コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

国際現代音楽協会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ISCMから転送)

国際現代音楽協会(こくさいげんだいおんがくきょうかい、: International Society for Contemporary Music)は、新しい音楽の普及・発展を目的として戦間期1922年に設立された国際組織。略称はISCM

歴史

[編集]

日本現代音楽協会(会長:坪能克裕)は日本支部として1935年に加盟。第二次世界大戦中は除名となるも、1948年に再加盟が認められ現在に至る。また、日本作曲家協議会(会長:小林亜星)は準会員組織として認められている。

大戦中の3年間を除いて毎年、加盟国持ち回りで国際音楽祭“World Music Days”(世界音楽の日々)を開催。各支部推薦曲のほか、作曲家個人や出版社からも作品を募集。寄せられた膨大な作品の中から国際審査員による選考審査を経て、約2週間に及ぶ音楽祭のプログラムが構成された。

ストラヴィンスキーシェーンベルクからメシアンクセナキスリゲティベリオシュニトケ等、日本でも受賞歴のある作曲家達にいたるまで、20世紀の重要な作曲家の多くが、この音楽祭に作品が入選している。

第1回音楽祭は1923年ザルツブルクにて開催され、以下の作曲家の作品を取り上げた。

日本では2001年横浜で大会が開催された。アジアでは1988年2002年2007年香港1997年韓国で開催されている。

批判と近況

[編集]

当初から、作曲家を支援するための公募やコンクールを併設している。かつては現代音楽のための作曲コンクールが「全く無く」(他の作曲コンクールは普通に行われていた)、ISCMが全ての現代音楽の鉱脈を拾えることを前提に運営していた。しかし、1990年代に入ると「ISCMの役割は終わったなどとブーレーズにいわれたが、僕はそうは思いません(カン・スキ)」という意見に象徴されるように、必ずしも現代音楽の潮流を考慮した選考が行われにくくなった。

21世紀にはいると、ISCMの役員からも、多くの不満の声が上がるようになった。オルランド・ジャチント・ガルシアはフロリダでISCM入選作の選考を担当しているが、彼ですら「シュトットガルト大会で、ISCMは死んだ![1]」と発言。その発言がISCMのトップページに掲載された。

かつては2週間ほど大規模にフェスティバルを組めたが、今世紀は各国とも財政難が続いており、2013年に入ってはスロヴァキアの経済事情から「一年一カ国」の原則が破られ、複数国での異例の開催となった。現在では最悪の場合6日間(2011年大会)しか組めなくなっている。この状況のためか、審査員を積極的に若返らせ、なるべく新規の作曲家を公募するように、調整している。

音楽祭開催地/日本人の入選作品

[編集]
開催年 開催地 作曲者名、作品名
2020 ニュージーランドの旗 ニュージーランドオークランド
2019  エストニアタリン
2018 中華人民共和国の旗 中国北京
  • 池田悟:Imprisonment for 13 players
  • 国枝春恵:弦楽器、打楽器、尺八のための音楽~花をIII
2017 カナダの旗 カナダバンクーバー
2016 大韓民国の旗 韓国統営市
  • Tongyeong International Music Festival 内で開催
  • 嶋津武仁:Requiem for Nature for Bariton and small Orchestra or Chamber ensemble
  • 松下功:Prayer of the Firmament
  • 福田拓人:フルートとエレクトロニクスのための「Beyond the eternal chaos」
2015 スロベニアの旗 スロベニアスロヴェニア
2014 ポーランドの旗 ポーランドヴロツワフ
2013 スロバキアの旗 スロバキアブラチスラヴァコシツェ
 オーストリアウィーン
2012 ベルギーの旗 ベルギーアントウェルペン
ブルッヘブリュッセルヘント
ルーヴェンモンス
2011 クロアチアの旗 クロアチアザグレブ
2010 オーストラリアの旗 オーストラリアシドニー
2009  スウェーデンヴィスビュー
ベクショーヨーテボリ
2008  リトアニアビリニュス
2007 香港の旗 香港
2006 ドイツの旗 ドイツシュトゥットガルト
2005 クロアチアの旗 クロアチアザグレブ
  • 篠原眞:Passage B, for stereo amplified woodwind quartet
  • 福井とも子:Schlaglicht, for violin and piano
  • 湯浅譲二:Chronoplastic III, for orchestra
  • 岡本文子:Origin, for oboe and bass clarinet
  • 細川俊夫:(国際審査員作品)
2004 スイスの旗 スイス
  • 篠原眞:テノール・リコーダーと二十絃のためのFragment Duo
  • 藤井喬梓:夢の浮橋~ギター独奏のための
  • 伊藤弘之:弦楽四重奏曲
2003 スロベニアの旗 スロベニアリュブリャナ
  • 大村哲弥:層的音楽 フルート、バス・クラリネット、ピアノのために
  • 中村寛:Purgatorio
2002 香港の旗 香港
2001 日本の旗 日本横浜
  • 下山一二三:2つのコントラバスのための深響
  • 山口淳:風の廻る庭第1番 笙と6人の奏者のための
  • 小鍛冶邦隆:バンドのためのポルカ集・タンゴ集 I
  • 権代敦彦:FATHER FORGIVE~The Litany of Reconciliation~+IN PARADISUM
  • 近藤春恵:Aria 尺八と弦楽オーケストラのための
  • 鈴木和彦:hinge(未上演)
  • 田中カレン:Frozen Horizon(未上演)
  • 田中吉史:6人の奏者のためのΦ
  • 夏田昌和:West, or Evening Song in Autumn(未上演)
  • 南聡:帯/一体何を思いついた?
  • 山本裕之:Eve
  • 一柳慧:インターリレーション ヴァイオリンとピアノのための(国際審査員作品)
  • 近藤譲:舞曲(国際審査員作品)
  • 篠原眞:尺八奏者のための「求道A」(国際審査員作品)
  • 野平一郎:間奏曲第1番「ある原風景」ピアノのための(国際審査員作品)
  • 野平一郎:間奏曲第2番「イン・メモリアム・T」ピアノのための(国際審査員作品)
  • 松平頼暁:GALA ピアノのための(国際審査員作品)
  • 湯浅譲二:マイ・ブルー・スカイ 第3番(国際審査員作品)
2000 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク
1999  ルーマニア
モルドバの旗 モルドバ
1998 イギリスの旗 イギリスマンチェスター
  • 田中カレン:Echo Canyon
  • 三木稔:Marimba Special(演奏者推薦)
1997 大韓民国の旗 韓国ソウル
1996  デンマークコペンハーゲン
1995 ドイツの旗 ドイツルール地方
  • 近藤譲:A Shape of Time
  • 中村斉:Drawing
  • 細川俊夫:Jenseits der Flusse Babylons(国際審査員として)
  • 平義久:Polyedre(主催支部推薦)
1994  スウェーデンストックホルム
  • 湯浅譲二:始源への眼ざし2
  • 大村哲弥:相応歌
  • 田中カレン:Hommage en cristal
1993 メキシコの旗 メキシコメキシコシティ
  • 松下功:時の糸1
  • 高橋裕:シンフォニック・カルマ
  • 嶋津武仁:クリティカル・ポイント
  • 江村哲二:インテクステリア5番
  • 松平頼暁:変域(国際審査員推薦)

[注釈 1]

1992 ポーランドの旗 ポーランドワルシャワ
  • 下山一二三:Voices
  • 高橋裕:プライヤ・ナヤ・シンフォニー
  • 大村哲弥:ファンタスティッシュ・フィギュレーン2
  • 松尾祐孝:飛来4
1991 スイスの旗 スイスチューリッヒ
  • 松平頼暁:レコレクション/Pと室内Orch
  • 松平頼則:源氏物語による三つのエール
  • 久留智之:ル・イゾール
  • 久田典子:プログノスティケーション
  • 篠原眞:コオペレーション/8邦楽器と8洋楽器
  • 湯浅譲二:プロジェクション/VcとP(国際審査員として)
  • 遠藤雅夫:And so Becomes the Water(演奏団体推薦)
1990  ノルウェーオスロ
  • 下山一二三:十七弦とVcとテープのための一期の月影
  • 田中カレン:Pのためのクリスタリーヌ
  • 西村朗:2台Pのためのヘテロフォニー
  • 嶋津武仁:Yuki Yuki te(委嘱作品)
1989 オランダの旗 オランダアムステルダム
  • 田中カレン:アナモルフォーゼ
1988 香港の旗 香港
  • 松下功:時の糸2
  • 西村朗:弦楽四重奏曲

他にACLによって日本作品9曲が演奏された。

1987 西ドイツの旗 西ドイツケルンボンフランクフルト
  • 松平頼暁:レユニオン(国際審査員推薦)
  • 篠原眞:十七弦の生まれ(主催支部推薦)
  • Wonder Products 細野晴臣音楽:ジョニー(主催支部推薦)
  • 小杉武久マイケル・ランタ:デュオ・パフォーマンス
1986  ハンガリーブダペスト
  • 篠原眞:9楽器のためのプレイ
  • 田中カレン:プリズム/Orch
1985 オランダの旗 オランダアムステルダム 入選なし
1984 カナダの旗 カナダトロントモントリオール
  • 藤枝守:遊星の民話2
  • 西村朗:ケチャ
  • 莱孝之:ソリディテイ
  • 松平頼則:雅楽の主題によるラプソディ
  • 篠原眞:ターンズ
  • 松平頼暁:尖度1
  • 湯浅譲二:天気予報(国際審査員として)
1983  デンマークオーフス
  • 松平頼則:唱歌
  • 湯浅譲二:問い
  • 土居克行:ル・パンソー
1982  オーストリアグラーツ
  • 西村朗:オード・フォア・エクスタシス
  • 松下功:アラバスター/3群のOrch
  • 嶋津武仁:波の音楽2
1981 ベルギーの旗 ベルギーブリュッセル
  • 篠原眞:25人の奏者のためのエガリザシオン
  • 湯浅譲二:シーンズ・フロム・バショー
1980 イスラエルの旗 イスラエルテルアビブ
  • 久保摩耶子:Yogi
  • 下山一二三:彩響(国際審査員推薦)
  • 八村義夫:錯乱の論理
  • 松平頼則:神聖な舞踊による三つの楽章のための変奏曲
1979 ギリシャの旗 ギリシャアテネ
  • 小橋稔:鬼女
  • 篠原眞:たゆたい
  • 坪能克裕:三の像/Orch
  • 湯浅譲二:デルフィのための儀式(委嘱作品)
1978  スウェーデンストックホルム
 フィンランドヘルシンキ
  • 湯浅譲二:時の時/Orch
  • 松永通温:Sound First
  • 篠原眞:Relations
  • 下山一二三:Breath
  • 小橋稔:あうん
1977 西ドイツの旗 西ドイツボン
1976 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ボストン
1975 フランスの旗 フランスパリ
  • 遠藤亮:パッサージュ
  • 下山一二三:風紋2
  • 平義久:ストラトス
  • 松平頼暁:シミュレーション/Tuba Solo
  • 松平頼則:前奏曲、間奏曲、後奏曲(同一曲再入選)
  • 三村恵章:交響曲

<電子音響部門>

1974 オランダの旗 オランダロッテルダム
  • 坪能克裕:弦楽四重奏
  • 松平頼則:前奏曲、間奏曲、後奏曲(上演見送り)
  • 湯浅譲二:クロノプラスティック
1973 アイスランドの旗 アイスランドレイキャヴィーク
1972  オーストリアグラーツ
  • 松平頼暁:What's next?
  • 松平頼則:循環する楽章
  • 武満徹:Stanza/Hrp.とテープ(主催支部推薦)
1971 イギリスの旗 イギリスロンドン
  • 南弘明:七夕
  • 湯浅譲二:プロジェクション/弦楽四重奏
1970 スイスの旗 スイスバーゼル
  • 篠原眞:アルテルナンス
1969 西ドイツの旗 西ドイツハンブルク
  • 下山一二三:リフレクション
  • 松平頼暁:分布
  • 松平頼則:ポルトレ
1968 ポーランドの旗 ポーランドワルシャワ
  • 南弘明:挽歌
1967 チェコスロバキアの旗 チェコスロバキアプラハ
  • 松平頼暁:コンフィギュレーション
  • 福島和夫:月魄
1966  スウェーデンストックホルム 支部失格(会費納入遅延のため)
1965 スペインの旗 スペインマドリード
1964  デンマークコペンハーゲン
  • 福島和夫:飛鏡
1963 オランダの旗 オランダアムステルダム
  • 松平頼則:舞楽/室内Orch
1962 イギリスの旗 イギリスロンドン
1961  オーストリアウィーン
  • 松下真一:カンツォーナ・ダ・ソナーレ/Pと打
  • 佐藤慶次郎:カリグラフィ/P 松平頼則:フィギュール・ソノール
1960 西ドイツの旗 西ドイツケルン 入選なし
1959 イタリアの旗 イタリアローマ
  • 松平頼則:左舞
1958 フランスの旗 フランスストラスブール
  • 諸井誠:希薄な展開
  • 松平頼暁:変奏曲/P.Vl.Vc.
1957 スイスの旗 スイスチューリッヒ
  • 松平頼則:フィギュール・ソノール
1956  スウェーデンストックホルム
1955 西ドイツの旗 西ドイツバーデン=バーデン
  • 諸井誠:αβ/P
1954 アイスランドの旗 アイスランドハイファ
  • 松平頼則:催馬楽によるメタモルフォーズ
1953  ノルウェーオスロ
  • 諸井誠:パルティータ/Fl
1952  オーストリアザルツブルク
  • 松平頼則:主題と変奏/PとOrch
1951 西ドイツの旗 西ドイツフランクフルト
  • 黛敏郎:スフェノグラム
1950 ベルギーの旗 ベルギーブリュッセル
1949 支部再加盟
1948 イタリアの旗 イタリアパレルモタオルミーナ 1940年から1948年まで、日本は第二次世界大戦中の枢軸国だったため支部を除名された
1947 オランダの旗 オランダアムステルダム
1946 イギリスの旗 イギリスロンドン
1939 ポーランドの旗 ポーランドワルシャワ
1938 イギリスの旗 イギリスロンドン

入選なし

1937 フランスの旗 フランスパリ
1936 スペインの旗 スペインバルセロナ
1935 イタリア王国の旗 イタリア王国フィレンツェ 日本現代作曲家連盟として支部加盟
1933 オランダの旗 オランダアムステルダム
1932  オーストリアウィーン
1931  ブルガリアオックスフォードロンドン
1930 ベルギーの旗 ベルギーリエージュブリュッセル
1929 スイスの旗 スイスジュネーヴ
1928 イタリア王国の旗 イタリア王国シエーナ
1927 ドイツの旗 ドイツ国フランクフルト
1926 スイスの旗 スイスチューリッヒ
1925 チェコスロバキアの旗 チェコスロバキアプラハ
イタリア王国の旗 イタリア王国ヴェネツィア
1924 チェコスロバキアの旗 チェコスロバキアプラハ
 オーストリアザルツブルク
1923  オーストリアザルツブルク

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 特別企画として、マイケル・フィニシーISCM会長のピアノ演奏により、各支部1曲ずつ2分間のピアノ作品が上演される。日本支部作品としては江村哲二の「インテクステリア4番」が上演される。また、社団法人日本作曲家協議会がISCM準会員として承認される。

出典

[編集]

外部リンク

[編集]