「ファンタシースターオンライン エピソード3 カードレボリューション」の版間の差分
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2006年12月11日 (月) 11:40時点における版
ファンタシースターオンライン エピソード3 カードレボリューション (Phantasy Star Online Episode III C.A.R.D. Revolution) は、2003年11月27日に発売されたニンテンドーゲームキューブ用ゲームソフト。『ファンタシースターオンライン』 (PSO) シリーズのひとつである。
従来のシリーズとは異なり、ジャンルはオンラインカードゲームとなっている。開発と運用はセガおよびソニックチーム、ゲームバランスの監修(後述のカドレボ)は猿楽庁が行なっている。 「PSOep3」もしくは単に「EP3」と呼ばれることが多い。
本作において最も特徴的なのが、システムが従来のアクションRPGからカードゲーム方式のものへと変更された点である。
概要
物語の舞台は『エピソード1&2』の時代から21年後。C.A.R.D.と呼ばれる新技術をめぐり、ハンターズ=政府側とアークズ=革命組織との抗争を主軸にストーリーは展開する。
登場人物は上記のC.A.R.D.(カード)を用いて戦闘を行なっていく。 カードには様々なものがあるが、アクション・アシストカード以外は従来のシリーズに登場したアイテムやエネミーが使われている。
従来のシリーズ同様、ネットワークモードでプレイヤー同士の対戦や交流を行なうことができる。ゲームキューブ版の『エピソード1&2』とはサーバを共有しているため、ソフトが異なっていてもロビーでチャットであれば可能である。オフラインではシナリオモードとオフライン対戦が用意されている。
様々な面において革新したと言える本作であるが、ユーザーの人気は従来のシリーズほど持続せず、徐々に衰退していった。これには様々な理由が考えられるが、以下に代表的なものを取り上げると:
- 『PSO』シリーズはプレイヤー間の協力・協調を重視するものであった。しかし本作においては対戦するカードゲームであるために、どうしても勝敗の結果が影響してプレイヤー間の交流が深まりにくく、オンラインゲーム本来の長所が損なわれている。
- 本作においてもレベル制を採用しており、上昇すればレアカードを入手し戦略の幅が広がる。しかしレベルアップに必要な経験値は対戦において勝利しなければ得られない(またはCPUが操る無人キャラを黙々と倒し続けるしかない)ため、ゲームを続ける意欲が今ひとつ保てない。
- 大規模なイベントである公式大会も何度か開催されたものの、時間を浪費しなければ予選すら突破できないためにプレイヤーの参加率は振るわなかった。
- レアカードの入手率が非常にシビアで、殆ど0%に近い確率だった。さらに「解禁」と言われる入手率の急上昇、つまり誰でも手に入れられる確率にすることによりコレクターの収集意欲を減退させた。
- 製作サイドは「皆でワイワイできるボードゲーム」といったスタンスであるため、本作では運の要素を意図的に増やしている。したがって戦略というものを構築しづらく、その場その場の出た所勝負を楽しむしかない。
- 各カードの能力やパラメータも熟考されているとは言い難く、対戦において実用レベルであるデッキは限られる(定番デッキの流行)。
- カドレボ(後述)システムは上記の問題を解決できる可能性を持っていたが、施行される回数が圧倒的に少なく、またその内容も当時のカード人気状況を鑑みたものでもなく、さらに強化と弱体化が極端であったためにその長所を全くの無駄にしている。
といった事が挙げられる。
本作は運営と調整によっては長く遊べるゲームになり得ただけに、残念な結果に終わってしまったと言える。
2006年12月8日、3月31日23:59にEP1&2と共に、オンラインサービスが終了することが決定した。
カードによる対戦
あくまでプレイヤーは指揮官という立場付けであり、実際の対戦はエディットされたキャラクターを選択する事になる。したがってキャラクターメイキングで作成したPCはロビーでのチャット等でしか意味を持たない。
基本ルール
基本的に1対1ないし2対2で対戦を行なう。他のカードゲーム同様、対戦相手(チーム)キャラクターのHPをゼロにすれば勝利となる。
カード
カードはキャラ、アイテム、アクション、アシストカードといった種類に分かれている。
キャラカードはプレイヤーが操作するキャラクターであり、このカードのHPがゼロになる事で負けとなる。
アイテムカードはアイテムやエネミーのカードの事を指す。
アクションカード(AC)は攻撃ACと防御ACの2種類に分かれている。攻撃ACは特殊効果や攻撃範囲の拡張等の効果を追加する。防御ACはダメージを防ぐもので、味方に出して援助を行なえるものもある。
アシストカードはキャラクター全員に特殊な効果を発生させるもので、扱いによっては有利不利をもたらす。
所属勢力
キャラカード(カードとしての分類はSキャラという)はハンターズ側かアークズ側のどちらかの勢力に所属しており、それによってアイテムカード(Fキャラ)の使用方法も変わってくる。
ハンターズ側のSキャラはアイテムを装備し、Sキャラ自身を移動させて攻撃を行なう。SキャラのHPは非装備状態で攻撃を受けるか、もしくは装備カードが破壊される事で減少する。
アークズ側のSキャラはエネミーを召還し、それを操作することで攻撃を行なう。エネミーが破壊されてもSキャラのHPは減少しないため、倒すにはSキャラを直接攻撃する必要がある。
ダイス
行動するにあたって必要となるポイントはATK(攻撃や移動)とDEF(防御)に分かれており、ダイスによって入手ポイントが決まる。
ダイスは1~6の値をランダムに出し、値の高い方がATKに、低い方がDEFに振り分けられる。
基本的な対戦の流れ
自分が操作できる回をターンと呼び、ターンはフェイズという段階に分けられる。
- まずターンの始めにダイスを振り、ATK/DEFポイントを決定する。
- セットフェイズ。ここでは手札内のどのカードを使用するかを決定する。
- ムーブフェイズ。キャラクターをどこに移動させるかを決定する。
- アクションフェイズ。攻撃行動とその対象を決定する。
- ドローフェイズ。手札内に捨てたいカードがあれば選択し、山札からカードを補充する。
以上のようなターンをプレイヤーが交互に行うことで対戦が進行する。
対戦以外のシステム
カードレボリューション
「カドレボ」と呼ばれている。カードのパラメータ数値を変更できるシステムである。これによって単調な強さを持つカードの弱体化や、日の当たらない弱いカードを強化する等のゲームバランス是正が行なえるようになった。
ただし、効果が適用されるのはオンライン時のみである。ユーザーの投票によって変更対象が選ばれる事もあった。
観戦
観戦部屋を作成し、他人の対戦プレイを鑑賞する事ができる。部屋内のプレイヤーでチャットも可能。
トーナメント
ロビーのカウンターでトーナメント表に登録し、多人数でのトーナメント戦を行なうことができる。
シナリオモード
ハンターズ側とアークズ側を選択し、両勢力でのストーリーを進める事ができる。基本的にミッション方式で、司令官から受けた任務やキャラに話しかける事で発生した依頼を行い、クリアすれば次の任務や依頼に進んでいく。
要所ではビジュアルシーンが挿入されており、従来のシリーズよりもストーリー性が向上している。
しかしながら、プレイヤーはあくまで指揮官=傍観者的立場に置かれており、折角のストーリー世界に入り込めないという、最大の欠点を補うには至っていない。
キャラクター
ハンターズ
- シルファ HUnewearl
- クランツ RAmar
- イノリス FOmarl
- キルリア RAmarl
- ヴィヴィアナ FOnewearl
- テイフー HUcast
- レルミトス FOmar
- オルランド HUmar
- ガイキルド RAcast
- サリガン HUcaseal
- グルスター FOnewm
- ステラ RAcaseal
- ペンターグラス
- ドル・グリセン
アークズ
- ブレイク
- ルーラ
- エンドゥー
- ケイシー
- メモル
- ルフィナ
- リオ
- ペコ
- ヘイズ
- レイズ
- クレイヌ
- オーガン
- レッド
用語
- C.A.R.D.
- Compressed Alternate Real Data=圧縮擬似データの略称。形状は手に収まるほどのカードサイズである。
- このテクノロジーは「菌」と呼ばれる物質を用いている。「菌」は物体の分解・再構築を自由に行なう事のできる物質で、これを用いる事でカード状のデバイスに様々な武器やエネミーのデータを入力し自由に再構築する事ができる(ただし再構築したエネミーには身体データのみであるため、自我が無く操り人形とも言える状態にある)。
- 未だに実験段階にあるC.A.R.D.技術であるが、その未知の可能性は高く評価されており、データさえあれば生命体の再構築も可能であると言われている。
- パイオニア2
- 本星コーラルから来たラグオル移民船。未だにラグオル地表に降りる事はなく、静止軌道上に浮いている。
- 『エピソード1&2』の時代から21年の歳月が経っているため、船の中で生まれ大地を知らない「シップチャイルド」と呼ばれる人間もいる。
- 身体スキャニングによって住民の健康状態は完全に管理されている。
- C.A.R.D.研究所
- 総督府-ラボ傘下の組織で、その名の通りC.A.R.D.技術を研究している。ハンターズもここの所属ということになるが、研究員というよりは依頼によってデータ収集を手伝っていると言った方が近い。
- ここは通常モルグと呼ばれている。モルグとは「死体安置所」といった意味だが、誰がこう呼び始めたのかは不明。一説には、設立当初に雑多な機械置き場と化していた事に由来すると言われている。
- ハンターズ
- ギルドに所属し、依頼を受けて諸事を代行する人間…というのが本来の意味だが、EP3では総督府側の勢力といった意味を指す事が多い。
- 総督府の任務や民間人の依頼を受け、ラグオルに降りて行動する。
- アークズ
- パイオニア2の真の自由を求めて設立された反政府組織。ラグオルの環境開発等を妨害している。
- メンバーの中には裏の事情に精通した人間も多い。
- OPSS
- A.U.W.3098に起きたアンドロイドの大量虐殺事件。原因は人口管理による制限とされている。
- この事件を契機にアンドロイドの人権は見直され、名称もヒューマノイドに変わった。しかしながらその影響は大きく、生き残ったヒューマノイドの中には未だ心の傷が癒えない者もいる。
空白の21年間
『エピソード1&2』、『4』から『エピソード3』までの21年間における概略を記す。
- A.U.W.3084
- セントラルドーム中心で謎の大爆発が発生(『エピソード1&2』の物語にあたる)。
- A.U.W.3087
- 本星コーラルでの10カ国同盟が廃止され、代わりに5カ国連盟が設立される。
- A.U.W.3089
- パイオニア2が本星コーラルに対し独立を宣言、一時的な国交封鎖。
- コリン・タイレル、総督職を解任される。
- ラグオル地表におけるエネミー群が急速に減少、沈静化する。
- A.U.W.3090
- ドル・グリセン、新総督に就任。独裁政治を始める。
- A.U.W.3094
- 総督府に対する反乱が発生するも、大きな事件にはならずに鎮圧される。
- A.U.W.3095
- 本星コーラルがパイオニア2を国家として認めるという声明を発表し、両者間の国交が回復する。
- パイオニア2、人口増加が問題視され始める。出産制限と身体スキャニングが義務化される。
- A.U.W.3098
- OPSS事件が発生。各地でアンドロイド狩りが横行する。
- A.U.W.3099
- OPSS首謀者が拘束され、アンドロイド狩りが収束。
- アンドロイドの人権が見直される。名称もヒューマノイドへと変更。
- A.U.W.3101
- 「菌」が発見され、研究が開始する。
- A.U.W.3103
- C.A.R.D.技術の発明。
- A.U.W.3105
- C.A.R.D.技術実用化。C.A.R.D.研究所が秘密裏に設立され、ハンターズの一部が編入される。
- アークズ設立。