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「サモスのアシオス」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
アシオスは[[ローマ時代]]にはほとんど忘れ去られており、現在伝わる13の断片の大部分が[[パウサニアス]]に由来している<ref name="PA264">パウサニアス、2巻6・4。</ref><ref>パウサニアス、2巻6・5。</ref><ref>パウサニアス、2巻29・4。</ref><ref>パウサニアス、3巻13・8。</ref><ref>パウサニアス、4巻2・1。</ref><ref>パウサニアス、5巻17・8。</ref><ref name="PA741">パウサニアス、7巻4・1。</ref><ref>パウサニアス、8巻1・4。</ref><ref name="PA9236">パウサニアス、9巻23・6。</ref>。それ以外では[[ストラボン]]<ref name="ST">ストラボン、6巻1・5。</ref>、[[アポロドロス]]<ref name="AP382">アポロドーロス、3巻8・2。</ref>、[[アテナイオス]]、『[[オデュッセイア]]』の古註がわずかな断片を含んでいるに過ぎない<ref>{{cite web|title=キナイトーン、アシオス、その他の詩人 |accessdate=2020/01/18 |url=http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/ancients/cinaethon.html |publisher=バルバロイ!}}</ref>。アシオス自身については、パウサニアスは彼がサモス島の出身であること<ref name="PA741" />、また彼の父親の名前がアムピプトレモスであることぐらいしか伝えていない<ref name="PA264" /><ref name="PA741" />。彼の生きた時代は紀元前6世紀の古風な文芸運動に合ったスタイルと内容から推測される<ref>West, The Invention of Homer.</ref>。古代には作品のタイトルや梗概が残されなかったため、彼の作品の数、範囲、焦点は不明だが、古代の証言と断片自体の内容から判断すると、[[ヘシオドス]]の『名婦列伝』に匹敵する断片的な系譜叙事詩に特化していたようである<ref name=WEST2003>West 2003, p.31.</ref>。アシオスの保存された系譜は故郷のサモス島に関する伝承の詳細に加えて<ref name="PA741" />、ヘシオドスの[[ボイオティア]]地方が重要な関心事であることを示している<ref name="ST" /><ref name="AP382" /><ref name="PA264" /><ref name="PA9236" />。彼の[[六脚韻詩]]から生き残った13個の断片に加えて、エレゲイア詩には短く不可解な断片がある<ref name=WEST2003 />。彼のエレゲイア詩はアテナイオスによって引用されたものを除いて失われた。
アシオスは[[ローマ時代]]にはほとんど忘れ去られており、現在伝わる13の断片の大部分が[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]に由来している<ref name="PA264">パウサニアス、2巻6・4。</ref><ref>パウサニアス、2巻6・5。</ref><ref>パウサニアス、2巻29・4。</ref><ref>パウサニアス、3巻13・8。</ref><ref>パウサニアス、4巻2・1。</ref><ref>パウサニアス、5巻17・8。</ref><ref name="PA741">パウサニアス、7巻4・1。</ref><ref>パウサニアス、8巻1・4。</ref><ref name="PA9236">パウサニアス、9巻23・6。</ref>。それ以外では[[ストラボン]]<ref name="ST">ストラボン、6巻1・5。</ref>、[[アポロドロス]]<ref name="AP382">アポロドーロス、3巻8・2。</ref>、[[アテナイオス]]、『[[オデュッセイア]]』の古註がわずかな断片を含んでいるに過ぎない<ref>{{cite web|title=キナイトーン、アシオス、その他の詩人 |accessdate=2020/01/18 |url=http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/ancients/cinaethon.html |publisher=バルバロイ!}}</ref>。アシオス自身については、パウサニアスは彼がサモス島の出身であること<ref name="PA741" />、また彼の父親の名前がアムピプトレモスであることぐらいしか伝えていない<ref name="PA264" /><ref name="PA741" />。彼の生きた時代は紀元前6世紀の古風な文芸運動に合ったスタイルと内容から推測される<ref>West, The Invention of Homer.</ref>。古代には作品のタイトルや梗概が残されなかったため、彼の作品の数、範囲、焦点は不明だが、古代の証言と断片自体の内容から判断すると、[[ヘシオドス]]の『名婦列伝』に匹敵する断片的な系譜叙事詩に特化していたようである<ref name=WEST2003>West 2003, p.31.</ref>。アシオスの保存された系譜は故郷のサモス島に関する伝承の詳細に加えて<ref name="PA741" />、ヘシオドスの[[ボイオティア]]地方が重要な関心事であることを示している<ref name="ST" /><ref name="AP382" /><ref name="PA264" /><ref name="PA9236" />。彼の[[六脚韻詩]]から生き残った13個の断片に加えて、エレゲイア詩には短く不可解な断片がある<ref name=WEST2003 />。彼のエレゲイア詩はアテナイオスによって引用されたものを除いて失われた。


== 脚注 ==
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* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[ストラボン]]『[[地理誌|ギリシア・ローマ世界地誌]]』飯尾都人訳、龍渓書舎(1994年)
* [[ストラボン]]『[[地理誌|ギリシア・ローマ世界地誌]]』飯尾都人訳、龍渓書舎(1994年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* {{仮リンク|マーティン・リッチフィールド・ウエスト|en|Martin Litchfield West|label=Martin Litchfield West}}, Greek Epic Fragments: From the Seventh to the Fifth Centuries BC. [[ハーバード大学出版局|Harvard University Press]] (2003)
* {{仮リンク|マーティン・リッチフィールド・ウエスト|en|Martin Litchfield West|label=Martin Litchfield West}}, Greek Epic Fragments: From the Seventh to the Fifth Centuries BC. [[ハーバード大学出版局|Harvard University Press]] (2003)
* Martin Litchfield West, [https://www.jstor.org/stable/639863?seq=1 The Invention of Homer], The Classical Quarterly Vol.49, No.2 (1999)
* Martin Litchfield West, [https://www.jstor.org/stable/639863?seq=1 The Invention of Homer], The Classical Quarterly Vol.49, No.2 (1999)

2021年11月15日 (月) 11:09時点における版

サモスのアシオス古希: Ἄσιος ὁ Σάμιος , : Asius of Samos)は、紀元前6世紀頃のサモス島出身の詩人である。アシオスは叙事詩およびエレゲイア詩を歌ったが、その作品は他の古代の著述家の言及による断片の形でのみ生き残っている。

概要

アシオスはローマ時代にはほとんど忘れ去られており、現在伝わる13の断片の大部分がパウサニアスに由来している[1][2][3][4][5][6][7][8][9]。それ以外ではストラボン[10]アポロドロス[11]アテナイオス、『オデュッセイア』の古註がわずかな断片を含んでいるに過ぎない[12]。アシオス自身については、パウサニアスは彼がサモス島の出身であること[7]、また彼の父親の名前がアムピプトレモスであることぐらいしか伝えていない[1][7]。彼の生きた時代は紀元前6世紀の古風な文芸運動に合ったスタイルと内容から推測される[13]。古代には作品のタイトルや梗概が残されなかったため、彼の作品の数、範囲、焦点は不明だが、古代の証言と断片自体の内容から判断すると、ヘシオドスの『名婦列伝』に匹敵する断片的な系譜叙事詩に特化していたようである[14]。アシオスの保存された系譜は故郷のサモス島に関する伝承の詳細に加えて[7]、ヘシオドスのボイオティア地方が重要な関心事であることを示している[10][11][1][9]。彼の六脚韻詩から生き残った13個の断片に加えて、エレゲイア詩には短く不可解な断片がある[14]。彼のエレゲイア詩はアテナイオスによって引用されたものを除いて失われた。

脚注

  1. ^ a b c パウサニアス、2巻6・4。
  2. ^ パウサニアス、2巻6・5。
  3. ^ パウサニアス、2巻29・4。
  4. ^ パウサニアス、3巻13・8。
  5. ^ パウサニアス、4巻2・1。
  6. ^ パウサニアス、5巻17・8。
  7. ^ a b c d パウサニアス、7巻4・1。
  8. ^ パウサニアス、8巻1・4。
  9. ^ a b パウサニアス、9巻23・6。
  10. ^ a b ストラボン、6巻1・5。
  11. ^ a b アポロドーロス、3巻8・2。
  12. ^ キナイトーン、アシオス、その他の詩人”. バルバロイ!. 2020年1月18日閲覧。
  13. ^ West, The Invention of Homer.
  14. ^ a b West 2003, p.31.

参考文献

外部リンク