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「P-トルエンスルホン酸」の版間の差分

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{{小文字}}
{{Infobox 有機化合物
{{Chembox
| name=''p''-トルエンスルホン酸
| 構造式=[[Image:p-Toluenesulfonic_acid_structure.svg|180px|p-トルエンスルホン酸の構造式]]
| Name = ''p''-トルエンスルホン酸
| Reference =<ref>''Merck Index'', 11th Edition, '''9459'''.</ref>
| IUPAC=4-メチルベンゼンスルホン酸
| ImageFile = Tosic acid.png
| 別名=
<!-- | ImageSize = 200px -->
| 分子式=C<SUB>7</SUB>H<SUB>8</SUB>O<sub>3</sub>S
| ImageName = P-Toluenesulfonic acid
| 分子量=172.20
| ImageFile1 = Tosic-acid-3D-balls.png
| CAS登録番号=104-15-4](無水物)
<!-- | ImageSize1 = 200px -->
[6192-52-5] (一水和物)
| IUPACName = 4-メチルベンゼンスルホン酸
| 形状=無色固体
| OtherNames = トシル酸 <br />''p''-トルエンスルホン酸<br />PTSA
| 密度= | 相=
| Section1 = {{Chembox Identifiers
| 相対蒸気密度=
| CAS番号= 104-15-4
| 融点= 106-107| 融点注=(無水物)
| CASNo_Comment = 無水
| 沸点= 140| 沸点注=/20 mmHg
| CASNo2= 6192-52-5
| SMILES=Cc1ccc(S(=O)(O)=O)cc1
| CASNo2_Comment= 一水和物
| 出典=<!--:en:P-Toluenesulfonic acid: mp,bp.-->
| SMILES = Cc1ccc(S(=O)(O)=O)cc1
| RTECS =
}}
| Section2 = {{Chembox Properties
| Formula = C<sub>7</sub>H<sub>8</sub>O<sub>3</sub>S
| RationalFormula =CH<sub>3</sub>C<sub>6</sub>H<sub>4</sub>SO<sub>3</sub>H
| MolarMass = 172.20 g/mol<br />190.22 g/mol (一水和物)
| MeltingPt = 106-107&nbsp;°C<br />103-106&nbsp;°C (一水和物)
| BoilingPt = 140&nbsp;°C at 20 mmHg
| Appearance = 無色または白色固体
| Density =
| Solubility = 67g/100 ml
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| Section3 = {{Chembox Structure
| MolShape = 四面体
| Dipole =
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| Section7 = {{Chembox Hazards
| ExternalMSDS =
| MainHazards = 皮膚を刺激
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| Section8 = {{Chembox Related
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| OtherFunctn =
| OtherCpds =
}}
}}
}}

'''パラトルエンスルホン酸'''(&mdash;さん、''p''-toluenesulfonic acid)は、示性式 CH<sub>3</sub>C<sub>6</sub>H<sub>4</sub>SO<sub>3</sub>H、分子量 172.20の[[芳香族]][[スルホン酸]]である。'''トシル酸''' (tosic acid) と通称される。'''TSA'''、TsOH と略記されることもある。室温では白色の固体で、多くは一[[水和物]]として市販されている。無水物の [[CAS登録番号]]は [104-15-4]、一水和物では [6192-52-5]。水や多くの有機溶媒に可溶で、水溶液は強酸性を示す。
'''''p''-トルエンスルホン酸'''(p-トルエンスルホンさん、''p''-toluenesulfonic acid)は、[[芳香族]][[スルホン酸]]である。通称'''トシル酸'''(tosic acid)'''PTSA'''、'''TSA'''、TsOH と略記されることもある。室温では白色の固体で、多くは一[[水和物]]として市販されている。水や多くの有機溶媒に可溶で、水溶液は強酸性を示す。


== 製法 ==
== 製法 ==
[[トルエン]]を、濃[[硫酸]]あるいは[[発煙硫酸]]の作用により[[スルホン化]]させて合成する。このときに副生物となるオルト体は、[[サッカリン]]の原料となる。
[[トルエン]]を、濃[[硫酸]]あるいは[[発煙硫酸]]の作用により[[スルホン化]]させて合成する。このときに副成するオルト体は、[[サッカリン]]の原料となる。


== 用途 ==
== 用途 ==
有機溶媒に可溶な強酸であること、共役塩基の陰イオン(トルエンスルホナートアニオン、CH<sub>3</sub>C<sub>6</sub>H<sub>4</sub>SO<sub>3</sub><sup>&minus;</sup>)の求核性が低いことなどから、有機合成において酸触媒として多用される。
有機溶媒に可溶な強酸であること、共役塩基の陰イオン(トルエンスルホナートアニオン、{{chem|CH|3|C|6|H|4|SO|3|-}})の求核性が低いことなどから、有機合成において酸触媒として多用される。


水酸化ナトリウムで中和するとナトリウム塩が得られ、そこへ[[五塩化リン]]を作用させると[[塩化パラトルエンスルホニル]]が得られる。
水酸化ナトリウムで中和するとナトリウム塩が得られ、そこへ[[五塩化リン]]を作用させると[[塩化パラトルエンスルホニル]]が得られる。
:<chem>\mathit{p} -{CH3C6H4SO3Na} + PCl5 -> \mathit{p}-CH3C6H4SO2Cl</chem>


パラトルエンスルホン酸のピリジニウム塩である、ピリジニウムパラトルエンスルホナート(pyridinium p-toluenesulfonate、略称 PPTS)も、穏和な酸触媒として有機合成で用いられる。
パラトルエンスルホン酸のピリジニウム塩である、[[パラトルエンスルホン酸ピリジニウム]](pyridinium ''p''-toluenesulfonate、略称 PPTS)も、穏和な酸触媒として有機合成で用いられる。


パラトルエンスルホナートアニオンは、その負電荷非局在化さており安定で求核性も低い性質から、優れた脱離基でもある。[[アルコール]]の[[ヒドロキシ基]]を[[求核種]]で置換したい場合に、ヒドロキシ基をいったんパラトルエンスルホン酸エステルに誘導し、それから[[求核剤]]を作用させる経路が用いられる。
パラトルエンスルホナートアニオンは、その負電荷非局在化さており安定で求核性も低い性質から、優れた脱離基でもある。[[アルコール]]の[[ヒドロキシ基]]を[[求核剤|求核種]]で置換したい場合に、ヒドロキシ基をいったんパラトルエンスルホン酸エステル(トシラート)に誘導し、それから[[求核剤]]を作用させて[[トシル基]]と求核種を置き換える経路が用いられる。


また、{{仮リンク|直接第Xa因子阻害薬|en|Direct Xa inhibitor}}の1種である[[エドキサバン]]、[[抗アレルギー薬]]の{{仮リンク|スプラタストトシル酸塩|label=スプラタスト|en|Suplatast tosilate}}などの医薬品は、パラトルエンスルホン酸との[[塩 (化学)|塩]]の形にして製剤化されている。
== 関連項目 ==
*[[スルホン酸]]
*[[ベンゼンスルホン酸]]
*[[トルエンスルホニル基]](トシル基)


==出典==
{{Chem-stub|はらとるえんするほんさん}}
{{脚注ヘルプ}}
<references />


== 関連項目 ==
[[Category:有機硫黄化合物|はらとるえんするほんさん]]
* [[ベンゼンスルホン酸]]
[[Category:有機反応試剤|はらとるえんするほんさん]]


{{Chem-stub}}
[[de:Toluolsulfonsäure]]
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[[en:P-Toluenesulfonic acid]]
[[Category:有機反応試剤]]
[[fr:Acide paratoluènesulfonique]]
[[Category:ベンゼンスルホン酸]]
[[nl:P-Tolueensulfonzuur]]
[[pt:Ácido p-toluenossulfônico]]

2020年6月19日 (金) 08:12時点における最新版

p-トルエンスルホン酸[1]
{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 104-15-4 無水, 6192-52-5 一水和物
特性
化学式 C7H8O3S
モル質量 172.20 g/mol
190.22 g/mol (一水和物)
示性式 CH3C6H4SO3H
外観 無色または白色固体
融点

106-107 °C
103-106 °C (一水和物)

沸点

140 °C at 20 mmHg

への溶解度 67g/100 ml
酸解離定数 pKa -2.8
構造
分子の形 四面体
危険性
主な危険性 皮膚を刺激
Rフレーズ R36/R37/R38
Sフレーズ S26
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

p-トルエンスルホン酸(p-トルエンスルホンさん、p-toluenesulfonic acid)は、芳香族スルホン酸である。通称トシル酸(tosic acid)。PTSATSA、TsOH と略記されることもある。室温では白色の固体で、多くは一水和物として市販されている。水や多くの有機溶媒に可溶で、水溶液は強酸性を示す。

製法

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トルエンを、濃硫酸あるいは発煙硫酸の作用によりスルホン化させて合成する。このときに副成するオルト体は、サッカリンの原料となる。

用途

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有機溶媒に可溶な強酸であること、共役塩基の陰イオン(トルエンスルホナートアニオン、CH3C6H4SO
3
)の求核性が低いことなどから、有機合成において酸触媒として多用される。

水酸化ナトリウムで中和するとナトリウム塩が得られ、そこへ五塩化リンを作用させると塩化パラトルエンスルホニルが得られる。

パラトルエンスルホン酸のピリジニウム塩である、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム(pyridinium p-toluenesulfonate、略称 PPTS)も、穏和な酸触媒として有機合成で用いられる。

パラトルエンスルホナートアニオンは、その負電荷が非局在化されており安定で求核性も低い性質から、優れた脱離基でもある。アルコールヒドロキシ基求核種で置換したい場合に、ヒドロキシ基をいったんパラトルエンスルホン酸エステル(トシラート)に誘導し、それから求核剤を作用させてトシル基と求核種を置き換える経路が用いられる。

また、直接第Xa因子阻害薬英語版の1種であるエドキサバン抗アレルギー薬スプラタスト英語版などの医薬品は、パラトルエンスルホン酸とのの形にして製剤化されている。

出典

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  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 9459.

関連項目

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