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ロウバイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
蝋梅から転送)
ロウバイ
ロウバイ(中心部の花弁が暗紫色)
分類
: 植物界
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: クスノキ目 Laurales
: ロウバイ科 Calycanthaceae
: ロウバイ属 Chimonanthus
: ロウバイ C. praecox
学名
Chimonanthus praecox (L.) Link[1]
和名
ロウバイ
Chimonanthus praecox

ロウバイ(蝋梅(蠟梅[2])、臘梅、唐梅〔カラウメ〕、学名Chimonanthus praecox)は、クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属に属する中国原産の落葉樹である。

名称

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和名の「ロウバイ」の語源は、漢名の「蝋梅」の音読みとされ[3]、由来について一説には、陰暦の12月にあたる朧月(ろうげつ)にウメの香りの花を咲かせるためだと言われている[3]。『本草綱目』によれば、半透明でにぶいツヤのある花びらがまるで細工のようであり、かつ臘月に咲くことにちなむという[4]

特徴

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中国の原産で、日本へ渡来したのは17世紀初めの江戸時代ごろとされる[3]庭木として広く植えられている[3]

落葉広葉樹低木[3]、高さは2 - 5 mになる[2]。株立ちし、樹皮は淡灰褐色で皮目が縦に並び、生長とともに浅く割れたようになる[2]は長さ10 - 20 cmの細い長楕円形で、両端は尖る[3]

花期時期は1 - 2月[3]。早生種では12月頃に、晩生種でも2月にかけて半透明でにぶいツヤのある黄色く香り高いがやや下を向いて咲く[4]。花色は外側が淡黄色で内側が暗紫色をしている[2]果実痩果で一見すると種子に見え、花托が生長して壺状の偽果になり、中に偽果が詰まり数個から10個程度見られる[3]

冬芽は枝に対生し、葉芽は卵形で花芽は球形をしている[2]。枝先には仮頂芽(葉芽)が2個つく[2]

ロウバイ属には他に5種があり、いずれも中国に産する。なお、ウメは寒い時期に開花し、香りが強く、花柄が短く花が枝にまとまってつくといった類似点があるが、バラ目バラ科に属しており系統的には遠縁である。

品種

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ソシンロウバイ(素心蝋梅)やトウロウバイ(唐蝋梅)などの品種がある。よく栽培されているのはソシンロウバイで花全体が黄色で、ロウバイよりもよく結実する[2]。ロウバイの基本種は、花の中心部は暗紫色で、その周囲が黄色である[2]

  • カカバイ(狗牙蝋梅・狗蝿梅、学名:Chimonanthus praecox (L.) Link f. intermedius (Makino) Okuyama[5]
  • ソシンロウバイ(素心蝋梅、学名:Chimonanthus praecox (L.) Link f. concolor (Makino) Makino[6]
    • マンゲツロウバイ(満月蝋梅)
    • シロバナロウバイ(白花蝋梅)
ほかにも「揚州黄」「吊金鐘」などの栽培品種がある。
「虎蹄」「喬種」などの栽培品種がある。

人との関わり

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栽培

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土壌をあまり選ばず、かなり日陰のところでもよく育ち開花する丈夫な花木である。

繁殖は、品種ものの一部を除き挿し木が一般的だが実生からの育成も容易。種まきから最も簡単に育てられる樹種である。晩秋になると、焦げ茶色の実がなっており、中のタネ(真の果実)はアズキくらいの大きさである。寒さに遭わせたほうがよく発芽するといい、庭に播き、5 mmほど覆土しておくと、春分を過ぎてから生えてくる。

毒性

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種子などにアルカロイドであるカリカンチンフランス語版を含み有毒。中毒すればストリキニーネ様の中毒症状を示す。カリカンチンの致死量マウス44 mg/kg(静脈注射)、ラット17 mg/kg(静脈注射)である。

薬用

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花やつぼみから抽出した蝋梅油(ろうばいゆ)を薬として使用する。中国では、花をやけどの薬にすると言われている[3]

文化

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日本においては晩冬小寒〔1月6日頃〕から立春の前日〔2月3日頃〕までの間)の季語とされる[8]

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chimonanthus praecox(L.) Link”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年9月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 237.
  3. ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 116.
  4. ^ a b ロウバイとは”. ヤサシイエンゲイ. 2015年12月28日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chimonanthus praecox(L.) Link f. intermedius(Makino) Okuyama”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年9月26日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chimonanthus praecox(L.) Link f. concolor(Makino) Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年9月26日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Chimonanthus praecox(L.) Link var. grandiflorus(Lindl.) Makino”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年9月26日閲覧。
  8. ^ 臘梅”. きごさい. 2015年12月28日閲覧。

参考文献

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  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、237頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、116頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目

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外部リンク

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