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日本銀行政策委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本銀行政策委員会(にっぽんぎんこうせいさくいいんかい)は、日本銀行の意思決定機関。

第二次世界大戦以前の日本銀行には政策委員会はなかったが、ジョゼフ・ドッジ来日後の1949年6月にGHQによる役員会(ボード)の“民主化”の意向から、日本銀行法の一部改正によって政策委員会が設置された[1]

概要

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総裁、副総裁(2名)、審議委員(6名)の計9名の委員で構成される。総裁・副総裁を含めて委員は、衆議院参議院の同意を経て内閣が任命する、国会同意人事である(日本銀行法23条1項・2項)。任期は5年(日本銀行法24条)。常勤であり、年間報酬は約2,600万円(平成22年度)[2]

政府を代表して財務大臣又はその指名する財務省の職員及び経済財政担当大臣又はその指名する内閣府の職員は出席できるが、議決権は無い(日本銀行法19条1項)。ただし、議題を提出すること及び議題の議決の延期の求め(延期をするか否かは政策委員会の議決による)をすることができる(日本銀行法19条2項)。

政策委員会の会合には、金融政策に関する事項を決定する「金融政策決定会合」(日本銀行法15条1項)と、その他の事項の決定などを議事とする「通常会合」(日本銀行法15条2項)がある。金融政策決定会合は、2015年までは原則として年14回定期的に開催されてきたが、2016年からはアメリカ連邦公開市場委員会欧州中央銀行理事会と同様、年8回開催となった[3]。決定会合後には結果がただちに公表されると共に、総裁による記者会見が開かれ日銀クラブに所属する多数の記者が出席する。通常会合は原則毎週2回開催される。

旧来の政策委員会は、総裁・都銀地銀商工業農業代表、それに政府代表たる大蔵省代表及び経済企画庁代表(通産省出向者)が議決権無しで加わっていた。ただし、実際の最高意思決定は、総裁、副総裁、理事らの円卓会議(役員集会)で執り行われていたとされ、政策委員会の形骸化が指摘されていた。なお、旧日本銀行法42条では「日本銀行ハ主務大臣之ヲ監督ス」となっていたため、総裁には大蔵事務次官経験者が日銀の生え抜き組と交互に就任し、大蔵官僚が退官して日銀理事に就任するのが普通に見られていた。

現在の政策委員会の構成

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職名 氏名 就任年月日 任期満了日 前職等 任命した内閣 年齢
総裁 植田和男 2023年4月9日
(令和5年)
2028年4月8日
(令和10年)
共立女子大学ビジネス学部ビジネス学科教授 第2次岸田改造内閣 73歳
副総裁 内田眞一 2023年3月20日
(令和5年)
2028年3月19日
(令和10年)
日本銀行理事 第2次岸田改造内閣 62歳
副総裁 氷見野良三 2023年3月20日
(令和5年)
2028年3月19日
(令和10年)
ニッセイ基礎研究所総合政策研究部エグゼクティブ・フェロー 第2次岸田改造内閣 64歳
審議委員 安達誠司 2020年3月26日
(令和2年)
2025年3月25日
(令和7年)
丸三証券経済調査部長 第4次安倍第2次改造内閣 59歳
審議委員 中村豊明 2020年7月1日
(令和2年)
2025年6月30日
(令和7年)
日立製作所取締役 第4次安倍第2次改造内閣 72歳
審議委員 野口旭 2021年4月1日
(令和3年)
2026年3月31日
(令和8年)
専修大学教授 菅義偉内閣 66歳
審議委員 中川順子 2021年6月30日
(令和3年)
2026年6月29日
(令和8年)
野村アセットマネジメントCEO兼社長 菅義偉内閣 59歳
審議委員 高田創 2022年7月24日
(令和4年)
2027年7月23日
(令和9年)
岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長 エグゼクティブエコノミスト 第2次岸田内閣 66歳
審議委員 田村直樹 2022年7月24日
(令和4年)
2027年7月23日
(令和9年)
三井住友銀行上席顧問
三井住友フィナンシャルグループ上席顧問
第2次岸田内閣 63歳

政策委員会構成員一覧

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就任年月日等[注 1] 総裁 副総裁 副総裁 審議委員 審議委員 審議委員 審議委員 審議委員 審議委員
1998年4月1日 速水優[注 2] - 藤原作弥[注 3] 後藤康夫[注 4] - 篠塚英子[注 5] 武富将[注 6] 三木利夫[注 7] 中原伸之[注 7]
1998年4月8日 山口泰[注 8] 植田和男[注 9]
1999年10月10日 -
1999年12月3日 田谷禎三
2001年4月1日 須田美矢子
2001年6月17日 中原眞
2002年4月1日 - -
2002年4月5日 福間年勝 春英彦
2003年3月20日 福井俊彦 武藤敏郎 岩田一政
2004年12月3日 水野温氏
2005年4月8日 西村清彦[注 10]
2006年6月17日 野田忠男
2007年4月5日 亀崎英敏 中村清次
2008年3月20日 -[注 11] 白川方明 西村清彦 -
2008年4月9日 白川方明 -
2008年10月27日 山口廣秀
2009年12月3日 -
2010年3月26日 宮尾龍蔵
2010年7月1日 森本宜久
2011年4月1日 白井さゆり
2011年6月17日 -
2011年6月30日 石田浩二
2012年4月5日 - -
2012年7月24日 佐藤健裕 木内登英
2013年3月20日 黒田東彦 中曽宏 岩田規久男
2015年3月26日 原田泰
2015年7月1日 布野幸利
2016年4月1日 櫻井眞
2016年6月30日 政井貴子
2017年7月24日 片岡剛士 鈴木人司
2018年3月20日 雨宮正佳 若田部昌澄
2020年3月26日 安達誠司
2020年7月1日 中村豊明
2021年4月1日 野口旭
2021年6月30日 中川順子
2022年7月24日 高田創 田村直樹
2023年3月20日 内田眞一 氷見野良三
2023年4月9日 植田和男

脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 就任年月日もしくは欠員が生じた年月日。
  2. ^ 旧日銀法時代の1998年3月20日に総裁に任命され、新日銀法施行時にも留任。
  3. ^ 旧日銀法時代の1998年3月20日に副総裁に任命され、新日銀法施行時にも留任。
  4. ^ 旧日銀法時代の1995年10月10日に任命委員(任期4年)として任命され、新日銀法施行時にも審議委員として留任。
  5. ^ 任期は特例で3年間(任期満了日が特定の年に偏らないようにするための措置)。
  6. ^ 旧日銀法時代の1997年6月17日に任命委員(任期4年)として任命され、新日銀法施行時にも審議委員として留任。
  7. ^ a b 任期は特例で4年間(任期満了日が特定の年に偏らないようにするための措置)。
  8. ^ 任期は特例で1998年4月8日~2003年3月19日(総裁及びもう1名の副総裁と任期満了日を揃えるための措置)。
  9. ^ 初任時の任期は特例で2年間(任期満了日が特定の年に偏らないようにするための措置)。のち2000年にも再任され、2005年の2期目満了まで通算2期7年務めた。
  10. ^ 任期途中の2008年3月20日に審議委員から副総裁に昇格したが、本来の任期満了日(2010年4月7日)までに後任は任命されず、欠員のままの状態で任期満了日を迎えた。
  11. ^ 総裁が空席の為、副総裁の白川方明が総裁代行(2008年4月9日に総裁に昇格。)。

出典

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  1. ^ 渡辺武占領下の日本財政覚え書』日本経済新聞社、1966年。doi:10.11501/3024782NCID BN0311921XNDLJP:3024782https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001231535-00  などを参照。
  2. ^ 日本銀行における役員の給与等の支給の基準
  3. ^ 日銀、2016年の政策決定会合の日程発表 8回開催
  4. ^ 黒田晁生「日本銀行の金融政策(1998~2003年) : ゼロ金利政策と量的緩和政策」『政経論叢』第85巻第5-6号、明治大学政治経済研究所、2017年3月、531-562頁、ISSN 0387-3285NAID 120006228108 
  5. ^ 黒田日銀総裁再任の経緯と今後の金融政策の課題 ―日銀国会同意人事(2018年)の概要― 笠井彰吾(財政金融委員会調査室)

参考文献

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  • 『日銀の政策形成「議事録」等にみる、政策判断の動機と整合性』梅田雅信、東洋経済新報社、2011年3月、ISBN 9784492654415
  • 『日本銀行と政治 - 金融政策決定の軌跡 (中公新書)』上川龍之進、中央公論新社、2014年10月、ISBN 9784121022875
  • 『中央銀行: セントラルバンカーの経験した39年』白川方明、東洋経済新報社、2018年10月、ISBN 9784492654859
  • 『中央銀行論―セントラル・バンキングの本質を求めて』 小栗誠治、知泉書館、2022年12月、ISBN 9784862853769
  • 『現代日本のセントラル・バンキング―金融経済環境の変化と日本銀行―』 小栗誠治、(滋賀大学経済学部研究叢書第30号)、1998年12月(非売品)

関連項目

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外部リンク

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