ノート:IUPAC命名法勧告一覧/1993R-9
IUPAC命名法勧告1993R-9一覧(IUPACめいめいほうかんこく1993R-9いちらん)では、IUPAC Nomenclature of Organic Chemistry Recommendations 1993を中心に、要点を和英対訳を引用します(非公式訳)。
R-9 Appendex
[編集]R-9 付録
R-9.1 Trivial and Semisystematic Names Retained for Naming Organic Compounds
[編集]R-9.1 有機化合物命名で維持される慣用名および半組織名
この節では、IUPAC勧告で維持される母体および母体となる置換基の接頭語になる慣用名と半組織名について書かれています。
慣用名および半組織名は、置換基への誘導に関して制限のあるもの、とないものとで3つのタイプに分かれます。
「・ Type 1: Names that may be used when the structure is substituted at any position;
・Type 1:構造がどの位置の置換基になっていても使用してよい名称.
・ Type 2: Names that may be used only when the structure is substituted in certain ways, for example, at a ring position;
・Type2:構造が特定の置換様式をとる場合(例えば環状など)のみ使用してよい名称
・ Type 3: Names that may not be used when the structure is substituted at any way.
・Type3:いかなる場合においても構造が置換基になっている場合には使用してはならない名称.」
だそうです。
続いて、慣用名および半組織名の命名一般原則について書かれていて、
- R-9.1表の項目はR-2と同じ制限の元で解釈すべきである。
- 化合物慣用名や半組織名の使用は、例えばアミノ酸、炭水化物、ステロイド、一般天然物関連などの化合物に許可された特別ルールと考えるべきだ。
- 慣用名や半組織名は短縮形や置換基グループの名称にはならない。
- 慣用名や半組織名を基本複素環の母体名のように誘導したり、"ア"接頭語といっしょに代置命名法の母体とするのはかまわない。
ということが書かれています。
また、
「a comprehensive document dealing with nomenclature for fused- and bridged-ring parent structures is in preparation.
尚、縮合環、架橋環の命名を扱った包括文書は準備中である。」
ということだそうです。
続いて「IUPAC勧告名物膨大な表」が列挙されています。タイトルを次に訳します。
Table 19(a) Acyclic and monocyclic hydrocarbons. Parent hydrocarbons.
表19(a) 鎖状および単環炭化水素.母体炭化水素.
Table 19(b) Acyclic and monocyclic hydrocarbons. Substituent groups.
表19(b) 鎖状および単環炭化水素.置換基グループ.
Table 20 Unsaturated polycyclic hydrocarbons.
表20 不飽和多環炭化水素.
Table 20(a) Unsaturated polycyclic hydrocarbons. Priority order.
表20(a) 不飽和多環炭化水素.優先順位.
Table 21 Saturated polycyclic hydrocarbons.
表21 飽和多環炭化水素.
Table 22 Polycyclic hydrocarbon substituent prefixes.
表22 多環炭化水素置換基接頭語.
Table 23 Heterocyclic parent hydrides.
表23 完全飽和複素不環母核.
Table 23(a) Heterocyclic parent hydrides. Priority of precedence.
表23(a)完全不飽和複素環母核.優先順位.
Table 24 Hydrogenated heterocyclic parent hydrides.
表24 飽和および半不飽和複素環母核.
Table 25 Heterocyclic substituent groups and cations.
表25 複素環置換基グループおよびそのカチオン.
Table 26(a) Hydroxy compounds, ethers, and related substituent groups. Parent structures.
表26(a)ヒドロキシ化合物、エーテルおよびその関連置換基グループ。母体.
Table 26(b) Hydroxy compounds, ethers, and related substituent groups. Substituent groups.
表26(b)ヒドロキシ化合物、エーテルおよびその関連置換基グループ。置換基グループ.
Table 27(a) Carbonyl compounds and derived substituent groups. Parent structures.
表27(a)カルボニル化合物およびその関連置換基グループ。母体.
Table 27(b) Carbonyl compounds and derived substituent groups. Substituent groups.
表27(b)カルボニル化合物およびその関連置換基グループ。置換基グループ.
Table 28(a) Carboxylic acids and related groups. Unsubstituted parent structures.
表28(a) カルボン酸およびその関連置換基グループ。不飽和基幹構造.
Table 28(b) Carboxylic acids and related groups. Hydroxy, oxo, and amino (not -amino) carboxylic acids.
表28(b) カルボン酸およびその関連置換基グループ。ヒドロキシ、ケトならびにアミノ基を有するカルボン酸(αアミノ酸を除く).
Table 28(c) Carboxylic acids and related groups. Amic acids and peroxy carboxylic acids.
表28(c) カルボン酸およびその関連置換基グループ。アミノ酸および過酸化カルボン酸.
Table 29(a) Amines, nitrogenous heterocyclic parent structures, and derived substituent groups. Parent structures.
表Table 29(a) アミン、含窒素複素環母核およびそれらから誘導された置換基グループ。母体.
Table 29(b) Amines, nitrogenous heterocyclic parent structures, and derived substituent groups. Derived substituent groups.
表Table 29(b) アミン、含窒素複素環母核およびそれらから誘導された置換基グループ。誘導された置換基グループ.
Table 30(a) Sulfides, sulfonic acids, and derived substituent groups. Parent structures.
表30(a) スルフィド、スルホン酸およびそれらから誘導された置換基グループ。母体.
Table 30(b) Sulfides, sulfonic acids, and derived substituent groups. Derived substituent groups.
表30(b) スルフィド、スルホン酸およびそれらから誘導された置換基グループ。誘導された置換基グループ.
Table 31(a) Acyclic polynitrogen parent structures and derived substituent groups. Parent structures.
表31(a) 鎖状多含窒素基幹構造およびそれらから誘導された置換基グループ。母体.
Table 31(b) Acyclic polynitrogen parent structures and derived substituent groups. Derived substituent groups.
表31(b) 鎖状多含窒素基幹構造およびそれらから誘導された置換基グループ。誘導された置換基グループ
Table 32 Halogen compounds.
表32 ハロゲン化合物.
以上です。
R-9.2 Bridge Names
[編集]R-9.2 架橋構造の命名
R-9.2.1 Simple bivalent bridges
[編集]R-9.2.1 単純な架橋
R-9.2.1.1 An acyclic bridge
R-9.2.1.1 鎖状母体の架橋
ここでは、架橋部分が鎖状炭化水素の場合の命名について述べています。
- 鎖状炭化水素名の末尾の"e"を"o"に代えて接頭語化する。
- 鎖上に二重結合がある場合は"-eno", "-dieno"等、二重結合の数に応じた末尾にする。そして二重結合の架橋部分上の位置を[ ]の中に表す。
ということだそうです。
R-9.2.1.2 A monocyclic hydrocarbon bridge
R-9.2.1.2 単環炭化水素が架橋の場合
まず、架橋がベンゼンの場合はこの節は適用できないそうです。
母体となる縮合環接頭語はR-2.4.1にあるものがベースとなります。
そして、
- 縮合環接頭語の頭に"epi-"を付ける。
- 二重結合の配置はアレン型(>C=C=C<)ではないの二重結合の数が最大となるにする。
- 架橋の両端が、架橋母核のどの位置になるかを[ ]で括って提示する。
ということです。
R-9.2.1.3 Other cyclic hydrocarbon bridge
R-9.2.1.3 その他の環状炭化水素の架橋
その他の環状炭化水素の架橋は表20の不飽和炭化水素名から誘導します。 また、必要に応じて[]で括った位置番号を用います。
R-9.2.1.4 An acyclic heteroatomic bridge
R-9.2.1.4複素元素で置換された鎖状炭化水素の架橋
元の複素元素で置換された鎖状炭化水素から、上に書かれた方法に沿って適宜命名します。
R-9.2.1.5 Heterocyclic bridges
R-9.2.1.5 複素環の架橋
表23の複素環化合物名から誘導し、上に書かれた方法に沿って適宜命名します。 []で括った位置番号は必須です。
R-9.2.2 Simple polyvalent bridges
[編集]R-9.2.2 単純な多価架橋
まずメタンの多価架橋です。三ないしは四価の架橋はmethaneから誘導するそうです。
- 三価架橋 - metheno
- 四価架橋 - methyno
それより長い多価架橋は対応する接頭語をメタンと同じ要領で誘導します。
架橋の端が、架橋母核のどの位置になるかを適宜[ ]で括って提示します。
R-9.3 "a" Prefixes Used in Replacement Nomenclature
[編集]R-9.3代置命名に使用する"a"接頭語
この節では、代置命名の時に炭素原子と置換する"a"接頭語の表
「Table 33 "a" Prefixes used in replacement nomenclature.
表33 代置命名に使用する"a"接頭語」
があります。
関連項目
[編集]オリジナル
[編集]- R-9 Appendex by ACD Lab. Inc.
出典: IUPAC, Commission on Nomenclature of Organic Chemistry. A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds (Recommendations 1993), 1993, Blackwell Scientific publications, Copyright 1993 IUPAC.