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=== 映像単体の特性 === |
=== 映像単体の特性 === |
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以下では視聴と無関係に映像そのものがもつ特性を示す<ref name=":28">"映像 ... の優位性は「時間の推移を描く」「同一の「枠」の中で情報を多角度的に描写することができる」ということに尽きる。「時間の推移を多角度的に描写することができる」これは映像の本質と言って良い。" {{Harvnb|北嶋|2021|p=148}} より引用。</ref>。 |
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以下では視聴と無関係に映像そのものがもつ特性を示す。 |
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==== 物理的時間の内包 ==== |
==== 物理的時間の内包 ==== |
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映像は物理的な時間を内包している<ref name=":16">"映像 ... 二次元のフレーム（枠）の画像で、時間に縛られて鑑賞する媒体" {{Harvnb|富野|2024|p=22}} より引用。</ref><ref name=":10">"映像は時間経過をふくむ" {{Harvnb|富野|2024|p=44}} より引用。</ref><ref name=":11">"映像作品が強制的に語り口の時間（作品が支配している視聴時間）を支配している" {{Harvnb|富野|2024|p=19}} より引用。</ref><ref name=":7" /><ref name=":8">"特に映画は「時間の芸術」と言われていて、観客は時間の流れをコントロールできないという前提で表現手法が発展してきました。" {{Harvnb|稲田|2022}} より引用。</ref><ref name=":12">"映像の本質を正しく認識するために知っておかなければならない最大の要件は、'''映像作品は観客を時間的に拘束する絶対的欠点をもっている'''ということ" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref>。 |
映像は物理的な時間を内包している<ref name=":16">"映像 ... 二次元のフレーム（枠）の画像で、時間に縛られて鑑賞する媒体" {{Harvnb|富野|2024|p=22}} より引用。</ref><ref name=":10">"映像は時間経過をふくむ" {{Harvnb|富野|2024|p=44}} より引用。</ref><ref name=":11">"映像作品が強制的に語り口の時間（作品が支配している視聴時間）を支配している" {{Harvnb|富野|2024|p=19}} より引用。</ref><ref name=":28" /><ref name=":7" /><ref name=":8">"特に映画は「時間の芸術」と言われていて、観客は時間の流れをコントロールできないという前提で表現手法が発展してきました。" {{Harvnb|稲田|2022}} より引用。</ref><ref name=":12">"映像の本質を正しく認識するために知っておかなければならない最大の要件は、'''映像作品は観客を時間的に拘束する絶対的欠点をもっている'''ということ" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref>。 |
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映像作品は時間芸術の一種であり<ref name=":7" /><ref name=":8" />、映像のなかに物理的・時計的な時間<ref group="注">{{lang-en-short|chronological time}}</ref>が含まれている<ref name=":10" />。つまり作品側が各[[コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマ|コマ]]の表示タイミングを物理的な時間で規定しており、鑑賞者はこれを所与として映像を再生し鑑賞する<ref>"映像作品は、鑑賞する時間は作品自体が決定し" {{Harvnb|富野|2024|p=18}} より引用。</ref><ref name=":11" /><ref name=":8" />。 |
映像作品は時間芸術の一種であり<ref name=":7" /><ref name=":8" />、映像のなかに物理的・時計的な時間<ref group="注">{{lang-en-short|chronological time}}</ref>が含まれている<ref name=":10" />。つまり作品側が各[[コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマ|コマ]]の表示タイミングを物理的な時間で規定しており、鑑賞者はこれを所与として映像を再生し鑑賞する<ref>"映像作品は、鑑賞する時間は作品自体が決定し" {{Harvnb|富野|2024|p=18}} より引用。</ref><ref name=":11" /><ref name=":8" />。 |
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映像は対象や空間をフレーム（枠）で切り取って[[キャンバス]]としての画面上に表現する<ref name=":16" /><ref name=":17" />。[[実写]]映像制作の[[カメラ]]・[[アニメーション]]制作のキャンバスと撮影機器がフレームを規定する<ref name=":222">"撮影現場のカメラマンなどに「こんな感じのフレーミングで」と説明をする" 以下より引用。{{Cite journal|last=板垣|first=伸|year=2014|date=2014-07-03|title=板垣伸のいきあたりバッタリ！ 第375回 ライド（憑依）とコンテ！|url=https://animestyle.jp/2014/07/03/7473/|journal=WEBアニメスタイル}}</ref><ref name=":232">"アニメーションにおいても、頭の中にイメージする舞台のどこにカメラを置き、絵コンテを切る事が出来るかが、とても重要なこと。" 以下より引用。{{Cite web |url=https://www.ghibli.jp/ged_01/20making/000508.html |title=部分が全体を作り 全体が部分を作る ─ストーリー・絵コンテ（２）─ |access-date=2024-12-05 |publisher=[[スタジオジブリ]] |work=ゲド戦記の作り方 |year=2006 |month=2006-05-05}}</ref>。つまり作品側がモノの見え方をフレームとして規定しており、鑑賞者はこの視点のみが与えられる<ref name=":23">"スクリーンやモニタで見なければならない条件もありますから、演劇的な舞台の広さとか枠組み以上に、視覚制限がきびしいもの" {{Harvnb|富野|2024|p=22}} より引用。</ref>。また画であるため映像は[[視覚芸術]]の一種であり、鑑賞者に視覚的な印象を与える<ref>"映像には視覚印象の力学” ともいうべき ... 原理があります" {{Harvnb|富野|2024|p=18}} より引用。</ref>。 |
映像は対象や空間をフレーム（枠）で切り取って[[キャンバス]]としての画面上に表現する<ref name=":16" /><ref name=":17" />。[[実写]]映像制作の[[カメラ]]・[[アニメーション]]制作のキャンバスと撮影機器がフレームを規定する<ref name=":222">"撮影現場のカメラマンなどに「こんな感じのフレーミングで」と説明をする" 以下より引用。{{Cite journal|last=板垣|first=伸|year=2014|date=2014-07-03|title=板垣伸のいきあたりバッタリ！ 第375回 ライド（憑依）とコンテ！|url=https://animestyle.jp/2014/07/03/7473/|journal=WEBアニメスタイル}}</ref><ref name=":232">"アニメーションにおいても、頭の中にイメージする舞台のどこにカメラを置き、絵コンテを切る事が出来るかが、とても重要なこと。" 以下より引用。{{Cite web |url=https://www.ghibli.jp/ged_01/20making/000508.html |title=部分が全体を作り 全体が部分を作る ─ストーリー・絵コンテ（２）─ |access-date=2024-12-05 |publisher=[[スタジオジブリ]] |work=ゲド戦記の作り方 |year=2006 |month=2006-05-05}}</ref>。つまり作品側がモノの見え方をフレームとして規定しており、鑑賞者はこの視点のみが与えられる<ref name=":23">"スクリーンやモニタで見なければならない条件もありますから、演劇的な舞台の広さとか枠組み以上に、視覚制限がきびしいもの" {{Harvnb|富野|2024|p=22}} より引用。</ref>。また画であるため映像は[[視覚芸術]]の一種であり、鑑賞者に視覚的な印象を与える<ref>"映像には視覚印象の力学” ともいうべき ... 原理があります" {{Harvnb|富野|2024|p=18}} より引用。</ref>。 |
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この特性は、文字であり絵画的な視覚刺激の無い活字文学とは大きく異なる。また、視覚的に表現されるがフレームが無く、座席が規定する固定視点から物理的な空間を直接見る[[演劇]]とも異なる<ref name=":23" />。一方で[[絵画]]や[[漫画]]はキャンバスや[[コマ (映画・漫画)#漫画のコマ|コマ]]というフレームをもちそのなかに絵が描かれる点で共通している<ref>"静止した絵 ... 被写体の、作画された、または切り取られた瞬間の意味を表現" {{Harvnb|富野|2024|p=44}} より引用。</ref>。 |
この特性は、文字であり絵画的な視覚刺激の無い活字文学とは大きく異なる。また、視覚的に表現されるがフレームが無く、座席が規定する固定視点から物理的な空間を直接見る[[演劇]]とも異なる<ref name=":23" />。一方で[[絵画]]や[[漫画]]はキャンバスや[[コマ (映画・漫画)#漫画のコマ|コマ]]というフレームをもちそのなかに絵が描かれる点で共通している<ref>"静止した絵 ... 被写体の、作画された、または切り取られた瞬間の意味を表現" {{Harvnb|富野|2024|p=44}} より引用。</ref><ref>"絵画や写真にも「枠」があり" {{Harvnb|北嶋|2021|p=145}} より引用。</ref>。 |
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==== 経時変化する画 ==== |
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映像は経時変化する画である<ref name=":20" /><ref name=":29">"映像は、'''画の動きそのものが流れているもの'''です" {{Harvnb|富野|2024|p=22}} より引用。</ref><ref name=":30">"時間の推移によって「枠」内の構図を変化させられるという特性" {{Harvnb|北嶋|2021|p=146}} より引用。</ref><ref name=":28" />。 |
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映像は各時点の[[コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマ|コマ]]が[[映像#フレームを伴う画|フレームを伴った画]]でありかつ[[映像#物理的時間の内包|物理的時間を内包]]している。そのため映像は時間の進展に合わせて画が変化しうる、経時変化する画である<ref name=":20" /><ref name=":29" /><ref name=":30" /><ref name=":28" />。 |
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原理的には各コマが全く別の内容を表示していても問題ない。一方で人間の視覚特性を活かすとより豊かな表現が可能になるため、コマ間で画に類似性・関連性をもたせることが実務的には多い（詳細は [[#視聴と関連した特性]]）。 |
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=== 視聴と関連した特性 === |
=== 視聴と関連した特性 === |
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[[ファイル:Recognition-of-Tennis-Serve-Performed-by-a-Digital-Player-Comparison-among-Polygon-Shadow-and-Stick-pone.0033879.s001.ogv|thumb|映像による動きの表現]]映像は動きを視覚的に表現できる<ref name=":25" /><ref name=":24">"映像作品は観客を時間的に拘束する ... 動きがともなうために生じます。" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref>。 |
[[ファイル:Recognition-of-Tennis-Serve-Performed-by-a-Digital-Player-Comparison-among-Polygon-Shadow-and-Stick-pone.0033879.s001.ogv|thumb|映像による動きの表現]]映像は動きを視覚的に表現できる<ref name=":25" /><ref name=":24">"映像作品は観客を時間的に拘束する ... 動きがともなうために生じます。" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref>。 |
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映像は[[映像# |
映像は[[映像#経時変化する画|経時変化する画]]でありかつ[[ヒト]]は視覚的な[[運動知覚]]をもつため、映像は物体の動きを視覚的に表現できる<ref name=":25" /><ref name=":24" />（詳細は[[#コマ送りに動きを知覚する原理]]）。[[実写]]では[[カメラ]]で実際の物体運動を撮影することによって、[[アニメーション]]では作画によって、動きの映像を生み出せる。典型的には隣り合ったコマが同じ対象の少し異なる状態・ポーズを描くことで動きが生まれる<ref name=":25" />。 |
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この特性は、文字であり動きを視覚的に表現できない活字文学と大きく異なる。また、躍動感は表現できるが時間を持てない[[絵画]]とも異なる<ref name=":26">"画家は、絵画における動きの表現技法として線を用いてきた ... 漫画においては ... 動きの速度、方向、軌跡等を示唆し、静止画に躍動感を与える。" p.447 より引用。{{Cite journal2 |last=伊藤 |first=裕之 |year=2016 |title=TVアニメーションに用いられる動きを表現する線 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/tvrsj/21/3/21_447/_article/-char/ja/ |journal=日本バーチャルリアリティ学会論文誌 |volume=21 |issue=3 |pages=447-450}}</ref>。さらに描画とコマ割りで運動の軌跡と流れを視覚的に示せるが時間を内包せず速度を作品側で規定できない（=動きをコントロールして表現できない）[[漫画]]とも異なる<ref name=":26" />。一方で[[演劇]]は物理的な物体運動を直接鑑賞者へ見せて動きを視覚的に表現できる点で共通している<ref>"演劇や舞踏、歌唱といった表現するための動きがあるものは、”動く時間” に拘束されています。その意味では、映像だけが特別ではない" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref>。 |
この特性は、文字であり動きを視覚的に表現できない活字文学と大きく異なる。また、躍動感は表現できるが時間を持てない[[絵画]]とも異なる<ref name=":26">"画家は、絵画における動きの表現技法として線を用いてきた ... 漫画においては ... 動きの速度、方向、軌跡等を示唆し、静止画に躍動感を与える。" p.447 より引用。{{Cite journal2 |last=伊藤 |first=裕之 |year=2016 |title=TVアニメーションに用いられる動きを表現する線 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/tvrsj/21/3/21_447/_article/-char/ja/ |journal=日本バーチャルリアリティ学会論文誌 |volume=21 |issue=3 |pages=447-450}}</ref>。さらに描画とコマ割りで運動の軌跡と流れを視覚的に示せるが時間を内包せず速度を作品側で規定できない（=動きをコントロールして表現できない）[[漫画]]とも異なる<ref name=":26" />。一方で[[演劇]]は物理的な物体運動を直接鑑賞者へ見せて動きを視覚的に表現できる点で共通している<ref>"演劇や舞踏、歌唱といった表現するための動きがあるものは、”動く時間” に拘束されています。その意味では、映像だけが特別ではない" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref>。 |
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==== 動的な構図による視覚印象 ==== |
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映像は構図の経時変化が視覚印象を生む<ref name=":30" /><ref name=":31">"接近する ... = 迫る。良くわからせる。... 見ろ！ ... 遠のく = ... 見せたくない。行ってしまう。... 昔のもの。 ... 映像の変化は、このような言葉に'''転換できるということの意味'''をよく想像し、理解してください。この機能があるからこそ、映像は「語り口=ストーリー・テリング」を持てるのです。" {{Harvnb|富野|2024|p=30}} より引用。</ref><ref name=":32">"フレームのなかでの被写体のサイズ ... このサイズ変化こそが、映像のダイナミズムそのもので、映像表現上、重要な機能の変化要因となります。" {{Harvnb|富野|2024|p=85|pp=}} より引用。</ref>。 |
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映像は各[[コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマ|コマ]]が[[映像#フレームを伴う画|フレームを伴う画]]であるため、（静的な）[[構図]]をもちそれによる視覚印象を発生させる<ref name=":02">"絵画に描かれた対象に人々の視線を集めて，印象を残すには主に２つの方法が考えられる．一つは対象自体の形や色彩 ... 二つ目は対象の周辺との配置の関係によって印象を与える方法 ... このような配置の関係（構図）" p.35 より引用。{{Cite journal2 |last=辻元 |first=健士 |year=2010 |title=絵画における構図変化の影響 : 印象評価と視線移動の観点から |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/itetr/34.18/0/34.18_35/_article/-char/ja/ |journal=映像情報メディア学会技術報告 |volume=34 |issue=18 |pages=35-38}}</ref><ref name=":27">"構図は，制作者が映像を通じて視聴者に与えたい印象などの意図を踏まえて画面に映す物や範囲を決定する要素であり、作品を制作する上で非常に重要なファクターである。" p.91 より引用。{{Cite journal2 |last=中嶋 |first=拓麻 |year=2015 |title=映像分析に基づく構図設計システムの開発 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/itetr/39.14/0/39.14_91/_article/-char/ja/ |journal=映像情報メディア学会技術報告 |volume=39 |issue=14 |pages=91-94}}</ref>。さらに映像は[[映像#経時変化する画|経時変化する画]]であるため構図も経時変化し<ref name=":30" /><ref>"映像は静止画ではないので，前後の変化を計算して構図を設定する。" {{Harvnb|北嶋|2021|p=149}} より引用。</ref><ref>"「枠」 の中を様々な被写体や背景の構成により設計するという映像の設計工程は，画家がキャンバスを前にして構図を決める作業 ... とほぼ同一 ... 「枠」を動かすことができるという時間的な思考が設計の中で最も重要とされる" {{Harvnb|北嶋|2021|p=145}} より引用。</ref>、この構図の経時変化（動的な構図）もまた特有の視覚印象を発生させる<ref name=":32" />。例えば「経時的にサイズが大きくなる」構図は「強まる」「近づく」といった大枠の印象を生み出す<ref>"被写体は同じものです ... カメラが接近 ... して撮影 ... 視覚印象の強度が強くなっていきます。... 視覚印象のダイナミズムの基本の感覚です。" {{Harvnb|富野|2024|p=|pp=83-84}} より引用。</ref>。この視覚印象は単一カット内での動きでもカットを跨いだ構図変化でも起きる。 |
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この特性は、構図の経時変化が起きる点で[[演劇]]と共通している。一方で演劇はリアルタイムの物理的移動を伴うためその変化量には限度があるが、映像はカット割りやVFXで任意の急激な構図変化をおこせる点で異なる<ref>"映像作品が素晴らしいのは、一瞬にして劇的変化を見せられることです。これが視覚のダイナミズム" {{Harvnb|富野|2024|p=24}} より引用。</ref><ref>"時間を描くことは可能でも舞台の美術を動かすことが困難な演劇よりも遥かに自由度が高い。" {{Harvnb|北嶋|2021|p=146}} より引用。</ref>。 |
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この動的な構図による視覚印象は映像[[演出]]に広く利用される<ref>"フレームのなかでの被写体のサイズ ... このサイズ変化こそが、映像のダイナミズムそのもの ... この動きの変化を効果的につかって演出を予定する" {{Harvnb|富野|2024|p=|pp=85-86}} より引用。</ref>。これは動的構図の視覚印象が最終的に心情レベルの印象を喚起するからである<ref>"視覚印象そのものが心理的なダイナミズム（力学）を喚起する" {{Harvnb|富野|2024|p=76}} より引用。</ref>。例えばサイズ縮小の動的構図でキャラクターを描くことで、「遠ざかる」という視覚印象から「心の距離が離れていってしまう」という心情的印象を与えると期待できる<ref name=":31" />。 |
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動的な構図の設計と実現には[[カメラワーク]]がよく用いられる<ref>"カメラワークを決めるということは，情報の描き方，情報の伝達方法の決定である。絵画であれば制作の根幹である構図を決めるという最も大事な作業に当たる。" {{Harvnb|北嶋|2021|p=144}} より引用。</ref>。 |
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==== 内容の連続性 ==== |
==== 内容の連続性 ==== |
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映像は内容の連続性をもち、また不連続性を容易に発生させる<ref name=":18">"映像空間は架空の現実を描いていますから、連続したカットをつないだ関係のなかに、ひとつの統制された光景 ... を映し出すものになっていなければなりません。" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref><ref name=":19">"別々に撮影されたカットをつなげ ... それだけではつないだことにはならない" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref>。 |
映像は内容の連続性をもち、また不連続性を容易に発生させる<ref name=":18">"映像空間は架空の現実を描いていますから、連続したカットをつないだ関係のなかに、ひとつの統制された光景 ... を映し出すものになっていなければなりません。" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref><ref name=":19">"別々に撮影されたカットをつなげ ... それだけではつないだことにはならない" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref>。 |
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映像は一連の画/[[コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマ|コマ]]を時間に沿って表示したものであり（⇒ [[# |
映像は一連の画/[[コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマ|コマ]]を時間に沿って表示したものであり（⇒ [[#経時変化する画]]）、コマの間に時間的な連続性がある。また映像断片をバラバラに撮影しそれらを単純に繋ぐことでも連続した画面が得られる<ref>"別々に撮影されたカットをつなげば、それはつながって見えますから、”連続した画面” と理解することができます。" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref>。 |
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一方で映像は単なる独立した静止画の連続ではない。隣り合ったコマが同じ対象の少し異なる状態・ポーズを描くことで動きや空間を表現できる（=[[シーン#ショット|カット]]）<ref name=":43">"「コンティニュイティ」という言葉 ... 「連続性」という意味 ... 映像の構成要素である「カット」と「カット」の相互関係の上に連続性を構築しようとするものだと捉えられることが多い。だが、「連続性」は当然、１カットの中に流れる一定の時間の上にも、当然存在している ... １カットの中で複数のことを連続的に行う表現がある" [[片渕須直]]. (2011). ''[http://www.style.fm/as/05_column/katabuchi/katabuchi_092.shtml β運動の岸辺で - 第92回 コンティニュイティの意味するところ]''. [[アニメスタイル|WEBアニメスタイル]].</ref>。カット間でも同様で、演技や絵自体のつながりによってより広い時空間を表現できる<ref name=":18" /><ref>"その ”つなぎ” を発生させているものが演技であったり、映像の物理的な動きであったりします" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref><ref name=":43" />。このように映像は内容の連続性（映像的なつながり<ref>"映像的につなぐ ... 必要もあるのです。" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref>）をもちうる。 |
一方で映像は単なる独立した静止画の連続ではない。隣り合ったコマが同じ対象の少し異なる状態・ポーズを描くことで動きや空間を表現できる（=[[シーン#ショット|カット]]）<ref name=":43">"「コンティニュイティ」という言葉 ... 「連続性」という意味 ... 映像の構成要素である「カット」と「カット」の相互関係の上に連続性を構築しようとするものだと捉えられることが多い。だが、「連続性」は当然、１カットの中に流れる一定の時間の上にも、当然存在している ... １カットの中で複数のことを連続的に行う表現がある" [[片渕須直]]. (2011). ''[http://www.style.fm/as/05_column/katabuchi/katabuchi_092.shtml β運動の岸辺で - 第92回 コンティニュイティの意味するところ]''. [[アニメスタイル|WEBアニメスタイル]].</ref>。カット間でも同様で、演技や絵自体のつながりによってより広い時空間を表現できる<ref name=":18" /><ref>"その ”つなぎ” を発生させているものが演技であったり、映像の物理的な動きであったりします" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref><ref name=":43" />。このように映像は内容の連続性（映像的なつながり<ref>"映像的につなぐ ... 必要もあるのです。" {{Harvnb|富野|2024|p=45}} より引用。</ref>）をもちうる。 |
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* {{Cite journal|author=スポニチアネックス取材班|year=2024|date=2024-02-03|title=三谷幸喜氏 原作物の映像化で問題起きる理由「映像は時間芸術。小説も漫画もそうじゃない」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/02/03/kiji/20240203s00041000644000c.html|journal=[[スポーツニッポン|スポニチアネックス]]|ref=harv}} |
* {{Cite journal|author=スポニチアネックス取材班|year=2024|date=2024-02-03|title=三谷幸喜氏 原作物の映像化で問題起きる理由「映像は時間芸術。小説も漫画もそうじゃない」|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/02/03/kiji/20240203s00041000644000c.html|journal=[[スポーツニッポン|スポニチアネックス]]|ref=harv}} |
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* {{Cite journal|last=稲田|first=豊史|year=2022|date=2022-04-25|title=「倍速視聴」は進化か退化か。「プリキュア」「銭天堂」脚本家が抱く危機感|url=https://gendai.media/articles/-/94668|journal=[[週刊現代|現代ビジネス]]|ref=harv}} |
* {{Cite journal|last=稲田|first=豊史|year=2022|date=2022-04-25|title=「倍速視聴」は進化か退化か。「プリキュア」「銭天堂」脚本家が抱く危機感|url=https://gendai.media/articles/-/94668|journal=[[週刊現代|現代ビジネス]]|ref=harv}} |
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* {{Cite journal2 |last=北嶋 |first=洋一 |year=2021 |title=映像制作に於ける演出 演出と描写 序論 |url=https://www.seisadohto.ac.jp/20026/uploads/2021/10/65440cce238937b7c4d5e39f77d5b990.pdf |journal=星槎道都大学研究紀要 |issue=2 |pages=143-154}} |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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2024年12月15日 (日) 20:41時点における版
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テレビ番組、ビデオ映画、映画などを一種のメディアや "業界" としてひとくくりにとらえるための概念・用語や、およびその作品として用いられる。たとえば「映像畑」などの形で用いられる。映像はしばしば活字（書籍、出版）と対比される[1]（例:『映像の世紀』[注 2]）。また舞台とも対比される。
定義
動く像
この意味での映像は、静止画の意味での「画像」と対比される[4][7][注 5]。
映された像
写真、テレビ、映画、ビデオ、コンピュータ・グラフィクス、アニメーション、ホログラフィーなど、化学、電子、光学技術による再現または創作像を広く指す[1]。英: footage とも[要出典]。
この意味での映像は内容の時間変化を問わない[8]。つまり動画と静止画の総称である[8]。視覚像の意味での「画像」が類義語である[注 5]。
特性
映像は他の媒体 (メディア) と異なる様々な特性を持つ。以下はその一例である。
映像単体の特性
以下では視聴と無関係に映像そのものがもつ特性を示す[9]。
物理的時間の内包
映像は物理的な時間を内包している[10][11][12][9][5][13][14]。
映像作品は時間芸術の一種であり[5][13]、映像のなかに物理的・時計的な時間[注 6]が含まれている[11]。つまり作品側が各コマの表示タイミングを物理的な時間で規定しており、鑑賞者はこれを所与として映像を再生し鑑賞する[15][12][13]。
この特性は、一枚絵であり鑑賞時間が鑑賞者に委ねられる絵画とは大きく異なる[16]。また、コマの順序は作品側が規定するが読む速度（≒時間）は鑑賞者に委ねられる漫画とも異なる[17][18]。更に、行・文字の順序は作品側が規定するが読む速度（≒時間）は鑑賞者に委ねられる活字文学とも異なる[16][18]。
映像が内包する物理的時間は、作品側が規定する鑑賞速度である[13][12]。作者と鑑賞者はこれを所与の基準値（= 1倍速）として共通認識しているが[19]、観測者が必ずこの基準速度で鑑賞するとは限らない[20][21]。ほとんどの映像再生機器・ソフトウェアが早送り機能を有しているのはこの現れである。
この特性は鑑賞者が映像のまえに長時間居続けることを要請する[14]。そのため特に娯楽映像作品において鑑賞者が飽きない・時間を忘れるような工夫が必須となる[22]。
フレームを伴う画
映像は対象や空間をフレーム（枠）で切り取ってキャンバスとしての画面上に表現する[10][23]。実写映像制作のカメラ・アニメーション制作のキャンバスと撮影機器がフレームを規定する[24][25]。つまり作品側がモノの見え方をフレームとして規定しており、鑑賞者はこの視点のみが与えられる[26]。また画であるため映像は視覚芸術の一種であり、鑑賞者に視覚的な印象を与える[27]。
この特性は、文字であり絵画的な視覚刺激の無い活字文学とは大きく異なる。また、視覚的に表現されるがフレームが無く、座席が規定する固定視点から物理的な空間を直接見る演劇とも異なる[26]。一方で絵画や漫画はキャンバスやコマというフレームをもちそのなかに絵が描かれる点で共通している[28][29]。
経時変化する画
映像は各時点のコマがフレームを伴った画でありかつ物理的時間を内包している。そのため映像は時間の進展に合わせて画が変化しうる、経時変化する画である[2][30][31][9]。
原理的には各コマが全く別の内容を表示していても問題ない。一方で人間の視覚特性を活かすとより豊かな表現が可能になるため、コマ間で画に類似性・関連性をもたせることが実務的には多い（詳細は #視聴と関連した特性）。
視聴と関連した特性
以下では鑑賞者による視聴と関連した特性を示す。
動きの表現
映像は経時変化する画でありかつヒトは視覚的な運動知覚をもつため、映像は物体の動きを視覚的に表現できる[32][33]（詳細は#コマ送りに動きを知覚する原理）。実写ではカメラで実際の物体運動を撮影することによって、アニメーションでは作画によって、動きの映像を生み出せる。典型的には隣り合ったコマが同じ対象の少し異なる状態・ポーズを描くことで動きが生まれる[32]。
この特性は、文字であり動きを視覚的に表現できない活字文学と大きく異なる。また、躍動感は表現できるが時間を持てない絵画とも異なる[34]。さらに描画とコマ割りで運動の軌跡と流れを視覚的に示せるが時間を内包せず速度を作品側で規定できない（=動きをコントロールして表現できない）漫画とも異なる[34]。一方で演劇は物理的な物体運動を直接鑑賞者へ見せて動きを視覚的に表現できる点で共通している[35]。
動的な構図による視覚印象
映像は構図の経時変化が視覚印象を生む[31][36][37]。
映像は各コマがフレームを伴う画であるため、（静的な）構図をもちそれによる視覚印象を発生させる[38][39]。さらに映像は経時変化する画であるため構図も経時変化し[31][40][41]、この構図の経時変化（動的な構図）もまた特有の視覚印象を発生させる[37]。例えば「経時的にサイズが大きくなる」構図は「強まる」「近づく」といった大枠の印象を生み出す[42]。この視覚印象は単一カット内での動きでもカットを跨いだ構図変化でも起きる。
この特性は、構図の経時変化が起きる点で演劇と共通している。一方で演劇はリアルタイムの物理的移動を伴うためその変化量には限度があるが、映像はカット割りやVFXで任意の急激な構図変化をおこせる点で異なる[43][44]。
この動的な構図による視覚印象は映像演出に広く利用される[45]。これは動的構図の視覚印象が最終的に心情レベルの印象を喚起するからである[46]。例えばサイズ縮小の動的構図でキャラクターを描くことで、「遠ざかる」という視覚印象から「心の距離が離れていってしまう」という心情的印象を与えると期待できる[36]。
動的な構図の設計と実現にはカメラワークがよく用いられる[47]。
内容の連続性
映像は内容の連続性をもち、また不連続性を容易に発生させる[48][49]。
映像は一連の画/コマを時間に沿って表示したものであり（⇒ #経時変化する画）、コマの間に時間的な連続性がある。また映像断片をバラバラに撮影しそれらを単純に繋ぐことでも連続した画面が得られる[50]。
一方で映像は単なる独立した静止画の連続ではない。隣り合ったコマが同じ対象の少し異なる状態・ポーズを描くことで動きや空間を表現できる（=カット）[51]。カット間でも同様で、演技や絵自体のつながりによってより広い時空間を表現できる[48][52][51]。このように映像は内容の連続性（映像的なつながり[53]）をもちうる。
しかし内容の連続性は容易に途切れる。隣のコマと全く異なる画を表示するとコマ間が不連続になる（=異なるカットになる）。また設計無しで用意した複数のカットを単純に繋いでも映像的なつながりは得られず不連続になる[49]。他にもコマ間・カット間でキャラクターの作画が異なっていれば「これは同じキャラなのか？」という余分な思考が発生してつながりが弱まる[54]。
この特性は映像制作時に連続性を設計することを要請する。そのため映像制作では絵コンテ（映像のコンティニュイティ/連続性を可視化する設計図）がしばしば利用される[55][56]。
映像化
小説の実写映画化[57]や漫画のアニメ化[58]は映像化の一種である。口承の撮影[59]など、娯楽以外の目的でも映像化がおこなわれる。翻案元となる非映像メディア表現は原作と呼ばれる[60][61]。原作は小説[57][60]・漫画[58]・演劇（舞台）・口承[59]など様々である。
原作によってはそのニュアンスを崩さず映像化するのが困難である[61]。これを誇張した宣伝文句・アオリ文句として「映像化不可能」[62][57]といった表現がしばしば用いられる。
技法
映像に関する様々な技法が存在する。以下はその一例である：
原理
コマ送りに動きを知覚する原理
現実世界は時間と運動が滑らかであり連続的（アナログ）だが、映像はコマ送りであり離散的（デジタル）である。ヒトの感覚はアナログな現実世界を認識するよう作られているため、離散的な映像を見て「滑らかに動いている」と感じられる保証はない。しかし実際にはヒトは（適切に作られた）映像を見て「滑らかに動いている」と感じられる[32]。このヒトの奇妙で便利な特性がどのような仕組みで生まれているか、様々な研究がなされてきた[65]。
映像の各コマは実際には動いていないため「滑らかに動いている」という認識は運動錯覚である。特に映像は視覚刺激であるため、運動錯視の一種といえる[66]。単純な図形のアニメーションで運動錯視は検証可能であり、ベータ運動やファイ現象と名付けられた運動錯視が見つけられ、その生物学的・心理学的原理が研究されている[67]。
かつては映像の原理は残像効果で説明されていたが、毎秒24コマで成立する映像の原理としては科学的に否定されている[68]。
歴史
テレビ以前の映画時代に、まれに「映像」ということばが使われることがあっても、映画全体を含む広義の概念としてではなく、画面、または画面上の像をさす狭義の意味で使われていた[1]。「映像」はあくまでテレビが登場した後に広く使われるようになった用語である[1]。
テレビが普及し、テレビ画面に映し出される動く写真とその音響を通して、具体的に迅速に伝わっていくにつれ、映画のほうは主役から脇役へと位置づけが低下し、テレビが生活に大きな役割（中心的な役割）を演じるようになった[1]。
影像
脚注
注釈
- ^ 正式タイトルは『映像'○○』の形で西暦年度の下2桁が付記される
- ^ このタイトルには、19世紀ころまでは歴史的な記録というのはもっぱら文字でされていたが20世紀からは歴史が映像でも記録されるようにもなったという意味だけでなく、さらに、人類が20世紀に映像というメディアに出会い（悪い政治家などによってプロパガンダ映像も制作され、世論や人々の行動がそれにより操作されるなど）人類が映像に振り回されるようになり悲惨な目にあった、などという意味も暗に込められている。
- ^ 英: movie の訳語が「映像」と同義かはここでは問わない。少なくともカタカナ語としての「ムービー」は「映像」の同義語である。
- ^ 用例: PV（プロモーション・ビデオ）、MV（ミュージック・ビデオ）など
- ^ a b 「画像」もまた多義語であることに注意
- ^ 英: chronological time
出典
- ^ a b c d e f g h ニッポニカ【映像】
- ^ a b c d "映像とは、スクリーンやモニタに映し出される動いている画面 ... のことです。" 富野 2024, p. 12 より引用。
- ^ a b "映画、テレビ、アニメーション、影絵、ミュージック・クリップ、CMとネット上にアップされているそれら類するものすべてが ”映像” で構成されています。" 富野 2024, p. 12 より引用。
- ^ a b "本書において「画像」は静止画像を，「映像」は動画像を示す" p.9 より引用。村松. (2007). MATLABによる画像&映像信号処理. CQ出版社.
- ^ a b c "三谷幸喜氏 ...「... 映像は時間芸術なんです。" スポニチアネックス取材班 2024 より引用。
- ^ "3Dムービーなど新映像が続々公開" 以下より引用。電撃オンライン編集部. (2024). 『まどドラ』11/27生放送まとめ。由比鶴乃（声優：夏川椎菜）のPVやゲーム内の3Dムービーなど新映像が続々公開。バトル＆必殺技が見られる実機プレイも！【魔法少女まどか☆マギカ Magia Exedra】. 電撃オンライン.
- ^ a b "Image Vortex が，画像を対象とするのに対し，Video Vortex は，蓄積された大量の映像から" p.767 より引用。長谷山, 美紀 (2010). "画像・映像意味理解の現状と検索インタフェース" (PDF). 電子情報通信学会誌. 電子情報通信学会. 93 (9): 764–769.
- ^ a b "一枚の写真を映像という場合もあります" 富野 2024, p. 12 より引用。
- ^ a b c d "映像 ... の優位性は「時間の推移を描く」「同一の「枠」の中で情報を多角度的に描写することができる」ということに尽きる。「時間の推移を多角度的に描写することができる」これは映像の本質と言って良い。" 北嶋 2021, p. 148 より引用。
- ^ a b c "映像 ... 二次元のフレーム（枠）の画像で、時間に縛られて鑑賞する媒体" 富野 2024, p. 22 より引用。
- ^ a b "映像は時間経過をふくむ" 富野 2024, p. 44 より引用。
- ^ a b c "映像作品が強制的に語り口の時間（作品が支配している視聴時間）を支配している" 富野 2024, p. 19 より引用。
- ^ a b c d "特に映画は「時間の芸術」と言われていて、観客は時間の流れをコントロールできないという前提で表現手法が発展してきました。" 稲田 2022 より引用。
- ^ a b "映像の本質を正しく認識するために知っておかなければならない最大の要件は、映像作品は観客を時間的に拘束する絶対的欠点をもっているということ" 富野 2024, p. 30 より引用。
- ^ "映像作品は、鑑賞する時間は作品自体が決定し" 富野 2024, p. 18 より引用。
- ^ a b "絵画でも小説でも、時間の長短は鑑賞する側の自由にゆだねられています" 富野 2024, p. 30 より引用。
- ^ "マンガでは、読む時間は読者が決めることができます" 富野 2024, p. 18 より引用。
- ^ a b "小林 僕個人として、小説やマンガと映像作品は違うものという認識 ... 「時間芸術」の概念" 稲田 2022 より引用。
- ^ "本来、2時間の映画は2時間かけて観てもらう想定でシナリオが書かれています" 稲田 2022 より引用。
- ^ "映像作品を倍速視聴 ... 2021年3月の民間調査では、20代全体の半数近くが倍速視聴経験者" 稲田 2022 より引用。
- ^ "こんな意見がありました。「今や映像は能動的に観るものに“進化”している" 稲田 2022 より引用。
- ^ "観客の時間を拘束しても ... 時間が経っていく、時間を忘れさせる" 富野 2024, p. 34 より引用。
- ^ a b "映像にはフレーミングという概念があります。フレーミングとは視界を画面として「切り取る」ことです。... フレームに切り取られることによって、初めて視覚から映像が映像として切り出されたことになります。" 以下より引用。渡部, 健司 (2024). “撮影からCutを考える”. 東京国際工科専門職大学講義『映像論』 (9).
- ^ "撮影現場のカメラマンなどに「こんな感じのフレーミングで」と説明をする" 以下より引用。板垣, 伸 (2014-07-03). “板垣伸のいきあたりバッタリ！ 第375回 ライド（憑依）とコンテ！”. WEBアニメスタイル.
- ^ "アニメーションにおいても、頭の中にイメージする舞台のどこにカメラを置き、絵コンテを切る事が出来るかが、とても重要なこと。" 以下より引用。“部分が全体を作り 全体が部分を作る ─ストーリー・絵コンテ（２）─”. ゲド戦記の作り方. スタジオジブリ (2006年5月). 2024年12月5日閲覧。
- ^ a b "スクリーンやモニタで見なければならない条件もありますから、演劇的な舞台の広さとか枠組み以上に、視覚制限がきびしいもの" 富野 2024, p. 22 より引用。
- ^ "映像には視覚印象の力学” ともいうべき ... 原理があります" 富野 2024, p. 18 より引用。
- ^ "静止した絵 ... 被写体の、作画された、または切り取られた瞬間の意味を表現" 富野 2024, p. 44 より引用。
- ^ "絵画や写真にも「枠」があり" 北嶋 2021, p. 145 より引用。
- ^ a b "映像は、画の動きそのものが流れているものです" 富野 2024, p. 22 より引用。
- ^ a b c d "時間の推移によって「枠」内の構図を変化させられるという特性" 北嶋 2021, p. 146 より引用。
- ^ a b c d "実写映画もアニメーション映画も，実際は静止している画像なのに高速に切り換えられることにより滑らかな動きが知覚される。" 吉村 2014, p. 87 より引用。
- ^ a b "映像作品は観客を時間的に拘束する ... 動きがともなうために生じます。" 富野 2024, p. 30 より引用。
- ^ a b "画家は、絵画における動きの表現技法として線を用いてきた ... 漫画においては ... 動きの速度、方向、軌跡等を示唆し、静止画に躍動感を与える。" p.447 より引用。伊藤, 裕之 (2016). "TVアニメーションに用いられる動きを表現する線". 日本バーチャルリアリティ学会論文誌. 21 (3): 447–450.
- ^ "演劇や舞踏、歌唱といった表現するための動きがあるものは、”動く時間” に拘束されています。その意味では、映像だけが特別ではない" 富野 2024, p. 30 より引用。
- ^ a b "接近する ... = 迫る。良くわからせる。... 見ろ！ ... 遠のく = ... 見せたくない。行ってしまう。... 昔のもの。 ... 映像の変化は、このような言葉に転換できるということの意味をよく想像し、理解してください。この機能があるからこそ、映像は「語り口=ストーリー・テリング」を持てるのです。" 富野 2024, p. 30 より引用。
- ^ a b "フレームのなかでの被写体のサイズ ... このサイズ変化こそが、映像のダイナミズムそのもので、映像表現上、重要な機能の変化要因となります。" 富野 2024, p. 85 より引用。
- ^ "絵画に描かれた対象に人々の視線を集めて，印象を残すには主に２つの方法が考えられる．一つは対象自体の形や色彩 ... 二つ目は対象の周辺との配置の関係によって印象を与える方法 ... このような配置の関係（構図）" p.35 より引用。辻元, 健士 (2010). "絵画における構図変化の影響 : 印象評価と視線移動の観点から". 映像情報メディア学会技術報告. 34 (18): 35–38.
- ^ "構図は，制作者が映像を通じて視聴者に与えたい印象などの意図を踏まえて画面に映す物や範囲を決定する要素であり、作品を制作する上で非常に重要なファクターである。" p.91 より引用。中嶋, 拓麻 (2015). "映像分析に基づく構図設計システムの開発". 映像情報メディア学会技術報告. 39 (14): 91–94.
- ^ "映像は静止画ではないので，前後の変化を計算して構図を設定する。" 北嶋 2021, p. 149 より引用。
- ^ "「枠」 の中を様々な被写体や背景の構成により設計するという映像の設計工程は，画家がキャンバスを前にして構図を決める作業 ... とほぼ同一 ... 「枠」を動かすことができるという時間的な思考が設計の中で最も重要とされる" 北嶋 2021, p. 145 より引用。
- ^ "被写体は同じものです ... カメラが接近 ... して撮影 ... 視覚印象の強度が強くなっていきます。... 視覚印象のダイナミズムの基本の感覚です。" 富野 2024, pp. 83–84 より引用。
- ^ "映像作品が素晴らしいのは、一瞬にして劇的変化を見せられることです。これが視覚のダイナミズム" 富野 2024, p. 24 より引用。
- ^ "時間を描くことは可能でも舞台の美術を動かすことが困難な演劇よりも遥かに自由度が高い。" 北嶋 2021, p. 146 より引用。
- ^ "フレームのなかでの被写体のサイズ ... このサイズ変化こそが、映像のダイナミズムそのもの ... この動きの変化を効果的につかって演出を予定する" 富野 2024, pp. 85–86 より引用。
- ^ "視覚印象そのものが心理的なダイナミズム（力学）を喚起する" 富野 2024, p. 76 より引用。
- ^ "カメラワークを決めるということは，情報の描き方，情報の伝達方法の決定である。絵画であれば制作の根幹である構図を決めるという最も大事な作業に当たる。" 北嶋 2021, p. 144 より引用。
- ^ a b "映像空間は架空の現実を描いていますから、連続したカットをつないだ関係のなかに、ひとつの統制された光景 ... を映し出すものになっていなければなりません。" 富野 2024, p. 45 より引用。
- ^ a b "別々に撮影されたカットをつなげ ... それだけではつないだことにはならない" 富野 2024, p. 45 より引用。
- ^ "別々に撮影されたカットをつなげば、それはつながって見えますから、”連続した画面” と理解することができます。" 富野 2024, p. 45 より引用。
- ^ a b "「コンティニュイティ」という言葉 ... 「連続性」という意味 ... 映像の構成要素である「カット」と「カット」の相互関係の上に連続性を構築しようとするものだと捉えられることが多い。だが、「連続性」は当然、１カットの中に流れる一定の時間の上にも、当然存在している ... １カットの中で複数のことを連続的に行う表現がある" 片渕須直. (2011). β運動の岸辺で - 第92回 コンティニュイティの意味するところ. WEBアニメスタイル.
- ^ "その ”つなぎ” を発生させているものが演技であったり、映像の物理的な動きであったりします" 富野 2024, p. 45 より引用。
- ^ "映像的につなぐ ... 必要もあるのです。" 富野 2024, p. 45 より引用。
- ^ "”視覚的なつなぎ感” を発生させるために、アニメでいえば、キャラクターの作画がアニメーターによって違って見えてはならず" 富野 2024, p. 46 より引用。
- ^ "【絵コンテ】 絵コンテはカットの継続性を絵と文で示した映像の設計図で、「continuity（継続）」が語源です。" 一般社団法人日本動画協会人材育成委員会 2020, p. 16 より引用。
- ^ "「コンティニュイティ」という言葉 ... 「連続性」という意味 ... 映像の構成要素である「カット」と「カット」の相互関係の上に連続性を構築しようとするものだと捉えられることが多い。だが、「連続性」は当然、１カットの中に流れる一定の時間の上にも、当然存在している ... １カットの中で複数のことを連続的に行う表現がある" 片渕須直. (2011). β運動の岸辺で - 第92回 コンティニュイティの意味するところ. WEBアニメスタイル.
- ^ a b c "映像化絶対不可能と言われ続けた綾辻行人のデビュー作『十角館の殺人』が、まさかの実写化。" 朝宮. (2024). 映像化絶対不可能といわれた『十角館の殺人』は、結局何がすごいのか. 現代ビジネス.
- ^ a b "漫画の映像化 ... アニメーションを静止画像の漫画に付与する" p.98 より引用。佐藤. (2019). 漫画のオブジェクト抽出に基づく映像化手法の提案. 芸術科学会論文誌 Vol. 18, No. 3, pp. 97–105.
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- ^ "多くの映画人が映画化を試み、なかには製作段階で立ち消えになった企画もあるなど、そのあまりにも壮大な世界観のために「映像化不可能」と言われてきた。" 神武団四郎. (2024). 「デューン」映像化の歴史！“映像化不可能”に挑んできた映画人たちを振り返る. Movie Walker Press.
- ^ a b "実写（ライブ＝リアル）映画とアニメは、映像媒体として同質です" 富野 2024, p. 12 より引用。
- ^ "映像の多義性を利用し，独立に撮影された複数のショットを結合させることにより新たな意味を発生・強調させる ... この編集技法をモンタージュ" p.1403 より引用。嶌田, 聡 (2008). "知っておきたいキーワード 第32回 映像文法" (PDF). 映像情報メディア学会誌. 62 (9): 1403–1405.
- ^ "映画やアニメーションに滑らかな動きを知覚する理由を説明するのにいくつか異なる説がある。... 心理学者たちと ... アニメーション制作者たちにとって ... 映画やアニメーションの動きは，解明すべき重要な問題である。" 吉村 2014, p. 87 より引用。
- ^ "運動錯視とは静止しているにも関わらず動いて見える錯視である．... Motion illusion is one of visual illusions that evokes motion by a static image." 以下より引用。林. (2014). 網膜ON/OFF応答の焦点時刻が説明する残像回転錯視. 電子情報通信学会技術研究報告, vol. 113, no. 500, NC2013-93, pp. 31-36.
- ^ "適当な距離の空間を取りながら光点などを順次点滅させていくと動いて見える錯覚をβ運動という．" p.173 より引用。山野井陸. (2016). 跳躍性眼球運動および周辺視が仮現運動の知覚に与える影響に関する研究. 2016年 情報科学技術フォーラム, 7H, I-020.
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- ^ 精選版 日本国語大辞典、デジタル大辞泉、普及版 字通. “影像”. コトバンク. 2023年11月28日閲覧。
参考文献
- 富野, 由悠季『映像の原則』（改訂二版）キネマ旬報社、2024年。ISBN 978-4-87376-888-5。
- 吉村, 浩一 (2014). "映画やアニメーションに動きを見る仕組み - 仮現運動説をめぐる心理学的検討 -" (PDF). 法政大学文学部紀要. 69: 87–105.
- スポニチアネックス取材班 (2024-02-03). “三谷幸喜氏 原作物の映像化で問題起きる理由「映像は時間芸術。小説も漫画もそうじゃない」”. スポニチアネックス.
- 稲田, 豊史 (2022-04-25). “「倍速視聴」は進化か退化か。「プリキュア」「銭天堂」脚本家が抱く危機感”. 現代ビジネス.
- 北嶋, 洋一 (2021). "映像制作に於ける演出 演出と描写 序論" (PDF). 星槎道都大学研究紀要 (2): 143–154.