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道統

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
道統論から転送)

道統(どうとう)は、儒教において上古以来、儒教の道を伝えた「聖賢」の正統。代の儒学者によって唱えられた[1][2]朱子学の術語としては、孟子以後仏教道教などの「異端」が栄え「道統」は廃れたが、周敦頤程顥程頤らがこれを復活。さらにそれを朱熹が引き継いだとし、朱子学が儒学の正統であると主張する根拠としている。考え方の萌芽は韓愈の『原道』にすでにみえるが、教義的で史実とは判断しがたい[3]

概要

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唐代中期の韓愈は、『原道』で「道」について

堯以是傳之舜、舜以是傳之禹、禹以是傳之湯、湯以是傳之文武周公、文武周公傳之孔子、孔子傳之孟軻。軻之死、不得其傳焉。荀與揚也、擇焉而不精、語焉而不詳。 — 『原道』

と記している。また、『送王秀才序』には

子思之學、蓋出曾子。自孔子沒、群弟子莫不有書、獨孟軻氏之傳得其宗。 — 『送王秀才序』

とある。韓愈によれば、「道」は---湯王-文王武王周公-孔子-孟軻孟子)と伝えられ、孟軻の死後は後継がなく、確かに荀子揚雄が出たが、彼らは正しい『道』を選び取ることができず、儒教を語るも詳細に欠いたと批判する。また、子思(孔子の孫)の学問は曾子(孔子の弟子)から引き継がれ、さらにそれを引き継いだのが孟子であるという。この「孔子-曾子-子思-孟子」という道の伝授の確定は、そのまま「四書」の表彰に繋がる[3]朱熹孟子集注』孟子序説には『原道』が引用され、加えて二程の評価を引用している[注 1]。二程は、韓愈が道統に孟子を含み入れたことは前人を踏襲したものではなく、自分勝手のものでもなく、おそらく根拠を有するものであろうと判断している。

宋代に入ると、孔孟の道を継承しそれを宣揚しようという道学の意識をもって問題にされる[3]南宋朱熹は、『論語』は孔子、『大学』は曾子、『中庸』は子思、『孟子』は孟子のそれぞれの思想を伝える重要な書物とみなした。これが「四書」であるが、朱熹は「孔子-曾子-子思-孟子」と受け継がれた学問の系譜を「道統」と呼んだ。さらに朱熹は孟子以降断絶していた系譜が北宋の四先生(周敦頤・程顥・程頤・張載)によって復活され、この系統を朱熹自身が継承したと主張した[4]

脚注

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注釈

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  1. ^ 韓子此語、非是蹈襲前人、又非鑿空撰得出、必有所見。若無所見、不知言所傳者何事。「孟子序説

出典

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  1. ^ 新字源 2017, p. 1371.
  2. ^ 新字源 2017, p. 1448.
  3. ^ a b c 日本国語大辞典, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,世界大百科事典 第2版,大辞林 第三版,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “道統(どうとう)とは”. コトバンク. 2020年6月21日閲覧。
  4. ^ 湯浅 2018, p. 238.

参考文献

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  • 小川環樹,西田太一郎,赤塚忠,阿辻哲次,釜谷武志,木津祐子、2017、『角川 新字源 改訂新版』、KADOKAWA ISBN 978-4-04-621966-4
  • 佐藤進,濱口富士雄、2017、『全訳 漢辞海 第四版』、三省堂 ISBN 978-4-385-14048-3
  • 湯浅邦弘、2018、『教養としての 中国古典』、ミネルヴァ書房 ISBN 462308275X