グランド・セフト・オートIV
ジャンル | アクション・アドベンチャー・オープンワールド |
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対応機種 |
PLAYSTATION 3 Xbox 360 Microsoft Windows |
開発元 | ロックスター・ノース |
発売元 |
ロックスター・ゲームス カプコン→テイクツー・インタラクティブ(2010年〜) サイバーフロント(Windows版) |
販売元 | テイクツー・インタラクティブ |
プロデューサー | レスリー・ベンジーズ |
ディレクター | レスリー・ベンジーズ |
デザイナー | ダン・ハウザー |
シリーズ | グランド・セフト・オートシリーズ |
人数 |
1人 2-16人(PS3、Xbox 360版オンライン対戦) 2-32人(Win版オンライン対戦) |
メディア |
PS3:BD-ROM 360:DVD-ROM Win:DVD-ROM2枚組、またはSteam(ダウンロード) |
発売日 |
360: 2008年4月29日 2008年4月29日 アジア 2008年4月29日 2008年4月29日 2008年10月30日(Xbox 360 プラチナコレクション:2009年8月27日) PS3: 2008年4月29日 2008年4月29日 2008年4月29日 2008年10月30日(PLAYSTATION 3 the Best:2009年8月27日) Win: 2008年12月2日 2008年12月3日 2008年12月3日 2009年3月20日 |
対象年齢 |
ESRB:M(17歳以上) PEGI:18 CERO:Z(18才以上のみ対象) BBFC:+18 USK:18(18歳未満提供禁止) OFLC(オーストラリア):MA15+ OFLC(ニュージランド):R18 |
コンテンツアイコン | 暴力・犯罪 |
エンジン |
ロックスター・アドバンスド・ゲーム・エンジン Euphoria |
売上本数 | 2,500万本[1] |
動作環境 | |||||||||||||||||||||
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『グランド・セフト・オートIV』(グランド・セフト・オート フォー、原題:Grand Theft Auto IV)は2008年にアメリカ合衆国のロックスター・ゲームス社からPlayStation 3・Xbox 360用としてリリースされたオープンワールド型クライムアクションゲームである。略称は『GTA:IV』または『IV』。開発はロックスター・ノース。グランド・セフト・オートシリーズのメインタイトル第6作目であり、前作とストーリー上の繋がりを持たない新作である。2008年のリバティーシティを舞台とし、東欧出身で元兵士という出自の中年男性ニコ・ベリックを主人公とし、彼が復讐とアメリカンドリームを掴もうとする物語が展開される。
アメリカ合衆国で2008年4月29日[注 1]にPlayStation 3・Xbox 360用として発売され、日本語版はカプコンより2008年10月30日に発売された。後にPC版も発売された。
2014年5月31日、PlayStation 3版『グランド・セフト・オート IV』のSocial Clubウェブサイトのステータス確認とランキング、ゲーム内のマルチプレイランキングが終了した[3]。なお、オンライン対戦は可能になっている。
プロット
[編集]2008年、リバティーシティ。旧ユーゴスラビア出身で、元兵士の中年男性ニコ・ベリックはアメリカン・ドリームを掴むことと、かつて部隊を裏切って大勢の仲間が死ぬことになった男の行方を追って、粗末な貨物船で街に着く。さしあたり、アメリカで成功したと手紙やメールで自慢していた従兄弟のローマンを頼ろうとするが、彼の実態は貧しいタクシー会社の経営者で、ギャンブルによって高利貸しへの借金まで抱えていた。呆れつつもニコはローマンを手伝い、改めてアメリカン・ドリームを実現して過去を精算しようと決意する。
ニコはローマンのツテで地元ギャングのリトル・ジェイコブの仕事も受けるようになる。また、ローマンに貸付けを行っていた高利貸しのブラッドが、タクシー会社の従業員マロリーに手を出そうとしたことに激怒し、彼を殺す。このため、ブラッドのボスである街の有力ロシアン・マフィア、ファウスティン・ファミリーに目を付けられるも、そのボスのミカイルはニコの度胸を気に入り、仕事を依頼するようになる。次々と仕事を成功させ、ミカイルに気に入られる中、情緒不安定な彼に危機を抱いていた副ボスのディミトリ・ラスカロフの依頼で、多額の報酬と身の安全とを引き換えに、ミカイルを暗殺する。しかし、ディミトリは約束を反故にした上、街に来る前のいざこざでニコの命を狙っているロシアン・マフィアのボスであるブルガーリンと手を組み、ニコを殺そうとする。激しい銃撃戦の中、ニコは脱出する。
ディミトリにアパートとタクシー会社を焼き払われたことで、ニコとローマンは別地域に逃亡する。新拠点でニコはエリザベータを始めとする地元の麻薬組織と関係を持つようになるが、新しくできた恋人ミシェールの正体は政府の調査員で、エリザベータの逮捕を狙っていた。結局、ニコは半ば脅される形でミシェールの上司であるU.L.ペーパーから政府の仕事を依頼されるようになる。一方で、U.L.ペーパーは見返りとしてニコの犯罪歴の抹消と、彼が行方を探す裏切者の捜索を手伝うことを約束する。並行してローマンは保険金によって事業の立て直しを図り、ニコの支援で軌道も順調に乗る。そしてローマンは部下のマロリーにプロポーズし、彼女は承諾する。
ニコの裏社会の仕事も順調に進み、アイルランド系ギャングのマクレリー・ファミリーや、新興のイタリア系マフィアのペゴリーノ・ファミリーとも関係を持つようになる。マクレリー・ファミリーのパッキーとは友人関係となり、やがて彼の妹ケイトと付き合うようになる。また、ペゴリーノ・ファミリーとは、幹部のレイやフィルにも気に入られ、ドン・ペゴリーノから直々に仕事を受けるようになる。ペゴリーノ・ファミリーの情報網でニコは探していたかつての仲間クラヴィッチ(現在はバーニー・クレイン)を見つけるが彼は裏切者ではないことがわかる。もう1人の仲間ダルコ・ブレヴィッチが探していた裏切者だとわかるが、彼は街にいないことを知り、意気消沈する。
ペゴリーノは五大ファミリー入りを狙っていたが、これに失敗し、追い詰められていく。また、ニコの行く先々で間接的にディミトリの関与があり、何度も彼に命を狙われる。他方で、ニコはU.L.ペーパーや、裏社会の大物ジョン・グラヴェリと信頼関係を構築し、最後にU.L.ペーパーはルーマニアにいたダルコを発見してリバティーシティに連行し、ニコに引き合わせる。ここでニコはダルコを殺すか見逃すかの選択を行う。
過去とケリを付けたニコは落ち目のペゴリーノの呼び出しを受け、彼がディミトリと手を結び大規模なヘロイン取引を行うことを打ち明けられる。ここでニコは「復讐」か「取引」を選ぶことになる。「復讐」を選んだ場合、ニコはディミトリを襲撃し、彼を殺す。この結果、破滅が確定して絶望したペゴリーノは、報復としてニコの命を狙ってローマンとマロリーの結婚式を襲撃し、流れ弾で恋人のケイトが死亡する。ニコはペゴリーノの行方を追い、ハピネス島にて彼を殺す。一方、「取引」を選んだ場合、ディミトリはニコの選択を信用せず、ニコの命を狙ってローマンとマロリーの結婚式を襲撃し、流れ弾でローマンが死亡する。その後、復讐のため、ニコはディミトリの行方を追い、最後はハピネス島で決着をつける。
登場人物
[編集]舞台
[編集]『III』の発売以来、同シリーズは『III』に関係する作品であったが、本作は前シリーズから独立しており、関連は無い。
本作の舞台は2008年のアメリカ東海岸の架空の都市「リバティーシティ」である[4]が、本作では過去のシリーズから一新され、実際のニューヨークの地理に基づき、4つの地域に分割されたリバティーシティが舞台となる。ブローカーはブルックリン、デュークスはクイーンズ、ボーハンはブロンクス、アルゴンキンはマンハッタンに相当する。リバティーシティの西側に隣接する島はリバティーシティとは別の州として存在するオルダニーという地域であり、これはニューヨーク州に隣接するニュージャージー州を元にしている。冒頭では島の間に架けられている橋はテロ対策により封鎖されているが、後にその封鎖は解除され、プレイヤーは自由に街中を行き来できるようになる。
リバティーシティには多くのパロディが取り入れられており、地区名のホーヴ・ビーチはブライトンビーチをモデルにし、名前の由来はイングランドにある地域ブライトン・アンド・ホーヴからきている。また、アルゴンキンとオルダニーを結ぶブーストンネルはリンカーン・トンネルをモデルにしており、名前は第16代アメリカ大統領のエイブラハム・リンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースにちなんでいる。
システム上の特徴
[編集]この節に雑多な内容が羅列されています。 |
本作は過去のシリーズ作と比べ、システム面でかなりの変更が加えられた。以下に特徴的なものを記述する。
ゲーム進行におけるもの
[編集]- 主人公は、ストーリーの進行により隠れ家を転々とすることになる。
- 携帯電話に通話をはじめとする様々な機能が盛り込まれており、ストーリー上の重要な要素のひとつとなっている。登場人物に電話をかけることによって(サブ)ミッションやアクティビティを発動させることができる。また、今作では特定の電話番号を入力することでチートの効果が出るようになっている(このため従来の「コマンド」方式のチートは廃止されている。)一度出現させたチート項目はメニューのチートから選べる。
- ネットカフェなどに設置されたパソコンから接続できる仮想のインターネットが存在し、ウェブサイトを閲覧したり、メールに返信する事によってミッションを受けたりすることができる。
- 警察のホストコンピューターが存在し、パトカーからアクセスしてミッションを実行することができる。この中には指名手配犯を名前で検索することができる機能が存在し、ゲーム中に登場するキャラクターの多くが登録されている。
- 一部のミッションは一度失敗するなどしてリトライすると、キャラクターの会話が一度目と異なる。ロードを行うことによって再度ミッションを受けると、リトライでなくとも一部の台詞が若干異なることがある。
- 一部のミッションでは、敵となる人物の運命をプレイヤーが選択する場面が存在する。生かしておいた場合は友人になったり、後の場面で敵として再登場することがある。
- 指名手配システムが一新された。手配度が付くとマップ主人公を中心とした警官の包囲網が表示される。これはストーリー上で重要な要素となっている。
- 素手や近接格闘武器による攻撃は、防弾チョッキの着用の有無に関わらず直接体力にダメージを与えるようになった。
- 銃撃戦におけるカバーアクションが採用された。主人公やその仲間や警察、敵のほぼ全てがこのカバーアクションを使用することによって、銃撃戦がこれまでのシリーズに比べて激しく、高度なものへと変わった。同時に武器の集弾性が重要視されるようになっている。
- シリーズ初のオートセーブ機能が備わった。ミッションをクリアすると自動的にセーブされる。オプションでオフにすることが可能。
- シリーズ初のマルチエンディングを採用している。
- シリーズ恒例のサブミッションのいくつかは廃止されている(例外として、物語序盤のみタクシーミッションを、パトカーに搭載されているコンピュータにアクセスする事で自警団ミッションを行える)。
- PS3版ではモーションセンサーを活用した操作をすることができる。
- PS3版、Xbox版とWindows版では若干グラフィックの違いがある。また、システムも一部異なる。
- ミッションの内容によってクリアした後のBGMが異なる。これはシリーズ初となる。
主人公操作における特徴
[編集]- 服装の自由度は、前作『SA』より少なくなった。
- 体型や髪型を変えることはできなくなった。
- 前作までは車は真横、バイクなどは前・真横にしか撃てなかったが、車からのドライブバイがほぼ全方向に打てるようになった。ドライブバイに使用できる武器として新たにハンドガン、手榴弾、火炎瓶が加わったこともあり、カーチェイス時の銃撃戦がより一層激しいものとなった。
- フレンドとのアクティビティを実行中に酒屋、バーなどに入ると飲酒した状態になる。歩行中や乗車中は視界と操作が著しく悪化し、飲酒運転が警察に見つかると手配度が上がる。
マルチプレイ
[編集]GTAIVの携帯電話からオンラインモードに切り替えることが可能である。
次回作の『GTAV』の「GTAオンライン」と比較するとオンラインに全く注力されていないため、デスマッチなどしかない。
ラジオ局・サウンドトラック
[編集]追加シナリオ
[編集]追加シナリオのダウンロードコンテンツとして、『グランド・セフト・オートIV・ザ・ロスト・アンド・ダムド』と『グランド・セフト・オート・ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー』がある。
この2作は『グランド・セフト・オート・エピソード・フロム・リバティシティ』(Grand Theft Auto episode from Liberty City)に収録され、Rockstar GamesからXbox 360、プレイステーション3用ソフトとして発売され、日本では2010年6月10日に発売された。なお『GTAIV』本編ディスクを持っていなくても単体でプレイ可能である。
移植版
[編集]日本語版のPLAYSTATION 3版、およびXbox 360版はカプコンから2008年10月30日に発売された。前作『SA』などにあった表現やプレイヤーの行動の規制はなくなったが、取扱説明書のページの一部分やゲームの一部が変更されている。2010年2月24日に総販売元のテイクツー・インタラクティブの日本支社設立が発表され、発売元をカプコンから2Kに委譲した。
PC版は2008年12月2日に北米で発売され、PC完全日本語版は、2009年3月20日にサイバーフロントより発売された。2009年11月10日に配布されたバージョン1.0.5.2より海外版と日本版は共通化され、MOD無しに完全日本語化された。日本語版はCEROの審査を受けたパソコンゲームとして初めてZ(18才以上のみ対象)の区分となった。
またSteamでもダウンロード発売されており、Xbox OneおよびXbox Series X/Sの後方互換機能にも対応している[5][6]。
開発
[編集]本作からゲームエンジンが一新されロックスター・アドバンスド・ゲーム・エンジン(RAGE)によって製作された。
初期不良
[編集]発売直後からプレイ中または読み込み中にフリーズを起す事案が発生、ゲーム関連フォーラムに報告が殺到する事態となった。ほとんどがPS3版(Rockstar社のサーバーがトラブルを起こした状態で自動的にアクセスを行うため、ハングしてしまう)だが、360版でも発生している[7]。ちなみにPS3の場合はPlaystation Networkのアカウントをログアウトさせるか、LANケーブルを抜くことで回避できる。この案件については後日修正パッチが配布された。
反響
[編集]- 本作では飲酒運転ができることから、アメリカの飲酒運転防止活動団体MADD(Mothers Against Drunk Driving、直訳すると飲酒運転防止母の会)が、アメリカのレーティング団体ESRBに対し、現行のM(Mature)(17歳以上対象)の販売レーティングをAO(Adult Only)に変更するよう要請し、発売中止を求めている[8]。なお、AOレーティングになると、アメリカの一般量販店での取り扱いはしない傾向がある。
- 本作は開発費が約1億ドルと言われており、ギネスブックに「最も開発費が使用されたテレビゲーム」として、これまで1位のシェンムー(約7,000万ドル)を抜いて記載された。
- 発売初日で3億1,000万ドルの売り上げを記録、Halo3の記録を1日で破った[9]。さらに1週間で600万本以上を販売し、これによる収益は5億ドル以上とされており[9]、エンターテインメント業界の売り上げにおいてギネス記録を更新した(これまでの過去最高はJ・K・ローリング著作の『ハリー・ポッターと死の秘宝』で、発売後24時間で2億2,000万ドルの売り上げ)以上の評価の高さから、前作『SA』の2,150万本の記録を抜くのはほぼ確実と見られている[10][11]。
- テイクツー・インタラクティブ社の第2四半期決算発表では、2008年5月31日時点での出荷本数は1,300万本、累計販売本数は850万本に及んでいる。日本語版を含めると約870万本を超えている。
- Take-Twoの2013会計年度第1四半期の業績報告会で本作の売り上げが2,500万本を突破したことを明らかにした。2011年3月時点で2,000万本セールスを達していたと考慮すれば、およそ2年で500万本の売り上げを上乗せしたことになる[1]。
日本語版
[編集]2014年1月、主に当ゲームを含めた「残虐ゲーム」の過度および強要によるプレーにより9歳の男児が「ストレス性の自律神経障害」を被ったとして、男児の父親が強要容疑で逮捕された。ゲームの強要罪による逮捕は前例がなく「異例の事件」であると報じられた。逮捕にふみきった京都府警木津署の幹部は「副次的ではあるが、社会に対する警鐘にもなれば」と話しているという[12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 『GTA IV』の売り上げが2,500万本を突破、この2年間で500万本を上乗せする驚異的なセールスに
- ^ “『グランド・セフト・オートIV』(PC版)のシステム要件”. Rockstar Games Customer Support. 2024年11月9日閲覧。
- ^ グランド・セフト・オートIVプレイステーション公式サイト
- ^ ゲームユニオン p29 株式会社三才ブックス
- ^ “【特集】『GTA IV』発売から14年、今も自由気ままなフリーモードに人が集まる―公園のブランコの爽快感は健在”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト (2022年2月20日). 2023年8月24日閲覧。
- ^ “「GTAIV」がついにXbox Oneの下位互換機能に対応 「Grand Theft Auto: Episodes from Liberty City」も同時対応”. GAME Watch. インプレス (2017年2月10日). 2023年8月24日閲覧。
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ a b “販売本数600万本! 『Grand Theft Auto IV』一週間で5億ドルのセールスを記録”. Game*Spark. イード (2008年5月8日). 2023年10月23日閲覧。
- ^ 全米で驚異的なセールスを記録したゲームとは?
- ^ “Grand Theft Auto IVの売り上げがギネス世界記録に”. CNET Japan. (2008年5月14日) 2011年2月15日閲覧。
- ^ “残虐ゲーム強要半年、9歳が受けた深刻ダメージ…嫌がる男児に「ヤクザの知り合いがいる」と脅す28歳介護士の“幼稚””. 産経新聞. (2014年2月6日). オリジナルの2014年2月12日時点におけるアーカイブ。 2014年2月12日閲覧。