王立国際問題研究所
Royal Institute of International Affairs | |
設立 | 1920年 |
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種類 | シンクタンク |
本部 | イギリス ロンドン |
ウェブサイト |
www |
王立国際問題研究所(おうりつこくさいもんだいけんきゅうじょ、英: Royal Institute of International Affairs, 略称:RIIA)は、イギリスのシンクタンク。イングランドのケント州チャタムにあるのでチャタム・ハウス(Chatham House)とも呼ばれる。
1920年創設。本部はロンドン[注 1]。外交問題評議会の姉妹機関としても知られる。
来歴
[編集]第一次世界大戦後に開かれたパリ講和会議の期間中に、イギリス代表とアメリカの代表間でアングロ=アメリカによるリーダーシップによって戦後の世界秩序を統治するという構想が提起され、その構想をソフト面から支援するためのシンクタンクを共同で設立することになった[1]。しかし、アメリカが国際連盟に参加しないことが決まり、方針の転換を余儀なくされたために、イギリスは「王立国際問題研究所」、アメリカは「外交問題評議会」と、それぞれ独自にシンクタンクを設けることになった。
初期の王立国際問題研究所は、帝国統治に関する研究グループである「ラウンド・テーブル」のメンバーが中核となり、オックスフォード大学を中枢としてアルフレッド・ミルナーの薫陶を受けた学識経験者によって組織された[1]。やがてアーノルド・J・トインビーが招かれ中心的な役割を果たした。
1932年10月19日にはリットン調査団団長ヴィクター・ブルワー=リットンが、イギリスの外交官、政治家等に対し報告書の内容について講演した[2]。
チャタムハウスルール
[編集]チャタムハウスルール (英: Chatham House Rule) とは、王立国際問題研究所に源を発する、会議参加者の行為規範である[5][6]。チャタムハウスルールを適用する旨の宣言の下に運営される会議においては、当該会議で得られた情報を利用できるが、その情報の発言者やその他の参加者の身元および所属に関して秘匿する義務を負う(明示的にも黙示的にも明かにしない)というルール(#引用部分を参照)。このルールの適用により、参加者はその所属する組織への配慮や、発言が自らのものとして公表された際の影響を度外視しやすくなるため、進行中の問題や政治的な話題を取り扱う場であっても闊達(かったつ)な議論をもたらすとともに、情報共有の促進が期待される。また、会議全体ではなく、その一部のみへの適用も可能である。このルールは、王立国際問題研究所において1927年に考案され1992年および2002年に改正されたものであるが、その適用は同研究所主催の会議等に限定されるものではなく、英語圏を中心に広く一般に用いられている。
"When a meeting, or part thereof, is held under the Chatham House Rule, participants are free to use the information received, but neither the identity nor the affiliation of the speaker(s), nor that of any other participant, may be revealed".
チャタムハウス賞
[編集]チャタムハウス賞(英: The Chatham House Prize)は毎年恒例の表彰制度であり、「前年に国際関係の改善に最も重要な貢献をしたとチャタムハウス会員がみなす人物、人々または組織」の顕彰をその趣旨とする[7]。
歴代の受賞者
[編集]受賞年(年) | 氏名・名称 | 国と地域 |
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2005 | ヴィクトル・ユシチェンコ大統領[7] | ウクライナ |
2006 | ジョアキン・アルベルト・シサノ大統領[7] | モザンビーク |
2007 | モーザ・ビント・ナーセル・アル=ミスナドカタール首長夫人[7] | カタール |
2008 | ジョン・アジェクム・クフォー大統領[7] | ガーナ |
2009 | ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領[8] | ブラジル |
2010 | アブドゥラー・ギュル 大統領[9] | トルコ |
2011 | アウンサンスーチー ミャンマー反政府首班[10] | ミャンマー |
2012 | モンセフ・マルズーキ、ラーシド・ガンヌーシー両大統領[7] | チュニジア |
2013 | ヒラリー・クリントン国務長官[11] | アメリカ |
2014 | メリンダ・ゲイツ ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同創設者[12] | アメリカ |
2015 | 国境なき医師団[13] | スイス |
2016 | モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣[14] | イラン |
ジョン・フォーブズ・ケリー国務長官[14] | アメリカ | |
2017 | フアン・マヌエル・サントス大統領[15][16] | コロンビア |
2018 | ジャーナリスト保護委員会[17] | アメリカ |
2019 | デイビッド・アッテンボロー、ジュリアン・ヘクター[18] | イギリス |
2020 | ヒーリー・ポタニ、アイヴィー・カマンガ、レドソン・カピンドゥ、ディンギスワヨ・マディセ、マイケル・テンボ各憲法裁判所判事[19] | マラウイ |
2023 | ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領[20] | ウクライナ |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 本田 2005, pp. 268–276.
- ^ 加藤陽子 2016, p. 105-106.
- ^ “Chatham House Rule” (英語). Chatham House – International Affairs Think Tank (2009年10月2日). 22022-11-11閲覧。
- ^ 閲覧
- ^ 王立国際問題研究所公式サイト > About us > Chatham House Rule[3][4]{ 2009年10月2日閲覧
- ^ “Chatham House Rule” (英語). Chatham House – International Affairs Think Tank. 2022年11月11日閲覧。
- ^ a b c d e f “Chatham House Prize” (英語). Chatham House. 5 April 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。1 December 2019閲覧。
- ^ “Lula: Brazil's Olympic Champion” (英語). Latinbusinesschronicle.com (6 October 2009). 28 November 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。5 June 2010閲覧。
- ^ “Gül winner of prestigious Chatham House award” (英語). Todayszaman.com (20 March 2010). 16 October 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。5 June 2010閲覧。
- ^ “Winner of prestigious Chatham House award 2011” (英語). chathamhouse.org (2 December 2011). 2 December 2011閲覧。
- ^ "Hillary Clinton voted Chatham House Prize winner" (Press release) (英語). Chatham House. 28 August 2013. 2015年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月12日閲覧。
- ^ “Winner of prestigious Chatham House award 2014” (英語) (21 November 2014). 6 February 2015閲覧。
- ^ “Médecins Sans Frontières (MSF) Awarded 2015 Chatham House Prize” (英語) (22 June 2015). 26 June 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。25 June 2015閲覧。
- ^ a b “John Kerry and Mohammad Javad Zarif named winners of the Chatham House Prize 2016” (英語). Chatham House (24 October 2016). 26 October 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。25 October 2016閲覧。
- ^ “President Juan Manuel Santos named winner of the Chatham House Prize 2017” (英語). chathamhouse.org. 2017年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月11日閲覧。
- ^ “The Committee to Protect Journalists named winner of the Chatham House Prize 2018 | Chatham House – International Affairs Think Tank” (英語). web.archive.org (2020年11月9日). 2020年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月11日閲覧。
- ^ “The Committee to Protect Journalists named winner of the Chatham House Prize 2018 | Chatham House – International Affairs Think Tank” (英語). web.archive.org (2020年11月9日). 2020年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月11日閲覧。
- ^ “Sir David Attenborough and the BBC Studios Natural History Unit awarded Chatham House Prize 2019 for ocean advocacy | Chatham House – International Affairs Think Tank” (英語). web.archive.org (2021年1月10日). 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月11日閲覧。
- ^ “Chatham House Prize: Malawi Judges Win for Election Work | Chatham House – International Affairs Think Tank”. web.archive.org (2021年1月10日). 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月11日閲覧。
- ^ “Ukraine’s President Zelenskyy awarded 2023 Chatham House Prize”. chathamhouse.org (20 June 2023). 28 December 2023閲覧。
参考文献
[編集]- 本田毅彦 著「帝国の終焉と結社」、川北稔 編『結社のイギリス史:クラブから帝国まで』山川出版社〈結社の世界史〉、2005年。ISBN 4634444402
- 加藤陽子『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』朝日出版社、2016年。ISBN 978-4-255-00940-7。
関連文献
[編集]本文の出典ではない資料
- 『敗北しつつある大日本帝国―日本敗戦7カ月前の英国王立研究所報告』英国王立国際問題研究所、坂井達朗訳、刀水書房〈刀水歴史全書〉、2007年。ISBN 9784887083615、CRID 1130000794217294720。王立国際問題研究所が太平洋問題調査会の第9回国際会議に提出した報告書(1945年1月)の日本語訳。
- 小原 満穂「シンクタンク (1)-その定義と海外の状況」『情報管理』第33巻第9号、科学技術振興機構、1990年、p.769-784。ISSN 0021-7298, 1347-1597、CRID 1390001205473085184、doi:10.1241/johokanri.33.769。
- 佐藤 宣之(英国王立国際問題研究所)「「中部からクールジャパン発信委員会」提言書:中部からクールジャパン発信のためのアクションプラン~輝ける中部・名古屋を目指して~ 」『日本醸造協会誌』第111巻第1号、日本醸造協会、2016年、p.2-13。ISSN 0914-7314、CRID 1390001288034416256、doi:10.6013/jbrewsocjapan.111.2。