コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

スノーバケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
雪かき用バケットから転送)
・00系 豪雪型(左側)
・14系 取回しスイスイ型(右側)
除雪中のスノーバケット
スノーバケットのエッジ部分。ヘルテン鋼またはS50Cが使用されている。

スノーバケットとは、本格的な除雪を行うために設計されたフォークリフト雪かきアタッチメントである。

フォークリフトに短時間で装着できるため、急な大雪に対応可能である。
スノーバケットの設計・製造は、新潟県長岡市の株式会社橘工芸で行われている。(商標権の保有も同社)

特徴

[編集]
  • 国産スタンダードフォークリフト各型式に対し、ジャストフィットで製作されている。このため、汎用バケットや汎用スノープラウと比較した場合、オペレーターから見た利便性が高い。
  • 雪のすくい上げ、排雪などの本格的な除雪作業を行うことができる。豪雪地帯(および特別豪雪地帯)で使用可能である。
  • 連結ピンによってフォークリフトに短時間(おおむね90秒以内)で装着できる。また、装着や取り外しの際に工具は不要である。
  • 鉄道貨物駅、集配センター、倉庫などの物流拠点に配置することで、除雪車を導入するよりも低コストで雪害に備えることができる。(防災用品
  • 除雪の他、「砕石」や「もみがら」の積込み、「養鶏場や養豚場での糞尿処理」などで使用されている。

種類

[編集]
・00系 豪雪型 + 先端の見えるオプション(手前側)
・14系 取回しスイスイ型(奥側)

00系 豪雪型

[編集]
  • 新潟県魚沼地域などの豪雪地帯での除雪作業に適している。
  • バケットが深くオペレーターから先端が見えないため、障害物の多いスペースでの運用には注意を要する。
  • 00系 豪雪型 専用オプション「先端の見える SNOW BUCKET」にすることで、エキスパンドメタル[1]越しにバケット先端を見ることができる。

当初は単に「スノーバケット」と呼ばれていたが、新型試作機の開発が始まった頃から「00系(ぜろぜろけい)」と表現されるようになり、2014年(平成26年)10月1日より「00系 豪雪型」の名称になった。

14系 取回しスイスイ型

[編集]
  • 00系 豪雪型を元にバケットの高さを低くし、先端を見えやすくした改良型。積載容量は、00系 豪雪型の約80 %。
  • オペレーターは、除雪作業中にバケット先端を確認することができる。
  • 一般的な降雪地域に適している。

2013年(平成25年)冬に販売開始された頃は、単に「14系(いちよんけい)」と呼ばれていた。2014年(平成26年)10月1日より「14系 取回しスイスイ型」の名称になった。

商標

[編集]

株式会社橘工芸が商標権を保有している[2]

模倣品の存在

[編集]

スノーバケットの模倣品[3]産業財産権を侵害している製品、商品)が、インターネットオークションオンラインストアで反復継続して販売されている。商標の類否の判断にあたっては、商標の見た目(外観)・読み方(称呼)・一般的な印象(観念)が個別的には類似しない場合であっても、具体的取引状況によっては、これらの基準の総合的な類似性の有無について判断される。

模倣品は、エッジ部分[4]の厚さ9 mm以下[5]もしくは別途取付けられていない[6]ため、耐衝撃性や耐摩耗性が大きく劣っている。また、模倣品の鋼板厚は3.2 mm以下[7]で、補強部材が省略されている貧弱な造りの製品が多い。模倣品は、外観こそ本物に似ているが、想定外の大雪に備える防災用品としての機能を十分満たしているとは言えない[8]ため、注意が必要である。

雪かきアタッチメント、除雪機 - 比較表

[編集]
除雪可能な
雪質・積雪量
除雪方法 特 徴

スノーバケット
(フォークリフト用アタッチメント)

新 雪 : 約2m以下

硬い雪 : 約2m以下

押 す
積み上げ
運 ぶ
排 雪
  • 2mの硬い雪から、10cm以下の新雪まで、幅広く対応できる。
  • 各型式に対してジャストフィットで製作されているため、バケットのブレが少ない。
  • 4トン車用から1トン未満車用までラインナップされている。4トンを超えるクラスについては、特注オーダーで製作されている。
  • エッジ部分に、ヘルテン鋼またはS50Cが使用されている。
汎用型スノープラウ

(フォークリフト用アタッチメント)

新 雪 : 約30cm[9]

押 す
積み上げ

  • 30cm以下のやわらかい新雪に最適。
  • 異なるメーカーのフォークリフトで共用できる。
  • 汎用品のため、接合部の隙間が非常に大きい。プラウの横ブレ、垂直方向のガタつきが大きい。
  • 取付方法において、作業中にスノープラウが脱落する不具合のある商品が一部存在する。[10]
  • エッジ部分に、耐摩耗性の低いSS材が使用されている物が多い。SS材エッジの場合、5cmほど浮かせた状態で運用するため、路面に雪が残る。
  • 除雪能力、剛性などの要素を合わせて考えた場合、寡雪地域での極端な大雪に対応できない物が多い。

パレット + コンパネ DIY
(フォークリフト用アタッチメント)

新 雪 : 10cm以下 押 す
  • 10cm以下の新雪に最適。
  • 低コスト。
  • 日曜大工程度の道具と知識があれば、簡単に短時間で組立て可能である。

手押し式エンジン除雪機
(例: HONDA ユキオス SB800 JT)

新 雪 : 約20cm〜25cm[11] 押 す
  • 20cm〜25cm以下の新雪に最適。
  • ブレード高が33cmであるため、それより高い積雪では押すことが難しくなる。[11]
小型ロータリー除雪機

(例: HONDA HSS655c J)

新 雪 : 約40cm[12]

硬い雪 : 約30cm[12]

飛ばす
積み上げ
排 雪
  • 40cm以下のやわらかい新雪に最適。
中型ロータリー除雪機

(例: HONDA HSM1390i JN)

新 雪 : 約60cm[12]

硬い雪 : 約40cm[12]

飛ばす
積み上げ
排 雪
  • 新雪の他に、重みでしまった雪や屋根から落ちた雪にも適している。
  • 中型ロータリー除雪機は、小型ロータリー除雪機よりも効率良く除雪できる。

脚注

[編集]
  1. ^ エキスパンドメタルとは”. 奥谷金網製作所. 2021年1月30日閲覧。
  2. ^ 登録第5666704号
    商標:スノーバケット
    指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分:第12類(乗物その他の移動用の装置)
    フォークリフトカーに装着する除雪用バケット・その他の自動車並びにその部品及び附属品,
    二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,
    船舶並びにその部品及び附属品,
    航空機並びにその部品及び附属品,
    鉄道車両並びにその部品及び附属品,
    人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,荷役用索道
    商標登録日:2014年4月25日
    商標権者:株式会社橘工芸
  3. ^ 登録商標と同一の指定商品・指定役務に登録商標を使用する行為は商標権の侵害とされる。また、さらに指定商品・指定役務に同一もしくは類似する商品・役務に登録商標に類似する商標を使用する行為または指定商品・指定役務に類似する商品・役務に登録商標を使用する行為も侵害とみなされる。 商標の類否の判断にあたっては、商標の見た目(外観)・読み方(称呼)・一般的な印象(観念)の類似性の検討に加え、取引の実情を考慮して、総合的に出所混同の恐れがあるかどうかを、取引者や一般の需要者が商品購入時に通常払うであろう注意の程度を基準として判断される。なお、外観、呼称、観念が個別的には類似しない場合であっても、具体的取引状況によっては、これらの基準の総合的な類似性の有無について判断される。
  4. ^ バケットの先端に位置し、路面に触れる部分。消耗品
  5. ^ 模倣品のエッジ9 mm以下に対し、スノーバケットのエッジは13 mm。
  6. ^ 模倣品で、平鋼(フラットバー、FB)の代わりにゴム板が使われている物も存在する。
  7. ^ 模倣品の鋼板厚3.2 mm以下に対し、スノーバケットは6 mm鋼板+6 mm FB補強。
  8. ^ 近年、降雪量の年変動が拡大しており、降雪の少ない地域においても極端な大雪の発生が予想される。また、除雪用バケットにおいて、解け始めて重くなった雪に対応できることは重要である。なぜなら、1立方メートルの雪の重さは時間の経過と共に大きく変わるからである。例えば、降ったばかりの新雪は50 kg - 150 kgであるが、ざらめ雪では300 kg - 500 kgにもなる。
  9. ^ 商品によって除雪可能な積雪量は異なる。ブレード部分の高さ=除雪可能な積雪量と考えて良い。
  10. ^ フォークの先にプラウを差し込み、上からボルト(ハンドル)等で締めて固定するタイプは、加重(雪の荷重、及び、路面から受ける抗力)や振動によって、プラウが脱落することがあり、非常に危険である。他方、フォークの根元でピンを差し込むタイプは、脱落の可能性はほぼ無い。これは、サヤフォークの取付け方法と同じであり、固定用のピンは曲がることがあっても折れることは少ないため、相当の程度以上に安全な固定方法と言える。
  11. ^ a b --Hondaお客様相談センターで確認済み
  12. ^ a b c d --Hondaホームページ(公式サイト)製品ページ 除雪高さの目安より

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]