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フクラスズメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フクラスズメ
フクラスズメ成虫の展翅標本, 台湾
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
上目 : Panorpida
: チョウ目 Lepidoptera
亜目 : Glossata
下目 : Heteroneura
上科 : ヤガ上科 Noctuoidea
: ヤガ科 Noctuidae
亜科 : ウスベリケンモン亜科 Pantheinae[1]
: フクラスズメ属 Arcte
: フクラスズメ A. coerula
学名
Arcte coerula
Guenee1852[2]
和名
フクラスズメ(脹雀)
英名
Ramie caterpillar

フクラスズメ(脹雀、学名Arcte coerula)は、チョウ目ヤガ科昆虫。中型ので、人家の周辺でも見られる。

和名は、スズメ羽毛を逆立てて冬の寒さに耐える様を「ふくらすずめ」と呼び、丸っこくて毛に覆われた様子をこのガに当てはめたものである。「スズメ」とあるが、スズメガ科ではない。

分布

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日本全国に分布し、日本以外にもインド東南アジア台湾中国朝鮮半島沿海地方まで広く分布する[3]

形態

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成虫の前翅長は3 - 4cmほど。背中側とが黒褐色、体の腹側は黄白色をしている。胴が太く、全身に短いが密生する。触角は細い。前翅は体より少し大きいくらいで、後翅は前翅の2/3くらいの大きさである。後翅に水色の太い弧状の模様が2本あるが、これは捕えないと観察できない。止まる時は翅を後方へ閉じ、大きな(やじり)のような形になる。

幼虫は細長いケムシで、終齢幼虫では全長7cmに達する。頭と腹脚が橙色か黒色、体側に黒と白の線、背中に白黒の細かい横しま模様がある。

生態

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食害

成虫は夏と秋の年2回発生する。森林の周辺に多いが、人家にも現れ、夜には灯火に飛来する。冬は成虫で越冬する。冬に越冬のために進入した人家の中に現れ、人々を驚かせることもある。食物は熟した果物発酵した汁や樹液などを摂取し、夜にカブトムシの集まるクヌギなどの樹液に飛来している姿をよく見かける。

幼虫はイラクサ科イラクサカラムシなどを食草とする。幼虫は危険を感じると頭部を反らせ、緑色の液体を吐き出しながら頭部を激しく横に振る。たまに大発生し、食草を茎だけの丸坊主になるまで食い尽くした上で周辺の地上を徘徊することがある。外見は毒々しいまでに派手だが、毒は持っていない。しかし人目に触れると嫌われることが多い。

参考文献

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  • 福田晴夫ほか『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方:野山の宝石たち』(増補改訂版)南方新社、2009年、87頁。ISBN 978-4-86124-168-0 
  • 安田守『イモムシハンドブック』高橋真弓・中島秀雄監修、文一総合出版、2010年、96頁。ISBN 978-4-8299-1079-5 

脚注

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  1. ^ 神保宇嗣 (2020年). “List-MJ 日本産蛾類総目録 version 3β”. 2020年12月29日閲覧。
  2. ^ 日本産昆虫学名和名辞書(DJI)”. 昆虫学データベース KONCHU. 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室. 2012年4月8日閲覧。
  3. ^ 柳田慶浩; 福田輝彦; 中尾健一郎 (2019年). “Arcte coerula (Guenee, 1852) フクラスズメ,Cat.4241”. Digital Moth of Japan. 2020年12月29日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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