コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「二重音声放送」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
Cewbot (会話 | 投稿記録)
5行目: 5行目:
アナログテレビ放送では、主音声信号[[搬送波]]と副音声信号搬送波を用いて[[2か国語放送|二ヶ国語放送]]と[[解説放送]]を行なっていたが、デジタルテレビ放送では、[[MPEG2-TS]]デジタル圧縮技術の採用により、8通りの音声トラック(デジタル放送の技術では音声ストリームと呼ばれる)が一つの番組内で同時に扱えるようになった<ref name="voice">デジタル放送の音声システムは([[DVD-Video]]フォーマットと同様に)最大8重(8マルチ)まで使用可能に定義されている(但し1つの放送につき許容最大使用帯域の制限を受け、その制限内なら最大8マルチまでが可能)。従って、実際の運用上の用途としては想定外だが、二重音声(モノラル)を8マルチとすることも理論上では可能になっている。</ref>。二重音声放送では、2ch分の伝送路を1つの音声信号トラックとして定義し、二ヶ国語放送なら、1chに日本語モノラル音声、もう1chに外国語モノラル音声(解説放送なら、1chにモノラル主音声、もう1chにモノラル解説音声)として使用される。
アナログテレビ放送では、主音声信号[[搬送波]]と副音声信号搬送波を用いて[[2か国語放送|二ヶ国語放送]]と[[解説放送]]を行なっていたが、デジタルテレビ放送では、[[MPEG2-TS]]デジタル圧縮技術の採用により、8通りの音声トラック(デジタル放送の技術では音声ストリームと呼ばれる)が一つの番組内で同時に扱えるようになった<ref name="voice">デジタル放送の音声システムは([[DVD-Video]]フォーマットと同様に)最大8重(8マルチ)まで使用可能に定義されている(但し1つの放送につき許容最大使用帯域の制限を受け、その制限内なら最大8マルチまでが可能)。従って、実際の運用上の用途としては想定外だが、二重音声(モノラル)を8マルチとすることも理論上では可能になっている。</ref>。二重音声放送では、2ch分の伝送路を1つの音声信号トラックとして定義し、二ヶ国語放送なら、1chに日本語モノラル音声、もう1chに外国語モノラル音声(解説放送なら、1chにモノラル主音声、もう1chにモノラル解説音声)として使用される。


このように音声トラックの仕組みがアナログ放送とデジタル放送では異なっている<ref>伝送路の形態が固定されているアナログ放送とは異なり、デジタル伝送技術を用いて行われているデジタル放送では、1つの放送に割り当てられている複数の伝送チャンネルを、どのように映像トラックや音声トラックとして使うか、音声トラックでもその構成を2chで1音声トラック(ステレオ音声、二重音声の選択も自由)としたり、5.1chとして利用する場合は6つのチャンネルを1つにまとめて5.1chステレオ音声トラックとして定義するなど、信号を送信する側が柔軟に定義・利用できるメリットがある。但し柔軟性がある中でも一定のルールが必要となるので、テレビ放送におけるそのルールの相当するものが、日本の地上波デジタル放送などで採用されている[[ISDB]]などの放送規格になる。</ref>ため、デジタル放送では'''二重音声放送'''と呼ばれている。機器等の操作方法は、アナログ放送での副音声付方法を踏襲して「日本語/外国語」や「主音声/副音声」などの切り替えになっている<ref>日本のテレビ番組では、原則主音声に日本語、副音声に外国語が割り当てられるが、稀に逆に主音声に外国語、副音声に日本語が割り当てられる場合もある(主に[[NHK BS1]]における[[NHKワールドTV]]の英語放送番組に見られる)。[[1987年]]に[[フジテレビジョン|フジテレビ]]で放送された「[[完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅]]」では、[[バックグラウンドミュージック|BGM]]が主音声(ステレオ第1音声)に洋楽、副音声(ステレオ第2音声)に邦楽という形式だった([[2009年]]に放送された「[[完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅#新・完全走破 高速道路の旅|新・完全走破 高速道路の旅]]」も同様)。</ref>。
このように音声トラックの仕組みがアナログ放送とデジタル放送では異なっている<ref>伝送路の形態が固定されているアナログ放送とは異なり、デジタル伝送技術を用いて行われているデジタル放送では、1つの放送に割り当てられている複数の伝送チャンネルを、どのように映像トラックや音声トラックとして使うか、音声トラックでもその構成を2chで1音声トラック(ステレオ音声、二重音声の選択も自由)としたり、5.1chとして利用する場合は6つのチャンネルを1つにまとめて5.1chステレオ音声トラックとして定義するなど、信号を送信する側が柔軟に定義・利用できるメリットがある。但し柔軟性がある中でも一定のルールが必要となるので、テレビ放送におけるそのルールの相当するものが、日本の地上波デジタル放送などで採用されている[[ISDB]]などの放送規格になる。</ref>ため、デジタル放送では'''二重音声放送'''と呼ばれている。機器等の操作方法は、アナログ放送での副音声付方法を踏襲して「日本語/外国語」や「主音声/副音声」などの切り替えになっている<ref>日本のテレビ番組では、原則主音声に日本語、副音声に外国語が割り当てられるが、稀に逆に主音声に外国語、副音声に日本語が割り当てられる場合もある(主に[[NHK BS1]]における[[NHKワールドTV]]の英語放送番組に見られる)。[[1987年]]に[[フジテレビジョン|フジテレビ]]で放送された「[[完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅]]」では、[[背景音楽|BGM]]が主音声(ステレオ第1音声)に洋楽、副音声(ステレオ第2音声)に邦楽という形式だった([[2009年]]に放送された「[[完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅#新・完全走破 高速道路の旅|新・完全走破 高速道路の旅]]」も同様)。</ref>。


なお、デジタル放送では、さらに第二音声やそれ以上の音声信号を使って、ステレオ音声による多ヶ国語放送も可能(実際には二ヶ国語までの放送が多い)になっている。これは、既存の二重音声放送と同様に音声多重放送([[多重音声放送]])の一種で、デュアルステレオやステレオ二重音声などという言葉で記述される場合もあるが、デジタル放送での二重音声放送は、従来の二重音声放送や2chステレオ放送の方式とは異なり、あくまで多重音声システム<ref name="voice"/>のなかで2つだけを使って運用しているだけで、アナログ放送での音声多重方式とは全く異なるシステムになる。尚、日本のアナログ放送での音声多重方式は、放送規格([[NTSC]])上の制限で二重音声までに限定(2つ以上の音声多重は存在しない)される。このように、単に二重音声放送という場合は、通常はモノラル音声の組み合わせによる二重音声放送を意味し、ステレオ二重音声(デュアルステレオ)の場合とは仕組みも機器の操作方法も全く別なものになるので、言葉として用いる場合は誤解が生じないように注意する必要がある。
なお、デジタル放送では、さらに第二音声やそれ以上の音声信号を使って、ステレオ音声による多ヶ国語放送も可能(実際には二ヶ国語までの放送が多い)になっている。これは、既存の二重音声放送と同様に音声多重放送([[多重音声放送]])の一種で、デュアルステレオやステレオ二重音声などという言葉で記述される場合もあるが、デジタル放送での二重音声放送は、従来の二重音声放送や2chステレオ放送の方式とは異なり、あくまで多重音声システム<ref name="voice"/>のなかで2つだけを使って運用しているだけで、アナログ放送での音声多重方式とは全く異なるシステムになる。尚、日本のアナログ放送での音声多重方式は、放送規格([[NTSC]])上の制限で二重音声までに限定(2つ以上の音声多重は存在しない)される。このように、単に二重音声放送という場合は、通常はモノラル音声の組み合わせによる二重音声放送を意味し、ステレオ二重音声(デュアルステレオ)の場合とは仕組みも機器の操作方法も全く別なものになるので、言葉として用いる場合は誤解が生じないように注意する必要がある。

2021年11月23日 (火) 09:13時点における版

音声多重放送 > 二重音声放送

二重音声放送(にじゅうおんせいほうそう)は、音声多重放送(多重音声放送)の一種。日本国内ではアナログ放送時代から二ヶ国語放送解説放送副音声付放送(それぞれの視聴できる音声は全てモノラル放送)として用いられ、理論的にはデジタル放送にも引き継がれて採用されている[1]

概要

アナログテレビ放送では、主音声信号搬送波と副音声信号搬送波を用いて二ヶ国語放送解説放送を行なっていたが、デジタルテレビ放送では、MPEG2-TSデジタル圧縮技術の採用により、8通りの音声トラック(デジタル放送の技術では音声ストリームと呼ばれる)が一つの番組内で同時に扱えるようになった[2]。二重音声放送では、2ch分の伝送路を1つの音声信号トラックとして定義し、二ヶ国語放送なら、1chに日本語モノラル音声、もう1chに外国語モノラル音声(解説放送なら、1chにモノラル主音声、もう1chにモノラル解説音声)として使用される。

このように音声トラックの仕組みがアナログ放送とデジタル放送では異なっている[3]ため、デジタル放送では二重音声放送と呼ばれている。機器等の操作方法は、アナログ放送での副音声付方法を踏襲して「日本語/外国語」や「主音声/副音声」などの切り替えになっている[4]

なお、デジタル放送では、さらに第二音声やそれ以上の音声信号を使って、ステレオ音声による多ヶ国語放送も可能(実際には二ヶ国語までの放送が多い)になっている。これは、既存の二重音声放送と同様に音声多重放送(多重音声放送)の一種で、デュアルステレオやステレオ二重音声などという言葉で記述される場合もあるが、デジタル放送での二重音声放送は、従来の二重音声放送や2chステレオ放送の方式とは異なり、あくまで多重音声システム[2]のなかで2つだけを使って運用しているだけで、アナログ放送での音声多重方式とは全く異なるシステムになる。尚、日本のアナログ放送での音声多重方式は、放送規格(NTSC)上の制限で二重音声までに限定(2つ以上の音声多重は存在しない)される。このように、単に二重音声放送という場合は、通常はモノラル音声の組み合わせによる二重音声放送を意味し、ステレオ二重音声(デュアルステレオ)の場合とは仕組みも機器の操作方法も全く別なものになるので、言葉として用いる場合は誤解が生じないように注意する必要がある。

デジタル放送で二重音声放送以外の音声多重放送を機器の操作で切り替える場合、二重音声放送の場合とは異なり、「主 / 副」の切り替えではなく「音声」切替、あるいは「音声信号」切替、「信号」切替などで切り替える仕様になっている事が多い。詳細はデジタルチューナーの解説を参照の事。

脚注

  1. ^ 放送局側にとってはアナログ放送が全盛だった次期に製作されて放送コンテンツをそのまま利用が出来る、視聴者側にとっては機器の操作上で混乱を少なくする都合上で、デジタタル放送移行でも違和感が無く使えるような技術策定が行われた。「引き継がれた」といっても、アナログ放送の技術をそのまま使っているわけではなく、(放送業界側も含めた)ユーザーがデジタル放送への移行後も違和感が無く利用できるような選択肢の一つとして、デジタル放送技術の中でそれを可能にしている。
  2. ^ a b デジタル放送の音声システムは(DVD-Videoフォーマットと同様に)最大8重(8マルチ)まで使用可能に定義されている(但し1つの放送につき許容最大使用帯域の制限を受け、その制限内なら最大8マルチまでが可能)。従って、実際の運用上の用途としては想定外だが、二重音声(モノラル)を8マルチとすることも理論上では可能になっている。
  3. ^ 伝送路の形態が固定されているアナログ放送とは異なり、デジタル伝送技術を用いて行われているデジタル放送では、1つの放送に割り当てられている複数の伝送チャンネルを、どのように映像トラックや音声トラックとして使うか、音声トラックでもその構成を2chで1音声トラック(ステレオ音声、二重音声の選択も自由)としたり、5.1chとして利用する場合は6つのチャンネルを1つにまとめて5.1chステレオ音声トラックとして定義するなど、信号を送信する側が柔軟に定義・利用できるメリットがある。但し柔軟性がある中でも一定のルールが必要となるので、テレビ放送におけるそのルールの相当するものが、日本の地上波デジタル放送などで採用されているISDBなどの放送規格になる。
  4. ^ 日本のテレビ番組では、原則主音声に日本語、副音声に外国語が割り当てられるが、稀に逆に主音声に外国語、副音声に日本語が割り当てられる場合もある(主にNHK BS1におけるNHKワールドTVの英語放送番組に見られる)。1987年フジテレビで放送された「完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅」では、BGMが主音声(ステレオ第1音声)に洋楽、副音声(ステレオ第2音声)に邦楽という形式だった(2009年に放送された「新・完全走破 高速道路の旅」も同様)。

関連項目