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クラユカバ-昏行者-(Kurayukaba)は、2021年現在制作中の長編アニメーション作品である。本稿では、2020年公開のパイロットフィルム、および2021年公開の序章、公開未定の本編について解説する。
クラユカバ | |
---|---|
監督 | 塚原重義 |
脚本 | 塚原重義 |
原作 | 塚原重義 |
製作 | 迫田祐樹 |
出演者 |
神田伯山 (6代目) 黒沢ともよ 芹澤優 坂本頼光 |
音楽 |
アカツキチョータ 成田旬 |
撮影 | maxcaffy |
制作会社 | パンケーキ |
製作会社 |
トワフロ ツインエンジン |
概要
アニメーション監督、塚原重義による初の長編アニメーション。総尺40分を想定している[1]。
2017年11月のイベント「塚原重義、奮闘中」でティザーPVを初公開[2]。紆余曲折をへて2018年冬にクラウドファンディングによる制作が発表された[3][4]。
2018年度に行われたクラウドファンディングによってパイロットフィルムの制作資金を調達。690万1864円の資金を集め2020年春に一般公開。それと同時に、本編の序章の制作を目指す第二回目のクラウドファンディングが開始された。
二回目は当初こそ伸び悩んだものの[3]、最終的には前回を上回る879万8500円の資金の調達に成功し、2021年にシネ・リーブル池袋で「クラユカバ 序章/弥栄堂の轍 ~塚原重義作品 特別上映会~」と題して過去作品とともに本編冒頭15分の「序章」が特別上映された。
2021年8月21日にシネ・リーブル池袋で行われた舞台挨拶にて、本編の制作決定が発表された[5]。同年9月1日には第二回クラウドファンディングの支援者向けにWEB上で序章が公開された。
構想自体は2012年の自主制作アニメ「端ノ向フ」の完成直前から始まっており、塚原は同作の制作中に自主制作アニメとしての限界を感じ、商業アニメとしてやりたかったと語っている[6]。
初期の構想では塚原の学生時代の短編作品「鉄路ゆかば‐義勇装甲列車隊‐」と同名の「ミチユカバ」で、同作と同様に山岳地帯を装甲列車で冒険するというものだった。しかし「あまり乗れず」、さまざまなアイディアが合流した結果、お祭りの空間が地下に広がる世界を装甲列車が冒険するというものになった[3]。
また、詳細は不明ではあるが2014年11月のデザインフェスタvol.40などで公開された「ミ號一三七二計畫(Project MI1372)」なる動画が存在しており、「弥栄堂」サイト内では構想段階での本作のものであることが示唆されている[7]。
塚原はTwitterで「この作品で『端ノ向フ』では描ききれなかったことを描きたい」と語っていた[8]。
あらすじ
大帝都北東部・城北工業地帯の要衝扇町の一角。探偵社を構えるモノグサ青年・荘太郎は私財を切り売りしながら生活を繋いでいた。しかしこの頃、大帝都の井戸端、そろばん教室、市電の車内などで人々が突然失踪する怪事件が横行しており、荘太郎はとあるよんどころない事情からこの事件を追うため、「クラガリ」と呼ばれる地下世界へと足を踏み入れることになった。
荘太郎はそこで謎の装甲列車『ソコレ四六三』とそれを率いるタンネと出会い、集団失踪事件や謎の集団「福面党」らと対決することになる……。
登場人物[9]
- 荘太郎(声:神田伯山(6代目)):本作の主人公。扇町の銘酒屋街に「大辻探偵社」を構えているモノグサ青年で、先代の遺産を切り売りして自堕落な生活を送っている。しかしある日、とある事情で地下世界へと足を踏み込むことになり、ソコレ四六三と出会う。塚原曰く「本来なりたかった自分を忘れた人」。
- タンネ(声:黒沢ともよ):本作のヒロイン。とある特命を帯びてソコレ四六三を貸し切っている謎の少女。鬼灯色の目をしており、パイロット版や本編では光っていることが確認できる。肩書きは「常夜書寮調査部:滝ノ川丹祢」。腕にキツネに似た小動物クダギツネを侍らせている。武器は「改十年式擲弾拳銃」。
- トメオミ(声優未発表):タンネの身辺警護役としてソコレ四六三にやってきた調査部員。理屈先行で融通が利かないが、同時にソコレ面々の貴重な歯止め役。タンネとは古い仲であるらしく、彼女からは実の姉のように慕われている。武器は「モ式大型拳銃」。
- 指揮班長(声:佐藤せつじ):ソコレ隊員の束ね役を務めるイキな好漢。本名を甲斐允といい、ソコレ四六三に島流しされたという。危険を察すると鼻がむず痒くなる。口癖は「コンチキショウめ!」。武器は背中の刀とピッケルが確認できる。
- サキ(声:芹澤優):荘太郎の知り合いである情報屋の少女。
- 稲荷坂(声:坂本頼光):「端ノ向フ」にも登場した新聞記者。「通勤大戦争」に登場する稲荷坂半兵衛の双子の弟である。
- パイロットフィルムの語り/怪活動弁士(坂本頼光)
- でくの座(声:柳原利香):からくり芝居を道端に開いており、芝居中ではからくり人形の赤フクと白キチのコンビを演じている。この詳細は下記の「PR動画でくの座」項目にて掲載。
- クダギツネ:クラガリに住まうキツネに似た小動物。タンネが連れている目が赤く白い毛の個体と目が青く茶色い毛の個体が確認できる。
- このほかにも、様々なキャラクターがパイロットフィルムで登場している。
世界観
- 塚原が過去に制作してきた自主制作アニメ「甲鉄傳紀シリーズ」と同様の世界観を持つ作品。
- 「端ノ向フ」の数ヶ月後の物語であり、同作と共通するガジェットなどが数多く登場している。
- 物語の舞台である扇町は、東京都北区王子がモデルになっていることが言及されており、作中に登場するオウギホールや音梨橋、サクラ小路などの建築物や地名にもモデルがある[10]。
メカニック・登場兵器[9]
- 交通兵団第四六三號装甲列車(省線型軽装甲列車[11])<ソコレ四六三>:物語の中核をなす装甲列車。鉄路を警護する交通兵団鉄道部隊の指揮系統から逸脱し、夜な夜な地下の廃線・未成線で活動しているとされている。武装は砲兵車の七糎半山砲と多数の機関銃・擲弾筒。目撃したものは不幸になるともっぱらの噂[10]で、住民の間では「鬼の四六三」と恐れられている。全6両編成で、モデルは満鉄の社線用装甲列車である[7]。同型と思われる装甲列車が「端ノ向フ」でも登場している。
- 三年式装脚戦車<ウノハナ號>:ソコレ四六三に搭載されている二足歩行戦車。旋回砲塔に擲弾砲を搭載している。車体には「ウ87」という番号が振られておりこれが通称の由来と思われる。
- 二噸半装脚軌道車<ツチブタ>:「福面党」が保有する装脚軌道車。重機関銃を搭載している。
- 軽装脚運搬車<カマドウマ>:三脚の小型装脚車両。民間に広く用いられるほか、「福面党」も保有している。
- 改十年式擲弾拳銃:タンネが使用している拳銃[12]。十年式信号拳銃に似た形状をしている。
- モ式拳銃:トメオミや班長、ソコレ隊員が使用している拳銃。トメオミの持つものはドラムマガジンとなっており、専用のポーチがある[12]。
- 十一年式軽機関銃:ソコレ隊員の装備品である軽機関銃。
- 一〇〇式機関短銃:ソコレ隊員の主力火器である短機関銃。銃剣が装備可能な前期型。
- 大帝都市電9000形電車:「逢魔ヶパレヱド」にも登場した大帝都市電の主力形式。
スタッフ
ティザーPV
- 監督:塚原重義
- キャラクターデザイン:皆川一徳
- 音楽:アカツキチョータ
- プロデューサー:迫田祐樹
パイロット版
- 監督・原作・脚本:塚原重義
- 企画:迫田祐樹(パンケーキ)、飯川陽介(トワフロ)
- 企画協力:山本幸治
- アニメーションディレクター・キャラクターデザイン:皆川一徳
- CG撮影監督:maxcaffy
- 美術設定・背景原図:ぽち
- デザインワークス:アカツキチョータ、カズノコ、キツネイロ、可否、七原しえ、塚原重義
- アニメーション制作:マカリア
- 音響監督・整音:山田陽
- 音響効果:野崎博樹
- 楽曲制作:成田旬、アカツキチョータ
- プロデューサー:迫田祐樹(パンケーキ)
- 協力:佐竹慎、大童澄瞳、※kome、鈴木小波、東京モノノケ、やぼみ、宵町めめ、臼武恵太、沼田友、佐藤闘介、山本留吉、上毛電気鉄道、碓氷峠鉄道文化むら
- 特別協力:成田良悟、前田地生
- 製作:トワフロ
- 製作協力:パンケーキ、ツインエンジン
本編序章
- 監督・原作・脚本:塚原重義
- 企画:山本幸治、迫田祐樹(パンケーキ)
- 企画協力:飯川陽介(トワフロ)
- キャラクターデザイン:皆川一徳
- CG監督:maxcaffy
- 美術設定・原図整理:ぽち
- デザインワークス:アカツキチョータ、カズノコ、キツネイロ、可否、七原しえ、塚原重義
- 制作協力・原画・第二原画:コロリド
- 操画チーフ・音楽:アカツキチョータ
- アニメーション制作:パンケーキ
- 製作:ツインエンジン
PR動画「でくの座」
特報映像が公開された2018年9月から10月までにクラユカバ公式YouTubeチャンネルで公開された30秒~1分程度の短編アニメーション。
宣伝マスコットの赤フク&白キチ(声:柳原利香)が扇町の各所を案内するという内容で、VRChatを用いて制作している。
「是々風来坊でくの旅」と題してアヌシー国際アニメーション映画祭への珍道中を描いた実写作品もある。
2018年10月に全28回で一旦終了したが、2018年12月と2019年1月にクラユカバ公式Twitterにて番外編「城北でくの散歩」全2回が、2020年5月にツインエンジン公式YouTubeチャンネルで成田良悟原作の「デュラララ!!」とのコラボ作品「出張でくの座・ブクロ編」が公開された。
なお、YouTube説明欄にて「扇町路上細見」という資料が存在することが明かされている[13]。
バーチャル映画村
本作制作にあたって作られた、扇町の背景3DCGモデルを利用したVRコンテンツ。「でくの座」ではバーチャルオープンセットとして紹介している。
実際に本編で使用されるだけでなく[14]、観客がVR空間上で扇町を散策することができる予定[10]。
2018年11月の「押絵ト旅スル男」上映会で「押絵ト旅スル男」の凌雲閣展望台と本作の扇町の情景の一部が[4]、2019年に開催された第一回クラウドファンディングのリターン「VR先取り体験会」にて一部が公開されたほか「TWINENGINE Conference 2020」にてVR会場に使用されている。
関連項目・作品
- 塚原重義
- 有野いく - パイロットフィルムおよび本編に有野をモデルにした「からあげ売り」が登場。
- 成田良悟 - 第2回クラウドファンディングのリターン品としてスピンオフ小説「クラメルカガリ」を執筆。
- 上毛電気鉄道 - 劇中の鉄道車両の効果音を収録。
- 端ノ向フ - 本作の数ヶ月前の物語。本作と共通するメカニック・ガジェットが登場している。
- よろず骨董 山樫 - 本作で登場したキャラクターが登場している。
外部リンク
脚注
- ^ “【支援額500万突破!品切れ間近リターンあり!!】幻景浪漫活劇「クラユカバ」 塚原重義監督全力を懸けたアニメーション制作実現を目指す! | MOTION GALLERY”. motion-gallery.net. 2021年7月29日閲覧。
- ^ “【CloseUp IA】『塚原重義、奮闘中』イベントレポート(未来編)”. 2021年7月31日閲覧。
- ^ a b c (日本語) RENDA 映像作家壇上トーク Zの部 2021年7月29日閲覧。
- ^ a b “【イベント潜入】東京初上陸!「押絵ト旅スル男」の浅草花やしき上映会を潜入レポート”. JapanAnimeMedia (2019年1月5日). 2021年8月7日閲覧。
- ^ “<クラユカバ>“全編”制作決定 塚原重義監督のオリジナルアニメ(MANTANWEB)”. Yahoo!ニュース. 2021年8月21日閲覧。
- ^ “『クラユカバ』全編制作決定 塚原重義監督「パリ五輪までには公開できると思います」(クランクイン!)”. Yahoo!ニュース. 2021年8月24日閲覧。
- ^ a b “『クラユカバ』”. 弥栄堂 / 塚原重義. 2021年7月29日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/iyasakado/status/1203287270654038017”. Twitter. 2021年8月20日閲覧。
- ^ a b “アニメ「クラユカバ」公式サイト”. kurayukaba.com. 2021年7月29日閲覧。
- ^ a b c “Makuake|体感型オリジナルアニメ! 新たな表現に挑戦する塚原重義の最新作プロジェクト!|Makuake(マクアケ)”. Makuake(マクアケ). 2021年8月8日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/iyasakado/status/1093497275223949312”. Twitter. 2021年8月2日閲覧。
- ^ a b “KURAYUKABA WORLD”. 2021年8月24日閲覧。
- ^ (日本語) 扇町でくの座 第一幕「扇町」 2021年8月1日閲覧。
- ^ (日本語) 【でくの座】映画村案内#01 扇町・音梨峡谷篇 2021年8月10日閲覧。