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「若年被害女性等支援事業」の版間の差分

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2017年12月、[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]と[[公明党]]の「[[性犯罪]]・[[性暴力]]被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム」は「性犯罪・性暴力被害根絶のための10の提言」を政府に提出した。提言の1つとして、「10代、20代の女性は性暴力にあっても、誰にも相談できず、自分だけで抱え込み、顕在化しにくく、支援になかなかつながらない。被害を未然に防ぐため、こうした若年性暴力被害者の実態及び相談・支援の現状を把握し、今後の相談・支援のあり方について検討を行うこと」を求めた<ref name="厚生労働省180730">{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000340515.pdf |title=婦人保護事業の見直しの検討について|publisher=[[厚生労働省]] |format=pdf |date=2018-07-30 |accessdate=2023-01-22}}</ref>。当時の厚生労働大臣の[[加藤勝信]]は2018年1月31日の参議院予算委員会で、同年度予算について「地方自治体に対する補助事業として若年被害女性等支援モデル事業の創設を盛り込んでいる。具体的には、民間[[支援団体]]による夜間の夜回り、声掛けなどのいわゆるアウトリーチ支援、居場所の確保、相談支援の実施に対してこれは助成を行う、それから民間支援団体、地方自治体、[[ハローワーク]]などの関係機関が連携して支援するための会議を設置する、こういったことを想定をし、具体的なモデルになるような体制をまず構築をし、それを全国展開を図っていきたい」と表明した<ref>{{Cite web |url=https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119615261X00220180131 |title=第196回国会 参議院 予算委員会 第2号 平成30年1月31日|publisher=国会会議録検索システム|accessdate=2023-01-22}}</ref>。こうして18年度から[[モデル事業]]が開始された。
2017年12月、[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]と[[公明党]]の「[[性犯罪]]・[[性暴力]]被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム」は「性犯罪・性暴力被害根絶のための10の提言」を政府に提出した。提言の1つとして、「10代、20代の女性は性暴力にあっても、誰にも相談できず、自分だけで抱え込み、顕在化しにくく、支援になかなかつながらない。被害を未然に防ぐため、こうした若年性暴力被害者の実態及び相談・支援の現状を把握し、今後の相談・支援のあり方について検討を行うこと」を求めた<ref name="厚生労働省180730">{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000340515.pdf |title=婦人保護事業の見直しの検討について|publisher=[[厚生労働省]] |format=pdf |date=2018-07-30 |accessdate=2023-01-22}}</ref>。当時の厚生労働大臣の[[加藤勝信]]は2018年1月31日の参議院予算委員会で、同年度予算について「地方自治体に対する補助事業として若年被害女性等支援モデル事業の創設を盛り込んでいる。具体的には、民間[[支援団体]]による夜間の夜回り、声掛けなどのいわゆるアウトリーチ支援、居場所の確保、相談支援の実施に対してこれは助成を行う、それから民間支援団体、地方自治体、[[ハローワーク]]などの関係機関が連携して支援するための会議を設置する、こういったことを想定をし、具体的なモデルになるような体制をまず構築をし、それを全国展開を図っていきたい」と表明した<ref>{{Cite web |url=https://kokkai.ndl.go.jp/txt/119615261X00220180131 |title=第196回国会 参議院 予算委員会 第2号 平成30年1月31日|publisher=国会会議録検索システム|accessdate=2023-01-22}}</ref>。こうして18年度から[[モデル事業]]が開始された。

2022年、東京都の調査により、一般社団法人[[Colabo]]の会計において全体の事業経費のうち192万円が経費とは認められないという結果が公表され、[[加藤勝信]]厚生大臣は、調査結果や補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の趣旨を踏まえ、どのような対応が今後必要か検討していくことが必須になると表明した<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00532.html |title=加藤大臣会見概要 |access-date=2023/05/01 |publisher=厚生労働省}}</ref>。


== 実施自治体と委託団体 ==
== 実施自治体と委託団体 ==

2023年5月1日 (月) 22:51時点における版

若年被害女性等支援事業(じゃくねんひがいじょせいとうしえんじぎょう)は、日本で様々な困難を抱えた若年女性に対して、公的機関民間団体が密接に連携し、「アウトリーチ支援」や「居場所の確保」などを通じたアプローチを実施することで、女性の自立を推進する事業である。

日本政府が制度を創設し、都道府県や市、特別区が実施主体となっている。

2018年度から「若年被害女性等支援モデル事業」として始まり、21年度から現名称の事業となった。都県や市から、若い女性の女性を支援する社会福祉法人などの民間団体に事業を委託して実施され、夜間見回りや声かけ、一時的な「安全・安心な居場所」の提供などの活動を支援している[1][2]

概要

事業の対象者は、性暴力や虐待等の被害に遭うか、被害に遭うおそれのある主に10〜20代の女性とされている。厚生労働省による若年被害女性党支援事業実施要綱はこれらの女性を「若年被害女性等」と定義している[3]

事業のスキームは以下の4項目である[2][3]

アウトリーチ支援

困難を抱えた若年被害女性について、主に夜間見回り等による声掛けや、相談窓口における相談支援等を実施する。具体的には深夜の繁華街などを巡回し、家に帰れずにいる女性などに声かけすることや、電話やメール、LINEでの相談窓口の開設などがある。

関係機関連携会議

行政機関、民間団体、医療機関などで構成する会議を設置し、支援内容に関する協議や事例検証などを行い、公的機関と民間団体が相互に情報共有する。厚生労働省の事業実施要綱では月1回程度の開催が望ましいと定めている。

居場所の確保

一時的に安心・安全な居場所で支援することが必要になった若年被害女性について、1〜2日程度の居場所の提供や食事の提供などの日常生活の支援を行うとともに、不安や悩みに対する相談支援をする。

自立支援

継続的な支援が必要な女性や、居場所支援が長期化した女性に対し、居住地や就業に関する情報の提供や助言など、必要な自立に向けた支援をする。具体的には学校や家族との調整、就労支援、医療機関との連携による支援などが行われる。

事業の実施方法

都道府県や市、特別区が実施主体となり、国がその経費の2分の1を補助している。実施する都道府県などは、上記のスキーム4項目のうち「関係機関連携会議」以外の3項目を、社会福祉法人やNPO法人などに委託できる。ただし、年間を通じて支援をできる団体であることが条件であり、宗教活動や政治活動が目的の団体や、暴力団関係団体などは対象とならない[3]

事業化の背景

若い女性が抱える困難として性暴力や性被害、DV虐待貧困いじめ、などがあり、若い女性の場合、自ら悩みを抱え込みがちで、問題が顕在化しにくい。公的支援はこれまで、支援の窓口が当事者の側から来ることを前提としていること、大人の相談員とは価値観などにずれがあることなどからうまくいきにくく、支援制度の隙間で取り残されがちだった。また支援の根幹となる婦人保護事業は売春防止法に基づいて「性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子」(要保護女子)の「保護更生」を図るためとして始まった事業であり、社会経済状況などの変化から支援ニーズは多様化していた[4]。こうした中、2008年のリーマンショックごろから複数の民間支援団体によって、当事者と世代の近い女性が若年女性を支援する活動が始められ、これらの団体が独自性を活かして中長期の継続的支援を行う役割は大きくなった。ただ民間団体が継続して支援していくためには運営面などの課題もあった[4]

2017年12月、自由民主党公明党の「性犯罪性暴力被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム」は「性犯罪・性暴力被害根絶のための10の提言」を政府に提出した。提言の1つとして、「10代、20代の女性は性暴力にあっても、誰にも相談できず、自分だけで抱え込み、顕在化しにくく、支援になかなかつながらない。被害を未然に防ぐため、こうした若年性暴力被害者の実態及び相談・支援の現状を把握し、今後の相談・支援のあり方について検討を行うこと」を求めた[5]。当時の厚生労働大臣の加藤勝信は2018年1月31日の参議院予算委員会で、同年度予算について「地方自治体に対する補助事業として若年被害女性等支援モデル事業の創設を盛り込んでいる。具体的には、民間支援団体による夜間の夜回り、声掛けなどのいわゆるアウトリーチ支援、居場所の確保、相談支援の実施に対してこれは助成を行う、それから民間支援団体、地方自治体、ハローワークなどの関係機関が連携して支援するための会議を設置する、こういったことを想定をし、具体的なモデルになるような体制をまず構築をし、それを全国展開を図っていきたい」と表明した[6]。こうして18年度からモデル事業が開始された。

実施自治体と委託団体

東京都
福岡県
札幌市

掲載は2021年度時点[1]

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b 困難な問題を抱える女性への支援の充実・強化に向けた厚生労働省における対応について” (pdf). 厚生労働省. pp. 10-15. 2023年1月22日閲覧。
  2. ^ a b 令和5年度予算概算要求の概要(女性保護関係)” (PDF). 厚生労働省. 厚生労働省. p. 5. 2023年1月22日閲覧。
  3. ^ a b c 若年被害女性等支援事業の実施について” (pdf). 厚生労働省. 2023年1月22日閲覧。
  4. ^ a b 困難な問題を抱える若年女性に対する支援スタートアップマニュアル”. 2023年1月17日閲覧。
  5. ^ 婦人保護事業の見直しの検討について” (pdf). 厚生労働省 (2018年7月30日). 2023年1月22日閲覧。
  6. ^ 第196回国会 参議院 予算委員会 第2号 平成30年1月31日”. 国会会議録検索システム. 2023年1月22日閲覧。

外部リンク