7.4 | 13.6 | 26.3 | 14.5 | 23.8 | 13.4 | 12.9 | 9.6 |
2016 | 15.2 | 9.9 | 10.0 | 10.6 | 10.6 | 13.0 | 12.1 | 15.5 | 15.5 | 6.5 | 13.6 | 25.8 | 16.2 | 24.8 | 13.1 | 12.6 | 8.5 |
2017 | 15.8 | 11.1 | 10.3 | 11.2 | 11.8 | 14.3 | 11.2 | 16.3 | 17.2 | 7.0 | 13.4 | 27.5 | 15.8 | 24.6 | 13.2 | 13.6 | 9.8 |
2018 | 14.6 | 12.7 | 10.0 | 9.6 | 8.9 | 13.4 | 12.6 | 15.1 | 14.8 | 6.3 | 10.1 | 24.6 | 15.7 | 22.9 | 12.1 | 11.0 | 9.2 |
2019 | 15.8 | 7.6 | 10.2 | 10.8 | 10.4 | 14.1 | 11.8 | 15.7 | 16.1 | 6.3 | 11.0 | 25.9 | 17.1 | 24.2 | 14.3 | 12.9 | 10.3 |
2020 | 15.7 | 8.5 | 9.6 | 11.0 | 9.5 | 10.5 | 11.7 | 13.8 | 14.4 | 6.1 | 10.6 | 28.7 | 21.4 | 22.4 | 14.0 | 11.0 | 10.1 |
調査による実態
拓殖大学の佐藤一磨による調査[12]により、男性労働者の4割(既婚者の場合、年齢層が高いため6割)、女性労働者は3~5割がサービス残業をせざるを得ない状況になっている。また、男性の場合、サービス残業を行わない労働者と長時間労働により多くのサービス残業を行っている労働者に2極化する傾向がある。また、サービス残業をしている男性労働者の約5割(既婚者の場合、3割)、女性労働者は約1~2割が月40時間以上のサービス残業を行っており、長時間労働によるサービス残業が行われている実態がある。
また、サービス残業による1人当たりの労働者側の損失(1月当たり)は、男性は約4万5千円~約4万8千円、大卒男性の場合は約5万5千円~約6万7千円、女性は約1万5千~約2万5千円、大卒女性は約2万~約4万2千円であり、大卒の場合は男女とも高くなる傾向にある。そして、サービス残業を増加させる要因として、突発的な業務が生じることが頻繁である場合、達成すべきノルマ・目標が高い場合、仕事の責任・権限が重い場合、そして、周りの人が残っていると退社しにくい場合(付き合い残業)が挙げられる。また、不景気の場合もサービス残業が多くなる傾向にあることが指摘されている。
逆に、上司と部下のコミュニケーションがよくとれている場合(飲み会を頻繁にやるという意味ではない。部下が報告・連絡・相談しやすい環境であるか、上司も部下の報告・連絡・相談に対して、「怒らない・否定しない・部下をサポートする・適切な指示をする」〈いわゆる「おひたし」〉を実行しているかということである)、上司が部門のメンバー内での情報共有を工夫する場合、そして、上司自身がメリハリをつけた仕事をする等、上司の行動によってサービス残業を減少させる効果があることも指摘されている。
サービス残業発生要因
労働者に残業の「申請」を行わせない
有形・無形の圧力により、残業の「申請」を行わせず、強制的に残業させる。タイムカードによる出退勤管理をしている企業では、定時に退勤処理を行わせたあとで働かせる場合もある。外部からは従業員が自主的に残って働いているように見える。「サービス」の語の由来でもある。
一例を挙げれば、就業規則で「一日4時間以上/月30時間以上の残業をしてはならない」などの内規を作ったり、一つの課などで月に決められた一定時間まで、例えば180時間までの残業時間枠を設ける方法がある。文字の上ではあくまでも「あまり残業をするな」という規定である。財政事情が厳しいなどの口実で人件費に関して予算を限ってしまい、管理する側に予算を超過して残業を認める権限を与えないことで、残業を認めたくてもない袖は振れないのだとして残業申請を諦めさせようとする事業所もある。しかし、このような規定だけを設けても、実際には定められた時間や予算の範囲内で仕事をこなすことが不可能な場合、従業員が自己の判断で「内規に反して」サービス残業を始めてしまうことがある。記録上は規定内の残業時間で仕事がこなせているように見えてしまうので、人員を増やす理由も仕事量を減らす理由も記録上は見えなくなり、以後それが常態化してしまいやすい。そのような職場では、本来「あまり残業するな」という意味だったはずの内規が、実質的には「残業してもいいが、残業賃金は払わない」という意味になってしまう。
残業時間を制限する内規を本来の「あまり残業するな」という意味で機能させるためには、内規にある残業時間で仕事を終えられないとき、労働者は上司に黙ってサービス残業を始めるのでなく、会社の規則に従って上司に仕事の状況を説明し、残業を継続するか残業を終えるかの指示を受ける必要がある。会社側は、労働者にサービス残業を行わせないために、サービス残業を黙認せず、内規違反として懲戒処分を与える必要がある。
厚生労働省は「平成29年1月20日労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」という労働基準局長から都道府県労働局長あての通達を、平成29年1月20日に出しており、「始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法」として「使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること」とされ、「自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置」について、「労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと」「時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること」とされており、単に時間外労働を指示していないということだけをもって、使用者に理があるとは言えないとしているが、ガイドラインには法的な根拠はないため、守らなかったとしても使用者に罰則の適用はない[一次資料 3]。しかし、労働基準監督署自身は労働基準法の適用がないため、この基準に従った労働時間管理を行っていない。
労働者が自己の成績のために、残業を申請しない
労働者は自分の成績をごまかして短い時間で労働したことにして、不当に自身の評価を高めるという行動をとる場合がある。この場合、時間外労働を申請していては、労働生産性が低い労働者であると評価を受けるため、残業を申請しないという行為を行う場合がある。これは往々にして会社の内規に違反するものである。
裁量労働制の違法利用
正規の手続きなしに使用者側が一方的に裁量労働制を導入したと称して運用する違法な例がある。裁量労働制を導入するための手続きとして、労使の合意(専門業務型では労使協定の締結・企画業務型では労使委員会の決議)と労働基準監督署への届け出とが必要である。また、「裁量労働制のもとでは残業という概念自体が存在しない」との誤った解釈に基づいて一切の手当てを支払わない違法な例がある。現行の裁量労働制はみなし労働時間制の一種であるため、給与算定のために勤務時間管理を行う必要は基本的にはないが、深夜・法定休日勤務手当ては支給しなければ違法となる。また、みなし労働時間が法定労働時間(8時間)を超過する場合には、労使であらかじめ36協定(残業に関する協定)を締結して労働基準監督署に届け出るとともに、超過分の時間外労働手当(たとえばみなし労働時間が9時間であれば1時間分)を支給しなければ違法となるが、裁量労働制を採用している大部分の企業は、みなし残業超過分の労働手当を適正に払わず固定給で青天井のサービス残業をさせている。
法律条文に明確に列挙されている職種以外にも使用者側の独自解釈の元に裁量労働制を適用する場合もあり、この場合も違法であるが、そのまま運用されていることがある。一例として、裁量労働制が適用できないプログラマをシステムエンジニア扱いにして裁量労働制を適用してしまうケースが挙げられる。[1]
裁量労働制では出勤・退社の時間は自由に決められるのが建前である。しかし、遅刻・早退の給与控除のみを行う一方で残業代のみを都合よくカットすることがあり、違法であるにもかかわらずそのまま運用され、サービス残業と同じような時間外労働を行わせる場合がある。
また、マスコミのADや記者などは、部署によって休暇が年数日、一日15時間以上の労働の上に有給休暇も記録上での消化という悲惨な環境が常態化しているといわれるが、労使双方の裁量労働制の解釈のあいまいさも手伝い、違法であるにもかかわらず表立たない傾向が強い。にも関わらず、マスコミが平然と他社の過重労働を批判的に報道する姿勢には疑問が呈されている。また、厚生労働省もマスコミとの力関係で、マスコミに対する長時間労働の立入調査を決して行わないという、事実上の癒着に近い状況が認められる。マスコミの要職が厚生労働省の審議会に委員として入っているなど、癒着を誘う環境があることも問題である。
近年では求人広告においても年俸制(月給表記の場合もあり)として募集し、時間外労働手当の支給を逃れようとする企業が増えてきており、転職・就職の際には注意が必要である。待遇項目等に時間外手当支給と表記されている場合があるが、表記の有無にかかわらず時間外労働手当が支給されなければ、違法となる。
事業場外労働制の合法利用
みなし労働時間制の一つである事業場外労働の協定を締結すれば、事業場外の労働時間を把握する必要がなくなり、これを利用して事業場外の労働を無制限にさせようとする例がある。
しかしながら、みなし労働時間制は採用するための要件や対象となる労働者の範囲が厳格に定められていて、本来対象とならない労働者をみなし労働時間制の下で労働させることはできないこととなっている[注 1]。
管理職に昇進させる
管理監督者(「監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」)は労働基準法に定める労働時間などの規定の適用を受けず、残業手当の支払い義務が発生しない(労働基準法第41条)。
これを悪用し、管理職を「管理監督者」とみなした上で、「名目だけの管理職」に昇進させ、月額数万円程度で固定される「管理職手当」と引き替えに、「残業手当をカット」する方法が採られることがある(固定額の「管理職手当」が「残業手当」より低く抑えられる)。しかし、職制上「管理職」とされている者全てが「管理監督者」に該当するとは限らない。
コナカや日本マクドナルドなどの直営店長が起こした裁判では店長側の訴えを認め、「コナカや日本マクドナルドにおける店長は管理監督者とはいえない」との判断を下し、過去に未払いとされていた残業代の支払いを命じた(管理職かどうかの判断はしていない)。これらの訴訟では、残業手当の支払いを免れる「名ばかり管理職」という言葉が生まれ問題視されている。
日本労働弁護団が2008年2月11日に設けた「名ばかり管理職110番」では、一番下っ端の社員の肩書きが「幹部候補生」「管理職(課長および店長)候補」(いずれも管理職扱い)であった例、3,000人規模の会社で数百人の「課長」がいる例、高校を卒業し、金型工場へ入社したばかりの19歳の新人社員がいきなり「管理職」扱いにされたなどの極端な例も報告されている。彼らはいずれも「管理職」とされながら部下はおらず、また「課長」「店長」であるにもかかわらず出退勤の時間が管理されていた。
半端な業務時間を切り捨てる
会社によっては、15分、30分単位で労働時間を管理するが、その場合最小単位分の時間を切り上げて請求することができる。しかし実際には、10分程度の作業であったりすると請求することなく済ませてしまうことがある。また企業はこのサービス残業となる状態を避けるために給料付の休憩を与えることによって調整する場合がある。例として1時間の昼休憩とは別に10分程度のトイレ休憩に給料をつければ定時より仕事が5分程度遅くなった場合でもサービス残業にならない。
サービス残業の実態と対応
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厚生労働省は2003年に「賃金不払残業総合対策要綱」(平成15年5月23日基発第0523003号)および「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(平成15年5月23日基発第0523004号)を策定し、事業場における不払残業の実態を最もよく知る立場にある労使に対して主体的な取組を促すことにより、適正な労働時間の管理を一層徹底するとともに、賃金不払残業の解消を図るために労使が取り組むべき事項を示した。また毎年11月を「賃金不払残業解消キャンペーン月間」とし、賃金不払残業の解消に向け、労使の主体的な取組を促すためのキャンペーン活動を実施している[13]。
サービス残業を規制するためには使用者に適正に労働時間を管理する責務があることを明らかにするため、厚生労働省は2001年に通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(平成13年4月6日付基発339号)を発出し、2017年1月にはこの通達を改める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が出され、労働基準監督署による調査で、始業・終業時刻の記録・確認などの是正指導が一層強化された。
労働基準監督署による是正勧告など
複数の労働基準監督署が2004年9月以降に実施してきた立ち入り調査でサービス残業が発覚してきた。労働基準監督署の是正勧告を受けて社内調査をしてサービス残業代を支払った(2005年)。もっとも立ち入りが行われたのは一般にサービス残業が少ないとされる電力会社が中心で、これらは氷山の一角に過ぎないという指摘が多い。
- 柳原製作所 長野
- 関西電力 22億9700万円(約11,000人)
- 東京電力 69億4800万円(約25,900人)
- 中部電力 65億円(約12,000人)
- スタッフサービス大阪本部 約53億6500万円(全国の従業員と退職者計約3,400人)
- ヤマト運輸関西支社管内 金額は不明(大阪主管支店管内の従業員約22,000人)
- 富士火災海上保険 2億7400万円(約1,000人)
- ホテルグランヴィア京都 2億700万円(約400人)
- ミドリ電化JR尼崎駅前店 金額は不明(約5,100人)
- ミズノ 18億6,000万円(約2,000人)
- 近畿大学 約1億38万円(職員・退職者約563人)
- 名古屋港イタリア村 約700万円(外国人調理師3人)
- 大阪大学 金額は不明(教員の一部を含む職員約5,400人)
- 学校法人立命館 約900万円(大学・高校などの職員約460人)
- 神戸ポートピアホテル 約7,100万円(174人)
- 群馬大学 約2,500万円(付属病院を含む職員約900人)
- 北九州市立医療センター 金額は不明(医師約70人)
- 横浜銀行 約7,900万円(銀行員約1,100人)
- 大原簿記専門学校神戸校
- ダイハツ工業 約5,000万円(社員約1,000人)
- 大和ハウス工業 約32億円(社員約9,387人)
- がんこフードサービス 金額は不明(岸和田五風荘店従業員約100人)
- オークワ 約8億円(社員・パート合わせ計約1万6,000人)
- 新日本 (人材派遣会社) 約100万円(従業員。人数は不明)
- 学校法人甲子園学院 約1,220万円(教職員61人)
- 王将フードサービス 約2億5,500万円(社員及びパート従業員計923人)
- KKR札幌医療センター7億5千万(退職者を含めた職員700人以上)
- 真宗大谷派(東本願寺) 約660万円(僧侶2名)
- 土岐市立総合病院 約1億1,600万円(医師・看護師・技師ら216人)
- 西日本旅客鉄道 約20億円(社員1万4,000人)
- KDDI 約6億7,000万円(社員4,613人)
このような是正勧告に対して、日本経済団体連合会は「企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著」と非難している[2]。
なお、日本の事業者は500万強あり、その大半が多かれ少なかれサービス残業をさせているものと考えられるが、労働基準監督官の総数はわずかに3000人程度である。
しかし、労働基準監督署(労働局を含む)自身がかなりのサービス残業が恒常的に行われており、サービス残業に取り組む意欲があるとは思えない。平日ではわかりにくいが、土曜、日曜などには情報公開すれば、労働局、労働基準監督署には時間外労働、休日労働の手当てがほとんど支払われていないことがわかるにもかかわらず、土曜、日曜に、管理職となっているとは思えない若い職員が勤務しているのがわかる。労働局や労働基準監督署の管理職がこのような状況を平然と認めているような環境では、一般の会社に対してサービス残業を是正しようというような意欲があるとは思えない状況もある。
霞が関のサービス残業
霞が関は、人事院の公表では、「官僚の残業時間は年間360時間(月平均30時間)程度」、「超過勤務の上限である100時間を超える者はいない」という建前を理由に、サービス残業は生じていないとの公式見解であった[14]。しかし、2020年の10月と11月に調査した在庁時間調査[15]より、霞が関で働く国家公務員の全体の5~6%が人事院が定める超過時間の上限の月100時間を超えていた。更には、過労死ラインにあたる月80時間超えは11~12%、45時間超えは35~36%も在庁つまり時間外残業を行っていた実態が明らかとなった[15][16][17]。特に、20代のI 種・総合職の約3分の1が過労死ラインの月残業80時間超えで働いている。その要因として、「国会対応」、すなわち「国会議員の質問通告への答弁作成作業」にあるといわれている[14]。本来であれば「質問通告は2日前まで」というルールがあるが形骸化しており、更には、令和2年度臨時国会での全ての国会議員の質問等の終了時間に当たる最終通告時間が正規の業務終了時間を過ぎたケースが約3分の2に上ること、その内の約55%が20時過ぎとなっていることが判明している[15]。
そのため、2021年1月22日に河野太郎行政改革担当相は午前の会見で、国家公務員の残業代をテレワークによる業務を含めて全額支払うことを表明すると同時に、他の課や係でサービス残業が行われた場合は内閣人事局に通報するよう勧めている[18]。
アルバイト、パートのサービス残業
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時給で給与を計算するパート、アルバイトでは、サービス残業は目に見える形で発生しやすい。
チェーン店などでは「IN/OUT作業」「上がり作業」などと称して、勤務予定時間終了後(または勤務開始前)にゴミ捨てや掃除などの雑用や朝礼・終礼を課すことがある。これは明らかに違法な行為であるが、「作業が10分~20分程度と短い」ことや「パート・アルバイトの立場が弱い」などから、雇用主のいうままに規定時刻に勤務終了したかのようにしてしまうことも多い。労働時間の報告は1秒単位でもできるが、労働基準法や各種法令では、労働時間をどの単位(分単位、秒単位など)まで細かく管理するべきかは明文化されていない。
対策
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以下に示す以外に、労働組合の力が強い企業では、勤怠登録と入退館の手続きを別にして、退勤と退館の時刻にあまりにも差がある場合、何をやらせていたのかを管理職に質問すること・一定時刻以前の早朝入館は事前に届け出をさせ、通知がない場合は入場を認めないなどが行われている。
合理化と増員
正社員が過剰に働かざるを得ない状況を避けるためには、業務の無駄を省き合理化することと、従業員を増員するしかない。しかし、従業員を増員すればその分賃金も増えてしまうし、仕事量の増減に残業を増やす以外で対応するとなると、期間限定の従業員を入れることが考えられるが、慣れていないアルバイトにまかせることで業務効率が低下する恐れもある。
厚生労働省への匿名での情報提供
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厚生労働省はウェブページ上に「労働基準関係情報メール窓口」を設けており、労働基準法等における問題に関する情報を匿名で提供することができる。情報は、関係する労働基準監督署へ情報提供するなど厚生労働省の業務の参考にされるが、個別の事案への相談には応じていない。
労働基準監督署への申告
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労働者は労働基準監督署へ賃金不払いの申告をすることができる[一次資料 4]。労働基準法的に申告は匿名では受け付られない[一次資料 5]。ただし、参考情報として受け付けてはいる。労働基準監督署としても企業の実態調査を行う際に、労働者やその家族がサービス残業を過大に申し立てる恐れがあるためにその申し立てに責任を持たせるよう、氏名、連絡先を求めることが原則で、また労働者の家族など本人以外の申告は受け付けていない。 申告を受けた労働基準監督官が監督義務を負うかという問題については、「労働者が労働基準監督官に対して事業場における同法違反の事実を通告するもので、労働基準監督官の使用者に対する監督権発動の一契機をなすものではあっても、監督官に対してこれに対応して調査などの措置をとるべき職務上の作為義務まで負わせるものではない」とする判例がある。申告による処理を行うかどうかは、窓口で対応した担当官の判断となる。多くの場合、申告では窓口に労働基準監督官がおらず、一般職員に門前払いされ、それをクリアした案件があると労働基準監督官は調査を行い、サービス残業が認められた場合には使用者に賃金支払いを勧告する。しかし、遡及して支払いを行わせる権限は認められていない。ただ、賃金不払いが悪質で使用者の故意が認められる場合、労働基準監督署は労働基準法違反の疑いで検察庁へ送付することがあるだけである。賃金不払い残業は犯罪であり刑事罰が科せられる行為であるが、労働基準法違反は故意犯である。 このため、必ずしも労働基準監督署が対処するとは限らないので注意が必要である。弁護士、司法書士、NHKや民放キー局のディレクター・プロデューサーなどを同席させても門前払いするケースが存在するように、申告は、法律上、労働基準監督署に対応を義務付けるものではなく、あくまで、法令上は労働基準監督署長の裁量により行われるものである。
労働基準監督署への告訴・告発
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労働基準監督署長(又は、警察署長、検察官)に対して、使用者の具体的な法違反があることを法条文の構成要件に従って書面などの根拠を持って示し、使用者の刑事責任を問う意思があることを申し出れば、告訴・告発ができる。ただし、口頭の告訴・告発の場合には告訴・告発調書という取り調べのようなことが行われ、告訴・告発調書は行政官の都合の良いように書かれる可能性があるので、書面による告訴・告発が望ましい。
未払賃金請求訴訟
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従業員のサービス残業を強いている場合には、日々の勤務時間を逐一メモを取る(特に本人が毎日、残業時間を日記風に記録していた場合は十分に有効)、その他証明力のある記録または証拠(給料明細、可能ならばタイムレコーダーのコピー、IC乗車カードの乗降記録、自動車の運転者や労働者の場合は、アナログ式タコグラフから記録されたチャート紙またはデジタル式タコグラフから記録されたデータのコピーや運行指示書、業務日報等)を残しておくことが肝要である。またタイムカードや時間管理の業務日報などがなくても、まず本人の記憶、陳述に基づき労働時間のコアタイムを計算して労働時間の主張をし、他の間接的な記録があればそれで補充するという方法でも残業時間の立証は十分可能である[19]。
賃金などが支払われなかった場合、雇用主が商人の場合は、本来支払われるべき日の翌日から遅延している期間の利息に相当する遅延損害金年利6%も含めて請求ができる(商法第514条、最二小判昭和51年7月9日参照)。雇用主が商人ではない場合は、民事法定利率年利5%の遅延損害金となる。なお退職した労働者の場合は、遅延損害金年利14.6%を請求できる(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同法律施行令1条)。また裁判上、未払いの割増賃金と同額の付加金の支払を請求することができる(労働基準法114条)。
ホワイトカラーエグゼンプション
![]() | この節はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。(2021年3月) |
日本経団連からの要望を受けた形で、2006年6月より「一定以上の年収の人を労働時間規制から外して残業代の適用対象外にする 自律的労働制度の創設」に向けた検討が、厚生労働省で開始された。
日本経団連の要望は、年収400万以上のホワイトカラー労働者を労働時間の管理対象外とする、という内容のものであるが、「ホワイトカラー」の定義があいまいであることもあって、労働者団体からはサービス残業を合法化するものであるという危惧が表明されている。
脚注
注釈
- ^ 判例として、阪急トラベルサポート事件(最判平成26年1月24日)。みなし労働時間制の要件を定めた通達(昭和63年1月1日基発1号)の内容をほぼ踏襲して、みなし労働時間制の適用を認めなかった。
出典
- ^ 英: wage theft
- ^ “あなたの会社は大丈夫?サービス残業”. AllAbout (2006年3月28日). 2012年2月20日閲覧。
- ^ a b c 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2021年1月29日). “労働力調査 基本集計 2-3-2 産業,従業上の地位別平均週間就業時間及び延週間就業時間(2011年~)-第12・13回改定産業分類による” (DB,API). 2021年2月21日閲覧。
- ^ a b c 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2014年1月31日). “労働力調査 基本集計 2-3-2 産業,従業上の地位別平均週間就業時間及び延週間就業時間(2007年~2010年)-第12回改定産業分類による” (DB,API). 2020年4月29日閲覧。
- ^ a b c 厚生労働省 (2021年2月9日). “毎月勤労統計調査 全国調査(年結果・年度結果)” (PDF,Excel). 2021年2月21日閲覧。
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- ^ 斎藤 太郎 (2018年3月28日). “残業時間の上限規制で残業代は本当に減るのか”. ニッセイ基礎研究所. 2020年4月29日閲覧。
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- ^ 11月は賃金不払残業解消キャンペーン月間厚生労働省
- ^ a b 新田龍 (2021年2月10日). “「テレワーク7割」どころか、紙業務・サービス残業が横行の霞が関官僚 「与野党合意」で民間企業の模範となれるか?” (日本語). ITmedia ビジネスオンライン: pp. 2 2021年6月12日閲覧。
- ^ a b c 内閣官房内閣人事局 (25 December 2020). 在庁時間調査結果について (PDF) (Report). 2021年6月12日閲覧。
- ^ 田辺佑介 (2020年12月25日). “霞が関官僚の「在庁時間」100時間超が6% 河野氏が調査結果公表” (日本語). 毎日新聞 2021年6月12日閲覧。
- ^ 20代総合職 約3分の2が45時間超“在庁” 河野大臣「霞が関がブラック化」 (Youtube). FNNプライムオンライン. 23 December 2020.
- ^ “「テレワーク含め、やった分は全部付ける。それに対して残業手当を全額支払う」河野太郎行革相” (日本語). Yahoo!News (ABEMA NEWS). (2021年1月22日) 2021年6月12日閲覧。
- ^ 『季刊・労働者の権利』2003年10月「武富士残業代請求訴訟-残業時間立証の工夫」
一次情報源または主題と関係の深い情報源
参考文献
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関連項目
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外部リンク
- 労働時間・休日 |厚生労働省
- 労働基準関係情報メール窓口 | 厚生労働省 - 労働基準法等における問題に関する情報を匿名で提供することができる。
- 監督指導による賃金不払残業の是正結果|厚生労働省 - 時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果。
- 残業代不払い - ブラック企業被害対策弁護団
- 『サービス残業』 - コトバンク