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ノノノノ

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ノノノノ
ジャンル スポーツ漫画
漫画
作者 岡本倫
出版社 集英社
掲載誌 週刊ヤングジャンプ
レーベル ヤングジャンプ・コミックス
発表期間 2007年47号 - (連載中)
巻数 既刊5巻(2009年2月現在)
テンプレート - ノート

ノノノノ』とは岡本倫による日本の漫画作品である。週刊ヤングジャンプにて連載中。単行本1巻に冨樫義博による推薦のコメントが書かれた。

また、2008年12月23日の深夜に放送された「マンガノゲンバ」(NHK BS2)に岡本本人が出演し、本作が取り上げられた。

概要

スキージャンプを題材とした漫画。時期は長野オリンピックより後であり、アンカレッジ冬季オリンピックが行われている等史実とは異なる世界観(パラレルワールド)になっている。

前作『エルフェンリート』のような残虐描写はないが、ストーリーは前作以上に重く生々しいものとなっている。

あらすじ

強風が吹く夜のジャンプ台で、スキージャンプをする少年・野々宮悠太。スキージャンプ界に突如現れた、無名の新星である彼の夢は、オリンピックのジャンプ種目で金メダルを獲る事。しかし、彼にはある秘密があった。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


登場人物

メインキャラ

同名のキャラがいるため、便宜上主人公を「ノノ」、主人公の双子の兄を「悠太」と記述する。なお、登場人物の苗字は和歌山県の地名由来のものが多い。

声優はVOMIC版のもの。

野々宮悠太(ののみや ゆうた) 声:能登麻美子
本作の主人公。第14話の卒業アルバムから北海道の余市町出身であることがわかっている。成績上は道内85位のジャンパーでしかなかったが、妙高で高校最強のジャンパー・加東に野試合を申し込み、バッケンレコード越えの記録を叩き出して圧勝したことで注目を集める。
身長は160㎝。容姿端麗で、成績優秀かつ桁外れの身体能力を持ち、垂直跳びは第2話によれば130㎝以上。しかし私生活はそれほど裕福ではなく、地元への電車賃1300円を何ヵ月分のお小遣いと言っており、経済的に困窮している模様。また、幼少期は環境ゆえに十分な教育を受けていなかったらしく、小学三年生の時点で「金」の漢字が書けなかった。
その正体は、悠太の双子の妹・野々宮ノノ。かつては由良姓を名乗っていたが、父親の失敗(後述)による悪質な嫌がらせを一家で受けたため、悠太と共に母親の旧姓である野々宮に改姓した。女性であるため、男装時はコルセットを使って胸がないように見せている(推定バストはEの巨乳の持ち主)。女性であることがバレないように注意しており、精神的にも強くあろうとしているが、お洒落したいという欲求も人一倍あり、気に入った衣装を着た自身の姿を写真に収めたり、自分の見せ場が来ると「私超カッコイイ!」と目を輝かせながら心の中で叫んだりと、ナルシシストな一面も見せる。そのせいで正体をバラしかねない行為に出たことや狼狽させられることが多く苦労している。尚、ノノが女子であることを見抜いたのは(資料の調査で突き止めた与田、裸を見た岸谷、治療にあたったパーヤネン医師を除けば)現時点ではそら1人である。
天津には淡い恋心を抱いているが、境遇ゆえに半分諦めているが、女装時に尻屋に一目惚れされてしまう(尚、天津には「悠太の女装」と勘違いされ正体こそばれていない)。
父親に金メダルを捧げるべく兄と共にジャンプを始めたが、オリンピックに女子選手は出場できない事実に絶望のどん底に落とされたことと結果を出せない兄に対する配慮もあって中学入学時に一度ジャンプを辞めてしまったが、兄の自殺と遺書により中学3年生の春を機に兄と入れ替わり、父親の果たせなかった「オリンピックで金メダルを獲る」夢を追うことになる。そのせいか対戦相手に自分の体と引き換えに辞退を求めるなど手段を選ばない腹黒い一面を見せることもある。父親譲りの類い希なるジャンプの才を持ち、その実力は男子のトップジャンパーに匹敵するほどであるが、時々現れる悠太の幻影を見ると実力が発揮できなくなってしまう。
本物の悠太の幻影が現れることがない限り、滅多に取り乱すことはないが、父親への暴言や罵倒をには怒り心頭となり、冷静さを失ってしまう。そのために、ハンスの実力も確かめずにいきなり対決を挑み、初めての完全敗北と世界の障壁に対する挫折を味わう。更にその際に指摘された「欠点」を認めないまま北海道遠征に挑んだが、スタートの直前に悠太の幻影から「飛ぶな」と忠告を受けるも、結局ノノは集中の切れた状態でスタートを切ってしまい、空中での姿勢制御に失敗。そのまま地上へと墜落することとなり、父親の二の舞を演じてしまう。
興梠みかげ(こうろぎ みかげ)声:福原香織
フィギュアスケート世界選手権で金メダルを取った天才であり、数々の男性から告白を受けてきた美少女。高校入学後、ノノの容姿とオーラに惹かれて(上から目線で)告白するも、あっさり断られてしまった。それ以来、大会の合間を縫ってノノの元へと現れるようになり、彼の心を射止めるべくアタックをかけ続けている。ある一件からノノを女装趣味のある変態だと勘違いし、それをネタに彼のことをマイスレイブ(奴隷)呼ばわりするようになった(周囲には恋人同士ということにしている)。ノノが寮で(正当防衛とはいえ)暴力事件を起こしてからは、彼を自分の家に同居させるようになったが、向こうから告白されるまでは受け入れるつもりは無いらしい。プライドが高い反面、ノノに対しては事ある毎に抱きつくなど人目を憚らない所もある。野々宮が天津に好意を持っていることを見抜き、天津を恋敵としてライバル視するようになるが、逆に彼に好意を持たれてしまい捩れた三角関係の渦中にいる。世間では天才少女として通っているが、実際は裏で筋トレ等の地道な努力に励んでいる努力家。持久力では完全にノノと天津を上回る。
天津暁(あまつ あきら)声:前野智昭
ノノと同じスキー部の1年生であり、全中体優勝経験を持つ天才ジャンパー。ジャンプ一家に生まれたサラブレッドだが、祖父・父共に銀メダル止まりであることがコンプレックスとなっている。そのため非常に負けず嫌いな性格であり、相手が子供でも容赦はなく、また自分にも厳しい。ノノのことは自分と同じ逆境にいながらも自分を上回る実力を持つ選手として尊敬し認めている。ノノに恋されているが、自身はみかげに恋しており彼女を巡って尻屋とは一時険悪な仲になった。女性アレルギーであり、女性に近づかれるだけでジンマシンが出てしまう。しかし、好きになるとジンマシンが出なくなるとのことで、ノノとみかげだけは平気になった。
父親によると最大の欠点は飛距離にムラがあることで、「今のままでは北欧相手に太刀打ちできない」と評されている。

奥信高校スキー部ノルディックグループ

岸谷(きしたに)
ノノ、天津と同じスキー部の1年生。ノノの良き理解者の一人。後述の尻屋の小学生時代の仲間でもあり、同時に過去を知る男。故に尻屋のことを異常に恐れている。中学時代は常に天津の後塵を拝していたが、いずれは二番手という立場から脱却したいと考えている模様。濃い面々が集うスキー部にあっては貴重な常識人であり、ノノや天津のフォローに回ることも多い。もっとも、男女の機微には疎いようである。
北海道遠征の際、偶然ノノの正体を知ることになるが、女子でありながら男子を上回るノノの実力を認め、秘密を隠す事を決意する。
尻屋潔(しりや きよし)
スキー部の先輩。通称「皇帝」。自分の名前や外見(アフロ)に猛烈なコンプレックスを抱いており、スキー部の面々には「皇帝」と呼ばせている。
190cmを超える長身で肩幅も広いという恵まれた体格を持ち、前年度のインターハイでは3位という実績を残している。もっとも、与田の目にはオーラはほとんど見えず、努力で今の実力を得た選手と評された。スキー板にはこだわりがあるらしく、
非常に短気で粗暴。喧嘩においても柔道全国ベスト8の尾形を瞬殺するほどの力を持ち、スキー部員達から恐れられている。過去に彼を陰で「アナルショップ」と呼んだ生徒は3日間行方不明となった後、退学した模様(ただし、自分が本気で一目惚れした相手にはそう呼ばせている)。みかげの狂信的な大ファンであり、オトすためのシミュレーションをA4レポート12枚にまとめている(後に54枚の絵コンテ付きに増量)。後に部員の計らいによって念願の対面を果たしたものの、タイミングが非常に悪く完全に嫌われてしまうこととなった。その後、ドレスアップしてそらとショッピングしていたノノと偶然の出会いを果たし、正体を知らないまま一目惚れしてしまう。
普段の素行から誤解されているが、実際は非常に友人思いな性格である。そのため、幼馴染みの板にこだわって小学生の頃からずっと同じ板を使い続けている(現在のジャンプにおいては身長とBMIによって板の最大長さが決定される。板が長いほど大きな浮力が得られるため、尻屋のように長身の選手があえて短い板を使用するケースはほぼ皆無である)。新宮の事故についても深い責任を感じており、サマージャンプ大会においては板に細工が施されていることを知りながら敢えて彼の成功のため、決死の行動で重傷を負った。
その後は順調に怪我も回復し、新宮の仕掛けで板が破損し、長い板に変えて今なら化け物の様に飛ぶとのこと。
実は地元選出の政治家(法務大臣)の長男であり、妹の存在が作中で明らかになった。
新宮学(しんぐう まなぶ)
スキー部の先輩。全国の頂点を狙える程の力を持ったジャンパーだったが、前年度のインターハイにおいてジャンプ中にスキー板が外れるアクシデントに見舞われ、内臓破裂の重傷を負って棄権した。この事故がなければ尻屋の表彰台入りはなかったとも言われている。
事故の原因は火野(後述)がスキー板に施した細工であったが、尻屋も独自の考えを持って彼の板に手を加えていたため、本人は尻屋が犯人だと誤解し、深く恨んでいた。復帰初戦となったサマージャンプ大会では火野から地元の名門実業団である鹿川建設への推薦を持ちかけられ、交換条件として尻屋の板に細工を施す。目論見通り尻屋は重傷を負うこととなったが、程なくして尻屋が自分の板に手を加えた本当の意味を知ってしまい、慟哭と共にその場へと崩れ落ちた。
御坊(ごぼう)
スキー部の顧問。練習中や遠征先の北海道でもなぜか白衣を着ており、野々宮からは不審に思われている。尻屋の異常な後輩しごきについては「体育会系なら先輩の言うことには従うもの」として放任している模様。
ライバル校である青鹿学園コーチの火野は現役時代の先輩であるが、関係はあまり良好とは言えないようである。

その他

与田(よだ) 声:保村真
雑誌記者。人の潜在能力オーラで見えるという能力を持つ(もっとも、後輩である村松には全く信じられていない)。元々はスキージャンプの選手であり、全日本で入賞したこともあったが、己の才能に限界を感じて記者の道へと進んだ。ノノから計り知れない力を感じ取り、独自に調査を始めた結果、現在の悠太が男装したノノであることを知る。その上で、彼女に接触し協力したいと申し出た。
村松(むらまつ) 声:庄司宇芽香
与田の後輩。眼鏡をかけた女性。記者としては新人であるが与田に対する態度は不遜そのものであり、ジャンプに対する興味もほとんど持っていない。そのため、一般に馴染みの薄いジャンプ競技を読者に理解させるため、与田に解説させる役割を持つ。
サマージャンプの取材時には、野々宮が放り出した「加東の写真」をこっそり回収した。
そら
北海道の高校2年生。名前とは裏腹に高所恐怖症。中学2年のときから悠太と付き合っていた。
夏休みを利用して悠太に会いに来たものの、悠太(ノノ)は表向きみかげと付き合っていることになっていたため、悠太を巡って骨肉の争いを繰り広げることとなってしまう。しかし、実際は現在の悠太が本物ではない(妹のノノである)ことに一目で気付いており、悠太が亡くなっていることもおおよそ把握していた。その上で、ノノが怪しまれずジャンプを続けられるように芝居を打っていたが、ノノ自身の口から事実を告げられたことで抑えていた感情が爆発し、ノノと抱き合いながら号泣した。
うみ
そらの妹。非常に勝気な性格であり、姉のそらに対して強い対抗心を抱いている。そらと比べて自分勝手な部分が目立つが、目的の実現のためにシュナイダーに懸命に尽くす健気な一面もある。
3年前にそらよりも先に悠太へ告白したが、酷い振られ方をし、傷心のまま父の転勤によってオーストリアに渡った。その半年後、悠太がそらと付き合い始めたと知り、悠太の夢を打ち破ってやろうという思いに駆られる。そのためにハンス・シュナイダーの告白を受け、そらと共に長野まで来た。その後目的を果たしたが、直後にノノが泣いている所を見てしまい、ショックを受ける。
ハンス・シュナイダー
オーストリア出身の新人ジャンパーにして強豪オーストリアの覇者。気ままで怠け者であり、大会に対する姿勢は遊び半分である。
高校ではサッカーの天才キーパーとして海外から誘いが来るほどの選手だったが、うみに告白した際に出された「スキージャンプでオーストリアの覇者になる」という条件を満たすため、スキージャンパーに転向。デビュー2年目にしてオーストリアの大会を総なめにするほどの選手に急成長を遂げる。しかし、その後の世界大会には真剣に取り組んでおらず、並程度の成績しか残していない。もっともジャンプの実力は相当なものであり、それまでよりも高さを下げたゲートからジャンプしたにも関わらず、ノノの出した記録をあっさりと超えてみせた。その際ノノのジャンプについて「恐怖」が欠けていると話し、それを克服しない限り世界では絶対に勝てないと忠告した。
加東雅史(かとう まさし) 声:金野潤
一昨年のインターハイで優勝し、全日本選手権でも3位に入った大型新人ジャンパー。来季のナショナルチーム入りが決定しており、与田からも高く評価されていたが、練習を見に来ていたノノに手痛い指摘を受けて激昂。「負けた方が裸でジャンプ台から飛ぶ」という条件で野試合を行い、バッケンレコード越えの大ジャンプを見せられての完全敗北を喫する。
その後は地元の名門実業団である鹿川建設に入社し、ナショナルチーム入りを果たした。ノノとの約束はしっかり覚えており、サマージャンプの合同練習で再会した際には証拠の写真を手渡して悲鳴を上げさせた。
尾形(おがた)
柔道全国ベスト8の実力者であり、寮でのノノのルームメイト。その腕力にものを言わせて無理やり気に入った男子を掘っていたバイセクシャル。入寮初日の夜にノノに対し夜這いをかけたものの、凄まじい脚力で蹴り飛ばされて血ダルマにされる。その後も懲りずにストーキングを続けていたが、今度はその姿を尻屋に見とがめられて殴り倒された。それでもなおノノへの執着を見せたあたり、耐久力と変態性は一級品であろう。本人曰く「今まで何百何千の相手と戦ってきたので組めば相手の実力はわかる」(元ネタは『キン肉マン』のネプチューンマンの審判のロックアップ)。
火野(ひの)
青鹿学園高校スキー部のコーチ。自らがコーチになって以降のスキー部の成績が振るわず、次の大会で結果が出せなければクビという所まで追いつめられていた。
姑息で卑劣な男であり、かつては新宮の板に細工を施して事故の原因を作った。更には部の資金を横領しており、新宮を使って尻屋と天津を潰そうとするなど、自らの地位を守るためなら手段は選ばない。
サマージャンプ大会で優勝するために尻屋と天津を潰そうと企み、新宮を唆して尻屋のスキー板に細工を施させ、結果として重傷を負わせる。しかしノノと天津の活躍によって青鹿学園は敗退し、更に尻屋の事故を仕組んだことを理事長に知られたため、理事長からクビを宣告された。その後、一番の「計算外」だったノノを逆恨みするようになる。
パーヤネン
与田に依頼されて墜落し意識を失っていたノノを治療したスウェーデン人医師で元スキージャンプ選手。
現役時に来日したときに自分への声援が大きかったことで日本を気に入り住み着いたが、実際は名前が面白がられて囃されていたのを勘違いしていただけだった。

野々宮家

悠太(ゆうた)
ノノがジャンプ台に上がろうとすると現れることがある幻影。
正体は、本物の野々宮悠太で、ノノの双子の兄。妹と同じくかつては父親の姓を名乗っていたが、周囲からの嫌がらせを受け、それを機に姓を野々宮に改姓した。中学3年生の春に起こった火事で死亡したが、戸籍上ではノノが死亡したことになっている。幼少時代はノノとそっくりな優しい顔つきだったものの、父親に厳しく躾けられた影響によってか、目つきの悪い顔つきに変わっており、その顔に幼少時の面影はない。
周囲から異常なまでのバッシングを受ける父親に金メダルを捧げるため、ノノと共にスキージャンプを始めたが、どんなに努力しても並以下の成績しか残せなかった。一方のノノは同世代の男子を軽々と上回る圧倒的な力を見せつけたため、結果を出せない悠太に対しては過剰なまでのスパルタ教育が施されるようになってしまう。それでも周囲には金メダルへの夢を語り続け、生活のすべてをジャンプに捧げていたため、自信家で傲慢な性格という評判を得てしまった。優れた美術の才能があり、美術教師からもその道に進むことを薦められるが、自分はジャンプの道以外進めないという義務感からその言葉を拒絶する。彼に気を遣ってジャンプを辞めてしまったノノに対しては強い申し訳なさを感じており、結果を出せなければ殺すと父親に宣言された際も、自嘲気味な表情を浮かべていた。その後、道内での成績が85位に終わったことによって父に完全に諦められ、絶望して狂気に陥ってしまう。最終的には自分ではもはや父親を救えないと考え、ノノに今後は「悠太」としてジャンプをするよう遺書を残し、家に火を放って自殺する。死の間際になって美術の道への憧れを吐露したが、奇しくもその時学校には彼の描いた絵が内閣総理大臣賞を受賞したという知らせが届いていた。
北海道遠征時には、悲しい表情を浮かべた少年の姿でノノの前に現れ、「飛ぶな」と忠告した。今まで悠太が幻影としてノノの前に現れたのは、実は彼が死してもなおノノのことを心配し、危険を告げようとしていたためだった。
由良悠介(ゆら ゆうすけ)
アンカレッジ冬季オリンピックでジャンプ日本代表だった男。実は、野々宮兄妹の実父である。その性格は能天気と評されしばしば大口を叩くなど、良きムードメーカーであったが、メンタル面の弱さに大きな問題があった。足の怪我が原因で試合出場の機会が得られず、オリンピックも初出場だったが、地元では出場前から金メダル獲得の凱旋の準備が行われるなど過度の期待が寄せられていた。その期待に応えるため、実際は足の怪我が完治していなかったにも関わらずオリンピックに出場したが、結果として団体金メダルのかかったジャンプを失敗してしまう。日本の団体金メダルの夢を打ち砕いてしまったことで、世間から猛烈なバッシングを受けるようになり、そのまま表舞台から姿を消した。その後彼に対するバッシングはさらにエスカレートし、「自宅をスプレーで落書きされる」「脅迫電話が殺到する」「暴走族に家のガラスを割られる」といった悪質な嫌がらせを受けるまでに発展する。さらに四年後、実業団を解雇されてジャンプの夢を絶たれた彼は今までの能天気な性格を失い、冷酷で厳格な鬼へと豹変してしまう。自らの受けた屈辱を晴らすため、悠太に対して虐待同然のスパルタ教育を施す一方で、ノノのことは(女性はスキージャンプでオリンピックに出場できないため)ほぼ放任していた。指導の甲斐なく悠太のオリンピック出場が絶望的だとわかり、自殺を試みるが、発見が早かったため命は取り留めた。現在は病院のベッドにおり、混濁した意識の中で悠太が金メダルを獲る夢を見ている。
彼の失敗によってオーストリアが金メダルを獲得したことで、オーストリア勢からは身の程知らずと嘲笑されており、10年以上経った現在でも当時の選手とその親族の遺恨となっている。それが原因で、日本でも一部の選手からはあまり快く思われていないようである。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


書誌情報

いずれも著者は岡本倫、発行は集英社より。

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