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陳曽栻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
陳曽ショクから転送)
陳曽栻
『満洲紳士録 第三版』(1940年)
プロフィール
出生: 1884年光緒10年)2月[1]
死去: 不詳
出身地: 清の旗 直隷省青県 [1][2]
職業: 官僚・政治家
各種表記
繁体字 陳曾栻
簡体字 陈曾栻
拼音 Chén Zēngshì
ラテン字 Ch’en Tzeng-shih
和名表記: ちん そうしょく
発音転記: チェン ゾンシー
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陳 曽栻(ちん そうしょく、1884年2月 – 没年不詳)は中華民国の官僚・政治家。冀東防共自治政府中華民国臨時政府・南京国民政府(汪兆銘政権華北政務委員会で各職を歴任した。別号は矩亭[2]

事績

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清末に日本へ留学し、1909年宣統元年・明治42年)に明治大学政治科を卒業した[3]1910年宣統2年)3月、湖北省清丈局専弁となる。中華民国成立後は、呉興県知事、中東鉄路路警処秘書主任、灤県県長などを歴任している[1]

1935年民国24年)12月に冀東防共自治政府が成立すると、陳曽栻は自治政府秘書処長に任命された[4]1937年(民国26年)2月9日、自治政府機構改革に伴い秘書処が政務処に改組されると、そのまま政務処長に移った[5]。なお、同年7月29日における通州事件での陳の動向は不詳となっている。

中華民国臨時政府成立後の1938年(民国27年)1月6日付で、陳曽栻は河北省政府公署(省長:高凌霨)建設庁庁長に任命される[6][7][8]。翌1939年(民国28年)3月9日に高が省長を退任して呉賛周が後任となる。この際に河北省政府の大幅な人事異動[9]があったが、陳はそのまま建設庁長に留任した。

1940年(民国29年)3月30日、南京国民政府(汪兆銘政権)に臨時政府が合流し、華北政務委員会に改組されるが、陳曽栻はそのまま河北省建設庁長に重任している[10]1943年(民国32年)9月18日まで、同職には5年8か月にわたり在任した[11][12]。同年6月28日に河北省政府秘書長代理を兼任し、建設庁長退任により兼務を解かれた9月18日からは秘書長専任となった[12]。秘書長には1945年(民国34年)2月20日まで在任したため、建設庁長と秘書長の期間を併せると、河北省政府の幹部としては7年1か月つとめたことになる。1945年2月20日、華北政務委員会農務総署督弁兼常務委員として抜擢され[13][14]、日本敗北まで在任している。

日本敗北後の同年12月5日、陳曽栻は漢奸として蔣介石の国民政府に北平で逮捕され、翌1946年(民国35年)5月27日に南京へ移送された[15]1947年(民国36年)10月17日、首都高等法院において無期懲役判決を受けている[16]

以後、陳曽栻の行方は不詳となっている。

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  1. ^ a b c 満蒙資料協会編(1940)、1814頁。
  2. ^ a b 劉ほか編(1995)、1396頁。
  3. ^ 明治大学編(1937)、卒業生年度別36頁。
  4. ^ 神田・東洋事情研究会(1936)、48頁。「秘書処長」は、池宗墨が就任した「秘書長」とは異なる。秘書長は「政務長官の政務処理を補佐する」(「冀東防共自治政府組織大綱」第6条)地位であり、秘書処を含む各処や各庁の上位に立つ。
  5. ^ 季・沈編(1997)、336頁。
  6. ^ 臨時政府令、民国27年1月6日(『政府公報』第1号、民国27年1月17日、臨時政府行政委員会公報処、17頁)。
  7. ^ 劉ほか編(1995)、1127頁
  8. ^ なおこの時、冀東防共自治政府で同僚(外務処長・総務庁長)だった王潤貞も、同公署民政庁庁長に任命された。
  9. ^ 秘書長の孫潤宇、民政庁長の王潤貞らが退任している。
  10. ^ 『華北政務委員会公報』に記載は見当たらない。
  11. ^ 『日文国民政府彙報』第204号、1943年11月18日、中国和文出版社、7頁。
  12. ^ a b 劉ほか編(1995)、1128頁。
  13. ^ 『同盟時事月報』9巻2号通号225号、1945年3月14日、同盟通信社、78頁。
  14. ^ 劉ほか編(1995)、1059頁は「2月18日任」としている。
  15. ^ 益井(1948)、19頁。
  16. ^ 江蘇省地方志編纂委員会編(1997)、186-188頁。

参考文献

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  • 満蒙資料協会編『満洲紳士録 第三版』満蒙資料協会、1940年。 
  • 高木翔之助編『冀東政権の正体』北支那社、1937年。 
  • 神田隆介著・東洋事情研究会編『冀東綜覧』東洋事情研究会、1936年。 
  • 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1 
  • 劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。ISBN 7-101-01320-1 
  • 江蘇省地方志編纂委員会編『江蘇省志 第68巻 審判志』江蘇人民出版社、1997年。ISBN 9787214018557 
  • 季嘯風・沈友益編『中華民国史史料外編 第六十冊-前日本末次研究所情報資料 中文部分』広西師大出版社、1997年。ISBN 9787563320875 
  • 益井康一『裁かれる汪政権 中国漢奸裁判秘録』植村書店、1948年。 
  • 明治大学編『明治大学一覧 付・卒業生年度別 昭和十二年十一月』明治大学、1937年。