コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

語音転換

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
頭音転換から転送)

語音転換(ごおんてんかん、または頭音転換 (とうおんてんかん)、英語Spoonerism, スプーナリズムフランス語Contrepèterie, ドイツ語Schüttelreim)とは、滑稽な効果を狙って、の中のいくつかの音素、特定の音節を置換して新しい句を作る言葉遊び。あるいは同様の言い間違いのことである。いろいろな言語の中に語音転換の例を見つけることが可能である。

スプーナリズムという名称は、英国の神学者ウィリアム・アーチボルド・スプーナーの失敗談に由来し、1885年頃から教え子らの創作を含むものが普及していった[1]。フランスでは16世紀にフランソワ・ラブレーエティエンヌ・タブロットフランス語版の使用例がある。

英語の例

[編集]
  • Mardon me, padam, this pie is occupewed. Can I sew you to another sheet?
正しくは「Pardon me, madam, this pew is occupied. Can I show you to another seat?(すみません、マダム。この席はふさがっております。別の席にご案内いたしましょうか?)」。日本語で表せば、冒頭部分の「すみません、マダム」が「まみません、スダム」と置換されたようなもの。
  • Shoving Leopard(Loving Shepherd) - 「The Lord is a Loving shepherd(主は慈悲深き羊飼いである)」を「The Lord is a Shoving Leopard(主は乱暴な豹である)」と言い間違える聖職者ジョークとして用いられる[2]

また、人名の語音転換は定番の遊びであり、特に世界的な著名人名を頭音転換したものを芸名や役名にする例は枚挙にいとまがない。例「Himi Jendrix」「Maul & PcCartney」「Cill Blinton」

日本語の例

[編集]

日本語においては、随筆家の内田百閒が、「ハマクラカム(鎌倉ハム)」「ババタノタカ(高田馬場)」、「コンデルスゾーンのメンチェルト(メンデルスゾーンコンチェルト)」などとして楽しんだことが知られる。

倒語に分類されることもあるが、1960年代〜80年代のジャズ演奏家の間では、「調子いい」を「C調(しいちょう)」、「銀座で寿司」を「ざぎんでしーすー」などとする言葉遊びが隠語として使われ、のちにテレビを通じて有名となった(ズージャ語も参照)。

ムーブメントを起こした例としては、1980年代後半のテレビ番組「いきなり!フライデーナイト」において、姓名の語音転換に限定した投稿コーナー「しりすえもんじ(森末慎二)」が人気を集めた事例があり[4]、ネタをまとめた書籍も出版されたほどである。同コーナーでの代表的なネタとなった「けつだいらまん(松平健)」は、後に魔夜峰央パタリロ!」(第41巻)、漫☆画太郎「けつだいらまん物語」(短編漫画集「まんカス」収蔵)、アニメ「銀魂」(第227話)、大喜利サイトboketeなどに流用された。

黎明期のインターネットでも、人気サイト「スレッジハンマーウェブ」の企画として、人名に限らない頭音転換の投稿コーナーが盛り上がった例がある[5]。ただし、このサイトで殿堂入り的な高評価をされた4作品(通称:四天王)「けつだいらまん」「マール・ポッカートニー(ポール・マッカートニー)」、「しりもんいち(森進一)」「コーモンでぐれ(デーモン小暮)」は、前述の番組本に掲載されていたネタの流用であった。

5000兆円フォントを用いた頭音転換の例(元の文章は「Wikiって略すな」)

2010年代後半には、「5000兆円フォント」と呼ばれるロゴジェネレーターで作成した番組テロップ風のパロディ画像の文句として、「ゴツゴツのアハン(アツアツのゴハン)」、「チャラチャラのパーハン(パラパラのチャーハン)」や「カツカツグレー(グツグツカレー)」などのネタをTwitterや大喜利サイトに投稿する一時的なブームがあった[6]

変換後の表現のパターンとしては、内田のように無意味で滑稽な言葉の響きを楽しむナンセンス系のネタと、しりすえのように別の意味が発生することを面白がる駄洒落系のネタがある。前者の著名な例として「ジャイケル・マクソンマイケル・ジャクソン)」、後者には「ゴリラゲイ雨(ゲリラ豪雨)」がある[7]

他に、阿藤快加藤あいが頭音転換の関係にあることが知られている[8]

その他の例

[編集]

作品名

[編集]

芸名

[編集]

ギャグ

[編集]

関連する人物

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 安藤聡「スプーナーとスプーナリズム」『語研ニュース』第12巻、愛知大学名古屋語学教育研究室、2004年
  2. ^ 「ネーミングの言語学 ハリー・ポッターからドラゴンボールまで」窪薗晴夫著
  3. ^ A survey finds support for both globalisation and import tariffsThe Economist 2017年9月5日
  4. ^ 山田邦子と森末慎二が激白!「あの武道館ライブ、1億円かかった」FRIDAYデジタル 2020年8月6日
  5. ^ 腹筋崩壊!スプーナリズム(1)どうしてこんなに可笑しいの?文春オンライン 2015/08/09
  6. ^ 人間の欲望を忠実に表現した「5000兆円欲しい!」がまさかの映像化、ど派手に動いてさらに5000兆円欲しくなる出来栄えGigazine 2017年7月25日
  7. ^ 東急ハンズ「ゴリラゲイ雨」ツイート後に謝罪 「差別的な文脈念頭になかった」ねとらぼ 2022年6月12日
  8. ^ 阿藤快が出産!? 衝撃ニュースの真相は...なんだかなぁJ-CAST 2015年09月15日

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]