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'''モル濃度'''(モルのうど、{{lang-en|molar concentration}})、'''物質量濃度'''(ぶっしつりょうのうど、{{lang-en|amount of substance concentration}})は[[濃度]]を表す計量単位で、単位[[体積]]の[[溶液]]中の[[溶質]]の[[物質量]]である。モル濃度の[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある[[SI単位]]は |
'''モル濃度'''(モルのうど、{{lang-en|molar concentration}})、'''物質量濃度'''(ぶっしつりょうのうど、{{lang-en|amount of substance concentration}})は[[濃度]]を表す計量単位で、単位[[体積]]の[[溶液]]中の[[溶質]]の[[物質量]]である。モル濃度の[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある[[SI単位]]は molm<sup>−3</sup>(モル毎立方メートル)であるが、通常 moldm<sup>−3</sup>(モル毎立方デシメートル)や molL<sup>−1</sup>(モル毎リットル)の単位がよく用いられる。[[計量法]]では、モル毎立方メートル、モル毎リットルの二つが定められている。 |
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[[化学]]や[[生化学]]などでよく用いられるが、溶液の体積は[[温度]]に依存して変化するため[[熱力学]]では使われにくい。そのため、温度補正[[係数]]や質量モル濃度など、温度が影響しない方法をとる<ref name=kaufman>{{Cite book |
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直近の国際機関[[JCGM]] 200:2012 ([[VIM]]3) の用語に従えば、これは、物質量濃度({{en|amount of substance concentration}} = {{en|amount concentration}} = {{en|concentration}})<ref name="VIM3">[http://www.bipm.org/utils/common/documents/jcgm/JCGM_200_2012.pdf International vocabulary of metrology – Basic and general concepts and associated terms (VIM) 3rd edition]</ref>のことである。 |
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{{mvar|n}} は溶質の物質量<ref name=kaufman/>、{{mvar|N}} は体積 {{mvar|V}} の溶液中の溶質粒子の個数、{{math|''N''/''V''}} が[[数密度]] {{mvar|''C''}} で、{{math|''N''<sub>A</sub>}} は[[アボガドロ定数]]である。 |
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== 計量単位としてのモル濃度 == |
== 計量単位としてのモル濃度 == |
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法定計量単位としてのモル濃度は、モル毎立方メートル(記号は、mol/m<sup>3</sup>)、モル毎リットル(mol/lまたはmol/L)の二つと、これらに[[SI接頭語]]を付した単位に限定される。これら以外のモル濃度単位を計量法上の[[計量法#取引、証明とは|取引・証明]]に用いることは禁止されている。 |
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[[国際単位系|SI]]の公式文書では、「基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例」として、「物質量濃度」(amount of substance concentration<ref>[https://www.bipm.org/documents/20126/41483022/SI-Brochure-9.pdf/fcf090b2-04e6-88cc-1149-c3e029ad8232#page=141 SI Brochure 9th edition(2019)] p.139, [[BIPM]]</ref> )、量記号は「{{mvar|c}}」として例示されている<ref> |
[[国際単位系|SI]]の公式文書では、「基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例」として、「物質量濃度」(amount of substance concentration<ref>[https://www.bipm.org/documents/20126/41483022/SI-Brochure-9.pdf/fcf090b2-04e6-88cc-1149-c3e029ad8232#page=141 SI Brochure 9th edition(2019)] p.139, [[BIPM]]</ref> )、量記号は「{{mvar|c}}」として例示されている<ref> |
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[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf#page=25 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版] 表5 基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例、物質量濃度、p.108、[[産業技術総合研究所]]、計量標準総合センター、2020年4月</ref>。 |
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多くの文献では伝統的に |
多くの文献では伝統的にmoldm<sup>−3</sup>やmol/dm<sup>3</sup>が用いられるが、これらはmolL<sup>−1</sup>に等しい。また、大文字でM(モーラーと読む)という略記もあり、しばしば[[SI接頭語]]とともに使用される。しかし、Mは、[[計量法]]でも[[国際単位系]]においても認められていない記号であり、[[計量法#取引、証明とは|取引・証明]]に用いることは禁止されている。 |
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: mol/m<sup>3</sup> = 10<sup>−3</sup>mol/dm<sup>3</sup> = 10<sup>−3</sup>mol/L = 10<sup>−3</sup>M = 1mM |
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* 2.00 mol/LのNaCl水溶液100 mLを調製することを考える。NaClの[[モル質量]]は58. |
* 2.00 mol/LのNaCl水溶液100 mLを調製することを考える。NaClの[[モル質量]]は58.4g/molとすると、NaClは、2.00mol/L × (58.4g/mol) × 100mL × (0.001L/mL) = 11.7g 必要となる。適量の水にNaClを溶解させ、100mLになるまで水をつぎ足すことにより2.00mol/LのNaCl水溶液100 mLができる。 |
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* 100mL の水に 11.6g の NaCl が溶解しているとする。水の密度は 1.00g/mL であるので、質量分率は (11.6g)/ (11.6g + 100g) × 100% = 10.4% である。溶液の密度は 1.07g/mL であり、その体積は (11.6g + 100g)/(1.07g/mL) = 104mL である。したがって NaCl のモル濃度は (11.6g)/ (58.4g/mol)/ (104mL) × 1000mL/L = 1.91M となる。 |
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== 脚注 == |
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2024年3月24日 (日) 13:27時点における版
モル濃度(モルのうど、英語: molar concentration)、物質量濃度(ぶっしつりょうのうど、英語: amount of substance concentration)は濃度を表す計量単位で、単位体積の溶液中の溶質の物質量である。モル濃度の一貫性のあるSI単位は molm−3(モル毎立方メートル)であるが、通常 moldm−3(モル毎立方デシメートル)や molL−1(モル毎リットル)の単位がよく用いられる。計量法では、モル毎立方メートル、モル毎リットルの二つが定められている。
化学や生化学などでよく用いられるが、溶液の体積は温度に依存して変化するため熱力学では使われにくい。そのため、温度補正係数や質量モル濃度など、温度が影響しない方法をとる[1]。
直近の国際機関JCGM 200:2012 (VIM3) の用語に従えば、これは、物質量濃度(amount of substance concentration = amount concentration = concentration)[2]のことである。
もるのうど モル濃度 英 molar concentration, amount of substance concentration | |
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記号 | c |
度量衡 | 国際単位系 |
系 | SI単位 mol/m3、非SI単位 mol/L |
量 | 濃度 |
組立 | mol/m3 |
定義 | 単位体積当たりの物質量 |
定義
モル濃度は単位体積の溶液中の溶質の物質量である。推奨される量記号は小文字の c である。
n は溶質の物質量[1]、N は体積 V の溶液中の溶質粒子の個数、N/V が数密度 C で、NA はアボガドロ定数である。
計量単位としてのモル濃度
法定計量単位としてのモル濃度は、モル毎立方メートル(記号は、mol/m3)、モル毎リットル(mol/lまたはmol/L)の二つと、これらにSI接頭語を付した単位に限定される。これら以外のモル濃度単位を計量法上の取引・証明に用いることは禁止されている。
SIの公式文書では、「基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例」として、「物質量濃度」(amount of substance concentration[3] )、量記号は「c」として例示されている[4]。
多くの文献では伝統的にmoldm−3やmol/dm3が用いられるが、これらはmolL−1に等しい。また、大文字でM(モーラーと読む)という略記もあり、しばしばSI接頭語とともに使用される。しかし、Mは、計量法でも国際単位系においても認められていない記号であり、取引・証明に用いることは禁止されている。
- mol/m3 = 10−3mol/dm3 = 10−3mol/L = 10−3M = 1mM
である。
例
- 2.00 mol/LのNaCl水溶液100 mLを調製することを考える。NaClのモル質量は58.4g/molとすると、NaClは、2.00mol/L × (58.4g/mol) × 100mL × (0.001L/mL) = 11.7g 必要となる。適量の水にNaClを溶解させ、100mLになるまで水をつぎ足すことにより2.00mol/LのNaCl水溶液100 mLができる。
- 100mL の水に 11.6g の NaCl が溶解しているとする。水の密度は 1.00g/mL であるので、質量分率は (11.6g)/ (11.6g + 100g) × 100% = 10.4% である。溶液の密度は 1.07g/mL であり、その体積は (11.6g + 100g)/(1.07g/mL) = 104mL である。したがって NaCl のモル濃度は (11.6g)/ (58.4g/mol)/ (104mL) × 1000mL/L = 1.91M となる。
脚注
- ^ a b Kaufman, Myron (2002). Principles of thermodynamics. CRC Press. p. 213. ISBN 0-8247-0692-7
- ^ International vocabulary of metrology – Basic and general concepts and associated terms (VIM) 3rd edition
- ^ SI Brochure 9th edition(2019) p.139, BIPM
- ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 表5 基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例、物質量濃度、p.108、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月