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國籍法 (明治三十二年法律第六十六号)

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本則

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第一條 子ハ出生ノ時其父カ日本人ナルトキハ之ヲ日本人トス其出生前ニ死亡シタル父カ死亡ノ時日本人ナリシトキ亦同シ

第二條 父カ子ノ出生前ニ離婚又ハ離縁ニ因リテ日本ノ國籍ヲ失ヒタルトキハ前條ノ規定ハ懐胎ノ始ニ遡リテ之ヲ適用ス

 前項ノ規定ハ父母カ共ニ其家ヲ去リタル場合ニハ之ヲ適用セス但母カ子ノ出生前ニ復籍ヲ爲シタルトキハ此限ニ在ラス

第三條 父カ知レサル場合又ハ國籍ヲ有セサル場合ニ於テ母カ日本人ナルトキハ其子ハ之ヲ日本人トス

第四條 日本ニ於テ生マレタル子ノ父母カ共ニ知レサルトキ又ハ國籍ヲ有セサルトキハ其子ハ之ヲ日本人トス

第五條 外國人ハ左ノ場合ニ於テ日本ノ國籍ヲ取得ス

一 日本人ノ妻ト爲リタルトキ
二 日本人ノ入夫ト爲リタルトキ
三 日本人タル父又ハ母ニ依リテ認知セラレタルトキ
四 日本人ノ養子ト爲リタルトキ
五 歸化ヲ爲シタルトキ

第六條 外國人カ認知ニ因リテ日本ノ國籍ヲ取得スルニハ左ノ條件ヲ具備スルコトヲ要ス

一 本國法ニ依リテ未成年者タルコト
二 外國人ノ妻ニ非サルコト
三 父母ノ中先ツ認知ヲ爲シタル者カ日本人ナルコト
四 父母カ同時ニ認知ヲ爲シタルトキハ父カ日本人ナルコト

第七條 外國人ハ内務大臣ノ許可ヲ得テ歸化ヲ爲スコトヲ得

 内務大臣ハ左ノ條件ヲ具備スル者ニ非サレハ其歸化ヲ許可スルコトヲ得ス

一 引續キ五年以上日本ニ住所ヲ有スルコト
二 滿二十年以上ニシテ本國法ニ依リ能力ヲ有スルコト
三 品行端正ナルコト
四 獨立ノ生計ヲ營ムニ足ルヘキ資産又ハ技能アルコト
五 國籍ヲ有セス又ハ日本ノ國籍ノ取得ニ因リテ其國籍ヲ失フヘキコト

第八條 外國人ノ妻ハ其夫ト共ニスルニ非サレハ歸化ヲ爲スコト得ス

第九條 左ニ掲ケタル外國人カ現ニ日本ニ住所ヲ有スルトキハ第七條第二項第一號ノ條件ヲ具備セサルトキト雖モ歸化ヲ爲スコトヲ得

一 父又ハ母ノ日本人タリシ者
二 妻ノ日本人タリシ者
三 日本ニ於テ生マレタル者
四 引續キ十年以上日本ニ居所ヲ有スル者

 前項第一號乃至第三號ニ掲ケタル者ハ引續キ三年以上日本ニ居所ヲ有スルニ非サレハ歸化ヲ爲スコトヲ得ス但第三號ニ掲ケタル者ノ父又ハ母カ日本ニ於テ生マレタル者ナルトキハ此限ニ在ラス

第十條 外國人ノ父又ハ母カ日本人ナル場合ニ於テ其外國人カ現ニ日本ニ住所ヲ有スルトキハ第七條第二項第一號、第二號及ヒ第四號ノ條件ヲ具備セサルトキト雖モ歸化ヲ爲スコトヲ得

第十一條 日本ニ特別ノ功勞アル外國人ハ第七條第二項ノ規定ニ拘ハラス内務大臣勅裁ヲ經テ其歸化ヲ許可スルコトヲ得

第十二條 歸化ハ之ヲ官報ニ告示スルコトヲ要ス

 歸化ハ其告示アリタル後ニ非サレハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス

第十三條 日本ノ國籍ヲ取得スル者ノ妻ハ夫ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得ス

 前項ノ規定ハ妻ノ本國法ニ反對ノ規定アルトキハ之ヲ適用セス

第十四條 日本ノ國籍ヲ取得シタル者ノ妻カ前條ノ規定ニ依リテ日本ノ國籍ヲ取得セサリシトキハ第七條第二項ニ掲ケタル條件ヲ具備セサルトキト雖モ歸化ヲ爲スコトヲ得

第十五條 日本ノ國籍ヲ取得スル者ノ子カ其本國法ニ依リテ未成年者ナルトキハ父又ハ母ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得ス

 前項ノ規定ハ子ノ本國法ニ反對ノ規定アルトキハ之ヲ適用セス

第十六條 歸化人、歸化人ノ子ニシテ日本ノ國籍ヲ取得シタル者及ヒ日本人ノ養子又ハ入夫ト爲リタル者ハ左ニ掲ケタル權利ヲ有セス

一 國務大臣ト爲ルコト
二 樞密院ノ議長、副議長又ハ顧問官ト爲ルコト
三 宮内勅任官ト爲ルコト
四 特命全權公使ト爲ルコト
五 陸海軍ノ將官ト爲ルコト
六 大審院長、會計檢査院長又ハ行政裁判所長官ト爲ルコト
七 帝國議會ノ議員ト爲ルコト

第十七條 前條ニ定メタル制限ハ第十一條ノ規定ニ依リテ歸化ヲ許可シタル者ニ付テハ國籍取得ノ時ヨリ五年ノ後其他ノ者ニ付テハ十年ノ後内務大臣勅裁ヲ經テ之ヲ解除スルコトヲ得

第十八條 日本ノ女カ外國人ト婚姻ヲ爲シタルトキハ日本ノ國籍ヲ失フ

第十九條 婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ日本ノ國籍ヲ取得シタル者ハ離婚又ハ離縁ノ場合ニ於テ其外國ノ國籍ヲ有スヘキトキニ限リ日本ノ國籍ヲ失フ

第二十條 自己ノ志望ニ依リテ外國ノ國籍ヲ取得シタル者ハ日本ノ國籍ヲ失フ

第二十一條 日本ノ國籍ヲ失ヒタル者ノ妻及ヒ子カ其者ノ國籍ヲ取得シタルトキハ日本ノ國籍ヲ失フ

第二十二條 前條ノ規定ハ離婚又ハ離縁ニ因リテ日本ノ國籍ヲ失ヒタル者ノ妻及ヒ子ニハ之ヲ適用セス但妻カ夫ノ離縁ノ場合ニ於テ離婚ヲ爲サス又ハ子カ父ニ隨ヒテ其家ヲ去リタルトキハ此限ニ在ラス

第二十三條 日本人タル子カ認知ニ因リテ外國ノ國籍ヲ取得シタルトキハ日本ノ國籍ヲ失フ但日本人ノ妻、入夫又ハ養子ト爲リタル者ハ此限ニ在ラス

第二十四條 滿十七年以上ノ男子ハ前五條ノ規定ニ拘ハラス旣ニ陸海軍ノ現役ニ服シタルトキ又ハ之ニ服スル義務ナキトキニ非サレハ日本ノ國籍ヲ失ハス

 現ニ文武ノ官職ヲ帶フル者ハ前六條ノ規定ニ拘ハラス其官職ヲ失ヒタル後ニ非サレハ日本ノ國籍ヲ失ハス

第二十五條 婚姻ニ因リテ日本ノ國籍ヲ失ヒタル者カ婚姻解消ノ後日本ニ住所ヲ有スルトキハ内務大臣ノ許可ヲ得テ日本ノ國籍ヲ囘復スルコトヲ得

第二十六條 第二十條又ハ第二十一條ノ規定ニ依リテ日本ノ國籍ヲ失ヒタル者カ日本ニ住所ヲ有スルトキハ内務大臣ノ許可ヲ得テ日本ノ國籍ヲ囘復スルコトヲ得但第十六條ニ掲ケタル者カ日本ノ國籍ヲ失ヒタル場合ハ此限ニ在ラス

第二十七條 第十三條乃至第十五條ノ規定ハ前二條ノ場合ニ之ヲ準用ス

附則

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第二十八條 本法ハ明治三十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。