コンテンツにスキップ

「北近畿タンゴ鉄道KTR700形気動車」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Mc73970 (会話 | 投稿記録)
m →‎概要: 表と表記を統一。
海丈田 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
27行目: 27行目:
| 備考 =
| 備考 =
}}
}}
'''北近畿タンゴ鉄道KTR700形気動車'''(きたきんきタンゴてつどうKTR700がたきどうしゃ)及び'''KTR800形気動車'''(KTR800がたきどうしゃ)は、[[1989年]](平成元年)に[[北近畿タンゴ鉄道]]が導入し、[[2015年]](平成27年)4月1日からは[[WILLER TRAINS]](京都丹後鉄道)で使用されている[[気動車]]([[ディーゼルエンジン|ディーゼル]]動車)である。
'''北近畿タンゴ鉄道KTR700形気動車'''(きたきんきたんごてつどうKTR700がたきどうしゃ)及び'''KTR800形気動車'''(KTR800がたきどうしゃ)は、[[1989年]](平成元年)に[[北近畿タンゴ鉄道]]が導入し、[[2015年]](平成27年)4月1日からは[[WILLER TRAINS]](京都丹後鉄道)で使用されている[[気動車]]([[ディーゼルエンジン|ディーゼル]]動車)である。


== 概要 ==
== 概要 ==

2022年3月21日 (月) 03:17時点における版

北近畿タンゴ鉄道KTR700形・KTR800形気動車
KTR800型気動車 二期リニューアル車
基本情報
運用者 北近畿タンゴ鉄道所有
WILLER TRAINS(運用)
製造所 富士重工業
製造年 1989年 - 1990年
主要諸元
軌間 1,067 mm
最高速度 95 km/h
車両定員 KTR700形:52(座)+61(立)=113名
KTR800形:56(座)+58(立)=114名
自重 KTR700形: 33.9 t
KTR800形: 33.5 t
全長 20,500 mm
全幅 3,190 mm
全高 4,053 mm
台車 二軸ボギー台車(ボルスタレス式)
FU38D・FU38T
動力伝達方式 液体式
機関 新潟鐵工所 6H13AZ
機関出力 330 PS × 1
制動装置 DE1A自動空気ブレーキ
テンプレートを表示

北近畿タンゴ鉄道KTR700形気動車(きたきんきたんごてつどうKTR700がたきどうしゃ)及びKTR800形気動車(KTR800がたきどうしゃ)は、1989年(平成元年)に北近畿タンゴ鉄道が導入し、2015年(平成27年)4月1日からはWILLER TRAINS(京都丹後鉄道)で使用されている気動車ディーゼル動車)である。

概要

北近畿タンゴ鉄道が、特定地方交通線であった西日本旅客鉄道(JR西日本)宮津線の転換を受けるにあたり、1989年(平成元年)12月と1990年(平成2年)3月に、富士重工業で製造した軽快気動車である。富士重工業が地方交通線向けに開発した軽快気動車・LE-DCの流れを汲む車両であるが、制動装置や機関などにNDCの要素も持ち、車体長は20 m級に延伸されるなど、この系統の気動車では最大級のものである。製造数は、和式トイレ付きのKTR700形が9両 (701 - 709、(内702、707、708は洋式改造)) 、トイレのないKTR800形が3両 (801 - 803) である。

両形式の主要諸元はトイレの有無以外基本的に同一で、最大長20,500 mm、最大高4,053 mm、最大幅3,190 mm、自重33.9 t(KTR800形は33.5 t)である。前面形状は、先行のMF100形・MF200形とほぼ同一の意匠であるが、本形式では前面窓が車体側面に回り込んだパノラミック・ウィンドウとなっている。側面には、2連式の一段下降式窓が並び、片開き扉が両端にあることから、外観はかつての急行形車両グリーン車を彷彿とさせる。座席は新幹線0系電車の普通車で使われた国鉄の「W-12」に、暖房用温風出口と足置きを追加したうえ、中間の肘掛けを除いた形状の2人掛け転換クロスシートが並び[注 1]、定員はKTR700形が115人(うち座席52人)、KTR800形が114人(うち座席56人)である。車体色は水色(タンゴブルー)に千歳緑鳶赤の帯が窓下に巻かれており、客用扉と前面貫通扉はステンレス無塗装でアクセントとしている。全車が新製時からワンマン運転対応設備を装備している。

機関は新潟鐵工所製の6H13AZ(330 PS)で、MF100形・MF200形の250 PSより強力な機関を装備している。台車はボルスタレス式のFU38D/FU38Tである。

KTR700形気動車
更新前(豊岡)
KTR800形気動車
更新前(西舞鶴)
KTR700形気動車の車内
座席のテーブルと灰皿(禁煙)

車両一覧

ここでいう一般色は丹後ブルーの車両である。

車両番号 外装 トイレ
701 丹後ゆめ列車 あり
702 あかまつ
703 コミューター車両
704 二期リニューアル色
705 二期リニューアル色
706 コミューター車両
707 くろまつ
708 あおまつ
709 丹後ゆめ列車II
801 二期リニューアル色 なし
802 二期リニューアル色
803 コミューター車両

運用

KTR700形・KTR800形全車両が西舞鶴運転区に配置されている。宮津線の西舞鶴 - 豊岡間の全線で使用される他、丹後あおまつ車両の708号車[注 2] は宮福線にも乗り入れ、福知山まで直通する。かつては一部列車が豊岡からJR山陰本線に乗り入れ、城崎(現・城崎温泉)まで運転されていた時期があったが、1999年10月2日のダイヤ改正で廃止された。

通常は単行でワンマン運転を行うが、通勤・通学時には2両編成での運用もある。過去にはお盆やカニシーズンなどの多客期に車掌が乗務する3両編成で運行されたこともある他、MF100形・MF200形と連結して運転されたこともあるが近年ではいずれも見られない。

ラッピング車両

2008年4月1日から701号車が「乗ってみたくなるKTRトレイン・デザイン」コンペ最優秀作品に選ばれたデザインをそのままラッピングされた「丹後ゆめ列車」として運行されている[1]

2010年3月19日から709号車が「乗ってみたくなるKTRトレイン・デザイン」コンペ入選作品に選ばれた「丹後ゆめ列車II」として極彩色のラッピングが施され運行されている[2]。なお、この時にロングシートに改造され、多目的利用を目的として、通路に畳が敷けるようになっている[3]

2011年12月3日から705号車が『映画けいおん!』とのコラボレーションによる「けいおん!」ラッピング車両となった[4][5]。なおこのラッピングは地元ボランティアの手で行われた[6]

2012年10月2日から2013年3月31日(後に9月28日まで延長)の期間で、705号車が『宇宙戦艦ヤマト2199』とのコラボレーションによるラッピング列車となり運行された[7]。KTRサポーターズクラブ及びKYOTO CMEX2012オフィシャル事業「GO-TAN」との共同企画であり、Production I.Gの協力のもと、制作委員会とのタイアップ企画として実施された。運行計画は事前にホームページで案内されていた。

WILLER TRAINSに運行移管された後では、2018年11月10日から2019年5月末まで、OVA『Re:ゼロから始める異世界生活』劇場上映記念のコラボレーション企画として、705号車にラッピングが施されて運行された[8]


「丹後ゆめ列車」ラッピングのKTR701号車
「丹後ゆめ列車II」ラッピングのKTR709号車
「けいおん!」ラッピングのKTR705号車
「宇宙戦艦ヤマト2199」ラッピングのKTR705号車(タンゴ悠遊号運用)

あかまつ・あおまつ・くろまつ

2013年に、座席定員制列車「丹後あかまつ号」・「丹後あおまつ号」用にKTR700形2両が内外装の改装を受けた[9][10](施工は大阪車輌工業)。該当車両は指定席車「あかまつ」がKTR702、自由席車「あおまつ」がKTR708である。デザインはインダストリアルデザイナー水戸岡鋭治が担当し、木材を多用した内装やサービスカウンターを設置した。和式トイレは洋式トイレに簡易改造したが、車椅子対応ではない。両車は3月29日に搬入され[11]、4月7日に京都駅での展示を行った後、4月14日から運用に就いている[12]。さらに、KTR800形1両(KTR803)が「コミューター車両」としてリニューアルされ、同年10月下旬から普通列車として運用された後、11月1日から本格的に運用を開始した。「コミューター車両」は「あかまつ」と連結して運行する他、通常の普通列車にも充当されている[13]。その後、KTR700形1両(KTR703)も「コミューター車両」としてリニューアルされている。

2014年には、「丹後くろまつ号」用にKTR700形1両(KTR707)が改装を受け、「くろまつ」車両として同年5月25日に運行を開始した。デザインやモチーフは上記2車両と統一したものとなっているが、「『海の京都』の走るダイニングルーム」をコンセプトに、車内にキッチンを備え、食事の提供を前提とした車両となっている[14][15]なお「丹後くろまつ号」は定期的に運行されるルートが変更される[16]

なお、「あかまつ」「くろまつ」は完全な観光型車両であるのに対し、「あおまつ」は在来車両と同様に普通列車としての運用が存在する[注 3]

脚注

注釈

  1. ^ 肘掛に引き出し式のテーブルや灰皿(固定はされていないが、喫煙は禁止)が備わるなど、外観や形状に共通点が多い。なおモケットは独自色で、カバーも新たにデザインされている。
  2. ^ 代走時は一般車両も入る。
  3. ^ 西舞鶴 - 豊岡間1本・豊岡 - 宮津間1本は毎日。野田川 - 西舞鶴間は「丹後あおまつ号」運行日(奇数日)のみ運行。

出典

  1. ^ 北近畿タンゴ鉄道に「丹後ゆめ列車」登場 - 鉄道ファン 鉄道ニュース(2008年4月3日掲載)
  2. ^ 北近畿タンゴ鉄道 丹後ゆめ列車Ⅱ 出発式 - 鉄道コム(2010年3月15日付)
  3. ^ 「丹後ゆめ列車II」誕生 - 鉄道ファン 鉄道ニュース(2010年3月31日掲載)
  4. ^ 〜運行計画を掲載しました〜KTR映画「けいおん!」ラッピング車両 登場! 12/3より”. 北近畿タンゴ鉄道 (2011年11月29日). 2011年12月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年12月26日閲覧。
  5. ^ “北近畿タンゴ鉄道KTR705に映画「けいおん!」ラッピング”. railf.jp 鉄道ニュース (交友社). (2011年12月4日). http://railf.jp/news/2011/12/04/093200.html 2011年12月13日閲覧。 
  6. ^ “「けいおん!」列車でGO KTRがラッピング”. 京都新聞 (京都新聞社). (2011年12月7日). オリジナルの2012年2月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120204051658/http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20111207000048 2011年12月7日閲覧。 
  7. ^ 宇宙戦艦ヤマト2199ラッピング列車”. 北近畿タンゴ鉄道 (2012年10月3日). 2013年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月1日閲覧。
  8. ^ 京都丹後鉄道で「Re:ゼロから始める異世界生活」ラッピング車両運転 - 鉄道ファン 鉄道ニュース(2018年11月13日掲載)
  9. ^ 「丹後あかまつ号」「丹後あおまつ号」運行開始”. 北近畿タンゴ鉄道 (2013年2月20日). 2014年12月26日閲覧。
  10. ^ 北近畿タンゴ鉄道観光型リニューアル列車 「丹後あかまつ号・丹後あおまつ号」の運行開始等について”. 北近畿タンゴ鉄道 (2013年3月22日). 2015年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月22日閲覧。
  11. ^ “KTR「あかまつ」・「あおまつ」が搬入される”. 鉄道ファン(railf.jp 鉄道ニュース) (交友社). (2013年3月30日). http://railf.jp/news/2013/03/30/120000.html 2013年3月30日閲覧。 
  12. ^ 「丹後あかまつ号」「丹後あおまつ号」が運行開始!”. 北近畿タンゴ鉄道 (2013年4月5日). 2014年12月26日閲覧。
  13. ^ 「あかまつ」「あおまつ」運用改正等について”. 北近畿タンゴ鉄道 (2013年10月11日). 2014年12月26日閲覧。
  14. ^ 「くろまつ」車両 今春デビュー!”. 北近畿タンゴ鉄道 (2014年4月23日). 2014年12月26日閲覧。
  15. ^ 『海の京都』食と風景に出会う列車 「丹後くろまつ号」5月25日運行開始!”. 北近畿タンゴ鉄道 (2014年4月23日). 2014年7月6日閲覧。
  16. ^ 「丹後くろまつ号」の運行ルートが変わります!”. 北近畿タンゴ鉄道 (2014年11月7日). 2014年12月26日閲覧。

外部リンク