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「ジェニー・シリーズ」の版間の差分

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:ジェニーの生んだ双子の一人。生まれた時はシャム双生児。分離手術後、心臓移植が必要な状態であったため通常より成長が遅い。ジェニーから軍事的才能を受け継いでいると思われる。チェスの名手。ロジナルド・デ・ビエナに頼まれ狂言誘拐に協力したとき共に過ごした[[ロマ]]の少女、アリシアに好意を寄せたり、ヘルドゥシャ・アシュハによってアゼルバイジャンに拉致された際にアシュハの妻アラルを見初め、思いを寄せたりと少々惚れっぽい所がある。現在はアゼルバイジャンに移住し、中央アジアにイスラム国家による[[EU]]型の経済共同体を作ることを目指している。
:ジェニーの生んだ双子の一人。生まれた時はシャム双生児。分離手術後、心臓移植が必要な状態であったため通常より成長が遅い。ジェニーから軍事的才能を受け継いでいると思われる。チェスの名手。ロジナルド・デ・ビエナに頼まれ狂言誘拐に協力したとき共に過ごした[[ロマ]]の少女、アリシアに好意を寄せたり、ヘルドゥシャ・アシュハによってアゼルバイジャンに拉致された際にアシュハの妻アラルを見初め、思いを寄せたりと少々惚れっぽい所がある。現在はアゼルバイジャンに移住し、中央アジアにイスラム国家による[[EU]]型の経済共同体を作ることを目指している。


;リトル・ヴィクトリア
:本名はヴィクトリア・ブルーム。パレスチナ難民がイギリス軍兵士に強姦されて生んだ私生児だが、ふとしたきかけでアルドバラ公爵家が養育を引き受けることになる。父親はエリザベス2世を守って殉職。エリザベス2世が後見人。イスラフィール王子から想いを寄せられている。


===その他登場人物===
===その他登場人物===
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;ロジナルド・デ・ビエナ
;ロジナルド・デ・ビエナ
:スペイン、[[カスティーリャ・ラ・マンチャ]]地方の郷士アラルコン家の血を引く男。彼の曾祖母がナシオの父の妹であるため、ジェニーにとっては[[はとこ]]の子([[親族呼称#後の世代|はとこ甥]])に当たる。NATOの演習でジェニーと出会い、無謀な行動をした結果遭難しかけたところを彼女に助けられる。後に曾祖母の一族が殆ど死に絶えるという「呪い」を解こうと考え、アラルコン家の所領をナシオナルに銃を突きつけてまで譲ろうとするも断られる。その件で軍法会議にかけられる所だったが再びジェニーの手助けで脱走、現在は彼の家で季節労働者をしていた[[ロマ]]達に匿われ逃亡中。
:スペイン、[[カスティーリャ・ラ・マンチャ]]地方の郷士アラルコン家の血を引く男。彼の曾祖母がナシオの父の妹であるため、ジェニーにとっては[[はとこ]]の子([[親族呼称#後の世代|はとこ甥]])に当たる。NATOの演習でジェニーと出会い、無謀な行動をした結果遭難しかけたところを彼女に助けられる。後に曾祖母の一族が殆ど死に絶えるという「呪い」を解こうと考え、アラルコン家の所領をナシオナルに銃を突きつけてまで譲ろうとするも断られる。その件で軍法会議にかけられる所だったが再びジェニーの手助けで脱走、現在は彼の家で季節労働者をしていた[[ロマ]]達に匿われ逃亡中。驚くほど若い頃のナシオナルに似ている


;イスラフィール
;イスラフィール
:中東にある架空の国ブラーク王国の王太子。かつては自己中心的な面があったが、ジェニーらとの交流の中で人間的な成長を見せている。現在はリトル・ヴィクトリアに思いを寄せており、まもなくイングランドに留学する予定。
:中東にある架空の国ブラーク王国の王太子。かつては自己中心的な面があったが、ジェニーらとの交流の中で人間的な成長を見せている。現在はリトル・ヴィクトリアに思いを寄せており、まもなくイングランドに留学する予定。

;リトル・ヴィクトリア
:本名はヴィクトリア・ブルーム。パレスチナ難民がイギリス軍兵士に強姦されて生んだ私生児だが、父親はエリザベス2世を守て殉職。父親の死後アルドバラ公爵家が養育を引き受けることになる。エリザベス2世とその孫のアーサーが後見人。イスラフィール王子から想いを寄せられている。


== 単行本 ==
== 単行本 ==

2008年6月15日 (日) 10:23時点における版

ジェニー・シリーズとは、漫画家の河惣益巳が描く漫画のシリーズ名である。白泉社花とゆめ」1985年5月増刊号に1作目を発表。以後、主として同社の雑誌「EPO」(休刊)および「別冊花とゆめ」に、不定期掲載されている。コミックスは花とゆめコミックスより既刊11冊(2008年2月現在)。


概要

ユージェニー・ヴィクトリア・スミス、通称ジェニーと呼ばれる女戦士の生涯を描くシリーズで、同じ作者の『ツーリング・エクスプレス』シリーズとは物語世界や登場人物を共有する、双子シリーズである。作者によれば、1984年9月30日に都内の旅館で川原泉と2人でカンヅメにされていた時、川原が「外人部隊みたいなものを描かれる気は無いですか?」と提案したのが、本作品を描き始めたきっかけだという。なお、作中での時間の進み方は多少不自然で、ジェニーの出産時期から考えて既に20歳前後になっているはずの子供たちは、現在も小学生である。が、ドラえもんやサザエさんのように永遠に同じ年齢に留まるというわけではなく、それぞれのキャラは2年に1歳程度のペースで年を取っているようである。

登場人物

スミス家の人々

アルドバラ公爵ユージェニー・ヴィクトリア・スミス(・ティラー)
アメリカの名門軍閥スミス家の3女。愛称はジェニー、またはトリア[1]。13歳の頃よりアメリカのジュリアード音楽院ピアノを学び、将来を嘱望されたクラシックのピアニストであったが、デビュー直前、誕生パーティーの席で自分を溺愛していた父と祖父によってスミス家の後継に指名され、恋人であり、演奏家としてのパートナーでもあるヴァイオリニストのブライアン・ティラーと別離させられ、そのショックから米軍への入隊を志願する。士官学校卒業後[2]、陸軍特殊訓練校J・Fケネディ校を修了し、陸軍の小隊長としてベトナム戦争に従軍[3]する。
非常に優秀な戦闘指揮官でもあり、部隊を数々の死地から救ってきた。また戦いの流れを読む能力に優れ、撤退の潮時の判断は芸術的である。戦場にて危機に陥ると、体に青白い炎のようなオーラをまとうことから(誰にでも見えるという訳ではないが)「炎の月」の異名を持ち、これを見た兵士は彼女に心酔してどこまでも付いて行くという。
ベトナムからアメリカに引き上げる途中で横須賀に立ち寄り、そこでブライアン・ティラーと再会し、除隊(のちに、除隊届は父により握りつぶされており、軍属のままだと判明するが)、結婚する。
その後、出産予定日の少し前にブライアンはパリでの演奏旅行中に交通事故で死亡。その連絡のショックで産気づき、双生児を出産。生まれてきた息子たち(ホープとフューチャー)はベトナム戦争の後遺症かシャム双生児であった。二人の分離手術や臓器移植のための莫大な治療費を稼ぐ為、[傭兵]稼業に手を染める。これは父の援助を受けたくなかったためであった。その後、分離手術や臓器移植手術で二人は、通常の(もしくはそれに限りなく近い)生活を送れるようになる。
フリーランスの傭兵として、息子たちの分離手術成功までの期間、世界各地で作戦に従事。基本的には一匹狼の傭兵であるが、彼女を慕って一流の傭兵たちが集まってくる為、事実上は傭兵隊長のような存在となった[4]
異父姉のメアリ・ジェーンはイングランドの貴族、アルドバラ公爵家に嫁いでいた。が、メアリ・ジェーン夫妻とその息子二人、更に舅がIRAのテロに遭ったことがきっかけで傭兵を引退。祖父の友人であったアルドバラ公爵(メアリ・ジェーンの夫の祖父)の指名でアルドバラ公爵家を継承し、アルドバラ領内で親子ともども静かに暮らす(ことを望んでいる)。実際はアルドバラ家には老公爵の弟の直系男子が複数いる為、血縁のないジェニーが継承することは認められないが、女王の一存という形で無理矢理おさめた。
現在はイギリス陸軍の予備役大佐であり、主にエリザベス2世が大規模な公式行事に臨席する際の身辺警備の指揮官を務めている。またフューチャーがドゥシャに拉致された時には、かつての仲間の傭兵たちを雇って自らの指揮のもと奪回作戦を行った。
ナシオナル・アラルコン・スミス
ジェニーの父親。通称「キング・ナシオ」。もともとはアメリカに亡命してきたスペインの没落貴族アラルコン家の長男の息子であったが(当人はごく最近まで知らなかった)、アメリカ陸軍に入って頭角を現し、軍閥スミス家の先代当主・アイザックに目をかけられ、彼の一人娘であるグレイス・コロンビアの夫として養子に迎えられて当主となる。元アメリカ陸軍元帥。現在は国防省の高官で、単独の命令で戦略ミサイルを発射できる地位にある。アメリカ軍内部においては密かに大統領より権力があるとされ、軍内部の信望も厚い。
アルフレッド・ロジャースと同じく最強の兵士であったとされる。実の娘のジェニーを溺愛しており、スミス家の当主を譲るつもりであったが、ジェニーが双子の息子を産んだため、ジェニーがアルドバラ公爵位を継承することを認め、ジェニーの二人の息子のうち一人にスミス家を、もう一人にアルドバラ家を継承させようと考えている[5]
もともとはスラム育ちで兵卒から元帥にまで出世した人物ということもあり、ジェニーの取り巻きの傭兵たちとは実は波長が合っているようである。
グレイス・コロンビア・スミスとの間に一男三女をもうけるも、この中で実際にナシオナルの血を引いているのは末子のジェニーだけである。ただしグレイスの次女のアン・キャロライン・スミスは現在、ナシオナルの子を妊娠中。
リチャード・ローレンス・スミス
ナシオナル・アラルコン・スミスの長男であるが、ナシオナルとの血のつながりは無い(父はウォルター)。ジェニーの異父兄。ジェニーに兄としての感情以上のものを抱いており、影からジェニーを支え続けている。アメリカ陸軍の大佐、国防総省勤務。ジェニーがアルドバラ公爵家を継承したことでスミス家の次期当主が確定したが、自分の次はホープかフューチャーにスミス家を託そうと考えている。ナシオナルの血を引いていないことは本人も知っているが、ナシオナルには崇拝に近い尊敬を持って接しており、親子仲は悪くない。[6]。ナシオナルとアン・キャロラインの子を養子にすることを検討するなど、ナシオナルとスミス家の血統の融合には積極的である。
グレイス・コロンビア・スミス
ナシオナルの妻。ジェニーの母親。若い頃から美しく、気位が高いお嬢様としてちやほやされながら育った。そんな自分の前でも不遜な態度を崩さず、また、父の愛情を奪っていった(と感じた)ナシオとは初めから反りが合わなかった。父からナシオとの結婚を強制されたこともあり、恋仲であった従兄のウォルター・シュワードの元へ家出した。[7]が、生まれながらの贅沢暮らしが身についていた彼女はすぐに挫折して家に戻り、ナシオと形だけの結婚をする。
ウォルター・シュワードとの間に、リチャード・ローレンスら3人の子供をもうけた。グレイス本人の記憶ではウォルターの子供であったはずのジェニーがナシオの子供であることに気付いた瞬間から、ジェニーを憎み抜いて数回の暗殺計画を立てる。長女が嫁いだアルドバラ公爵家をジェニーが継ぐなどの様々なショックが重なり、精神疾患を発症してスイスで療養していた。その頃はフューチャー、ホープとも仲良く過ごし、ジェニーを「あの子が生まれるのを楽しみにしていた」「私のトリア」と呼ぶなど、体裁と正気を失ったがゆえの心情を語ることもあった。療養中、「炎の月の子供」を誘拐しようとしたテロリストに襲撃され、ウォルター・シュワードとともに命を落とした。内心ではジェニーやナシオを憎みながらも愛していたが、自尊心からか認められなかったらしい描写もあったが、彼女の死により、真実は不明のままである。
ウォルター・シュワード
グレイス・コロンビア・スミスの従兄で現代アメリカを代表する具象画家であった人物。彼が描いた人物画は、グレイスだけである。それもあり、上流社会ではジェニー以外はウォルターとの不義の子であることは公然の秘密だった。グレイス・コロンビア・スミスとの間に3人の子供をもうける。グレイスが、出産まで腹の子がナシオの子だと気づかないよう[8]にする為、ナシオと共謀してグレイスを騙していた。[9]
メアリ・ジェーン・スミス
ジェニーの異父姉でグレイス・コロンビア・スミスとウォルターの長女。ジェニーに対しては母親のような優しさを示していたが、気が弱く大人しい性格の為、母に逆らえなかったことを悔いている。英国の名門軍閥アルドバラ公爵の孫と結婚するが、アルドバラ公の息子ともどもIRAのテロに遭い、死亡。ジェニーの傭兵引退の直接のきっかけとなった。
アン・キャロライン・スミス
ジェニーの異父姉でグレイス・コロンビア・スミスとウォルターの次女。ジェニーより1歳年上で母親グレイスに最も似ており、母に溺愛されていた。離婚歴あり。少女の頃から、血の繋がっていない父のナシオナルに想いを寄せており、ナシオナルが唯一愛情を注ぐジェニーをうらやましく思っていた。母グレイスの死後、ナシオのそばで身の回りの世話をして過ごしている。かつてはジェニーを激しく憎んでいたが、離婚をきっかけにジェニーへの憎悪は消失した。現在ナシオナルの子を妊娠中だが、ムーレイ国王が(ナシオの子を非嫡出子にしたくない為に)自分の妃として迎えると宣告。

傭兵たち

アルフレッド・ロジャース
元アメリカ軍兵士でフリーの傭兵隊長。アイルランド系6世。通称「レッド」あるいは「魔の赤 (Evil Red)」。ジェニーの副官としてベトナム戦争を戦う。北ベトナム軍に捕らえられた後、軍事的才能をみとめられソビエト軍の傭兵としてアフガニスタン紛争に参加。戦闘の最中にジェニーの傭兵部隊と接触。ジェニーとの再会を果たすためにソビエト軍から脱走した。この時、アルフレッドには追っ手がかかったが、単身で返り討ちにしたと述懐している。帰国後、アメリカ軍人でありながらソ連軍に協力していたことが問題視され、軍事法廷にかけられるも、何とか無罪放免を勝ち取り、除隊。その後はジェニーの傭兵部隊に参加する。最終階級は少尉。
陸軍軍人として最高の素質を持っているとされ、作中でも白兵戦から狙撃、部隊の指揮まで高いレベルでオールマイティにこなしている。ジェニーを愛しており、ジェニーとその息子たちを守ることが生涯の仕事と心に誓っている。ジェニーの傭兵団のリーダー格であったが、ジェニーが傭兵を引退した後はアルドバラ公爵家の警備隊長のような存在となっている。
傭兵としての評価は非常に高く、現在もNATO軍やイギリス軍の仕事を時折請け負っている。その際には引退したジェニーに代わり、傭兵団の指揮も執っている。
ジョージ・アレク
黒人の巨漢。ベトナム戦争時代からジェニーに付き従っている傭兵。ジェニーが傭兵を引退した後はアルドバラ公爵家の食客のような形で、ジェニーと二人の子供たちを守っている。温厚な性格の持ち主である。通称ジョー。最終階級は軍曹。意外に精密射撃が得意であり、「炎の月」5巻ではM16を使用してレッドとともに遠距離からの狙撃に成功している。
ロバート
元軍医で、ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。冷静で理知的。エール大学を主席で卒業するほどの将来を嘱望された医師であったはずだが、なぜかジェニーの後を追い掛け回す。傭兵としての能力も水準以上である。ジェニーの傭兵引退後はアルドバラ公爵家の主治医として活動。
ジュリアン
ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。直毛の長い金髪が目印の美丈夫、フランス系。みんなでジェニーを追いかけまわした。現在はアレクたちとは違い、アルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住み込んでいるような描写は無い。
エルンスト
ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場、ジェニーを追い掛けまわした。通称はエリー、ドイツ系であり、黒い長髪が目印。現在はアレクたちとは違い、アルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住んではいないようである。
ペドロ
ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。くせ毛で胸毛が濃い大柄な戦士、スペイン系。みんなでジェニーを追いかけまわした。彼もアルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住み込んでいるような描写は無い。
エンツォ
ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。童顔、左頬に十字傷がある、イタリア系。みんなでジェニーを追いかけまわした。彼もアルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住み込んでいるような描写は無い。
チェン
ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。長い黒髪で顔に大きな三日月傷跡がある、中国系。彼もアルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住み込んでいるような描写は無い。ジェニーを共に追い掛け回した仲間には、他にニコライ(ロシア系)やルシュド(アラビア系)、ラオ(東南アジア系)などがいる。
チェスター
1巻でジェニーの傭兵団に参加。しばらくは中核メンバーとして活動するが、ジェニーがアルドバラ公爵位を継承する前後から姿を見せなくなった。戦死したわけでもなさそうなので、何らかの事情により傭兵団を離れたと思われる。サングラスと長いもみあげが特徴。
ヘルドゥシャ・アシュハ
アゼルバイジャン出身の元傭兵。通称ドゥシャ。ナイフ戦闘を得意とし、アルフレッドでさえ彼との白兵戦には二の足を踏むとされる[10]。ブラーク王国王子のアズラフィール(イスラフィールの叔父)を抱き込んで対米テロを計画したが露見、ジェニーの部隊に阻まれた。スイスではジェニーの母親とシュワード画伯を殺害し、己の後継者とするためフューチャーを拉致する。最終的にフューチャーはジェニーによって奪還され、アシュハ自身もジェニーによって半殺しにされる。妻アラル(といってもアラルは10歳前後の為、夫というよりは義父のような関係だった)の母親ヌールと恋に落ちて出奔し、現在はアルドバラ公爵家の食客となっている。出奔と同時にイスラム・ゲリラからも足を洗った模様。

ジェニーの家族

ブライアン・ティラー
ジェニーの夫。天才ヴァイオリニスト。ニューヨークイースト・ヴィレッジ出身。マーカイ・ウェイン牧師の孤児院で育ち、幼少の頃からバイオリンを学ぶ。「祭壇の前に、まるで捧げるように置かれていた」捨て子だったとのこと。ジュリアード音楽院でジェニーと知り合い、愛し合うが、ナシオによって、ジェニーから引き離すためにウィーンに留学させられる。その後、プロのバイオリニストとして世界中を飛び回る。後に日本でジェニーと再会し、ウィーンで結婚するが、パリでの演奏会直前に交通事故で死亡する。モンマルトル墓地に眠る。
ホープ・テイラー
ジェニーの生んだ双子の一人。生まれた時はシャム双生児。両親から音楽的才能を受け継いでおり、特にヴァイオリニストの才能があり、ジュリアード音楽院でのジェニーの恩師であるサリヴァン教授も、初めて彼の演奏を聴いた瞬間にブライアンの気配を感じた。このニューヨーク訪問時にマーカイ・ウェイン牧師から亡父の愛器を託されたが、この楽器は無銘ながらストラディヴァリグァルネリに匹敵る名器であるらしい。
フューチャー・テイラー
ジェニーの生んだ双子の一人。生まれた時はシャム双生児。分離手術後、心臓移植が必要な状態であったため通常より成長が遅い。ジェニーから軍事的才能を受け継いでいると思われる。チェスの名手。ロジナルド・デ・ビエナに頼まれ狂言誘拐に協力したとき共に過ごしたロマの少女、アリシアに好意を寄せたり、ヘルドゥシャ・アシュハによってアゼルバイジャンに拉致された際にアシュハの妻アラルを見初め、思いを寄せたりと少々惚れっぽい所がある。現在はアゼルバイジャンに移住し、中央アジアにイスラム国家によるEU型の経済共同体を作ることを目指している。


その他登場人物

エリザベス2世
英国女王。ジェニーの能力に惚れ込んでおり、事あるごとに難題を持ち込んでジェニーを困らせている。また女王にとってジェニーは本音で話が出来る相手の一人らしく、何かと口実をつくっては自邸に呼んでいる。
コリンズ・サリヴァン
ジュリアード音楽院のピアノ科の教授。アン・キャロラインの為にグレイスがスミス邸に招いた際、たまたまジェニーの演奏を聴いてそのピアニストとしての才能を見いだし、英才教育を施した。指導は厳しいが弟子思いの一面もあり、ジェニーがアルドバラ公爵家を継承した後に再会した時には涙を流して喜んだ。
エリーゼ・パトラーシュ
ジュリアード音楽院時代からのジェニーの親友で声楽家。歳若く周囲に溶け込めなかったジェニーの最初の友人だった。ネオナチに殺害される。
ロジナルド・デ・ビエナ
スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャ地方の郷士アラルコン家の血を引く男。彼の曾祖母がナシオの父の妹であるため、ジェニーにとってははとこの子(はとこ甥)に当たる。NATOの演習でジェニーと出会い、無謀な行動をした結果遭難しかけたところを彼女に助けられる。後に曾祖母の一族が殆ど死に絶えるという「呪い」を解こうと考え、アラルコン家の所領をナシオナルに銃を突きつけてまで譲ろうとするも断られる。その件で軍法会議にかけられる所だったが再びジェニーの手助けで脱走、現在は彼の家で季節労働者をしていたロマ達に匿われ逃亡中。驚くほど若い頃のナシオナルに似ている。
イスラフィール
中東にある架空の国ブラーク王国の王太子。かつては自己中心的な面があったが、ジェニーらとの交流の中で人間的な成長を見せている。現在はリトル・ヴィクトリアに思いを寄せており、まもなくイングランドに留学する予定。
リトル・ヴィクトリア
本名はヴィクトリア・ブルーム。パレスチナ難民がイギリス軍兵士に強姦されて生んだ私生児だが、父親はエリザベス2世を守って殉職。父親の死後アルドバラ公爵家が養育を引き受けることになる。エリザベス2世とその孫のアーサーが後見人。イスラフィール王子から想いを寄せられている。

単行本

  • ジハード(聖戦)
  • クロス・メモリー
  • オール・レッド
  • 月蝕
  • ユングフラウ
  • ヒート・イースト
  • GIキング
  • ルナティック
  • ソル・イ・ソンブラ
  • クルセイダー
  • 炎の月(1)
  • 炎の月(2)
  • 炎の月(3)
  • 炎の月(4)
  • 炎の月(5)

<「ツーリング・エクスプレス」の単行本に収録[11]>

  • ツーリング・エクスプレス15巻収録「狂宴」「花闇」
  • ツーリング・エクスプレス18巻(文庫は9巻)収録「パラダイス―楽園―」 
  • ツーリング・エクスプレス23巻収録「テロリスト―暗殺者―」

  1. ^ 傭兵仲間らがジェニーと呼び、家族や親しい友人がトリアと呼ぶ
  2. ^ 実際にはアメリカ陸軍士官学校が女性の入学を許可したのは、ベトナム戦争が終わった翌年の1976年である。
  3. ^ 後に小隊は特殊部隊グリーン・ベレーに格上げ、最終階級は少佐
  4. ^ ディーン・リーガルとの会話によると、実は一匹狼で特定の仲間はいないのだが、傭兵稼業をこなすなかで、「炎の月」をみた傭兵たちが彼女のそばを離れようとせず、彼女の請け負った仕事をかぎつけて共に作戦に従事するのである。また彼女が大きな仕事を請け負った時に顔なじみの傭兵仲間に声をかけることもあった。但し、アルフレッドだけは彼女自身が望んで側にいさせている。
  5. ^ 先代のアルドバラ公爵は、ナシオを養子に迎えたスミス家の先代当主と親友同士であり、二人とも「強い戦士を跡継ぎにしたい」と考えていたことをナシオは知っている。
  6. ^ 「炎の月」5巻では、ジェニーに「お父様を甘やかしている男(達の一人)」と評された。
  7. ^ 当時、軍閥スミス家の親類筋にありながら、軍人にならずに画家を目指していたウォルターは変わり者とされ、親からは勘当されていた
  8. ^ 気づいて堕胎しないよう
  9. ^ ジェニーにそれを詰られた際、「グレイスが一人でもナシオの子供を産めば、グレイスを全部やる」と言われた為だと述懐している。
  10. ^ アシュハはかつてアフガニスタン駐留ソビエト陸軍でアルフレッドと同じ部隊に所属していた
  11. ^ 「テロリスト」はジェニーが傭兵を引退する重要なエピソード
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