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「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」の版間の差分

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'''重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律'''(じゅうようしせつしゅうへんおよびこっきょうりとうとうにおけるとちとうのりようじょうきょうのちょうさおよびりようのきせいとうにかんするほうりつ、令和3年法律第84号、通称'''重要土地利用規制法'''<ref name="niben-opinion"/>、'''土地規制法'''または'''重要土地等調査法'''<ref name="aklo">{{cite web|url=https://ak-law.jp/%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/column/1165/|title=国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律について|date=2021.07.07|accessdate=2021-12-16|author=天方川崎法律事務所}}</ref>)は、[[国家安全保障]]上支障となるおそれがある重要な土地等の取引やその周辺における利用行為の規制等を可能とする[[日本]]の[[法律]]である(第1条)。
'''重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律'''(じゅうようしせつしゅうへんおよびこっきょうりとうとうにおけるとちとうのりようじょうきょうのちょうさおよびりようのきせいとうにかんするほうりつ、令和3年法律第84号、通称'''重要土地利用規制法'''<ref name="niben-opinion"/>、'''土地規制法'''または'''重要土地等調査法'''<ref name="aklo">{{cite web|url=https://ak-law.jp/%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/column/1165/|title=国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律について|date=2021.07.07|accessdate=2021-12-16|author=天方川崎法律事務所}}</ref>)は、[[国家安全保障]]上支障となるおそれがある重要な土地等の取引やその周辺における利用行為の規制等を可能とする[[日本]]の[[法律]]である(第1条)。


施行日は公布の日(2021年(令和3年)6月23日)から起算して1年3月を超えない範囲内において政令で定める日とされている(附則第1条)。
令和3年6月23日公布、施行日は公布の日から起算して1年3月を超えない範囲内において政令で定める日とされている(附則第1条)。


==構成==
==構成==
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==背景と沿革==
==背景と沿革==
2010年代の日本おいては、安全保障上重要な施設([[海上自衛隊]][[対馬防備隊]]や[[航空自衛隊]][[千歳基地]]など)の周辺の土地が[[中国]]や[[韓国]]などの[[外国資本]]によって取得されこと相次いで報じられ、政界においても安全保障上の影響を懸念する主張が高まっていた。本法は、このような状況を前提として、外国資本による不透明な土地取得を防ぐことを狙いとしていると説明されていた<ref name="nikkei-seiritsu"/>。
2010年代に入り、安全保障上重要な施設([[海上自衛隊]][[対馬防備隊]]や[[航空自衛隊]][[千歳基地]]など)の周辺の土地が[[中国]]や[[韓国]]などの[[外国資本]]によって取得されていること相次いで報じられ、安全保障上の影響を懸念する主張が高まっていた。本法は、このような状況を前提として、外国資本による不透明な土地取得を防ぐことを目的としたものであるとされた<ref name="nikkei-seiritsu"/>。
{{seealso|外国人土地法}}
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ただし、このような[[立法事実]]が現実に存在するか否かについては疑問視する意見もある。すなわち、地方公共団体から安全保障の観点から必要な法整備を求める意見書が提出されたというが、そのような意見書を提出した地方公共団体は極めて少数であり、千歳基地が所在する[[苫小牧市]]や対馬防備隊が所在する[[対馬市]]からも提出されていないこと、[[防衛省]]が行った調査でもこれまで具体的な防衛上の支障が生じたことはなかったと判明したこと、千歳基地や対馬の事例もリゾート開発等の目的であったことが明らかになったことなどから、政府が安全保障上のリスクを正確に把握していない疑いがあるというのである。国会審議の過程では、これらの問題点について問われた担当大臣は、「それをしっかりと調査をするということでございます」などと答弁している<ref name="niben-opinion">{{cite web|url=https://niben.jp/news/opinion/2021/202107272999.html|title=いわゆる重要土地利用規制法の成立に抗議するとともに、その適用に反対し、廃止を求める意見書|author=[[神田安積]]|date=2021年07月27日|accessdate=2021-12-16|website=[[第二東京弁護士会]]}}</ref>。
ただし、このような[[立法事実]]が現実に存在するか否かについては疑問視する意見もある。すなわち、地方公共団体から安全保障の観点から必要な法整備を求める意見書が提出されたというが、そのような意見書を提出した地方公共団体は極めて少数であり、千歳基地が所在する[[苫小牧市]]や対馬防備隊が所在する[[対馬市]]からも提出されていないこと、[[防衛省]]が行った調査でもこれまで具体的な防衛上の支障が生じたことはなかったと判明したこと、千歳基地や対馬の事例もリゾート開発等の目的であったことが明らかになったことなどから、政府が安全保障上のリスクを正確に把握していない疑いがあるというのである。国会審議の過程では、これらの問題点について問われた[[小此木八郎]][[領土問題担当大臣]](当時)は、「それをしっかりと調査をするということでございます」などと答弁している<ref name="niben-opinion">{{cite web|url=https://niben.jp/news/opinion/2021/202107272999.html|title=いわゆる重要土地利用規制法の成立に抗議するとともに、その適用に反対し、廃止を求める意見書|author=[[神田安積]]|date=2021年07月27日|accessdate=2021-12-16|website=[[第二東京弁護士会]]}}</ref>。


本法は「'''国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案'''」として国会審議にかけられた後、2021年6月16日、[[参議院]][[本会議]]において可決・成立した<ref name="nikkei-seiritsu">{{cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE161190W1A610C2000000/|title=安保上重要な土地、取引規制の新法 基地・原発周辺調査|date=2021年6月16日|newspaper=日経新聞}}</ref>。
本法は「'''国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案'''」として国会審議にかけられた後、2021年6月16日、[[参議院]][[本会議]]において可決・成立した<ref name="nikkei-seiritsu">{{cite news |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE161190W1A610C2000000/|title=安保上重要な土地、取引規制の新法 基地・原発周辺調査|date=2021年6月16日|newspaper=日経新聞}}</ref>。
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[[Category:防衛政策]]
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[[Category:不動産]]
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[[Category:人権問題]]
[[Category:日本の公安]]

2021年12月27日 (月) 12:07時点における版

重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 重要土地利用規制法、土地規制法、重要土地等調査法
法令番号 令和3年法律第84号
種類 防衛・安全保障法
効力 未施行
成立 2021年6月16日
公布 2021年6月23日
施行 2022年9月20日
主な内容 重要施設周辺における不動産取引や一定の行為の規制、政府による情報収集等
関連法令 安全保障関連法
条文リンク 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律 - e-Gov法令検索
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重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(じゅうようしせつしゅうへんおよびこっきょうりとうとうにおけるとちとうのりようじょうきょうのちょうさおよびりようのきせいとうにかんするほうりつ、令和3年法律第84号、通称重要土地利用規制法[1]土地規制法または重要土地等調査法[2])は、国家安全保障上支障となるおそれがある重要な土地等の取引やその周辺における利用行為の規制等を可能とする日本法律である(第1条)。

令和3年6月23日公布、施行日は公布の日から起算して1年3月を超えない範囲内において政令で定める日とされている(附則第1条)。

構成

第一章 総則(第一条―第三条)

第二章 基本方針(第四条)

第三章 注視区域(第五条―第十一条)

第四章 特別注視区域(第十二条・第十三条)

第五章 土地等利用状況審議会(第十四条―第二十条)

第六章 雑則(第二十一条―第二十四条)

第七章 罰則(第二十五条―第二十八条)

附則

背景と沿革

2010年代に入り、安全保障上重要な施設(海上自衛隊対馬防備隊航空自衛隊千歳基地など)の周辺の土地が中国韓国などの外国資本によって取得されていることが相次いで報じられ、安全保障上の影響を懸念する主張が高まっていた。本法は、このような状況を前提として、外国資本による不透明な土地取得を防ぐことを目的としたものであるとされた[3]

ただし、このような立法事実が現実に存在するか否かについては疑問視する意見もある。すなわち、地方公共団体から安全保障の観点から必要な法整備を求める意見書が提出されたというが、そのような意見書を提出した地方公共団体は極めて少数であり、千歳基地が所在する苫小牧市や対馬防備隊が所在する対馬市からも提出されていないこと、防衛省が行った調査でもこれまで具体的な防衛上の支障が生じたことはなかったと判明したこと、千歳基地や対馬の事例もリゾート開発等の目的であったことが明らかになったことなどから、政府が安全保障上のリスクを正確に把握していない疑いがあるというのである。国会審議の過程では、これらの問題点について問われた小此木八郎領土問題担当大臣(当時)は、「それをしっかりと調査をするということでございます」などと答弁している[1]

本法は「国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案」として国会審議にかけられた後、2021年6月16日、参議院本会議において可決・成立した[3]

内容

本法は主として以下のような施策を内容としている[3]

  1. 自衛隊基地および原子力発電所の周囲1kmや国境の離島を「注視区域」に指定する。
  2. 自衛隊司令部などの特に重要な施設を「特別注視区域」に指定する。
  3. 外国と関係の深い所有者がいる土地などについて、政府が利用実態の調査を行う。
  4. 特別注視区域については、一定規模以上の不動産売買を事前届出制とする(無届売買や虚偽報告には懲役6月以下などの罰則あり)。
  5. 電波妨害ライフライン遮断など、重要施設の機能を妨げる行為に対しては中止命令等を可能とする(違反に対しては懲役2年以下などの罰則あり)。

規制対象区域

国会審議においては、規制対象区域としては、国境離島は484カ所、防衛関係施設は500カ所以上がに想定されていると説明されている。ただし、特別注視区域については、経済活動への影響が大きくなる市街地[注釈 1]は当面対象とされない見込みである[3]

批判

本法に対しては、基本的人権を過剰に制限するおそれなどが指摘され、これを批判する主張がある[1][2][3]。具体的には次のようなものがある。

  • 以下のように規制内容が曖昧な部分があり、政府により恣意的に決定されるおそれがあること。
    • 調査規制の対象となる「注視区域」の範囲に限定がないこと。
    • 「注視区域」で行われる調査内容の決定方法に制限がないこと。
    • 土地の利用禁止を認める要件は重要施設等の「機能を害する行為」「明らかなおそれ」とされ、抗議行動などの規制にも用いられうること。
  • 地方公共団体の長からの土地利用者の情報取得や、土地利用者からの報告・資料の徴求が可能となり、個人情報プライバシーの保護の観点から問題があること。
  • そもそも立法事実の存在に疑いがあること(#背景と沿革参照)。

これに対して、加藤勝信官房長官(当時)は、2021年6月16日、記者会見において、恣意性の徹底排除や説明責任を果たすことなどを表明した[3]

脚注

注釈

  1. ^ 防衛省の本省は都心市ヶ谷に位置しているため、当面本法の対象とならない見込みである。

出典

関連項目

外部リンク